HRTech/HRテックとは?将来性、サービス例、メリットデメリット、導入ポイントを解説

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企業における人事や労務に関する業務の数量は膨大です。そのため、適切に遂行されなければ組織に大きな損害をもたらす可能性があります。そのような事態を極力避けるために、人事領域にもさまざまなテクノロジーを取り入れる企業が増えてきました。代表的なものが「HRTech/HRテック」です。本記事では、HRTech/HRテックの将来性やメリット・デメリット、サービス例、導入ポイント・注意点などを解説します。

HRTech/HRテックとは・読み方とは

「HRTech」は、「human resources(人事)」と「technology(技術)」からなる言葉です。読み方は「エイチアールテック」です。つまり、HRTechとは、主に人事領域に活用し業務の改善や効率化を実現するためのテクノロジーといえます。企業における業務の中には、まだアナログにより行われているものも少なくありません。しかし、時代の変化とともに不都合も生じてきています。それを解消し、企業の利益向上を図るための最先端のテクノロジーや、そのテクノロジーを利用したサービス・ツールがHRTechです。また、テクノロジーを人事領域へと活用する施策そのものを指して使われるケースもあります。「HRテック」とも表記されますが、意味は変わりません。

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HRTech普及の背景

HRTechの普及は必然ともいえるでしょう。その背景には具体的に何があるのかをみていきます。

1.テクノロジーの進化と普及

テクノロジーの進化は、社会の中にさまざまな影響を与え功罪を生み出しています。よい部分が多いからこそ進化・普及しているわけですが、それを人事領域にも活用しない手はありません。これまでは人の頭と手でしか行えないとされていた業務も、徐々にテクノロジーを取り入れたサービスやツールに置き換わってきています。さらに、手軽に導入や運用が可能となってきたことも、さまざまな業界や企業にHR Techが普及している理由です。

特に、コストの低下は普及の大きな背景にあるでしょう。いくら利便性が高くても導入に膨大なコストがかかってしまっては普及は進みません。また、高度な専門知識が必要なツールも、導入に二の足を踏む企業を増やしてしまいます。特殊なIT知識がなくとも扱え、しかもコストが安く済むことも技術の進化の結果です。多くの企業にとって低いハードルで導入・運用できる点が、普及をさらに促進しています。

2.働き方の多様化

人事や労務に関する管理システムは、従来の働き方に対応する形となっている企業がほとんどです。しかし、さまざまな社会情勢や価値観の変化の中で、働き方も多様化しています。コロナウイルスの流行・蔓延によるリモートワークの普及も一例です。それ以外にも、フレックスタイム制や時短勤務、あるいは時差出勤を導入する企業も増えてきています。雇用形態にこだわらない人も増加していくとみられ、今後はさらに働き方の多様化が進んでいくでしょう。

多様化は、既存のシステムでの対応を困難とします。従来の管理システムは画一的であり、比較的わかりやすい数字のみにより管理する傾向があるためです。そのままでは適切な評価や人材配置が行えず、社会の変化にもついていけません。結果、企業の成長を阻害する要因にもなりえます。それを避けるためのツールとして注目されているのがHRTechです。最新の技術を用いることで、より適切で柔軟な人材管理が可能となります。そのことへの期待が、HRTechを普及させている背景にあるといえるでしょう。

3.労働力不足の加速

人材の適切な評価や業務の効率化は、労働力不足が進む中でこそ重要な役割を持ちます。日本は人口減少とともに少子高齢化も進んでおり、今後も労働力不足が進むことは確実です。限られたリソースを効率よく活用しなければ、企業の成長はありません。HRTechは、人事領域の業務の効率化を図り、労働力不足の問題を解消・緩和すると期待されています。例えば、人事や労務に関する業務に携わる人材の削減につながるでしょう。あるいは、適切な採用やマネジメントが実現すれば優秀な人材確保や効果的な人材配置も可能です。HRTechを活用し、このような企業組織への変革により、最小限のリソースで利益の最大化を狙えます。限られた労働力を企業同士で奪い合わなければならない時代だからこそ、HRTechの注目度が上がり導入する企業が増えているといえます。

4.雇用の流動化

キャリアアップのための方法はさまざまですが、転職により技術や地位を向上させようとする人も増えてきています。同じ企業で働いていても望むようなキャリアアップが実現できないと考えれば、当然の動きといえるでしょう。終身雇用制度が崩壊しつつあり、かつ年功序列型の企業へと入社してしまった人は、特にそうした意識を持ちがちです。転職が当たり前の時代となれば雇用の流動化は止められません。企業としては優秀な人材を確保し続けることが難しくなります。働き方の多様化への対応と同様に、公平公正な評価制度が実施されなければ人材の確保は困難です。労働力不足への対応と同様に、適切な採用やマネジメントも求められます。雇用の流動化が進みつつある中で、HRTechの普及は必然といえるでしょう。労働市場の変化に企業が対応しなければ生き残れないといった危機感が、HRTech普及の背景にはあります。

HRTechの具体的なサービス例

HRTechは、さまざまな領域で活用されます。企業の各業務で、とりわけHRTechの活用が有効な分野・具体的なサービスを紹介します。

1.採用管理

人事における重要な業務の一つが採用です。社員は企業を組織する不可欠なピースであり、その集合体により企業が運営されていることからも、採用管理が企業の命運を握っているといっても過言ではありません。HRTechにより、この採用管理の効率化と適正化が図れます。採用時における候補者のデータの整理・管理の徹底は、企業に本当に必要な人材の選定へとつながります。

また、管理業務の自動化も可能です。物理的管理が当たり前だった応募書類などのデータ管理への移行も、HRTechの活用により容易にできます。さらに面接や選考に関わる情報やスケジュールの管理もでき、採用業務に割くリソースの削減にもつながります。こうした情報のデータ化は、担当者が変更しても引き継ぐことが可能です。担当者により採用の基準が変わることがありません。長期的な視点を持った採用管理の実施を目的としてHRTechを取り入れる企業も増えています。

2.タレントマネジメント

HRTechにより、社員の経験やスキル、成果や実績などの管理も可能です。これらの情報をタレントマネジメントへと活かせます。社員の情報は、所属する部署でのみ共有される企業も珍しくありません。特に縦割り型組織では、その傾向が強いでしょう。しかし、横断的な組織構造でなければ企業全体での成長を阻害するリスクが生じます。そうしたリスクへの意識も徐々に高められつつあります。タレントマネジメントは横断的な人事戦略により効果が発揮されるといってもよいでしょう。HRTechの活用で社員の情報を一元管理できれば、各部署やチームなどで共有が可能です。結果的に、各社員の能力に見合ったマネジメントへとつながります。育成領域でもHRTechの活用は、もはや欠かせません。

3.従業員エンゲージメント

企業に対する社員の貢献意識や信頼度、忠誠度を示すものが従業員エンゲージメントです。満足度とは異なり、いかに企業に対して愛着や思い入れがあるかを示します。HRTechのエンゲージメント領域に関する活用方法は主に2つです。1つは、従業員エンゲージメントの測定です。企業では社員の声や現場の状況を正確に読み取るために、しばしばサーベイと呼ばれる調査が行われます。HRTechはこのサーベイの簡略化や効率化、あるいは結果の正確な情報収集に寄与します。社員にとって負担となりがちであり、かつ本音を上層部へと伝えるのに抵抗感を抱きがちな各調査を、HRTechの活用により実施しやすくなるでしょう。負担とともに、心理的ハードルも下げられるためです。

もう1つは、従業員エンゲージメントの向上です。これは、HRTechが直接もたらすというよりも間接的に影響を与えるといえます。すでに説明したような採用やタレントマネジメントの最適化によりエンゲージメントの向上が期待できます。また、サーベイと関連して、社員が企業に対するエンゲージメントが低いのであれば、その原因の突き止めも可能です。課題を浮き彫りにし改善へと取り組むことで、従業員エンゲージメントの向上が狙えます。

4.勤怠管理

特に複雑とは捉えられないため軽視されがちな勤怠管理。しかし、どの企業にとっても不可欠な業務です。軽視されたままだと、この勤怠管理にテクノロジーを持ち込めません。その結果、担当者の負担が増えてしまいます。HRTechでは勤怠管理を自動化し、その他の管理システムへの反映も可能です。勤務形態が複雑化しても、迅速に対応できます。社員の多い企業では、特に取り入れる価値が高くなるでしょう。また、HRTechによる自動化や効率化が可能な管理において、最も適した領域ともいえます。

5.給与管理

勤怠管理同様に、給与管理の領域でもHRTechの効果が発揮されます。給与計算は部署や職種、業務が細分化されるほどに複雑化します。特に画一的なものではなく、あらゆる側面からの評価を取り入れている制度のもとでは、担当者の負担は増えがちです。HRTechの活用により、さまざまなデータを給与へと反映させながらの管理も難しくはありません。月末など、特定のタイミングで大きくなりがちな負担を減らし、業務全体の平衡化へも寄与します。

6.健康管理

社員の健康管理は企業の責任でもあります。しばしば、健康管理は社員に委ねられがちです。しかし、社員の健康が害された影響を受けるのは、往々にして企業でしょう。また、社員の健康を軽視している企業では、エンゲージメントの高まりも期待できません。HRTechによる健康管理体制の整備は、社員に対するメッセージともなりえます。当然ながら、社員一人ひとりの健康の可視化が可能となり、その結果、体調不良を防いだり軽減させたりする効果も得られます。健康管理は肉体面のみならず、精神面に対しても重要です。HRTechでは、健康診断の結果や社員からの訴えなども含め管理できます。データ化されれば、何が健康状態の悪化に影響を与えているのかの把握もできるでしょう。それへの対策を講じることで、多くの社員の健康を守りながら企業運営が行えます。

7.労務管理・事務作業

企業にとって事務作業は必須の業務であると当時に、担当者に大きな負担をかけるものでもあります。書類の整理や外部とのやりとりをしたり、各情報を関連づけたり、必要な情報の検索・抽出をしたりするなど、細分化すればきりがありません。また、事務に関する業務のミスは、その他の分野にも影響を与えます。かといって、多くの企業にとって事務作業は主要な業務ではないため、そこに過剰なリソースも割くことができません。

HRTechは、勤怠管理や給与管理以外にもさまざまな事務作業の効率化や一元化、さらには自動化が可能です。システムが整っていれば事務職の採用にもよい影響を与えるでしょう。専門知識を求めなくてもよくなり、人材確保の面でもハードルが下がります。就業規則や労働条件の管理、福利厚生に関する業務や安全衛生分野など、労務に関する業務は多岐にわたります。事務作業はもちろんですが、各労務関連の情報収集や整理、そこからの課題や問題点の発見、改善のための道筋を立てることなどにもHRTechが活用できます。

HRTechに活用されるテクノロジー

HRTechに用いられるテクノロジーは多岐にわたります。その中でも代表的な技術について紹介します。

1.クラウド

これまでコンピューターを活用して事務作業や労働管理等を行う場合、特定のソフトをパソコンなどへとインストールしていました。クラウドは、インストール不要であらゆるサービスの利用が可能なテクノロジーです。自社にサーバーを用意する必要もなく、インターネットに接続できる環境を整えれば利用できるため、手軽に導入可能な点がメリットです。クラウドはパソコンに限らず、スマートフォンやタブレット端末での利用も可能としています。働き方の多様化に、より対応できる技術といえるでしょう。

2.AI

いわゆる人工知能です。人の感覚や価値観に頼りすぎることなく、あらゆる評価を公正に行えるメリットがあります。HRTechとしてのAI活用で、より客観的なデータ分析が可能となります。また、自動化にも寄与し、管理や作業のミスの防止にも貢献してくれるでしょう。成果を出せる人の特徴や離職率悪化の原因など、人では難しい精密な解析を可能とするのもAIの技術進歩があってこそです。単なるデータの集約や一元化ではなく、そこから社員の評価や施策への反映まで行うのであればAIの活用は欠かせません。

3.ビッグデータ

AIによる判断の助けとなるのがビッグデータです。企業単体で収集できるデータには限りがあります。企業内のみでのデータでによる判断も重要ですが、それ以外のデータも含めた分析や検証が不可欠です。そのために利用されるビッグデータは、HRTechの効果を最大化する要素であり技術となります。抱える社員の数が多くなるほど、このビッグデータの効果も大きくなるでしょう。

4.RPA

「Robotic Process Automation」の略語であるRPAは、従来は人の手で行われていた作業を、同様かそれ以上の精度で行う取り組みや技術を指す言葉です。集計や計算、データ入力などで能力を発揮します。作業の効率化には欠かせず、HRTechの基本的な技術でもあります。さまざまな作業の自動化を可能とし、担当者の負担軽減に大きく寄与するでしょう。

HRTechを導入するメリット

HRTechの導入・運用により得られるメリットは決して少なくありません。特に、人事や労務の分野で得られる代表的なメリットを解説します。

メリット1:ミスマッチの防止

人事にとって、ミスマッチの防止は大きな課題の一つです。採用の際のHRTechを用いた適切な選定により、入社後のミスマッチの防止へとつなげられます。ビッグデータやAIの駆使により、人とは異なった評価基準を設けることでも、ミスマッチ防止につながる採用が可能です。新規の採用時のみではありません。社内での異動や特定の役職への抜擢などにも同じことがいえます。業務内容や部署内の雰囲気、文化とのミスマッチはモチベーション低下を招きます。また、十分な能力を発揮できないリスクも高めるため、HRTechによる人材の最適化は非常に重要です。

メリット2:離職率の低下

採用や社内人事におけるミスマッチが防止されると、離職率の低下へとつながります。また、健康管理などの徹底も、離職率や休職率を下げる効果が期待できます。さらに、HRTechにより事務作業の負担が減れば、そうした作業に携わる社員の離職リスクも軽減できます。導入するサービスやツールにより個々の社員の退職リスクの把握や、離職率や休職率を上げてしまう原因の分析も可能です。管理者などの思い込みとは異なる原因が、HRTechにより見つかることも珍しくはありません。得た情報から、離職率の低下を防ぐための施策も構築できるでしょう。

メリット3:コストの削減

HRTechの特徴の一つである自動化の実現により、コストの削減が可能です。導入するシステムによっては、事務作業などに要していた人員の削減にもつながります。ミスマッチの防止も、採用や育成にかかるコストの削減を可能とします。コストは企業の利益の増減に直接影響を与える以上、この効果は企業にとって大きなメリットです。HRTechの導入や運用にコストはかかったとしても、適切に運用できれば、それを上回る効果が期待できます。

メリット4:優秀な人材の確保

HRTechは、企業にとって必要な人材の判定に役立てられます。ビッグデータやAIを駆使すれば、潜在的な能力や性格等の判定も可能です。人材の補充が必要な部署や業務ごとの適性の見極めも可能となり、これまで逃していた素材型の採用も積極的に行えるでしょう。優秀な人材の定義は企業や業務ごとに異なるからこそ、画一的な採用基準とはならないようHRTechの有効な活用が重要です。

メリット5:データによる可視化

情報は、必ずしも数値化できるものばかりとは限りません。それをデータにより可能な限り数値化し可視化する役割もHRTechにはあります。数値化することで、抽象的な情報も把握・共有しやすくなるでしょう。採用や評価の基準も定めやすくなり、それらの正当性を上げる効果も期待できます。数値によってまとめられるデータは、一元化にも役立ちます。部署をまたいでの情報のやり取りもスムーズとなり、横断的な人事戦略や組織マネジメントに活用しやすくなる点もメリットです。

メリット6:課題や問題点の抽出

データの可視化は、課題や問題点をより見えやすくします。業務の効率化が図れれば、これまで無駄だった業務やかけすぎていたコストの見直しにもつながります。他の領域の課題や問題点に目を向けやすくなる点もメリットです。特に、大きな企業では管理職も見つけられていない課題や問題点が多く眠っている可能性があります。古い体制や慣習が色濃く残っている組織が多いためです。HRTechによって企業内の価値観や意識が変われば、当たり前とされてきた体制や慣習にも課題や問題点があることに気づくケースが出てくるでしょう。

メリット7:意思決定の迅速化

社内のあらゆる決定や判断にデータの活用が可能となります。データや情報の共有も図れるため、意思決定のスピードが上がるでしょう。正確性を保ったまま、むしろ従来よりも正確性を向上させたうえで意思決定の迅速化が図れる効果も期待できます。特に部署間の横断的な決定や、多くの社員に関連する大規模な施策の決定の迅速化は大きなメリットとなります。経済的コストのみならず、時間的コストや人的コストの削減にもつながるためです。

メリット8:主観の排除

一部の管理職による評価や属人的な組織を防ぐには、主観の排除が欠かせません。終身雇用や年功序列といったシステムが当たり前の時代であれば、特に問題はなかったでしょう。しかし、そのような時代ではなくなってきています。主観が大いに反映された評価や業務手法では、優秀な人材確保やマネジメント、エンゲージメントの向上など、さまざまな面に支障をきたします。育成もままならず、さらに大きな時代や社会の変化があった際に対応が難しくなりかねません。HRTechによる主観の排除は、公正性を保ちつつ属人的な組織も防ぎ、時代に合った企業文化の醸成にも寄与します。

HRTechを導入するデメリット

HRTechには、あまり多くはないもののデメリットも存在しています。HRTech導入により起こりうるリスクや懸念にも触れておきます。

デメリット1:情報漏洩のリスク

インターネットを活用したテクノロジーを活用する以上、情報漏洩のリスクは拭えません。安全性の高いサービスが増えているものの、情報漏洩を完璧に防げるとは限らない点は認識しておく必要があります。また、hr techを導入した企業では、多くの社員による情報共有が可能となっています。これまで一部の管理職のみが得られていた情報を他の社員も閲覧できると社内での個人情報の拡散が、ひいては外部への漏洩も起きかねません。閲覧できる情報と制限をかける情報の適切な分類および管理が重要です。

デメリット2:機械的な人事評価への懸念

主観を取り除き、ビッグデータやAIの助けも借りながら可能な限り客観的で正当な評価が下せる点がhr tech導入のメリットです。一方で、そればかりに頼ると機械的な人事評価となりかねません。運用が可能な領域と、そうではない領域とをしっかりと分ける必要があります。事務作業などにはフル活用しても問題はあまり発生しませんが、採用や人事評価の領域には、あくまでも一つの手段としての活用が適切です。

HRTechを導入する際のポイント

導入そのものが目的となってはいけません。また、導入後に何も行わなければ、効果は半減してしまいます。ここでは、HRTech導入の効果を可能な限り高めるためのポイントを解説します。

1.目的と用途の明確化

なぜHRTechを導入するのか、その目的は何かを、必ず明確にする必要があります。形骸化を防ぐためです。また、用途の明確化も同時に行います。用途が曖昧なままでは同じく形骸化の懸念や効果が薄れてしまう恐れがあり、加えて社内での理解を得られないリスクも高まりかねません。導入コストの回収がままならない状況を防ぐためにも、事前に目的と用途の明確化が重要です。

2.社内での周知

社員に対してHRTechの導入や運用を周知することは、理解を得るとともに、効果の最大化にも大きな意味を持ちます。サービスやツール、あるいは領域によっては、より多くの社員が運用に携わる必要性が生じるためです。周知の徹底は、同じ組織に属し続けることで固定化されてしまった意識を変えるのにも役立ちます。同時に、ITリテラシーの向上も不可欠です。必要に応じて研修を実施し、HRTechへの理解とITリテラシーの向上を促進させましょう。

3.適切なサービスやツールの選定

形骸化を防ぎ、かつ最大の効果を得るためには、適切なサービスやツールの選定もポイントです。知名度が高く広く使われているものが、必ずしも自社にマッチするとは限りません。目的と用途、規模やコストに合致したサービスの選定が求められます。他のツールとの紐付けや業務等に合わせたカスタマイズが可能かのチェックも重要です。

4.効果検証や分析

HRTechを導入・運用したあと、実際にどのような効果が得られたのかの検証も不可欠です。検証と分析を実施し、それを実際の施策やシステム構築へと役立てて、はじめてHRTechの効果が最大化されると認識しておきましょう。また、その工程を繰り返し行うことも求められます。時代の変化に沿い社会に適合した企業になるとは、この実行と効果検証、分析などの作業を繰り返すことと同義です。変化や成長に伴い、新たなサービスやツールへの移行の検討も求められます。

5.最終判断の責任の明確化

HRTechの助けを借り、さまざまな評価や判断を行うこと自体は企業に効率化や正当性をもたらすでしょう。しかし、責任の所在を曖昧なままにしてはいけません。間違った決定や判断、社員からの不満の訴えに対して、責任のすべてをHRTechへと押し付けることは不可能だからです。最終的な判断の責任の所在を明確化し、その責任のもとでの運用が重要です。

HRTechで業務の効率化やコストカットを実現し、人事戦略の質も高めよう

最新の技術を駆使し人事領域での業務の効率化やコストカットを実現する「HRTech」。ビッグデータやAIといったテクノロジーにより、担当者の負担の大幅な軽減が期待されます。また、客観的な評価による適切な人材配置などの人事戦略も効果的に行えるでしょう。労働力不足や働き方の多様化にマッチした企業となるためには、HRTechは取り入れる価値の高いシステムといえます。

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