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ダブルバインドは日常生活においてもよく見かける現象です。ダブルバインドに陥れば混乱を招き、日常生活においても支障をきたしかねませんが、原因を理解することで防ぐことができる可能性があります。
本記事では、ダブルバインドが生じる原因やビジネスシーンでの事例について詳しく解説していきます。
ダブルバインドとは?
ダブルバインドとは、矛盾する2つのメッセージを同時に受け取ることで、どちらの指示も受け入れられず、不審を抱いたりストレスを感じる状態です。たとえば「何かあったらすぐに相談してね」と言う上司に、いざ相談すると「それくらい自分で考えろ」と言われるなどが該当します。2つのメッセージは矛盾するため、どちらか一方に従っても不都合な結果を招く結果となり正解がないため、困惑し強いストレスを受けたり行動を制限してしまうことがあります。
ダブルバインドは対人関係や家庭、職場などさまざまな場面で起こり得る問題で、コミュニケーションの障害となるケースも少なくありません。とくに、上下関係や依存関係がある状況下では、その影響がより顕著になることがあります。
ダブルバインドの状態が長く続くと、精神状態に悪影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。
ダブルバインドの提唱者
ダブルバインドを提唱したのは、文化人類学者であり社会科学者でもあるグレゴリー・ベイトソンです。『精神分裂病の理論化に向けて』という論文の中で、ダブルバインド理論を提唱しています。
論文では、矛盾と葛藤の繰り返しでストレスが発生し、精神分裂病の発症リスクが高まると主張していますが、今の医学会では直接的な原因だとは認められていません。
しかし、この提唱によって、コミュニケーションと精神疾患の研究が進み、現代の心理療法の基礎となっています。
ダブルバインドが生じる原因
ダブルバインドが生じる原因はさまざまですが、主に次の条件が揃ったときに発生します。
- 2人以上の複数の人が関わる
- 最初のメッセージと矛盾するメッセージを伝えられる
- どちらの決断からも逃れられない状況である
- 繰り返される
ダブルバインド時の心理状態
ダブルバインドには、以下のように、否定的ダブルバインドと肯定的ダブルバインドが存在します。
- 否定的ダブルバインド
- 肯定的ダブルバインド
それぞれ、どのような心理状況なのかを見ていきましょう。
否定的ダブルバインド
通常、ダブルバインドに陥ると、矛盾による混乱がストレスを招きます。たとえば、上司から「自由に意見を言ってよい」と言われながらも、実際に意見を述べると「そんなことを言うな」と否定されるケースを考えてみましょう。
このような矛盾したメッセージを伝えられると、どう行動すべきかわからなくなります。そうすると自信喪失になったり、必要以上に相手の顔色を見るようになったりします。
結果的に、成果を出すための行動ではなく、否定されないための行動をとるようになってしまい、生産性の低下につながります。また、ダブルバインドの影響が家庭にも広がるかもしれません。
こうしたストレスが蓄積することで、組織として機能しなくなる恐れがあります。
肯定的ダブルバインド
相手に対して提示した選択肢のどちらを選んでもポジティブな結果が得られるようにするコミュニケーション手法です。
例えば家族に「今日の夕食は和食と洋食、どちらがいい?」と尋ねることは、和食と洋食のどちらかの選択肢に限定されコントロールされていますが、家族にとってはどちらを選んでも美味しい食事をとることができます。
統合失調症との関係
ダブルバインドと統合失調症の関係は、心理学者グレゴリー・ベイトソンが提唱した理論にもとづいています。ベイトソン氏は、統合失調症の原因は家庭内で矛盾するメッセージを受け取り続けることにあると唱えました。
しかし、近年の研究では、ダブルバインドは原因ではなく、結果であることがわかってきました。遺伝子や大きなストレスなど、複数の要因が相互に作用しているとされており、詳しい原因ははっきりとわかっていません。
必ずしも矛盾するメッセージを送り続けることだけが統合失調症の原因ではないとされています。しかし、ダブルバインドと統合失調症は、密接に関連していると言われているため、適切な対策が必要となるでしょう。
日常生活で見られるダブルバインドの事例
ダブルバインドは日常生活でも頻繁に見られる現象です。普段の生活の中で見られる2つの事例を解説します。
- 子育て
- 恋愛
子育て
親が子どもに対して「怒らないから正直に言いなさい」といったケースはダブルバインドの典型です。子どもが親に正直に話すと、親はそのことに対して「なんでそんなことをしたの」と怒ります。
この場合、子どもは「正直に言ったら怒らない」と信じて話したのに、結果的に怒られてしまうため、次からは正直に話すことをためらうようになるでしょう。このような矛盾したメッセージは、子どもを混乱させストレスを引き起こす原因となります。
また「自分のことは自分で決めなさい」と言いつつ、実際には細かく口を出す場合も同様です。子どもに自主性を持って欲しいなら、矛盾した叱り方をしないようにする必要があります。
恋愛
恋愛のテクニックにおいても、ダブルバインドを活用できます。たとえば、相手をデートに誘う場合です。
「今度、デートしない?」といった誘い方をすると「行くか、行かないか」の選択となり、断られる可能性が高くなります。しかし「食事にする?ドライブにする?」と誘うことで、どちらを選んだとしても「デートをする」という目的は達成しやすくなるでしょう。
このような誘い方は、相手に対して「デートをする」という前提を受け入れさせる効果があります。選択肢を限定することで、自分に有利な結果を引き出すテクニックです。このようにダブルバインドは、相手に選択の自由を与えつつも、自分の意図を実現するための戦略として使えます。
ビジネスシーンで見られるダブルバインドの事例
ビジネスシーンにおいても、ダブルバインドの現象が起こります。代表的なものは以下の2つです。
- パワーハラスメント
- 人事評価
パワーハラスメント
ダブルバインドはパワーハラスメントと判断されかねません。職場では上司が部下に「もっと自分の意見を言ってほしい」と言いながら、実際に意見を述べると「黙って従え」と叱責するケースがあります。また「早く仕事を終わらせろ」と言いつつ「ミスをするな」というケースも、ダブルバインドの一例です。
このような矛盾したメッセージによって、部下は上司の異なる要求の間で混乱し、どのように行動すべきかわからなくなるでしょう。「上司と部下」の関係においてダブルバインドがあると何をしても「怒られるのではないか」と考えて萎縮してしまい、自信や主体性がなくなっていくことが考えられます。
このような状況が頻繁に起こり、ストレス過多になるとパワーハラスメントと判断されることがあります。
人事評価
人事評価におけるダブルバインドも、ビジネスシーンでよく見られる問題のひとつです。
代表的な事例として、企業理念に「イノベーション」を掲げているにもかかわらず、評価基準が保守的で、リスクを取らない行動ばかりが高く評価される状況などがあります。こうした、評価基準と会社の理念や行動指針との一貫性がない場合は、ダブルバインドとなって従業員は混乱するでしょう。「人事評価」という点だけに焦点を当てるのではなく、組織全体としての方向性を考えて制度設計を行う必要があります。
評価者の主観が入らない仕組みを導入し、公平でバランスが取れた評価を行うことも欠かせません。こうすることで、人事評価におけるダブルバインドを排除できます。
人事担当者のためのダブルバインド対策
人事担当者は、社員がダブルバインドにかからないよう、対策を講じる必要があります。
とくに、上司と部下の関係においては注意が必要です。以下に、効果的な対策の例を5つ紹介します。
- 話すときは選択肢を与えることを心がける
- 曖昧な指示はさせないようにする
- 話すときは必ず、背景を伝えるようにする
- ポジティブなメッセージを与えるようにする
- ダブルバインドに陥っている社員に早めに声をかける
話すときは選択肢を与えることを心がける
上司が部下とコミュニケーションを取る際には、選択肢を与えることがとても重要です。選択肢があることで自分の意見を表明しやすくなり、ダブルバインドに陥るリスクが軽減されます。
たとえば、仕事を頼みたい場合「この仕事を今週中に終わらせてほしい」といった、一方的な指示は避けるべきです。
この場合「この仕事を木曜日か金曜日までにお願いできますか?」と指示させることで、部下に選択の余地を与えることが可能です。このような伝え方は部下の自主性を尊重し、より前向きな回答を促進します。
曖昧な指示はさせないようにする
曖昧な指示もダブルバインドの原因のひとつです。
たとえば「修正しておくように」ではなく「この部分を修正してほしい」というように具体的な修正箇所を伝えるように指導しましょう。
指示が曖昧な場合、自分の行動が正しいかどうかわからず、不安を感じやすくなります。迷わず行動しやすくさせるためには、明確な指示が重要です。また、優先順位なども明確に伝えると、より混乱を回避できます。
話すときは必ず、背景を伝えるようにする
指示や要求に対して、その背景を説明することもダブルバインドを防ぐ上で効果的です。何かを依頼するときは「なぜその指示が必要なのか」「どのような目的があるのか」を説明するようにしましょう。
たとえば「この報告書を金曜日までに提出してください」といった指示ではなく「来月の取締役会で使用するので、金曜日までに提出してほしい」と背景を説明するのです。背景を伝えることで、指示が一方的なものではなく「協力してほしい」と受け取られる効果もあります。
このような依頼の仕方をすると、モチベーション向上にもつながるでしょう。また、背景情報を共有することで自分の役割を理解しやすくなり、責任感も高まります。
ポジティブなメッセージを与えるようにする
ネガティブな表現や批判的な言葉は、ダブルバインドを引き起こす可能性が高くなります。たとえば「この提案は不十分です」といった否定的な表現ではなく「〇〇の部分を修正すると、もっとよくなります」といった表現にしましょう。
このように伝えると、自分の努力が認められていると感じ、前向きに改善に取り組むようになります。また、ポジティブなメッセージは、モチベーションを高めるだけでなく、自己肯定感を生む効果もあります。こうして、信頼関係が築かれれば、建設的な提案をしてくれるようになるでしょう。
ダブルバインドに陥っている社員に早めに声をかける
ダブルバインドに陥った社員は不安やストレスを感じ、生産性の低下や精神疾患につながる可能性があります。そのため、ダブルバインドの兆候に気づいたら早めに声をかけるなど、対処しましょう。
従業員が相談できる窓口を設置しておくのもよいでしょう。厚生労働省でも、職場におけるハラスメントの防止のための望ましい取り組みとして「相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」を推奨しています。
普段と異なる態度や、行動に変化が見られた場合、ダブルバインドに陥っている可能性があります。このような社員に気づいたら、まず個別に話を聞くことで直面している問題を解決するよう努めましょう。
タレントマネジメントシステムの活用
曖昧な評価基準や不適切な人員配置は、ダブルバインドの原因となります。これを防ぐには具体的な評価基準が必要です。しかし、明確な評価基準を設けていても、主観が入ってしまうことがあります。
このような場合は、タレントマネジメントシステムでデータに基づく評価を行うことで、ダブルバインドの原因となる評価に対する混乱やストレスを防ぐことが可能です。タレントマネジメントについては、こちらの記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
<関連記事>【事例付き】タレントマネジメントとは?目的、システム導入や比較・活用方法
相手をダブルバインドに陥らせないため注意すること
ダブルバインドは、ビジネスシーンにおいて深刻な問題を引き起こす可能性があります。相手をダブルバインドに陥らせないために、以下の5つの点に注意を払うことが重要です。
- 自分の言動に一貫性を持つ
- やり取りを記録に残す
- 理論的に伝える
- 風通しのよい環境にする
- ダブルバインドを知る
自分の言動に一貫性を持つ
ダブルバインドを避けるためには、自分の言動に責任を持つことが不可欠です。発言や行動に一貫性を保ち、矛盾した指示や要求を出さないよう心がけましょう。たとえば「自主性を持って行動するように」と言いながら、細かい指示を出し続けることは避けるべきです。
また、同じ状況で異なる指示を出したり、発言内容が矛盾している場合も相手は混乱してしまいます。これを避けるためには、自分の発言に責任を持ち、誤解がないように伝える注意が必要です。
やり取りを記録に残す
口頭でのコミュニケーションは、誤解や記憶違いを生みやすいため、ダブルバインドの原因となることがあります。そのため、重要な指示や情報のやり取りは、できるだけメールやチャットツール、社内システムなどを使って明確に伝えると良いでしょう。
記録に残すことで、どのような指示を出したかを確認できるため、その後に矛盾した指示を出してしまうリスクも軽減できます。また、文章でのやり取りは情報の漏れも防ぐことにもつながり、業務もスムーズです。
理論的に伝える
感情的な言葉や曖昧な表現は、ダブルバインドを引き起こしやすくなります。そのため、指示や要求を伝える際は、論理的かつ具体的に説明することが重要です。
たとえば「もっと営業するように」といった抽象的な指示ではなく「売上を10%増加させるために、新規顧客を5社獲得すること」と伝えると効果があります。また、指示の理由や目的も説明することで、指示への理解度が深まり、自主的な行動にもつながるでしょう。
風通しのよい環境にする
ダブルバインドを引き起こしている人は、自分では気づけないことが多くあります。そのため、風通しのよい環境を作ることも、ダブルバインドの発生を防ぐために重要です。風通しが悪いと、兆候に気づいていても指摘できないといったこともあります。
しかし、社員が自由に意見を述べられる環境であれば、変化に気づけばすぐに報告がされ、迅速な対処につながるでしょう。また、上司と部下が気軽に対話できる「1on1ミーティング」も効果的です。
ダブルバインドは早めに気づくことが重要なため、風通しをよくしてお互いに何でも言い合える雰囲気を作り出すことも防止対策となります。
ダブルバインドを理解する
ダブルバインドを避けるためには、ダブルバインドの概念を理解することが重要です。
概念を理解することで、当事者の立場や考え方を受け入れやすくなり、コミュニケーションも取りやすくなります。
また「ダブルバインドとは何か」が理解できていれば、その状況に陥ったときに対処しやすいでしょう。逆に、理解ができていなければ、そもそも気づくことができないかもしれません。
そのため、研修やワークショップなどを通じて、ダブルバインドについて学ぶ機会を作り、理解を深めることも重要です。
自分がダブルバインドに陥った場合の対処法
ダブルバインドに陥ると、精神的なストレスや混乱が生じやすくなります。とくに職場では、ストレスが上司や同僚との関係性に影響を及ぼす可能性もあるため、適切な対処が必要です。ここでは、自分がダブルバインドに陥った際の効果的な5つの対処法を解説します。
- 相手の言葉を分析する
- 自分を責めない
- 誰かに相談する
- 自分の気持ちを大切にする
- 他の選択肢がないか探す
相手の言葉を分析する
ダブルバインドに陥った際、まず重要なのは冷静に状況を分析することです。相手が矛盾したメッセージを送っている場合、その根底にある意図や背景を考えてみましょう。
たとえば「もっと自主的に行動してほしい」と言われる一方で「勝手な行動は控えてほしい」と言われることがあります。このようなときは、それぞれの指示がどのような状況で出されたのかを分析してみるのです。
もしかすると、メッセージの中に、具体的な行動指針や期待されていることが含まれているかもしれません。このように、分析することで矛盾を解消しやすくなり、適切な対応策を見つけるヒントとなります。
自分を責めない
ダブルバインドに陥ると「自分に問題があるのではないか」と思うことがあります。しかし、自分を責める必要はありません。ダブルバインドは相手からの矛盾したメッセージによって引き起こされるものであり、必ずしも自分に非があるわけではありません。
自分を責めるのではなく「こんなこともある」くらいの気持ちが大切です。誰しも経験があることなので、あまり気にする必要はありません。ダブルバインドは、多くの人が経験する現象であり、自分だけが特別な状況に置かれているわけではないのです。
誰かに相談する
ダブルバインドに陥った際は、一人で抱え込まずに誰かに相談することがとても大切です。
信頼できる同僚や上司、あるいは友人や家族に状況を説明し、客観的な意見を聞きましょう。第三者のアドバイスを聞くことで、解決策や新たな視点を見出せる可能性があります。
また、人事担当者や産業カウンセラーに相談するのも効果的です。最近では匿名で相談できるオンラインカウンセリングサービスも増えています。誰かに相談することで心理的な負担が軽減され、より冷静に状況に対処できるようになるでしょう。
自分の気持ちを大切にする
ダブルバインドに陥った場合、自分の気持ちを大切にすることが大切です。相手の矛盾したメッセージによりストレスや混乱を感じることがありますが「自分は悪くない」と割り切ることで、自己肯定感を保てます。
「できない自分が悪い」や「指示には従わなければならない」と強く思いすぎると、ますますストレスが蓄積されていくでしょう。あまり「自分が悪い」と思い込まず、リラックスできる時間を持つことや、趣味に没頭することで心のバランスを保つことがポイントです。
自分の気持ちを大切にすることで、ダブルバインドの影響を軽減します。
他の選択肢がないか探す
ダブルバインドの状況に直面した場合、他の選択肢がないかを探してみることも効果的です。たとえば、上司からの矛盾した指示に対して、自分なりに最善の方法を考えてみましょう。
また、同僚や他の上司に相談して、異なる視点からのアドバイスを受けることも有効です。ダブルバインドによって、二者択一を迫られているように感じさせますが、実際には他の選択肢が存在する可能性があります。
このように、他の選択肢を探すことで、影響を最小限に抑えることが可能です。まずは、現状を客観的に分析してみましょう。
ビジネスシーンにおける効果的ダブルバインドの活用
ダブルバインドは、ビジネスシーンで上手に活用すれば、交渉やマーケティングにおいて有利に働くことがあります。ここでは、ダブルバインドを効果的に活用する方法について2つ解説します。
- 交渉術
- 商品セールスコピー
交渉術
交渉の場面では、肯定的ダブルバインドを活用することで相手に選択肢を与えつつ、どちらの選択肢も自分にとって有利な結果をもたらすようにすることが可能です。
たとえば、価格交渉の際に「Aプランなら3,000円のお値引きですが、Bプランなら5,000円お値引きできます」と提案をします。あるいは「このままでもお得ですが、1ランク上のプランなら、さらに多くの特典があります」と提案をすることで、相手にどちらかの選択に集中させ、断るという選択をとらせないために使われます。
このように、どちらを選ばれても、交渉者にとって有利な結果となるように選択肢を設定することがポイントとなります。
商品セールスコピー
マーケティングにおいても、ダブルバインドは効果的なアプローチとなります。商品セールスコピーで活用する場合は「この商品を購入して得られるメリット」と「購入しないことで失うもの」を対比させる方法が効果的です。
たとえば「このサプリを試して健康になるか、今のままの生活を続けるか」といったコピーにすると、顧客はどちらのメリットを重視するかの選択をすることになります。これにより、顧客は商品の購入を前提として考えるようになり、購買意欲が高まるのです。
さらに「今なら、この価格で提供できるのは今だけです。早めのご購入をおすすめします」といった時間制限を加えることで、急いで決断させる効果もあります。
まとめ
ダブルバインドは、矛盾するメッセージによって引き起こされる混乱状態であり、日常生活やビジネスシーンで広く見られる現象です。この現象をうまく活用して、営業やマーケティングにおいて、収益につなげるための有効な手法として利用できます。
しかし、否定的ダブルバインドによる影響として統合失調症との関連性も指摘されており、長引けばこころの健康に影響を与える可能性があります。ビジネスにおいては、パワーハラスメントになったり人事評価に影響が出たりすることもあるため、適切な対策が求められます。
ダブルバインドを活用する際は、特性を理解して活用しましょう。
混乱を招かない人事評価にはHRMOSタレントマネジメントがおすすめ
ダブルバインドによる混乱で社員がストレスをためない人事評価を行うためには、タレントマネジメントシステムの活用が有効です。タレントマネジメントシステムは過去の評価結果のデータを蓄積し、変化を見ることができます。そのため、上司が変わったり異動になった場合でも、データに基づく評価が可能です。導入することで、曖昧な評価や矛盾したフィードバックがなくなり、社員の心理的な負担を軽減し、評価結果に対して納得感を高めることができます。結果として社員のエンゲージメントの向上につながります。