タレントマネジメント(システム)のメリットとデメリットは?注意点も解説

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日本では高齢化による人材不足が深刻な問題となっており、対策の一つとしてタレントマネジメントが注目されています。しかし、この概念は国内で知られるようになってから日が浅く、どのようなものなのか、あまり知られていません。そこで、こちらではタレントマネジメントの概要や導入によるメリット・デメリットや注意点について見ていきます。

タレントマネジメントとは?

タレントマネジメントとは、従業員一人ひとりの能力や知識、スキル、経験などの情報を把握して、採用や育成、配置などを行う際にその情報を活用する人材マネジメントです。ここでいうタレントは従業員のことを指しており、優秀な人材を早期発掘すること、より有効な育成支援を行うこと、能力に見合った適正な配置を行うことで、企業の成長につなげていくことを目指しています。欧米企業では2000年以降に浸透していますが、日本企業で本格的に普及し始めたのは2010年前後です。

タレントマネジメントのメリット5つ

タレントマネジメントを導入することで、様々なメリットが期待できます。以下に、どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

メリット1:適材適所の配置ができるようになる

従業員の希望や従来のやり方通りに人員配置をした場合、その人材が可能性として秘めているポテンシャルを活かすことができませんし、経験が浅く実績が不足する可能性もあります。しかし、タレントマネジメントを導入することで、客観的に個々の人材のスキルや特性を踏まえて、各人材の実力を最大限発揮することが可能です。限られた人材を有効に活用し、企業の成長につなげられるでしょう。
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メリット2:中長期的な人材育成が可能

タレントマネジメントに従った人材育成を行うことで、従業員自身も将来のビジョンを設定しやすく、目標に向けた研修や配属先を選べるようになります。その結果、従業員それぞれが自身のビジョンに必要な能力やスキルを効率よく身につけて、その能力をより活かせるようになるでしょう。自分の成長や能力の向上を実感することで、仕事へのやりがいやモチベーションの向上にもつながりますので、結果的に離職率の低下やワークライフバランスの実現にも有効です。
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メリット3:効率的な人材採用ができる

従来は、人材採用において将来性を重視する傾向が見られましたが、そもそも人材不足の状態が続いている状況や、市場や働き方の多様化などによって、即戦力となる人材を募集するケースが増えてきました。しかし、必要なスキルを持つ人材であっても、企業の社風や経営理念、業務内容によっては相性が合わないことも少なくありません。
タレントマネジメントを導入していれば、募集する役職に求めるスキルだけでなく、実績や職歴などの必要条件をより詳細に設定できますので、スムーズな人材採用が可能です。
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メリット4:チーム全体の成長

タレントマネジメントを導入すると、従業員一人ひとりについて身につけておきたいスキルや不足している点などを明確にできます。そして、その対策としてチームの組み合わせや育成プランを考えるようになりますので、個人だけでなくチーム全体の底上げにもつながるでしょう。
さらに、人材育成に必要なプランを常に実施・検証していますので、データが蓄積するごとに引継ぎがしやすくなり、より効率的な育成もできるようになります。
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メリット5:生産性の向上

個々の能力を最大限引き出し、さらに連携や育成にも配慮して配置することで、チーム全体がレベルアップします。その結果、組織全体の生産性の向上が目指せるでしょう。生産性の向上は売上の増加や新規契約の獲得、顧客満足度の向上などの様々な目標実現にも直結しますので、長期的な目線で考えれば、タレントマネジメントは有益な投資と言えます。

タレントマネジメントのデメリット4つ

タレントマネジメントの導入によって様々なメリットが期待できますが、もちろんデメリットもあります。特に、昔からの慣習を踏襲している企業やデータ分析に詳しくない企業、従業員からの理解を得にくい企業にとってはリスクが大きいと考えられがちです。以下に、タレントマネジメントを導入した場合に起こりうるデメリットについて紹介していきます。

デメリット1:情報の取り扱いが難しい

タレントマネジメントでは、従業員一人ひとりについて詳しい情報を収集・管理して、目標に合わせて配置や育成を進めなければなりません。そのためには、適正な情報を得るために現場を確認したり、他の従業員から聞き取りをしたりしなければなりませんが、収集すべき情報の取りこぼしや誤った情報の入手なども起こり得ます。

そして、得られた情報の管理も大きな負担です。入力ミスやデータの紛失、セキュリティリスクなどが考えられますし、データの入力や更新、管理における人的な負担も大きいです。さらに、その情報を活用するにはタレントマネジメントの知識やデータ分析が必要です。自社内で一からタレントマネジメントを導入することは容易ではないでしょう。

デメリット2:従業員の理解を得る必要がある

タレントマネジメントを実施するには、従業員への周知や理解を得ることが不可欠です。というのも、情報収集の段階で正確な情報を得るには、従業員の協力が欠かせません。しかし、スキルや功績などを企業が評価する行為は、従業員側からすればランク付けされているようで不快に感じる可能性もあります。

また、これまで年功序列や配置の順番などが定着している企業では、今までと全く異なる方針で配置や育成を行うことに少なからず反発が生じるでしょう。タレントマネジメントは実力重視の海外企業で行う場合には浸透しやすいですが、国内企業でスムーズに進めるためには、従業員への根回しを十分に行いましょう。

デメリット3:導入や運用コストがかかる

タレントマネジメントを導入する場合、実際に情報収集や管理・運用を行うための人材、もしくはシステムが必要です。これまで年功序列が一般化していた企業では、導入や実施のためのノウハウを持つ人材を採用するか、システムを導入することになるでしょう。しかし、いずれにしても導入する際にコストがかかりますし、自社内で賄う場合でも従来の業務以外の作業が増えるため、人的コストの負担が大きくなります。

デメリット4:実施目的の可視化が困難

タレントマネジメントでは、明確な実施目的に沿ってデータの運用を行いますので、何を目指して導入するのか可視化しておく必要があります。しかし、導入したばかりの時期はその目的が曖昧になりがちで、従業員への説明や実現に向けた情報の活用が困難です。モニタリングや試行錯誤を繰り返すことで目的も明確になっていきますが、結果が出るまでに時間がかかる可能性もあります。

タレントマネジメント(システム)導入時の注意点

タレントマネジメントでは、企業によって目的や求められるタレントが変わってきます。導入する際には自社独自の目標を明確にして、その内容に合わせた人材獲得を行いましょう。そして、タレントの情報は常に変化しています。データ上で判断するだけでなく、従業員と連携を取って、最新の情報が入手できる態勢づくりを整えましょう。直接関わることになるマネージャーやリーダーの存在は、特に重要です。

また、データ管理や配置が簡単に行えるタレントマネジメントシステムもありますが、導入コストが高額になりますし、基本的な流れや目的、内容を理解できていなければうまく運用できない可能性があります。システムを導入する場合も、自社に合っている内容なのか、きちんと確認しておきましょう。

タレントマネジメントは中長期的な戦略として導入しましょう

このように、タレントマネジメントは導入してすぐに大きな好転が望めるものではなく、中長期的に様々なメリットを得られることを目指して導入するものです。データベースが充実していくとともに、その効果がより期待できるようになるでしょう。導入時や運用にかかるコスト、軌道に乗るまでの期間を考慮して、計画的に導入しましょう。