労働人口の減少や急速なテクノロジーの進化などの影響により、⼈材獲得競争が激しさを増す近年。採⽤担当者に求められる働きは増加し、その負担の⼤きさに苦慮している担当者は少なくありません。応募者情報の整理、⾯接の⽇程調整や社内への情報共有などの作業に追われ、採⽤活動の成果に直結するコア業務に⼿が回らないという悪循環を断ち切るべく、テクノロジーを⽤いた採⽤活動の効率化に着⼿する企業も年々増加しています。 本記事では、煩雑な作業の多い採用業務の効率化についてまとめました。
なぜ採用担当への負荷が増えているのか
「自社に必要な人材を見極めて採用する」という業務の根本は変わらないものの、多くの採⽤担当者が⽇々の業務に追われ「本来の役割であるコア業務に注⼒する時間がとれない」という声もめずらしくありません。採用担当者の業務増加には、①人材不足による競争の激化②IT普及によるツールの増加という2つの大きな要因が考えられます。
①人材不足による競争の激化
1つ目の要因は、人材不足による競争の激化です。売り手市場による人材獲得競争の激化により、求人媒体に情報を公開して待っているだけでは採用が困難になってきました。従来の「受け身の採用活動」では通用せず、採用チャネルの使い分けや、候補者への対応の強化が求められ、それらを担う採用担当者に多くの負担が生じています。
②ITの普及によるツールの増加
2つ目は、ITの普及によるツールの増加です。インターネット、スマートフォンなどの普及により、情報の経路は大きな変化を遂げました。候補者とのコミュニケーションツールの多様化、SNSを使ったスカウトチャネルの登場など、以前とは比較にならないほど、企業と潜在転職層の関係性は複雑化、多様化しています。
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負荷を減らすために何をすべきか
採用担当者の負担を減らすためには、コア業務以外の作業効率化を実施することが必要です。しかし、採用担当者の負担軽減策を検討する場合、大きなハードルになるのが「相手の都合に左右される」要素が多いという採用業務の特徴です。⾯接官や候補者との予定の調整、社内各部署とのやりとりなど、相⼿のある業務においては⾃⾝の努⼒だけで働く時間をコントロールすることが難しいため、時差出勤やフレックスタイム制の導⼊、休⽇出勤時の代休取得など、⼀般的な制度改⾰だけでは問題の解決が困難です。 そのため、最適な採用活動を行うためにテクノロジーの導入に踏み切る企業が増えています。具体的には、採用活動の進捗管理や進捗報告のための資料作成、候補者に関する情報の共有などをシステム化してしまうことです。ノンコア業務にかける時間を削減することで、コア業務に時間をかけることができます。採用担当者の業務負担軽減だけでなく、より充実した採用活動が可能になる点も採用管理システムを使うメリットです。
採用管理システム活用の際に最初に着手すべき3つのポイント
採用管理システムを導入したいと考える企業は多いですが、それによって「どのような問題を解決できるのか」を把握しておくことで、より効果的に活用することが可能になります。解決できる3大ポイントとして、
- 煩雑な日程調整の効率化
- 面接や選考に関する情報共有の効率化
- 応募者確保に伴う業務の効率化
についてご説明します。
①煩雑な日程調整を効率化
1つ目は、煩雑な日程調整の効率化です。面接などの日程調整は、採用業務のうち応募者や面接官との間で必ず発生する非常に重要な業務であり、かつ煩雑な業務1つでもあります。採用管理システムを活用し、面接官へのスケジュールの共有や面接場所の予約を実施することでスケジュール調整の手間を減らし、採用担当者の負担を大きく軽減できます。また、社内調整にかかる手間だけでなく、面接官の返信待ちによるタイムロスもゼロにできるため、スピーディーな採用活動が可能になります。
②面接や選考に関する情報共有の効率化
2つ目は、採用プロセスで発生する情報共有にかかる手間を解消することが可能である点です。閲覧権限を柔軟に設定できる採用管理システムを使うことで、必要な人だけが必要な情報を自分で参照できるようになり、スムーズな情報共有が可能になるだけではなく、共有漏れや転記ミス、セキュリティリスクを軽減・解消することができます。
③応募者確保に伴う業務の効率化
3つ目はデータ収集とデータ化にかかる作業時間を大幅に軽減できることです。売り手市場の続く近年、求人を出すだけでは十分な応募を得ることは困難になっています。それゆえ、過去の採用活動の分析をもとに改善を行い、より効果的な方法を選択していく必要があります。そのために必要なのが、的確な改善・判断をするための情報を、いつでも確認できる環境です。しかし、分析のためのデータを収集し、グラフなどを用いて可視化する作業は、大変な手間がかかります。採用管理システムは、情報の一元化だけでなく、リアルタイムで必要なデータを参照することを可能にするため、最適な採用チャネルの選択が可能になり、採用活動の成果向上も実現できるでしょう。
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改善事例紹介
ここまで、システム導入による採用業務の効率化のポイントについてご紹介しましたが、実際に採用管理システムを導入して効果を実感した2社の事例をご紹介します。
事例①:採用決定数が増加
1つ目の事例は、採用決定数が増加したケースです。採用管理システム導入前は、候補者や人材紹介会社とのやりとりはメールで行い、面接官の面接時の評価記入シートは紙、候補者の個人情報はエクセルで管理していました。情報の散在により、候補者リストの更新が後回しになり、採用活動の進捗がリアルタイムに把握ができていない状態に不安を抱えていました。
採用管理システムの導入後は、情報の一元化により採用活動の進捗がリアルタイムに把握できるようになったため、安心感だけでなく、業務の効率化につながりました。オペレーション業務にかける時間を大幅に削減でき、応募を増やすための戦略策定などコア業務に時間を費やすことに成功した結果、応募数が増加し、採用決定数も2倍近く増加するという成果が出ました。
事例②:選考スピードが向上
続いての事例は、選考スピードが向上したケースです。採用管理システム導入前は、人材紹介会社や求人媒体経由の候補者の情報を手入力で月に数百件分スプレッドシートに転記。過去応募との重複も手作業でチェックしていました。面接の評価は別システムで候補者ごとに評価シートを作成していたので、シートへの入力作業に追われてコア業務に費やす時間がありませんでした。業務負担が大きく、データの抽出・分析・資料の作成に工数がかかり、採用状況の細かな数値分析まで手が回らず、肌感覚で施策を行っていました。
採用管理システムの導入後は、書類にパスワードをかけて送る、候補者や人材紹介会社からのメール返信の有無を確認するなどの作業が不要になり、導入前は2日ほどかかっていた書類選考が当日中で完結。月次で大まかに行っていた採用数値の振り返りも週次でできるようになりました。その結果、採用活動の問題点が「人材紹介会社からの紹介がきていないこと」なのか「スカウトの返信率が低いこと」なのか、などの原因把握が容易になり、すばやく的確な改善施策が実行可能になりました。
まとめ
労働人口の減少による人材不足や急速なテクノロジーの進化により、採用市場を取り巻く状況は厳しさを増しています。それに加え、ITの普及によるツールの増加など、採用担当者の業務負担は増え続ける一方です。そのような状況に、採用管理システムを導入することで、業務効率化を図れるだけでなく、従来の「受け身の採用活動」を脱し、データを活用したより戦略的な採用活動が実現できるはずです。
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