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2020年6月10日(水)に第1回のHR SUCCESS Online「ヒトを競争優位に。採用と人材活用から考える働きがいのある組織の創り方」が開催されました。HR SUCCESS Online(https://hrmos.co/seminar/hrso/)では、HRにおいて先進的な取り組みをされている企業の経営者やご担当者様をゲストにお迎えし、人事・経営にまつわるお悩みを解決できる情報をお届けしています。
第1回は「働きがいのある会社」ランキングの中規模部門(従業員100~999人部門)で3年連続1位を獲得した株式会社コンカーの代表取締役社長である三村氏をお招きし、「採用」と「人材活用」の観点から働きがいのある組織の創り方についてお話しいただきました。
今回は前編として、コンカーが「働きがいのある会社」ランキングNo.1を3年連続で受賞した背景や、業績と組織コンディションの相関関係についてまとめたものをお送りします。
三村真宗氏
株式会社コンカー
代表取締役社長
1993年、慶應義塾大学法学部卒業。同年、日本法人の創業メンバーとしてSAPジャパン株式会社に入社。以後13年間にわたり、ビジネス・インテリジェンス事業本部長、社長室長、CRM事業本部長、製品マーケティング本部長、戦略製品事業バイスプレジデント等を歴任。2006年、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社し、金融、通信、ハイテク企業等の戦略プロジェクトに従事し、IT戦略・ITビジョンの策定、ソフトウェア事業のBPR等を担当。2009年、ベタープレイス・ジャパン株式会社シニア・バイスプレジデント。2011年10月から現職。
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茂野明彦
株式会社ビズリーチ
HRMOS事業部
インサイドセールス部 部長
大手インテリア商社を経て、2012年、外資系IT企業に入社。グローバルで初のインサイドセールス(IS)企画トレーニング部門の立ち上げに携わる。2016年、ビズリーチ入社。インサイドセールス部門の立ち上げ、ビジネスマーケティング部部長を経て、現在はHRMOS事業部インサイドセールス部部長を務める。
コンカーが「働きがいのある会社」を目指したきっかけ
三村:社長に就任して間もなく、社員全員が参加するオフサイトMTGを行い、5年後にコンカーが目指す姿について議論しました。その場で、5年後に目指すべき姿として「全世界のコンカーの中で、米国に次ぐナンバー2の事業規模になる」という社外に向けた定量的な目標と「国内のIT企業で最も働きがいのある企業になる」という社内に向けた定性的な目標の2つを設定しました。
この目標を達成するべく、コンカーでは「ヒトにコミットし、会社の競争力を高める」ことに注力し取り組んできました。よく、経営資源の話で「ヒト・モノ・カネ」といわれますが、外資系のコンカーでは、「モノ」は日本で作っておらず、「カネ」は米国本社によってグローバル市場の観点で最適化が図られています。そんなコンカーが、米国以外の拠点のなかでトップを目指すには、「ヒト」のポテンシャルを最大化し競争力を高める必要があると考えました。
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「働きがいのある会社」を創るために、まず行ったこと
茂野:働きがいのある企業を創っていくなかで、最初に着手されたのはどこでしたか?
三村:まず文化創りから始めました。「働きがい」のある企業を創るためには、トップのコミットメントと現場の「自分ゴト」化の両方が必要だと思っています。ですので、有志に手を挙げてもらい、文化部という社内タスクフォースを立ち上げて、率先して文化創りに関わってもらいました。具体的には、社内イベントの企画や社員のコミュニケーションを活発化させる施策等を行っています。
茂野:そのようなアクションのなかで、三村さんが社内の変化を感じた瞬間や、働きがいのある組織に変わってきたと実感された瞬間はありましたか?
三村:社員全員で合宿を行ったときですね。合宿前は、社員が目の前の仕事と数字に追われてしまい、会社の将来や他部門のことを考える時間がありませんでした。日々の業務とは違う場に社員全員が集まって、役職、部門、職種、全てをシャッフルして会社の経営課題を皆で議論し合うということを通して、社員一人ひとりの意識が変わっていくのを感じました。
茂野:「働きがいのある会社を創る」という目標をメンバーに伝えたときのリアクションはどうでしたか?
三村:最初のうちは業績もままならず、会社の雰囲気もそこまでよくなかったため「できるの?」という雰囲気はありました。そもそも当時は働きがいの計測方法がわかりませんでしたし、働きがいのある企業ランキングという存在自体も知りませんでした。
茂野:合宿のようなオフサイトMTGは日系企業ではあまり実施されていませんが、あえて会議室ではなく合宿という形をとることにどのような意味があったとお考えですか?
三村:会社にいると、どうしても目の前の仕事や自部門の仕事に追われてしまいますよね。「目の前の仕事ではなく数年先のことも考える」「自部門だけではなく他部門・会社全体のことも考える」。このように時間軸と視野を広げるためには、場所を変えるのは有効な方法だと思います。会社の会議室でMTGを実施しても、自部門の仕事から離れて会社の未来について話し合うことは難しいと思います。
全員で創りあげたカルチャー。そこにフィットする人を採用するには
茂野:組織風土を創りながら拡大させていくためには、採用も重要かと存じます。自社のカルチャーに合った人を採用するために、どのようなことを気をつけていますか?
三村:コンカーには5つのコアバリューがあり、私が実施する最終面接も含め、面接官全員でそのコアバリューへのフィットやカルチャーフィットを確認するようにしています。
現在、コンカーには約290名の社員がおり、退職者を含めると今まで300名を超える方々が働いていることになります。どういう人がコンカーの文化にフィットしていて、どういう人がパフォーマンスを発揮しているのかを過去の自分の経験とも照らし合わせて判断しています。特に採用というのは大事で、社長自ら積極的に面接を行うべきだと思っています。
茂野:三村さんが面接の際に必ず聞いていることがあれば教えてください。
三村:「過去どんな仕事でわくわくしましたか?」という質問は必ず聞いています。この質問で、その人がどのような価値観を持っていて、どのような仕事にやりがいを感じるのかを知るためのヒントを得ることができます。
業績と組織コンディションは相関するのか?
茂野:事業の優位性は「ヒト」であると定義し、働きがいのある組織をつくることでコンカーさんは業績を伸ばしていくことを決められたかと思いますが、業績と組織コンディションの相関関係について、三村さんはどのようにお考えでしょうか?
三村:両者は間違いなく相関すると考えております。実際に、われわれは従業員サーベイを実施して組織コンディションを計測していますが、データを見ると、社内に組織コンディションが良い部門と苦戦している部門があり、苦戦している部門は、残念ながら離職率も高くなっています。組織コンディションの良し悪しは近年さまざまな形で社外にも伝わると思っており、優秀な方であればあるほど、対外的なブランドイメージだけでなく、内情を含めてリサーチをされて転職の意思決定をされると思っています。組織コンディションの良さというのは、優秀な外部の人材を引きつけるためにもとても重要だと思います。
経営と社員の相互理解が「働きがいのある会社」への第一歩
茂野:会社の規模が大きくなると、社長と社員が関わる時間は減ってくるかと思いますが、三村さんはそういった時間は積極的に持たれていますか?
三村:実施しています。昔は「ミムランチ」という社員メンバーとランチをする仕組みがあったのですが、在宅勤務が主流になったことと、時間的な理由で現在は中止しています。その代わり、現在は社歴の浅い方を中心に「ミムティー」というオンラインでお茶をする取り組みを実施しています。わずか20分と短い時間ですが、その人がどのような夢を持っていて、どのような悩みを抱えているのかをある程度知ることができます。また、在宅勤務が主体になり始めてから週に一度「絆ミーティング」という朝礼を実施しています。在宅勤務になると社員同士のエンゲージメントが薄れていくので、週に一度同じ時間を共有しようということで始めました。この時間は事業戦略などの重い話はせず、雑談などをメインにカジュアルに話す時間として設けています。
※各種データや肩書はイベント実施時点のものです