上司と部下の新しいコミュニケーション手段として、1on1ミーティングを導入する企業が増えています。
せっかく取り組んだにもかかわらず、定期的な実施ができずに形骸化してしまう企業も多いのではないでしょうか。
本記事では、1on1ミーティングのやり方と効果的な進め方について、ポイントをご紹介します。自社のやり方を見直すきっかけとして、ぜひ最後までご覧ください。
企業の持続的な成長につながる「1on1」とは?
11の1on1テーマ、チェックリスト等、1on1の基礎から具体的な進め方まで解説
1on1ミーティングの目的とは
上司と部下の間で30分から1時間程度の時間をかけて実施される1on1ミーティングは、部下の仕事状況を確認し、上司と部下の関係構築や組織風土の醸成につなげることが目的です。
人事評価や目標設定を目的とした人事面談とは異なり、1on1ミーティングでは、メンバーそれぞれの業務状況を細かくヒアリングします。
一人一人の状況やスキルにあわせて対策やアクションプランを練り、メンバーが成果を出せるようサポートを行うのが一般的です。
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効果的な1on1ミーティングのやり方
メンバーごとの仕事状況を漏れなく把握し、目的を達成するための効果的な方法を模索している方に向けて、1on1ミーティングの流れに沿ってポイントを解説します。
事前準備を入念に行う
1on1ミーティングの効果を最大化するためには、事前準備が不可欠です。
まず、1on1ミーティングが定期的なコミュニケーションの場であり、人事評価面談とは異なる目的を持つことを明確に示します。
1on1ミーティングは、上司と部下の相互理解を深め、課題解決や成長支援を目指す場となります。その目的や役割を部下と共有し、期待される効果のイメージを膨らませましょう。
具体的な準備としては、前回の1on1ミーティングでそれぞれが宿題として持ち帰ったタスクの進捗確認、部下の最新の仕事状況の確認、チームの課題などをアジェンダとして整理します。事前にアジェンダを作成し、必要に応じて資料を準備しておくことで、当日のタイムスケジュールが管理しやすくなるでしょう。
ミーティングを実施する際の雰囲気づくり
効果的な1on1ミーティングには、心理的安全性の確保が欠かせません。
人事面談のような形式張った雰囲気ではなく、カジュアルな対話の場を作るように心がけましょう。会話しやすい雰囲気を作るため、会議室ではなく社内の休憩所やカフェテリアなど、リラックスできる場所を選ぶことも一案です。
ミーティングの冒頭では、業務外の話題から始めることで緊張を和らげ、部下が自分の考えや悩みを共有しやすくなるよう工夫しましょう。
アイスブレイクのネタは、体調確認やメンタル状況に関する質問、オンライン実施の場合は通信環境の確認などが鉄板ですが、部下との関係性にあわせてプライベートの話題を振るのも差し支えありません。アイスブレイクの中で、部下の様子や関心ごとに耳を傾けることで、会話を広げる効果も期待できます。
課題の振り返りと目標設定
1on1ミーティングの目的は、部下の仕事状況にあわせて成長支援することです。
一人一人の担当案件ごとにおける具体的な課題や、チーム内での役割について率直な対話を行いましょう。1on1ミーティングでは、人事評価とは異なり、より実践的な視点で業務上の障壁や必要なサポートを明確にすることが求められます。
課題に対しては、具体的な行動計画を部下と共に策定し、実行可能な形に落とし込むとよいでしょう。ただし、課題の振り返りと目標設定が、上司からの一方的な指示にならないよう注意が必要です。あくまでもメンバーが主体となり、上司はサポート役に徹するのがおすすめです。
フォローアップを行う
1on1ミーティングの効果を持続させるには、継続的なフォローアップが鍵となります。
面談内容を記録し、毎回必ず「次回までのアクションプラン」を明確にします。人事面談のような形式的な記録ではなく、実践的な行動計画として共有し続けることで、信頼関係が構築できます。
また、次回の1on1ミーティングまでの短期的な目標だけでなく、部下のキャリアを開発する目線で、中長期的な目標設定も行いましょう。
単なる昇進・昇格の話ではなく、部下がどのようにスキルアップをすべきか、それぞれの希望や適性を社内ポジションと照らし合わせながら決めていくことが望ましいです。
そのためには、組織のポジションに関する情報や事業の方向性などをタレントマネジメントなどで可視化して、部下に提示できると理想的です。
ビズリーチが提供する「社内版ビズリーチ」を活用すれば、社内ポジションの見える化と社員のマッチングが効率化できます。
1on1ミーティングの進め方のコツと求められるスキル
スムーズに1on1ミーティングを進めるためには、部下とのコミュニケーションスキルや、課題解決に導くスキルが不可欠です。1on1ミーティングを進めるコツと、上司が磨くべきスキルについて解説します。
コミュニケーションスキルを磨く
効果的な1on1ミーティングの基盤となるのが、コミュニケーションスキルです。特に重要なのが積極的傾聴法(アクティブリスニング)で、これは単に相手の話を聞くだけでなく、適切な相槌や質問を通じて対話を深める技術です。
また「はい」「いいえ」では答えられないオープンクエスチョンを適切なタイミングで投げかけることで、部下の思考を促し、より深い気づきを導くことが可能でしょう。
人事面談のような一方的な評価や指示とは異なり、対話を通して部下の考えや意見を引き出すことが重要です。部下が抱える本質的な課題や要望を引き出せるコミュニケーションスキルを磨きましょう。
建設的なフィードバック
1on1ミーティングにおけるフィードバックは、人事評価とは異なる特徴を持ちます。具体的な事実や観察に基づき、成長支援の文脈で行うことが重要です。
例えば「あなたのリーダーシップは、当プロジェクトにおいてチームのモチベーション向上に貢献しました」といった具体的な事例を挙げながら、ポジティブな面を認識させます。同時に、改善点についても建設的な対話を通じて共に考察し、部下のキャリア開発に取り組みましょう。
フィードバックをする際、唐突に評価を行うと、どうしても上下関係が影響して部下が詰められる形になりやすいです。そのため「今からフィードバックをしてもいいですか」と許可をとり、フィードバックした後に部下の意見を尋ねることで、一方的なフィードバックにならないように配慮しましょう。
<関連記事>フィードバックとは? 意味や言い換え、仕事における使い方をわかりやすく解説
問題解決力を高める
1on1ミーティングでは、部下が直面する課題に対して、共に解決策を模索する姿勢をとりましょう。
部下の困りごとに対して、直接的な答えを提供するよりも、部下自身が解決策を見出せるようにサポートするほうが成長につながります。
そのためには、適切な質問を投げかけ、課題の本質を浮き彫りにしていく過程が必要です。例えば「なぜその課題が生じていると思いますか?」「どのような解決策を考えていますか?」といった問いかけを繰り返して、部下の創造的思考を促し、主体的な問題解決能力を育成します。
信頼関係の構築
1on1ミーティングの成功は、上司と部下の間の強固な信頼関係にかかっています。
四半期に一度、半年に一度といった頻度ではなく、週に1回など高頻度で実施することで、部下との対話を継続し、信頼関係を築くことが可能になります。
1on1ミーティングは上司に本音を話せる場所として、心理的安全性を高めることができれば、率直なフィードバックをしあえるようになるでしょう。
心理的安全性を保つためには、常に誠実な態度で接して言動の一貫性を保つことをはじめ、共有された個人的な話や機密事項を適切に管理して、部下のプライバシーを尊重しなければなりません。
さらに、部下の感情に共感し、適切に対応できるよう、EQ(心の知能指数)を高めることも重要です。
<関連記事>EQ(心の知能指数)とは?高める方法や高い人や低い人の特徴をわかりやすく解説
適切な質問・テーマを用意する
限られた時間の中で、効率的に部下と対話を行うためには、適切な質問・テーマを用意することが重要です。
目標や課題に対する進捗把握をするための質問と、仕事への不安や悩みを確認するための質問など、目的に応じて適切な質問を準備しておきましょう。
1on1ミーティングでおすすめの質問・テーマ例は、次の記事で詳しく解説しています。
<関連記事>1o1ミーティングでおすすめの質問・テーマ例
納得感のある評価を効率的に行うための仕組みを整備し、従業員の育成や定着率の向上に効果的な機能を多数搭載
・360°フィードバック
・1on1レポート/支援
・目標・評価管理
・従業員データベース など
まとめ
定期的な1on1ミーティングを実施することで、上司と部下の信頼関係を築くことができ、部下の成長を促す効果が期待できます。
目的を定めずに何となく取り組んでしまうと、1on1ミーティングが形骸化して、無意味なものになってしまいます。
本記事でご紹介した1on1ミーティングの効果的なやり方を参考に、ぜひ実施方法を見直していただければ幸いです。
従業員のスキルを見える化
1on1ミーティングでは、事実に基づいた建設的なフィードバックが求められます。主観に惑わされず、適切な質問とフィードバックを行うために、タレントマネジメントの活用がおすすめです。
タレントマネジメントは従業員の目標、評価、保有スキルなどを事実ベースで集約するため、客観的なデータによる1on1ミーティングの実施が可能です。HRMOSタレントマネジメントの1on1レポート/支援機能は、面談サイクルの定着や効率化に貢献します。
詳しい資料は以下からご確認ください。