人事データ活用最前線【WILLER EXPRESS株式会社】

本記事では、「人事データ活用最前線」のシリーズとして、実際に人事データを活用している企業の活用事例をご紹介します。今回ご紹介するのは、高速バスや空港バスの運行を行っている「WILLER EXPRESS株式会社」の人事データ活用事例です。代表取締役の平山幸司様に人事データを活用しようと思ったきっかけや効果、そしてこれからのビジョンについて伺いました。

企業紹介

WILLER EXPRESS株式会社
  • 業界:運送業
  • 事業概要:高速バス「WILLER EXPRESS」の統括管理・運行
  • 従業員数:529名(2021年4月時点)

今回お話を伺った方

代表取締役 平山幸司様

社内統一のデータベースがなく情報収集に時間がかかっていた

ー今の人事データ管理体制を構築するにいたった背景を教えてください。

弊社は全国に8つの拠点があるのですが、以前はそれぞれの営業所で「Excel」や紙で従業員情報を管理していました。社内統一の「データベース」が存在しておらず、どのような経歴の社員がどの部署で、どのような業務についているのかが不透明だったので、社内の人材活用も進まない状況でした。前職の経験を生かした人材配置を実現したくても、その情報は各営業所の所長しか把握できていない状態。さらに、職務経歴書は紙で管理されていため、個人情報を集めるだけで時間がかかっていました。従業員のポテンシャルとスキルを活かした配置や人材活用は事業成長に欠かせないとずっと考えていたため、まずは社内で統一の「人事データベース」を作ろうと決めました。

従業員の「見える化」によってコミュニケーションが活発化

ー人事データベースができたことで、具体的にどのような成果が出たのでしょうか?

人事データをハブに従業員同士のコミュニケーションが活発化しました。システム導入により、相手の基本情報を検索できるようになったことで、従業員からは「登録してある社員の顔写真や基本情報が閲覧できるので、他拠点の社員に連絡をとる際、相手の顔が分かるようになって話しやすくなった」との声があがっています。拠点が離れていても、お互いの情報が見えるので、「いつもメールや電話のやりとりをしていたのはこの人だったんだ!」と親近感を持ちやすくなりました。

人材発掘と従業員の健康管理にも活用したい

ー今後、集約した人事データをどのように活用していきたいとお考えでしょうか?

今後は、「人材発掘」と事業を支える「従業員の健康管理」に人事データを活用したいと考えています。従来の「Excel」や紙の管理にはなかったデータベースの高い検索性を生かして、「こういう経歴の人はいないか」「社内評価を見てみよう」など、さまざまなパターンで人材を探していきたいです。データ活用だけではなく、「こういう経歴の方は、乗務員として成果を出しやすい」など、前職、経験・スキルとパフォーマンスの高さの間に相関関係を見出すこと。さらにデータ分析を進められれば、人材配置はもちろん、採用の段階から当社に適した人材を採用できるでしょう。

また、組織内のポジションをシステムで可視化することにより、ロールモデルづくりや個人のキャリアプラン形成にも役立てたいと考えています。人事制度を整え、まずは所長、係長、チームリーダーなどのポジションを従業員データベースで明確に見せていきたい。それによって、「自分も来年はチームリーダーになれるようにがんばろう」など、キャリアパスの具体的なイメージを持てるようになると考えています。

次に、従業員の健康管理についてですが、経営陣やマネジメント層が従業員の健康状態を把握しておくことは、高速バスの運行を行う事業にとって非常に重要です。しかし、これまで従業員の健康診断の結果などを把握していたのは、各営業所の保健担当者と所長だけでした。確認の際には、保健師に問い合わせが必要で、情報が得られるまでに時間がかかり、機密性や正確性にも問題がありました。人事データ活用により、健康診断の結果や服薬の状況などを一元化できれば、情報の機密性を守りつつ、従業員の健康状態を把握することが可能になります。事故の予防と安全性の確保にもつながり、当社にとって大切なデータベースになると思っています。

※企業情報などはインタビュー時点のものです