EQ(心の知能指数)とは?高める方法や高い人や低い人の特徴をわかりやすく解説

「EQ」とは感情を管理してコントロールする能力のことを指し、ビジネスや人間関係において大きな影響を与えます。「心の知能指数」とも呼ばれ、近年、注目を集めている指標です。本記事では、EQの基本的な概念や測定方法、高め方、高めるメリットなどを解説します。

人事領域での活用方法も紹介するので、EQを活用する際の参考にしてみてください。

EQ(心の知能指数)とは?

EQは、Emotional Intelligence Quotient(感情知性)の略で、「自分や周囲の感情を管理し、コントロールできる能力」を指します。EQは、1987年代にピーター・サロベイとジョン・メイヤーによって提唱された理論です。

当初はEI(Emotional Intelligence)と呼ばれていましたが、その後、ダニエル・ゴールマンの『EQ心の知能指数』という著書により「EQ」として浸透しました。ゴールマンは、IQ(知能指数)と対比してEQ(心の知能指数)と紹介したのです。

ゴールマンは、この著書の中でEQを構成する要素は、以下の5つであると提唱しています。

  • 自己認識能力
  • 自己制御能力
  • 内的な動機づけ能力
  • 共感能力
  • 社会的能力

また、EQが低い人には「思いやりがない」「感情をコントロールできない」「ストレスから逃げてしまう」「根拠のない自信があってプライドが高い」といった特徴が見られるとも紹介しています。

EQが生まれた背景

EQはサロベイとメイヤーが認識や感情に関する研究について話していたときに構想が生まれました。

話の中で「賢い人でも愚かな行動をとるのはなぜなのか?」との議論になったのです。2人の出した最終結論は、「賢い意思決定には、従来のIQで測定した知性を超えるものがある」というものでした。このようなことがきっかけで、EQの研究が始まったのです。さらに、倫理観の欠如などは、IQに偏り過ぎた教育が原因だとする、ハワード・ガードナー氏の「多重性理論」も研究のきっかけとなりました。

「多重性理論」とは、人間の知能には以下の8つの知能があり、その強弱のバランスは人によって異なるという考え方です。

  1. 言語的知能:言葉を操る能力
  2. 論理数学的知能:数字や論理を扱う能力
  3. 音楽的知能:音楽を理解し表現する能力
  4. 身体運動的知能:身体を巧みに使う能力
  5. 空間的知能:空間を認識し操作する能力
  6. 対人的知能:他者を理解し関わる能力
  7. 内省的知能:自己を理解し内省する能力
  8. 博物的知能:自然界のパターンを認識し分類する能力

EQとIQとの違い

EQと似た言葉に、IQ(知能指数)があります。それぞれの定義は以下のようになっています。

EQ:感情を把握し、対応する力の指標

IQ:頭の良さを測る指標

EQが高い人は、対人関係やリーダーシップなどの場面で強みを発揮するのが特徴です。

サロベイとメイヤーが行った調査結果でも「ビジネスで成功した人は、ほぼ例外なく、対人関係能力に優れている」と結論づけられています。一方、IQが高い人は、学問や特定の専門知識において、優れた能力を発揮することが得意です。

両者の大きな違いは、コントロールのしやすさにあります。IQは先天的な要素が大きく、子供のうちはある程度高められますが、大人になってから大幅に高めるのは難しいとされています。しかし、EQは先天的要素が少なく、大人になってからも学習や訓練によって意図的に高めることが可能です。

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EQを測定する方法

EQは、簡単に無料で測定ができるWebサイトもあります。さらに詳しく測定したい場合には、EQ診断を専門にしている会社に依頼することも可能です。代表的なものに、公益財団法人日本生産性本部の|EQ(こころの知能指数)「EQI 行動特性検査」があります。

EQが重要視されるようになってきた理由

ビジネスにおいてEQの重要性が高まっています。社会情勢や職場環境が多様化したことにより、価値観や感情面も重要視されるようになってきました。たとえば、グローバル化に伴い、異文化コミュニケーションの必要性が増していることが挙げられます。

EQが高い人は、コミュニケーションを円滑に行う能力を持っているため、大きな強みとなるでしょう。また、感情的な知性が高いリーダーはチームのモチベーションを高め、信頼関係を築くことが得意なため、より高いリーダーシップを発揮します。

さらに、EQはメンタルヘルス対策にも効果的です。EQの高い人は、相手の気持ちを汲んだ行動ができ、周囲の変化に敏感で、同僚の心の不調を早期に察知しやすい特徴があります。そのため、状況が深刻になる前に、適切な対応ができるでしょう。これにより、職場のストレス軽減やハラスメント防止にもつながります。

EQが高い人の特徴

EQが高い人には共通する特徴がいくつかあります。具体的な特徴を5つ見ていきましょう。

  • 共感力がある
  • 柔軟性がある
  • 素直である
  • 感情に振り回されない
  • ストレス耐性がある

共感力がある

EQが高い人は、共感力が優れています。共感力とは、相手の態度や仕草から感情を察し、共感する能力です。たとえば、職場で同僚が困っているときに、共感力の高い人はその状況を察し適切なサポートができます。

こうした行動がチームの結束力につながり、雰囲気もよくなります。共感力は「思いやりのある人」として周囲からも好かれる傾向があり、良好な人間関係を築くために非常に重要です。

柔軟性がある

EQが高い人は、変化に対して柔軟に対応する能力を持っています。ビジネスの世界では、予期せぬ事態が頻繁に発生しますが、柔軟性の高い人は臨機応変に対応することができます。

たとえば、計画が急に変更された場合でも柔軟に対応できます。このような能力は、ストレスを軽減し、効率的に仕事を進めるために不可欠です。

新しい状況や予期せぬ出来事に対して迅速に適応できる柔軟性は、そのままEQの高さを示していると言ってもよいでしょう。

素直である

EQが高い人は素直であることも大きな特徴です。自分の間違いや欠点を認める謙虚さがあり、他者からの指摘も素直に受け入れる姿勢を持っています。このような人は、失敗を学びに変えて成長できるため、長期的な目標に向かって努力を続けることが得意です。

感情に振り回されない

EQが高い人は、感情に振り回されずに冷静に対処する能力を持っています。このような人は、緊急の問題が発生したときでも、感情に流されずに冷静に状況を分析し、最適な解決策を導きやすいでしょう。また、ストレスの多い状況でも他者に悪影響を与えない行動ができます。

感情の管理が上手な人は、他者の感情にも敏感で、対話や交渉の場でも適切な対応を取れるでしょう。とくに、リーダーのポジションなどで求められます。

ストレス耐性がある

EQが高い人は、ストレス耐性が高いことも特徴です。人は、仕事や人間関係などで多くのストレスがかかりますが、EQの高い人は適切に対処する力を持っています。

このような人は、上司から叱責や批判されても自分をうまくコントロールし、モチベーションを保ち続けて仕事を進められるでしょう。ストレス耐性があることで、難しい課題に対しても積極的に取り組めます。

また、ストレスに強い人は気持ちの切り替えが得意で、ポジティブな考え方ができるため、チーム全体の士気を高める役割も果たします。

EQが低い人の特徴

EQが低い人は、感情の管理が苦手な傾向にあり、さまざまな問題を抱えることがあります。これらの特徴が、自分の成長や対人関係において障害となることも少なくありません。

以下に、EQが低い人の一般的な特徴を5つ紹介します。

  • プライドが高い
  • 不平不満が多い
  • 怒りをコントロールできない
  • 他人の失敗を許さない
  • 自己中心的

プライドが高い

EQが低い人はプライドが高い傾向にあります。プライドが高い人は、自分の能力に対する過信から、他者の意見を軽視する傾向があり、成長の機会を逃すことが少なくありません。

たとえば、仕事上のミスを指摘されても、素直に受け入れられずに言いわけをしたり、反発したりするなどがあります。また、他人を見下す態度をとってしまい、周囲との摩擦を生む原因になり、職場やプライベートでの人間関係がうまくいかないこともあるでしょう。

こうしたプライドの高さは、個人の成長の妨げになり、チームワークを阻害する要因となりえます。

不平不満が多い

EQの低い人は、不満不平を頻繁に口にする傾向があります。これは、感情をコントロールする能力が低下していることの表れです。こうした態度は周囲にネガティブな影響を与え、人間関係を悪化させる可能性があります。

また、他責思考が強いのも特徴で、自分の行動を改善するよりも他人や環境のせいにする傾向があります。このような人は、職場の生産性を低下させる原因になる可能性があるでしょう。

怒りをコントロールできない

EQの低い人は感情のコントロールが苦手なため、怒りやすい傾向があるのが特徴です。

些細なことで激高したり、感情的な反応を示したりする傾向があります。怒りをうまく管理できないと、職場や家庭での関係が悪化しやすく、周囲の人々に対して威圧的な態度を取ることが増えます。

たとえば、締め切りが近づいてプレッシャーがかかると、周囲に当たり散らしたり、不適切な言動をとったりするなどです。このような行動は、職場の雰囲気を悪化させ、円滑なコミュニケーションができない原因となります。

他人の失敗を許さない

EQの低い人は、他人の失敗に対して寛容さに欠ける傾向があります。このような人は、他人の欠点を指摘することに注力するため、対人関係が悪くなる傾向があります。たとえば、部下が仕事で失敗したとき、厳しく叱責するだけで、次のチャンスを与えず、部下の信頼やモチベーションを奪うだけになってしまうかもしれません。

このように、他人の失敗を許さず批判的な態度を取ることで、周りから嫌われ孤立しやすくなります。人の失敗を許せない態度は、最終的には信頼関係を損ない、組織の成長を妨げる要因となります。

自己中心的

EQの低い人の最も顕著な特徴のひとつが、自己中心的な思考や行動です。自己中心的な人は、他人の感情を汲み取ることが苦手で、自分の意見や要求を優先させてしまう傾向があります。

たとえば、会議で自分の意見ばかりを主張し、他の人の意見に耳を傾けない態度を取るなどです。このようなことが続くと、周囲と衝突しやすくなります。結果的に、チームワークが機能しづらくなります。

EQを構成する重要な5つの能力

EQを構成する要素は以下の5つです。それぞれが相互に関連しており、これらはビジネスシーンだけでなく、日常生活においても重要な役割を果たします。

  • 自己認識能力
  • 自己制御能力
  • 内的な動機づけ能力
  • 共感能力
  • 社会的能力

自己認識能力

自己認識能力は、自分の感情や思考、行動パターンを理解する能力を指し、EQを構成する能力の中で最も基本的なものです。自己認識能力が高い人は、自分の長所や短所、価値観などを正確に把握できます。

また、何に対してストレスを受けやすいのかや、どのような影響を与えるかを理解できているため、冷静な判断を下すことが可能です。このように、自己認識能力が高い人は自分の感情を的確に認識できているため、他人の感情にも敏感で理解しやすいです。

EQを高めるためには、正確な自己認識能力が欠かせません。

自己制御能力

自己制御能力は、自分の感情や衝動をコントロールする能力です。この能力が高い人は、ストレスがかかる状況でも冷静さを保ち、適切な判断ができます。また、単に感情を抑え込むことではなく、感情を前向きに切り替えられるのも特徴です。

自己制御能力が高い人は、感情的な反応をコントロールできるため、場面に応じたスムーズな対応ができます。このような人は、周囲からも信頼される存在となりやすく、対人関係も円滑にできるのが特徴です。

内的な動機づけ能力

内的な動機づけ能力とは、自分の内面から湧き上がる興味や関心、好奇心などによって行動を起こすことです。仕事に対する興味や、やりがいなどが行動の原動力になります。この能力が高い人は、やりがいや達成感を求める傾向が強く、集中力が持続しやすいのが特徴です。

誰かに言われたからやるのではなく、自ら積極的に難しいことにもチャレンジする性格で、その積極性が周囲のモチベーション向上になることもあります。

共感能力

共感能力はお互いに共感し合えるような関係性を築き、他人との関係を円滑に保つ能力を指します。他人との関係性を築くのが得意な人は、相手の立場になって考えられる人が多いです。また、仕草などから相手の気持ちを読み取ることにも優れています。

このような人は、コミュニケーションスキルに優れ、チームプレーが得意です。また、対人関係のトラブルや対立を適切に解決する能力にも長けており、お互いの主張を聞きながらうまく解決することもできます。

ビジネスシーンでは、プロジェクトの円滑な進行や組織のモチベーション維持において、このような能力は欠かせません。

社会的能力

社会的能力は、相手の感情や立場を理解する能力です。こうした能力が高い人は、会社やチームの雰囲気などを敏感に察知し、状況に応じたコミュニケーションを取れます。

自分の意思を伝えつつ他人の意見に共感し、多くの相手と協力して物事を進めるのが得意です。このような人は、集団の中でもしっかりと自分の役割を果たせるため、リーダーに向いています。

ビジネスシーンでは、プロジェクトの円滑な進行や組織のモチベーション維持において、このような能力は欠かせません。

ビジネスシーンでEQを高めるメリット

EQを高めることは、ビジネスシーンにおいて多くのメリットをもたらします。EQを高めることによってもたらされるメリットは、以下の4つです。

  • リーダーシップの向上
  • チームビルディング
  • コミュニケーション
  • ストレス管理

リーダーシップの向上

EQの高いリーダーは、チームメンバーの感情を理解し、適切に対応する能力に優れています。このような人は、効果的なリーダーシップを発揮し、メンバーに対する適切なアドバイスができます。たとえば、チームの雰囲気を読み取り、適切なタイミングで励ましや指導ができます。

また、自己認識能力が高く自分の強みと弱みを理解しているため、自己改善も得意です。こうした行動が、チームメンバーからの信頼を得るとともに、組織全体の結束力の向上につながります。

チームビルディング

EQを高めることでメンバー間のコミュニケーションが円滑になり、チーム全体の結束が高まります。

とくに、さまざまな価値観を持つメンバーが集まる場合においては、意見の食い違いから衝突が起こることも少なくありません。しかし、EQの高い人は早期に察知し、適切に対処することで問題が大きくなる前に解決できます。これにより、共通の目標に向かって一体感を持って進めることができ、チームの生産性も向上するでしょう。

EQの高いメンバーが多いチームは、互いの感情を理解し、支え合う文化を作り上げるため、ストレスの少ない協力的な職場環境を作り出します。

コミュニケーション

EQの高い人は、コミュニケーションスキルが優れています。

言葉だけでなく、仕草などからも読み取ることができ、相手の真意を理解する能力に長けているのが特徴です。たとえば、部下や同僚の仕草から困難な状況に直面していると察して、言葉をかけることができます。

また、批判や反対意見を建設的に伝える能力があるのも、EQが高い人の特徴です。このような行動はコミュニケーションの質を向上させ、誤解やトラブルを未然に防ぎます。

ストレス管理

ビジネスシーンではストレスがつきものです。しかし、高いEQを持つ人はストレスをうまくコントロールし、冷静な状態を保てます。そのため、ストレスがかかる状況でもパニックに陥ることなく、仕事を進められるでしょう。

また、EQが高い人は他人のストレスにも敏感で、異変に気づいて適切な対処を行い、チーム全体のストレスを軽減させられるのも特徴です。ストレスが軽減されれば、結果的に全体の生産性も向上します。

EQを高める方法

EQを高めることは、ビジネスや私生活において大きなメリットをもたらします。日常生活の中で継続的に実践することで、徐々にEQを高めていくことが可能です。以下に、EQを高める具体的な5つの方法について見ていきましょう。

  • 相手に寄り添う
  • 周囲の人をよく観察する
  • 言語化を習慣にする
  • 読書をする
  • 自分のEQを測定する

それぞれ解説します。

相手に寄り添う

相手に寄り添うことは、EQを高める上で非常に重要です。寄り添うことで、他者の感情をより深く理解できるようになります。しっかりと相手の話を最後まで聞くことや、表情や声のトーンにも注意を払うことが大切です。

ただ話を聞くだけでなく相手の立場になって考えることで、相手に理解されていると感じてもらうことが重要です。これらのスキルを身につけることで、人間関係が円滑になり、コミュニケーション能力も向上します。

こうした相手の気持ちを理解しようとする姿勢が、結果的に自分のEQを高めることにつながるのです。

周囲の人をよく観察する

周囲の人をよく観察することも、EQを高めるために効果的な方法です。相手の表情や話し方などを注意深く観察し、良いところを探すようにしましょう。EQを高めるには、ネガティブなこともポジティブにとらえる必要があるからです。

たとえば「作業が遅い人」は、見方を変えると「丁寧な作業をする人」と捉えられるかもしれません。このようにして、ポジティブに変換するのがポイントです。また、良い面は口に出して褒めましょう。

人は褒められることでモチベーションが上がり、指摘されたことに対しても前向きに改善するようになるのです。このように周囲の人を観察することは、結果的に信頼関係の構築や組織の強化につながります。

言語化を習慣にする

EQを高める上で、感情を言語化する習慣をつけることも効果的です。中でも、日記をつけることが簡単で効果的な方法のひとつでしょう。日々の感情を書き留めることで、自分の感情パターンや反応を客観的に分析できます。

ポジティブな感情だけでなく、ネガティブな感情も記録することがポイントです。感情の変化を整理することで、自己認識能力が深まり感情のコントロール力も向上します。また、過去の記録を振り返ることで自分の成長や変化も実感でき、モチベーションにもなるでしょう。

読書をする

読書もEQを高めるための効果的な方法です。

とくに小説や物語には多くの人物が登場し、人の感情による行動が描写されています。つまり、ストーリーを通じて他人の感情の動きを想像することで「他人の気持ちを知ろうとする力」が身につくのです。

また、読書はストレス解消やリラックスにもなるため、感情を落ち着かせる効果もあります。定期的に読書の時間を設けるとよいでしょう。

自分のEQを測定する

EQを高めるために大切なのは、まず、自分のEQ値を知ることです。

数値はインターネット上にあるEQテストや、EQ診断で簡単に測定することができます。自分のEQの強みと弱みを把握できれば、改善もしやすくなります。

人事領域でのEQ活用方法

EQは人事領域において有効に活用できます。

従来のIQや学歴、経験だけでなく、EQを考慮することで、より適切な人材の採用や育成が可能です。ここでは、人事担当者がEQを活用できる以下の具体的な方法について解説します。

  • 採用面接でのEQ評価
  • パフォーマンス評価
  • メンタルヘルス対策
  • リーダー育成プログラムに取り入れる

採用面接でのEQ評価

一般的に、採用においてはこれまでの経験や職務の経歴が重視されます。一方で、チームワークが取れるかや、他人とうまく関われるかについてはこれまであまり重要視されてきませんでした。

しかし、近年は組織の生産性向上のためにEQの高い人材の採用を重要視する企業が増えてきています。

EQが高い人はトラブルを起こしにくく、モチベーションを保ちやすい人が多い傾向があります。したがって、採用面接においてEQも評価に加えることで、チームワークの取れる人材を見極めやすくなるでしょう。

パフォーマンス評価

パフォーマンス評価は、知識やスキルを実際の文脈で応用する能力を評価する方法です。従来のペーパーテストでは測りにくい思考力や、問題解決能力を測定するのに適しています。学校など教育の場面では、今でも実施されている手法です。パフォーマンス評価はEQの高い人材を特定するための手がかりになります。

また、パフォーマンス評価には以下のメリットがあります。

  • 詳細・公平な評価が可能になる
  • フィードバックが容易になる
  • パフォーマンスの向上が図りやすくなる

パフォーマンス評価を360度評価などの補完的評価として利用すれば、公平で正確な人事評価できるでしょう。

メンタルヘルス対策

メンタルヘルスの不調の原因は、人間関係が原因であることが多いです。社員のEQを高めればコミュニケーションをとりながら仕事を進めるようになるため、相談しやすい環境が生まれるでしょう。

また、EQが高い人は自分の感情や心の状態を正確に把握できるため、問題の早期発見や対処が可能です。結果的に、人間関係が良好になりメンタルヘルスの向上が期待できます。

リーダー育成プログラムに取り入れる

リーダーにはEQの高さが不可欠です。EQの高い人は、困難に直面しても冷静に考えて対応することができます。ストレスがかかる場面においても、自分の感情をコントロールしたり、チームメンバーの感情を敏感に察知したりすることが得意です。

さらに、EQが高い人はポジティブ思考なため、周囲の人もポジティブになる傾向があります。したがって、リーダー育成プログラムでEQを高めることで、リーダーに求められる資質を習得しやすくなるでしょう。

タレントマネジメントシステムの活用

タレントマネジメントシステムは、EQの評価や向上を効率的に管理するためのツールとしても活用できます。たとえば、360度評価で多面的に見ることで、EQが高いか低いかを可視化することができます。

タレントマネジメントシステムの活用方法は、こちらの記事で詳しく紹介しています。

<関連記事>【事例付き】タレントマネジメントとは?目的、システム導入や比較・活用方法

EQの高さは定着率の向上につながる

筆者も実際に部下をもつ管理職全員に対して、EQテストを実施した経験があります。実施した結果、部下からの評判がよい管理職ほどEQスコアが高いという結果が表れました。

結果をもとに一人ひとりを分析してみると、リーダーシップに長けていたり、やる気を引き出すことが上手といった特徴がある管理職がほとんどでした。この結果から、慕われている上司は部下を育てることが得意な傾向があることがわかったのです。したがって、EQが高い人材を増やしていくことは、組織の強化につながるといえます。

人事は「人材の管理」といった考えがありますが、今後は「人材の育成」が重要になるでしょう。労働人口が減少し、採用が厳しくなっている近年においては、社員のEQを高めてお互いに育てあう環境にすることも戦略のひとつでしょう。また結果的に定着率の上昇も期待できます。

まとめ

EQは感情を理解し管理する能力を測る指標です。EQが高い人は共感力や柔軟性があり、ストレス耐性も高い特徴があります。IQと異なり、EQは後天的に高めることができる能力です。具体的な方法としては、相手を傾聴することや共感すること、感情の言語化、読書などがあります。

EQを高めることでリーダーシップやチームビルディング、コミュニケーション能力が向上し、ストレス管理もしやすくすることが可能です。また、人事領域でも採用面接やパフォーマンス評価、メンタルヘルス対策、リーダー育成などにEQを活用することで、組織全体の生産性の向上が期待できます。

EQの重要性は今後さらに高まると予想され、個人と組織の成長に不可欠な要素となるでしょう。

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