採用で本当に大切なのは、ビジョンの相互マッチング【株式会社 グッド・クルー】

企業が採用活動をしていくなかで頭を悩ませる、内定辞退。内定辞退を見越した「量」重視の採用活動を脱却し、「質」の高い採用活動を実現するためには、どこに焦点をあてればいいのでしょうか。今回は、学生と企業それぞれのビジョンに着目して高い内定承諾率につなげることに成功し、2020年度のHR SUCCESS SUMMITアワード*を受賞されたグッド・クルー様にその採用活動の内容について伺いました。

*HR SUCCESS SUMMITアワード…即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」、採用クラウド「HRMOS(ハーモス)採用」の利用企業の中から、企業成長のために人事・採用を変革させ、先進的な取り組みを行った企業を表彰するアワード。

企業紹介

株式会社 グッド・クルー

事業概要:人財サービス事業全般(人財アウトソーシング・紹介・開発・育成・研修)
     セールスプロモーションの企画・制作・運営・レンタル事業

従業員数:437名(2019年5月末時点)

学生と徹底的に向き合う姿勢で、内定承諾率90%を実現

ー2021年卒の新卒採用では、非常に高い内定承諾率だったということですが、どのような採用活動を行われたのか、教えてください。

新型コロナウイルス感染症の影響もあり、21年卒の新卒採用は、オンラインでの採用活動に完全移行しました。ただ、学生の皆様とのコミュニケーションの取り方やスタンスは、これまでと変わっていません。弊社では、履歴書で人柄やカルチャーフィットは判断できないという理由から、書類選考は行わず、面接に時間をかけています。1次面接に来る学生は自分の意見を持ち、発信できる方がほとんどなので、説明会の時点である程度スクリーニングができているのだと思います。結果として、関西の新卒採用では1次面接で約300人の学生と会い、計3回の面接を経て52名を内定とし、うち49人が内定承諾に至りました。

「ビジョン」のマッチングのためには、時間を惜しまない

ー実際に、面接や選考の現場では、どのような工夫をされているのでしょうか?

まず、企業説明会では、学生自身が「自分は何をしたいのか」を考えて企業選びや情報収集をしているかに注目しています。就職活動をスタートした時点では、まだ自分の将来や目標設定ができていない学生もいるので、学生みずから考えられるように問いを投げかけ、気づきを与えるようにしています。極端な表現をすると、「弊社のビジョンに共感する学生だけに応募してほしい」ため、一方的に魅力を語ることはしません。グッド・クルーでは、みずから手を挙げて提案したメンバーにどんどんチャンスを与えます。一方で、会社が与えた仕事をコツコツ進めていればスキルやキャリアを積むことができると思っているタイプの方には、厳しいカルチャーだと思います。これから入社する学生にも、チャレンジしたいことがあれば仕事を任せ、事業をドライブさせていく即戦力としての活躍を期待しています。そのためにも、まずは自らの意思で納得して応募していただく、このスタートラインが重要だと考えています。

面接では「学生が企業に合うか」ではなく、「学生のビジョンに対して自社が合わせることができるか」を確認するため、1回の面接を約2時間と長く設けています。例えば、「外国籍の方の就労支援をしたい」という学生がいたら、それを実現できるかを一緒に考え、もし弊社で叶えられそうになければ、その学生のパフォーマンスを最大化できないことになるので、お互いのためにも、選考はそこで終わりになります。また、ある程度ビジョンがすり合っている方でも、選考期間を数カ月かけることもあります。その場合「いろいろな企業を見たうえで、本当にグッド・クルーで働きたいか、自分がやりたいことがここにあるのかを考えてみてほしい」と伝え、1次面接と2次面接の間に意図的に2カ月ほど時間をおくこともあります。そのため、選考途中での離脱は多いかもしれませんが、ビジョンのマッチングが叶わないのに採用することは、学生にとっても会社にとっても遅かれ早かれ良い結果にはならないと考えています。

そういった、ある種非効率的な採用活動をしているため、学生一人ひとりの情報がとても重要になってきます。そこで、学生とのログを残すためのツールとしてHRMOS採用を活用し、面接や電話、メールのやりとりなどをすべてメモしています。面接と面接の間が数カ月空くことがあっても、メモを見直すことで「2カ月前はこういう話をしていたね」と学生に伝えることができ、信頼感にもつながります。さらに、入社後も一人ひとりの経験や成長を記録して残しつづけるため、いわばその方の「ライフログ」にもなりますし、育成方針を示すうえでも、重要な情報になります。採用のゴールは「入社後の活躍」にあるので、学生のパフォーマンスを最大化するためには、選考の段階から入社後にいたるまで、その人がどう変化し、活躍しているかまで把握しなければ意味がないと考えています。

「質」の高いマッチングは、全員の人生を豊かにできる

ー最後に、新卒採用における今後の展望、考えをお聞かせください。

私たちは新卒採用市場の変化に対応しながら、今後も学生とのマッチングの「質」を追求していきたいと思います。採用活動において、リスクヘッジとして離職ありきで内定や採用の人数を確保すべきではないと思っています。辞めてしまう学生の気持ちを考えることを、何よりも優先すべきだと思います。だからこそ、動機づけのために自社を過大評価することもなければ、マイナス部分もフラットに伝えます。採用の仕事は「全員を成長させることはできないけれど、全員の人生を豊かにすることはできるもの」だと思っています。学生の皆様には、就職活動という貴重な経験を通じて、短い期間のなかでも一人ひとりが成長し、自分自身でこれから続くキャリアの軸をみつけてもらいたい。みずから考え、行動できる人材になってから、社会人になってほしいと思っています。

※企業情報などはインタビュー時点のものです