目次
人手不足が続き、市場変化のスピードが増した現代では、従業員の持つ価値を最大限に発揮させるタレントマネジメントの活用が欠かせません。
タレントマネジメントの言葉をよく聞くものの、詳細を理解できていない人事担当者も多いでしょう。
本記事では、タレントマネジメントについての基本知識や注目されている背景、効果やメリット、自社に合うタレントマネジメントシステム導入・比較方法を紹介します。
タレントマネジメントとは
タレントマネジメントとは、企業や組織が従業員のスキルや能力、経験を最大限に生かし、組織目標の達成に結びつけるための戦略的な人材管理手法を指します。
単に人材を管理するだけでなく、従業員一人一人の成長と活躍を支援し、持続的なパフォーマンスを引き出すことを目的とします。
ヒューマンリソース(HR)との違い
ヒューマンリソース(HR)とタレントマネジメントは、いずれも人材管理にまつわる用語ですが、焦点やアプローチに違いがあります。以下の表でその違いをまとめます。
| ヒューマンリソース(HR) | タレントマネジメント | |
| 定義 | 人事業務全般を管理する総合的なシステム | 人材のスキルや才能を最大化する戦略的アプローチ |
| 目的 | 労務管理、給与管理、採用、福利厚生の管理 | 組織の目標達成に向けた人材の活用と育成 |
| 主な業務内容 | 採用、勤怠管理、労務コンプライアンス | 人材の評価・育成、配置、リーダーシップ開発 |
| データ活用 | 勤務時間や給与などの事務的なデータを管理 | パフォーマンスやスキルを分析し、配置や育成に活用 |
| 対象 | 企業全体の人事労務システムの運用 | ハイパフォーマンス人材や潜在的リーダー候補の育成 |
| アプローチ | 主にオペレーション中心(採用、給与処理) | 経営目標に直結した戦略的な人材管理 |
| 管理対象の視点 | 労働力としての人材の管理 | 「才能(タレント)」としての人材を見つけ出し、最大限活用 |
| 目標 | 組織運営の効率化と法令順守 | 持続的な組織成長と人材のモチベーション向上 |
| システム例 | 勤怠管理システムや給与管理ソフト | HRMOSタレントマネジメントのような人材開発ツール |
ヒューマンリソースとは、人的資源を意味する言葉で、企業全体の人事に関するオペレーションの効率化に重きを置きます。給与計算や勤怠管理、採用活動の事務処理などが中心です。主な目的は、法令順守と企業運営の安定化です。
一方、タレントマネジメントは各従業員の能力やパフォーマンスを最大限引き出し、組織の成果に結びつけることを目的としています。将来のリーダー候補を育成したり、従業員のスキルアップを支援するための戦略的なアプローチです。
ヒューマンリソースが日常的な人事管理に焦点を当てているのに対し、タレントマネジメントは、経営戦略に基づく人材活用に特化しています。両者は補完的な関係にあり、組織の安定した運営と持続的な成長のためには、両方のアプローチをバランスよく活用することが重要です。
日本企業におけるタレントマネジメントの位置づけ
日本企業におけるタレントマネジメントの位置づけは、時代とともに変化してきました。
従来の人事労務管理は、法令遵守や労務管理を中心とする「管理型」の役割が主でしたが、その後、人材を経営資源として戦略的に活用する「人的資源管理」へと発展しました。
さらに近年では、人材を企業価値向上の源泉として捉える「人的資本経営」が注目され、人的資本情報の可視化が大企業※に対して義務化されました。この背景により、人材情報を蓄積し、データを戦略的に活用していくタレントマネジメントがますます重要になっています。
ダイバーシティやインクルージョンの推進が求められる中、多様な人材の能力を適切に把握し、公平に活用する基盤としても、タレントマネジメントは不可欠な仕組みといえます。
※ここでの大企業とは、金融商品取引法第24条の有価証券を発行している大手企業約4,000社を指します。
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人材の能力を最大限に引き出し、自社の中で活躍し続ける状態をつくることが企業経営、特に人事戦略にとっての要となります。
「HRMOS」による一元化・業務効率化・可視化・活用で課題を解決します。
・目標、評価管理機能
・組織診断サーベイ機能
・サポート体制
・料金プラン
タレントマネジメントシステムとは
タレントマネジメントシステムは、従業員のスキルやコンディション、組織全体のエンゲージメントを管理し、組織の生産性を向上させるための統合的な人材管理システムです。
タレントマネジメントシステム上で扱うデータは広範囲に及び、人材の採用から育成、評価、キャリアプランなど、人材が入社から退社するまでの情報を一元的に管理します。
タレントマネジメントシステムは、従業員データを管理する一般的な人事管理システムと混同されやすいですが、相違点は以下の通りです。
- 人事管理システムの目的:煩雑な人事業務を効率化すること。
- 人事業務システムの活用例:表計算システムや紙でバラバラに管理している従業員データを一元化し、転記ミスや入力ミスを減らして業務時間を短縮する。
- タレントマネジメントシステムの目的:従業員情報を一元管理・分析を行い、従業員の能力開発や組織力強化につなげる。
- タレントマネジメントシステムの活用例:タレントマネジメントシステムから必要なデータを収集、分析をして経営戦略や人材育成計画を立てる。
このように、タレントマネジメントシステムは人材戦略に基づいた経営を行う上で欠かせない役割を担っています。
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タレントマネジメントの目的
タレントマネジメントの目的は、人材を有効に活用し、経営目標を達成することです。
それに付随して、人材の採用・育成・定着という一連の流れを確立することも求められます。
ここでは、タレントマネジメントに取り組む目的を解説します。
経営目標の達成
タレントマネジメントの最も重要な目的は、企業の経営目標を達成することです。
事業戦略を実現するためには、必要なスキルや経験を持つ人材を把握し、適切な部署や役割に配置して、育てていくことが不可欠です。
タレントマネジメントでは、従業員のスキル・経験・評価などの情報をもとに、人材配置や育成を戦略的に進めます。
その結果、個人の能力を最大限に発揮しやすくなり、組織全体の生産性向上や競争力の強化につながります。
人材の採用と育成
タレントマネジメントは、採用と人材育成においても重要な役割を果たします。企業が成長し続けるためには優秀な人材を採用し、育成しなければなりません。
事業目標を達成し、企業が成長を続けるためには、目標達成のために必要となるスキル・経験を持つ人材を戦略的に採用したり、社内で抜擢して育成したりすることが必要です。
タレントマネジメントを通して、潜在的な能力を持つ人材を早期に発掘し、将来の経営基盤を支える従業員に育てることも目的といえます。
適材適所の実現とパフォーマンス最大化
人材の最適配置を行い、組織全体のパフォーマンスを最大化することも、タレントマネジメントの目的の一つです。
従業員の能力や適性を正確なデータで把握し、最適な配置を行うことで、組織全体の生産性が向上します。
具体的には各部門に求められる要件と、個人のスキルを照らし合わせ、最適なマッチングを行うことです。適性が合致することで生産性が高まり、組織全体のパフォーマンスが最大化されます。
人材の定着とリテンション
優秀な人材を採用し、長期的に組織に貢献してもらうことは、企業の持続的な成長につながります。
そこで、タレントマネジメントは、人材の定着とリテンション(維持)につなげることも目的としています。
例えば、適切な評価制度や報酬体系の整備、キャリア支援などは、従業員の満足度とモチベーションを高めます。
また、それぞれの価値観やキャリアゴールに応じた経験の機会を与えることも、長期的な定着につながるでしょう。このような対策を講じれば、組織への帰属意識が高まり人材の流出を抑制できます。
異動履歴や資格など従業員情報を一元管理し、スキルを可視化。データに基づく人材配置で組織の生産性向上につながります。
タレントマネジメントが注目されている背景
タレントマネジメントが注目されている背景は、経済・社会環境の変化や働き方の多様化といった要因が大きく影響しています。
ここでは、少子高齢化と働き方改革の推進、グローバル競争の激化など、複数の観点からタレントマネジメントが注目されている背景を解説します。
1.少子高齢化に伴う労働者不足
日本で進んでいる少子高齢化に伴い、15歳以上の労働力人口の減少が続いています。
今後数年で、労働力人口が急増することは期待しづらい今、企業間の人材獲得競争が激化している現状です。
その結果、少ない人数でより大きな成果を生み出すために、タレントマネジメントが必要とされるようになりました。
従業員の一人一人の生産性向上・パフォーマンス向上を通して、厳しい人材獲得競争の中でも企業成長につなげることが重要といえます。
2.働き方改革の推進
VUCA時代における、価値観の変化やキャリア観の多様化により、従業員と企業の関係性は大きく変化しています。
転職が一般化し、長期雇用を前提としたマネジメントは難しくなった現代では、エンゲージメントの向上や人材の定着が、これまで以上に重要な経営課題とされています。
また、働き方改革の推進により、ワークライフバランスを重視する動きが広がり、リモートワークやハイブリッドワークといった柔軟な勤務形態が定着しました。
働く場所や時間が分散する中では、従来の画一的な人事管理だけでは十分とはいえません。
こうした環境では、従業員一人一人のスキルや経験、志向を可視化し、それぞれに適した配置や育成を行う仕組みが不可欠です。
多様な働き方を前提に、個々の能力を最大限に引き出す基盤として、タレントマネジメントの重要性が高まっています。
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3.グローバル競争の激化と人材の多様化
グローバル化が進むに伴い、企業間の競争は国内外を問わず激化する中、企業が競争優位を保つためには、多様な人材の活躍が欠かせません。
タレントマネジメントは、国籍や文化が異なる従業員の能力を客観的に評価・管理できる手法であるため、多様な人材活用を推進する際に役立ちます。
国際的な視野で、グローバル人材を戦略的に育成・配置を行うタレントマネジメントの取り組みは、グローバル市場の企業競争力強化につながるでしょう。
4.HRテクノロジーの進化
HRテクノロジーの急速な進化も、タレントマネジメントが注目される背景の一つです。これまで、手作業では対応しきれなかった大量の人事データを、AIやビッグデータ解析技術を活用することで、効率的かつ正確に処理できるようになりました。
また、AIを活用した人材マッチングシステムなどで、膨大な候補者の中から最適な人材を効率的に見つけ出すことが可能です。
さらに、人事評価や分析作業などもシステム化することで、他の業務に注力する時間を確保できるようになりました。
その結果、タレントマネジメントの質と効率が大幅に向上し、重要性がますます高まっています。
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5.人的資本の情報開示
少子高齢化による人材不足が進む中、限られた人材で成果を最大化することが企業の重要課題になっています。
この時代背景から、人材を企業価値の源泉として捉える「人的資本」の考え方が広がりました。
そして、投資家やステークホルダーに対して、人材に関する取り組みや指標を示す「人的資本の情報開示」も求められています。
国際的には2018年にISO30414が制定され、米国では2020年にSECが人的資本に関する開示を求めるなど、情報開示の流れが加速しています。
日本でも2023年3月期から、有価証券報告書における人的資本関連情報の開示が大手企業を中心に義務化されました。
情報開示対応で負荷が増えやすいのは、人材データの収集と整理です。開示の主管は経営企画となるケースが多い一方、人材情報を日常的に扱うのは人事部門であるため、実務面では人事がデータ整備を担う場面が増えます。
そのため、開示のためだけにデータを集めるのではなく、人材データを一元化して配置・育成・評価などに生かし、日常の人事戦略と接続する動きが広がっています。
こうした時代の流れから、人的資本の情報開示を契機に、タレントマネジメントの重要性が一段と高まっているといえるでしょう。
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人事戦略をどのように経営と接続すべきかについては、以下の記事で詳しく解説しています。
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タレントマネジメントで解決できる課題
タレントマネジメントの導入で解決が期待できる課題を整理し、解説します。
「ヒト」を起点に人事データを見る
タレントマネジメントが解決する課題の一つは、業務単位で分断された人事データを一元管理して整理することです。
従来、人事データは採用、異動、評価、報酬、勤怠といった「コト」単位で管理されてきました。
そのため、一人の従業員について、採用時の評価と入社後の成果の差や、異動履歴とパフォーマンス・エンゲージメントとの関連性を横断的に把握することは容易ではありませんでした。
タレントマネジメントでは、こうしたデータを「ヒト」を軸に統合します。一人一人のライフサイクル全体を通じて情報を結びつけることで、配置の最適化や育成方針の見直し、評価制度の改善といった、より精度の高い意思決定が可能になります。
業務ではなく個人を起点にデータを見る視点の転換こそが、タレントマネジメントの本質であり、組織課題の解決につながるポイントです。
従業員を把握できていないという組織課題
タレントマネジメントは、人事業務に関する課題だけでなく、多くの企業が抱えている組織課題も解決に導きます。
以下のイラストは、企業が抱える「よくある課題」を分類し、示したものです。

例えば、「キーパーソン不足」「大量離職」「モチベーション低下」は、従業員一人一人のスキルや能力、キャリアプランが把握できていないため、適材適所に人材を配置できず発生することが多いです。
このように、組織が抱える課題には、必ずその要因に関係している人事業務があり、その人事業務を通じて収集したデータを活用することで課題解決への糸口を見つけることができます。
タレントマネジメントの導入・実践事例は、後半でご紹介します。
タレントマネジメントの効果・メリット
タレントマネジメントに取り組むと、どのような効果やメリットを得られるのでしょうか。ここでは、タレントマネジメントに期待できる効果について解説します。
1.採用のミスマッチ防止
タレントマネジメントでは、ポジションごとのスキル要件を詳細に設定し、候補者のスキルや経験と一致するかどうかを事前に確認します。
つまり、タレントマネジメントシステムで募集ポジションと候補者情報を可視化することで、採用のミスマッチを防止できます。
また、在籍している従業員のデータを分析し、優秀な従業員の特徴や保有スキルを把握することで、採用ターゲットの戦略を立てやすくなるメリットもあります。
タレントマネジメントを活用して、自社で活用し得る人材モデルの特徴を掴み、採用活動を効率化することが可能です。
2.満足度・モチベーション・エンゲージメント・能力などの向上
タレントマネジメントでは、従業員のスキルや経験、キャリア志向などの情報を把握し、それらを踏まえて人材配置やそれぞれの役割の設計を行います。
従業員の強みや希望が生かされる環境が整備されれば、仕事への納得感や満足度が高まり、主体的に業務へ取り組むモチベーションの向上が期待できます。
また、適切な配置のもとで育成や経験の機会を与えることで、従業員のスキルや能力の向上にもつながるでしょう。
その結果、仕事への関与度が高まり、組織へのエンゲージメントの向上も可能です。
3.従業員の離職率の低下
タレントマネジメントは、人材の特性やスキルを生かして育成・配置を行うことで、従業員がやりがいを持って業務に取り組むことができます。
これにより従業員のモチベーションが高まり、責任感や達成感を得ることができます。また、それぞれが生き生きと働く職場はチーム力やエンゲージメントの向上にもつながるため、結果として離職率の低下が期待できるでしょう。
4.人材育成と後継者計画
タレントマネジメントによって、従業員のスキルや経験、評価などの情報を可視化できるため、人材育成の方針や育成計画を立てやすくなります。
これらの情報は、従業員のキャリアパスを検討する際や、将来の経営を担う人材を育成するサクセッションプランを策定する際にも役立ちます。
どのポジションにどのような人材が必要かを把握し、計画的に育成を進めることで、主要ポジションの後継者を段階的に育てることが可能です。
タレントマネジメントの活用は、人材育成と後継者計画を体系的に進めることを後押しし、組織の持続的な成長や安定的な運営にメリットがあります。
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5.採用コストの適正化
タレントマネジメントによって、従業員一人一人のスキルや経験、配置履歴、成果などを可視化すると、組織内で高い成果を上げている人材の特性をデータに基づいて分析できるようになります。
その分析結果をもとに採用要件を具体化すれば、求めるスキルやコンピテンシーを明確に定義した上で、選考ができるようになります。
面接官の主観に依存した採用活動から脱却し、定量的な根拠に基づく選考を行うことで、入社後のミスマッチや早期離職のリスクを抑制できるでしょう。
その結果、再採用にかかるコストや育成コストを削減でき、採用活動全体の効率化と費用対効果の向上につながります。
タレントマネジメントで基本となる管理すべき項目
タレントマネジメントは従業員に関する膨大な情報を一元管理しますが、基本となる管理項目は次の5つに分類できます。
ただやみくもに情報を集めればいいわけではなく、解決したい課題や掲げた目標から逆算して、管理項目を整理することが必要です。
| 基本管理項目 | 内容 | 項目例 |
| 基本情報 | タレントマネジメントの土台となる基本情報です。従業員の氏名、年齢、性別や生年月日、居住地、連絡先など、多くの個人情報が含まれるため管理方法に留意が必要です。 | 氏名、年齢、性別などの個人情報、厚生年金や雇用保険など社会保険や税金情報、部署や雇用条件など業務情報 |
| キャリア情報 | 学校卒業後から社会人としてどのようなキャリアを歩んできたか、過去から現在にわたるキャリア情報を蓄積し、管理します。タレントマネジメントは就業中の情報だけでなく、応募時に回収した過去の職務経歴書のデータ等を生かし、情報管理を行う場合があります。在職中は、人事異動履歴を管理しますが、組織変更を行うたびに人事異動履歴が自動連携するタレントマネジメントシステムを用いると、情報管理しやすいでしょう。 | 最終学歴、卒業年度、過去の業務経歴や人事異動歴の情報 |
| 能力・スキル | 従業員の能力やスキルに関する情報を管理します。保有スキルは日々変化すること、そして評価基準によって「スキルあり・なし」の状況は変わります。自社の計測基準に基づき、継続的に能力・スキル情報を管理することが必要があります。 | 保有スキルや業務経験、保有資格の情報 |
| 勤務状況 | 日々の労働時間や残業時間をはじめ、有給休暇の取得率や欠勤・遅刻情報を管理します。勤怠データをタレントマネジメントで管理し、他の項目と組み合わせて分析を行うことが可能です。 | 労働時間、残業時間、欠勤・休暇情報 |
| 性格・価値観 | 性格診断や適正結果の結果など、従業員の価値観や性格を表した情報です。サーベイや1on1ミーティングを実施している企業は、それらの結果をタレントマネジメントに反映することも可能です。 | サーベイや1on1ミーティングの結果、人事評価の情報 |
タレントマネジメントの管理・評価に必要な情報は、次の記事で詳しく解説しています。
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タレントマネジメントの導入に必要な項目は? 管理・評価に必要な情報を解説
タレントマネジメントの活用事例
ここまでは、タレントマネジメントの概論やタレントマネジメントシステムについて解説しました。
ここからはより具体的に、実際にタレントマネジメントシステムを導入している企業・タレントマネジメントを実践している企業の事例についてご紹介します。
WILLER EXPRESS株式会社
業界:運送業
事業概要:高速バス「WILLER EXPRESS」の統括管理・運行
従業員数:542名(2019年6月時点)
WILLER EXPRESSでは、全国の8つの営業所それぞれで従業員情報を表計算ソフトや紙で管理していました。社内統一のデータベースを保有しておらず、人材活用がしづらい状態でした。
そこで、バラバラに点在する情報を一元管理するため、タレントマネジメントシステムの導入を決定しました。
取り組みの際は、人材の大多数がドライバーであるため、従業員の健康管理が経営課題に直結している点に着目し、従業員の健康状態を一元管理できるシステムを選定しました。システム導入後は、従業員情報が可視化されたことで、他拠点との連携がとりやすくなり、社内コミュニケーション活性化の効果も得られました。
今後は、従業員一人一人の経歴や経験、スキル情報から、パフォーマンスを発揮しやすい職場環境との相関性を分析することを目標としています。
また、組織内のポジションをHRMOSタレントマネジメントで可視化させることで、ロールモデルづくり、個人のキャリアプラン形成に役立てたいと検討されています。事例の詳細は、次の記事をあわせてご覧ください。
内部リンク:人事データ活用最前線【WILLER EXPRESS株式会社】
三菱ケミカルグループ株式会社
業界:製造業
事業概要:総合化学メーカー
従業員数:約42,000名
三菱ケミカルホールディングス株式会社では、42,000名の従業員データをアナログに管理していました。しかし、従業員規模の大きさに加えて、3社合併の経験や世界中へ拠点が広がっていることに鑑みて、2019年頃からデータ活用を本格化させました。
長期的には「データドリブンな人事」を目指し、組織や場所を横断して人材情報を一元管理することを見据えて、取り組むべき内容を5つのフェーズに分けて実行しました。
上図から、環境整備とデータ基盤の構築に一定の時間を要していることがわかります。三菱ケミカルグループ株式会社では2019年の取り組み開始から約2年をかけて、データ分析を実行できる体制を整えました。
当初からすべてを実現したわけではなく、人事部門とデータ部門が連携し、段階的に取り組みを進めています。2019年にはリテンション分析、2020年にはテレワーク導入後の生産性影響調査に注力しました。
アンケート結果を単に集計するのではなく、定着阻害要因や生産性に影響を与える要素を特定し、仮説検証を通じて改善施策につなげています。
三菱ケミカルグループ株式会社の具体的な取り組みについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
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株式会社ニトリホールディングス
業界:小売業
事業概要:インテリア家具、生活雑貨などの製造・販売
従業員数:約4,000名
株式会社ニトリホールディングスのタレントマネジメントは、独自に行っている「配転教育」という教育方針がベースにあります。
配転教育とは、従業員が数年おきに必ず異動をする仕組みのことです。「ジョブローテーション」とは異なり、専門性を高めることを目的に異動を行います。
まず重要視するのが、従業員の将来やりたいことです。漠然とした目標やビジョンを描いてもらい、その目標とそれまでの経歴やスキルといったデータを掛け合わせて、その人の配置やその部署で学んでほしいことを明確にしていきます。この過程においてはタレントマネジメントシステムの活用が必要不可欠とのことです。
この取り組みの背景について、ニトリホールディングスの組織開発室 室長の永島氏に伺いました。詳しくはこちらをご一読ください。
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タレントマネジメントの導入方法とステップ
タレントマネジメントの導入方法を3つのステップで整理し、解説します。
各ステップの注意点を確認し、スムーズな導入を行いましょう。
ステップ1:データベースの構築
はじめに、タレントマネジメントのデータベースを構築します。
多くの従業員情報を扱うため、個人情報の扱い方やセキュリティ対策に配慮が欠かせません。
特に、表計算システムや紙で従業員とやり取りを行ない、情報収集する際は、情報の流出や転記ミスなどに留意しましょう。
ステップ2:データの収集・蓄積
次に既存データのクレンジング作業を行います。クレンジングとは、データの入力ミスや重複などを修正し、データの正確性を高める作業です。
クレンジングが完了したら、新しいデータを収集して追加していきます。データが不足していたり、古かったりすると正確な分析ができません。そのためにも、最新データの収集が不可欠です。
また、従業員データを収集する際は個人情報保護の観点から、利用目的の明示と同意が必要です。個人情報を提供する側の従業員の中には、情報を明かすことに対し否定的な人もいます。
そのため「何に利用するのか」「何の情報を集めるのか」を明確にして協力してもらうことが大切です。
ステップ3:データの分析・特定した課題に対するアクション
人事データを収集してシステムに入力すれば終わりではありません。従業員の状況は常に変化しているため、システムの導入後も定期的な情報の見直しが必要です。
例えば、新たな資格の取得や人事異動、昇格などが挙げられます。データをもとに評価したり進捗を確認したりするため、その都度更新し、最新の状態を保たなければ正しい判断ができません。
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タレントマネジメントの導入を成功させるポイント
タレントマネジメントの導入は、一朝一夕で完了するものではなく、トラブルを想定した仕組みづくりや事前準備が欠かせません。
ここでは、タレントマネジメントの導入を成功させるポイントをご紹介します。
1.企業が抱えている問題点を明確にする
タレントマネジメントだけでなく、どの施策も「とりあえず導入する」だけでは意味を成しません。
解決すべき人材課題が曖昧なままでは、データを収集しても活用にはつながらないためです。
まずは、自社が抱えている人材課題を具体的に整理することが重要です。
例えば、若手の早期離職が問題なのか、次世代リーダーが不足しているのか、配置の最適化が進んでいないのかによって、必要なデータや指標は異なります。
課題を可能な限り数値で定義し、現状と目標とのギャップを明確にしていきましょう。
自社の課題を具体化できてはじめて、収集すべきデータや分析の方向性が定まり、タレントマネジメントの取り組みが実効性を持ちます。
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2.従業員の理解を得る
タレントマネジメントを機能させるためには、従業員の理解を得ることが重要です。
ただし、現場の従業員にとっては「監視されるのではないか」「評価が厳しくなるのではないか」といった不安が生じることもあります。
こうした不安を解消するため、導入の背景や活用目的、データの取り扱い方針を丁寧に説明し、個人の成長支援につなげる取り組みであることを共有しましょう。
また、従業員だけでなく、経営層の明確なコミットメントが不可欠です。人材データの可視化や評価の高度化は、組織文化や権限構造にも影響を及ぼすため、トップが目的や意義を明確に発信しなければ形骸化しやすくなるためです。
3.成功事例を参考にする
成功事例から学ぶことも、タレントマネジメントを成功させるためのポイントです。成功事例を参考にすると、より具体性を持ってタレントマネジメントを導入・運用できます。
例えば、従来はグループ会社ごとに人事評価を行っていた大手企業が、タレントマネジメントを導入して人事評価を全社で統一したという事例があります。
人事評価を統一したことで、より適材適所に人材を配置できるようになり、結果的に企業の業績アップにつながった成功事例の一つです。
その他の事例を詳しく知りたい方は、次の記事もあわせてご覧ください。
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4.失敗事例を参考にする
成功事例を参考にするのと同様に、タレントマネジメントの失敗事例からヒントを得ることも大切です。
失敗事例を参考にすることで、事前に対策すべきポイントを把握できるためです。
例えば、タレントマネジメントの導入時に、「必要な人材要件を明確化していないため、社内で適切な連携がとれなかった」「従業員への説明が不十分で、タレントマネジメントシステムに情報反映がされなかった」という失敗事例があります。
失敗をどのように乗り越えたのかなど、失敗事例を詳しく知りたい人は次の記事もあわせてご覧ください。
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タレントマネジメントの失敗事例11選!失敗理由と成功のポイントを紹介
5.タレントマネジメントシステムを活用する
タレントマネジメントを成功させるためには、タレントマネジメントシステムの活用が欠かせません。
タレントマネジメントで扱う人事情報は多岐にわたるため、表計算ソフトや紙で従業員情報を管理する方法では、情報の更新や共有が難しくなる可能性があります。
そのため、従業員のスキルや評価、キャリア情報などを一元管理できるタレントマネジメントシステムを導入し、組織全体で人材情報を活用できる環境を整えることが重要です。
タレントマネジメントシステムの比較方法
タレントマネジメントシステムを選定する際は、次のポイントを意識して比較検討すると、自社に合ったシステムを選びやすくなります。
- 従業員と人事双方にとっての使いやすさ、UIUX
- 費用対効果
- 他システムとの連携可否
- サポート体制
特に、使いやすさは導入後の定着に大きく影響します。直感的に操作できるか、カスタマイズがしやすいかなどをデモ画面などで確認するとよいでしょう。
また、導入費用や運用費用だけでなく、給与・勤怠・採用などの既存システムと連携できるかどうかも重要なポイントです。
さらに、問い合わせ対応やマニュアルの整備状況など、サポート体制もあわせて確認しておくと安心です。
HRMOSタレントマネジメントには「社内版ビズリーチ」機能があります。「社内版ビズリーチ」は、ビズリーチの優れたマッチング技術を活用し、従業員のスキルや経験をもとに、社内公募できる機能です。この機能を使えば、従業員のキャリアをサポートしながら、最適な人員配置によって業務効率を高められます。詳細は「社内版ビズリーチ」よりご確認いただけます。
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タレントマネジメントの今後の展望
タレントマネジメントは、企業の人材戦略において重要な役割を果たしています。今後は以下の3つが進み、さらに企業経営において不可欠なツールとなるでしょう。
- 個人情報の保護
- AIの活用
- 人的資本経営との連携
これらの要素を取り入れることで、より効果的な人材マネジメントが可能になると考えられます。
個人情報の保護
今後の企業経営において、従業員の個人情報や業績データの管理は不可欠です。しかし、これらのデータを活用するには、プライバシーの保護や倫理的な配慮が重要になってきます。
人事部門は個人情報保護法の内容を十分に把握して、日々の業務を行うことが不可欠です。また、人事部門以外の従業員にも基本的な内容を理解してもらうための教育を行う必要があります。
多くの企業が紙や表計算ソフトなどで人事情報を管理していますが、セキュリティを強化するために、情報は一つのシステム上で管理するのが望ましいでしょう。従業員に関わるさまざまな情報を管理するため、細かく閲覧権を設定するなど個人情報の管理体制の整備が不可欠です。
AIの活用
タレントマネジメントの分野でもAIの活用が進んでいます。AIを活用することで、従業員一人一人の潜在能力を見出すことが可能です。
また、将来必要となる人材要件を把握し、計画的な採用計画を立て、育成することにも活用できます。このように、従来は人の手で行っていた作業をAIに任せられるようになりました。
AIは、客観的で公正な評価が可能で、膨大なデータの収集・分析が自動化できるため、タレントマネジメントと親和性が高い点が大きなメリットです。
一方で、AIの判断には偏りが生じる可能性もあるため、AIの分析結果だけに頼らず、最終的な意思決定は人の手で行うことが必要です。AIを上手に活用することで、より高度なタレントマネジメントが実現できます。
人的資本経営との連携
タレントマネジメントを推進する上で、人的資本経営の視点は切り離せません。
人的資本経営とは、人材をコストではなく投資対象として捉え、その価値を高めることで企業の中長期的な成長につなげる経営手法です。
つまり、タレントマネジメントが「人材の把握と活用」を目的とするのに対し、人的資本経営は「その成果を企業価値の向上へ結びつける」ことを目的としています。両者は目的と手段の関係にあるといえるでしょう。
自社が抱える人材の価値を高めるためには、現状の人材ポートフォリオと将来の事業戦略とのギャップを可視化し、育成・配置・評価といった具体的な施策へと落とし込む必要があります。
このギャップを構造的に把握する基盤として、タレントマネジメントシステムの活用が有効です。
さらに、人的資本の情報開示が求められる現在、分散した表計算ソフトや紙資料をもとにデータを集約する運用では、迅速かつ継続的な開示体制の構築は難しくなります。タレントマネジメントを通じて人材データを一元化し、経営指標として活用できる状態にしておくことが、人的資本経営の実効性を高める鍵となります。
今後は、単なる人材情報の管理に留まらず、戦略と連動したデータ活用を前提とするタレントマネジメントへと進化していくことが求められるでしょう。
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まとめ
タレントマネジメントは、人材を感覚ではなくデータに基づいて把握・活用することで、人事戦略を高度化する取り組みです。
採用・育成・配置・評価を一貫して最適化することで、従業員の成長と企業の競争力向上を同時に実現できます。
人的資本経営や働き方の多様化が進む中、タレントマネジメントは単なる人事施策ではなく、経営戦略を支える基盤と位置づけられています。
自社の課題を明確にし、目的を定めた上でタレントマネジメントに段階的に取り組むことが成功の鍵といえるでしょう。
具体的な導入事例は、こちらの記事で紹介していおりますので、あわせて参照ください。
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