相対評価と絶対評価の違いは?わかりやすくメリット・デメリットを解説

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従業員を必ず評価しなければならない以上、企業における人事評価制度は重要な役割を担います。評価制度によって従業員のモチベーションも変化し、人材の確保や採用にも大きな影響を与えるでしょう。評価方法には大きく分けて「相対評価」と「絶対評価」があります。本記事では、人事評価制度を運用する際のポイントに触れながら、相対評価と絶対評価の違い、各評価方法のメリットとデメリットをわかりやすく解説します。

相対評価と絶対評価の違い

相対評価と絶対評価は、それぞれ評価の方法や考え方が異なります。ここでは、各評価方法の特徴について解説します。

相対評価とは

相対評価とは、企業や部署など属する組織内において従業員同士の比較により各人の評価が決定される方法です。例えば、S評価・A評価・B評価などとランクを分けるとします。その際、各ランクの割合や人数をあらかじめ決めておき、成績や成果の順に各ランクに従業員を当てはめていきます。このように、従業員に順位をつけ評価していく方法が相対評価です。スポーツなどで用いられる評価方法と考えると理解しやすいでしょう。オリンピックなどでは上位3名にメダルが与えられ、上位8名までが入賞です。このように、メダル授与者や入賞の人数があらかじめ決められており、順位ごとに当てはめられるため相対評価といえます。

絶対評価とは

絶対評価は相対評価のように、成績や成果により順位づけされることはありません。あくまでも個人の成績や成果にフォーカスし、それらが優れている従業員すべてを評価する制度が絶対評価です。相対評価ではランクごとの割合や人数が決められているため、同等の成果を残した従業員が多数いた場合でも順位をつける必要が生じます。しかし、絶対評価では全員がS評価、逆に全員がC評価やD評価となるケースもあります。

誤解してはいけないのは、学校の徒競走などでみられる、全員で一緒にゴールしましょうという制度ではない点です。徒競走で順位をつけない場合、一番遅い子どもの足の速さに合わせる必要があります。企業の人事評価制度における絶対評価は、成果に応じて評価する点が重要です。成果が出せなければ当然評価は下がります。結果的に優劣がつけられるケースはありますが、それはあくまでも従業員ごとの成果の違いです。ここが、あらかじめ順位がつけられることが定められている相対評価と異なる点といえます。

相対評価のメリット・デメリット

日本ではしばらくの間、相対評価を取り入れる傾向がみられました。これは、企業のみならず学校などでも同様です。ここでは、そんな相対評価のメリットとデメリットを解説します。

相対評価のメリット

1.社内競争を促しやすい

相対評価は、説明したように順位が明確になる点が特徴です。成績により上位と下位に分かれるため、上位の者は下位の者に負けまいと、逆に下位の者は上位の者に追いつこうという意識が生じやすくなります。こうした意識を持つ従業員が多ければ多いほど、社内競争が活発になるでしょう。成長のために競争は欠かせません。部署内やチーム内で適度な競争が生まれることで、各個人が努力や工夫をし、企業全体が活性化される効果が期待できます。競争する意識を多くの従業員が持ち、社内でそれが醸成されると生まれやすくなるのが自主性です。能動的に活動する人材が増え、結果的にリーダーや管理者が従業員の教育にかけるコストの削減にも繋がります。

2.人件費をコントロールしやすい

相対評価では、S評価やA評価などランクごとの従業員の割合や人数が決められているため、評価バランスが保ちやすいメリットがあります。成果により与える給与やボーナスなどをあらかじめ設定しやすく、これは人件費のコントロールのしやすさへと繋がります。従業員がどのような成果を出そうとも、必ず順位がつき各ランクに振り分けられるためです。従業員がよい成果を残すことは、企業にとってマイナスとはなりません。しかし、絶対評価では想定外に好成績を残す従業員が増えた場合、それら従業員すべてに同様のインセンティブなどを与える必要性が生じます。同様の理由で、絶対評価では昇給や昇進の問題も生じやすくなるでしょう。相対評価ではそのような心配をする必要がありません。

3.評価する者の手間が省ける

相対評価は、主に各従業員の成績や成果をもとに上から順位をつけ、何人までをS評価、それ以下の何人まではA評価といった形で区切っていきます。評価基準にもよりますが、このような手法から、評価者によって順位が変わることはあまりありません。従業員の優劣の明確な可視化が可能な制度といえます。優劣が明確になると、昇給や昇進などの決定もしやすくなります。評価全体において評価者の手間を省きやすくなるでしょう。

相対評価のデメリット

一方で、相対評価にもデメリットや欠点があります。ここでは、相対評価を採用することで生じやすいデメリットを解説します。

1.従業員ごとのモチベーションが変わる可能性がある

相対評価は社内競争に繋がるため、従業員のモチベーションを高める効果が期待できます。しかし、従業員ごとにモチベーションの差が激しくなる可能性も否定はできません。どれほど努力をしても、あるいは自分の成績を常に上げ続けられたとしても、他の従業員の成績に劣れば順位やランクは上がらないでしょう。このことが、一部の従業員のモチベーション低下へと繋がる恐れがあります。結果的に、個人の成長への意欲を薄れさせる可能性も出てきます。

明確な順位がつけられる相対評価は公正な評価制度ともいえますが、頑張りが正当に評価されないと認識する従業員が出てくるケースもある点は大きなリスクです。そのような従業員は絶対評価を採用する企業への転職も検討し始めます。実際に離職者が出ると、残された従業員で評価を分け合うことになります。これまでS評価だった人がA評価へ、A評価だった人がB評価へと落ちる可能性も出てくるため、離職率の上昇につながりかねません。

2.部署や業務内容により評価が変わるケースがある

同じ能力を有していたとしても、所属する部署やチーム、与えられた業務内容により評価が変わるケースが相対評価にはあります。限られた人数の中で、各ランクの割合や人数があらかじめ決められているためです。例えば、AチームとBチームで同様の業務を担っていたとします。AチームでS評価を受けた従業員でも、より優秀な人材が集まるBチームに配属されればA評価やB評価とされてしまうケースがあります。このように、所属先により評価が変化してしまうのが相対評価のデメリットです。ある一定以上の従業員を抱えている規模の大きな企業では、このような現象が起きてしまいかねません。従業員同士で活発な交流のある企業であれば、一部の従業員から不公平感を訴えられるリスクがあるでしょう。

3.評価の理由に具体性が欠ける

設ける評価基準によりますが、相対評価では評価の理由の具体化が難しいケースがあります。同等の成果を出した従業員が複数いた場合でも、それらを順位づけしなくてはなりません。この際、明確に理由を提示できるかが重要です。評価の理由に具体性が欠けていれば、企業に対する従業員の不信感が募るリスクが高まります。特に、評価ランクが給与やインセンティブ、昇進等に大きな影響を与える制度となっている場合には要注意です。従業員が納得するだけの理由が明示できなければ、やはり離職に繋がってしまうでしょう。

4.協働意識の低下を招く恐れがある

企業は従業員同士が協力し合うことで効率性や生産性が上がり、企業の成長にも繋がるのが一般的です。相対評価は競争力を生み出す効果も期待できるものの、従業員同士の競争が激化すると協働意識の低下を招くリスクが高まります。自分よりも評価の高い人を蹴落とそうといった意識が生じる可能性があるためです。足の引っ張り合いなどは、多くの企業にとってデメリットとなります。

社内の雰囲気を悪化させ、情報共有などにも悪影響が及びかねません。コミュニケーションの不足にも繋がり、企業全体の売上や利益を下げてしまう恐れもあるでしょう。企業全体の売上や個人の成果が落ちたとしても、相対評価の場合、必ずS評価からC、あるいはD評価まであり、各ランクに従業員が振り分けられます。優劣の存在は解消されないため負のスパイラルが発生し、協働意識の低下や効率性・生産性の低下に歯止めがかからない可能性がある点が相対評価の持つリスクです。

絶対評価のメリット・デメリット

日本では、少しずつ絶対評価を肯定する意見が出てきています。実際に、企業や教育現場でも絶対評価の採用が進められている傾向がみられます。ここでは、そんな絶対評価のメリットとデメリットをみていきましょう。

絶対評価のメリット

1.納得してもらいやすい

評価制度を定める際に重要視したいのは、従業員に納得してもらえるどうかです。絶対評価は各個人の成績や成果にフォーカスをし、基本的にはそれのみで評価を行います。他の従業員の成績等との比較は行いません。もちろん、企業が成長すれば評価基準の引き上げなどは行われます。それでも他者と比較して順位が決まる相対評価とは異なり、絶対評価は従業員自身の頑張りが正当に評価される形となります。評価により給与の額やインセンティブが決定される場合でも、不満を訴えられるリスクは抑えられるでしょう。また、評価の理由を明確に説明しやすい点もメリットです。そのためには、分かりやすい評価基準の事前設定も求められます。

2.個人の成長にフォーカスできる

他者とは切り離され評価される絶対評価は、個人の成長にフォーカスできるメリットも生じさせます。他者との競争よりも自分の技術を上げたり知識を増やしたりすることに集中できるため、より早い速度での成長も期待できます。個人の成長にフォーカスすることで、個々の目標の設定を明確にしやすい点もメリットです。たとえ数値目標を達成したとしても、それ以上の成績を残した従業員がほかにいた場合、相対評価では高い評価を得られません。絶対評価では数値目標の達成が高評価へと繋がるケースも多くなります。もちろん企業や部署ごとの評価基準によるものの、それが明示されていれば従業員はモチベーションを上げやすく、かつ保ちやすいでしょう。

3.課題が明確になる

相対評価では、努力をし一定の成果を出したにもかかわらず評価されない従業員が出てくる可能性があります。絶対評価ではそのようなケースは少なく、基本的には成果が評価へと直結します。もし評価が低ければ、その理由や従業員ごとの課題を明確にできる点が絶対評価のメリットです。目指すランクに届かなかった理由を認識することで、次の評価までに何をすべきかも見えてくるでしょう。目標設定同様に、明確な課題の発見はモチベーションアップにも有効です。また、上司やリーダーも、部下に対しアドバイスしやすくなります。課題や目標の共有により、業務や方向性の修正に役立つ効果も期待できます。

4.従業員同士の対立を防ぎやすい

過剰な競争は、軋轢を生むリスクを高めます。いかんせん、相対評価の制度下ではそのような状況を生みがちです。絶対評価は個人の成績や成果が評価の大きな判断材料となり、他者の努力や成果は自身の評価とはあまり関係がありません。結果的に、従業員同士の対立を防ぎやすくなるでしょう。お互いが成長するメリットがあるとの認識は、むしろチームワークの向上や積極的な情報共有をもたらします。それらが企業全体の成長へと繋がり、かつ絶対評価によって従業員自身の給与やボーナスにもよい影響を与えるといった解釈が進むためです。

絶対評価のデメリット

続いては、絶対評価のデメリットを解説します。制度いかんでは大きなリスクとなり企業の売上や利益へ悪影響を及ぼすケースもあるため、取り入れる際は注意しなければいけません。

1.格差や違いを見出しづらい

従業員全員が一定以上の成績や成果を残すことは、企業にとってプラスに働きます。しかし、それは格差や違いの見出しづらさにも繋がります。格差や違いが一切見出せない状態では、各従業員の意識や意欲などが相当高くなければ成長し続けることは困難です。競争相手がおらず、常に自分との戦いを強いられるためです。一定の評価を受けた時点で、多くの従業員は満足感を抱いてしまいかねません。危機感が希薄になってしまえば、成長も業績も頭打ちとなるリスクがあります。

2.評価する者に左右されるケースがある

数値目標が明確に定められる業務であれば、評価者により評価が左右されるケースはあまりないでしょう。しかし、態度や姿勢といった曖昧な点も評価に含まれる場合は、評価する者に評価が委ねられてしまいます。絶対評価であるにもかかわらず、チームや部署ごとに評価が異なるケースも生じかねません。また、同じチームや部署でも評価者が変われば評価が変わる可能性もあります。相対評価のように割合や人数で評価が振り分けられる方法ではないからこそのデメリットです。

3.評価基準の設定に注意が必要

絶対評価では、評価基準が従業員の評価のほぼすべてを決定します。順位により評価が決められる相対評価とは異なり、絶対評価では評価基準によりS評価がいない、あるいは全員がB評価といったケースも考えられます。評価基準が低ければ、多くの従業員が高評価を得られるでしょう。一時的なモチベーションアップには繋がったとしても、やはり成長の阻害リスクが高まります。逆に評価基準が高く、それを誰もクリアできなければ、従業員の意欲を削ぎかねません。評価基準のバランスの見極めが非常に重要です。

特に、成果によるインセンティブ制度を設けている企業は要注意です。全員が成果をあげインセンティブを受けられる状態では、そもそもインセンティブ制度の効果が薄れます。かといって、評価基準を頻繁に見直していると、従業員からの不満や不信感が生じかねません。インセンティブが得られないよう、故意に達成困難な目標設定をしていると勘ぐられてもしまうでしょう。モチベーションやエンゲージメントの低下に繋がるため、評価基準の設定には細心の注意を払う必要があります。

4.結果重視になりやすい

絶対評価は設定目標の達成度などを基準に評価できるため、合理的かつ公正で、わかりやすいといったメリットがあります。しかし、これは結果に重点をおいた取り組みのリスクを助長します。企業にとって結果は重要ですが、プロセスも無視はできません。努力や過程が一切無視されてしまう絶対評価制度を取り入れると、プロセスが成果へと直結しなかった場合にモチベーションが下がってしまうでしょう。特に、個人とは関係のない外的要因により成績や成果が出せなかった従業員からは、大きな不満が噴出する恐れがあります。また、成果が出せれば評価が上がるといった認識は、不正などに繋がるリスクも生じさせます。努力や能力ではなく運の要素が大きく結果に反映されてしまう評価基準も避けなければいけません。

5.人件費が高騰する恐れがある

説明してきたように、絶対評価では一定の成績をあげられれば全員がS評価となるケースもあります。評価により給与やボーナスなどを設定している企業では、絶対評価の影響で人件費が高騰する恐れが出てきます。設定した評価基準が甘かったり、時流に乗れた、あるいは競合他社の衰退があったりした場合では、従業員全員の成績・成果が上がる事態も否定はできません。予算を超える人件費がかかれば、売上が上がったとしても、それ以上の人件費で企業の利益を圧迫してしまうでしょう。特に、絶対評価を昇給へ直結させている企業は注意が必要です。一度昇給させると容易には下げられず、継続的な利益圧迫へと繋がるリスクを高めます。この点も、評価基準の設定の困難さに関係します。最初の評価基準設定を間違えないよう注意しなければいけません。

相対評価・絶対評価を人事評価制度に活かすポイント

相対評価にしろ絶対評価にしろ、人事評価制度ではポイントを押さえながらの導入・運用が求められます。ここでは、人事評価制度を適切に運用するための3つのポイントを解説します。

1.相対評価・絶対評価のメリットとデメリットを理解する

相対評価から絶対評価に見直されつつあるといわれることも多くなってきています。しかし、説明したように相対評価もメリットは少なくありません。重要なのは、各評価方法のよい点と問題点への理解を深めることです。理解しないまま世の中の流れに迎合するだけでは、効果的な評価制度は作れないでしょう。同時に、自社に対する理解も重要です。企業により業務内容や従業員に求められる能力は異なり、同じ企業でも部署ごとに異なるケースもあります。ポイントは、業務内容や従業員の能力、性質に見合った評価制度の採用です。

数字などで従業員の優劣が明確になり、かつ成長や成果に対するモチベーションや競争意識の高い従業員が多い場合は相対評価のメリットが活かせます。一方で、チームでのまとまりやコミュニケーションを重視し、新たな人材も積極的に採用しているような企業では絶対評価が大きな効果を発揮する可能性が高いでしょう。もちろん、数字で成績が決まる職種でも、絶対評価が有効に働くケースは多々あります。営業職など数値目標が設定しやすい職種では、従業員の性質にもよりますが、絶対評価がよい場合も少なくありません。また、評価方法によって企業の方向性を変化・修正させることも可能です。企業のこれからの在り方も考慮したうえでの評価制度の導入と運用が求められます。

2.明確な評価基準を持つ制度を確立する

評価制度は、しばしば曖昧なものになりがちです。曖昧な評価制度では従業員も困惑し、場合によっては大きな不満へと繋がるでしょう。結果的に離職率の高さや求人を出した際の応募率の低さを招きます。各従業員がどこを目指し何をすべきかを明確にするためにも、企業には評価基準の明確化が求められます。数値的な基準はもちろん、定量化の難しい基準も可能な限り言語化する努力が必要です。これは、相対評価にも絶対評価にも当てはまります。

また、個人だけではなくチームに対する評価基準の設定も重要です。業務内容や組織形態にもよりますが、チーム全体を評価対象とする制度があれば、より効率化や生産性の向上にも効果を発揮するでしょう。相対評価であればチームごとの競争が生まれ、かつチーム内での結束は固くなります。絶対評価でもチーム内での協働意識の高まりが期待できます。目標設定のしやすさや達成感の得やすさに繋がるよう、個人と同様に明確な評価基準の設定がポイントです。

3.従業員への説明を行い理解を深めてもらう

評価制度は、従業員への説明を通じて理解を深めてもらうことが重要です。評価基準を明確に定めたとしても、それを従業員側で一切把握できなければ、何をモチベーションとし業務にあたればよいのかわからなくなってしまいます。にもかかわらず、評価が上がったり下がったりするようであれば、なおさら企業に対する不信感へと繋がりかねません。人事評価制度のすべての公開は難しくても、相対評価なのか絶対評価なのかの伝達、また、評価を下した際にはその理由などの説明は重要です。それが従業員の理解を生み、納得できれば努力や工夫をもたらします。頑張りが評価へと繋がると認識できるためです。努力の方向性が明確になる点も、従業員への説明を丁寧に行い理解を深めてもらうことのメリットです。

相対評価と絶対評価を組み合わせた制度とは

相対評価と絶対評価は、必ずどちらか一方を取り入れなければならないわけではありません。どちらにもメリットとデメリットが存在している以上、強引な導入・運用は避けた方がよいでしょう。企業や業務内容によっては、相対評価と絶対評価を組み合わせた評価制度の導入も効果が期待できます。例えば、2段階の評価制度を作り、1次評価では絶対評価を、2次評価では相対評価を行うなどです。最初の段階で絶対評価を行えば、一定以上の成績や成果を残した従業員はもれなく評価を上げられます。そのなかで特に優秀な成績を収めた従業員を相対評価で順位づけし、表彰したりインセンティブを与えたりします。

すべての従業員に納得してもらえるかは別として、少なくともどちらか一方の評価方法のみの採用と比べても不公平感は減らせるでしょう。上手に運用することで、従業員のモチベーションアップに繋げられる可能性も高まります。

人事評価制度が重要な理由

人事や採用の担当者が理解しておきたいのは、人事評価制度の重要性です。評価制度は、単に評価を行い給与やボーナス、昇進等を決定する役割にとどまりません。制度の内容次第では、従業員の成長や企業に対するエンゲージメントも変化します。日本では終身雇用制度が崩壊しつつあるといわれていますが、これは転職に対する意識を抱く人の増加にも繋がるでしょう。勤め先企業の選択の基準は人それぞれですが、評価制度に重きを置く人も少なくありません。

正当に評価され、それが給与や昇進へと反映される企業の選択を重要視する人は、ますます増えると予想されます。関連して、企業にとって離職率の低下や求人を出した際の応募数の増加は、優秀な人材確保には不可欠です。このような社会だからこそ、企業は従業員の立場も考慮したうえでの人事評価制度の運用が求められます。

相対評価と絶対評価を理解し、自社に合う人事評価制度を取り入れよう

人事評価制度により、従業員のモチベーションや効率性・生産性などを高めることが可能です。そのためには、相対評価と絶対評価の特徴を理解し、従業員が納得する制度の構築が求められます。相対評価と絶対評価を組み合わせた人事評価制度も有効でしょう。そのような工夫もしながらの運用によって、企業の売上や利益のさらなるアップが狙えます。企業や従業員、業務の特徴も考慮しながら、自社に合った評価制度を取り入れましょう。