社内版ビズリーチ導入インタビュー
人財とポジションの好循環を促す、キリングループの人事戦略
キリンホールディングス株式会社
キリンホールディングスは、酒類・飲料や医薬、ヘルスサイエンスなど多角的な事業を展開するグローバル企業です。
同社は、「人財が育ち、人財で勝つ会社」を目指し、経営戦略に必要な人財を「可視化」し、人財マネジメントを「進化」させるために、「社内版ビズリーチ by HRMOS」(以下、社内版ビズリーチ)を導入しています。数千に及ぶポジションと数万人規模の人財データを可視化・マッチングすることで、社員一人ひとりの自律的なキャリア形成と、グループの持続的な成長・価値向上を目指しています。
同社では、社内版ビズリーチを通してどのような人事戦略の実現を目指しているのでしょうか。人財戦略部で人財開発業務に従事する土屋洋平氏、三高実里氏にお話を伺いました。
「人財が育ち、人財で勝つ会社」を目指して
土屋氏:キリングループでは、人財を価値創造・競争優位の源泉と位置づけ、「人財の無限の可能性を信じる」という人事の基本理念のもと、「人財が育ち、人財で勝つ会社」になることを目指しています。そのため、人財戦略部では、社員一人ひとりの自律的なキャリア形成促進と、多様な経験を通じた「専門性」「多様性」の獲得を支援することで、人財の価値を高め、事業の成長とグループの持続的な価値向上を実現することがミッションとなります。
大きな転換期となったのは、2020年頃から始まったグループ全体の事業ポートフォリオの変革でした。祖業である「酒類」、そして、「飲料」「医薬」といった事業領域に加え、新たに「ヘルスサイエンス」の領域が急速に拡大していったのです。こうした背景のなかで、会社が求める新しい事業ポートフォリオに適合する人財をどう獲得・育成するか、そして、キリンホールディングスがいかに人財に選ばれ続ける会社になれるかがポイントになりました。
三高氏:私たちはこれまで、社員の経験やスキルといった情報はかなり豊富に整えてきたという自負がありました。しかし、「どこに、どのようなポジションが存在し、どのような役割・責任が求められるのか」という、ポジション情報が非常に曖昧で定義されていませんでした。ポジション情報が可視化されていないと、要員計画を立てようとしても単純な積み上げによる人数管理にとどまってしまいがちです。本来であれば、要員計画は配置戦略や人件費とも連動し、戦略的に行っていく必要がありますが、当時はそこまで踏み込むことができていませんでした。
また、タレントマネジメントの観点からも、各領域にどのような仕事があり、どのような専門性を持つ人財が必要なのかといった「ポジションベースの視点」と、社員一人ひとりにどのようなポジションをアサインすれば、必要な経験の獲得やその後の成長につながるのかといった「人財ベースの視点」の双方が、十分にかみ合っていない状況でした。感覚的な人財管理や配置から脱却し、仕事と人財をフラットに可視化して連動させなければ、目指すミッションの達成は到底できないと感じていました。

社内外をつなぐ一気通貫した世界観と、課題に寄り添う姿勢が導入の決め手
三高氏:社内版ビズリーチの導入にあたり、特に魅力的に感じたのは、ビズリーチが日本の労働市場における膨大なデータをすでに蓄積していること、そして、そのデータにAIを掛け合わせて活用していくという思想そのものです。AIを活用して社内のポジション情報や社員のスキル・経験を可視化し、それをさらに外部の労働市場とも地続きで接続していく。この社内外をシームレスにつなぐ一気通貫した世界観は、社内のポジションを可視化するだけにとどまらず、その先にある人財の流動化や成長支援にまで手が届くという可能性を感じさせてくれるものでした。
人事部門が管理するためだけのシステムではなく、社員が自律的なキャリアを形成するためのツールとして、また、それを現場のリーダーが支援するための武器として現場に寄り添うものになり得ると判断したことも、大きな選定理由です。機能面でも、これまでバラバラになりがちだったポジションと人財の情報がデータとしてつながり、今後の人財活用の高度化に向けた強固な基盤になると感じました。
土屋氏:最終的には、ビズリーチの皆様の圧倒的な熱意と、私たちの課題に対して徹底的に寄り添っていただけたことが決め手になりました。
以前からポジションに対する課題を抱えていましたが、具体的にどのような設計にすれば解決できるのか、ボトルネックがどこにあるのかは、自分たちでも何が課題なのか分かっていない部分が数多くありました。問題意識はあるものの、その本質や解決への道筋が十分に言語化できず、進むべき方向性を模索し続けていた時期が最も苦しかったことを覚えています。
そんな中で、ビズリーチの皆様は導入前から、言葉にできない私たちの課題に対して、一緒になって解決策を考えてくださいました。単なるベンダーと顧客という関係ではなく、同じ理想を目指して汗をかいてくれる、心強い仲間としての熱量が伝わってきたことが、一番の決め手になりました。

グループ主要5社の数千人と数千ポジションを可視化した先に広がる、要員計画の可能性
三高氏:現在は、キリングループの国内主要5社を対象に、数千に及ぶ膨大なポジションの可視化を完了しています。そして、この可視化されたポジション情報を起点として、要員計画の策定やAIを活用したタレントマネジメントの応用に向けて、一つずつステップを進めている状況です。
このポジション情報を1から作り上げる作業は、現場の皆さんの協力を得ながら、粘り強く対話と検討を重ね、一つひとつ積み上げてきた部分が大きかったです。具体的には、まず、すべてのポジションの人財要件をシステム上に可視化し、所属している社員の情報をかけ合わせることで、「どのポジションに、どのようなスキル・経験を持つ人財が配置されているのか」を俯瞰して見られる状態を構築しました。
現在は、単なる業務の効率化を目指すというよりも、これまで見えていなかった新しい組織の姿や人財の可能性を「見える化」することそのものに注力できるようになりました。

土屋氏:これまでは、社員のデータを手動で検索し、過去の経歴を読み解き、アサインや異動を検討するまでに1人あたり最低でも2時間以上の時間を費やしていました。
それが社内版ビズリーチを活用することで、数千人規模の社員データの中から、ポジションと社員のマッチングの可能性を瞬時に可視化できるようになりました。AIによる高度な探索・検索により、人の認知や経験だけでは到達できなかった候補にもアクセスできるようになり、人財探索のスピードと精度は飛躍的に向上しています。
また、各現場や事業会社から「こういう人財が欲しい」という要望が上がってきた際、どうしても担当者が知っている社員から選出してしまいがちでした。しかし今では、「別の事業会社に、これほど高い適性や合致するスキルを持った人財がいたのか」という新たな発見やポジティブな気づきが生まれ始めています。

また、これまでは抽象的な記述にとどまっていた社員の経験やスキルが整理され、可視化されたことで、「この人財は実はこんな強みを持っていたんだね」といった会話が増えました。こうした現状を現場の責任者の皆さんにも理解してもらうため、現在は各部門責任者への説明会を重ね、現場への浸透と意識改革を並行して進めています。現場の責任者と対話を重ねていくなかで、タレントマネジメントシステムで活用するためのデータ収集にありがちだった「人事に書かされている」という意識ではなく、現場から「自分たちが必要とする要員・ポジションを正しく定義し、アピールしたい・仲間の強みや特徴に目を向け『適財適所』なマッチングを実現したい」という主体的な姿勢に変わってきているのを感じています。
こうした大規模なポジションの定義や可視化は、その難度の高さや手間の多さから途中で挫折してしまうケースが多いのではないかと思います。裏側で不揃いなデータを補正し、使える状態に加工する工程は、気が遠くなるほど泥くさい作業です。しかし、私たちがこの山を登りきることができた今、現場にもその熱量が伝わり、少しずつですが、確実に組織の意識が変わっていく手応えを感じています。
社内外から選ばれ続ける会社になるために、人財の好循環を促進していきたい
土屋氏:今後はより、社内外から選ばれ続ける会社を目指していきたいです。
まず社内においては、すべてのポジション情報を常に魅力的な状態でシステム上に可視化することで、社員がいつでも自由にアクセスし、閲覧できるようにしたいと考えています。目指したいキャリアを思い描いたとき、現在地とのギャップに自ら気づき、そのギャップを埋めるために自律的に学び、努力し、新しい仕事に挑戦していく。このように、社員の主体性によって人財が活発に流動化していく世界を、社内版ビズリーチを通して実現したいです。
そして社外から選ばれるためには、外部労働市場との接続が必要不可欠だと考えています。社内での異動や公募だけでは充足できない、あるいは育成に時間を要する高度な専門ポジションは必ず出てきます。そのとき、社内版ビズリーチを活用して、ポジション情報をそのまま外部採用における求人として展開すれば、社外の優秀な人財に対しても「キリンにはいま、このような挑戦的なポジションがある」と、社内と同じ解像度で提示できるようになります。そうなれば、地方や海外も含めた広いエリアからも魅力的なポジションを求めて多様な人財が集まるはずです。社内の充実したポジション情報が社外の人財を呼び込み、社外の優秀人財が社内をさらに活性化させる。この好循環を促進していくことこそが、私たちが描いている未来の形です。

さらにその先の話をすると、これからの時代は生成AIをはじめとするテクノロジーの進化によって、AIに代替される仕事や新しく生まれる仕事が目まぐるしく変化していくはずです。そのとき、私たちの組織にあるポジションがテクノロジーによってどう変化していくべきかという議論を、客観的なデータに基づいて行わなければなりません。
社内の生産性や付加価値、さらには外部労働市場でのタレントの稀少性など、多様なデータをポジション情報とかけ合わせることで、「このポジションは外部から人財を獲得すべきか」「このポジションは社内育成を強化するべきか」といった意思決定を可能にしたいと考えています。こうした、経営戦略と連動したポジションのアップデートが、毎年継続的かつ自律的に行われる仕組みを実現したいと思っています。
ポジション情報を常に新鮮に保ち、時代に合わせて新陳代謝させていく。それができて初めて、「人財が育ち、人財で勝つ会社」という私たちの目指す姿が、一過性のスローガンではなく、持続可能な強みとして定着するのだと信じています。

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