事業内容
株式会社T2は自動運転技術を活用した物流サービスを提供することにより、2024 年問題を始めとする物流危機という社会課題の解決に寄与し、物流インフラの維持・向上に貢献することを目指しております。
エンジニアインタビュー記事/第4回
物流問題の解決という志を共にする仲間に焦点を当てて紹介します。今回は、ハードウエア開発チームのリーダーを務める安藤にインタビューしました。二輪車開発の第一線で培った経験を活かし、自動運転トラックの開発に挑む彼の熱い思いとは。
二輪車の電装部品開発を通じ、世界を駆け抜けた20年:ベテランエンジニアの新たな挑戦
【質問】
安藤さんのご経歴を教えてください
【回答】
私のエンジニアとしてのキャリアは、新卒で入社した無線機メーカーから始まりました。そこで3年間、電気設計を担当し、基本的な無線の基板設計や回路設計を学びました。業務用の無線機などですが、自社で少量生産も含めて手がけていたので、現場で学んだ基板の製造ライン工程や回路設計の知識は、大量生産とは異なる視点で、製品の細部にまで気を配る姿勢が身につきました。
その後、輸送機器メーカーに転職し、約20年間にわたって二輪車の開発と電装部品の設計に携わりました。主にASEAN諸国やブラジル、インド向けの二輪車の電装部品開発を担当し、小型のスクーターから大型バイクまで、幅広い機種の開発に携わりました。新興国市場向けの二輪車は庶民の重要な足となっています。そのため、コスト、重量、体積の制約が非常に厳しい中で、各国の嗜好に合わせた設計を行う必要がありました。ここでの経験が、今の私のエンジニアとしての基盤になっていると言えます。
輸送機器メーカーを離れた後は、外資系CADメーカーで経験を積み、T2に入社してハードウエアチームのリーダーを務めています。
【質問】
輸送機器メーカーにおける二輪車開発において、どのような課題があり、どのように解決しましたか。
【回答】
例えば、インド市場では「大きいもの」が好まれる傾向がありました。しかし、予算の制約から小型バイクしか購入できないお客様が多い。そこで、ヘッドライトを実際以上に大きく見せるデザインを採用しました。具体的には、ヘッドライト周辺にアルミ樹脂を使用することで、コストを抑えつつ、視覚的に大きく見せる工夫をしたのです。
また、現地調査で興味深い発見がありました。モールの駐輪場で、多くの人が同じようなバイクの中から自分のものを探すのに苦労している姿を目にしたのです。そこで、キーのボタンを押すとヘッドライトが光り、音も鳴るアンサーバック機能を開発しました。高級モデルではキーレス化ができますが、量販モデルではコストがかかるキーレス化は難しいです。コストを抑えながら量販モデルにおける困りごとを解消する機能で、非常に好評でした。
【質問】
他に印象に残っているプロジェクトはありますか。
【回答】
いくつかありますが、特に印象深いのは1800ccの大型バイク開発プロジェクトです。このプロジェクトは、フラグシップモデルの17年ぶりのモデルチェンジという、非常に重要な位置づけでした。私は電装設計のプロジェクトリーダーとして携わり、多くの革新的な機能の実現に挑戦しました。
最も大きな挑戦の一つが、バイクとして世界初となるApple CarPlayの導入でした。CarPlayはもともと四輪車での使用を想定して開発されたシステムです。バイクへの導入には、想像以上の困難がありました。
まず、CarPlayは静かな車内での使用を前提としているため、風切り音やエンジン音の大きいバイクでの使用には多くの技術的障壁がありました。また、バイクには内蔵マイクがないため、ヘルメットに装着するブルートゥースヘッドセットを使用する必要がありました。しかし、当時のCarPlayはワイヤレスでのマイク使用を想定していなかったのです。まず、CarPlayは4輪車車内での使用を前提としているため、風切り音や屋外のバイクでの使用には多くの技術的障壁がありました。操作方法や視認性等2輪適用で検討必要な項目がありました。そのような状況でも前モデルでは機種専用有線インカムでしたが、お客様使い易さを最優先に考え、市販ブルートゥースヘッドセットが使えるようにしたいと考えました。
しかし、二人乗りに加え携帯電話との3系統からブルートゥース接続できるオーディオシステムは当時の4輪用ナビオーディオシステムには存在していなかったのです。
これらの課題を克服するため、我々は専門のメーカーと協力し、既存4輪用には存在しない3系統接続が可能なオーディオユニットを開発しました。そして、自社のテストコースで綿密なデータを収集。2輪走行時でも市販ヘッドセットで通話やCarplayの音楽再生、音声認識が可能であることを実証し、Apple社との交渉を重ねました。最終的に、バイクでのCarPlay使用が承認され、2輪世界初の機能として実現することができたのです。
もう一つ印象深いのは、大型バイクとしては初めてのアイドリングストップ機能の導入です。この機能は、環境対応という社会的要請に応えるものでしたが、同時に「走る楽しさ」を重視するユーザー層の期待にも応える必要がありました。
具体的には、排気音を魅力的に設計しつつ、燃費性能も向上させるという、相反する要求を満たす必要がありました。コスト面でも課題がありましたが、既存の4輪車用アイドリングストップコンポーネントを巧妙に流用することで、開発コストを抑えつつ、高性能、低燃費な機能を実現することができました。
さらに、車体の軽量化も大きな課題でした。425キロほどの車体重量を38kg減、そのうち、電装部品で15キロ削減するという高い目標が設定されました。この目標達成のため、当時としてはまだ珍しかったワイヤーハーネスのCAN化(Controller Area Network)を導入しました。これにより、信号線の多重化により配線数の削減、ハーネスの総重量を約半分にすることに成功しました。
これらのプロジェクトを通じて、技術的な革新だけでなく、異なる要求のバランスを取ることの重要性、そしてコスト面での創意工夫の必要性を学びました。
プロダクトアウトからビジネスアウトへ:T2が描く自動運転の未来
【質問】
輸送機器メーカーでの豊富な経験を経て、なぜT2への転職を決意されたのでしょうか?
【回答】
輸送機器メーカーでは、海外市場向けの小型機種から大型のハイエンドモデルまで、幅広い二輪車の開発を経験しました。その後、キャリアの幅を広げるため、外資系CADメーカーのサポートエンジニアとして転職しました。そこでの経験は非常に有意義でしたが、同時に新たな気づきもありました。クライアント企業のエンジニアの方々と接する中で、彼らの製品開発に対する情熱や想いを直接聞く機会が多くありました。そうした中で、自分自身も再び開発の最前線に立ちたいという思いが徐々に強くなっていきました。いわば、エンジニア魂に再び火がついたわけです。
【質問】
T2のどのような点に魅力を感じましたか?
【回答】
T2の最大の魅力は、技術開発の方向性にあると感じています。私が以前所属していたような大手メーカーでは、往々にしてプロダクトアウト的な開発、つまり性能や機能の向上に主眼を置いた開発が中心でした。
一方、T2は輸送サービス全体を見据えた開発を行っています。単に高性能な自動運転システムを作るのではなく、実際のユーザーニーズや使用環境に合わせて、最適な解決策を提供することを目指しています。私はこれを「ビジネスアウト的」な開発アプローチだと捉えています。
この違いは、エンジニアとして非常に刺激的です。技術的な挑戦はもちろんのこと、その技術がどのように社会に貢献できるのかを常に考えながら開発を進めることができるのです。
【質問】
現在、T2ではどのような業務を担当されていますか?
【回答】
現在、私はハードウエアチームのリーダーとして、自動運転トラックに関わる幅広い業務を統括しています。具体的には、車両の確保から保守まで、ソフトウエア以外のほぼすべての領域を担当しています。「なんでも屋さんですね」と部下に冗談を言われることもあります。
車両の選定と確保から始まり、自動運転システムを搭載するための改造設計、そして搭載後の性能評価まで、一連のプロセスを管理しています。例えば、自動運転トラックに搭載するコンテナの仕様検討も重要な業務の一つです。コンテナの設計は、積載効率だけでなく、自動運転システムのセンサー配置にも影響を与えるため、細心の注意を払って進めています。
また、タイヤの選定にも携わっています。自動運転車両は、人間のドライバーとは異なる走行パターンを持つため、従来とは異なる観点でのタイヤ選びが必要になります。耐久性、燃費効率、そして自動運転システムとの相性など、多角的な視点から最適なタイヤを選定しています。
さらに、自動運転車両特有の整備要件の定義も行っています。これは非常にチャレンジングな任務です。なぜなら、従来の整備工場とは全く異なる知識とスキルが必要になるからです。例えば、LiDARやカメラ、その他の自動運転独自のセンサー類のメンテナンスやキャリブレーションが必要になります。これらのセンサーは、自動運転システムの「目」となる重要な部品ですが、従来の整備士にはなじみのない技術です。
そのため、新しい整備工場の構想も進めています。単に点検するだけでなく、センサー類のアライメント調整や、自動運転制御システムの診断など、高度な技術を要する作業が必要になります。これらの新しい要件を定義し、整備体制を一から構築していくのも私たちの重要な役割です。
また、自動運転システムの性能を最大限に引き出すためには、車両全体のエンジニアリングの観点から最適化を図る必要があります。そのため、車両の構造設計から電装系統の配置まで、幅広い領域に関与しています。
このように、T2での私の業務は、従来の自動車開発とは大きく異なる新しい課題の連続です。時には、これまでの経験が通用しないこともあり、日々新しい知識を吸収し、創造的な解決策を見出す必要があります。
しかし、こうした挑戦こそがT2で働く醍醐味だと感じています。自動運転技術という最先端の分野で、社会に大きなインパクトを与える可能性のある仕事に携わることができる。そのやりがいは何物にも代えがたいものがあります。
また、これらの業務を通じて、自動運転技術が物流業界にもたらす変革の全体像を常に意識しながら仕事ができることも、大きな魅力です。技術開発だけでなく、その技術が実際にどのように社会に貢献できるのかを考えながら開発を進められることは、エンジニアとして非常に刺激的な経験となっています。
技術で日本を変える:T2が受け継ぐ戦後のベンチャースピリット
【質問】
T2の企業文化や風土について、どのような印象をお持ちですか?
【回答】
T2の企業文化は、まさにスタートアップならではの活気に満ちています。最も印象的なのは、意思決定の速さとそれに伴う個人の責任範囲の広さです。大企業では複数の承認プロセスを経て物事が決まっていくが一般的ですが、T2では驚くほど迅速に決定が下され、それに応じてプロジェクトが進んでいきます。
この文化は、個人に大きな裁量と責任を与えます。自分の専門分野だけでなく、時には未経験の領域でも責任を持って取り組むことが求められます。これは挑戦的である一方で、非常にやりがいのある環境だと感じています。
T2で働くやりがいは、まさにこの点にあります。自分の仕事が直接的に社会課題の解決につながっていることを実感できるのです。日本の物流危機は、単に一企業の問題ではなく、日本社会全体の課題です。この課題解決に向けて、最先端の自動運転技術を駆使してアプローチできることは、エンジニアとして非常に刺激的です。また、T2の企業文化の根底には、社会課題解決への強い使命感があります。2024年問題に象徴される日本の物流危機は、将来の問題ではなく、今まさに解決が必要な喫緊の課題です。この問題に立ち向かうため、全員が同じ方向を向いて、自発的に課題に取り組む姿勢が浸透しています。
【質問】
大企業での経験と比較して、T2ならではの特徴はありますか?
【回答】
大きな違いの一つは、機能間の連携の仕方です。大企業では往々にして、各部門が自身の機能を守ることに注力するあまり、全体最適を見失うことがあります。しかし、T2では常に全体の目標を見据えた前向きな議論が行われています。例えば、ハードウエアチームとソフトウエアチームの間で意見の相違が生じた場合でも、大きな目標に立ち返り、建設的な議論が行われます。部門間の壁は低く、迅速な問題解決を可能にしています。
また、T2には、私が以前所属していた会社の創業期を彷彿とさせるものがあります。私が以前勤めていた企業は、戦後の混乱期に創業しました。当時、日本は深刻な物資不足とインフレーションに苦しんでいましたが、その中で「持てる技術を活かして日本の復興に貢献しよう」という強い使命感のもと、事業を立ち上げたと聞いています。その時代の熱気と情熱が、今のT2にも感じられる気がします。創業者たちが抱いていた「技術で社会を変える」という志、そして従業員一人一人が「自分たちの仕事が日本の未来を作る」という誇りを持って働いていた姿勢がT2にはあります。
もちろん、時代背景は大きく異なります。戦後の復興期と現代の日本では、直面している課題の性質も規模も違います。しかし、社会の課題に真正面から向き合い、自らの技術と創意工夫でそれを解決しようとする姿勢は共通しています。T2は、現代の日本が抱える物流危機という課題に、最先端の自動運転技術で挑んでいます。
このような環境の中で働くことのやりがいは計り知れません。日々、自分の限界に挑戦する機会があります。既存の知識や経験だけでは太刀打ちできない問題に直面しますが、それらを一つ一つ克服していく過程で、自身の成長を実感できます。
さらに、T2のような新興企業では、自分のアイデアや提案が直接的に製品やサービスに反映される可能性が高いです。これは大企業ではなかなか経験できないことで、自分の仕事の影響力を直に感じられる点も大きなモチベーションになっています。
物流危機を解決する挑戦者へ:T2が求める人材像
【質問】
T2への採用応募を考えている方々へ、メッセージをお願いします。
【回答】
T2が求めているのは、単なる技術者ではなく、技術を通じて社会に変革をもたらす「挑戦者」だと感じます。日本の物流危機は、もはや将来の問題ではなく、今まさに解決が必要な喫緊の課題となっています。この課題に立ち向かうため、私たちは日々、全力で取り組んでいます。
そのような中で、「自ら考え、行動する力」が強く求められます。ここでの仕事は、間違いなく挑戦の連続で、決して楽ではありません。しかし、その分だけやりがいも大きいのです。「自分の仕事が社会を変えている」という実感を持ちながら、共に挑戦できる仲間を心待ちにしています。
職種 / 募集ポジション | エンジニアインタビュー記事/第4回 |
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雇用形態 | 正社員 |
給与 |
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勤務地 | |
会社名 | 株式会社T2 |
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代表者 | 代表取締役CEO 森本成城 |
設立年月 | 2022年8月 |
所在地 | 本社: 東京都千代田区内幸町2-2-3 日比谷国際ビル1F 座間開発拠点:神奈川県座間市広野台2-10-7 プロロジスパーク座間1 3階 |