従業員数400%増加!採用と経営の二人三脚で実現したV字回復の裏側―HR Growth Engine Conferenceセッションレポート | HR Growth Engine by HRMOS
従業員数400%増加!採用と経営の二人三脚で実現したV字回復の裏側―HR Growth Engine Conferenceセッションレポート

従業員数400%増加!採用と経営の二人三脚で実現したV字回復の裏側―HR Growth Engine Conferenceセッションレポート

「人事が、事業成長のエンジンになる」をコンセプトに、組織全体を成長させるべく採用に取り組む人事担当者を支援する株式会社ビズリーチ(以下、ビズリーチ)主催のイベントシリーズ「HR Growth Engine」。 

2025年11月18日に行われた特別カンファレンス「HR Growth Engine Conference」では、より戦略レベルでの話に重点を置き、経営層・人事責任者にとって意思決定のヒントとなるテーマを中心に、以下の3セッションを行いました。 

1:経営者が創る”カルチャー”が、エンジニア採用の鍵になる 
2:CEOとVCバリューアップ担当者が紐解くTA成功の鍵を握る”経営者のコミットメント” 
3:従業員数400%増加!採用と経営の二人三脚で実現したV字回復の裏側とは 

本レポートでは、セッション3「従業員数400%増加!採用と経営の二人三脚で実現したV字回復の裏側とは 」 の様子をお届けします。 

急成長から、離職が続く減少期へ突入。刷新できていなかった社内制度や社員間の意識ギャップが課題に

セッション3では、デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社(以下、DTVS)採用担当の廣田由子氏に登壇いただきました。モデレーターは株式会社ビズリーチHRMOS事業部エンタープライズサービスマネージャー川人 章徳が担当しました。 

ー 廣田様はもともと、ビズリーチでカスタマーサクセスの業務を経験してから、DTVSに転職されたそうですね。 

廣田氏: DTVSはビズリーチ時代のクライアント企業の1社だったのですが、採用戦略を支援する中で、同社により深く関わっていこうと、転職を決めました。私がDTVSに入社したタイミングはちょうど組織拡大の真っ只中で、中途入社が急増していた時期でした。 

廣田氏: 具体的には、2015年には30名規模だった組織が3年で倍の60名になり、2020年には100名にまで成長したのです。5年間で売上が10倍以上、人員も3倍以上に成長ということで、一見順風満帆に見えるのですが、実際はそうではありませんでした。組織が成長していくとともに、チームビルディングの難しさがどんどん浮き彫りになっていったからです。 

事実、2020年からは、一時期、採用しても人がどんどん辞めていく状態になり、翌年2021年には社員数が70名まで減りました。そこから組織の立て直しに取り組み、経営と採用の二人三脚体制を構築していったことで、V字回復を果たし、2025年11月現在では社員数は270名に伸びました。現在は、アジアNo.1イノベーションファームを目指して、事業の拡大を進めています。 

なぜ急成長していた組織が、一転して従業員が辞めていく状態に陥ったのでしょうか。「従業員が辞めていった減少期に何があったのか」をテーマに、話を進めていきたいと思います。 

廣田氏: 減少期に突入した2020年当時、DTVSはグループから調達した資金を黒字化すべき時期に入っていました。そのため、会社として黒字化に向けた中長期的な指針を示す必要があったのですが、事業を多角化していく中で、中核事業をどこに置くのかという定義に時間がかかっていたように思います。そのため、指針が見えづらい状況にありました。 

また、30名規模だった組織の文化や評価システムを引き継いだまま100名規模にまで成長したため、従来のやり方が通用しない部分が多々出てきていたように思います。加えて、当時は創業期メンバーと中途で新たに入ってきたメンバーとの間で、カルチャーギャップが生じていました。創業期のメンバーが自らを「古参」と表現するようになり、中途社員との間に壁が生じていたのです。 

組織サーベイの数値も悪化していましたし、当時の経営陣は、事業の運営と組織の立て直しをどう両立していくか、非常に苦慮していたように感じます。 

経営陣連携のもと、全体会議や評価システムを改善。社員表彰等、チーム活性化の仕組みを新たに導入

経営陣の視点と現場の課題感の間でも、ギャップが生じていたのではないかと思いますが、当時の廣田様はどのような取り組みをしながら、その状況を改善していったのでしょうか。 

廣田氏: まずは社員の話に耳を傾け、第三者的な立場から彼らの本音を聞くことから始めました。 
当時の社員の半数以上、約60名の方とランチ1on1を設けたのですが、そのおかげで、事業に対する各々の強い想いと、組織の分断状況が見えてきました。 

コンサルティングファームの性質上、全員がコンサル職なので、横のつながりが密でなくても動けてしまう傾向があります。もちろんチームで活動しているので、チーム内はある程度まとまっているのですが、別チームと組み合わせると思うようにいかない。チームごとに考え方も違うため、組織としての連帯が発揮されづらい状況になっていたのです。 

結果、いつの間にか派閥のようなものが相当数出来上がってしまっていて、退職予定の方から「いずれ内部分裂する」とフィードバックされたこともありました。 

ー そこから組織として、どのように改善していったのか。「採用と経営の二人三脚で取り組んだ採用体制改革」を次のテーマとして、さらにお話を伺えればと思います。 

廣田氏: 会社に不満を抱く方の多くが「組織の考えが分からない」「自分の意見が伝わっていない」という思いを抱いています。そこで経営の透明性を高めるべく、経営陣に向けて「月1で行っている全社会議のコンテンツを見直し、営業成績や事業の状況が社員に伝わるようにする」よう提言しました。 

もともと経営陣も、会社の実情や考えを隠す気はなく、会議での伝え方に苦慮していた状態だったため、私の意見を都度取り入れて、二人三脚で前向きに改善していくことができました。 

並行して、経営陣と何度も議論しながら、部署ごとの活動内容を精査した上で、社内の評価システムの項目も見直していきました。また、チームをもっと活性化していきたいとの思いから、お世話になった仲間に感謝のメッセージを贈り合うサンキューレターや社員表彰、ランダムランチといった制度の導入にも取り組みました。 

後者については、今までにない制度だったため、導入してしばらくは戸惑う社員も多くいました。実際に反発もあったのですが、「制度の運用を任意とする」ことで無理強いにならないよう配慮し、乗り切りました。とはいえ、社内で表彰されることに喜びを感じてくれる人も多かったため、辛抱強く続けていくうちに、反発も薄れ、社内に浸透していったように思います。 

そうした施策を続けた結果、派閥のようなものも社内からほぼ消え、古参」という言葉を意識することもなくなってきました。結果、現在のDTVSは組織が分断されているという雰囲気はなくなったと思います。 

当時は社内の関係性改善に加えて、離職率を減らすために採用フローの改善にも取り組んだと伺っています。そのあたりの取り組みについても、お聞かせください。 

廣田氏: 組織規模が大きくなると、採用面接に関わる人の数も増えていきます。当時のDTVSでも、面接担当者は100名規模に及びました。そのため、ルールを細かく明文化しておかないと、面接担当者に必要なことが伝わらず、採用基準もぶれてしまうということに気づいたのです。 

そこで面接のフローを策定し、面接官や経営陣に説明しながら進めていく方針を取りました。具体的には、「一次面接で何を聞くのか」「カジュアル面談時にしてはいけないことは何か」等を全て明確化し、面接担当者もセクションごとに名指しで指定するようにしたのです。とはいえ、面接担当者を臨機応変に組んだほうが良い場面もあります。そういった場面にも対応できるように、周囲の協力を得ながら、オペレーションの指揮に注力しています。 

とはいえ、採用全てがうまくいくわけではありませんし、思いつく限りの失敗は経験してきています。声が大きな人にチームが引っ張られてしまったり、優秀だが暴走してしまう人を採用したことで組織が崩れてしまったり、様々なことがありました。 

ただ、そういった失敗の一つひとつと向き合い、学んできたことを教訓ノートにまとめるようにしています。過去の失敗の積み重ねを活かしながら、採用基準もアップデートしてきました。 

会社を愛し、その成長に意義を感じられる社員を増やす。そのために何をすべきかに向き合い続ける

地道な改善を重ねた結果が、2021年以降のV字回復につながったわけですね。最後のテーマは「成長し続ける企業に何が必要か」なのですが、廣田様はどうお考えでしょうか。 

廣田氏: 会社の成長に向き合い続けることが、一番大切だと私は考えています。私自身がDTVSという会社が好きで、この会社を大きくすることに意義を感じているからこそ、日々、採用活動に励んでいるわけです。だからこそ、同じような思いを持って、会社の成長と向き合い続ける仲間を社内にもっと増やしていけたらと思っています。 

ここで、会場からの質問に移ります。「トップダウンの雰囲気が強い組織で、経営層とのギャップをどう埋めていくか」という質問が来ていますが、どう思われますか。 

廣田氏: トップとなる経営者が強い意見を発信することは、経営上、決して悪いことではないと思っています。その上で、経営者に納得してもらえるように、密なコミュニケーションを取り、信頼してもらえるようにすることが大切だというのが私の考えです。 

経営者の意向を汲むといっても、上手くいかないことは多々あるということを分かってもらえるように、途中経過の報告もこまめに行いますし、課題についても率直に伝えます。あとは、「この人の面接はどうでしたか」など社長にもフィードバックを求めるようにして、認識のすり合わせと情報共有を丁寧に行いますね。 

内定フォローの状況等も、経営者には細かく伝えています。たとえば競合他社と迷っている内定者に対し、その競合から転職してきたメンバーと面談を組んで、体験を話してもらうようにするといった対応も、経営者とディスカッションする中で決めるようにしています。 

セッションの最後に、参加者の方々に向けてメッセージをお願いします。 

廣田氏: 経営陣からの期待に応えたいという思いと、現実との間で悩むことも多々ありますが、それでも、採用担当としての自分の貢献が組織や事業の拡大に繋がっていると日々実感できています。今日のお話を通じて、皆様のお役に立てたならうれしいです。 

廣田氏の話に、会場の参加者が強く共感している様子が伺えました全セッション終了後の懇親会でも、活発に話が弾んでいたようです。