タレントマネジメントの必要性は?意味、なぜ必要なのか徹底解説

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タレントマネジメントの必要性が話題になっていますが、なぜ企業が導入した方が良いのかが判然としない人もいるでしょう。タレントマネジメントは人事課題や経営課題を解決するのに重要な意味を持ちます。この記事ではタレントマネジメントの必要性が高まっている現状についてまとめました。タレントマネジメントの意味、なぜ必要なのか、目的やメリット、導入のポイントも解説するので参考にしてください。

タレントマネジメントとは?

タレントマネジメントとは、タレント(才能)をマネジメントするという意味を持つ組織論の用語です。組織がビジネス目標を達成するために有能な従業員を引き付け、維持し、育成するために使用する戦略的アプローチなどがその対象となっています。タレントマネジメントが有効に機能していれば、働く人たちのスキルと能力が把握でき、それを育成・活用することで、その組織にとって「適切な時期」に「適切なポジション」に「適切な人材」を配置できるようになります。

タレントマネジメントの対象をより具体的に検討すると、新しい従業員の採用・調達、教育・育成、離職防止、人材の適材適所でのアサインメントなど広範な活動が含まれていることがわかります。競争の激しいビジネス領域においては、このようなタレントマネジメントの必要性は特に大きいものがあります。なぜなら、組織は優れたスキルと才能を持った人材なしでは、競争を勝ち残れないからです。たとえば、IT系などの特定のスキルが必要で、かつ今後の発展が見込まれる分野では、人材不足は常態化する傾向にあります。このような業界では、タレントマネジメントを経営の中心的課題に据える必要があるのです。効果的なタレントマネジメントの運用が成功すれば、組織にとってベストな人材の採用、維持が可能になります。結果として、生産性や革新性の向上と利益率の改善が期待できるでしょう。

タレントマネジメントの必要性が高まっている理由

タレントマネジメントの必要性が高まっているのは企業における人材の活用可能性が広がる一方で、人材流出によるリスクも負うようになってきたからです。なぜ必要なのか、具体的な理由を4つにまとめたので確認しておきましょう。

1.人材の流動性が高まっているから

人材の流動性が高まってきた影響でタレントマネジメントの必要性が高まっています。日本では就職したら終身雇用で同じ企業で働き続けるのが一般的でした。しかし、働き方改革の影響を受けて、転職して自分のスタイルに合う仕事を探すようになってきています。新卒の内定辞退や、就職直後の退職なども相次いでいる状況があり、転職市場が広がっているのが現状です。適材の獲得をできるようにする対策と、優秀な人材の流出を防ぐ基盤が必要になっています。

2.ダイバーシティへの対応が必要になっているから

企業にダイバーシティが求められるようになったことでタレントマネジメントの重要性が高まりました。多様性を受け入れて、さまざまなタレントを持つ人材を有効活用することが求められる時代になっています。仕事に求めることやプライベートとの関係などの価値観が多様化しています。性別や年齢、国籍や経歴を問わずに人材を採用しているケースも多くなりました。ダイバーシティによって企業評価がおこなわれるようになったことも受けて、タレントマネジメントの必要性が急騰しています。
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3.環境変化への対応力が求められる時代になったから

環境変化に柔軟に対応できることが企業に求められる時代になったのもタレントマネジメントが注目されている理由です。コロナウイルスの世界的な感染により、リモートワークの導入などの施策を取らなければならないケースがたくさんありました。このような想定外の事態に対応できるようにしなければ企業の事業継続はできません。時代の環境変化に対応して臨機応変に人材の採用や育成を進めるのが大きな人事課題になっています。タレントマネジメントは人材の適性管理にも育成にも応用できるので重要視されています。

4.少子高齢化による人材不足への対応が必要だから

タレントマネジメントは少子高齢化への対策としても必要性が高まっています。少子化によって新卒採用が難しくなり、予定通りの人数を獲得できないケースも増えてきました。高齢化によってシニア世代の採用ができるようになり、人材の活用可能性について広く考える必要が生じています。採用した優秀な人材を定着させつつ、業務内容に応じてシニアの活用も視野に入れることが重要になっています。

タレントマネジメントの必要性について、次から大きく「人材調達」「人材育成」「人材の離職防止」に分けて説明していきます。

タレントマネジメントの必要性1:人材調達

人材の調達は、タレントマネジメントの最も重要な要素の一つです。しかしながら、一般的に人材の調達とその後の教育・育成は、前後関係にある別のものと捉えられがちでしょう。まず、採用プロセスや選考を通じた人材調達によって、その組織にとって最も適格な候補者を選択します。その人材が組織のメンバーに採用された時点で、教育・育成の対象となると考えるのです。つまり、最初に「組織外」から人材を調達し、「組織内」のメンバーになったあとで、改めて人材の特性を考えたり、育成を始めるというものです。

しかしながら、タレントマネジメントという概念では、人材の調達について、その後続のプロセスに接続して一体的に捉えることを可能にします。つまり、人材マネジメントに関連するすべてのプロセスを統一的にデザインできるのです。以下では、タレントマネジメントを人材調達に導入する重要性と、それらが相互にどのように関連しているかについて説明していきます。

人材調達から職場環境までをシームレスに接続

タレントマネジメントは、組織が競争力を維持し、ビジネス目標を達成するために不可欠な要素です。現代の急速かつ変化に富んだビジネス環境では、組織は内的及び外的変化に柔軟かつ迅速に適応する必要があります。そこに必要なものは、革新的な力を持ち、組織の継続的運営の維持に貢献できる人材です。また、熟練したスキルを持つ意欲的な人材も必要となります。タレントマネジメントは、仕事を効果的に遂行するために必要なスキル、知識、経験を持つ人材のデータを元に、組織が適切な人材を適切な役割に配置し、活用できるようにする強力な思考の枠組みなのです。

人材調達段階でタレントマネジメントの考え方を採用することによって、その組織の現在と将来にわたる人材ニーズを特定したり、効果的な人材調達戦略を開発したりする視点が得られます。同時に、タレントマネジメントによって、従業員のエンゲージメント、職業的成長、職場への定着を支援することに役立つ情報も得られるため、良好な職場環境を作り出すことに役立ちます。つまり、タレントマネジメントという観点から人材調達を行うことで、その組織に対して将来にわたって貢献できる的確な候補者を選択できる可能性が高まるのです。調達段階で、既にその人材が社内で果たすべき役割や可能性が推測できるので、入社後の良好な社内環境の整備というところまでシームレスに管理できるようになります。

一般的な人材調達のなかには、空席になったポジションを埋めるという消極的な目的で行われることも少なくありません。たしかに、既存の組織がある程度固定したものであって、現在の空きポジションを埋めればよいと考えれば、そのような方針でもよいかもしれません。しかし、現実には組織は変化を余儀なくされています。業界の違いにかかわらず、外的環境の変化が激しい時代には、組織自体も継続的に変化しなければ、存続が危ぶまれるのです。ただし、変化を続ける組織の長期的な成功に貢献できる人材の要件は、人事の新規採用担当者の属人的な選択眼だけでは判断が難しくなってきています。そこで、人材獲得段階から、ファクトベースで客観的な情報もとに判断するタレントマネジメントを導入する必要があるのです。タレントマネジメントを採用すれば、このような長期的な戦略を加味した客観評価も期待できます。

職務内容記述書を準備する

組織に最適な人材を獲得するには、その組織が全体としてどのように機能していて、ある特定の部署ではどのような役割が期待されているのかを明確にしておく必要があります。具体的には、部署とそれを構成するチームのニーズを明確に理解し、各ポジションに必要なスキル、資格、経験を正確に反映した仕事内容を明文化しておくのでです。このような文書を「職務内容記述書 job description」と呼びます。また、この職務内容記述書には、組織の戦略的目標に基づき、所属する業界や労働市場の変化するニーズなどの、組織の外にある経営環境も反映する必要があります。

人材調達の際に、求職者の興味を引きつけるためには、さまざまなメディアへ情報発信する必要があります。たとえば、求人専門サイト、求職系ソーシャルメディア、自社サイトでの従業員紹介、大学などでへのOBOGのキャンパス訪問、さらに高度なスキルを持つプロフェッショナルの人脈ネットワークなどが考えられます。このとき、高度なスキルを持つ人材であればあるほど、論理的で明快に記された職務内容記述書に興味をもつはずです。というのは、専門性の高いスキルを持っていれば、ピンポイントでどのような期待や役割に応じられるかが職業環境選択の基準になるからです。これは、自分の専門性を十分に生かせるかどうかという仕事へのモチベーションにも直結します。

人材選考プロセスでのタレントマネジメント

募集に応じてきた潜在的な組織メンバー候補者に対しては、組織は効果的な選考プロセスによって、各ポジションに最も適切な候補者を特定する必要があります。選考プロセスには、書類選考などの初期スクリーニング、面接、社内選考、その他さまざまな確認作業が含まれます。このような重層的な選考を行う目的は、候補者が職務を効果的に遂行し、組織文化の維持や社会的な価値の創造に貢献できる人材かどうかを知ることにあります。そのためには、タレントマネジメントの概念によって収集されたデータを活用して、ミスマッチを最小化する必要があるのです。

結論として、人材調達におけるタレントマネジメントは、組織が競争力を維持し、ビジネス目標を達成するために重要な要素となり得ます。タレントマネジメントは、組織内の優秀かつスキルのある人材を特定して客観的に評価します。さらに、その結果をもとに、スキルの育成も行うのです。一方、人材調達は、主に現在の組織に不足するポジションに最も適任な候補者を募集・選考することに焦点を当てています。これら2つの行為は相互に関連しており、効果的な人材調達にはタレントマネジメントとの戦略的かつ積極的な連携が必要なのです。この両者の連携がうまくいけば、トップクラスの人材を獲得して、継続的に貢献してもらうことで、組織のビジネス目標は達成され、市場において競争優位を維持することができるでしょう。

タレントマネジメントの必要性2:人材育成

組織における人材育成という観点からも、タレントマネジメントは重要な役割を果たします。既存のメンバーや新規採用者に対して、経営戦略や組織文化を啓蒙する際にも活用できます。また、組織に貢献してもらうためのモチベーションの管理や、生産性向上にも大きく寄与するのです。以下で、その影響力の大きさをみていきましょう。

経営戦略及び組織文化におけるタレントマネジメント

組織にとって人材は最も重要な資産です。優秀な人材が確保できれば、組織自体の業績の伸びも期待できるでしょう。しかしながら、優秀な人は、多くの組織で歓迎されます。場合によっては引き抜きが起こるほど流動性があり、組織に留まり貢献してもらうことが困難な現実があります。このような事情から、働く人を誘引する魅力を高めることを含めて、組織の将来的な人材ニーズに対応する方法を考える必要があるのです。具体的には、長期的な人材戦略を策定することでシステマティックに対応することになるでしょう。長期的な戦略が明確であれば、そこから将来的なビジネスニーズに対応するために必要な人材の予測が可能になります。

既に組織内に存在する人材については、予測で得られた理想的な人材モデルに合わせて、人材育成のためのリソースを集中させればよいのです。ここで、タレントマネジメントにより収集・分析された、さまざまなスキルや能力に関してのデータが活用できます。一方で、新しく外部から採用する人材については、将来的なビジネスニーズに合わせた人材を選定することになります。また、採用後には、適切な研修やキャリアパスの設定などを通じて、組織に貢献できる存在としての成長を促すことが必要です。このように、タレントマネジメントを通じて、優秀な人材を獲得し、育成し続けることは、企業の持続的な発展の鍵となるはずです。さらに、タレントマネジメントの導入によって、才能を可視化していく文化が形成されると、働く側の継続的な改善を促進する効果も得られます。期待される役割と自分の現在のスキルがそれぞれ客観的な指標で比較できれば、いま何を補うべきかが一目瞭然になるからです。

一般的に、組織文化はその企業の行動指針やビジョン、ミッションに基づいて形成されます。タレントマネジメントを通じて、優秀な人材を獲得し、育成することで、質の高い組織文化を形成し、その継続的な改善を促進する効果が期待できます。組織文化の形成と継続的な改善は、サスティナブルな組織には不可欠な要素です。タレントマネジメントの導入によって、そのアップデートが盤石なものとなるのです。

モチベーション向上への効果

タレントマネジメントは、人材のキャリア開発を促進させるきっかけになることで、個人的なモチベーション向上につなげることができます。キャリア開発には、現在のスキルをより高いレベルに向上させることやキャリアパスの明確化などが含まれます。タレントマネジメントを通じて、組織に所属するメンバーが、全体への貢献と同時に自己実現を達成したり、キャリアの成長を実感できるようになったとします。そうなると、仕事へのモチベーションの向上も期待できるので、結果として組織全体の生産性や業績向上につながるのです。

ここで問題になるのが、業績評価についての「公正性」の確保です。評価基準が不明確であると、評価を行う主体となる管理職の評価能力に対して疑心暗鬼を生むこともあります。タレントマネジメントを導入すれば、客観的な公正性の確保が容易になるため、その点からも人材のモチベーション向上効果を期待できるのです。評価基準が明快であれば、自分の能力や成果に対する正当な評価が得られる期待が高まるため、モチベーションの向上につながります。このときマネジメントに求められる重要なことは、公正性の確保を最大限優先する姿勢を示すことです。たとえば、業績評価の指標や基準を明確化し、タレントマネジメントに基づいた公正な評価を行うことを、組織のトップが率先して、明確な態度とともに表明するのです。そうすれば、組織内に公正性を尊ぶ雰囲気も醸成され、そこで働く人たちのモチベーション向上が期待できるでしょう。

さらに積極的にタレントマネジメントを機能させる方法もあります。マネジメント側と育成される側とのコミュニケーション活性化のツールとしても利用するのです。タレントマネジメントで提供される情報は、両者の興味の接点となります。マネジメント側にとっては、組織の業績を向上させるための要素となり、他方、育成される側にとっては自分自身のスキルアップにつながる要素です。

この共通関心要素を議題にすれば、コミュニケーションが活性化することができるでしょう。労使のコミュニケーションは、お互いが自分の意見や不満を共有し、フィードバックを受けるための重要な手段といえます。タレントマネジメントを通じて、相互コミュニケーションを積極的に行い、フィードバックを適切に受け止め、改善につなげることで、組織内のモチベーション向上が期待できるのです。

組織全体の生産性向上

タレントマネジメントがうまく機能すれば、組織内の人材を最適に配置することが可能になります。そうなると、生産性向上に直結する効果が期待できるのです。そもそも、最適な人材配置には、人材のスキルや経験、適性に基づいたポジショニングが必要になります。タレントマネジメントでは、社員の能力や経験を客観的に把握できるデータが提供されます。そのデータを長期的な経営戦略から導かれた各ポジションに求められる期待される役割とのマッチングに活用するのです。そうすると、ポジションごとに最適化された能力や経験を持つ人材が配置されるので、これ以上に生産性を高める方法はないといえるでしょう。

ところで、タレントマネジメントの利点は、このような既存の組織内での、人材とポジションの最適化だけではありません。タレントマネジメントによって、長期的な「人材戦略」の構築を支援することで、さらなる生産性向上につなげる効果もあるのです。この人材戦略には、人材の採用、育成、留任、退職後のフォローアップまで含まれます。つまり、人材は組織をフローしていく存在とみなして、そのスムーズな移行過程を組織側が「流動性の高い環境」として整えていくわけです。ここには「労働者として使ってやっている」という意識はなく「働いてもらっている」という、人材に対しての敬意があるのです。このような環境であれば、働く喜びを感じながら、同時に組織の目的達成に貢献する高いモチベーションの維持が期待できます。

タレントマネジメントには、働く人のエンゲージメントの向上を促せるという、人材育成上のもう一つの利点があることも指摘しておきます。エンゲージメントとは、組織に対して、そこで働く人が持つ情熱や熱意のことです。タレントマネジメントは、個人にとって達成度が可視化しやすいデータを提供します。それは、自分自身や組織に対して成長や貢献を実感できるような環境構築に役に立ちます。情熱や熱意を持って仕事に取り組めるエンゲージメントの高い環境であれば、組織全体としての生産性はおのずと向上するに違いありません。

タレントマネジメントの必要性3:人材の離職防止

多くの企業組織において離職率の高さが悩ましい問題となっています。コストをかけて募集をして、練り上げられた採用プロセスを経た後に入社をした新人が、短い期間で離職してしまう事例が多発しているのです。離職に至る原因はさまざまですが、組織環境として改善できる部分は少なくありません。そのような環境改善の手法として、タレントマネジメントは威力を発揮するのです。ここでは、離職防止に役立つタレントマネジメントの活かし方について解説します。

人材の定着を促進するには

企業にとって、人材は最も貴重な資源の一つです。物理的な設備よりも人的な資源のほうが業績を左右することが多いといわれています。さまざまなハードウェアが実装されている抜群の環境を誇るオフィスがあったとしても、それを使いこなす人材がなければ「ただの高価な箱」なわけです。逆に、物理的環境がそれほど充実していなくても、優秀な人材がいれば高業績が望める場合もあります。こう考えると、企業の継続的な発展は、モチベーションが高く、スキルを持つ人材を確保し、定着させられるかどうかにかかっているわけです。ところが、優秀な人材ほど多くの組織や業界での汎用性が高く、流動性を持っています。どこに行っても通用するのであれば、ある組織に定着すべき「相応の理由」がなければ、よりよい環境に移動するものです。

この点についても、タレントマネジメントが重要な役割を果たします。なぜなら、タレントマネジメントによって、人材のスキルアップや成長を促進させる環境を構築することで、優秀な人材の定着を促すことができるからです。これまで述べてきたように、タレントマネジメントが採用された組織では、人材調達や人材育成のプロセスを通して、スキルや能力を適切に評価することが可能になります。離職防止の観点から、この状態をさらに進めて、働く人たちに適切で快適な成長機会の提供につなげるわけです。

人材の定着率を高める具体的な方法

企業における人材定着のための具体的な施策には主に次のようなものがあります。

1.キャリアアップ支援

働く人たちが自己実現やキャリアアップを目指せるよう、研修制度の充実やポジションごとの期待役割の明確化、キャリアパスの構築アドバイスなどを行います。この際に、タレントマネジメントによって得られたデータを元に、個人の希望や特性になるべく細かく適応させたソリューションを提案するとよいでしょう。

2.フレキシブルな働き方の導入

ワーク・ライフ・バランスを重視し、柔軟な勤務スタイルを導入することで、働きやすさを高めます。現状で導入されている、テレワークやフレックスタイム、時短勤務などについて、タレントマネジメントで得られたデータを活用して、さらにパーソナライズできる働き方を提案するとよいでしょう。

3.福利厚生の充実

タレントマネジメントで得られた情報をもとに、社員の生活に直結する福利厚生が得られる環境を充実させます。これは、働きがいの向上に大きく寄与することになるでしょう。例えば、個人に最適化された社宅や保育所の設置、健康保険や年金制度の充実などがあります。

4.業績フィードバックの定期的な実施

タレントマネジメントは、労使のコミュニケーションの素材を提供します。それを元に、自身の業務内容や能力についてのフィードバックを受ける機会を定期的に実施するのです。現在、多くの組織で行われている1on1ミーティングの際などにも、話題のオプションが広がります。このようなフィードバックが円滑に進めば、自己評価や自己成長の振り返りの機会となり、モチベーション向上につながるはずです。

5.報酬・待遇の見直し

市場価値に合わせた報酬や待遇を提供することで、働く人たちのモチベーションを高めます。また、評価制度の透明性を高めることで、公平性を保ちます。このような目的を効果的なものにするためには、定量的な指標が得られるタレントマネジメントの導入が不可欠です。

以上のような施策を実行することにより、組織に対しての忠誠心や帰属意識を育むことができます。長期的に在籍したいという意識の涵養が可能になれば、離職が防止され、優秀な人材の長期的確保が期待できるでしょう。
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タレントマネジメントの目的

タレントマネジメントの目的は、最終的には経営目標の達成に必要な人材の最適な活用です。タレントマネジメントでは人材のデータを管理して、最大限のパフォーマンスを引き出すことを目指します。例えば、人材の適性を考慮して適材適所の人材配置をするのが典型的です。また、適正な人事評価によって人材のパフォーマンスやエンゲージメントの向上にも寄与します。正しく評価され、自分が活躍できる場を与えられた人材は定着するでしょう。さらに成長できる研修機会を用意してもらえれば、エンゲージメントも定着性も上がります。

また、タレントマネジメントは人材採用の合理化・効率化も重要な目的です。事業状況や適材不足の状況を鑑みて、優秀な人材の採用戦略を立てるのに役に立ちます。アルムナイの情報もデータ管理することでリファラル採用をおこなえる可能性もあるため、今後の人事戦略の幅を広げることが可能です。
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タレントマネジメントのメリット

タレントマネジメントをすると企業価値が高まり、優秀な人が集まる企業になっていくのがメリットです。具体的には以下の2つのメリットがあるので詳しく見ていきましょう。

具体的な経営戦略・人事戦略を考えやすい

タレントマネジメントをすると経営戦略・人事戦略を合理的にデザインできるのがメリットです。現在の従業員や人材採用でコンタクトを取った人材、過去に働いていたアルムナイの情報を詳細に管理できるようになるからです。今後の経営戦略を考える際には現状の人材を活かすという方針で検討できます。逆に不足の人材がいる場合には人事戦略を立てて採用や育成を考えることが可能です。中朝的な成長戦略を描くための基盤ができるので、タレントマネジメントを導入すると企業の持続的な成長のロードマップを作り上げることができます。

リソースの最大活用ができる

タレントマネジメントによって現状改善もできます。人材のスキルや経験、実績や興味関心などの総合的なデータをまとめることで、リソースを最大限に活用する戦略を立てられるからです。スキルを活かせる現場への配置変更や、将来的な成長を見越した配属変更などをしていくことにより、生産性を引き上げながら将来的に活躍する優秀な人材を育て上げることが可能です。全体を一元的に把握できるシステムがなければこのような対応は困難なので、タレントマネジメントシステムを導入して運用する必要性があります。
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タレントマネジメント導入時のポイント・注意点

タレントマネジメントの導入では押さえておくべきポイントがあります。注意点も含めてわかりやすく解説するので参考にしてください。

導入の目的を明確にする

タレントマネジメントを導入するときには目的の明確化が不可欠です。人事課題や経営課題に基づいてシステム要件を考えるのがまずは重要になります。タレントマネジメントシステムは導入コストもランニングコストもかかるため、運用によって費用対効果が上がらなければ意味が半減してしまいます。目的を明確化することで費用対効果の高いシステムを選定することが可能です。目下で必要性の高い項目だけでなく、中長期的な視野でシステムに求められることをリストアップして検討しましょう。

運用の仕組みを並行して整える

タレントマネジメントはシステムを導入しただけでは意味がありません。システムはあくまでデータに基づくタレントマネジメントをするための基盤を整えるためのもので、実際にどのように運用するかを検討することが必要です。運用の仕組みをシステム選定と並行して整えるのが重要なポイントです。また、タレントマネジメントを始めたらシステム運用についてトラブルや不満がないかを調査し、改善点を見つけてシステムをアップデートしていくのが大切です。タレントマネジメントの効率を上げるのは導入メリットを引き上げることに直結するので、自社に合うシステムを整えて運用していきましょう。

必要性が高まるタレントマネジメントを活用しよう

タレントマネジメントの必要性は急速に高まっています。人材の流動性が高まって転職志望者が多くなり、ダイバーシティが重視されるようになったことから、企業にとってタレントマネジメントは必須になってきました。経営資源として欠かせないヒトを最大限に活かす基盤としてシステムを導入してタレントマネジメントを推進していきましょう。