目次
メラビアンの法則は「第一印象は最初の3秒程度で決まる」「ひとは見た目が9割」などの根拠としてよく用いられますが、一部の解釈には誤解も見受けられます。
本記事では、メラビアンの法則の概要やよくある誤解を説明した後、日常生活やビジネスシーンにおけるメラビアンの法則の活用法や注意点を解説します。メラビアンの法則に惑わされすぎず、客観的な人事評価を行うために活用できるタレントマネジメントについてもあわせてご紹介するので、ぜひ活用してください。
メラビアンの法則とは
メラビアンの法則は、心理学者アルバート・メラビアンによって提唱された、対人コミュニケーションにおける情報伝達の影響力を数値化した理論です。この法則は、人間のコミュニケーションにおいて、言語情報よりも非言語情報の方が大きな影響力を持つことを示したものです。メラビアン教授は1960年代からコミュニケーションの研究を開始し、主要著書の『Silent Messages』を通してメラビアンの法則を提唱しました。
3Vの法則(7-38-55ルール)とは
メラビアンの法則は「3Vの法則」または「7-38-55ルール」とも呼ばれています。これは、コミュニケーションの効果が以下の3つの要素によって構成されるという考え方です。
- Verbal(言語情報):7%
- Vocal(聴覚情報):38%
- Visual(視覚情報):55%
3Vの法則によると、会話の内容(言語情報)よりも、話し方や声の大きさ(聴覚情報)や表情、姿勢、目線などの非言語的要素(視覚情報)の方が、コミュニケーションにおいて大きな影響力を持つとされています。
言語・非言語コミュニケーションの違い
メラビアンの法則では、コミュニケーションは言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションに大別されるといわれています。言語コミュニケーションとは、言葉を使って情報伝達を行うコミュニケーションで、「今週は仕事が忙しいですね」「今回のプロジェクトの成果は素晴らしいですね」など、具体的な事実を伝えやすい特徴があります。
一方、非言語的コミュニケーションとは身振り手振りのボディーランゲージや表情、声色、視線など、言葉に頼らないコミュニケーションを指します。言語が通じない外国の方とのやり取りの際にボディーランゲージが用いられるように、視覚と聴覚情報で感情を伝えることができます。また、非言語的コミュニケーションはしばしば無意識的に行われることも特徴です。
アルバート・メラビアンの実験
アルバート・メラビアンは、1960年代にコミュニケーションに関する実験を行い、メラビアンの法則を導き出しました。実験では、まず被験者に「好き」「嫌い」「普通」などの感情を表す言葉を、さまざまな声のトーンで読み上げさせて録音を行いました。次に「好き」「嫌い」「普通」などの感情を想起させる表情をした顔写真を用意して、録音した音声と顔写真の組み合わせを変えながら、聞き手に話者の感情を判断させました。
音声では「好き」という言葉を流しているにもかかわらず、顔写真では怒った表情が示されている場合、音声(聴覚情報)よりも顔写真(視覚情報)の方が影響度合いが高いと受け取ることが可能です。メラビアンはこの実験を通して、非言語的コミュニケーションの方が信頼性が高いことを示し、3Vの法則を導き出しました。
メラビアンの法則の具体例
メラビアンの法則は、言語情報と非言語情報が矛盾する場合に、特に顕著に表れます。言語・視覚・聴覚の要素が矛盾する具体例を紹介します。
笑顔で怒る場合
例えば、上司が部下に対して「度重なる遅刻は許せない」と言いながら、穏やかな声のトーンで笑顔のまま話すシーンを想像してみましょう。言語情報では怒りや不満を表現しているにもかかわらず、声のトーンは穏やかで、表情もにこやかだったとします。
この状況をメラビアンの法則に当てはめると、視覚情報の55%は笑顔で、穏やかな声の聴覚情報が38%、怒っている話の言語情報7%という内訳になります。つまり、部下は言葉の内容よりも上司の笑顔や穏やかな声色から93%の情報を受け取り、「上司はそんなに怒ってなさそうだな」と解釈する可能性が高いでしょう。
無表情で褒める場合
同僚が「今回のプロジェクトの成果物はとても素晴らしい」と言いながら、無表情で淡々とした声で、目を合わさずに話すシーンを想像してみましょう。言葉ではプロジェクトの成果をほめたたえていますが、目も合わさずに無表情で喜びの感情は見られず、声のトーンは低く単調だったとします。
これをメラビアンの法則に当てはめると、無表情で冷淡な視覚情報55%と淡々とした声の聴覚情報が38%、褒めている言語情報が7%となります。
すると、聞き手に与える印象は93%が冷淡で感情のこもっていない情報となるため、「同僚は私の成功を喜ばしく思っていないのではないか」「私の成果物は大したものではないと思っているのだろう」など、否定的にに受け取ってしまうでしょう。すなわち、コミュニケーションの際は言葉の内容だけでなく、表情や声色、話すときの態度を含めて非言語的コミュニケーションに注意を払う必要があるのです。
メラビアンの法則に関するよくある誤解
メラビアンの法則では、視覚情報と聴覚情報が優位になると証明されていますが、決して言語情報を軽視してよいという意味ではありません。メラビアンの法則に関する誤解を解説します。
ひとは見た目が9割
メラビアンの法則は、しばしば「ひとは見た目が9割」の根拠として引用されることがありますが、これは大きな誤解です。メラビアンの法則では言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%となっており、「見た目」だけで9割を占めているわけではありません。
また、これらの数値は特定の条件で行った実験結果であり、状況や個人差によっても異なります。そのため「ひとは見た目が9割」の根拠にメラビアンの法則が使われるのは過大解釈といえるでしょう。
言語情報を過小評価してはいけない
メラビアンの法則では言語情報の割合が低いものの、これを根拠として「言葉の内容を軽視してよい」とは言い難いでしょう。言語情報の影響が7%というのは、あくまでもメラビアンが行った実験結果の数値です。すべてのコミュニケーションにおいて、この数値が適用されるわけではなく、実際のコミュニケーションでは言語と非言語要素が複雑に絡み合い、相互に影響を与えます。また、専門的な議論や重要な情報伝達では、言葉の内容が極めて重要になることもあるでしょう。
加えて、非言語コミュニケーションの解釈は文化によって異なる場合があります。例えば、日本では中指と人差し指を使ったピースサインは平和や楽しさを表しますが、欧米では勝利(Victory)の意味にもとらえられ、複数の意味を持つ場合があります。
一方、言語情報はより普遍的に理解されやすい傾向がある点で異なるため、効果的なコミュニケーションには言語と非言語情報のバランスが重要といえるでしょう。
非言語的コミュニケーションを使いこなす必要性
メラビアンの法則をコミュニケーションに活かすためには、言語情報、視覚情報、聴覚情報の3つをうまく組み合わせることが重要です。3つのうち1つにだけ焦点を当てればよいわけではなく、伝えたい内容やコミュニケーション相手に合わせて3つのバランスを調整する必要があります。
例えば、採用面接で人事担当者が「弊社は困難に対して果敢に挑むアグレッシブな社員が多いです」と伝えたい場合は、困難を乗り越えた社員の具体的なエピソードを言語情報で説明するだけでなく、声色の力強さや真っ直ぐな視線なども必要でしょう。
力強い話し方で背筋をピンと伸ばし、真っ直ぐな視線で話せていても、具体的なエピソードを言語で表現できなければ、伝えたいことが十分に伝わりきらない場合もあります。
非言語的コミュニケーションを使いこなして、シーンに合わせたコミュニケーションを行う技術を習得するとよいでしょう。
日常生活におけるメラビアンの法則の活用方法
メラビアンの法則は、日常生活の身近な場面でも活用が可能です。挨拶や自己紹介など、さまざまなシーンにおけるメラビアンの法則の活用について解説します。
挨拶
日常的な挨拶においてメラビアンの法則を活用するには、アイコンタクトを意識して笑顔を心がけて、腕や足を組むことは避けるなど、視覚的な印象に留意します。聴覚情報としては、明るく聞き取りやすい声のトーンを意識して、ぼそぼそとしゃべらないようにします。
そして、相手によっては「お世話になっております」「ご無沙汰しております」などかしこまった印象の言葉を選び、親しい間柄であれば「元気だった?」「●●さん、久しぶり!」と、カジュアルで親しみやすい言葉や個人の名前を呼びかける工夫をするなど、相手にあわせた言葉選びをしましょう。
恋愛
恋愛でもメラビアンの法則を活用することができます。相手に好意を伝えたければ、相手の方向に身体の向きを傾けたり、アイコンタクトを意識して微笑んだりして視覚情報を活かします。
また、告白をする際は真剣さを表現するためにはっきりとした力強い声や、いつもより少し低めの落ち着いたトーンで話すと聴覚情報で本気度をアピールできるでしょう。言葉の内容だけでなく、非言語コミュニケーションを意識することで、言葉以上に好意や関心を効果的に伝えることができるはずです。
自己紹介
自己紹介では、清潔感のある身だしなみを心掛けて、背筋を伸ばして話すことで視覚情報が好印象になるでしょう。聴覚情報では、全員が聞き取れる音量ではきはきとしゃべり、早口にならないように留意します。自己紹介の内容で特に強調したいことがあれば、重要な言葉の直前に少し間を置くと、聞き手の興味を引き付けやすくなります。
言語情報としては、生い立ちや趣味、経歴など必要な情報を端的にまとめて、自身の強みや特徴を表すキャッチーな言葉を選ぶとよいでしょう。
ビジネスにおけるメラビアンの法則の活用方法
ビジネスシーンでもメラビアンの法則を活用することが可能です。プレゼンやオンライン会議など、各シチュエーションで意識したい視覚情報、聴覚情報、言語情報のポイントをご紹介します。
プレゼンテーション
プレゼンテーションでは、相手に信頼してもらい納得感を与えるために、自信に満ちた立ち居振る舞いを心がけましょう。プレゼン内容に合わせて表情を変えて、時折ジェスチャーを交えると視覚的に訴えかけることができます。
プレゼンが長かったり難しい議題だったりすると、聞き手が飽きてしまう可能性があるため、抑揚をつけながら話すと聞き取りやすいでしょう。また、重要なポイントでは声を大きくしたり、あえてゆっくり話したりするのも聴覚に印象を残しやすいです。
言語情報は簡潔で明確なメッセージを心がけ、聴衆の関心を引く言葉選びや効果的な例示を用いることで、より印象的なプレゼンテーションが可能になります。
商談
商談の場では、視覚情報として適度な頷きやアイコンタクトを心がけ、慌ただしい所作にならないように堂々と振る舞うとよいでしょう。信頼感を醸成するために、穏やかさや笑顔の表情を意識することも大切です。
聴覚情報としては、落ち着いたトーンの声を心がけて、商談相手の話すペースに合わせると効果的です。また、一方的に話をせずに、商談相手の話に関心を示していることが分かるように相づちを打つとよいでしょう。
言語情報としては、顧客ニーズに焦点を当てた話題を提供して、業界特有の専門用語なども相手に合わせて選びましょう。具体的な数値や事例も言葉で示すことで、商談時の説得力を高める効果も期待できます。
社内コミュニケーション
社内コミュニケーションにおいては、視覚情報として親しみやすい表情と姿勢を心がけ、相手の立場に応じた適切な距離感を保ちましょう。協調性を示す身振りも効果的です。例えば、部下の話を聞くときにパソコン作業を止めて、部下の方に身体を向けて話をすることも視覚情報として重要なメッセージとなります。
聴覚情報では、相手の話をしっかりと聞く姿勢を示し、適切なタイミングで相づちを打つことが重要です。言語情報では、明確かつ簡潔な表現を心がけ、相手の立場を考慮した言葉選びを意識しましょう。
オンライン会議
オンライン会議は、対面でのコミュニケーションとは異なり、非言語的コミュニケーションが欠けてしまう点に注意が必要です。デバイスのカメラには顔の周辺しか写らず、視覚情報が制限されるため、普段以上に表情や姿勢に注意を払う必要があるでしょう。
視覚情報としては、画面ではなくカメラに向かって適切にアイコンタクトを取るように意識を向けて、画面に映る範囲で手振りをつけるのも効果的です。
聴覚情報では、通信環境による音声の遅延や途切れを考慮し、普段以上にはっきりと明瞭に話すことが大切です。
言語情報では、簡潔で明確な言葉選びを心がけて、必要に応じてチャット欄に言葉を書き込んだり、画面で資料を共有したりするとコミュニケーションが円滑になるでしょう。
電話やメール
電話やメールなど、視覚情報や聴覚情報が制限されるコミュニケーション手段では、ケースバイケースで不足する情報を補う必要があります。電話では顔や姿勢がまったく見えないため、聴覚情報として声のトーンや話すスピード、間の取り方などに注意を払い、相手の理解度を確認しながら会話を進めることが大切です。言語情報にも気を配り、対面コミュニケーション時よりも具体的な情報を言語化して、こそあど言葉のような指示語は使わないように留意しましょう。
メールでは言語情報が主となるため、より明確で簡潔な文章を心がけ、誤解を招かないよう丁寧な言葉遣いを意識しましょう。また、絵文字や太字、下線などを適切に使用することで、視覚的な要素を補うことも効果的です。
人事・採用面接
人事・採用面接では、メラビアンの法則を意識しつつ、総合的な評価を行うことが重要です。面接官は、応募者の話すときの姿勢、表情、身だしなみなどの視覚情報、声のトーンや話し方などの聴覚情報、質問への回答や話の論理性などの言語情報をバランスよく評価する必要があります。
自信を持って堂々と笑顔で話をしているものの、話の内容が薄ければ、視覚や聴覚情報に惑わされずに質問を重ねて、話を聞きだすことが大切です。反対に、見た目や声の大きさ、抑揚などに影響されすぎて、話の内容を正当に評価しないことは避けるべきでしょう。
また、提出された職務経歴書や履歴書の言語情報だけで判断することも、一般的には望ましくありません。メラビアンの法則を意識して、視覚、聴覚、言語の3つのバランスを加味しながら総合的な判断を行うようにしましょう。
メラビアンの法則を意識してコミュニケーションに活かす
メラビアンの法則をコミュニケーションに活かすポイントについて解説します。
非言語コミュニケーションスキルの向上
メラビアンの法則を活かすためには、非言語的コミュニケーションスキルを向上させる取り組みが重要でしょう。非言語的コミュニケーションは無意識的に行われる場面も多いため、日常的に練習を重ねて、意識的に取り組む姿勢が必要です。
自分の表情や姿勢、ジェスチャーなどを鏡に映して確認するだけでなく、他者と会話しているシーンを動画で撮影して確認すると、より客観的な把握が可能になります。
加えて、対話相手の非言語コミュニケーションを観察して、相手の言いたいことと自身の解釈にずれがないか確認する訓練も効果的でしょう。非言語的コミュニケーションを鍛える方法として、ジェスチャーゲームもおすすめです。言葉を発さずにジェスチャーだけで伝えたいことを表現して、情報を正確に読み取って当てるシンプルなゲームです。
ジェスチャーゲームは異文化コミュニケーションにも効果的で、社内コミュニケーション施策としても有効的です。非言語的コミュニケーションに意識を向けるために取り入れてみるとよいでしょう。
言語と非言語の一致性を高める
メラビアンの法則をコミュニケーションに活かすためには、日常的に自身が発する言語情報と非言語情報の一致性を高めることも大切です。言葉で伝えたいメッセージと、表情や声のトーン、身振りなどの非言語的要素が一致していないと、相手に混乱や不信感を与える可能性があります。
例えば「大丈夫です」と言いながら不安そうな表情をしていると、相手は言葉よりも表情から得られる情報を優先して「本当は大丈夫ではないはずだ」と受け取る場合もあるでしょう。日常的に自分の言動を振り返り、言語と非言語の一致性を意識することで、より信頼性の高いコミュニケーションが可能になります。
相手の反応に敏感になる
メラビアンの法則を意識してコミュニケーションに活かす3つ目の方法は、相手の反応に敏感になることです。コミュニケーションは双方向のプロセスであり、自分の伝え方だけでなく、相手がどのように受け取っているかを常に観察することが重要です。
相手の表情、姿勢、声のトーンなどの非言語的な反応を注意深く観察し、必要に応じて自分のコミュニケーションスタイルを調整しましょう。相手によっては自分の意図した内容が伝わりきらず、誤解を招くこともしばしばです。コミュニケーション相手の価値観や考え方を反応からくみ取って、言語情報を足したり、表情や声の雰囲気を変えたりする努力が必要でしょう。
メラビアンの法則の注意点
メラビアンの法則を日常のコミュニケーションに活かす際、行き過ぎた解釈をしないよう注意が必要です。メラビアンの法則の注意点を5つ解説します。
過度の解釈や一般化を避ける
メラビアンの法則を適用する際には、過度の解釈や一般化を避けることが重要です。この法則は特定の状況下での実験結果に基づいており、すべてのコミュニケーション場面に同じように当てはまるわけではありません。
例えば、専門的な議論や複雑な情報の伝達では、言語情報の重要性が高まる場合があります。また、個人の性格や文化的背景によっても、非言語コミュニケーションの解釈は異なる可能性があります。したがって、メラビアンの法則を絶対的なルールとしてとらえるのではなく、コミュニケーションを理解するための1つの視点として活用することが大切です。
言語情報の重要性を軽視しない
メラビアンの法則では、非言語情報の重要性が強調されていますが、言語情報の重要性を軽視してはいけません。言葉の内容は、特に複雑な概念や具体的な情報を伝える際に不可欠です。また、長期的な人間関係や信頼関係の構築においても、一貫性のある言語情報は重要な役割を果たします。
効果的なコミュニケーションを行うためには、言語情報と非言語情報のバランスを適切に保つことが重要です。状況に応じて、言語情報により重点を置くべき場面もあることを認識し、柔軟に対応するように意識をしましょう。
文化的差異への配慮
メラビアンの法則を適用する際には、文化的差異への配慮が不可欠です。非言語コミュニケーションの解釈は文化によって大きく異なる場合があります。例えば、アイコンタクトの適切な長さや、対話するときの身体の距離感の許容度、ボディーランゲージなどは文化によって異なります。
外国籍の方と関わる機会が多い企業では、お互いのコミュニケーション文化の相違点を理解し、尊重しあうことが重要でしょう。
状況に応じた適用
メラビアンの法則は、すべての状況に一律で適用できるわけではありません。コミュニケーションの目的、環境、参加者の関係性などによって、最適なアプローチは変化します。
例えば、ビジネスシーンの会議と友人との雑談では、非言語コミュニケーションの重要性や適切な表現方法が異なります。また、オンラインコミュニケーションや文書によるコミュニケーションなど、非言語情報が制限される状況では、言語情報を重視した方がよい場面もあるでしょう。状況を適切に判断し、メラビアンの法則の知見を柔軟に適用することが、効果的なコミュニケーションにつながります。
相手の反応の観察
メラビアンの法則を効果的に活用するためには、相手の反応を注意深く観察することが重要です。言語情報と非言語情報の両方に注目し、相手がどのように受け取っているかを常に確認しましょう。
例えば、相手の表情、姿勢、声のトーンなどの変化から、自身が伝えたい内容が適切に伝わっているか、誤解や不快感を与えていないかなどを判断します。相手の反応に基づいて、自分のコミュニケーションスタイルを適宜調整することも大切です。あまり伝わっていないと判断した場合は、同じフレーズをゆっくり繰り返したり、フレーズを強調して話してみたりして、臨機応変に調整を加えるとよいでしょう。
人事担当者はメラビアンの法則に惑わされないように
人事担当者がメラビアンの法則に過度に影響されると、公平な人事評価を妨げる可能性があります。採用面接の評価だけでなく、入社後の人事評価でもメラビアンの法則の影響を注視するとよいでしょう。
例えば、人事担当者の前でははきはきと受け答えをして、「仕事が楽しいです」と回答する部下がいると想定しましょう。上司が見ている範囲内では態度や発言が良好なため、その情報を鵜呑みにして高評価をつけてしまうのは危険です。実は、人事担当者がいないときは態度が悪かったり、同僚や後輩に悪影響を及ぼす言動をしていたり、成績がそこまでよくなかったりするケースもあるでしょう。
一部の言動や見た目の雰囲気だけにとらわれず、正当な評価を行うためには客観的な根拠が欠かせません。タレントマネジメントを導入すれば、社員のスキル、実績、目標達成度や上長コメントなどを体系的に管理し、客観的事実に基づいて評価を行うことができるでしょう。
まとめ
メラビアンの法則は、コミュニケーションにおける非言語情報の重要性を示す有用な概念です。この法則を適切に活用するためには、相手や状況に応じた解釈が重要となります。メラビアンの法則に惑わされすぎず、特にビジネスシーンでは、プレゼンテーションや商談、採用面接など場面によって視覚、聴覚、言語情報をバランスよく使い分けて、状況に応じたコミュニケーションの最適解を見つけるよう心がけましょう。
メラビアンの法則に惑わされないためにタレントマネジメントの活用を
メラビアンの法則をうまく取り入れることで、対人コミュニケーションをよりスムーズにできるメリットがあります。一方で、メラビアンの法則に惑わされすぎて、極端に視覚や聴覚、言語情報のいずれかを意識しすぎて偏ったコミュニケーションになってしまうと本末転倒です。採用面接や人事評価の場面では、視覚や聴覚情報とあわせて客観的な人事データを活用するとよいでしょう。
ビズリーチが提供するHRMOSタレントマネジメントを導入すれば、社員のスキルや保有資格、目標管理といった事実に基づく人事データを一元管理できます。詳しい資料は以下からぜひダウンロードしてみてください。