やりがい搾取とは?事例や原因、発生しやすい職場の特徴、対策を紹介

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企業の評価や従業員の働き方にかかわる表現にはさまざまなものがあり、「やりがい搾取」という言葉もメディアでたびたび取り上げられるなど注目を集めています。自社にはあまり関係のない言葉だと認識している企業も少なくないでしょう。しかし、それは思い込みである可能性も否定はできません。本記事では、やりがい搾取の意味、事例や原因、発生しやすい職場の特徴、従業員から「やりがい搾取では?」と思われないために企業が押さえておきたい基礎知識や対策などを解説します。

やりがい搾取とは?

そもそも、「やりがい」とは仕事などの行動や作業に価値を見出し、それに対する気持ちの高まりを指す言葉です。実際に行う作業を心から楽しめている場合や、その先に充実感や達成感があれば「やりがいのある仕事」といえるでしょう。「やりがい搾取」とは、従業員のそうした気持ちを利用し、無理な作業を行わせたり不当な労働を強いたりすることを指します。企業の中には、従業員にやりがいを感じていることを錯覚させる仕組みを構築し、同様の作業や労働を強いるケースもあります。

やりがい搾取の定義

やりがい搾取の意味は曖昧な部分が多く、明確な定義はありません。従業員の捉え方によっても異なるといえます。例えば、同じ企業で働いている従業員でも、一部は「やりがい搾取だ」と感じる一方で、別の従業員は「実にやりがいのある仕事だ」と心から思っているケースも少なくありません。もちろん、年齢や与えられている業務内容、ポストや責任などによっても捉え方は異なります。重要なのは、一部の従業員に対してでも、やりがいを搾取されていると感じさせてしまうと、企業にリスクが生じる可能性がある点です。定義が曖昧だからとなおざりにはせず、従業員にやりがいを搾取されていると捉えられない経営・運営が求められます。

やりがい搾取が社会に浸透した背景

やりがい搾取という言葉が社会に浸透したのは、労働人口減少の影響があるでしょう。多くの企業にとって、待っていれば入社希望者が集まり、その中から能力のありそうな人材を採用すればよいといった時代は終わりました。人手不足が少しずつ顕在化し、企業は求職者に選んでもらわなければ優秀な人材の確保が困難な状況となりつつあります。また、情報化社会により企業の内部事情が社外へと漏れやすくなったことで、やりがい搾取が常態化した企業の存在を多くの人が認知可能な時代にもなってきています。さらに、多様化が進む社会において、やりがいの搾取は受け入れられないと考える労働者が増えてきたことも、社会に広く浸透した大きな理由です。

やりがい搾取とブラック企業の違い

やりがいを搾取する傾向にある企業をブラック企業と呼べるか否かも非常に曖昧です。確かに共通する部分はあるものの、必ずしもブラック企業であるとはいえないでしょう。中には、やりがいを搾取している自覚のない企業もあります。説明したように、従業員の捉え方次第でもあるため、一部の従業員がやりがいを搾取されていると感じても、即座にブラック企業と認定するのは困難です。また、ブラック企業にしばしばみられるパワハラや強迫行為などがあるとも限りません。企業の経営者や管理者は、ブラック企業ではないからと安心せず、「やりがいを利用してはいないか」と改めて考える必要があります。

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やりがい搾取とみなされやすい事例

やりがい搾取に明確な定義はないものの、法令に違反したり、それに近い行為やルールがあったりしては問題です。やりがいを搾取しているとみなされやすい事例をいくつか紹介します。

1.割増賃金の未払い

時間外労働や深夜労働などがあった際、企業には従業員に対する割増賃金の支払いが義務付けられています。これらの賃金が未払いの場合は非常に問題です。従業員が能動的に働いている、あるいは、意欲を持ち好きなことをしているなどにかかわらず、割増賃金は支払わなければいけません。法令違反であるだけではなく、従業員のやりがいを搾取する体質の企業とみなされてしまいます。

2.最低賃金以下での労働

法令で定められた最低賃金以下での労働を強いるのも同様です。最低賃金は、上記の割増賃金や各種手当は含まない形で算出しなければいけません。それをしていないケースはもちろん、ペナルティなどの名目で給与から差し引き、結果的に最低賃金以下での労働になっている場合も問題があります。従業員のやりがいを利用した法令違反行為であるといえるでしょう。

3.有給休暇の取得不可

一定の条件を満たした労働者に与えられる権利である有給休暇。この取得を許さない企業も問題です。また、従業員の述べる理由によって有給休暇を取得させるか否かを決定することも不当な扱いといえます。さらに、有給休暇の申請がしづらい雰囲気が社内にあるケースも同様です。企業側に「やりがいがあるのだから、休みたいとは思わないはずだ」といった極端な思考があるケースが少なくありません。

4.ボランティア活動などへの参加の強要

企業でボランティア活動を行うことは素晴らしいものの、従業員への参加を強要するケースでは、やりがい搾取と捉えられてしまう可能性があります。強制的なボランティア活動への参加は、まさにやりがいがあるものと企業が思い込み、それを従業員の意思とは無関係に強いてしまうためです。特に、休日などを利用した活動への参加を強要していないか、あるいは、参加せざるを得ない雰囲気を作り出していないか、企業側は注意する必要があります。

5.研修やツアーの参加費の徴収

研修やツアーへの参加強要も要注意です。従業員に参加意欲があればよいものの、ボランティア活動と同様に参加せざるを得ない雰囲気がある場合は、やりがいの搾取と捉えられてしまいかねません。参加は任意であるにもかかわらず、不参加の従業員は評価で不利となるなどの恣意的な判断があれば、より大きな問題となります。参加費も従業員が負担するとなれば、まさに、やりがいを利用した企業の独り善がりのイベントといえるでしょう。

6.社会保険の未加入

従業員の社会保険の加入も企業が負うべき義務です。賃金や有給休暇などと同様に、法令で決められた社会保険へと加入しなければいけません。それをせずに労働させた場合は法令違反であるとともに、やりがいを名目として適切な福利厚生を与えずに従業員を働かせていると捉えられます。法定外福利厚生が用意されていなくても法令違反とはなりませんが、福利厚生が極端に少ない企業も要注意です。満足・納得するか否かは従業員の価値観次第ではあるものの、労働内容によっては社会的にやりがい搾取とみなされかねないケースが出てくるでしょう。

7.昇給や昇格がない

長期間勤めているにもかかわらず、昇給や昇格がない場合も、やりがいを搾取する傾向の強い企業とみなされかねません。あるいは、同様の業務をこなし同等の成果をあげているにもかかわらず、従業員により昇給や昇格の程度が異なる企業も要注意です。従業員の性格や意欲を利用していると判断される可能性があり、それがやりがい搾取であると捉えられるケースがあります。

やりがい搾取が生まれる原因

意図的であるか否かは別として、やりがい搾取が生まれやすいのには理由があります。従業員のやりがいを搾取してしまう原因をみてみましょう。

1.コストの削減意識

企業である以上、利益を追い求めることは当然です。そのために、可能な限りコストの削減を目指すのも当然でしょう。しかし、コストの削減意識が高まると、従業員のやりがいに甘えた環境や体制が生まれてしまう可能性があります。特に、人件費の削減を目指す企業では、やりがい搾取が生まれやすい傾向がみられます。低賃金であっても、従業員の意欲さえ高められれば経営が回ると安易に考えてしまうためです。

2.業界や職種の特殊な構造

各業界には、その業界なりの構造や考え方があるものです。それが、従業員のやりがいを利用する企業を生み出していることが多々あります。業務がマニュアル化されておらず、属人的になりがちな業界や職種が当てはまります。あるいは、営業職など行動量が成果へとつながりやすい職種も、従業員のやりがいや意欲に頼った構造となりがちです。それが常態化しているため、企業も改善できずに、時代に合わない体質のままとなっている可能性があります。

3.企業の古い体質や慣習

業界や職種とは関係なく、企業そのものの体質や慣習が残っているケースも少なくありません。特に、ワンマンの経営者や叩き上げの管理者のいる企業に多くみられます。そうした経営者や管理者の価値観をもとに組織が作られると、やりがいという名目をもとに従業員に激務を課してしまうことがあります。結果的に、やりがい搾取の横行する企業となってしまうでしょう。

4.価値観の相違

やりがい搾取が生まれる大きな原因に、経営層と従業員の価値観の相違があります。上記の経営者や管理者の例も同様ですが、上司と部下の間に価値観のミスマッチがあれば、やりがいを搾取されているとの誤解が生じかねません。説明したように、やりがい搾取の定義は曖昧なため、一部の従業員の誤解が企業そのものの体質とみなされる可能性があります。あるいは、利益を追い求める経営層の思惑と業務を必死にこなす従業員の意識との間に大きなギャップがあることで、やはり、やりがい搾取と捉えられてしまうでしょう。そうした価値観の相違が埋まらないまま放置し続けると、実際にやりがいを搾取する企業となってしまうこともあります。

やりがい搾取が職場(企業)へもたらすリスク

職場(企業)に自覚があるかどうかは関係なく、従業員のやりがいを利用した経営は多くのリスクをもたらす可能性があります。やりがい搾取が職場へともたらす可能性のあるリスクをみてみましょう。

1.生産性の低下

従業員が、やりがいを搾取されているのではないかと疑問を持つと、モチベーションや企業へのエンゲージメントが低下します。業務に対する意欲が減るため、生産性も落ちてしまうでしょう。従業員がやりがいを感じていたとしても、環境や体制に問題があれば健康状態に問題が生じかねません。そのような従業員が増えてしまえば、生産性の低下を避けるのは困難です。

2.離職率や休職率の増加

極端に意欲や体力が低下し健康状態が悪化すれば休職へとつながり、結果的に退職してしまうリスクを高めます。離職率や休職率の増加は、企業にとって小さな問題ではありません。従業員のやりがいを利用し利益を追求した結果、多くの従業員が辞めてしまえば、利益を上げることは難しくなるでしょう。

3.企業の価値や評価の低下

やりがいを搾取する体質のある企業であることが社内外に広まれば、企業の価値や評価は下落します。情報化社会において、一定以上の規模の企業が、社内事情や体質を隠し続けることは困難です。極端なやりがい搾取が横行していれば、企業に自覚があるかどうかは関係なく、価値や評価の低下へとつながる事情や体質が社外にも広まってしまうでしょう。業績やビジネス展開への悪影響も避けられません。

4.採用・育成コストの増加

離職率や休職率の増加、さらには、企業の価値や評価の低下は採用や育成にかかるコストの増加へとつながります。やりがい搾取をしている企業で働きたいと考える人は少ないためです。離職者が出るたびに人員を補充していれば、大きな採用コストがかかってしまうでしょう。成長する前に辞めてしまえば、新たな人材の育成コストもかさみます。十分な応募者確保のために広告宣伝費なども増やさなければいけません。こうしたコストの増加は利益を圧迫しかねないため要注意です。

5.訴訟リスクの発生

価値観の相違により従業員が一方的にやりがいを搾取されていると考えるだけであれば、訴訟まで発展するケースは少ないでしょう。しかし、最低賃金を下回る給与しか渡していない、有給休暇の取得を認めていない、社会保険に加入していないなど、明らかな法令違反がある場合には訴訟リスクが発生します。従業員に訴えられれば、企業イメージの失墜は免れません。極端なケースではありますが、法令違反をしていないか定期的に確認する必要があります。

やりがい搾取に陥りやすい職場(企業)の特徴

やりがいの搾取は、企業が気づかないうちにしてしまっているケースも少なくありません。ここでは、やりがい搾取へとつながりやすい職場(企業)の特徴を紹介します。

1.過剰な成果主義

やりがいを搾取しがちな企業が取り入れる要素の一つに「ゲーム性」があります。過剰な成果主義は、このゲーム性を生み出します。成果をダイレクトに給与や昇格へと反映させる制度や体制は過度な残業や強引な業務へとつながり、やりがい搾取となってしまうリスクを高めるでしょう。業務やコミュニケーションに文字通りゲーム性を持たせたり、競争原理が働く仕組みを導入したりしている企業にも同様のリスクがあるので要注意です。一定の範囲内であれば効果はあるものの、自社のシステムが過剰なものになっていないかの点検が常に欠かせません。

2.成果を反映させない評価制度

過剰な成果主義はリスクを高めますが、成果をまったく反映させない評価制度のある企業も注意が必要です。特に、労働時間や業務量、意欲・態度などで評価を決定する制度は危険です。従業員は評価を受けるために、労働時間や業務量を増やしかねません。それが常態化すると、外部からみればやりがい搾取となってしまう可能性があります。成果を出している従業員も、成果を出していないものの労働時間や業務量の多い従業員よりも評価が及ばなければ、次第に労働量を増やす働き方となってしまうでしょう。生産性や効率性が上がらず、また、労働量に賃金が見合わない状態となれば、やりがいを搾取する構造へとつながります。

3.夢や社会的意義の押し付け

夢や社会的意義を従業員へと押し付け、そのために働いているといった意識を植え付けさせる企業は非常に危険です。「趣味性」と呼ばれる、やりがいを搾取する体質を生み出す原因の一つとなるでしょう。やりがい搾取の典型的な例でもあります。夢や社会的意義を抱かせること自体は問題ないものの、それを掲げながら重労働や長時間労働を強いるのは問題です。徐々にそのような体質へと移行するケースもあるため、企業体質として、具体的な目標ではなく夢や社会的意義といった概念が先行していないか注視しなければいけません。

4.過度な精神論や根性論

十分な報酬や休養を与えず、過度な精神論や根性論で業務を担わせる企業も要注意です。いわゆる「奉仕性」と呼ばれる体質であり、やりがい搾取へとつながりかねません。企業の理念で掲げていたり、経営層や管理者が従業員に精神論や根性論を説いていたりする場合は危険な状態といえます。適切かつ合理的な指導や育成ができない管理者にありがちな傾向なため、企業全体で注視する必要があります。

5.業務とは無関係な研修の実施

業務や能力開発に直結したり親睦を深めたりするための研修や活動であれば問題は生じないでしょう。しかし、業務とは無関係の研修などが頻繁に実施されている企業は注意が必要です。経営層や管理者の独断で、従業員にそうした活動を強いている可能性が高いためです。やりがい搾取の原因の一つである「サークル・カルト性」にもつながります。また、夢や社会的意義のほか、自己実現などとも絡め研修への参加を強制している企業は、特に、やりがい搾取を生み出しかねません。

6.ノルマや高すぎる目標の設定

ノルマや高すぎる目標の設定は、往々にして従業員に過剰な労働を強います。時間外労働や休日出勤などをしているにもかかわらず、ノルマや目標を達成できなかったことを理由に十分な賃金が支払われなければ、さらに問題です。こうした企業は、従業員の業務遂行の動機をやりがいに見出そうとする傾向があり、結果的に、やりがい搾取へとつながります。適切な目標設定は、むしろ生産性や効率性を高める可能性があります。しかし、高すぎる目標設定は心身ともに負担が大きくなるため、個々の従業員に合った目標設定が重要です。

7.経営状態の悪化

やりがい搾取は、利益追求型の企業に多くみられる特徴です。これまではそのような傾向がなくても、経営状態が悪化することで、従業員のモチベーションに頼ってしまうケースがあります。次第に、夢や社会的意義などを持ち出し、精神論や根性論で乗り切ろうとしかねません。にもかかわらず、従業員の待遇が向上しなければ、結果的にやりがいを搾取する状態となってしまうでしょう。

やりがい搾取とならないための対策

従業員に、やりがいを搾取していると感じさせると、それだけでも企業にとっては大きなリスクが生じます。そのような事態を避けるためには、事前の対策が重要です。ここでは、やりがい搾取をしている企業だと判断されないための、また、そのような体制を改善するための方法を解説します。

1.全社的な意識改革

やりがい搾取は、経営層や管理者の意識により生まれるケースが大半です。しばしば、経営層がそれを自覚していないことも少なくありません。まずは、企業を経営・運営する立場にある人の意識改革が求められます。多様性を重視し、偏った見方や指導は避け、個々の従業員の能力を発揮させる環境の整備が重要です。また、従業員の意識改革も不可欠です。やりがいを搾取されていることに気づかない、気づいても指摘できない状態は非常に危険でしょう。企業自ら、やりがい搾取に関する研修を実施し全社的な意識改革を行うことで、やりがいを搾取してしまう企業となることを防げます。

2.労務管理の徹底や見直し

法令違反はあってはいけませんが、法令で認められている範囲だからと重労働や長時間労働を安易に容認・黙認するのは避けた方がよいでしょう。従業員の勤務時間を適切に管理し、勤務状態や業務への取り組み姿勢などもチェックしながら、労務管理を徹底する必要があります。必要に応じて、管理体制や規約を見直したり、労務管理や勤怠管理に関するシステムを導入したりしましょう。体制やシステムの構築・導入により、やりがい搾取を企業として認めないというメッセージの発信も重要です。労務管理の徹底や見直しは、企業としての体質改善にも寄与します。

3.相談窓口の設置

やりがいを搾取しており、しかし、経営層や管理者が気づかないようであれば、従業員自ら指摘するしかありません。そのための相談窓口の設置が必要です。相談窓口があるだけでも従業員は安心感を得られるでしょう。企業側も適切な運営を心がけるきっかけとなるため、従業員がいつでも声をあげられる状態にしておくことは非常に有意義な対策となります。

4.正当な評価制度の導入

過剰な成果主義や、労働時間や意欲・態度のみで評価する制度は見直す必要があります。さまざまな要素をバランスよく取り入れ評価する制度の導入が不可欠です。また、そうした評価制度を社内に周知させる必要もあります。極端な、あるいは曖昧な評価制度では、やりがいを見出して働かざるを得ない従業員も出てきてしまうでしょう。多くの従業員が納得できる評価制度の導入により、やりがいを感じつつも成果や昇給なども求めながら健全に働ける環境が整えられます。

5.コミュニケーションの活性化

やりがい搾取の原因の一つに、役職や立場による価値観の相違があります。この価値観の相違を可能な限り修正するためには、社内コミュニケーションが欠かせません。積極的なコミュニケーションが図れる環境や雰囲気づくりも、やりがい搾取の常態化を防ぐための対策となり得ます。当然ながら、役職や立場を超えたコミュニケーションの場が重要です。定期的な面談の実施も対策の一つでしょう。管理者は、そうしたコミュニケーションから汲み取った従業員の意見や価値観の組織運営への活用が求められます。

6.DXの推進

やりがいを搾取する傾向の強い企業は、DX化が遅れているケースが少なくありません。業務の効率化が進んでいないため、従業員の無理な勤務体制や長時間労働へとつながっている可能性が高いといえます。社内業務のDX化を推進し効率化が図れれば生産性も上がります。従業員の勤務状況も改善され、精神論や根性論、従業員のモチベーションに頼らずとも利益が生み出せる体制が整えられるでしょう。

7.サーベイの実施

対面のコミュニケーションでは難しい従業員の本音を聞き出すための施策がサーベイです。定期的に従業員へと調査を実施し、企業に対する意見やエンゲージメント、業務への不満や要望などをあぶり出します。経営層が意識していないだけで、実は従業員はやりがいを搾取されている意識を抱いている可能性も否定はできません。思い込みで判断するのではなく、サーベイの実施により従業員の価値観とのギャップの把握が不可欠です。その結果を意識改革や労務管理の見直し、新たな評価制度の導入などに活用します。サーベイの実施そのものも、企業にとってはよい意味でプレッシャーとなるため、やりがい搾取を未然に防ぐための対策となり得るでしょう。

やりがい搾取には適切な対策が必要不可欠

従業員の意欲を利用し、無理な業務や長時間労働を強いる「やりがい搾取」。意図的に行う企業もあれば、そうした構造や体制に企業自身が気づいていないケースも珍しくはありません。やりがい搾取は、離職率の増加や企業の評価の低下など、多くのデメリットをもたらします。企業が気づきづらいからこそ、積極的な意識改革や労務管理の見直し、コミュニケーションの活性化などにより対策を講じる必要があります。

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