本記事では、「人事データ活用最前線」のシリーズとして、実際に人事データを活用している企業の活用事例をご紹介します。今回ご紹介するのは、不動産テック総合ブランド「RENOSY(リノシー)」の運営などを行なっている「株式会社GA technologies」の人事データ活用事例です。システムの導入から課題解決を手がけた取締役執行役員の樋口様に、人事データ活用のきっかけや当時の課題、得られた成果、そしてこれからのビジョンを伺いました。
企業紹介
株式会社GA technologies
- 業界:不動産
- 事業概要:不動産テック総合ブランド「RENOSY(リノシー)」の運営など
- 従業員数:577名(グループ会社含む、2021年1月時点)
ご登場いただく方の紹介
取締役執行役員 樋口大様
従業員データの「Excel」管理に限界を感じていた
ー今の人事データ管理体制を構築するにいたった背景を教えてください。
2018年の1年間で、従業員数が約150人から300人に増え、従業員に関するデータの管理が追い付かなくなっていました。従業員が100人ほどのときは、従業員の顔と名前、実績の情報は「Excel」管理ができており、経営陣の頭の中にも大体の情報が入っている状態でした。しかし、従業員が200〜300人に増えたときに、一人ひとりの経歴や社内での実績、異動履歴を把握することが難しくなります。新規事業立案や組織改編の際、「こんな実績を持つメンバーをアサインしたい」といった人材配置プランを考える必要がありますが、従業員の情報がデータとして一元管理されていないため、誰をどこに配置すべきか考えるための情報がすぐに把握できませんでした。
事業戦略を考えるうえでも、部署ごとの採用人数や離職率、前職の業界別の人数はリアルタイムで把握しておく必要があります。また、当社の不動産事業においては、部署ごとの宅地建物取引士資格(以下、宅建)保有者数の最新データを常に見られる状態にしておきたかったことも人事システム導入の決め手の理由です。人事システム導入前は、正確な情報を把握するために、紙で管理していた履歴書を探すという非常に非効率な作業が発生していました。今後、従業員数が増えていくことを考えれば、人事データ管理体制の構築が必要だと考えました。
・入社手続きの効率化
・1on1 の質の向上
・従業員情報の一元管理
・組織課題の可視化
「紙」と「Excel」からの解放、そして業務効率の向上
ー人事データ管理体制を構築することで、具体的にどのような成果が出たのでしょうか?
人事データ管理体制を構築することで、「紙」と「Excel」から解放され、業務時間を大幅に削減することができました。従業員データベースによって社内に散財していた情報を集約できたことにより、4〜5人分の業務時間の大幅な削減につながり、人事のリソースにも余裕が生まれました。。以前は、人事が必要な情報を「Excel」で管理しており、株主総会に向けて最新情報を集約する際には、情報の確認作業にも時間がかかっていました。人事システム導入後には、必要な情報をすぐに出せるようになりました。
人材活用戦略や従業員のパフォーマンス向上に活用したい
ー今後、データをどのように活用していきたいとお考えでしょうか?
人事データを活用して、今後は人材活用戦略に生かしていきたいと考えています。1つ目は従業員の最適な人員配置、2つ目は人材戦略の立案と採用プロセスへの活用です。
①従業員の最適な人員配置
1つ目の従業員の最適な人員配置に関しては、部署ごとの定着率や評価のデータを蓄積することで、適切な人員配置を考える材料になります。データを活用することで、従業員に対する印象や曖昧な評価の記憶によって仕事への適性を判断することがなくなるので、従業員のパフォーマンス向上が期待できると思っています。
②人材戦略の立案と採用プロセスへの活用
2つ目は人材戦略の立案と採用プロセスへの活用です。例えば、経営陣の「こういう人材はどれくらい在籍しているのか」といった質問にも、システムによってその場で数字を出すことができます。「この事業部に宅建資格の保有者が足りないので、〇年後に向けた事業成長を考えれば、他部署からの異動と採用に今取り掛からなくてはいけない」といった人事データを活用した経営会議の実現が可能になり、人材戦略立案のスピードも上がると考えています。
さらに、従業員の評価の履歴をデータとして蓄積することで、どのような属性の人材が活躍しているのか、採用面接時の評価と入社後のパフォーマンスにギャップがないか、などの検証もできるようになります。面接時とのギャップがあるのなら、面接担当者にどんなインプットをすれば採用ミスマッチの防止につながるのかなど、今後は採用プロセスを含めた振り返りにも活用したいです。
※企業情報などはインタビュー時点のものです