オンライン採用で候補者に「会社の魅力」を伝える方法

採用活動のオンライン化が進むなかで、候補者にオンライン上でどのように自社の魅力を伝えるかに課題を感じている採用担当者の方も多いのではないでしょうか。オンライン面接だけでは、面接官の人柄や会社の雰囲気などが伝わりにくい部分もあるため、候補者に伝える工夫も求められます。そこで、今回はオンラインでの採用活動に取り組むベルフェイス株式会社様に、オンライン採用で候補者に「会社の魅力」を伝える方法についてお伺いしました。ベルフェイス株式会社様の事例と採用をオンライン化するときのポイントについてご説明します。

ベルフェイス株式会社について

チームで売り上げを最大化する国内No.1(※)のオンライン営業システム「bellFace」の提供やインサイドセールスのコンサルティング、ビッグデータの解析及びコンサルティングも行い、セールス・顧客のサポート領域にテクノロジーを持ち込み、あらゆるビジネスの可能性を広げています。そして「勘と根性の営業をテクノロジーで解放し企業に新たなビジネス機会をもたらす」ことをミッションに、長年変わらないと考えられていた営業の領域において、ビッグデータを通じて、あらゆるビジネスの距離、スキルの壁をなくし変革する、急成長中のベンチャー企業です。

※電話とブラウザを組み合わせた遠隔営業システムにおいて「有料契約導入社数 No.1」「契約導入事業所数 No.1」 「契約導入ID数 No.1」「営業職が利用したことがあるシステム No.1」(ショッパーズアイ調査:2020年5月7日時点)

吉本猛氏

ベルフェイス株式会社
経営企画室 室⻑

福岡大学大学院を修了後、広告代理店に入社。2011年に株式会社ディーノシステムの代表だった中島(現・ベルフェイス株式会社代表取締役)のTwitterに返信したことをきっかけにディーノシステムに入社。急成長する同社の古参メンバーとして全国に60店舗・150名を拡大した代理店の研修、営業指導などのSV部門責任者や月500本の動画制作を行うチームの統括に従事。2015年に創業メンバーとしてベルフェイスにジョインし、セールス、CS、テクニカルサポート責任者、プロダクトマネージャーを経て、現在は経営企画室の室長として人事・広報の領域から組織作りに貢献。

オンラインでの採用活動に踏み切った理由

現在は最終選考まで全てをオンライン面接に切り替えましたが、オンライン化に踏み切った理由としては、①オンラインで自社の魅力を伝えることができること ②自社のバリューとして掲げる「カスタマーファースト」の2点があります。

①オンラインで自社の魅力を伝えることができる

1つ目は、オンラインでの選考であっても自社の魅力を問題なく伝えることができると判断したことです。元々オンラインでの営業活動を推進している会社なので、採用活動においてオンラインで候補者に自社の魅力を伝えるという点でも問題ないと思いました。

②自社のバリューとして掲げる「カスタマーファースト」

2つ目の理由としては、カスタマーファーストです。新型コロナウイルス感染症が拡大するなかで、弊社都合で候補者に来社いただくことは、自社のバリューである「カスタマーファースト」に反するのではないかと考えました。候補者にご来社の意思がある場合や、弊社としてオフィスの雰囲気を知ってもらいたい場合はオフライン対応をする方が良いと思っています。現在は最終面接やオファー面談も含めてオンラインで対応していますが、候補者の要望や場面に応じて使い分けています。

オンラインでの採用活動において工夫しているポイント

オンラインでの採用活動において工夫しているポイントとしては、
の3つがあります。それぞれの項目について、詳しくご説明します。

  1. オンライン説明会とオンライン面接独自の評価基準
  2. 候補者への質問の仕方
  3. 候補者に向けた事前情報の提供

の3つがあります。それぞれの項目について、詳しくご説明します。

1.オンライン説明会とオンライン面接独自の評価基準

オンライン説明会とオンライン面接独自の評価基準について、それぞれに判断のポイントを設定しています。オンライン説明会の際は説明を聞く態度、オンライン面接の際は、ITリテラシーチェックなど、それぞれでチェックするポイントを分けています。

オンライン説明会はおもにZoomウェビナーを用いて、2人体制で臨んでおり、1人はメインで話す講師、もう1人は候補者の聞く態度をチェックする担当という形にしています。オンライン説明会は参加場所が自宅であることや複数名が参加する場であることから、気が抜けやすい傾向があるため、そのような部分をチェックしています。具体的には、オンライン説明会中はカメラオンをお願いしているのにオフになってないか、説明を聞いている際の目線や姿勢はどうかなどです。

一方、オンライン面接では、ITリテラシーチェックの一環で、時間通りに正しく接続できているか、オンライン面接を受けている場所や、カメラに映った際に逆光になっていないかと配慮できているか、といったことも注意してチェックしています。また、候補者の表情や印象だけでなく、オンライン商談のツールを商材として扱っている企業ということもあり、オンラインでのコミュニケーションの違和感のなさを確認しています。

また、入社後のミスマッチを防ぐために、内定承諾前にはリファレンスチェック(中途採用を行う過程で、採用予定者や内定候補者の前職での勤務状況や人物などについて関係者に問い合わせること)をお願いしています。書かれている内容で判断するというよりは、前職の上司や同僚が引き受けてくださるか、リファレンスチェックをお願いした際にどのような反応をするか、リファレンスに誰を指名するのかをみています。

2.候補者への質問の仕方

2つ目の工夫としては、候補者への質問の仕方です。オンライン面接になり、面接官の中にも過去の面接での評価や応募書類を見ながら面接を行っている方も少なくないでしょう。お互いが事前情報を持っているという前提で、どのような質問をするかが重要になってきます。オンライン面接では事前に回答を準備して臨む候補者も多いと聞きますが、しっかりと事前に質問される項目を想定して回答を用意しているならそれは論理的思考力の高さとして評価して良いと思います。また、事前に回答を準備している場合は、違う角度から質問をすることで候補者の方の真意がみえてくると考えています。

3.候補者に向けた事前情報の提供

3つ目の候補者に向けた事前情報の提供に関しては、オンライン採用では「会社の雰囲気」や「社員の働く様子」を見ることができないため、候補者の方の不安を払拭する工夫が必要です。不安払拭のために、広報と協力しながら会社の様子をプロモーション動画として公開するなど、代表のインタビューだけでなく、会社の雰囲気や働く社員の様子まで、事前に候補者の方が見られるコンテンツを作成しています。面接の際には、資料と関連づけてトークスクリプトを用意しておくことで、面接官が自社の魅力を伝える上でロスや面接官の間での差が少なくなり、資料を用いて面接も行えるので、再現性が高い面接を実施できています。

オンラインでの採用活動により入社する社員へのフォローについて

弊社は早期から在宅勤務制度を導入しており、選考の際だけではなく内定後・入社後もオンラインによるコミュニケーションが増えています。

内定承諾後から入社までは、「エンプロイー・ジャーニーマップ」を活用し高頻度でコンタクトをとっています。内定承諾から入社までの約1ヶ月間の細やかな連絡とフォローは、他の設立5年程度のベンチャーでは類を見ないほど手厚く行っており、内定者の安心感の醸成につながっています。

入社後については、オンボーディングのための研修を行い、入社初日時点での配属先の教育担当者と引き合わせて相談できる体制をつくるだけでなく、入社1ヶ月後のフォロー面談や従業員サーベイ、ピアボーナスなどの仕組みも活用して、入社者が早く組織に馴染めるような取り組みも行っています。

採用活動のオンライン化に対応するために

今後のオンライン採用においては、「入社しないといけない理由」を作りにくい時代に適応していくことが重要です。従来の対面による面接では、面接官と候補者の双方がその場の熱量や雰囲気で入社を決める場面もあったでしょう。しかし、オンライン面接では、面接が終わった瞬間、候補者も面接官も現実に戻るため、冷静な状態になれます。そのため、これからの時代は、本質的な会社の魅力を訴求することが求められるようになり、社員全員が同じレベルでそれに取り組めるかが重要になってくるでしょう。