タレントマネジメントの失敗事例11選!失敗理由と成功のポイントを紹介

こんにちは。「HRMOS(ハーモス)タレントマネジメント」のHRMOS TREND編集部です。
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タレントマネジメントは、日本での歴史が浅く、どのように導入・運用すればよいのか、手探りの企業も多いため、失敗も見られます。では、どうすれば失敗を避け、企業の必須アイテムにできるのでしょうか。こちらでは、まずタレントマネジメントの目的を考え、何に失敗してしまうのか、事例を挙げて考えます。さらに、成功に至るポイントも取り上げます。

タレントマネジメントの目的

タレントマネジメントについて耳にする機会は増えていますが、何を目的に行うか理解していないと、導入や運用に失敗してしまいます。失敗を回避できるようにするため、こちらでタレントマネジメントの目的をおさえておきましょう。タレントマネジメントの目的が多岐にわたることを理解し、自社にとって効果が期待できる導入・運用を目指したいものです。

1.人材の確保

タレントマネジメントは、人材を活用して経営目標を実現する仕組みや取り組みです。そのため、自社にとって必要な人材の確保は、タレントマネジメントの主要な目的の一つとなります。人材の確保というと、新卒・中途採用を思い浮かべがちですが、社内に埋もれたスキルを持つ人材を発掘し、経験がない分野へ積極的に登用することも検討できるでしょう。

2.人材の教員・育成

人材を育てることも、タレントマネジメントの目的です。企業が求める人材の在り方を決めたうえで、理想の人材が生まれる教育や研修の在り方や方法を検討する手段として、タレントマネジメントを活用できます。単に知識を詰め込むだけでなく、ジョブローテーションなど、業務経験を積むシステムを作ることも重要です。
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3.スキルを成果につなげる

人材を適切な部署に配置し、収益の拡大や企業の成長に結び付けることも、タレントマネジメントの目的になります。スキルを持つ人材と能力を発揮できる場をマッチさせる役割が、タレントマネジメントに求められます。
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4.人材の定着・離職防止

人手不足が慢性化し、人材の新規獲得が難しい時代にあって、優秀な人材に定着してもらい、離職率を下げることが多くの企業の課題ですが、タレントマネジメントは人材の定着や離職率低下にも役立ちます。人材の定着には、働き甲斐やモチベーションの維持が効果的といわれますが、そもそも、個々の能力や特性を把握できていなければ、従業員の希望やスキルを活かすのは難しいでしょう。従業員の学歴や職歴を管理するだけでなく、タレントマネジメントを使って潜在的な能力や目指したい方向を理解すると、人材のつなぎ止めに役立つに違いありません。
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タレントマネジメントの失敗事例11選

タレントマネジメント導入時の失敗事例

タレントマネジメントの導入に失敗する事例は後を絶ちません。具体的にどんな点が失敗につながってしまうのでしょうか。導入がうまくいかなかった事例を紹介します。

タレントマネジメントの導入目的が明確でなかった

導入目的があいまいであるために失敗しているケースもあります。タレントマネジメントは、目的やゴールを設定し、そこに到達するために必要な情報を収集したり、仕組みを作っていくことが最も効果を上げる方法だからです。導入目的が不明確だと、集めるべきデータの種類がわからないまま、やみくもに情報収集したりシステム導入するなど、「やった感」だけで終わってしまうこともあるため、注意が必要です。

従来の人事管理との違いを理解していなかった

日本では、給与や勤怠管理などを基本とした人事システムや人事評価システムが定着しています。その延長線上にタレントマネジメントがあると考え、導入に手間取るケースも見受けられます。従来の人事システムは、基本的に「人」を管理しており、従業員の過去や現在の人材情報や評価を取り扱い、報酬などに反映します。一方、タレントマネジメントは「才能」を管理するシステムといえます。スキルや人となりをデータベース化し、人材配置や育成に利用する目的のもので、未来志向のシステムととらえる必要があります。
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タレントマネジメントの目的やメリットの理解が進まず、データ収集ができなかった

タレントマネジメントは、先にも記載した通り、従来の人事システムとは別物です。収集すべき情報もこれまでと異なるため、従業員にヒアリングを行うなど、会社に所属するすべての人の協力が欠かせません。残念なことに、従業員の理解や同意を得られず、必要な情報が収集できないことで、効果的な運用につながらなかったケースが見られます。導入失敗の根底原因として、会社と従業員との間に信頼関係を築けていなかったことや、協力したいと思える仕組みを構築できなかった点などが挙げられます。

タレントマネジメント導入後の失敗事例

タレントマネジメントは導入に成功しても、運用面で失敗することがあります。こちらで運用面の失敗事例を取り上げ、それらを未然に防ぐのに役立つ考え方についても記載していきます。

データの活用がすすまない

タレントマネジメントは、人事部門が主体的に使用する従来の人事システムと違い、従業員本人を含め、すべての人が活用可能なシステムです。その点が理解されていないと、データをうまく活用できず、宝の持ち腐れになってしまいます。データの活用が進むか進まないかは、タレントマネジメントの目的や使用方法、メリットを周知徹底できるかどうかにかかっているといえるでしょう。一般的に、タレントマネジメントの導入には、多大な時間やコストが費やされます。すべての人が自分事ととらえ、メリットがあると認識できるシステムにすることが大切で、人事部門の手腕が問われます。

データの更新が行えない

従業員の経験やスキルは常に変化し続けます。進化していく従業員の情報更新が進まず、古いデータに頼った運用になり、うまく人材を活用できなかった事例も少なくありません。データ更新が滞る原因として、新たに獲得した経験や資格などの情報を収集したり登録する仕組みが整っていないことが挙げられます。

短期的な結果を求めすぎる

タレントマネジメントは、人材の活用だけでなく、育成など、中長期的な視点で運用されます。その点への理解が足らず、短期的な効果や結果を求めすぎて、失敗する事例が見られます。タレントマネジメントの運用スケジュールや到達目標を事前に決め、関係者に周知しておくと、達成状況や課題が明確になり、より効果が期待できるシステムへと成長していけるでしょう。

データ分析結果を活用できない

タレントマネジメントの仕組み作りや関係者への周知を行っても、データの分析結果を人事評価制度に反映しなかったり遅れるなどして、従業員のモチベーション低下につながったケースもあります。自分のスキルや経験が、これまで以上に評価されると期待したにも関わらず、結果が見えない状態では、離職率の上昇も否めません。

協力を得られない部署がある

タレントマネジメントは、全社的に協力して、初めて実現できることが多いものです。しかし、従来の方法からの変更を良しとしない部署があり、当初の計画通りに運用が進まないケースも見られます。反対する部署が出てくるのは、優秀な人材が生え抜きの部署に異動してしまうのではないかと恐れる部門長の存在が関係しています。タレントマネジメントを取り入れる目的や、どんなメリットがあるのかを各部署のリーダーに説明し、納得してもらうことが重要になります。

タレントマネジメントシステムの導入でよくみられる失敗事例

タレントマネジメントはシステムを使っての運用が増えています。エクセルなどで管理するよりも、スキルの比較検討が容易になるため、システム導入するわけですが、多額の費用をかけたにも関わらず、効果が芳しくないケースも見受けられます。こちらで、タレントマネジメントシステムに関係する失敗事例をピックアップして考えてみましょう。

システム導入で問題がすべて解決すると思い違いをしている

タレントマネジメントシステムを導入しさえすれば、課題がすべてクリアになると考え、運用を開始したにも関わらず、効果が上がらないとクレームを寄せるケースもあります。タレントマネジメントシステムは、導入時に必要な情報を入力した後、継続的なデータ更新や情報の分析を行って初めて、方向性や課題解決の方法が明らかになるものです。システムがどんな仕組みになっているかに加え、結果を得るためのプロセスを運用側が理解している必要があります。

従来の人事制度との連携が取れない

タレントマネジメントシステムを、人事制度の枠組みや人事システムと連携しないと、単に従業員のスキルや能力を管理するだけになり、得た情報を十分に活用する点で失敗してしまいます。タレントマネジメントシステムと従来から使用している人事システムをリンクさせ、タレントマネジメントの情報を人事戦略の中でどのように位置づけ、活用していくかをあらかじめ決めておくことが重要です。

情報の更新がおろそかになっている

従業員の能力や育成状況がシステム上で最新の状態になっておらず、情報が陳腐化して人材活用できない状況も見られます。タレントマネジメントシステムへの入力作業は、意外に手間がかかるものです。システムを使える人が限定されると、多忙な業務の中、定期的に情報入力するのは至難の業です。タレントマネジメントシステムで得た情報は、経営戦略に重要な意味を持つので、システムを熟知した人材を増やしたり、各従業員が自身の情報を入力できる仕組みを作る必要があるでしょう。

タレントマネジメントを成功させるポイント

タレントマネジメントは、比較的新しい考え方で、企業ごとにゴールが異なるため正解がなく、時として導入・運用に失敗することもあります。先発企業の失敗事例から学ぶことも、タレントマネジメントの成功に寄与するはずです。こちらでは、失敗から見えてきた成功に至るポイントを取り上げます。

1.導入前に目的とゴールを設定する

タレントマネジメントの目的やゴールは、各社で異なるはずです。生産性向上・人材の発掘・新たな人材確保など、企業が抱える問題と目指すべき方向は千差万別でしょう。一例として、次世代のリーダーを育成するノウハウがないことが喫緊の課題になっている企業では、人材発掘や育成を目的にタレントマネジメントを導入したいに違いありません。解決すべき課題により、ゴールとそこに至る道筋は異なってくるため、自社がタレントマネジメントに何を求めたいのかを理解するところから始めるのが大切です。

2.人材の情報の把握に努める

タレントマネジメントを導入する目的やゴールが定まった時点で、人材情報の把握に努めるのが大事です。人材情報の中には、従来の人事システムで収集している職種や役職、給与などの情報に加え、これまでの経験や担当したプロジェクト、従業員が持っている価値観やマインドなど、数値化や区分が難しい分野を含め、広い視点で情報を収集していきます。従業員の価値観や考え方を知るには、所属している部署内の評価だけでなく、関係する部署の着眼点も参考にできます。部署を超えて情報を得るには、全社的に協力してもらえる体制の構築がカギを握ります。情報提供にインセンティブを与えるなどして、自分のスキルや経験を共有することがメリットになると周知し理解を求めると、情報収集しやすくなるでしょう。

3.具体策を立てて計画実行に移行する

タレントマネジメントは、情報収集後に人材配置や採用などの計画を実行しなければ、現状を変えることはできません。単なる情報収集で終わらないよう、実行可能な具体策を立てることがポイントになります。例えば、スキルを持つ従業員に活躍を期待できる部署への異動の提案、スキル習得のための研修や教育体制の充実、リーダー育成プログラムの構築などです。計画の実行にあたっては、現状変更への反発が予想されます。人事が旗振り役となり、会社としての姿勢を丁寧に説明したり、従業員に寄り添う仕組みを作ることが大切です。

4.成果の検証を怠らない

タレントマネジメントは、時代の流れやニーズの変化に合わせて成長させていくと、継続的な効果が見込めます。そのためには、タレントマネジメントの運用の成果を定期的に検証し、結果が伴わない場合は方向性や手法を見直す必要があります。どんなに綿密に計画を立てて実行しても、思うような結果が得られないことはあり得ます。失敗は成功の基ととらえ、原因を突き止めたり、柔軟に運用していくことが成功のポイントです。

タレントマネジメントに失敗する要因と成功を握るカギとは

タレントマネジメントが失敗に至る要因として、導入の目的があいまい、従業員への情報共有ができていない、データ更新が滞ることが挙げられます。タレントマネジメントは、すべての従業員の能力やスキル、経験を把握し、経営資源として活用する仕組みです。従業員一人一人に協力を求めつつ、誰もがメリットを感じられるシステムにすることが、成功に至るカギです。