360度評価のコメント例文と書き方!部下から上司など立場や職種別に解説

360度評価のコメントを書くときに、どのような言葉を選べばいいか、どこまで率直な意見を伝えて良いのか悩んだ経験はありませんか?本記事では、360度評価の適切なコメントの書き方、コメントを書くときのコツについて解説します。

記事の後半では、「上司から部下へのコメント」「部下から上司へのコメント」など立場別のコメント例文や、営業職、技術職など職種別の例文もご紹介します。360度評価のコメント作成の際に、ぜひ参考にしてみてください。

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360度評価で効果的なコメントを書くためのコツ

360度評価では、多角的な視点から評価対象者のパフォーマンスや行動を観察し、的確なフィードバックを提供することが求められます。はじめに、360度評価で効果的なコメントを書くためのコツを解説します。

具体的な事実に基づいて記述する

評価コメントを書く際は、「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(誰が)」「What(何を)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」という5W1Hを意識して書くことで、内容を具体化できます。また、具体的な事実に沿って書くことで相手の行動や成果が明確に伝わるでしょう。

例えば、「〇〇さんは定例会議の際に、一人一人に質問を投げかけて発言しやすい空気をつくっている。議論が活性化しやすく、他のチームより業務改善量が多い。」など具体的なシーンが浮かぶように表記することが望ましいです。

感情的な表現を避け、客観性を保つ

評価者の主観や感情に左右されない、事実に基づいた記述を心がけましょう。

「性格が悪い」「やる気がない」といった感情的な表現は避け、「締め切りまでに必要な資料が提出されなかった」「チームミーティングでの発言が少ない」など、観察可能な事実を基に記述することで、より客観的なフィードバックとなります。 

改善点と良い点をバランス良く伝える

改善点だけを指摘すると、相手のモチベーションが下がってしまう可能性があります。一方で、良い点だけを伝えても相手の成長につながりません。

まずは相手の強みや成果を具体的に認め、その上で改善が必要な点を建設的に伝えることで、バランスの取れたフィードバックとなるでしょう。

相手の成長につながるフィードバックを心がける

360度評価のコメントは、相手への批評や指摘ではなく、相手の成長を促すような建設的なフィードバックが必要です。

「コミュニケーションが不足している」「仕事の熱意が感じられない」など抽象的で否定的な表現は避けて、「月に1回以上はメンバーと1on1が必要だと思うが、数か月間も実施していないので量が不足していると思う。隔週に1回の1on1を試みるなど、時間調整をするのはどうか」など、改善点と期待するアクションが分かるように記載するのが望ましいでしょう。

分かりやすい文章で伝える

評価コメントは可能な限り平易な言葉で、誰が読んでも理解できるように記述することも重要です。

一つの文章を長くしすぎると、要点が伝わらず分かりにくくなってしまいます。また、事実と評価者の主観を分けて書くことで、評価の意図や期待することを明確に伝えやすくなるでしょう。

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360度評価で避けるべきNGコメント例と改善点

評価対象者への配慮をしなかったり、360度評価の目的を意識しなかったりすると、評価対象者のモチベーションを奪いかねません。効果的なフィードバックを妨げる不適切なコメントについても解説します。

主観的で根拠に乏しいコメント

「いつも頑張っていない」「やる気が感じられない」といった主観的かつ抽象的なコメントは代表的なNG例です。

努力が足りない、やる気が感じられないと思う理由を、事実ベースで伝えることで説得力が増すでしょう。

例えば、「プロジェクトAでは、チーム会議への出席率が50%未満であり、期限までに担当部分の完了が間に合わないことが3回あった」というように、具体的な事実と数値に基づいて記述するように工夫しましょう。

改善点が不明確なコメント

「いつも頑張っている」「成果が素晴らしい」といったコメントは、一見褒めているようで具体性がなく、改善点が不明瞭です。

360度評価は、次のアクションにつなげるために改善点を明確に伝え、前向きに行動できる言葉を選びましょう。

例えば、「今期は平均達成率が110%で素晴らしいが、そのノウハウを社内に共有する場面がやや少ない。次の期では、週1度の定例会議の際に自身の成功事例を共有し、アウトプットスキルを磨くと良いと思う」など、良かった点ともう1歩の点をバランスよく記述しましょう。

相手の成長につながりにくいコメント

気になった点を並べるだけでは、相手の成長が促されません。「報告書の提出が遅い」と事実だけを伝えるのではなく、「週次の進捗管理表を活用することで、締め切り管理が改善できると思う。部内で導入時のサポートを行っているのでぜひ活用してほしい」など、具体的な改善案と、相手の行動を引き出すような表現を心がけましょう。

感情的なコメント

コメントを書く相手によっては、つい感情的になり客観性に欠ける内容になりがちです。普段の仕事ぶりに対する苛立ちをぶつけたり、期待している従業員をひいきして特別扱いしたりせずに、客観的な立場のコメントを意識しましょう。

例えば、「〇〇さんは将来有望で周囲からの信頼も厚く、ぜひリーダーになってほしいと期待している」というコメントは、評価者の主観と感想ばかりで事実や客観性に欠けています。「なぜ」期待をしているのか理由を添えて、「周囲からの信頼が厚い」と判断できる事実を伝えること、そして「リーダーになるための社内基準」を一緒に伝えると、客観性で事実に基づく評価になるでしょう。

褒め言葉のみのコメント

360度評価は匿名で行いますが、評価者を予測できる場合もあります。そのため、評価対象者との関係性を考慮して、つい褒め言葉だけをコメントする場合がありますが、評価としては不十分でしょう。

360度評価の目的は、多面的なフィードバックをもらって業務改善につなげることです。褒め言葉のみ並べてしまっては、評価対象者がフィードバックの機会を逃すことになり、成長機会を奪ってしまう可能性もあります。

コメントの際は、必ず相手の強みと改善点をセットで伝えるようにしましょう。

立場別の360度評価コメント例文

 360度評価では、評価する側と評価される側の立場によって、適切なコメントの内容や表現方法が異なります。上司、部下、同僚という異なる視点からのフィードバックは、それぞれの立場ならではの観察や期待を反映させることで、より効果的な評価となります。

以下では、立場別の具体的なコメント例を紹介します。

上司から部下へのコメント例

上司から部下へのコメントでは、褒めるところと改善点をバランスよく伝え、メリハリのある内容を心がけましょう。

例文

「顧客からの要望に対する迅速な対応力が素晴らしく、先月の大型案件では、急な仕様変更にも柔軟に対応し、期限内での納品を実現した。一方で、事務職との連携が弱いため、契約締結のやり直しが複数回発生したのは改善点である。顧客とのコミュニケーションばかり重視せず、事務職との週次ミーティングには必ず参加して、受注後の社内処理まで滞りなく実行することを期待している。」

部下から上司へのコメント例

上司にコメントを行う際は、上司のマネジメント力に対する評価を行いましょう。メンバーマネジメントができているか、部の売上に貢献できているか、という視点の評価が必要です。

例文

「日々の業務における的確な指示と、チーム一人一人の状況に配慮したマネジメントにより、チーム全体の生産性が向上していると感じる。特に、週次の1on1では業務上の課題だけでなく、キャリア形成についても丁寧なアドバイスをいただき、大変勉強になる。ただし、急な方針変更の際は、より早い段階での情報共有をいただけるとメンバーの準備時間が確保できると思う。」

同僚間でのコメント例

同僚間のコメントは、普段近い立場にいるからこそ分かる気付きを内容に含めるとよいでしょう。

例文

「マネージャーが不在の時間帯には、新卒メンバーが困っていないか注意を配り、サポートをする場面が多く見られた。周囲の状況に応じて即座に役割を把握し、柔軟に動けるところにリーダーシップを感じている。ただ、控えめの性格のため、上司へのプレゼンの際にご自身を過小評価している印象も否めない。新卒メンバー3人は、〇〇さんがサポートした資料で受注につながっている事実もあるため、ぜひ部内へのノウハウ発信頻度を増やしてほしい。」


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職種別の360度評価コメント例文

職種によって求められるスキルや成果の基準は大きく異なります。

それぞれの職種特有の専門性や役割を理解した上で、適切な評価とフィードバックを行うことが重要です。営業職、技術職、企画職、事務職それぞれの例文をご紹介します。

営業職へのコメント例

営業職は、定量と定性の2軸で評価コメントをするとバランスがよいでしょう。

例文

「新規顧客開拓において、ターゲット企業への徹底的な事前リサーチを怠らず、的を得た提案をすることで受注数がアップしている。お客様からの評価も上々で、アップセルも期待できる。一方で、既存顧客のフォローアップが弱く、既存接触数が部の平均以下の数値となっている。新規顧客ばかりに気をとられず、既存顧客へのフォロー接触数を増やし、既存紹介数を伸ばしてほしい。」

技術職へのコメント例

技術職の場合は、スキルアップの姿勢や保有資格など知識面に加えて、チーム貢献度も評価対象に入れるとよいでしょう。

例文

「Web開発のプロジェクトにおいて、高度な技術力と問題解決能力を発揮している。新機能の実装では、パフォーマンスを30%向上させる改善案を提案した点は素晴らしい。一方で、顧客向けの説明の際に、かみ砕いた提案ができず、顧客からの問い合わせ数が他メンバーより50%多い。今後は、技術的な観点だけでなく、より顧客視点のコミュニケーションができるよう、社内研修を活用して分かりやすい表現を習得してほしい。」

企画職へのコメント例

企画やクリエイティブ職の場合は、企画力だけでなく、企画をつくるプロセスやチーム連携にも焦点を当てて評価するとよいでしょう。

例文

「企画には顧客分析や実地調査のデータが非常に細かくまとめられ、論理的かつ説得力がある点は顧客からの評価が高い。一方で、チームメンバーのアイデアの反映がやや少ないため、企画のひねりが足りず、オーソドックスな企画にとどまってしまうと感じる。データにこだわりすぎず、メンバーの意見を反映しながら、より斬新な切り口で企画を練るように挑戦してみてほしい。」

事務職へのコメント例

事務職の評価を行う際は、事務手続きの正確性や部門内の連携、日々の業務改善などに焦点を当てるとよいでしょう。

例文

「入退社の保険手続きはミスが3%以下となり、依頼から1週間以内に全タスクを終了させている点を高く評価したい。しかし、社員からの労務相談への回答が遅く、数日間返答をしていない事象が3回発生した。今後は社員からの問い合わせ対応のスピードを高めて、社員満足度の向上にも寄与してほしい」

評価軸別の360度評価コメント例文

成果評価や能力評価など、評価軸別のコメント例文をご紹介します。

成果評価のコメント例

一定期間の業績に基づいて行う成果評価のコメントでは、感情論は捨てて、明確な数値やデータを根拠としたコメントを記述しましょう。

ただし、数値の結果だけ並べるのではなく、成功要因や改善点も示してあげると成長につながります。

例文

「営業目標の達成率が120%となり、下半期の事業部売上に大きく貢献してくれた。要因として、1社あたりのグロス金額が平均値より大きく上回っており、大型案件を得意としていることが分かる。今後は、中型案件の受注数を増やすことで、大型案件を失注したときのリスクを軽減できるようバランスよく営業活動に励んでほしい。」

能力評価のコメント例

従業員の保有するスキルや能力を基に行う能力評価のコメントでは、従業員の持つスキルを明確に記しつつ、そのスキルが業務とどのように関連付けられるかを明らかにしたコメントをするとよいでしょう。

例文

「eラーニングを積極的に活用して早期にITパスポート試験に合格をしたことで、最低限の専門用語を理解でき、顧客対応の質が高まった。顧客からの問い合わせの際にSEに頼らずに一次対応ができるようになり、月間の業務改善ポイントが〇%削減できた。引き続き、関連資格の取得を目指していただきたい。」

意欲評価のコメント例

従業員の意欲や仕事に対する姿勢を評価する情意評価のコメントでは、個人の性格への言及や、単なる印象による評価に注意が必要です。意欲がどのような行動と成果に結びついているか、事実ベースでコメントを記述しましょう。

例文

「自己啓発として資格取得に取り組み、今期2つの業務関連資格を取得。その知識を生かし、部内勉強会を自主的に月1回主催しており、チーム全体のスキル向上に貢献している。業務改善提案にも意欲的で、10月は部の平均5件を大幅に超えて10件の改善提案を挙げている。何事にも積極的な姿勢を保ちつつ、メンバーの自己啓発を促せるように勉強会に協力させるなど、周囲を巻き込む施策を期待している。」

まとめ

360度評価のコメントでは、具体的な事実や数値に基づきながら客観的で建設的なフィードバックを記述しましょう。「褒めるだけ」「改善点を伝えるだけ」ではなく、相手の成長を期待しながら言葉を選ぶことが重要です。つい主観や感情が入ってしまいがちですが、コメントを何度も見直して、偏りのない内容を記述するとよいでしょう。

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