有給休暇管理簿の作成方法は?必須項目や保存期間・エクセル運用のコツを解説

労働基準法
有給休暇管理簿の作成方法は?必須項目や保存期間・エクセル運用のコツを解説

目次

  1. 有給休暇管理簿とは?作成と保存のルール
  2. 有給休暇管理簿に記載すべき3つの必須項目
  3. 有給休暇管理簿の作成方法とフォーマット
  4. 有給休暇管理簿を正しく運用するための注意点
  5. 企業の負担を減らす有給管理システムの選び方
  6. まとめ

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年次有給休暇管理簿の作成や運用方法でお悩みの人事労務担当者向けに、正しい法律の知識を解説します。現状、エクセルでの有休管理に限界を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、労働基準法上の必須記載項目や保存期間、作成方法について分かりやすくお伝えします。最後までお読みいただくことで、自社に合った年次有給休暇管理簿の管理方法を検討し、労務リスクを減らす運用を始めることができるようになります。

有給休暇管理簿とは?作成と保存のルール

年次有給休暇管理簿(以下、「有給休暇管理簿」)とは、従業員ごとに年次有給休暇の時季・日数・基準日を明らかにし、取得状況を正確に把握するために企業が作成する帳簿のことです。
2019年4月に施行された労働基準法の改正により、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者について年5日の取得(使用者による時季指定)が義務化されました。
これに伴い、労働基準法施行規則第24条の7によって、この帳簿の作成と保存も企業に義務付けられました。従業員一人ひとりの取得状況を明確にし、計画的な有休取得を促すことが主な目的となります。

項目 概要 根拠となる主な法律・規則
目的 有給休暇の付与と取得状況の正確な把握 労働基準法第39条
義務の対象 雇用する全従業員 労働基準法施行規則
保存期間 当該年次有給休暇を与えた期間中及び期間満了後5年間(経過措置として当分の間は3年間) 労働基準法施行規則第24条の7

参考:e-Gov法令検索「労働基準法第39条」
参考:e-Gov法令検索「労働基準法施行規則(第24条の7)」

労働基準法で定められた作成義務と対象者

有給休暇管理簿の作成は、企業にとって規模の大小に関わらず求められる重要な義務と言えます。対象は、雇用するすべての従業員です。フルタイムで働く正社員だけでなく、年次有給休暇を比例付与されるパートタイム労働者やアルバイトなども含まれる点に注意が必要となります。
また、労働時間規制の対象外となる管理監督者であっても有休は付与されるため、有給休暇管理簿の作成対象として扱う仕組みになっています。企業は従業員ごとに帳簿を作成し、必要なときに確認・提示できる状態に整備しておかなければなりません。

監修者コメント
有給休暇管理簿を作成すべき対象従業員は、年5日取得義務の対象者に限られません。労働基準法第39条第5項から第7項の定めにより年次有給休暇を取得したすべての従業員について作成義務が生じます。なお、条文上は、基準日に有給休暇の権利が発生しただけでは作成義務がなく、従業員が年次有給休暇を取得した時点で初めて作成義務が課されるという解釈となりますが、企業における積極的な有給取得促進の観点からは、すべての従業員を有給休暇管理簿の作成対象とし、適切な管理・取得奨励を実施するのが望ましいと言えます。

年次有給休暇管理簿の法定保存期間

作成した有給休暇管理簿は、労働基準法に基づき一定期間の保存が義務付けられています。年次有給休暇を与えた期間中および、その期間の満了後5年間の保存が規定されています。ただし経過措置として、当分の間は3年間の保存で足りる運用となっています。
とはいえ、退職した従業員との間で過去の有休消化状況について労務トラブルが発生する可能性もゼロではありません。こうした事態に備え、実務上は原則通り5年間保存できる体制を整えておくことが望ましいと言えます。

有給休暇管理簿に記載すべき3つの必須項目

有給休暇管理簿を作成する際、法律で記載が義務付けられている項目が3つあります。フォーマットを作成する場合、これらの項目がひとつでも欠けていると法定要件を満たさないため注意が必要です。それぞれの項目が何を意味しているのかを正確に理解し、漏れのないように記録をつけます。

必須項目 意味と内容 記録の具体例
基準日 有給休暇を取得する権利が発生した日 2024年4月1日
日数 付与日数、及び実際に労働者が取得した有給休暇の日数 1日、0.5日(半休)
時季 有給休暇を取得した日付 2024年8月15日

有給休暇を付与した日を示す基準日

基準日とは、従業員に対して年次有給休暇の権利が法的に発生した日のことを指します。原則として雇入れの日から6ヶ月間継続して勤務し、全労働日の8割以上を出勤した日が最初の基準日となる仕組みです。その後は1年ごとに新たな基準日が到来し、有給休暇が付与されていきます。
中途採用や一斉付与のルールを設けている企業では、従業員ごとに基準日が異なるケースが多いため、正確に把握して記載しなければなりません。

【関連記事】年次有給休暇の「斉一的付与」とは?基準日の正しい変更手順・留意点を解説-労務ジャーナル

監修者コメント
基準日を全社統一とする場合、入社した年度には法定の付与日が、翌年度以降は全社統一の付与日がそれぞれ基準日となることが多く、結果的に1年間に基準日が2つ存在するケースがあります。この場合には、年次有給休暇管理簿上、2つの基準日を記載します。また、後述する「日数」としては、1つ目の基準日から2つ目の基準日の1年後までの期間における取得日数を記載します。その上で、2つの基準日を考慮した特例的な方法により年5日取得義務への対応を検証することが可能になります。


参考:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」9ページ目

労働者が取得した有給休暇の日数

日数に関しては、基準日から一年以内の期間に付与された、および当該期間中に実際に取得した有給休暇の数を記録していく項目となります。半日単位や時間単位で有給休暇の取得を認めている企業の場合は、それらの細かい取得分も正確に合算して記載することが求められます。
付与された総日数だけでなく、労働者が取得した日数を明確にすることで、各従業員の有休取得状況、対象者においては年5日の取得義務を達成できているかを簡単に確認できるようになります。

実際に有給休暇を取得した時季

時季とは、従業員が有給休暇を取得した日付のことです。有給休暇管理簿には、取得した年月日を漏れなく記載しておく必要があります。半日休暇や時間単位休暇を取得した場合も、その日付と時間帯を正確に記録します。
これによって、いつ有給休暇を利用したのかという履歴が可視化され、労使間での認識のズレを防ぐ効果が期待できるのです。

有給休暇管理簿の作成方法とフォーマット

法律上の必須記載項目を満たしていれば、有給休暇管理簿の作成方法は企業が自由に選ぶことができます。紙の帳簿やエクセルなど、どの方法を選ぶべきか迷ってしまいますよね。自社の従業員規模や労務管理の体制に合わせて、無理なく運用できる手段を見つけることが重要となります。

管理方法 コストの目安 運用上のメリット 想定されるデメリット
エクセル等 原則として無料 すぐに手軽な形で始められる ミスや管理の手間が発生しやすい
無料テンプレート 原則として無料 法定項目を網羅した表を利用できる カスタマイズ性が低く法改正への自動対応がない
勤怠システム 月額数百円〜 自動計算やアラート機能でミスを防げる 初期設定の手間やランニングコストが発生する

エクセルやスプレッドシートで自作するメリットと注意点

エクセルやスプレッドシートを利用して自作する方法は、追加の費用がかからず手軽に始められる点が大きなメリットと言えます。社内で使い慣れているツールであるため、操作を覚える負担も少なくて済むでしょう。
しかしながら、関数やシートの管理が複雑になる、入力ミスやファイルの破損といったトラブルが起こりやすくなる点に注意が必要です。
運用上、従業員ごとにシートを分ける、入力規則やプルダウンリストで入力ミスを防ぐ、定期的にバックアップを取る、法改正を確認し適切に反映するといった工夫が挙げられます。

厚生労働省が提供する無料テンプレートの活用

一からフォーマットを作成するのが難しい場合は、厚生労働省や各都道府県の労働局がウェブサイト上で公開している無料のテンプレートを活用する手段があります。
行政が提供しているひな形であるため、法律で求められる必須記載項目が網羅されており、そのまま実務で使い始めることが可能です。ただし、自社の就業規則や細かな運用ルールに合わせたカスタマイズには向かない場合があるため、状況に応じた使い分けが求められます。
また、ダウンロード以降の法改正に未対応である点にも注意が必要です。

勤怠管理システムや人事労務ソフトを導入する効果

従業員数が数十名以上の規模になってきた際には、クラウド型の勤怠管理システムや人事労務ソフトの導入を検討する企業が増えています。
システムを利用することで、基準日及び勤続期間に応じた付与日数の管理や有休残日数の計算が自動化され、人事担当者の業務負担の軽減が期待できます。
また、年5日取得義務の進捗管理を支援するアラート機能など、コンプライアンス面でも有用な機能を備えたサービスが多く提供されています。

【関連記事】【新機能】勤務実績(出勤率)に応じた有給休暇の自動付与機能をリリース│HRMOS勤怠-労務ジャーナル

有給休暇管理簿を正しく運用するための注意点

有給休暇管理簿の作成だけでなく、実際の運用においても気をつけるべきポイントがいくつか存在します。働き方の多様化により、雇用形態ごとの年次有給休暇の付与・取得ルールを理解しておくことが欠かせません。
誤った認識のまま管理を続けてしまうと、後になって重大な労務トラブルに発展する可能性もあるため、慎重に対応していく必要があります。

対象者の属性 年10日以上の有休付与の条件 管理簿の作成義務
正社員 入社半年後、出勤率8割以上を満たすこと あり
パート・アルバイト 週所定労働日数や勤続年数に応じて付与 あり

パートやアルバイト従業員の管理基準

パートタイムやアルバイトといった短時間労働者であっても、有給休暇管理簿の作成対象となります。週の勤務日数が4日以下の従業員の場合、年次有給休暇は比例付与となり、付与日数のカウントが複雑になりやすいため、慎重な確認を心がけることが大切です。

【関連記事】適切に付与できていますか?シフト勤務の場合の年次有給休暇付与日数の考え方-労務ジャーナル

労働基準法違反に伴う罰則規定とリスク

有給休暇管理簿の作成および保存の義務を怠った場合や、従業員に対して年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合、企業に対するペナルティが科される可能性があります。たとえば、年5日の取得(時季指定)義務(労働基準法第39条第7項)に違反した場合、対象労働者一人につき30万円以下の罰金が科されることがあります(労働基準法第120条)。
なお、有給休暇管理簿の作成・保存義務(労働基準法施行規則第24条の7)に対する労働基準法上の罰則規定は現状ありません。しかしながら、有給休暇管理簿は労働基準監督署の調査で確認される法定帳簿であり、未整備は是正指導の対象となるため、確実な作成・保存が必要です。

参考:厚生労働省「労働基準法第119条・第120条」
参考:e-Gov法令検索「労働基準法」
参考:e-Gov法令検索「労働基準法施行規則第24条の7」

企業の負担を減らす有給管理システムの選び方

これまでの解説の通り、エクセル等での有給休暇管理簿の作成には限界があり、中長期的な観点においては、システム化を進めることが業務効率化の鍵となります。しかし、市場には数多くのサービスが存在し、どのシステムが自社に合っているのか判断するのは難しいと思いませんか。
ここでは、自社に最適な有休管理システムを選ぶ際の基準や確認すべきポイントについて整理してお伝えします。

比較ポイント 確認すべき機能と具体的な内容 導入によって期待できる効果
法令対応 取得義務の未達警告や法改正のアップデート 罰則リスクの回避と労務管理の質向上
使いやすさ スマートフォンからの有休取得申請や残日数確認 申請漏れの防止と問い合わせ対応の削減
データ連携 給与計算ソフトやチャットツールとの接続 入力漏れや二重入力の排除と業務スピードの改善

アラート機能によるコンプライアンスの強化

有給休暇の管理でとくに神経を使うのが、年5日の取得義務への対応状況の確認です。優れた管理システムには、期限が迫っているにもかかわらず取得日数が不足している従業員を自動で抽出し、担当者や本人にアラートメールを送信する機能が備わっています。
この機能があることで、期末になって慌てて有給休暇を取得させるといった事態を防ぎ、計画的な取得を促す効果が期待できます。

従業員側の操作性と申請フローの改善

管理者側だけでなく、従業員本人がスムーズに利用できるかどうかもシステム選びの大事な要素となります。自身のスマートフォンから現在の有休残日数をいつでも確認でき、そのままシステム上で取得申請ができるサービスを選ぶと便利です。
紙の申請書につきもののハンコをもらう手間が省ける、社内全体のペーパーレス化が進む、労務担当者への残日数に関する問い合わせが減少するなどのメリットがあります。

給与計算や既存ソフトとのデータ連携

有給休暇の取得データは、毎月の給与計算にも直結する重要な情報です。そのため、現在社内で利用している給与計算ソフトや勤怠打刻ツールとスムーズにデータ連携できるシステムを選ぶことが推奨されます。
自動での連携やCSVファイルの出力に対応しているシステムであれば、手作業での転記ミスを減らし、給与締日前後に集中しがちな人事部門の業務負担の軽減につなげられます。

まとめ

この記事の要点をまとめます。

  • 有給休暇管理簿は対象従業員ごとに「基準日・日数・時季」の記載が法律で義務付けられている
  • 作成した有給休暇管理簿には法定の保存期間がある
  • エクセル管理は手軽な反面、人的ミスが発生しやすいため注意が必要となる
  • パートやアルバイトも有休管理の対象となる他、年5日取得義務違反時には労働基準法上の罰則が存在する
  • 担当者の負担軽減と法令遵守の両立には、システムを用いた有休管理が推奨される

適切な有休管理の仕組みを構築し、コンプライアンスの徹底、働きやすい職場環境の整備につなげていきましょう。

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HM人事労務コンサルティング 代表 社会保険労務士 丸山博美

監修者

HM人事労務コンサルティング 代表 社会保険労務士 丸山博美

起業したての小さな会社支援を得意とする社労士事務所、HM人事労務コンサルティング代表・丸山と申します。 創業当初の事業主様に不足しがちな「経験」「人脈」「知識」を、 社会保険労務士という立場からサポートいたします。
労務関連の手続きやご相談、就業規則作成、助成金申請・・・等々、どんなことでもお気軽にご相談ください!東京はもちろん、日本全国からのご依頼に対応させていただきます。

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