ダニングクルーガー効果とは?職場にもたらす弊害や対処方法を解説

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人はさまざまな心理現象により活動しています。成長や人間関係の構築において、弊害となりがちな心理現象が認知バイアスです。その中でも、とりわけ組織に影響を与えやすいものに「ダニングクルーガー効果」があります。自社に、この効果が発現している社員がいる場合、トラブルの原因となりかねないため注意が必要です。本記事では、ダニングクルーガー効果が職場にもたらす弊害や原因、対処方法などを解説します。

ダニングクルーガー効果とは

まずは、ダニングクルーガー効果の基礎知識を押さえておきましょう。名称の由来や、一緒に語られることの多い別の心理傾向である「インポスター症候群」とともに解説します。

ダニングクルーガー効果の定義

人は、往々にして認知バイアスに支配されてしまいがちです。個々の判断はときに固定観念や先入観により決定されるものの、その判断が誤っていたり大きな問題を引き起こしたりしてしまうケースも少なくありません。このときの、非合理的な判断をくだしてしまう心理現象が認知バイアスです。「ダニングクルーガー効果」は認知バイアスの一種であり、特に優れているわけではないにもかかわらず、実際よりも自己を優秀であると認識してしまう心理現象を指します。つまり、自身を過大評価してしまう現象です。仕事の能力だけではなく、容姿や知識、振る舞いなど、さまざまな点において自己評価が周囲からの評価よりも高ければダニングクルーガー効果に当てはまるとされます。

ダニンググルーガー効果の名称の由来

ダニングクルーガー効果の名称は、心理学者であるデイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーに由来します。2人は、学生に複数の筆記試験を受けてもらい、各々に得点や他の被験者と比較した際の順位の予測をしてもらうといった内容の実験を行いました。試験の内容は「ユーモア」「論理的思考」「英文法」の3つです。結果、得点や順位の低い学生ほど自己評価が高く、実際よりも高い得点や順位を予想する現象が確認されました。同時に、得点や順位の高い学生ほど自己評価が低く、実際よりも低い得点や順位を予想する現象も確認されています。この実験結果をもとにまとめられた論文は1999年に発表され、2000年にはイグノーベル賞を受賞。その後、ダニングクルーガー効果が企業の社員育成に役立てられるのではないかと、注目を浴び始めることになります。

ダニンググルーガー効果とインポスター症候群との関係

デイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーの実験で注目したいのは、いわゆるダニングクルーガー効果とは異なる現象です。実際はよい得点と順位であるものの予想はそうではなく、自己評価を低く見積もっている学生も多く確認されたことに触れました。これも心理現象の一つであり「インポスター症候群」と呼ばれています。いわゆる、自身を過小評価してしまう現象です。企業が人材の採用や社員の育成を試みる際には、ダニングクルーガー効果と同様にインポスター症候群についての理解も深める必要があります。どちらも正しく認識できなければ、優秀な人材の確保や育成に失敗する恐れが生じるためです。

ダニングクルーガー効果への理解が重要な理由

企業に属する社員にも、それぞれ性格や価値観があります。多様性を重視する社会となってきている以上、組織としては、それらを受け入れるのも重要でしょう。しかし、ダニングクルーガー効果をはじめとした認知バイアスについては、企業の人事担当者やチームリーダーなどが理解を深める必要があります。適切に対処しなければ、企業に悪影響を及ぼすリスクが高まるためです。特に、ダニングクルーガー効果はトラブルの元となりかねません。能力はさほど高くはないにもかかわらず自己評価の高い社員が多数おり、その程度が著しい場合、意識や行動と成果との間に乖離が生じてしまいます。結果的に、組織の一体感の乱れへとつながります。

また、インポスター症候群にも注意が必要です。自己評価の低い社員がいれば、ポテンシャルが発揮されない可能性があります。そのような社員にも給与を支払っている以上、企業にとっては負担となってしまうでしょう。社員の育成とともに、もともと持っている能力を引き出すことも人事やリーダーの重要な役割です。チームワークを重視する企業であるほど、心理現象への理解や対処をおろそかにはできません。

また、認知バイアスへの理解は採用にも影響を与えます。実際どのような心理傾向であるのかは、採用の段階では完全には掴めないでしょう。しかし、面接などを通じてある程度の把握は可能です。ダニングクルーガー効果やインポスター症候群の知識があれば、その点にも考慮しつつ採用の可否が判断できます。心理傾向が偏っている人材の採用の見送りもしやすくなります。労働力不足が叫ばれる中で、採用の失敗は極力避けなければいけません。各心理現象への理解を深めることにより、優秀な人材の獲得にもつなげられるでしょう。

ダニングクルーガー効果の職場への弊害

ここでは、ダニングクルーガー効果の弊害を解説します。心理現象のため一般的には個人への弊害が生じますが、放置してしまうと企業にも悪影響が及ぶでしょう。社員の抱えるリスクは、やがて企業にも弊害をもたらすと認識する必要があります。

1.過大評価が助長される

すでに過大評価となってしまっている人の心理傾向が、さらに助長される可能性があります。自己評価が高まるほど、実態とはギャップが開いてしまうでしょう。この現象は、企業にとってもデメリットとなりえます。社員自身は仕事ができると認識しているにもかかわらず、周囲からの評価が伴わないためです。例えば、待遇面で不満を訴える社員が出かねません。過大評価が助長された結果、不満が募ることにより離職してしまうリスクも生じます。

2.成長のきっかけを逸してしまう

企業の成長に社員の成長は不可欠です。ダニングクルーガー効果の起こっている社員は、その成長のきっかけを逸してしまう恐れがあります。自分は仕事ができると認識している状態では、わざわざ成長の機会を求めない人もいるためです。成長意欲は、自分の足りないところや課題などの認識から生まれます。自己評価が実態以上に高い場合、自分の欠点が見えづらく成長意欲が湧いて出てきません。成長を続けているとの誤解にもつながるため、若いときに吸収しなければならないことも認識できないままとなってしまうでしょう。

3.知識や技術が不足する

成長できないということは、やがて知識や技術が業務に追いつかなくなることを意味します。入社から何十年も同じ業務を続けるケースは多くはありません。どのような業界や職種でも、一般的には年齢が上がるにつれ新たな役職が与えられ業務内容も変化します。それに伴い知識や技術も身につけられていきますが、自己を過大評価する傾向の強い社員に関しては、そうはなりづらいでしょう。企業にとって、年齢を重ねても知識や技術が乏しいままの社員には価値を見出せません。回収できないコストとなり、大きな負担となるリスクが生じます。

4.他者への評価を誤る

自己評価は、他者との比較で作られる側面があります。自己評価を誤ることは、他者への評価を誤ることにもつながります。他者への評価が正当に行えない人は、特に重要なポジションにはつけられないでしょう。組織全体が正しい評価を行えなくなる恐れが生じるためです。また、部下にダニングクルーガー効果がみられ、その人が上司に対し誤った評価をしてしまうと、信頼関係を崩してしまう危険があります。部下が勝手な行動をとり、それも含め上司に評価されないと認識すれば、やはり離職してしまう可能性が出てくるため注意が必要です。

5.騙されやすくなる

自己を過大評価してしまう人は、何に対してもガードが緩くなりがちです。特に詐欺被害に遭いやすい傾向があります。優れている自分が他人から騙されるとは想定できないためです。社員が大きな詐欺被害に遭えば、たとえプライベートの出来事であったとしても、企業にとっても無関係のままとはならないでしょう。それが原因で退職したり、加害者によっては企業にも接触してきたりする恐れがあります。また、取引先に過剰に有利な契約を結ばされてしまうなどのリスクも高まります。

6.適切な対処が困難となる

ダニングクルーガー効果により、自らの考え方や行動が正しいと思いがちな人は、困難に直面した際の対応があまり上手にできない傾向もあります。自分の中にある認識と現実とのギャップに困惑してしまうためです。妥当な自己評価ができる人にとっては、努力によって乗り越えられそうな壁にすぎません。しかし、自己を過大評価している人にとっては、乗り越えるのが不可能に思えるほど非常に大きな壁に見えてしまうケースがあります。現実を受け入れられなければ、困難への適切な対処ができなくなって当然です。

7.他責の傾向が強まる

ダニングクルーガー効果は、他責の傾向を強める危険もはらんでいます。特に、チームでプロジェクトを遂行している際には、その傾向が顕著になりがちです。会議がまとまらない、商品の売上が芳しくない、自分の提案が受け入れられないなどがあった際に、他の社員に原因があると捉えてしまいます。自己への評価が高いため、自分に欠点や問題点はないと信じて疑わないためです。相対的に他者の能力が低いと思い込めば、他責による自己防衛に走ってしまいかねません。

8.高圧的な態度へとつながる

他の社員を正しく評価せず他責傾向が強まり、他の社員にストレスを感じてしまえば、高圧的な態度へとつながりかねません。組織において、特に経営者やチームリーダー、マネージャーなどにダニングクルーガー効果の傾向があると、部下に対してそうした態度をとってしまうケースがあります。部下の上司への信頼感が薄れてしまう原因にもなりえます。指揮系統の乱れにもつながり、組織全体に悪影響を及ぼすリスクが高まるでしょう。

9.コミュニケーションに問題が生じる

他者への評価の誤りや他責傾向、高圧的な態度などは、コミュニケーションの問題へと発展します。自分以外に問題の原因があると認識する人は、そもそも他者の声に耳を傾けないでしょう。他者への理解が進まず、コミュニケーションも図られません。本人はコミュニケーションを図っていると勘違いするケースも生じます。一方的に自らの意見を述べているにすぎないにもかかわらずです。結果的に組織の和の乱れへとつながってしまうでしょう。

10.無理な仕事を引き受けてしまう

自分の能力やキャパシティが実際よりも高く大きいと勘違いしてしまうダニングクルーガー効果により、それらを大幅に超える仕事を引き受けてしまうケースもあります。マネージャーなどが信頼して任せた仕事でも、結果的に納期が遅れたり一定の水準に満たない仕上がりになったりする結果に終わりかねません。取引先との契約も同様です。無理な仕事を疑問もなく引き受け、その後トラブルが生じると、周囲のモチベーションも下がってしまいます。重要な仕事も任せられなくなるでしょう。

11.意欲の低下へとつながる

ダニングクルーガー効果は自信にもつながりますが、場合によってはモチベーションの低下につながる恐れもあります。学生時代に自信をつけ就職した人や、前職で結果を出したと認識し転職した人にしばしばみられます。また、前職で評価されなかったことに疑問を持ち転職した第二新卒者も含め、比較的若い人を襲いがちな問題です。本人は努力をしているつもりであり、また、仕事もこなしているつもりでも、データ上の結果や上司からの評価へと反映されなければ、徐々に疑問を持ち始めるでしょう。その状態が続くと、疑問が不満へと変わることがあります。原因が明確に認識できなければ、正当な評価を受けていないと誤った認識へとつながり、結果的にモチベーションの低下を招きかねません。

ダニングクルーガー効果が生じる原因

ここでは、自身を過大評価してしまいやすい人の特徴と絡めながら、ダニングクルーガー効果が生じる原因を解説します。

1.自己を客観視できていない

自分自身の評価を見誤ってしまうのは、自己を客観視できていないことに起因します。誰しもが「自分はこういう人間である」といった認識は持っているものです。しかし、主観に頼った認識は現実とのギャップを生み出すことがしばしばあります。ダニングクルーガー効果は、その主観に支配され自分自身を作り上げてしまう点に原因の根本があります。

2.正しいフィードバックが受けられていない

多くの組織では、何か行動を起こしたり業務をこなしたりした社員にはフィードバックが与えられます。評価やアドバイス、課題の発見や改善点の提案などを上司を中心とした他者から受けられるフィードバックですが、これが正常に働かないことが原因のケースも少なくありません。あるいは、本人がフィードバックを拒絶している可能性もあります。評価やアドバイスを受け入れなければ、ダニングクルーガー効果はさらに強まってしまうでしょう。

3.新たなことに挑戦していない

多くの人は、挑戦により成長します。ダニングクルーガー効果が生じている人が、必ずしも挑戦していないとは限りません。しかし、挑戦の少なさが認知バイアスを作り上げているケースが大半です。大きな挑戦や未知の挑戦を無意識に避けている可能性もあります。失敗体験が少なければ、自分の能力を過剰に見積もってしまうのも無理はないでしょう。社会において、あるいは組織において、挑戦する必要のない環境に居続けてきたことが、自己を過大評価してしまう人を作り上げている可能性があります。

4.原因の分析や追究をしていない

業務を単なる作業と捉え、それが終了すればよいという考え方がダニングクルーガー効果を生じさせているケースがあります。作業をこなして終了とすれば、その作業の末の結果を生み出した原因や経緯へ意識が向けられず、それらの分析・追求もできません。表面的な評価のみを追い求めることにもなり、本質を探る習慣や能力が身につかないといった弊害が生じます。結果的に、成果が出れば自分の手柄とし、成果が出なければ他者の責任であると、正当な評価ができない思考となってしまいます。

5.偶然が重なり成功してしまう

成功体験は成長するうえで重要な役割を果たします。しかし、これまでの人生で容易に成功や成果を手に入れられた人は、ダニングクルーガー効果が過剰に働いてしまう可能性があります。ダニングクルーガー効果へとつながるのは、主に偶然や運が重なり成功してしまった人です。業績や成果、収入は周囲や時代の変化、社会情勢の影響も受けます。にもかかわらず、すべてが自分の能力や努力によるものと勘違いしてしまうと、過剰な過大評価へとつながってしまうでしょう。短期間で成果が出る経験を何度もしている人にも同様の傾向がみられます。

ダニングクルーガー効果のメリット

ダニングクルーガー効果は負の側面にフォーカスされがちですが、メリットもあります。また、活用次第では企業に恩恵をもたらす可能性もあるでしょう。ここでは、ダニングクルーガー効果をあえて好意的に捉えながら、組織のまとめ役となる人物が業務の割り当てや育成をする際に意識したいポイントをまとめます。

1.自信を持って行動できる

ダニングクルーガー効果の最大の特徴は、強固で揺るがない自信を持てる点にあります。その自信により、積極的な行動へと出られる人も少なくありません。例えば、営業職では自信を持って自社商品を取引先や消費者へとアピールできるでしょう。行動範囲も広げられ、新規顧客の開拓にもよい影響を及ぼすことが期待できます。自身の腕やアイデアに疑問を持たないため、技術職やクリエイティブ系の職種においても素早く作業をこなせます。人脈を築くための行動に出やすい点もメリットです。結果的に信頼を勝ち得るかは別として、人脈を築くきっかけ作りに長けている人が多いことは間違いありません。

2.大きなことに挑戦できる

積極的な行動の中でも、とりわけ大きなことに挑戦できる傾向もあります。大きな挑戦となるほど、根拠のない自信が欠かせません。ダニングクルーガー効果が顕著であれば、自分の身の丈に合わないほどの挑戦をする人も出てくるでしょう。もちろん、失敗に終わる可能性の方が高いといえます。ただ、管理者やプロジェクトによっては、失敗を恐れて挑戦しない社員より、大きなことに挑戦する社員が重宝されるケースも少なくありません。適切な業務や役職を任せられれば、組織にもよい影響を与えてくれる可能性を秘めています。

3.反面教師として活用できる

ダニングクルーガー効果の弊害に目を向けることで、反面教師としての活用が可能です。マネージャーなどは、それら弊害の実例をまとめ社員の育成にも活用できます。周囲に自己を過大評価している人がいれば、マネージャー自身が反面教師として取り入れるのもよいでしょう。自己を正しく省みるためのツールとして上手に用いることで成長へとつなげられます。マネージャーの経験や成長は、結果的に社員の成長にも寄与します。

ダニングクルーガー効果の対処方法

メリットもあるとはいえ、ダニングクルーガー効果はやはり多くの弊害を個人や組織にもたらすものです。ここでは、ダニングクルーガー効果の回避や、その効果の傾向が強まってしまった際の対処法などを解説します。

1.ダニングクルーガー効果を認知する

まずは、ダニングクルーガー効果の認知が重要です。その存在や効果、原因、それによる弊害に関する知識がなければ対策や改善のしようがありません。同じ組織内に自己を過大評価する人がいた際、距離をとって被害が及ばないようにするだけでは組織の活性化にはつながらないでしょう。ダニングクルーガー効果の知識があれば、単に異動させて解決しようとしたり改善を諦めたりする必要もなくなります。まずはマネージャーなど管理者が知識を蓄え、それをもとに回避や改善に役立つ環境の整備へ動き出す必要があります。また、研修などにも取り込みながら、組織全体で認知バイアスについての知識を共有する働きかけも重要です。

2.ダニングクルーガー効果の原因を探る

ダニングクルーガー効果が表れてしまったり強まってしまったりする原因には個人差があります。その傾向がみられる社員が組織内にいたら、何が根本的な原因となっているのかを探りましょう。原因に合った対処法をとることで改善が期待できます。また、その原因が組織内にあった場合は、制度や環境を見直し原因を取り除くことで自己を過大評価してしまう新たな社員の出現の回避が可能です。

3.失敗を経験する

失敗の経験は、自身を正当に評価するための重要なきっかけとなります。認知バイアスを学び、自分自身にダニングクルーガー効果が生じているのではないかと少しでも疑ったら、あえて失敗を経験しましょう。組織としてダニングクルーガー効果を抑止したいのであれば、社員に多くの失敗を経験してもらうシステムや環境を用意します。ただし、この方法には注意点もあります。失敗を成長の糧であると、誰しもがポジティブに認識できるとは限らない点です。失敗がモチベーションの低下をもたらし、メンタルの不調や退職へとつながるリスクも生じさせかねません。社員に対するフォローを徹底し、必要に応じて適切な説明も組み込みながら環境を整備する必要があります。

4.多くの人や環境に接する機会を設ける

より多くの人と接する環境や機会を設けることも、ダニングクルーガー効果の回避や改善に役立ちます。自信過剰な人は、井の中の蛙となっているケースが少なくありません。多くの人と接することで、いかに自分が思い上がっていたのかを認識する人もいます。自身よりも優れた人の存在を認識できれば、自己評価を見直したり成長意欲が増したりする効果が得られるでしょう。

5.数値化や言語化を習慣化する

ダニングクルーガー効果は、根拠のない自信を生み出します。業務における成績や成果、目標やプロセスなどを数値化および言語化することで、客観的な視点が生まれやすくなります。疑いもせず抱いていた自信に、実は根拠がなかったことも認識しやすいでしょう。よい成績を残していたと確信していたものの、数値化してみるとさらに優れた社員が他にいると気づくことも多々あります。また、効率の悪さが数字として確認できるケースもあります。数値化や言語化が、ひいては自身を客観視する習慣が身につけば、徐々にダニングクルーガー効果の改善が可能です。

ダニングクルーガー効果への対策を実施する際の注意点

組織としてのダニングクルーガー効果への対策の実施は非常に重要です。どのような組織でも、多かれ少なかれ自己を過大評価している社員を抱えているでしょう。そのような人たちの改善を試みたり、新たなダニングクルーガー効果を持つ人が生まれないよう対策を実施したりする際には、特定の社員に対する配慮が求められます。

特に、育成に取り入れる際には注意が必要です。個人名を出し、認知バイアスがかかっていると指摘してはいけません。また、本人に直接伝えることも避けましょう。心理状態は、本人が気づくからこそ適切な改善へと向かえます。強引に変えさせるものでもありません。健全な組織とするためには、ある程度の時間や手間をかけながら改善させる手法を取り入れる必要があります。

ダニングクルーガー効果の知識を持ち、原因を知ることが改善への第一歩

認知バイアスの一種である「ダニングクルーガー効果」。実際よりも能力が高い、容姿がよい、正しい価値観を持っているといった過大評価をしてしまう心理傾向です。社員にその傾向がみられると、組織にも悪影響を及ぼしかねません。育成や採用の段階での対処が求められます。その際には、管理者がこの効果の知識を深めている必要もあります。得た知識を活かしながら対策や改善方法を練り、円滑な組織運営を目指しましょう。