チームワークを高めるには?強い組織を作る5つのポイント、施策例を紹介

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目立たないものの、企業の売上などに大きな影響を与えているチームワーク。チームワークが悪いと、協力関係を築きにくいため組織が機能しません。離職率に悪影響を与えることもあるでしょう。チームワークを高めるコツは、共通の目標を設定して達成に向けて行動することです。ここでは、チームワークの重要性を解説するとともに、チームワークを向上させて強い組織を作るポイントや施策例などを紹介します。

チームワークとは?

チームワーク(teamwork)は「共同作業」などを意味する英語です。日本社会に浸透しているため和訳しなくても通じることが多いでしょう。しかし、ビジネスで用いる場合は、その意味を再確認しておく必要があります。各メンバーが共通の認識をもっていないと、チームワークを高められないことがあるからです。ビジネスでチームワークを用いる場合、単なる共同作業ではなく、チームメンバーが共通目標の達成を目指して相互に助け合いながら物事にあたることを意味します。共通目標を設定する点、メンバーがそれぞれの弱点を補完しあう点、各メンバーが個性を発揮してチームに貢献する点が特徴といえるでしょう。

組織の能力を最大化できるため、チームワークが良いと大きな目標を達成しやすくなります。ここで注意したいのが、グループとチームの違いです。よく似た言葉ですが、組織行動学ではグループとチームは別のものと捉えられています。チーム内で認識のずれが生じないように、この点も整理しておきましょう。

グループとは?

何かしらの目的のため集まった集団を指します。グループとしての目標は、ある場合もあればない場合もあります。グループのリーダーも同様です。全体をまとめるリーダーがいる場合もあれば、いない場合もあります。個人が集まっただけの集団といえるでしょう。したがって、グループでは各メンバーがそれぞれの能力を発揮することを重視します。グループの成果は、メンバーの能力の和です。つまり、10人のグループで各メンバーの能力が10であればグループの成果は100になります。

チームとは?

同じ目標の達成を目指して、リーダーが示した方向性に従い活動する共同体です。チームとしての目標がある点、チームにリーダーがいる点などがグループとは異なります。チームでは、各メンバーがお互いに影響を与え合いながら相乗効果で大きな成果を生み出すことを重視します。したがって、チームの成果は、メンバーの能力の和とは限りません。10人のチームで各メンバーの能力が10であっても、チームの成果は200になること、300になることがあります。

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チームワーク向上が重視される背景

ビジネスにおけるチームワーク向上の重要性は年々高まっています。その背景にあるのが次の3点です。

1.ビジネス環境の急激な変化

技術革新やグローバル化の進展により、ビジネスを取り巻く環境は急激に変化しています。例えば、食品メーカーの主な販路はスーパーマーケット・百貨店などでしたが、ECプラットフォーム、自社ECサイトなどへと拡大している傾向です。同様に、広告戦略も変化しています。マスメディア広告、セールスプロモーション広告に加え、SNS広告、リスティング広告などを含むWeb広告にも対応しなければならなくなっています。以上はあくまでも身近な例ですが、急激な環境変化に個人で対処するのが難しくなっているといえるでしょう。

対応策として、多くの企業は異なる個性をもったメンバーを集めて、チームで課題に取り組むようになっています。ただし、単にメンバーを集めただけではチームとして機能しません。したがって、チームワークの重要性が高まっているのです。

2.スキルの細分化

チームを結成時に異なる個性をもったメンバーを集める理由は、課題に対処できるスキルと個人が保有しているスキルセットの細分化が進んでいるからです。科学技術の進展とともに、一つのスキルで幅広い課題に対処することは難しくなっています。つまり、課題の解決や目標の達成を目指すと、専門性の異なる幅広い人材を集めなければならないのです。協力関係が構築されている顔馴染みのメンバーだけで、生産性の高いチームを構築するのは難しくなっています。ときには、初めて顔を合わせる他部署の人材や外部の人材とチームを組まなければならない場合もあります。このような状況でもチームの能力を高めるため、改めてチームワークが重視されているのです。

3.ダイバーシティ経営

ダイバーシティ(diversity)は、多様性を意味する英語です。具体的には、人種・宗教・年齢・性別・価値観など、異なる属性をもった人が共存している状態を指します。そのダイバーシティを経営に取り入れたダイバーシティ経営が注目を集めています。ダイバーシティ経営は、属性の違いを活かして個々人が能力を最大限発揮できる状態を目指す経営です。さまざまな個性をもった人材を獲得できる、異なる個性の組み合わせでイノベーションが生まれる、多様な視点を生かしてリスクを管理できるなどのメリットがあります。

ただし、異なる個性を集めるだけでは、協力関係を築けません。価値観が異なるため、ぶつかることもあるからです。異なる個性をもったメンバーが、同じ方向を向いて協力できるようにチームワークが重視されているのです。

チームワークを高めるメリット

多くの企業は、チームワークを向上させるためさまざまな施策を実施しています。チームワークの向上には、どのようなメリットがあるのでしょうか。

メリット1:チーム力で大きな目標を達成できる

最も大きなメリットは、個人では達成できないような目標でも、チーム力を生かして達成できる可能性がある点です。共通目標を設定して、各メンバーが個性を発揮できるように行動するため、チームの生産性は個人の能力の和よりも大きくなります。したがって、チームワークを高めると、より大きな目標を達成しやすくなるのです。

メリット2:チーム内に信頼関係が構築される

チームワークを高めると、メンバー間に信頼関係が生まれます。目標達成に向けてサポートし合うことが増えるからです。信頼関係が生まれると、各メンバーはもっている能力を発揮しやすくなります。アイデアを述べても、質問をしても、あるいはこれらが間違っていたとしても、このメンバーならば受け入れてくれると思えるからです。それぞれのメンバーが、活き活きと自信をもって働けるようになります。

メリット3:解決能力が高くなる

価値観が異なるメンバーでチームを構成すると、メンバー同士で対立しやすくなります。特に、チームの人数が多くなると、この傾向は強くなるでしょう。メンバー同士の対立は、プロジェクト進行の妨げになることがあります。チームワークを高めると、意見が対立したときも解決策を模索しやすくなります。意思疎通をスムーズに図れるため、意見は違っても最終的な目標は同じと認識できるからです。

メリット4:情報共有が進む

チームワークが高まると、チーム内のコミュニケーションは良くなります。メンバーを信頼できるため、相手の反応を過度に気にすることなくコミュニケーションを図れるようになるからです。したがって、打ち合わせやミーティングで、あるいは日常会話で、チーム内の情報共有が進みます。それぞれのメンバーのもとに必要な情報が集まりやすくなるため、生産性の向上や業務の効率化などを期待できます。

メリット5:困難に対応しやすくなる

プロジェクトを進める中で、困難な状況に直面することもあります。チームワークを高めておくと、このような状況にも対応しやすくなります。それぞれのメンバーがお互いのことやチームのことを信頼しているため、困難な状況下でも目標を見失うことなくチームとして歩みを進めていけるからです。理想的なチームにおいては、困難な状況がチームワークをさらに高めるきっかけになり得ます。

メリット6:助け合いの精神が生まれる

チームワークを高めると、メンバー間で助け合いの精神が生まれやすくなります。目標達成に向けて、お互いの行動を意識しながら働くようになるからです。したがって、困難に陥っているメンバーがいれば、気づいた人がフォローします。この循環を繰り返すことにより、チーム内で助け合いの精神が育まれていきます。チームワークを高めれば、組織は強さを増すでしょう。

メリット5:モチベーションが高まる

良いチームワークは、メンバーの仕事に対するモチベーションを向上させる傾向があります。他のメンバーから信頼、評価されていると感じることが増えるからです。自身の存在価値を認識できるため、自信と意欲をもって仕事を進められるようになります。コミュニケーションが活発になることで、チームメンバーから良い刺激を受けられる点も見逃せません。この点も、モチベーションを高めるきっかけになります。

チームワークが悪い場合のデメリット

チームワークが悪いと、さまざまなデメリットが生じます。考えられる主なデメリットは次の通りです。

デメリット1:生産性が低下する

チームワークが悪いと、メンバー間の信頼関係を構築できません。したがって、助け合いの精神を育んだり情報共有を進めたりするのは難しくなります。例えば、誰かが困っていても見て見ぬふりをする、打ち合わせで必要最低限の情報しか提供しないなどが考えらえます。そうなると、チームの生産性を高めることは難しいでしょう。それどころか、お互いに足を引っ張りあって能力を発揮できない場合もあります。つまり、チームの能力が個人の能力の和を下回ってしまうのです。

デメリット2:意見の衝突を解決できない

どのようなチームでも、意見が衝突することはあります。ただし、解決能力はチームにより異なります。チームワークが悪いと、意見の衝突を解決できないケースが少なくありません。関係性が悪いため、妥協点や一致点を見つけられないからです。このようなケースでは、意見が食い違ったまま業務を続けていかなければなりません。チームの意思統一を図ることは難しくなるでしょう。

デメリット3:他人の責任にしてしまう

チームワークが悪いと一体感を醸成できないため、責任の所在を個人に求めることが多くなります。計画通りにプロジェクトが進まないと「○○さんが足を引っ張っている」などとなりがちです。「○○さんに負担が集中しているからフォローしよう」とはなりません。したがって、生産性を高めることは難しくなります。また、チーム内の人間関係も悪くなってしまいます。

デメリット4:困難に直面するとバラバラになる

お互いに信頼して認め合う関係ではないため、チームワークが悪いとチームへの帰属意識は低くなります。困難にぶつかると、目標を見失って個人プレーに走ってしまうことが少なくありません。例えば、チームの目標よりも個人の目標を重視する、周囲と積極的にコミュニケーションをとらなくなるなどが考えられます。各メンバーが個人の考えに基づき行動するため、目標達成は難しくなります。

デメリット5:モチベーションが低下する

チームワークが悪いと、メンバーのモチベーションも低下します。周囲からの信頼や評価を感じにくいからです。努力をしても存在意義を見いだしにくいため、やる気を失ってしまうことが少なくありません。もちろん、チーム内の人間関係が悪いことも影響を与えます。モチベーションが著しく低下すると、プラスαの仕事をしなかったり必要なフィードバックを行わなかったりすることがあります。チーム全体のパフォーマンスに影響を与えるため、注意が必要です。

デメリット6:諦めの空気が蔓延する

チームワークが悪い状態を放っておくと、チーム内に「何をやっても状況は変わらない」「1人で努力しても無駄」といった空気が蔓延します。うまく連携をとれないため、成果を実感しにくいからです。当然ながら、チームとしての生産性は低下します。チーム内の人間関係が悪いと「協力を求めても助けてもらえなかった」「相談しても無視された」などの経験をすることもあるでしょう。このような経験は、各メンバーの孤立感を深めるため、諦めの空気を助長します。

チームワークを高める5つのポイント

チームワークは、組織の生産性に大きな影響を与えます。ここからは、チームワークを向上させる5つのポイントを紹介します。

1.目標の設定と共有

チームワークは、共通目標の達成を目指しメンバーが協力しながら物事にあたることです。したがって、最初に目標の設定と共有をしなければなりません。これらを疎かにすると、チームは進むべき方向を見失ってしまいます。ちなみに、ここでいう目標は、チームで達成を目指すゴールです。目標設定に役立つフレームワークとして、SMARTの法則があげられます。SMARTは次の頭文字で構成されます。

  • S:Specific 具体性を意味します。具体的な目標を設定することが重要です。
  • M:Measurable 計測可能性を意味します。達成度を測れるように目標を設定します。
  • A:Achievable 達成可能性という意味です。努力をすれば達成できる目標を設定しなければなりません。
  • R:Related 関連性を意味します。企業や部署の目標と関連性をもたせます。
  • T:Time bound 明確な期限を意味する言葉です。目標達成の期限を定めておくことも欠かせません。

以上を踏まえて目標を設定してからメンバーに共有します。ポイントは、目標設定の背景なども説明して理解を得ることです。背景などの理解が深まると、各メンバーは状況にあわせて主体的に行動できるようになります

2.メンバーの目標と役割を設定

チームの目標を設定できたら、各メンバーの目標も設定します。ここでも、SMARTの法則を活用することが重要です。したがって、各メンバーの目標は、具体的かつ測定可能でチーム目標と関連した現実的なものになります。併せて、1人ひとりの役割も明確にします。役割が明確でないと、責任をもって行動しにくくなるからです。また、メンバーを迷わせてしまったりメンバーを消極的にさせてしまったりすることがあります。各メンバーの役割が明確になったらチーム内で共有します。お互いの役割を把握することで、業務の偏りなどに気づきやすくなるからです。業務量調整などのフォローを行いやすくなります。

3.メンバーの対立に備える

起ち上げたばかりのチームは、メンバー同士で対立することが少なくありません。各メンバーには自分なりの価値観や仕事の進め方などがあるからです。それぞれの個性を生かすため仕方がないものの、目標達成の妨げにならないようにしておかなければなりません。あらかじめ、相手の意見を否定しない、目標に焦点を当てる、Win-Winの関係を目指すなどのルールを設定しておくと無駄な対立を防げます。チーム内の対立はネガティブな出来事に思えますが、マネジメント次第ではチームワークの向上や新しいアイデアの創出などにつなげられます。過度に恐れず準備をしておくことが重要です。

4.積極的にコミュニケーションを図る

チームワークは、積極的にコミュニケーションを図る中で醸成されます。相互理解を深めることや助け合いを重ねることで、信頼関係を構築できるからです。チーム内の役割に関わらず、誰でも自由に発言できる環境を目指すことが重要といえるでしょう。とはいえ、最初からこのような環境を実現するのは難しいものです。まずは、挨拶や日常的な声掛けなど、誰でも簡単に取り組めるコミュニケーションから始めると良いでしょう。共通目標を抱えているため、きっかけができると話し合うようになることが少なくありません。チーム内のコミュニケーションが活性化しない場合は、報連相を徹底させる、フィードバックの機会を設けるなど、意図的に話し合う機会を作ることもできます。

5.目標達成に向けた行動

チームワークは、目標達成に向けて積極的に行動していく中で高まっていきます。さまざまな困難を乗り越えることで、相互理解が深まり一体感も醸成されるからです。目標達成に向けて最後までやりきることが重要といえるでしょう。積極的に行動するために欠かせないのがリーダーシップです。チームリーダーが方向性を示し意思統一を図ることで、メンバーは迷いなく行動できるようになります。また、チームリーダーには、メンバーのフォローや他部署との意見調整なども求められます。リーダーシップの取り方はさまざまですが、目標達成に向けて全体をうまくマネジメントすることによりチームワークは高まっていくでしょう。

チームワークを高める4つの施策例

チームワークは、さまざまな取り組みでも高められます。代表的な施策例を紹介します。

1.心理的安全性を確保する

心理的安全性は、チームの中で自分の意見や気持ちを表明しても他のメンバーから批判されたり拒絶されたりすることはないと確信できる状態です。心理的安全性を確保できていないチームは「無能と思われる不安」「邪魔者扱いされる不安」「批判的と思われる不安」で質問、報告、発言、意見をしにくくなります。つまり、積極的にコミュニケーションを図りにくくなるのです。このような状態だと、チームワークを高められません。

したがって、チーム内で心理的安全性を確保することが重要です。誰もが自由に発言できるようになれば、情報交換が活発になり、チームワークは高まります。また、メンバーのパフォーマンスやエンゲージメントも高まるでしょう。心理的安全性は、チーム内にアサーティブコミュニケーションを取り入れることなどで確保できます。アサーティブコミュニケーションは、相手を尊重しつつ自分の意見も述べるコミュニケーションの手法です。

2.感謝の気持ちを積極的に伝える

感謝の気持ちを積極的に伝えるとチームワークは高まります。メンバーから感謝されることで、周囲をフォローする姿勢が強化されるからです。また、周囲から認められることで、周囲を積極的に認めるようにもなります。感謝の気持ちを伝えると、お互いに助け合う関係、お互いに認め合う関係を構築しやすくなるのです。行動変容のポイントは、チームリーダーが積極的に感謝の気持ちを述べることといえるでしょう。チームリーダーが先頭に立って「ありがとう」などと伝えれば、チーム内の関係性、コミュニケーション方法は少しずつ変わっていきます。あるいは、チャットやSNSなどを活用して、感謝を伝える仕組みを構築しても良いでしょう。

3.ランチミーティングを開催する

チームワークを高めるため欠かせないのが相互理解です。お互いの理解が不足していると、些細なきっかけでメンバーが対立してしまうこともあります。相互理解を深めるため、古くから用いられてきたのが飲み会です。一定の効果を期待できるものの、メンバーのプライベートな時間を使ってしまうため現在の環境にはあまり適していません。そこで検討したいのが、昼休みを利用したランチミーティングです。近くのカフェなどへ出かけて、リラックスした状態で相互理解を深められます。

ポイントは、完全自由参加にすることとカジュアルな会話に焦点を当てることです。実質的に強制参加の場合や業務と関連が深い場合は労働時間とみなされる恐れがあります。チーム内の関係づくりを目的として活用しましょう。

4.1on1ミーティングを導入する

1on1ミーティングは、チームリーダーとメンバーが1対1で行う面談です。週に1回から月に1回程度のペースで定期的に行います。1回あたりの面談の時間は30分程度が目安です。1on1ミーティングの目的は、メンバーが業務を通じて感じた課題や悩みをチームリーダーと共有することです。チームリーダーは適切なフィードバックによりメンバーの成長を支援します。チームのためではなく、メンバーのために行う面談といえるでしょう。

一見するとチームワークとは無関係に思えますが、働きかけによってはチーム内の関係性を変化させるきっかけになります。例えば、個人行動が目立つメンバーに、チームを機能させる方法を考えてもらうなどが考えられます。普段の行動を見直す機会になるはずです。

チームワークを高めて目標を達成しよう

チームワークは、共通の目標を達成するためメンバーが協力しながら物事にあたることです。高めることにより、大きな目標を達成しやすくなります。チームワークは、チームの目標を設定して共有する、メンバーの役割を設定する、コミュニケーションを積極的に図る、チームリーダーが方向性を明確に示すことなどで高められます。以上を参考に、チームワークの向上を目指しましょう。

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