内定辞退を防ぐ「仕組みづくり」を4つのステップで解説

人材不足による売り手市場のなか、採用活動において深刻化する「内定辞退」問題。企業が一方的に求職者を選ぶ時代から、求職者側も企業を厳しく評価して選ぶ時代になっています。一度、求職者の希望やイメージと異なると判断されれば、例え選考の途中であっても、求職者は辞退していきます。この「辞退」は今や6割を超えるともいわれ、新卒・中途を問わず採用活動を取り巻く内定辞退の問題は深刻化しています。

こうした状況で闇雲に候補者を引き止める施策を実施しても、内定辞退を防ぐことはできません。そこで、本記事ではビズリーチ社の事例をもとに内定辞退を防ぐためにはどうすればよいかを、4つのステップにわけて解説していきます。

1.面接官の役割を4つに分担し、対応の質を高める

内定辞退の問題の本質は、選考段階にあると言っても過言ではありません。選考プロセスの初期段階から、候補者との関係性をつくり、入社意欲を高めていくことが大切です。面接官は、いわゆるエース級の社員を選定するのが望ましいですが、すべての面接にアサインすることは難しいのが現実です。そこで、書類選考で候補者の能力を的確に判断し、候補者の状況や志向性に応じた面接官をアサインすることで、面接での対応の質を高めます。アサインすべき人材とその役割は、以下の4つです。

フォロワー

「2対多(候補者とフォロワーの2人に対しそれに対する複数の自社メンバー)」の構造になるよう、採用プロセスを通して候補者の味方に徹し相談に乗るなどフォローを行う役割。採用の窓口となる人事担当者、リクルーター、現場メンバーなどが担うのが一般的。

モチベーター

候補者の入社意欲を高めて志望動機をつくる役割。最初の面接を行う存在であり、候補者が描いている未来像を察し、志望動機の形成を行える人が望ましい。

インパクター

候補者に気づきを与えて、自社を印象づける役割。「一緒に働きたい」と思わせるような優秀な社員や、部長・役員クラスが適任。自社で働く覚悟を問い、次のクローザーへつなげる役割も担う。

クローザー

営業におけるクロージングと同じく、候補者に入社を決断させる最終面接官の役割。決断を迫り、内定の承諾、入社へと導く。一般的には社長や役員が担う。

これら4つの役割で、事前に面接官と担当者の配役を決め、採用プロセスのはじまりから入社までのシナリオを設計しておきます。これらすべての役割を1人で果たし、候補者の入社意欲を最後まで高めつづけるのは困難ですが、与えられた役割に特化した最適な人材をアサインすることで、無理なく行うことが可能となります。

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2.面接・面談を見える化して共有・標準化する

面接において、面接官個人の感覚に頼る属人的な選考では、再現性に乏しく、面接や面談の質にバラつきが生じてしまいます。また、誤った見極めにつながり、結果として優秀な人材を逃してしまったり、入社後にミスマッチが起きてしまったりします。こうした面接の属人化による弊害を避けるためには、組織・チームとして自社の面接を管理し、面接方法を統一・標準化することが重要です。実際に、採用管理システムを活用した、面接方法を統一・標準化する方法をいくつかご紹介します。

①評価シートを職種ごとに細かく設定し、質問内容を標準化する

面接では、面接官ごとに確認するポイントがずれていることも多いものです。「何をどの程度の粒度で見ないといけないか」をあらかじめ項目立てて整理し、面接時の評価シートに盛り込むことが大切です。実践した面接を組織・チームで、正確かつ容易に振り返りやすくするため、ツールなどを導入しデジタル上で管理するのが良いでしょう。

②面接官の採用力を「見える化」し、辞退の要因を探る

採用管理システムは、面接官の採用力を「見える化」するのに有効です。その面接官が関わった候補者の内定承諾率の低さ・内定辞退率の高さなどを可視化することにより、面接官の能力を把握し、具体的な指導や研修の実施・面接の質の改善に結びつけることが可能になります。内定承諾率の低い面接官をアサインする際には、内定承諾率の高い面接官に同席してもらい、内定承諾率を下げる要因に関するフィードバックを得て、改善につなげるなどの対策ができます。

③面接官ごとの評価傾向を「見える化」し、評価のムラをなくす

面接を標準化するためには、面接官ごとの評価傾向を「見える化」することも大切です。「面接の評価が厳しくて、良い人材もなかなか次の選考に進まない」「あまり自社にマッチしていない人材でも合格にする傾向が強い」など、面接官ごとの評価の傾向を感覚値ではなく、定量的な数値で明確に理解することで、内定辞退の防止に向けたより具体的な対策を検討することが可能になります。

3.煩雑な業務を解消し、対応スピードを加速する

面接・内定の辞退を減らすためには、採用企業の対応スピードも重要になってきます。候補者からの辞退理由として、「他社での選考が通過した・内定が決まった」というものが多いことからも明らかです。しかし、候補者を正確に見極めるためには、面談や面接の日程調整や選考結果の連絡など多くのやりとりが必要であることも事実です。そこで、採用管理システムを活用することで、煩雑なオペレーション業務を削減することが可能となり、候補者への対応スピードを高めることができます。

例えば、一度の面接に複数の面接官が入るケースでは、面接官への共有事項をあらかじめまとめる必要がある上、面接実施後にフィードバックの記入が完了した面接官・完了していない面接官が混在することも珍しくありません。また、一般的に面接は一次・二次・三次とそれぞれ異なる面接官によって行われますが、その場合は面接の度にフィードバックに関するやりとりが行われることになります。そのほかにも、選考に関する多様な情報のやりとりにかかる、採用担当者の負担は膨大なものです。これらをメールや電話で行うのでは、他社に選考スピードで負けてしまうことにつながるだけでなく、作業工程にミスが生じる懸念もあります。

また、情報不足・伝達の誤りによって起こるトラブルや、情報共有不足から面接官によって話が食い違うなどの事態は、候補者の不安や企業へ不信感につながり、内定辞退の原因となります。採用管理システムを活用し、採用関係者とのやりとりで生じるタイムロスをなくし、採用担当者と面接官との間でリアルタイムでの情報共有の仕組みを構築することで、候補者一人ひとりに応じた正確かつスピーディーな対応をし、候補者からの印象アップ・入社意欲の向上につなげましょう。

4.辞退要因を正確に把握。分析し、改善する

内定辞退の防止策を行う際は、辞退の理由や、それを引き起こした自社の問題点を正確に把握し、改善していくことが重要です。そのためには、内定辞退に至った候補者たちから伝えられた理由だけでなく、適性検査や面接、採用活動の過程で得た情報、内定者とのメールや電話などのコミュニケーション履歴など、さまざまなデータを総合的に分析する必要があります。採用管理システムを活用すれば、あらゆる情報を一元管理し、多様なデータを分析しやすい形で保存・管理・活用できる仕組みを構築することが可能です。

蓄積されたデータをもとに、効率的かつ多角的に内定辞退者を分析し、内定辞退の原因を適切に把握することで、一人ひとりの候補者に合った確度の高い動機付けの方法や、対策を練ることができるようになります。

多くの企業が頭を悩ませている「内定辞退」は、データに基づいた「仕組み」を構築することで防ぐことが可能です。そのためには、テクノロジーを活用し、採用担当者の負荷を抑えながらも、組織・チームとして精度の高い採用を再現性のある形で実現することが大切です。採用力の強化と効率化を両立し、優秀な人材を確実に入社へと導きましょう。

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