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こんにちは。「HRMOS(ハーモス)採用」のHRMOS TREND編集部です。
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タレントプールとは、英語で「才能がある人」を意味する「Talent」と「蓄えること」を意味する「pool」を組み合わせた言葉で、直訳すると「優秀な人材の蓄積」という意味になります。採用の局面におけるタレントプールとは、将来的に採用候補者になる可能性がある有能な人材を中期的もしくは長期的にデータベースとして管理していくことです。タレントプールという言葉は、2001年にアメリカの経営コンサルタント大手「マッキンゼー・アンド・カンパニー」(以下マッキンゼー)が発表した「The War for Talent」という人材獲得・育成調査結果の中で提唱されました。
採用は求人を出す企業と仕事を探す求職者が互いの希望や条件をすり合わせ、折り合いをつけることで成立していきます。たとえば、優秀な人材が1人だけ欲しい場合に3人優秀な求職者が来た場合、やむを得ず1人だけ採用し、残りの2人は不採用にすることがあるでしょう。しかし、企業が置かれている状況は刻刻と変わりますし、経営方針が変更になり、新たな人材を確保したい局面が出てくることは往々にしてありえます。
「内定は出したものの辞退されてしまった人」や「タイミング・人数の関係からやむを得ず不採用にしてしまった人」など、人材不足の際にはもう一度アプローチをかけたいと思う人材もいるのではないでしょうか。新たな人材の確保が必要になった際に再び一から人材リサーチを始めていくのは、採用コストもかかりますし、効率的とはいえません。タレントプールによって優秀な人材をデータベース化しておくことで定期的な連絡を取っておけば、人材不足が生じたときに入社の可能性が高く、企業側が欲しいと感じる人材から優先的にアプローチすることが可能です。
人材確保が難しくなっている背景
企業の人材確保が以前と比べて難しくなっているといわれている背景について説明します。
少子高齢化による労働人口の減少
働き方改革によって働き方は多様化し、年功序列、終身雇用という日本型雇用は変化してきました。大多数の人が正社員として働いてきた時代は終わり、正社員として働くことよりも、プライベートの充実や働きやすさに主眼を置いて契約社員、派遣社員、パートタイマーなどの働き方を選ぶ人も増加しています。労働者の働き方が多様化したことにより、労働力の確保が難しくなっている傾向です。
働き方が多様化
働き方改革によって働き方は多様化し、年功序列、終身雇用という日本型雇用は変化してきました。大多数の人が正社員として働いてきた時代は終わり、正社員として働くことよりも、プライベートの充実や働きやすさに主眼を置いて契約社員、派遣社員、パートタイマーなどの働き方を選ぶ人も増加しています。労働者の働き方が多様化したことにより、労働力の確保が難しくなっている傾向です。
スペシャリストが求められている
技術革新や企業のグローバル化、ビジネスのデジタル化が進んだことにより、ITのプロフェッショナルやデータサイエンティストなど専門的な技術を持つスペシャリストが求められるようになりました。専門的な知識を有しているITエンジニアや技術職はどの業界からも引く手あまたの状態が続いており、必要な人材の確保が難しくなっています。自社にとって必要な専門スキルを持つ人材を確保するためには、スペシャリストの転職タイミングを逃さずにアプローチすることが欠かせません。
・入社手続きの効率化
・1on1 の質の向上
・従業員情報の一元管理
・組織課題の可視化
タレントプールを構築することで企業側が得られるメリット
タレントプールを構築することで企業側が得られるメリットを紹介します。
採用のミスマッチを減らせる
「せっかく採用したのに早期退職されてしまう」「企業が必要とするスキルを持つ人材を確保できなかった」という事例は少なからずあります。タレントプールを活用すれば、候補者となる人は企業の理念やカルチャーなどを理解してくれるでしょう。企業側も候補者の人柄やスキルを理解したうえで採用活動を進めることが可能です。働き始めた後のギャップも少なくなるので、離職率を低下させることもできるでしょう。
採用活動の効率化
求人広告や自社サイトなどでの求人募集は、幅広い人材からのアプローチが得られるメリットがあります。半面、自社に対する理解が低い求職者や必要なスキルを持ち合わせていない求職者からの応募もあるなど、採用工数が増える可能性があることがデメリットです。今すぐ採用することは難しい人材でもタレントプールを構築することで関係性を維持していると、新たな人材が必要になったときに、あらかじめ必要な情報を入手した状態から採用活動を始めることが可能です。
タレントプールを構築していれば必要とする人材に速やかにアプローチできるので、採用工数を少なくすることも可能になります。特に中途採用の場合は、即戦力になる人材を速やかに確保したい場合もあるでしょう。急に離職者が出た場合や新規事業を行うにあたって必要な人材を確保したい場合は、タレントプールをうまく運用することで事業機会を損失せずに済みます。
採用コストの削減
人材不足が生じるごとに採用活動を行っていると、その都度費用や時間がかかります。対外的には求人サイトや転職エージェントへの広告の準備、登録、転職イベントへの参加費用などが必要です。対外的な費用をかけたところで、自社に転職したいという人材が効率良く集まるとは限りません。対内的には採用担当者の人件費も必要で、対外的なコストと比べて対内的なコストは請求書などが残らないため、コストが分かりにくく、採用コストが増大する原因ともいわれています。タレントプールを構築していれば、人材が必要になった際にタレントプールに登録している人材に個別にアプローチをかけることが可能です。何もないところから人材採用を行う場合と比べて明らかに採用コストは削減できるでしょう。
業態や企業規模に関わらずタレントプールは活用可能
応募者ごとに、採用プロセスのどの段階にいるのかを確認することも可能です。いつまでに面接結果の連絡をすべきかなどもすぐに確認でき、対応を忘れたり遅れたりすることがありません。ダブルブッキングなどのミスも起こらないでしょう。面接時の内容や評価なども入力でき、履歴書や職務経歴書の内容と合わせて確認できるため、選考を通過させるかどうかの判断もしやすくなります。
タレントプールを構築することで求職者側が得られるメリット
タレントプールを構築することは企業側だけでなく求職者側にもメリットがあります。ここでは求職者側のメリットについて紹介しましょう。
自分のスキルを高められる
別の企業に勤めながらタレントプールに所属することで、その企業が求めるキャリアを構築していくことが可能です。
企業に対する理解が深まる
企業の特徴を知ることができるだけでなく、企業の現状も理解することが可能です。企業に勤務する前から企業の情報に触れることが可能なため、入社後にミスマッチを起こしにくく、早期離職を防げます。
再応募や採用の可能性が確保されている
一度は不採用になったものの、その企業と関係性を続ける機会が得られるため、チャンスがあれば再応募できたり採用されたりする可能性があります。他社に勤務している場合でもヘッドハンティングや引き抜きの可能性があり、より条件の良い企業に勤めることができるでしょう。転職する場合も、企業探しから始めるのと比較して効率が良く、納得のいく条件で働ける可能性が高いです。
タレントプールを構築するデメリット
タレントプールの構築にはメリットだけではなく、一定のデメリットもあります。
タレントプールを始めるまでに時間がかかる
タレントプールを導入するまでには、データベースの土台を作成し、採用候補の人材を蓄積しなければなりません。データベースの作成後は定期的なアプローチを行い、実際に採用に至るまではある程度の時間がかかります。短期的に結果を出すのではなく、中長期的に効果が出てくる施策であることを理解しておかねばなりません。
再アプローチを行うタイミングの見定めが難しい
人材の情報収集をしていても、自社に新たな人材を採用するポジションがない場合や企業の方針として新たな人材を採用する話がまとまっていない場合、採用に向けてアプローチすることができません。候補者にどのようにアプローチを行っていくのか、社内でのノウハウの蓄積も必要です。優秀な人材として情報収集を行っていたとしても、他社からのアプローチによってその人材が転職してしまった場合、アプローチをかけることが難しくなってしまいます。
タレントプールを導入する流れ
タレントプールを導入するにあたっての流れを紹介します。
まずは、どのような人材を採用したいのかを明確にしていく必要があります。部署や職種ごとに社内のニーズをヒアリングし、求める人材の資質や能力を定義します。社内のニーズだけでなく、候補者のニーズにも着目しましょう。候補者の経歴や価値観、転職先に求めるものなどを明確にすることで、より効率の良いアプローチが可能になります。候補者となるターゲットを設定するには、ペルソナ設定をすることが効果的です。ペルソナ設定を行うことで、採用したい人物像を社員間で共有することができ、認識のズレが生じにくくなります。企業側が求める人物像を明言化できなければ、途中で意見のブレが生じたり合否判定が適切に行われなかったりして、入社後にミスマッチが起こる可能性があるのです。
採用活動を効率化するためには、求職者に刺さるアプローチをしなければなりません。ペルソナを設定することで、企業側がアピールしたい情報ではなく、求職者が必要とする情報を発信できます。ペルソナを設定しなければ、ありきたりな情報発信となってしまい、他社の情報に埋もれてしまったり、自社の求める人物像とかけ離れた人材が流入してしまったりする可能性があるのです。中期経営計画と連動させ、いつ頃に何人の人材が必要になるかを予測します。必要な人材が定義できれば、何人の候補者をタレントプールに登録しなければならないかが明確になるでしょう。
採用領域においては、自社の求人に応募してくれる求職者数のことを母集団といいます。単に人数を多く集めるだけでなく、優秀な人材を集め、自社が必要とする人物像に合った人材を採用するためには、母集団の質が高いことが大切です。母集団を形成する人材にはいくつかの種類があります。
- 内定を辞退した人や採用の最終段階で不採用になった人材
- 求人サイトや自社のサイトに求人を掲載した際に直接登録した人材
- TwitterやInstagram、FacebookなどのSNSを経由してコンタクトを取った人材
- 派遣で働いたことがある人材 ・社員に紹介された人材
イベントや勉強会、説明会、セミナーや交流会などへの参加者 母集団の性質は方法によって異なるので、必要な人材に合うチャネルを選ぶことが大切です。母集団は一度形成すれば終わりというわけではなく、定期的な集団のスクリーニングを要します。
コンタクトを取った候補者の情報をデータベース化していきましょう。データベース化の方法は、Excelやスプレッドシート、採用管理ツール、SNSなどがあります。採用管理システムを導入するメリットは、プールの中から望ましい人材を検索したりコミュニケーション状況のチェックが簡単にできたりすることです。その結果、採用に関する業務の効率化につながります。
SNSを利用してもデータベースの構築や管理ができます。SNSによってスキルや経験が自社の採用基準に合うことが分かれば、メッセージを送ってコミュニケーションを取ることが可能です。優秀な人材を確保するためにイベントを開催する際には、SNSを通じて宣伝すると、条件に合う人がイベントに参加してくれるでしょう。SNSは候補者とのコミュニケーションに役立つだけでなく、新たな人材の発掘にも有益なツールです。
データベースに記載したい情報として以下のものがあります。
- 個人の基本情報
- 在籍した企業
- 保有しているスキルや資格
- 人材との接点
- 最終コンタクトを取った日
- SNSのアカウント
人材との接点に内定を辞退した人、採用選考途中で不合格になった人、社員の紹介で面接した人、なども記載しておくと、再アプローチがスムーズにできるでしょう。面接を済ませた採用候補者については、以下の項目も記載しておくと中長期的なアプローチを行う際に役立ちます。
- 面接担当者
- 最終コンタクトを取った日
- 面接の議事録
- 面接担当者の所感
データベースの情報は整理されており、採用担当者とコンタクトを取った人や紹介した人が情報共有を行えることが大切です。なお、データベースには個人情報が含まれるため、流出しないように効率良く運用することが必要とされます。
タレントプールを作成し、実際に機能させるためには、候補者と定期的にコンタクトを取ることが重要です。継続的かつ定期的にコンタクトを取り、自社の情報を伝え、候補者の状況も把握していきましょう。SNSやメールマガジンなどで情報発信をする、交流会などのイベントを開催し、直接候補者と会う機会を設けるなどの方法があります。候補者に対してはメッセージのやり取りに加えて、イベントの告知なども積極的に行いましょう。一度は自社に興味を持ってくれた候補者も、時の経過と共に興味が失われていきがちです。定期的にアプローチを行うことで、候補者の関心を維持できるでしょう。
タレントプールの目的は人材を採用することなので、人材を採用する必要が出たときは必要な条件に合う人材を抽出し、スカウトすることが大切です。終身雇用制が崩れたことで、生涯に数回転職する人は少なくありません。転職しても数年経てば転職を考える人は少なくないので、長期的にコンタクトを取って相互の信頼を高めておけば、将来的にアプローチしたときに成功する確率が高まるでしょう。もし採用につなげられなかったとしても、コミュニケーションは引き続き取り続けます。どうしても入社して欲しい人材なら「タイミングが合えばいつでも採用する準備がある」ことを伝え続けるとよいでしょう。
タレントプールを運用する際の注意点
タレントプールを導入しただけでは十分とはいえません。実際に運用し、効果を生みだすために押さえておきたいポイントを紹介します。
データの最適化を行う
タレントプールを活用するためには、データベースの管理が欠かせません。タレントプールは将来的に必要になるかもしれない優秀な人材をリスト化し、必要なときにアプローチを行いますが、長期的に行っているとリストに載っている人材が増えてしまいます。人材の母集団が大きくなるとアプローチの精度が薄まるので、適切なタイミングで再アプローチをする候補者を精査、再選考するなどデータベースの刷新が必要です。タレントプールに蓄積しておきたい人材の質や企業が必要とする人材の要件は変化が伴います。データベースの刷新が滞っている場合は、企業にとって優秀とはいえない人材がプールされた状態といえるでしょう。そうなれば、効率的な採用は行えなくなります。
プールした人材と定期的にコンタクトを取り続ける
採用候補者との接触の機会が少なければ、採用候補者は自分に興味がないのだと判断してしまう可能性があります。そうした状態が続けば、企業への信頼が薄れてしまい、いざ採用活動を行おうとしてアプローチしても断られてしまう可能性も出てくるでしょう。手間暇をかけてプールしていた優秀な人材が競合他社に入社してしまうケースもありえます。また、他社も自社と同様にタレントプールを導入していた場合、人材が不足しているときに自社の社員を引き抜いてしまう可能性もあるでしょう。
自社の社員が他社に引き抜かれないように、社員にとって魅力的な企業であり続けることも必要です。プールした人材には不定期でもまめにコンタクトを取ることで、勤務状況や求職状況をチェックすることができ、情報のアップデートもしやすくなります。とはいえ、あまりにもコンタクトを取る回数が頻繁だと、候補者は迷惑だと感じてしまうでしょう。コンタクトを取る頻度は3カ月に1度など、適度な間隔を空けることもポイントです。
タレントプールを構築するための手法
タレントプールを構築するための手法としてどのようなものがあるのかを紹介します。
専用の登録フォームを設ける
自社のWEBサイトの採用ページなどに説明付きの登録フォームを設けておき、自社に興味を持った人に登録してもらう方法です。一度登録フォームを設けてしまえば、あとは登録者を待ち、採用候補者として確保したい人材がいればコンタクトを取ります。自社の理念や経営方針、働き方、職場の雰囲気などをこうしたページに掲載しておくことで、自社に興味を持つ人材を集めやすくなるでしょう。
求人広告
求人広告は求職者が閲覧する媒体なので、一定期間で母集団形成がしやすい方法です。半面、志望度が低い求職者も集まるため、選考途中で不採用になる人や内定後に辞退する人の割合も高い傾向があります。タレントプールを運用する企業では、こうした採用途中や内定後の辞退者に対し、今後連絡を取っても良いか否かを確認し、連絡を取っても良いと回答した求職者をタレントプールに登録しているのです。採用途中で不採用になった人や内定を辞退する人でも、以下の場合は再度自社に応募してもらえる可能性があります。
- 転職活動中に転職を思いとどまったものの、再度転職することを決意した場合
- 前回は選考を辞退して別の企業に転職したものの、再度転職を考えている場合
- 前回は自社の採用基準に合わなかったが、自社の採用基準が変更になり受け入れ体制が構築された場合
転職イベント
転職イベントでは1日に多くの転職希望者と出会うことができます。転職イベントへの参加者は、多くが転職志望や緊急度はそれほど高くない「転職潜在層」と呼ばれる人々です。こうした人材にも今後の連絡を取っても良いか否かを聞き、連絡を取ることを了承した人をタレントプールに登録します。今すぐ転職したいという気持ちは持っていなくても、優秀な転職潜在層をタレントプールに登録しておけば、適切な時期にアプローチすることが可能です。
リファラル採用
リファラル採用とは、社員の知人や友人を紹介、推薦してもらうことによる採用活動です。リファラル採用はマッチング率が高く、採用コストを抑えられる、競合他社とのバッティングが回避できる手法として注目されています。しかし、候補者が転職したいと考えるタイミングと自社が人材を採用したいと考えるタイミングが必ずしも一致するわけではありません。そこで、リファラル採用とタレントプールを組み合わせることにより、双方にとって適切なタイミングで採用につなげることが可能です。自社に興味を持つ人を招いて会社見学会やセミナー、食事会などを開催し、参加してくれた人をタレントプールに登録するという手法が成功事例としてあります。
採用以外のイベント
採用以外に、ターゲットとなる人材が興味を持ちそうな題材の勉強会やセミナーを開催し、直近では転職を考えていない人に対しても接触する機会を持ちます。
まとめ
タレントプールを導入して効率良く採用活動を進めよう
タレントプールを運用することで、選考の最終段階で不採用になってしまった人や内定を辞退した人などに対し、自社が人材を必要とする局面で再度アプローチをかけることが可能です。必要な人材を確保するために一から採用活動をするのと比べて採用活動を効率化できるだけでなく、コストも削減できます。採用の効率化を図るためにはデータベースの見直しや人材に対するアプローチを定期的に行うことが必要です。