目次
何らかの問題が起きて原因の特定や解決策の立案が必要な場合、事象を分析するためのフレームワークを活用するとスムーズに対処できます。ロジックツリー分析も、事業経営の課題解決などで幅広く使われているフレームワークのひとつです。
ロジックツリー分析を活用すれば、発生している事象の全体像から細部にわたるまで体系的に分析でき、状況を正しく把握して的確な対応が可能になります。
本記事では、ロジックツリー分析とは何か、その種類や利用するメリット、作り方、ビジネスシーンでの活用事例を解説します。
ロジックツリー分析とは
ロジックツリー分析とは、物事や課題に含まれる要素を細分化してツリー構造で表し、全体像を可視化・把握して、課題解決や目標達成に向けた方法を導き出すための分析手法です。
段階的に分類して枝分かれ式の図にすることからロジックツリーと呼ばれます。物事の要素を図式化する論理的思考法のひとつです。企業が課題解決を図る際などに活用されています。
たとえば、企業が経費を削減する場合、購入するものの種類や数をむやみに減らすと、本当に必要なものまで減らしてしまい、事業経営に悪影響が出ることになりかねません。
しかし、ロジックツリー分析を活用して、経費がかさんでいる理由を突き止めてから対応することで、経費削減を適切な形で実現できます。経費の種類や仕入単価など、要素を細分化したうえで各視点で問題点や現状を整理すれば、ロジカルな思考や分析が可能になります。
ロジックツリー分析を利用するメリット
ロジックツリー分析にはさまざまなメリットがあり、課題点の洗い出しや解決策の立案が求められる場面で活用が可能です。ロジックツリー分析にはどのようなメリットがあるのか、以下で具体的に見ていきます。
複雑な問題を可視化しやすい
頭の中で考えているだけでは気付けないことでも、ロジックツリーを活用してツリー状に書き出せば、複雑な問題でも可視化できる点がメリットです。
ひとつひとつ順を追って細分化し、要素を書き出すことで、状況を整理できて分析できます。
大きな分類や要素からまずは検討を始め、徐々に小さな要素に視点を移すことで、検討漏れを防ぎ、要素を漏れなく洗い出して分析することが可能です。
関係している要因の把握や各要因の関係性など、問題や事象の全体像を正しく認識でき、本質的な原因の特定や効果的な解決策の立案につながります。
優先順位をつけやすい
ロジックツリーで要因を書き出せば、どの要因の影響が特に大きくて早急に対処すべきなのか分析でき、優先順位をつけやすくなります。
少しでも早く対処すべき要因を把握して対応すれば、問題や課題に対して効果的に対処することが可能です。
企業経営や事業において何らかの問題が起きている場合、複数の要因が絡んでいるケースも少なくありません。
複数の要因すべてに同時に対処することが難しければ、より影響の大きな要因を特定して対処することが求められます。ロジックツリー分析を活用すれば、どこから手をつけるべきなのかが判断しやすくなります。
チームでの共通認識を作りやすい
ロジックツリーによって状況を可視化して整理すれば、それぞれの要因がどのように関係しているのか、全体像を理解しやすくなります。
ツリー状の図で示せば状況を一目で把握でき、認識のズレを防いで議論をスムーズに進められる点がメリットです。
逆に、それぞれが頭の中で考えたり口頭で伝えたりすると、認識のズレが起きて議論に時間がかかったり、誤った認識によって、不適切な対応を取るリスクがあります。
ロジックツリーを使えば、状況に対する理解が明確になって認識を共有できます。
ロジックツリーの種類
ロジックツリーの種類は「Whatツリー」「Whyツリー」「Howツリー」「KPIツリー」の4つです。どの種類のツリーを使うかは、目的に応じて選ぶことになります。以下では、4種類のツリーの概要や特徴を紹介します。
Whatツリー(要素分解ツリー)
Whatツリー(要素分解ツリー)とは、問題の要素を分解して、全体の状況を整理して把握するためのロジックツリーです。
問題が起きている場合、Whatツリーによって「どのような要素が関係しているのか」を洗い出せば、状況を的確に捉えることができます。
Whatツリーは、複数の要因が絡む複雑な問題で役立つロジックツリーです。部門や部署を超えて会社全体で課題が発生している場合や、大規模なプロジェクトがうまく進行せず問題が起きている場合などに活用できます。
要因が複数にわたる場合、個々に個別・場当たり的に対応すると本質的な解決にならないことがありますが、Whatツリーを使えば、要因を網羅的に洗い出して把握できます。
Whyツリー(原因究明ツリー)
Whyツリー(原因究明ツリー)とは、なぜそのような問題や事態が起きているのか、状況を細分化して分析して原因を突き止めるためのロジックツリーです。
発生している事象や結果に対して、考えられる原因を検討して列挙する形でツリーを作成します。
何らかの課題があって解決策を検討する場合、そもそも原因を正しく特定できていないケースも少なくありません。自分たちが原因と考えている要素が実は本質的な原因ではないにもかかわらず、その要素が重要な要因であると勘違いして議論に時間を割いてしまうケースもあります。
Whyツリーを活用して原因と考え得る要素を最初に書き出すことで、解決すべき真の原因の把握・特定がしやすくなります。
Howツリー(問題解決ツリー)
Howツリー(問題解決ツリー)とは、どのように対応すべきなのか、問題を分解して分析して解決策や対応方法を考えるためのロジックツリーです。
企業や部署の方針、プロジェクトが目指すべき方向など、具体的な方向性や行動を検討する際に活用できます。
全体として起きている問題を細分化して課題や原因などの要素を洗い出し、個々の要素に対してどのような対応が考えられるのか、具体的なアイデアを書き出します。一つ一つの問題や課題にフォーカスして解決策を提案することで、各課題に対して実効性のあるアクションプランを導き出せます。
KPIツリー(指標分解ツリー)
KPIツリー(指標分解ツリー)とは、具体的な数字を絡めた目標を設定して、目標達成のために必要なことは何か、細分化して日々の行動や業務などに落とし込むロジックツリーです。
KPIとは「Key Performance Indicator」の略で、重要業績評価指標を指します。
一般的にKPIツリーでは、数値で測定可能な指標でツリーを構成します。たとえば、売上向上を事業目標として掲げるケースであれば、最終的に事業全体の売上向上を達成するために必要な事項として、「単価」や「成約率」などを設定します。
単価や成約率が向上して売上向上につながっているか、数値で測定できるため、各数値目標の達成状況を把握できて目標達成に向けた進捗状況を随時確認できる点が特徴です。
関連記事:KPI(重要業績評価指標)とは?何の略?OKRやKGIとの違いも含めて解説
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ロジックツリーの作り方
ロジックツリーを効果的に活用して状況分析や課題解決を行うためには、ポイントをおさえながら手順に沿ってツリーを作成する必要があります。
以下では、ロジックツリーの作り方を解説するので、実際に生じている問題や課題に当てはめてツリーを作成してみましょう。
解決したい課題を明確にして分析の軸を決める
解決したい課題は何なのか、最初に明確にすることがロジックツリー分析では重要です。
分析の対象となる課題や問題の定義・設定を間違えると、分析する必要のないことのために議論をして無駄な時間を割く可能性があります。
どのような問題が起きているのか、問題や課題の設定は、ロジックツリーの最上位に記載する要素です。
細分化して分析を行い、解決策や行動の提案を適切に行うためには、大前提として、解決すべき問題や課題が明確に正しく設定されている必要があります。
MECEを意識して要素を洗い出す
MECE(ミーシー)とは、「Mutually(お互いに)」「Exclusive(重複せず)」「Collectively(全体に)」「Exhaustive(漏れがない)」の頭文字を取った造語です。
「漏れなく、ダブりなく」という意味で、ロジックツリー分析ではMECEを意識することが重要です。
問題や課題を分析する際、書き出した要素に漏れがあれば、適切な解決策を考案できない可能性があります。
一方で、抽出した要素に重複があると、同じ内容に対して重ねて議論をしてしまい、時間や労力を無駄にすることになりかねません。そのため、ロジックツリー分析では、MECEを意識しながら要素を洗い出す必要があります。
ツリー構造で整理する
洗い出した要素をツリー構造で整理することで、それぞれの要素の関係性を把握でき、全体から細部にわたる部分まで把握・分析が可能になります。
ツリー状に図式化する際は、細分化して枝分かれした先に記載した下位要素が、上位要素との間で包含関係や因果関係が成り立っているか、確認しながら図式化しましょう。
階層化や分類をうまくできないと、いくつもの要素がただ書き出されて無作為に記載されただけになり、関係性がわからず分析ができません。ツリーの構造に図式化する際は、正しい階層構造で要素を分類することが重要です。
ロジックツリーを活用する際の注意点とポイント
ロジックツリーを活用する際、要素の洗い出しが不十分だったり抽出した要素をうまく整理できなかったりすると、十分な効果を発揮しない可能性があります。
実際にロジックツリーを描いて課題解決を図る際は、以下で紹介するポイントを意識しましょう。
仮説を立てて進める
事象を分解して要素を書き出す際、何を書けばよいのか思い付かず困る場合があります。
ロジックツリーを描くときは、「○○が原因なのではないか」「○○が関係しているのではないか」など、仮説を立てると要素の洗い出しがしやすくなるでしょう。
複数の仮説を立て、それぞれの仮説に沿って細かな要素に分解していけば、設定した仮説が軸になり整理や分類がしやすくなります。
逆に、軸を定めずむやみに要素を書き出すと、書き出した要素の数が多すぎて整理できなくなり混乱するため、注意が必要です。
具体的な行動に結びつくまで分解する
ロジックツリーを書いて状況を要素に分解する際、「どの程度の粒度で分解するか」が問題となります。
ロジックツリーは、要素に分解したうえで具体的な解決策を導き出すことを目的に作成するものです。そのため、具体的な行動に結びつく内容の要素になるまで分解して書き出す必要があります。
大きな区分や分類に属す要素までしか書き出さないと、課題に対してどのように対処すべきかがわからず、問題を解決できなくなってしまいます。
要素同士の関係を考慮する
ロジックツリーを活用して分析する際、要素を正しく分類してツリーに記載することもポイントのひとつです。
枝分かれした先に記載した要素との間で上下関係や包含関係が成り立っているか、同じ階層に書かれている要素の中に本来異なる階層に分類すべき要素が混ざっていないか、確認しながらツリーを描きましょう。
要素同士の関係を考慮しながらツリーを描くことで階層化を適切に行うことができます。さまざまな要素を正しく分類できて状況の把握や分析が可能になります。
ビジネスシーンでの活用事例
ロジックツリーはビジネスのさまざまなシーンで活用が可能です。
以下では、企業が売上向上を目指す場合や、従業員が自己分析を行って課題解決を図る場合など、ロジックツリーの活用事例を紹介します。
売上減少の原因分析
売上が減少していて原因を突き止めたい場合、Whyツリーを使ったロジックツリー分析が効果的です。
原因を「外部要因」と「内部要因」の2つに分けたうえで、それぞれ細分化して詳細な原因を洗い出せば、何が根本的な原因で対処すべきなのか分析できます。
外部要因は、社会情勢や消費者ニーズ、競合他社の動向、技術革新などに細分化でき、内部要因は、商品の内容や販売方法、マーケティング戦略などに細分化できます。
消費者ニーズが変化した原因や販売方法に問題があった場合の原因など、各要素を掘り下げることで売上減少の原因が見えてくるでしょう。
自己分析の掘り下げ
仕事に時間がかかっているため業務スピードを改善したい場合や、営業実績を上げるために何を改善すべきか考える場合など、自己分析にもロジックツリーが活用できます。
仕事をこなすスピードや能率が低い原因を分析するケースであれば、「仕事の内容」や「業務スキル」「事前準備」などの要素を書き出せます。
仕事の内容を確認し、やる必要のない業務が含まれていれば、今後はその業務をなくすことで業務時間の短縮が可能です。
業務に必要な知識やスキルが不足していて作業スピードが遅い場合はスキルを身に付けることで改善できます。
また、どのような順序で業務をこなすのか、事前にスケジューリングや準備を十分に行うことで、業務効率を改善できる可能性もあります。
従業員の課題解決
本人が自己分析をする場合だけでなく、経営者や人事担当者が従業員の課題解決のためにロジックツリー分析を活用することも可能です。
従業員の課題(成果が出ない/スキル不足/マネジメント課題)をロジックツリーで分解し、タレントマネジメントのデータと照合することで原因分析の精度を高められます。
ロジックツリーで「業績不振の原因」や「育成が進まない理由」を整理したうえで、タレントマネジメントに蓄積されているスキル・行動ログ・評価コメントとひもづけて分析します。
「定性的な分析」と「定量データ」の両軸で分析することで、本質的な課題や原因を明確化でき、有効な解決策を導き出せるでしょう。
関連記事:【事例付き】タレントマネジメントとは?目的、システム導入や比較・活用方法
他の分析手法との違い
ロジックツリー分析だけでなく、他の分析手法も活用して複数の手法を組み合わせると、原因分析や解決策の考案をよりスムーズに精度高く行えます。
以下では、ロジックツリー分析以外の主な分析手法の特徴やロジックツリー分析との違いを紹介します。
SWOT分析
SWOT分析とは、「Strengths(強み)」「Weaknesses(弱み)」「Opportunities(機会)」「Threats(脅威)」の4つの要因に分類して、現状を分析するフレームワークです。
組織の強み・弱みという内部要因と機会・脅威という外部要因に分けて考え、内部要因・外部要因それぞれでプラスの要因とマイナスの要因を分析します。
ロジックツリー分析もSWOT分析も、現状を分析して解決策や戦略を立案するフレームワークである点は同じです。
しかし、ロジックツリー分析では、分類の仕方や階層の組み方がケースによってさまざまであるのに対して、SWOT分析では、4つの要因に分類して分析する点が異なります。
PEST分析
PEST分析とは、「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の4つの外部環境に着目して分析するフレームワークです。
自社を取り巻く外部環境を理解して戦略立案につなげるマクロ環境分析手法のひとつです。
ロジックツリー分析では、個々の要因を細分化してより小さな視点や分類に落とし込みますが、PEST分析では経済など大きな視点から分析します。
PEST分析は外部要因にのみ焦点をあてて分析する点も、ロジックツリー分析とは異なる点です。
また、ロジックツリー分析は、企業の課題解決だけでなく個人の自己分析でも用いられますが、PEST分析は主に企業が事業戦略を策定する際などに活用されます。
PPM分析
PPM分析とは、限られた経営資源を戦略的に活用するため、企業が経営資源の最適な配分を決定する際に用いる分析手法です。
PPMは「Product Portfolio Management」の略です。
PPM分析では、市場成長率と市場占有率に着目して、「Star(花形)」「Cash Cow(金のなる木)」「Problem Child(問題児)」「Dog(負け犬)」に分類して分析します。
ロジックツリー分析は、さまざまな事象や分野で原因分析や解決策立案のために活用できますが、PPM分析は、資源配分問題における原因分析や戦略立案を主な目的としています。
まとめ
解決したい課題があるときにロジックツリー分析を活用すれば、複雑な事象でも可視化でき、優先順位をつけやすくなります。チームで共通認識を作れる点もメリットです。
ロジックツリー分析にはWhatツリー・Whyツリー・Howツリー・KPIツリーの4種類があります。状況に応じて使い分けるようにしましょう。
ツリーを描く際は、解決したい課題を明確にして分析の軸を決め、MECEを意識して要素を洗い出すことがポイントです。
売上減少の原因分析や自己分析の掘り下げ、従業員の課題解決など、さまざまなビジネスシーンで活用が可能です。実際の活用事例を参考にしながら、問題や課題が起きた場合にはロジックツリーを使って原因分析や解決策立案を行うとよいでしょう。
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ロジックツリー分析を活用すれば、個々の従業員が抱える課題の原因を分析でき、解決策を考えて実行することで従業員の成長につながります。
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