母集団形成とは?おすすめの11施策、解決すべき採用課題を解説

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企業が採用活動を成功させるうえで、「母集団形成」を意識することはとても大切です。たくさんある採用戦略の中でも、母集団形成は特に重要なポイントであり、採用活動が成功するかどうか明暗を分けるものとなるといっても過言ではありません。

この記事では、母集団形成のメリットやプロセス、おすすめの施策、解決すべき採用課題、成功のポイントについてわかりやすく解説します。ぜひ参考にしてみましょう。

母集団形成とは?

まず、「母集団」とは、統計学でよく使われてきたワードで、「調べたいデータ全体」を指しています。企業の採用活動においては、「自社の求人に興味や関心を持っている人材の集団」という意味です。より具体的に、「自社が求人募集を出していることを知っていて、自社への応募を検討している人の集団」と言い換えることもできます。この母集団が多いほど、自社の求人に応募してくれる求職者の数は多くなります。

「母集団形成」とは、「自社に興味を持っている候補者を集める活動」のことです。母集団形成において注意したいのは、ただ数をたくさん集めればよいというわけではないことです。母集団として、自社が求めている質の高い人材をいかに集めるかが、採用の成功を決める重要なポイントとなっています。

母集団形成が採用活動に重要な理由

採用活動において、母集団形成の重要性は近年ますます高まっています。その理由は、少子高齢化により、人材の獲得競争が激しくなっているためです。

日本では生産年齢人口が年々減少し、求人を出しても求職者が集まりにくい「売り手市場」の状態が加速しています。厚生労働省が発表した「日本の人口の推移」という統計によると、2065年には日本の総人口が9000万人以下になると予想されています。つまり、今後もこの状態は改善されないどころか、いっそう深刻化する見込みなのです。

人口減少の深刻化に伴い、「求職者1人あたりに対する求人数」を示す有効求人倍率もゆるやかに上昇しています。2020年には、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて有効求人倍率はいったん下落しましたが、その後はゆるやかに回復しています。一人の労働者に対して一つ以上の求人が出ている売り手市場の状態は、今後も続くと考えてよいでしょう。採用競争が激化する中、企業には母集団形成により自社に興味のある人材を積極的に集めて、応募を後押しする努力が求められているのです。

母集団形成のメリット

企業が母集団形成に取り組むことには、さまざまなメリットがあります。ここからは、主なメリットを4つ紹介します。

メリット1:計画的に採用できる

企業の採用活動において、計画性は欠かせません。明確な採用計画を立てずにやみくもに採用すると、いつまで経っても募集枠が埋まらない、または人数は集まったものの自社が望む人材ではなかった、などということが起こり得ます。母集団形成を意識すれば、ターゲットや人数、スケジュールなどを設定して、進捗状況を把握しながら計画的に採用活動を進められます。

メリット2:採用後のミスマッチを防げる

母集団形成においては、求職者の「数」だけでなく「質」も重要なポイントです。ターゲットを意識しながら自社に合う人材を集めることで、自社の価値観や社風にマッチしない人材が集まるのを防げます。母集団形成では、スキルや資格、これまでの経験、行動特性といった採用要件をあらかじめ設定しておくので、自社が求める人材を採用しやすくなるのです。入社してから新入社員が感じるギャップが少なくなれば、定着率が高まり、離職率を下げることもできるでしょう。

メリット3:採用にかかる経費をカットできる

母集団形成を意識して計画的に採用活動を行うことは、採用コストの抑制にもつながります。綿密な計画なしに募集をかけると応募者がうまく集まらず、求人広告の掲載期間を延長したり、追加で新たなサービスを利用したりしなければならなくなります。採用活動が長期化すれば、その分採用コストは膨らむ一方です。その反対に、応募者が予想以上に集まりすぎた場合は、コスト削減の余地があったと考えてよいでしょう。戦略的に母集団形成を行えば、余計なコストをカットしたスマートな採用活動を実現できます。また、先に取り上げた通り、採用後のミスマッチを防いで定着率が高まることで新たな募集枠が減り、採用コストや育成コストを削減できるという面もあります。

メリット4:企業の成長につながる

母集団形成により自社にマッチした人材を採用できれば、その人材が自社に定着して活躍することを期待できます。その結果、業務の生産性が向上し、企業全体としての成長にもつながります。経営目標や事業目標を達成しながらコストをカットし、安定的な事業の継続に貢献できるでしょう。

母集団形成の採用手法11選

母集団を形成する方法は、オンライン・オフラインともにいくつもあります。そのため、「どの方法を選んだらよいかわからない」と悩むこともあるかもしれません。大切なのは、採用の目的やターゲットを考慮しながら自社に合う方法を採択することです。

この段落では、母集団形成の11の方法を取り上げて一つずつ詳しく解説します。それぞれのメリットやデメリットを把握して、どの方法が自社に最適かを考えてみましょう。

1.就職・転職サイト

1つめの方法は、就職サイトや転職サイトに求人情報を掲載するというものです。登録者数の多い就職・転職サイトを利用すれば、多くの人に求人情報を届けてアプローチでき、効率的に母集団を形成できます。全国規模でエリアを限定せずに募集をかけられることや、サイト上で応募者とのやり取りができること、求職者にとって利便性が高いことなどもメリットとして挙げられます。

一方、デメリットは、実際の応募は大企業に集中することが多く、中小企業の求人情報は埋もれてしまう可能性があるという点です。自社の情報を目立たせるためには、上位表示のオプションを利用するなどサイト運用の工夫が求められます。採用に至らなくても掲載費用は発生することや、検索された希望条件と合致しなければ情報が表示されないことなどもデメリットといえるでしょう。

2.求人情報誌

無料で配布される求人情報誌に掲載するという方法もあります。求人情報誌のメリットは、地域ごとに発行されているため、エリアを限定して地域密着型の採用活動ができることです。無料で手に取れる情報誌のため求職者が目にするハードルが低いことや、他社と比較もしながら応募に進んでもらえることもメリットとして挙げられます。求人広告を掲載するときには、担当者から訴求ポイントなどについてアドバイスを受けることも可能です。

求人情報誌のデメリットは、通常の掲載枠は小さく、発信できる情報量が限られていることです。掲載枠を大きくすることは可能ですが、その場合は追加の掲載料を支払わなければなりません。また、就職・転職サイトと同じように、掲載料は採用に至るかどうかに関わりなく発生します。発行された後は情報の修正ができないことにも注意が必要です。

3.人材紹介会社

次に挙げるのは、人材紹介会社を利用するという方法です。人材紹介会社にどのような人物を求めているかを伝え、条件に合致する人材を紹介してもらいます。この方法のよいところは、自社に合った質の高い候補者を紹介してもらえるため、採用ミスマッチを防ぎやすいという点です。非公開案件として人材を探せるので、一般には公開していないプロジェクトの担当者を募集したいときなどにも向いています。料金体系は、人材を採用できたときに手数料が発生する成果報酬型であることが多く、この場合には初期費用はかかりません。

デメリットは、一般的には採用決定者の年収の30~40%程度の手数料が発生するため、採用コストが高いことです。設定するターゲット層によっては、希望に合う人材が見つからないということもあります。また、一度にたくさんの人を採用したい場合には向きません。

4.合同説明会

合同説明会に出展することも、母集団形成の一つの方法です。合同説明会では、複数の企業がブースを出展して求職者と直接対面し、自社についての情報を提供します。合同説明会に出展するメリットは、何と言っても求職者と直接会って対話し、自社のアピールができる点でしょう。自社に関心がない層にもアプローチでき、自社の認知度を高めるのにも役立ちます。来場者が多ければ、一度に多くの求職者の情報が得られるので効率的です。

注意点は、規模の大きい合同説明会では企業間の競争が激しく、自社を上手にアピールする工夫が求められることです。短時間で複数の人を相手にするため、せっかく対面できているのに十分なコミュニケーションが取れないケースもあります。対象者を絞った合同説明会では来場者の数が少なく、思ったよりも求職者の情報を集められないこともあるかもしれません。

5.ハローワーク

ハローワークとは、厚生労働省が全国に設置している公共職業安定所で、求人紹介や求職相談などを行っています。ハローワークに求人情報を出す大きなメリットは、コストがかからないことです。求人情報の掲載や採用は無料なうえ、ハローワーク経由で求人を出せば各種助成金の対象にもなります。厚生労働省の管轄のため、安心して利用できると考える採用担当者も多いでしょう。

一方、デメリットとして挙げられるのは、ハローワークの利用者は幅広く、自社に合う人材を選定するのが難しいことです。求人票に掲載できる情報量が限られていることや、内容の修正がしにくいことなどもデメリットとして挙げられます。

6.自社の採用ホームページ

自社の採用ホームページを新設したりブラッシュアップしたりするという方法もあります。この方法のメリットは、採用に至っても費用が発生しないことや、掲載できる情報量に限界がないことです。魅力あふれる社内の写真や動画などを掲載して、視覚的に訴える内容にすることもできます。自社で働く従業員のインタビューや一日のスケジュール例などを取り上げれば、自社で働いたときの姿をイメージしてもらいやすくなります。

自社の採用ホームページでは、採用や応募にはコストがかからないものの、ページの構築費用が発生することには注意が必要です。また、大企業でなければ、採用ホームページだけでは応募数を大きく増やすことは難しいでしょう。

7.SNS

TwitterやYouTube、InstagramなどのSNSを使うことも効果的です。無料で利用できるSNSをうまく活用すれば、採用コストを大きく抑えることができます。自社アカウントをフォローして継続的に情報を閲覧してもらえば、自社に対する理解度を深めることができ、ミスマッチを防ぐのに役立ちます。また、SNSでは有料の広告を出稿することも可能です。この方法は費用がかかりますが、広告を表示するターゲットを細かく設定できるので自社に合う母集団を形成しやすいでしょう。

デメリットは、コンスタントに情報を発信し続けなければならないことや、炎上リスクがあることです。より多くの人に情報を届けるためには、一定のフォロワー数を集めるためのSNS施策も必要になります。

8.ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングは、企業から積極的に気になる人材にアプローチしてスカウトする方法です。採用担当者が主体的に活動することで、自社が求める人物像に近い人材にピンポイントで声をかけられます。

一方、一人の候補者を採用するのにかかる工数が多く、一度に多くの人を採用したいときには向かない手法であることがデメリットといえるでしょう。気になる人材にどのようにアプローチし、自社の魅力をいかに伝えるかを課題に感じている担当者もいます。

9.リファラル採用

リファラル採用は、自社の社員に知人や友人を紹介してもらう方法です。自社で働いていて理念や社風などをすでによく知っている社員に紹介してもらえば、採用後のミスマッチは起きにくくなります。質の高い人材を集めやすく、入社後に定着して活躍してくれる可能性は高くなります。面接や採用に至った場合などに、紹介者にインセンティブが支払われることもありますが、他の多くの方法ほどの採用コストはかかりません。

デメリットは、特に社員満足度が低い会社ではあまり多くの紹介が集まらない点です。一人の社員が紹介できる人数には限りがあるため、大量に採用することも難しいでしょう。採用となったときには人間関係や人員配置に、不採用となったときには事後フォローに気を配る必要もあります。

10.学内セミナー

大学や専門学校などのキャンパスで就職セミナーを開催するという方法もあります。うまく学部を選べば、特定の領域を選考している学生に直接アプローチができます。理系・文系、学歴、エリアなどで自社が希望する人材を絞り込んで母集団として形成するのに効果的な方法です。コストが低いことや、一度開催できると継続的に声をかけてもらいやすいことなどもメリットです。

デメリットは、大学側から誘致してもらえない可能性もあることや、参加者が少なければ母集団を形成しにくいことなどです。

11.インターンシップ

大学や専門学校に通う学生に自社で働いてもらうインターンシップも、母集団形成の一つの方法です。インターンシップを実施すれば、働くことに積極的で自社に興味がある学生を母集団に加えられます。選考前から学生とコミュニケーションを取ることで、自社に合う人材かどうかも判断しやすくなります。

注意したいのは、夏期休暇期間以外では参加者が集まりにくいことです。インターンシップから実際の選考開始までに時間があると、選考まで進んでもらいにくくなるという点もあります。

母集団形成を実施するプロセス

母集団形成の方法がわかったら、次は実際に母集団を形成するためのプロセスを一つずつ見ていきましょう。

1.採用の目的をはっきりさせる

1つめに必要なステップは、採用の目的の明確化です。目的がはっきりしていれば、その目的を果たすためにはどのような人材が必要かが見えてきます。目的を考える際は、事業計画を遂行するうえで解決すべき課題や達成すべき目標を考慮しながら、具体的なものにすることが大切です。

2.人材要件や採用人数を設定する

採用目的が決まったら、2つめのステップとして人材要件や採用人数を決定します。人材要件では、どのような人物をターゲットにすべきか、ペルソナを具体的に設定します。採用人数を決めるときは、達成すべき目標を考えることが必要です。たとえば、今期の売上目標と一人あたりの現状の売上を考慮すれば、追加で必要な人数を計算できるでしょう。経営層の目線だけでなく、現場目線でのニーズを考慮することも必要です。また、現在のニーズだけでなく、数年後に予想される社内の人員構成やニーズも踏まえて決定します。

3.採用スケジュールの計画を立てる

3つめのステップは、採用スケジュールを立てることです。いつまでに採用しなければならないのかをはっきりさせて、逆算しながらスケジュールを立てていきます。新卒採用とは異なり先を見通しづらい中途採用では、関係部署とも調整しながら余裕を持ってスケジューリングすることが大切です。

4.採用方法を決める

次に、4つめのステップとして採用方法を決定します。採用方法はすでに取り上げた通りたくさんあります。設定した採用要件やターゲットを念頭に置きながら、自社に合った採用方法を選定しましょう。

5.採用後は振り返って改善を図る

最後のステップは、振り返りと改善です。採用活動後はその効果を測定して、改善すべきところを洗い出します。アプローチ方法ごとの応募者数や内定者数、辞退者数、コストなどのデータを集計し、分析して次回につなげましょう。新入社員の教育係や面接を実施した社員など複数の社員からのフィードバックを受けることで、さらに質の高い採用活動へと改善していくことができます。

母集団形成を成功させるポイント

母集団を形成する5つのステップを取り上げましたが、ただ機械的にこのステップを踏んでも期待した効果は得られないかもしれません。母集団形成を成功させるには、以下のポイントをしっかり押さえておく必要があります。

1.ターゲットは具体的に設定する

採用ターゲットは、社内のニーズを考慮してできるだけ具体的に設定することが大切です。経験やスキル、年齢、学歴、行動特性などを決めて、人物像をイメージできるようにしておく必要があります。特に、経験やスキルなど前もってわかる項目はしっかり設定して、面接前にふるい分けておくとよいでしょう。限られた時間の中で行う面接では、その人の経歴や資質、考え方などをすべて把握することはできません。面接では、実際に会ってみないとわかりにくい人柄を中心に判断することにし、経験やスキルなどはターゲット像の設定によりスクリーニングしておくと効率的です。

中途採用では、ターゲットの設定が新卒採用よりも重要となってきます。社内のニーズが発生したタイミングで募集をかけるため、スキルや資格などの条件がより重要視される傾向にあるからです。ターゲット像を明確にしておけば、選考スピードを上げるとともにミスマッチも最小限に抑えられます。

2.自社に合わせた母集団形成方法を選択する

ただ漠然と募集をかければよいというわけではなく、自社に合わせた母集団形成方法を選ぶことも大切です。「これまでずっとこの方法で募集してきたから」「世間では今この方法が流行しているから」などの理由で採用方法を選んでも、自社にとって最適なものとは限りません。新しいサービスやテクノロジーに遅れずについていくことは大事ですが、最新のものだからというだけで自社に合うわけでもないでしょう。どの方法を選択するにしても、自社に合うかどうかを検証して選択することが大切です。

母集団形成の方法は、一つだけでなく組み合わせて使うことも可能です。「自社にはこの方法しかない」と考えるのではなく、「この方法もよいが、デメリットを補うにはこの方法と組み合わせるとよい」などと広い視点で考えるようにしましょう。複数の手法を組み合わせることでより広い応募者にアプローチでき、採用活動が強化されるはずです。

母集団形成の解決すべき課題

最後に、母集団形成に取り組むにあたり、企業の人事・採用担当者が直面しがちな課題についても知っておきましょう。

1.そもそも母集団が集まらない

よくある課題の一つは、「母集団が集まらない」というものです。「母集団を増やしたいのに、なかなか増えない」というケースもあるでしょう。母集団が少なければそれだけ採用候補が少なく、採用の機会が減るということなので、企業にとっては痛手です。母集団の「数」の課題を克服するには、母集団が集まらない原因を知って対策を講じることが大切です。

母集団が集まらない原因としてよく挙げられるのは、「会社の認知度が低い」「募集していることを知らない」などです。会社の認知度が低い場合は、不特定多数に対してアプローチする広告施策を実施すれば短期的に効果が出やすいでしょう。若い世代にアプローチしやすいSNSを活用して、会社に関する情報を発信することもできます。募集を出していることが認知されていないケースでは、求人情報の発信方法を見直すことが大切です。具体的には、オンラインとオフラインの両方の手法を活用する、情報を掲載するツールや配信タイミングを変える、などの工夫により改善できます。

2.質の高い母集団を形成できていない

別の課題は、「応募者の質が低い」というものです。募集をかけると応募者は集まるものの、自社にマッチした人材ではない、というケースがこれに当てはまります。この場合に大切なのは、募集要項の中で、どのような人材を求めているのか人材像を明確にすることです。「プログラミング経験者」「学部生ではなく大学院生」など、詳細な人材像を発信することを意識しましょう。

人材採用には母集団形成が大切!採用手法をよく検討しよう

少子高齢化が進み人材獲得が難しくなる中、採用活動において母集団を形成する重要性はますます高まっています。母集団形成の手法はいくつもあり、ニーズやターゲット層、メリット・デメリットなどを考慮しながら自社に合う方法を選ぶことが大切です。この記事で取り上げた11の手法を比較検討しながら、どの方法を採択するか検討してみてはどうでしょうか。