被災企業における労働基準法の適用は?休業の取扱いを確認

労働基準法
被災企業における労働基準法の適用は?休業の取扱いを確認

目次

  1. 災害に伴う休業命令時の休業手当支払の必要性は、実態で判断
  2. 「雇用」に関わる災害時対応を理解しておきましょう

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2024年1月1日に発生した能登半島地震は、この地域を基盤とする企業の事業活動に甚大な被害を及ぼしました。報道等で被災地の状況を見聞きするたびに一日も早い復興を願わずにはいられませんが、事業主様であれば「自社が被災した場合にどう対応すべきか」というご心配が頭をよぎるのではないでしょうか。被災企業における課題は多岐に渡りますが、そのひとつに「雇用」の問題があります。今号では、災害により、事業場の施設・設備等が直接的な被害を受けた場合の従業員の休業及び休業手当支払義務について、厚生労働省がまとめたQ&Aを確認しておきましょう。

災害に伴う休業命令時の休業手当支払の必要性は、実態で判断

災害の影響で通常の事業活動継続が困難と判断される場合、企業はやむを得ず従業員に休業を命じることになります。従業員を休業させる場合、原則として会社は休業手当の支払いが必要となりますが、災害に伴う休業に際しては手当支払の要否が実態で判断されることもあります

原則として、事業主は労働者の不利益回避に向けた努力を講じましょう

被災により事業の休止などを余儀なくされた場合において、労働者を休業させるときには、労使が十分に協議した上で労働者の不利益を回避するように努力しなければなりません。Q&Aでは、災害時における雇用保険制度の特別措置や雇用調整助成金等、休業を余儀なくされた場合の支援策が紹介されています。

〇 雇用保険制度の特別措置とは?
災害救助法の適用地域内に所在地を置く事業所が災害により事業を休止・廃止したために、一時的に離職した方について、事業再開後の再雇用が予定されている場合であっても、雇用保険の基本手当を受給できるというものです。また、激甚災害法の指定地域に所在する事業所が災害で休業したことにより、被保険者が休業して賃金を受けられない場合についても基本手当の受給が可能です。

雇用調整助成金に関しては、別記事にて解説していますので、ご確認ください。
関連記事:『2024年能登半島地震に伴う雇用調整助成金特例措置の概要が公表されました

災害による休業であっても、直ちに休業手当の支払義務が免除されるわけではありません

もっとも、「災害による影響で企業活動の継続が困難となるのであれば、休業手当の支払義務は生じないのではないか」とのお声もあるかもしれません。しかしながらQ&Aでは、休業手当の支払義務の有無は、被災の状況や理由によるものとされています。具体的には、労働基準法上の「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当するか否かを判断することになります。一例として、災害により、事業場の施設・設備は直接的な被害を受けていない場合には、「使用者の責に帰すべき事由」による休業に該当するとされる可能性があります。

休業手当の支払義務が生じない、「使用者の責に帰すべき事由」に該当しないケース

ただし、前述の「事業場の施設・設備は直接的な被害を受けていない場合」であっても、取引先や鉄道・道路が被害を受け、原材料の仕入、製品の納入等が不可能となったことにより労働者を休業させる場合、その休業が以下の2要件を満たす場合には例外的に「使用者の責に帰すべき事由」による休業には該当しないと考えられます。

①その原因が事業の外部より発生した事故であること
②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること

この場合、取引先への依存の程度、輸送経路の状況、他の代替手段の可能性、災害発生からの期間、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し、判断する必要があると考えられます。

もちろん、災害により事業場の施設・設備が直接的な被害を受け、その結果、労働者を休業させる場合は、休業の原因が事業主の関与の範囲外のものであり、事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故に該当すると考えられます。この場合、原則として使用者の責に帰すべき事由による休業には該当しないと判断され、休業手当の支払義務は生じないことになります。

派遣先休業に伴う派遣労働者の休業について、休業手当支払の要否判断は「派遣元」の状況によります

派遣労働者の取扱いについても、確認しておきましょう。Q&Aでは、派遣先事業場の休業に際して労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由」に当たらず、同条に基づく休業手当の支払が不要とされた例で、「派遣元は労働者に休業手当を支払う必要があるのかどうか」という質問が掲載されています。

派遣中の労働者の休業手当について、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由」に当たるかどうかの判断は、派遣元の使用者についてなされます。派遣先の事業場が、天災事変等の不可抗力によって操業できないため、派遣されている労働者を当該派遣先の事業場で就業させることができない場合であっても、それが「使用者の責に帰すべき事由」に該当しないとは必ずしもいえず、派遣元の使用者について、当該労働者を他の事業場に派遣する可能性等を含めて、「使用者の責に帰すべき事由」に該当するかどうかが判断されます。

参考:厚生労働省「令和6年能登半島地震に伴う労働基準法や労働契約法等に関するQ&A

「雇用」に関わる災害時対応を理解しておきましょう

地震大国・日本における企業の事業活動は、常に、いつ発生するか分からない震災の危険と隣り合わせであるといっても過言ではありません。万が一の際、人を雇用する事業主として適切な措置を講じることができるよう、災害発生時の従業員対応についてはあらかじめ正しく理解しておかれることをお勧めします。

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HM人事労務コンサルティング 丸山博美

編集者

HM人事労務コンサルティング 丸山博美

起業したての小さな会社支援を得意とする社労士事務所、HM人事労務コンサルティング代表・丸山と申します。 創業当初の事業主様に不足しがちな「経験」「人脈」「知識」を、 社会保険労務士という立場からサポートいたします。
労務関連の手続きやご相談、就業規則作成、助成金申請・・・等々、どんなことでもお気軽にご相談ください!東京はもちろん、日本全国からのご依頼に対応させていただきます。

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