スキルマトリックスとは?作成や開示の目的と必要な項目などを解説

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企業の価値を決定する要素は少なくありません。社会で自然と作られるものもあれば、企業が自ら醸成するケースもあるでしょう。企業の価値や現状の把握のために活用されるものの一つに「スキルマトリックス」があります。企業の価値や将来を判断するうえでも、重要かつ不可欠なツールです。本記事では、スキルマトリックスの意味や目的、盛り込まれる主な項目や作成時のポイントなどを解説します。

スキルマトリックスの意味と開示が進む背景

最初に、スキルマトリックスの意味や定義、開示が進む背景についてまとめます。また、一般的なスタイルも押さえておきましょう。

スキルマトリックスの定義

スキルマトリックス(Skill Matrix)とは、簡単にいうと、企業の取締役会を構成するメンバーの保有スキルを、分野ごとに表にまとめたものです。「Skill」は技術や技量を指し、日本では知識や経験なども含めてスキルと表現されるケースは少なくありません。「Matrix」にはさまざまな意味がありますが、ここでは数学で使われることの多い行列や、数を縦横に並べたものという解釈が適切です。つまり、取締役のスキルを可視化した一覧表といえるでしょう。

スキルマトリックスの対象者

取締役だけでなく、従業員の持つスキルを表などにまとめたスキルマップを作成している企業も少なくありません。スキルマトリックスは、取締役に特化したスキルマップといえます。しかし、企業としての独自性や、より高い透明性を意識し、取締役以外のスキルをまとめるところもあります。監査役や執行役員を含んだスキルマトリックスを作成する事例も珍しくはなくなってきています。ステークホルダーなどにどの程度求められているかの判断は困難ですが、情報開示という意味では対象者を広げるのも一つの戦略となりえます。

一般的なスタイル

スキルマトリックスに厳格なルールはありませんが、通常は、升目状の表に取締役とスキルがまとめられます。縦軸に取締役を記載し横軸にスキルを並べ、誰がどのスキルを保有しているのかを一目で確認できる形式が一般的です。また、親近感や透明性の高さのアピールのために、取締役の顔写真を添付する企業もあります。細かな仕様では、取締役ごとに色分けをして、より視認性を高めている事例も少なくありません。こうした工夫がされるのは、スキルマトリックスが対外的に開示・公表されるものであるためです。公表媒体ごとにデザインを変えているところも多いでしょう。

開示が進む背景

スキルマトリックスの開示が急速に進んだ理由でもっとも大きなものは、「コーポレートガバナンスコード」の存在でしょう。金融庁と東京証券取引所が原案を作成・公表し、その後、正式に制定され上場企業に適用された、企業ガバナンスの原則・指針を示すものです。2021年6月に2度目の改訂が行われ、スキルマトリックスの公表が求められたことにより開示に拍車がかかりました。スキルマトリックスが公にされていない企業は透明性が低く、適切な企業統治が行われていない可能性があると指摘されても仕方がない状態になったといえます。

こうした動きにより、ステークホルダーをはじめとして、多くの人や企業がスキルマトリックスにも目を向けるようになっています。公表企業と非公表企業では価値の差が生じ、経営状態にも大きな影響を及ぼしかねません。実績だけではなくイメージも経営状態に直結する多くの企業にとっては、開示せざるをえない状況になったともいえるでしょう。


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スキルマトリックスの目的や意義

コーポレートガバナンスコードの改訂により推し進められているスキルマトリックスの作成・公表ですが、実際に大きな意義を有しています。また、公表によりさまざまな問題の解決や恩恵をもたらします。そうしたメリットを目的として積極的に公表する企業も少なくありません。ここでは、スキルマトリックスの目的や意義についてまとめます。

ステークホルダーに対する情報開示

従業員や顧客、取引先や株主など、企業には自身も含めてさまざまなステークホルダーが存在しています。そうした人や組織たちは、複数の要素を勘案し企業価値を見極めます。特に、企業側からの情報開示は重要です。情報がなければ価値を見極めるための要素は減り、また、正しい判断もできません。スキルマトリックスの公表により、ステークホルダーに対する情報開示が徹底され、判断基準を設けることが可能です。厳格なルールはないとはいえ、取締役が保有するスキルが視覚化され、また、それを客観視できるスキルマトリックスは、判断材料となる情報の中でも非常に重要となります。取締役会を適切に機能させるためにも情報開示は欠かせません。

バランスや多様性の確保および適正化

企業において取締役会を構成するメンバーの保有スキルは、それぞれ異なります。重要なのは、取締役会を一つの組織としてみた際に、そこに必要なスキルが集約していることです。人数が多くても保有スキルが偏っていれば、経営にも偏りが生じるリスクが出てきます。また、社会における多様性の重要度が増す中、企業にもそれが求められてきています。企業が多様性へと対応するには、取締役会にも多様性がなければいけません。スキルマトリックスは、そうしたバランスや多様性の確保、および適正化にも役立ちます。

バランスの偏重や多様性の欠如があれば、スキルマトリックスの作成時に企業自身が気づくでしょう。公表した際にステークホルダーなどから受ける指摘も、バランスや多様性の適正化のきっかけとなります。スキルマトリックスの公表を強く求められれば、バランスがよく多様性のある取締役会にせざるをえません。結果的に、それが組織全体へと波及し、適切な統治機能のもと、時代や社会にマッチした企業を作り上げることへつながります。

役割や不足部分の補填

スキルマトリックスの作成により、取締役会に不足しているメンバーやスキルも可視化されます。不足部分が大きかったり、時代や社会にマッチしていないと判断されたりした場合には、企業の価値が落ちかねません。ただ人数を増やすだけではなく、現状に沿った不足部分の補填に役立ちます。著名人を取締役会に招聘しても、その人が足りない部分を補えなければ意味がありません。真に必要な役割を補填できる点も、スキルマトリックス作成の目的であり大きな意義です。

企業体制の確立や強化

バランスや多様性の確保および適正化や不足部分の補填は、企業体制の確立や強化に役立ちます。多角的な経営にもつながり、適切な経営判断もしやすくなるでしょう。対外的なイメージもよくなり、また、従業員のエンゲージメントを高める効果も期待できます。就職や転職を希望する人が増えれば優秀な人材の確保や生産性の向上、効率化など、さまざまな恩恵をもたらす可能性があります。スキルマトリックスは、一つのきっかけにすぎません。しかし、そこから得られるメリットは大きく、企業の成長や体制の強化にも不可欠です。

海外からの投資の促進

スキルマトリックスの目的や意義の一つに、投資の促進があります。とりわけ、日本の上場企業は海外からの投資に頼らざるをえない状況が続いています。日本の株価が上がるきっかけは外国人投資家が作ることが多く、中長期的な投資を呼び込むには海外投資家に目を向けざるをえません。しかし、海外の投資家からは、しばしば、日本企業の透明性の低さが指摘されています。そこで重要な役割を果たすのがスキルマトリックスです。取締役のスキルが一目で確認・把握できるスキルマトリックスを、投資の判断材料として提供できます。国内の投資家に向けての判断材料の提供にもなりますが、より大きな投資が得られやすい外国人投資家に向けての重要なアピールとなるでしょう。

さまざまな層からの信頼性の確保

作成や公表により得られるであろうメリットも含め、スキルマトリックスの意義や目的は、さまざまな層からの信頼にもつながります。多様性を持ち、透明性も高く、投資を呼び込む意欲もあり、実際に経営に必要な高いスキルがあると認識されれば、大きな信頼が得られるでしょう。大きな信頼は、さらに多くの投資や人材、顧客を招きます。こうした好循環は、企業の継続的な成長に欠かせません。信頼性の確保が、スキルマトリックスの最大の目的といってもよいでしょう。

スキルマトリックスに盛り込まれる主な項目

各取締役のスキルを明確に記載するスキルマトリックスですが、そこに盛り込まれる項目は、ある程度決められています。もちろん、厳格なルールはありません。しかし、企業統治や経営戦略に不可欠なスキルを盛り込まなければ意味をなさないため、常識からかけ離れた項目ばかりの羅列は避ける必要があります。ここでは、多くの企業が盛り込んでいる一般的な項目を紹介します。

企業経営

企業経営スキルは、経営判断を左右する重要なスキルです。戦略や方向性に関する知識や決定経験なども含め、さまざまな、かつ高度な企業経営スキルが取締役には求められます。スキルマトリックスの項目の中でも、軸となるスキルともいえるでしょう。実際に企業のトップに立ったことのある人は限られています。そのため、企業経営スキルを持ち合わせている人の絶対数も決して多くはありません。また、レベルにも大きな差が生じやすいスキルであるため、企業の規模や産業などに沿った経営スキルを持ち合わせているかどうかの見極めも重要なポイントです。

マーケティング・営業

企業の売上や利益、それらを含めた業績を大きく左右するスキルです。マーケティングや営業にも戦略は不可欠であり、それらにより従業員の具体的な活動や業務内容も変わります。効率化やコストにも関わるスキルともいえるでしょう。実際に自社でマーケティングや営業を担当した人が登用されるケースが少なくありません。自社商品や企業理念、従業員の特性などへの理解が、このスキルには不可欠であるためです。しかし、産業や取り扱う商品によっては外部から獲得し、マーケティングや営業のスキルを補う企業もあります。

財務・会計・ファイナンス

企業のお金に関わるスキルです。新たな事業を行ったり研究・開発へと取り組んだりする際には、資金調達が欠かせません。資金調達の知識や経験を持った人が担当し、スキルマトリックスにも主要項目として盛り込まれます。資金調達を可能にするスキルだけではなく、資金調達をするか否かの判断スキルも必要です。無理な借り入れは企業の財務状況を悪化させかねません。冷静な判断と中長期的な戦略や視点も求められます。また、粉飾決算など不正な会計の防止スキルも重要です。会計上のコンプライアンスを保ちながら、健全な経営を維持する役割を担います。

IT・デジタル

時代の移り変わりとともに重要性の増してきているスキルです。ITやデジタルのスキルの保有者が取締役会にいない企業は、社内外にかかわらず、信頼を得るのは難しいでしょう。ITやデジタルのスキルは業務の効率化を促し、生産性の向上に寄与します。全社的に取り組むためには、深い知識と豊富な経験を有したスペシャリストの存在が不可欠です。また、ITやデジタルに関する新しい技術革新が起こった際には、このスキルを持つ人を中心とし、対応していかなければいけません。ITやデジタルに関する知識や技術を持つ人は、比較的若い世代に集中しています。そのため、特に年功序列が色濃く残っている企業では、このスキルの保有者として、経験の乏しい人が名を連ねないよう注意が必要です。年代や年齢にとらわれず、積極的に若い人材を取締役へと選任する柔軟性も求められます。

労務・人材開発

優秀な人材の確保や、従業員にとって良好な環境づくりなどに関わるスキルです。人材育成に関するスキルも重要です。また、労働法令に関するコンプライアンスの見識も求められます。同一人物が複数のスキルを必ずしも備えている必要はありません。不可欠なスキルを補うために、それぞれに特化した人物を取締役に選任し、スキルマトリックスのバランスをとることも可能です。人的資本経営といった手法の広がりもあり、人材を重要視する企業も増えてきました。これまで以上に人材開発や人材育成にかかわるスキルは重要度を増していくでしょう。客観的な視点を持ち、さまざまな立場から物事を考え判断できる人物を取り入れなければいけません。

法務・リスクマネジメント

法律やコンプライアンスを踏まえ、リスクマネジメントが可能な人材は企業にとって非常に重要です。知識だけではなく、経験から生まれる先見性や発想力も、このスキルに含まれます。悪質なコンプライアンス違反は、たった一度でも起これば企業の信頼を失墜させかねません。そうした事態を招かないよう、日常的にリスクマネジメントが機能する体制の構築が求められます。また、時代や社会に適応しながら臨機応変に体制を見直せる柔軟性も重要なスキルです。

グローバル経験

企業が海外で事業展開する際にはもちろん、海外から投資を呼び込む際にも、グローバル経験は重要な意味を持ちます。取締役会にグローバル経験の持ち主がいない企業では、海外進出の成功も外国人投資家からの信頼獲得も難しいでしょう。海外と一言でいっても、世界にはさまざまな国が存在し、それぞれで文化やニーズは大きく異なります。グローバル経験を細分化し、より多角的な戦略が練られるような多彩なスキルが集約できれば、スキルマトリックスの意義や厚みも増すでしょう。

ESG・サステイナビリティ

社会問題や時代ごとに変わる価値観に対応するための人材も取締役会には不可欠です。特に、ESGやサステイナビリティに対し深い見識を持つ人物の重要度は増してきています。社会的責任を果たせる企業であると対外的に示すためにも、スキルマトリックスにはこれらのスキル項目の掲載が必須です。特に、中長期的な企業の発展には欠かせないスキルとなるでしょう。

DX

DXのスキルを持つ人材のいない企業は、すでに社会や時代に取り残されているといわざるをえません。経営層にDXの知識や技術を有した人がいなければ、企業全体のDX化も進まないでしょう。ITやデジタルのスキルと同様に年代や年齢に固執せず、DXのスキルを持った人物を取締役に選任する必要があります。

その他

スキルマトリックスには、必要最低限のスキルを項目として盛り込むことが求められます。多くの投資家や消費者などにとって重要な判断材料とするためです。そのうえで、企業独自の項目を盛り込んでも構いません。独自性があれば、それもステークホルダーにとって重要な情報となりえます。たとえば、技術開発や研究開発、商品開発や製造・品質管理などが挙げられるでしょう。生産やM&Aなどを項目として盛り込む企業もあります。属する産業や展開している事業に応じて、盛り込むスキルを決定することが重要です。


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スキルマトリックスの作成プロセス

一定の手順に沿って作成すると、企業の抱える課題なども見えやすくなります。ここでは、スキルマトリックスの基本的な作成プロセスを解説します。

1.中長期の経営戦略を策定する

最初に行うのは、中長期の経営戦略の策定です。経営戦略によって、企業に必要なスキルが変わるためです。特に、他の企業との差別化を図る必要性のある企業は、中長期の経営戦略を練りあげるところからはじめましょう。一般的なスキル項目とは別の、企業独自の項目を盛り込むのにも役立ちます。

2.スキルの選定と定義づけを行う

策定した戦略に沿って、スキルマトリックスに盛り込むスキルの選定と、スキルの定義づけを行います。可能な限り多くの、かつ社会やステークホルダーが求めるスキルを盛り込む必要があります。その際に、スキルによっては熟練度合いが曖昧である点に注意しなければいけません。スキルマトリックスに盛り込んだものの、他者からはスキル保有者とは呼べないレベルである可能性もあります。何をもってスキルと表現し項目として選定したのか、具体的な定義づけが必要です。

3.現在の保有スキルを確認する

選定したスキルに見合った保有者が取締役会にいるかを確認します。自己申告だけに頼るのは避けましょう。公表後にスキルのレベルや内容がステークホルダーの求めるものに満たなければ、企業全体の信頼を損ないかねません。保有スキルの確認は、評価も含めて行う必要があります。その際には、前段階で定めた定義と照らし合わせるとスムーズな評価が可能です。確認するのは、あくまでも現状の保有スキルであり、将来的に発揮を期待するスキルではない点にも注意しておきましょう。

4.スキルマトリックスとしてまとめる

各取締役の保有スキルを確認し評価が完了したら、スキルマトリックスとしてまとめます。社外に対してのスキルマトリックスは可能な限りシンプルに、誰がみてもわかりやすい形式とデザインでまとめましょう。

5.承認作業を行う

作成したスキルマトリックスを取締役会や経営会議にかけ、承認を得ます。承認されたのち、公に開示するのが一般的な流れです。開示後は、さまざまな指摘を受ける可能性があります。足りないスキルがあれば対応しなければいけません。また、開示して終わりではなく、適切に活用し、経営戦略の推進や実行にも役立てていきましょう。

スキルマトリックスを作成・公表する際のポイント

スキルマトリックスは企業のイメージや経営戦略など、さまざまなところに影響を及ぼすものです。決して、おろそかにはできません。ここでは、スキルマトリックスの作成や公表に際して、意識したいポイントや注意点を解説します。

保有スキルの水準に注意する

取締役の保有スキルが一定の水準に達していなければ、スキルマトリックスには盛り込めません。その水準を低く設定してしまうと、企業としての信頼性の低下を招く恐れも出てきます。取締役に対し、可能な限り高い水準のスキルを要求する必要があるでしょう。著名人を社外取締役として招聘するなど、安易な選任には特に要注意です。ネームバリューだけではなく、保有スキルとそのレベルにフォーカスして選ばなければいけません。

保有スキルの根拠を明確にする

保有スキルの根拠も重要です。客観的に提示できる根拠があれば、スキルを保有している事実と、そのレベルがある程度認識できます。所属先企業や出身企業、役職、具体的な成果、保有資格などが根拠として活用可能です。中にはレベルや根拠を定量化・言語化しづらいスキルもありますが、可能な限り根拠を明示します。スキルの裏付けは信頼に直結すると認識しておきましょう。

バランスの偏りがあれば説明する

一部のスキルに偏りが出てくるケースもあるでしょう。そのような場合は、十分な説明が求められます。特定のスキルを持つ取締役が複数いる場合には、具体的な理由の明示が必要です。経営戦略などと絡めながら説明するとよいでしょう。説明が足りなければ、名前だけの取締役なのではないかとの疑念を抱かれかねません。人数が少ない、あるいは足りないスキルに関しても同様に、説明が求められます。スキルマトリックスは改善が可能です。丁寧かつ具体的な説明がなされれば、企業の意図や改善の意思も伝わり、ステークホルダーも納得しやすくなります。

社内用と社外用とに分ける

社内用のスキルマトリックスは、取締役の保有スキルだけではなく、スキルのレベルも詳細に記載するとよいでしょう。従業員にとって、自社の経営層の保有するスキルと、そのレベルの把握は重要な意味を持ちます。スキルのレベルによって説得力は異なり、取締役会の経営判断への信頼度も変わってくるためです。社外用には詳細なレベルまで記載する必要はありません。保有スキルを中心に記載し、視認性の高さを重視するのが一般的です。

昇格予定者にも注目しておく

スキルマトリックスは、中長期的な経営戦略に重要な意味を持ちます。そのため、現取締役会のメンバーが退任したあとの後任予定者のスキルの把握も重要です。必要に応じて、昇格予定者もスキルマトリックスに盛り込んでおきましょう。ステークホルダーも将来的な取締役会がイメージしやすくなり、中長期的な投資判断にも活用できます。

スキルマトリックスのバランス改善の施策とは

スキルマトリックスの作成に伴い、取締役会のスキルのアンバランスさが課題として浮き彫りになるケースは少なくありません。可能な限り、早期の改善が求められます。ここでは、バランスを改善するための代表的な施策を紹介します。

取締役向けのトレーニングの実施

足りないスキルを身につけるために、取締役向けの研修やトレーニングを実施する方法があります。スキルにもさまざまなものがあり、技術的なものに関しては、短期的な習得は困難です。しかし、知識や資格が中心となっていれば、研修やトレーニングによる習得が可能なスキルもあるでしょう。それでも、習得できるレベルには限界がある点には注意が必要です。また、対外的にも対内的にも高度なスキルの所有のアピールが難しい点も認識したうえで取り入れましょう。

社外取締役の選任

特定のスキルに関して高度な知識や技術を持つ人を社外から招聘する方法もあります。自社では育成の困難なスキルを持った人材を取締役会に入れることができます。新しい価値観の導入や監視体制の強化などにも役立つでしょう。取締役向けのトレーニングなどの実施と比較して、短期間でスキルマトリックスのバランス改善が図れます。ただし、高度なスキルを持つプロフェッショナルの招聘は容易ではありません。そのための戦略や準備が不可欠です。

まとめ

スキルマトリックスは企業の信頼度の向上に寄与する重要なツール

企業において、取締役の保有スキルを可視化した表であるスキルマトリックスは、適切なものを作成・公表すれば、信頼度向上に役立ちます。中長期的な戦略の実行にも活用可能です。とりわけ投資の呼び込みに大きな効果を発揮するため、資金調達や新規事業などで重要な役割を果たすでしょう。効果の最大化には、高い水準のスキルを持った取締役の選任や、外部から必要な人材を招聘するなどの工夫も求められます。

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