目次
上司と部下が定期的に行う1on1ミーティングは、仕事の質を向上させ、会社の文化醸成に役立つ手法として企業で導入が進んでいます。
本記事では、1on1ミーティングで得られるメリットを複数ご紹介するとともに、実施の際に陥りがちな注意点と解決策を解説します。
メリットとデメリットの両方をおさえて、1on1ミーティングの活用を促進していきましょう。
企業の持続的な成長につながる「1on1」とは?
11の1on1テーマ、チェックリスト等、1on1の基礎から具体的な進め方まで解説
1on1ミーティングが注目される理由
近年、企業で急速に普及した1on1ミーティングは、さまざまな業務課題や人材マネジメントの問題を解決する手法として注目されています。
業務のマネジメントは、複雑化する目標や成果主義、業務の多様化により、部下の状況を個別に理解することが難しくなってきました。
また、人材マネジメントでは、それぞれの従業員が持つスキルや経験に応じた対応やエンゲージメント向上、メンタルケアが求められており、一遍通りの人事面談だけでは、その後の対応に課題が生じています。
さらに、少子高齢化や転職市場の活性化により、従業員の離職防止に力を入れる必要も相まって、従業員の個別対応を強化する有効な手段として1on1ミーティングが注目されています。
<関連記事>1on1とは?実施の目的や効果、トーク例などを解説
システムを活用した企業の改善事例多数
・成果につながる1on1の実現
・評価業務を年間150時間削減
・人事の業務負担が3分の1以下に
・評価運用の工数を2週間分削減
au コマース&ライフ株式会社、GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社など、どのような効果が得られたのか分かる事例を公開中
1on1ミーティングを実施するメリット
1on1ミーティングには、多数のメリットがあります。ここでは、上司と部下それぞれにもたらすメリットと、組織や会社全体が得られる利点について、まとめてご紹介します。
上司と部下の信頼関係構築
1on1ミーティングは、上司と部下の信頼関係を築く手段として有効です。
定期的なコミュニケーションで接触回数が増えることで、ザイオンス効果により相手への興味・関心が抱きやすくなることも要因でしょう。
1on1ミーティングでお互いの理解が深まれば、業務に関する意見交換がしやすくなり、悩みやプライベートのことも含めて本音を伝えやすくなります。
本音の対話ができれば、部下は上司からのサポートも得やすくなるのがメリットです。
上司と部下の信頼関係の強化は、チーム全体の協力体制を作り、業務の進行が円滑になることも期待できるでしょう。
<関連記事>ザイオンス効果とは?広告や恋愛などへの活用例を逆効果になる場合も含めてわかりやすく解説
部下の自発的な成長促進
1on1ミーティングは、部下の自発的な成長を促せることもメリットです。
上司が部下に対して、キャリアの方向性や仕事への意欲について問いかけることで、部下は自分の強みや成長の可能性に気づくことができます。
繰り返し問いを行って、部下が自分自身の課題や苦手分野を理解できるようになれば、自立的な問題解決能力の向上や目標設定ができるようになるはずです。
また、継続的な成長は、部下のモチベーション向上にも前向きな影響をもたらすでしょう。
<関連記事>モチベーションとは? モチベーションマネジメントの方法や事例も紹介!
パフォーマンス管理
1on1ミーティングは、パフォーマンス管理をより効果的に進めるために有用です。
定期的な目標設定や進捗確認を行うことで、業務の進捗を上司が把握しやすくなります。リアルタイムでパフォーマンス管理ができれば、部下の状況悪化にすぐ気づくことができ、タイムリーにフィードバックを提供してサポートを行うことができます。
迅速な対応が可能となることで、部下のパフォーマンス向上が期待できるでしょう。
<関連記事>パフォーマンスマネジメントで個の力を引き出す!メリット・デメリット・施策のポイントとは?
チーム全体の生産性向上
1on1ミーティングは、チーム全体の生産性向上も期待できます。
上司と部下のコミュニケーションが活発になることで、部下のモチベーションが高まり、業務効率の向上や成果拡大につながるためです。
リクルートマネジメントソリューションズの「【調査発表】1on1ミーティング導入の実態調査」によると、1on1導入後に上司のモチベーションも上がったという報告があり、これは組織全体のエンゲージメント向上に貢献する可能性もあるでしょう。
職場の雰囲気がよくなれば、チーム全体の生産性にもよい影響を与えると考えられます。
離職率低下と定着率向上
1on1ミーティングが定期的に実施されることで、上司との信頼関係が築かれて心理的安全性が高まるため、離職率の低下が期待できます。
自身の努力が認められていると感じられ、さらに上司からの細やかなサポートを受けることで、部下のモチベーションが維持されやすくなるでしょう。
部下が「キャリアアップができている」「頑張りが評価されている」と感じることで、組織への貢献意識が長期的に保たれると考えられます。
キャリア開発
1on1ミーティングは、部下のキャリア開発をサポートするうえで重要な役割を果たします。
キャリア開発には、自己認識、キャリアゴール設定、スキル向上、フィードバックの4つのステップが含まれますが、1on1を通じてこれらのステップを実践することが可能です。
定期的な対話により、部下のキャリアに対する考えや志向性を理解しやすくなり、早期に部下の強みや課題に気づくことができます。その結果、部下に適切なサポートを提供することができ、成長を促進できるでしょう。
評価への納得度向上
1on1ミーティングは、評価への納得度を高めるために役立ちます。
定期的なフィードバックを通じて、部下は自身の業務の進捗や目標達成度を明確に把握でき、評価に対する透明性が向上するためです。
通常の評価面談では、日々の細かな取り組みが反映されにくいことがありますが、1on1ではその都度フィードバックが行われるため、納得感が得やすくなります。
評価面談とは異なり、実態に基づいたフィードバックを通じて、より正確な評価が可能になるでしょう。
<関連記事>フィードバックとは? 意味や言い換え、仕事における使い方をわかりやすく解説
従業員エンゲージメントの向上
1on1ミーティングは、従業員エンゲージメントを向上させるメリットも期待できます。
定期的なミーティングで部下の意見や要望を積極的に聞き、感謝やフィードバックを伝えることで、部下は自分がきちんと見られていると感じ、安心感を得やすくなるためです。
コミュニケーションが活発になれば、職場の会話量が増えて雰囲気もよくなり、部下のエンゲージメントが向上するでしょう。結果として、従業員全体のモチベーションや仕事の質向上につながります。
<関連記事>従業員エンゲージメントとは? 高める方法や事例から学ぶ成功のポイントを解説
課題の早期発見
1on1ミーティングは、潜在的な課題を早期に発見し、対処する手段となり得ます。部下との信頼関係が築かれることで、業務の進行状況だけでなく、精神面の悩みや課題も把握しやすくなるためです。
部下が心を開いて自分の悩みを共有できる環境が整えば、業務や人間関係の問題を早期に認識し、適切なサポートを提供することができます。
こうした早期の対応が、部下の問題解決を加速し、組織全体の健全な運営に寄与することはメリットといえるでしょう。
1on1ミーティングのデメリットと対策
1on1ミーティングには多数のメリットがありますが、どのような施策にもデメリットとして注意すべきポイントがあります。ここでは、4つのデメリットをそれぞれの対策とともに解説します。
時間と工数の負担
1on1ミーティングは上司と部下の定期的な時間を確保する必要があり、業務が忙しい中で負担が大きくなりやすいのがデメリットです。
特に、1on1の目的や効果が従業員に十分に伝わっていないと、何度も時間を確保することが負担に感じられ、逆効果になることも考えられます。
この問題を解消するためには、事前に1on1の目的やメリット、期待される効果をしっかりと伝え、参加者全員がその重要性を理解することが大切です。
さらに、ミーティングの進行がスムーズに進むよう、事前準備を行い、議事録の取り方やテーマ設定を仕組み化することで負担を軽減しましょう。
例えば、HRMOSタレントマネジメントのような1on1用ツールを活用すると、業務効率が向上し、より効果的な運営が可能になります。
<関連記事>1on1とは?実施の目的や効果、トーク例などを解説
効果の定量化が困難
1on1ミーティングで扱う内容は、モチベーション向上や信頼関係の構築、心理的な変化など、数値化が難しい側面が多い点はデメリットになりやすいでしょう。
結果がすぐに見えづらいと、形骸化するリスクも高まりがちです。
たとえ上司が「うまく進んでいる」と感じていても、効果を数値で示すことが難しければ、説得力に欠けてしまう場合もあります。
このデメリットに対しては、サーベイを活用することが有効です。
定期的なサーベイを通じて、1on1ミーティング導入前後の従業員エンゲージメントやコンディションの変化を数値化し、効果を可視化することができます。
さらに、1on1ミーティング用ツールを使用すれば、サーベイと1on1のデータをリンクさせて分析することができ、効果を測定しやすくなるでしょう。
上司のスキル不足による逆効果
1on1ミーティングを担当する上司が十分なスキルを持っていない場合、意図した効果が得られず、逆効果になることがあります。
例えば、権威的なアプローチや課題解決のために答えを提示しすぎることで、部下の自発性が阻害されてしまうことはしばしば起きるものです。
前述したリクルートマネジメントソリューションズの調査によれば、約半数の企業が上司のスキル不足を課題として挙げています。
この課題を解消するためには、上司のリスキリングや研修が欠かせません。
コミュニケーションスキルを向上させ、部下の意見を引き出すための方法を学ぶことが重要です。
加えて、1on1用ツールを活用することで、上司が進行に迷わず、効率よくミーティングを行える仕組みを作ることも有効でしょう。
形骸化のリスク
1on1ミーティングは、繰り返し行ううちに形骸化するリスクがあることもデメリットの1つです。
目的を見失い、形式的に会話が進んでしまうと、部下の成長支援など実質的な効果が得られません。
施策の目的が不明瞭になると、上司も部下も不満が溜まり、最終的には1on1の実施自体を止めてしまう可能性もあります。
表面的な会話に終始し、具体的な目標設定や成長支援が不足すれば、メリットを感じにくくなって悪循環に陥るでしょう。
形骸化の対策としては、定期的に1on1ミーティングの目的や期待される成果を確認し、上司が「部下の成長を支援するために行う」と強く意識することが重要です。
ミーティングの形式を見直し、部下のキャリアや成長支援につながる内容を盛り込みながら取り組みましょう。何よりも、1on1ミーティングは中長期的に実施した後に効果が得られるものと受け止め、根気よく続けることが大切です。
目標達成につなげる質の高い「1on1」を実現するには?
「HRMOS」を活用して1on1によって目標達成の意識を改善した事例を公開!
1on1ミーティングのメリットの生かし方
1on1ミーティングのメリット、デメリットの両面を理解したうえで、改めてメリットを最大化するコツをご紹介します。せっかくの施策に失敗しないためにも、ぜひ確認してください。
定期的な開催
1on1ミーティングは、週に1回、または隔週に1回など、なるべく頻度高く実施をすることが重要です。
短いスパンで対話を繰り返すことで、関係性構築につながりやすく、小さな課題も早期に対処できるためです。
定期的な開催を続けるためには、1on1ミーティングを仕組み化・習慣化することが不可欠です。
HRMOSタレントマネジメントの1on1レポート機能を活用すれば、Google カレンダーやSlackとの連携性により、開催スケジュールのリマインドにも役立ちます。
<関連記事>1on1レポート/支援
事前準備
1on1ミーティングの時間を有効活用するためには、念入りな事前準備が欠かせません。
多くの場合、30分程度のコンパクトな時間でミーティングを実施するため、事前に話し合う議題、アジェンダを共有すると効率的でしょう。
議題や目標などの共有は、メールのやり取りだと非生産的です。
HRMOSタレントマネジメントの1on1レポート機能で、1on1のアジェンダを選んで登録し、実施記録も書き溜めることで生産的な対話を生み出しましょう。
双方向のフィードバック
上司と部下のあいだに強い信頼関係を築くためには、上司から部下へ、そして部下から上司に対して双方向のフィードバックを行いましょう。
オープンな意見交換ができれば、本質的な課題解決や成長支援が実現しやすくなります。
1on1は決して部下の成長のためだけに実施するものではありません。
上司は、1on1ミーティングを通して、部下の成長を促すコーチングスキルやサポート力などを習得することも可能です。双方の成長のために、率直なフィードバックをしあえる関係を築きましょう。
具体的な目標設定
1on1ミーティングは中長期的な施策となるため、短期・長期の具体的な目標を明確にし、常に進捗確認することがポイントです。
目標を掲げっぱなしで放置してしまえば、形骸化のリスクが高まります。
はじめは、お互いに打ち解けて信頼関係を築くことを目標とし、最終的に組織全体の成長や文化醸成へつなげるイメージで、目標設定を行うとよいでしょう。
成長機会の探索
1on1ミーティングのメリットを得るためには、常に部下のスキルアップや、新たな挑戦の可能性を念頭に置いて会話することが重要です。
部下の興味・関心、バックグラウンド、ライフプランといった会話の中から、仕事の成長につながるきっかけを見出し、サポートしていきましょう。
まとめ
1on1ミーティングは、上司と部下の信頼関係を強化するだけでなく、部下のモチベーションアップや成長支援、キャリア開発をはじめ、課題の早期発見と組織のパフォーマンス向上につながります。
多数のメリットを得るためには、1on1ミーティングを形骸化させない仕組みを作り、上司と部下の負担を軽減しながら継続的に取り組むことが重要です。
HRMOSタレントマネジメントの1on1レポートで、形骸化を防ぎ、効率的に運用促進していきましょう。
1on1の実施記録を蓄積して効果を可視化
1on1ミーティングの会話は定量化が難しく、効果がすぐに得られないため形骸化のリスクが大きい施策です。
中長期的に施策を運用していくために、HRMOSタレントマネジメントでデータを蓄積し、従業員と組織の声を可視化していきましょう。
HRMOSタレントマネジメントの1on1レポートは、ミーティング記録を蓄積でき、管理画面で実施率や運営状況を見える化できます。
さらに、個人と組織のサーベイ機能を兼用すれば、1on1実施前後の効果について定量化が可能です。
詳しい資料はぜひ、以下からダウンロードをお願いします。