従業員満足度調査(ES)とは?質問項目や調査方法等をわかりやすく解説

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「従業員がすぐ辞めてしまう」「採用活動が進まない」「生産性が上がらない」などの課題を持つ企業は少なくありません。このような企業は従業員満足度調査によって状況を改善できる可能性があります。この記事では従業員満足度調査の意味、目的、質問項目(アンケート項目)、調査方法、実施ポイントや注意点などをわかりやすく解説しています。従業員満足度調査を活用するために役立ててください。

従業員満足度調査(ES調査)とは?

従業員満足度調査(ES調査)とは、従業員が企業に対して持っている満足の度合いを調べるアンケート調査(Employee Satisfaction調査=ES調査)です。例えば、給与や待遇、仕事内容、職場の人間関係、経営方針などについての質問に回答してもらい、従業員満足度を調べます。従業員が何に対して満足を感じるかは人それぞれです。従業員満足度とは個人の事情や価値観などによって変わる、主観的な満足度であるからです。したがって、従業員満足度調査を実施する際は、通常、さまざまな項目を網羅的に調べます。

従業員満足度調査を実施する頻度は、一般的に1~3年に1回程度です。ただし、特定の内容に関する従業員満足度を調べたいときや、調査規模を小さくして短期間で改善サイクルを回したいときには、四半期ごとや月単位で実施されるケースもあります。

従業員満足度調査の目的・メリット

従業員満足度調査の目的は、従業員にとって魅力ある職場づくりを推進して、従業員満足度を高めることです。それでは、従業員満足度が向上することによって、企業にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは「従業員の労働意欲が高まる」「人材を確保しやすくなる」「生産性が上がる」の3つに分けて解説します。

1.従業員の労働意欲(モチベーション)を高めるため

従業員満足度調査に基づいて、従業員のストレスになっていた問題や不備のある制度などを改善できれば、労働意欲を高められます。例えばミーティングスペースが狭いという意見を聞き入れてオフィス環境を整備すれば、従業員同士のコミュニケーションが活性化できるケースがあります。「日ごろから職場の問題について話し合っているから、あえて従業員満足度調査をする必要はない」という意見があるかもしれません。しかし、従業員満足度に関わる内容は多岐にわたります。例えば上司に対する評価や、ハラスメントを受けている現状などは、表立って意見を述べる機会がないかもしれません。従業員満足度調査では、こうした内容についても匿名性を保ちながら調査できるため、働きやすい労働環境に改善し、モチベーションを高めるのに役立ちます。

2.人材を確保するため

従業員満足度調査を定期的に実施して従業員満足度を向上していけば、離職率が下がる傾向があります。一般的に働きやすい労働環境があり、仕事へのモチベーションも持っていれば、従業員は特別な事情がない限り転職しません。つまり、従業員満足度調査によって問題を把握し改善することは、優秀な人材の定着や人手不足解消などにも効果的です。そして、採用活動を円滑に進めるうえでも、従業員満足度の向上はメリットがあります。従業員が生き生きと働いている職場は会社の評判がよくなり、「この会社で働きたい」と思う求職者を増やす効果があるためです。特に飲食業やサービス業のように、従業員の働いている様子が外に伝わりやすい業種では、従業員満足度の向上は企業のブランディングと同じような効果を発揮します。

3.生産性を向上させるため

従業員満足度調査によって従業員満足度を高められれば、結果的に生産性が向上する効果も期待できます。実際、厚生労働省の調査では、「従業員と顧客満足度の両方を重視する」という企業のほうが、「顧客満足度のみを重視する」という企業に比べて、売上高営業利益率や売上高が増加傾向にあることがわかりました(※)。この好循環はサービス・プロフィット・チェーン(SPC)とも呼ばれます。SPCとは「従業員満足度向上→生産性向上、サービス品質向上→顧客満足度向上→業績向上」という因果関係を説明するフレームワークです。SPCの考えに従うと、従業員満足度向上の施策は従業員のためだけではなく、経営的な観点からもメリットが大きいことがわかります。

※出典:厚生労働省「取り組みませんか?「魅力ある職場づくり」で生産性向上と人材確保」

従業員満足度調査の質問項目(アンケート項目)

従業員満足度調査は大きく分けると8つの質問項目に分類できます。以下に解説する項目を網羅するように質問内容を検討していけば、漏れや抜け、ダブりを少なくできるでしょう。もちろん、従業員満足度調査の目的や自社の状況に応じて、違う項目を追加してもかまいません。

1.給与や労働時間などに対する満足度

従業員の処遇に関する満足度を調べます。代表的な項目は給与や賞与、昇進、労働時間、休暇の取りやすさなどに関する満足度です。これらは多くの人が重視する内容ですので、従業員満足度に与える影響も大きい傾向があります。また、給与や昇進を決める土台となる人事評価制度や目標管理制度についての質問も、処遇に関する満足度の項目に含まれます。仮に公平で客観的な人事評価制度が運営できていないようなケースでは、従業員満足度は下がってしまうでしょう。

処遇に関する満足度の調査では、単に従業員満足度を把握してもあまり意味がありません。例えば「給与が低い」という不満があるなら、なぜそう思うのかについての質問も含めておきましょう。給与を上げるのは一般的に難しいですが、人事評価制度や目標管理制度などへの不満に落とし込めれば、何らかの対策をしやすくなるからです。

2.日常業務についての満足度

従業員が日々従事している仕事に対する満足度を調べる項目です。やりがいを持てる仕事か、成長を実感できる仕事内容か、自分の能力や素質に見合った仕事か、などを質問します。また、自分の役職、責任と釣り合う仕事量やノルマなのかなどについての内容も質問します。日常業務についての満足度は、従業員が継続的に抱いている重要な満足度であるため、従業員満足度調査では最低限含めるべき項目です。他の満足度が高くでも日々の仕事に不満があれば、ストレスが蓄積されていき、やがて休職や離職などにつながってしまいかねません。

日常業務についての質問は、業態や職種によっては、一般的な質問項目を使い回せない場合があります。例えば、日勤と夜勤のシフトが激しい職場や危険物を取り扱う職場では、特殊なストレスが予想されます。このような場合は、自社の就業状況に合った質問項目にカスタマイズして、従業員満足度を測定しやすいように工夫しましょう。

3.上司に対する満足度

上司が信頼できる人物か、相談しやすいか、日々のコミュニケーションに満足しているか、などの項目を質問します。上司に対する満足度を調べることで、組織の問題点をみつけられる場合もあるでしょう。多くの質問項目は従業員の直属の上司を想定したものですが、部署の責任者やリーダーに関する内容を含めてもかまいません。ただし、誰に関する質問かすぐにわかるように文面を明確にしましょう。また、人間関係についての内容が含まれるため、単なる悪口や人格攻撃にならないような工夫も必要です。例えば「自分の仕事でトラブルが発生したときは遠慮なく相談できる」の質問に対して「はい/いいえ」で答えるようにするなど、具体的なシチュエーションを設けて簡潔に質問します。

4.職場の人間関係に対する満足度

職場の人間関係や協力体制、チームワークなどに関する質問項目です。ほとんどの人は職場やプロジェクトチームなどで自分の役割を与えられて仕事をします。もしチーム内に居場所がなかったり、チームに貢献したい気持ちを持てなかったりすれば、従業員満足度は下がってしまうでしょう。したがって、職場の人間関係に対する満足度が低い場合、人事担当者としてはマネジメント層の研修や社内レクリエーションなど、チームビルディングを促進する対策を検討する必要があります。

5.経営に対する満足度

企業の経営理念やビジョン、経営戦略、将来性などに対する満足度です。従業員が経営層に対する意見を述べる場面は少ないため、従業員満足度調査は従業員の声をヒアリングする機会にできるでしょう。質問内容を作成する際は、経営層からどのような質問をしたいか聞いてみるのもよい方法です。特に新事業をはじめたり、企業戦略を変更したりするなど、重要な経営判断を下した後は、経営に対する満足度に関する調査が重要です。

6.福利厚生への満足度

退職金や企業年金制度、勤務形態の自由度に関する質問項目です。また、住宅手当(家賃補助)や通勤手当、出産祝い金など、主に企業が任意で実施する福利厚生制度についての満足度も調べます。そのほか、社員旅行やクラブ活動の補助金、社員食堂の運営など幅広くあります。福利厚生への満足度の調査でポイントとなるのは、時代のニーズにマッチしているかどうかです。例えば、共働き夫婦が増えている現代では、子育てのためにフレックスタイム制度の導入を希望する人が増えています。また、かつては育休を取る男性社員は少数でしたが、現在では企業が応援して積極的に取得させるべきだという考え方が広がっています。このような意識変化が起きている可能性がある項目は、重点的に調査するとよいでしょう。

7.社内環境についての満足度

社内環境についての満足度は大きく分けると2つの項目があります。一つは社内設備、インフラに関する満足度です。具体的には電気や水道、喫煙所、通信ネットワークやパソコンなどに関する満足度です。主に業務のしやすさや、職場の快適性などに関する質問項目になるでしょう。もう一つは、社風や風紀などの目に見えない部分の社内環境です。例えば、各種のハラスメントが横行している職場や、過度に上下関係が厳しい職場などでは従業員満足度が下がってしまうでしょう。インターネットやSNSの普及によって情報拡散スピードが速くなった現在では、一つのハラスメントが大きなイメージダウンにつながる事例も増えています。従業員満足度調査によって早期に問題を発見する仕組みを整えておくのは、従業員を守るうえでも、企業ガバナンスの一環としても有効です。

8.総合的な満足度

総合的な満足度とは、ここまで紹介してきた項目を総合的に判断したときの満足度です。つまり、仕事や職場、企業に対するトータルの満足度です。総合的な満足度の項目は、理想的な従業員、または早急に対策を講じるべき従業員のモデルをみつけやすくするために調べます。例えば、総合的な満足度が高い従業員をリストアップしてから、年齢や部署別に比較します。こうすることで、従業員満足度の高い条件は何か絞り込めるでしょう。

従業員満足度調査と混同しがちな用語

従業員満足度調査と混同しやすい用語に「従業員エンゲージメント調査」と「従業員サーベイ」があります。ここでは、それぞれの意味と従業員満足度調査との違いについて解説します。

従業員満足度調査と従業員エンゲージメント調査の違い

従業員エンゲージメントとは、従業員が企業に対して抱く思い入れや愛着心という意味です。したがって、従業員エンゲージメント調査では、従業員がどれぐらい自社に思い入れや愛着心を持っているかの度合いを調べます。従業員エンゲージメント調査が従業員満足度調査と違う点は、自発的に企業に貢献したいという意識を持っているかを調べる点です。従業員満足度調査では、必ずしも自発的な感情がなくても満足するケースもあるからです。例えば、「地元でおもちゃメーカーに就職したい」と思っていた人が、地元に1社しかないおもちゃメーカーに勤めた場合は、従業員エンゲージメントがなくても従業員満足度が高くなる可能性があります。

従業員満足度調査と従業員サーベイの違い

従業員サーベイとは、現状把握のために自社を調査するアンケート調査です。サーベイとは「調査」という意味ですので、任意のテーマで従業員を調査するという意味になります。一般的には、組織の問題や課題を発見したり、特定したりするために従業員サーベイを実施します。つまり、従業員サーベイの一種が従業員満足度調査です。

従業員満足度調査の分析・集計手法

従業員満足度調査を実施した後は、仮説実証やパターンの発見などのために分析しなければなりません。ここでは、従業員満足度調査の代表的な分析手法として「単純集計」「クロス集計」「満足度構造分析」の3つを取り上げます。

1.単純集計

単純集計は質問ごとに平均を出して、傾向を把握する手法です。例えば、仕事内容についての満足度を問う質問に対して、回答者100人中、80人が満足であると答えた場合は、満足度が80%だとわかります。また、1~5段階評価で答える形式の質問では、回答者全員の評価を合計して、平均値を求めます。このように単純集計は電卓や表計算ソフトなどがあれば、簡単に実施できる手法です。また、後ほど説明する高度な分析手法の土台となるものです。単純集計は、全体的な傾向を把握したい場合に向きます。十分な回答数があれば、シンプルな計算によって客観的に数値で従業員満足度の傾向を把握できます。

2.クロス集計

クロス集計とは、複数の質問への回答を掛け合わせて分析して、結果の違いを比較する手法です。例えば、給与の満足度の全体平均が50%だった場合に、年齢が20代の従業員が30%、年齢が50代の従業員が80%だったとしましょう。この場合は、自社の給与水準に問題があるというよりは、年齢に応じて決まる給与制度に問題があるのかもしれません。このように従業員満足度調査をクロス集計すれば、例えば年功序列制度の企業でよくある給与の不公平感に関する課題を洗い出せます。

3.満足度構造分析

満足度構造分析とは、質問項目と従業員満足度の相関関係、因果関係を発見する方法です。例えば、総合満足度の高い従業員は、労働時間についての満足度が高いという相関関係を、2つの質問の数値を比較して分析します。満足度構造分析を用いる際は、一般的に総合満足度を基準にします。例えばワーク・ライフ・バランスについての質問と、上司との関係についての質問で相関関係を調べても、こじつけの分析結果になってしまいがちであるからです。

つまり、満足度構造分析の基本的な使い方は「総合的な従業員満足度への貢献度が高い要因は何か」を分析することです。例えば、総合満足度の高い従業員はワーク・ライフ・バランスについての満足度が高いという相関関係がみつかったとしましょう。この場合、従業員の多くは、給与や昇進などではなく、働きやすさを求めているのではないかと推測できます。したがって、この分野を重視して労働環境を整えていけば、従業員満足度を高める成果が出やすいと仮説を立てられます。

従業員満足度調査の実施手順、活用方法

ここでは、従業員満足度調査の手順を、目的の明確化から対策の実施まで5つのステップで解説します。

ステップ1:目的の明確化

まず従業員満足度調査を実施する目的を明確にします。例えば、「公平性の高い人事評価制度を検討するため」「優先的に更新するべき社内設備を見つけ出すため」などです。これほど具体的に絞り込まなくても、「従業員満足度の現状を把握するため」「新たな人事課題をリストアップするため」などの目標設定でもかまいません。目的を明確化する必要があるのは、調査対象や頻度、調査方法などの基本的な方針を絞り込むためです。

先にも述べたように従業員満足度調査の内容は多岐にわたるため、目的意識が薄ければ不必要に大規模な調査となってしまい、実施担当者の負担が大きくなってしまいがちです。目的を明確にすれば、調査対象を正社員だけにするのか、年何回実施するのか、匿名調査にするのか、などの基本方針を決めやすくなるでしょう。

ステップ2:質問項目の作成

次に目的や調査対象などに合わせて質問項目を作成します。目的にもよりますが、従業員満足度調査では、ある程度の網羅性が必要です。というのも、従業員満足度は主観的なものですので、幅広く質問しなければ、傾向や特徴を発見しにくい面があるからです。したがって、数年に1回実施するような従業員満足度調査の場合、一般的にはアンケートツールやインターネット上にあるテンプレートを用います。テンプレートを使えば、効率的にバランスよく網羅的な質問項目を用意できるでしょう。ここから実施目的や状況に応じて、内容を変更したり、項目別のバランスを増減させたりします。

また、あらかじめ仮説を立てる際は、仮説を実証できる質問を追加しておきましょう。例えばテレワークによる在宅勤務を増やそうと考えている場合は、「出社するより在宅勤務のほうが働きやすい(はい/いいえ)」のような手がかりになる質問項目を入れておきます。従業員満足度調査の結果をスムーズに施策につなげやすくなるため、改善までの期間を短縮できます。

ステップ3:調査実施

従業員満足度調査を実施します。従業員の回答のしやすさや、調査担当者の負担などを考えて実施方式を選びましょう。例えば、従業員が個別のパソコンを持っていない職場であれば、紙媒体にしたほうが従業員が回答しやすいかもしれません。逆にテレワークの従業員が多いなら、Webアンケートなどデジタル媒体を選んだほうが回答率が高まります。従業員数が多い場合は、アンケート用紙の配布や集計に手間がかかるため、デジタル媒体のほうが効率的です。

従業員満足度調査を実施する際には、調査目的も伝えておきましょう。何のための調査なのかわからなければ、回答のモチベーションが高まりませんし、場合によっては不信感を持たれてしまいます。また、的外れな回答も増えてしまうでしょう。企業全体で行うような際は、経営トップに調査目的と協力依頼をアナウンスしてもらうと効果的です。従業員満足度調査は人事評価の自己評価シートなどと違い、人ごとになってしまう傾向があります。自社をよくするために必要なのだとアピールすることで、実態に即した、精度の高い従業員満足度調査をできるようになります。

ステップ4:分析

アンケート用紙を回収して集計した後、分析に入ります。先に解説したように単純集計やクロス集計、満足度構造分析などの手法を使うとよいでしょう。アンケートツールや人事情報管理ツールなどを用いる場合は、統計機能を使うことで、半自動的に分析を完了できる場合もあります。分析する際のポイントは、個人やチーム、企業全体など対象を分けるのが効果的です。また、よい面だけでなく悪い面も調べることや、なるべく定量的なデータを元に客観的な分析をすることも重要です。

ステップ5:対策の準備

分析結果が出たら、情報を共有して対策を準備します。従業員満足度調査の目的にもよりますが、経営層への報告や、従業員への情報公開と意見のヒアリングなどをするのもこのタイミングです。従業員満足度調査の結果、予期しない傾向や、さらに深く調べたい項目が出た場合は、小規模な調査を追加実施するケースもあります。

従業員満足度調査の精度を高める方法・注意点

従業員満足度調査というと形式的なアンケートという印象を持つ人もいるかもしれません。どうすれば具体的な施策に落とし込めるような調査を実施できるのでしょうか。ここでは従業員満足度調査の精度を高める方法と注意点について解説します。

1.従業員視点で実施する

従業員満足度調査は従業員の立場に立って、労働環境をよりよく改善するために実施しましょう。従業員満足度調査が結果的に生産性向上や業績向上につながることは確かですが、これらをはじめから求めると失敗しやすいため注意が必要です。まずは従業員のために何ができるかというスタンスで現状把握しましょう。

2.回収率が低いと信頼性が低くなる

回収率が低いと調査結果の信頼性が低いため、従業員の7~8割以上の回答率を目指しましょう。回答率を高めるには、質問項目のボリュームを抑えたり、選択式の回答しやすい質問にしたりするなど工夫が必要です。また、紙媒体は手入力で負担が大きいうえに提出も面倒ですので、Webアンケートやアンケートツールを使うのもよい方法です。

3.プライバシーを確保する

上司や経営層への意見を含むような従業員満足度調査では匿名性、プライバシーを確保する必要があります。自分が書いた内容が誰かに漏れているのではないかと考え、本音を隠して回答する人は少なからずいます。プライバシーを守れる仕組みやシステムを導入したうえで、プライバシーが守られていることをアナウンスして精度の高い調査を実現しましょう。

4.偏った解釈になるリスクがある

従業員満足度調査の分析では最終的に人の解釈が入ります。「仮説に合わせるような解釈をしていないか」「都合のよい、こじつけをしていないか」などに注意しましょう。分析経験が乏しい場合は、単純集計を重視するなど主観的な解釈が入りにくい手法をとるのもよい方法です。

5.ITツールを活用して人事担当者の負担を軽くする

従業員満足度調査は従業員数や質問項目が多いほど集計作業に時間がかかってしまいます。近年ではWebアンケートを手軽に実施できるアンケートツールや、人事情報管理ツールの一機能として従業員満足度調査ができるツールも登場しています。調査の手間と時間を大幅に減らせるため、必要に応じて導入を検討するとよいでしょう。匿名でなく実名で調査を実施した場合は、データ連携して一元的に従業員データベースに登録できるツールもあります。

従業員満足度調査は企業にとってもメリットが大きい

従業員満足度調査は、従業員満足度を高めるために実施する施策です。しかし、企業側にも生産性向上や離職率の低下などメリットが多くあります。自社に合った質問項目を作成して、従業員が今感じていることや、してほしいと考えている対策などを洗い出していきましょう。従業員満足度調査は手間がかかるため、アンケートのペーパーレス化やITツールの導入など、調査のための環境整備も重要です。