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日々の業務のなかでは、予期せぬ事態やトラブルへの対応が必要になる場面や、困難な状況を乗り越えなければならない場面があります。
このような状況で求められる対応力として、近年注目されているのが「レジリエンス」です。ビジネスの世界では、さまざまな事態に対処できる対応力が、企業にとっても個人にとっても欠かせません。
本記事では、レジリエンスとは何か、意味や高めるための具体的な方法を紹介します。
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レジリエンスとは
レジリエンス(resilience)とは「回復力」「復元力」「耐久力」などを意味する言葉です。
もともとは物理学で「外からの力を跳ね返して元に戻る力」を意味する言葉ですが、現在では心理学やビジネスの世界でも使われています。レジリエンスの対義語は脆弱性(vulnerability)であり、こちらは「もろさ」や「傷つきやすさ」を意味します。
心理学の世界では「精神的回復力」を意味する言葉として用いられるレジリエンスは「ストレスを感じたり困難な状況に陥ったりした際に乗り越えて回復する力」を意味します。また、ビジネスの世界では「困難な状況や予期せぬ事態に対応して乗り越える力」を表す言葉としても用いられています。
ストレスや困難への対応が求められる場面が多い現代社会においては、レジリエンスを高めることが重要です。
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なぜ今レジリエンスが注目されているのか
時代の流れとともに社会や労働環境が変化するなか、企業にも個人にも、さまざまな状況に対応する力が求められています。
ビジネスにおいてレジリエンスを高めて活用するためには、まず、その重要性や注目されている背景を理解することが大切です。
ストレス社会への対応
現代社会はストレス社会とも呼ばれ、社会経済状況や職場環境、対人関係などでストレスを感じることが少なくありません。
現代社会で生きていくうえでは、ストレスにうまく対応できる力が必要不可欠です。
レジリエンスが高いと、予期せぬ事態や困難な状況にも柔軟に適応し、乗り越えることで自身の成長にもつながります。
また、企業経営の観点からは、従業員がストレスへの対処法を身に付ければ、健康経営やメンタルヘルス対策を推進するうえで役立つため、レジリエンスが注目されています。
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不確実性の高まる社会環境
物価高や為替変動、感染症の流行や天災、世界各地での紛争の発生など、現代社会では予測困難なさまざまな事態が起きており、不確実性が高まっている状況です。
社会情勢や事業環境が目まぐるしく変化する現代では、これまでには想定されなかったような事態が、今後も起こり得ます。
将来予測が難しい社会環境下では、予想外の事態にも柔軟に対応できる力が企業にも個人にも必要であり、対応して乗り越える力であるレジリエンスが注目されています。
組織の持続的成長と個人の成功
ビジネスの世界で企業が事業を継続して成長していくためには、個々の状況に対応して乗り越えるとともに、時代の変化にも柔軟に対応していく必要があります。
企業の事業活動や成長を支えているのは従業員であり、企業組織の持続的成長には、従業員個人の成功や成長が欠かせません。
従業員一人一人のレジリエンスが高ければ、困難な状況でも乗り越えることができ、個人の成功・成長が組織としての事業継続や持続的成長につながります。
レジリエンスが高い人の特徴と低い場合のリスク
レジリエンスが高い人には共通する特徴があり、反対に低い場合には特有の課題が見られます。
レジリエンスが高い人・低い人それぞれの特徴を理解して参考にすることが、レジリエンス向上に取り組む際に役立ちます。
レジリエンスが高い人の特徴
レジリエンスが高い人に見られる主な特徴は次の3つです。
・柔軟で多面的な思考力 ・周囲との信頼関係構築力 ・逆境を成長の機会と捉える挑戦心 |
以下でそれぞれ解説します。
柔軟で多面的な思考力
レジリエンスが高い人は、困難な状況でも冷静に対応し、さまざまな角度から解決策や対処法を導き出せる力を備えています。
一面的には対応が難しそうに見える事態が起きたとしても、諦めず前向きに考えて解決策を検討し、柔軟で多面的な思考力で対応できる点が特徴です。
レジリエンスが高い人は、予期せぬ突発的な事態が発生しても慌てず、冷静に対処して思考を巡らせることができます。
周囲との信頼関係構築力
レジリエンスが高い人は多面的な考え方をするため、周囲の意見も取り入れながら、複数の視点から検討して事態に対処できます。
自分の意見だけに固執するのではなく、周囲の意見も取り入れる柔軟性があり、周りの人と信頼関係を構築できる点が特徴です。
困難な状況に陥った場合、自分だけでは解決できず、周囲の協力が必要になることも少なくありません。周囲の協力を得ながら課題に立ち向かえる点も、レジリエンスが高い人の特徴です。そのため、コミュニケーション能力にも優れている傾向があります。
逆境を成長の機会と捉える挑戦心
困難な状況を乗り切るためには、そのような状況に陥っても諦めることなく前向きに捉える姿勢や、逆境を成長の機会と捉える挑戦心が重要です。
困難な状況に陥っても事態に対処できる「レジリエンスが高い人」には、ポジティブな姿勢や積極性が見られます。
ネガティブな思考にとらわれず、状況を冷静に分析して自分にできることを見極める力がある点も特徴です。困難な状況から学びを得て、自身の成長につなげる姿勢が備わっています。
レジリエンスが低いと起こりうる問題
レジリエンスが低いと次のような問題が起きる可能性があります。
・ストレスによるパフォーマンス低下 ・人間関係の悪化 ・新しいことへの挑戦回避 |
以下でそれぞれ解説します。
ストレスによるパフォーマンス低下
レジリエンスが低い人は、自分を否定的に捉えてしまう傾向があります。
困難な状況に陥ってストレスを感じると、事態に対処できないことで自分を責めたり無力感を抱いたりして、失敗を恐れて積極的な行動を起こせず、パフォーマンスが低下することがあります。
ストレスを感じると感情に影響されやすくなる点も見られます。
感情に振り回されると冷静な思考や行動ができなくなり、冷静であればできたはずの適切な判断ができず、自身の能力を十分に発揮できなくなります。
人間関係の悪化
レジリエンスが低いと多面的な考え方ができず、周囲の意見を取り入れる姿勢に欠ける傾向にあります。
自身が正しいと信じる考え方に固執してしまい、周りの人と意見が対立して、人間関係が悪化することも少なくありません。
周囲とのコミュニケーションや協力が苦手で、問題を一人で抱え込んでしまう傾向もあります。
一人で抱え込む結果、負担が増えてパフォーマンスが低下し、視野が狭くなって事態への適切な対処や解決がより難しくなります。
新しいことへの挑戦回避
レジリエンスが低い人は、ストレスを感じるとマイナス面に目を向けたり自己否定的になったりする傾向にあります。
その結果、ストレスを感じるような困難な状況を最初から回避しがちです。
新しいことに挑戦すれば、経験を得てスキルが身に付き、自身の成長につながります。しかし、レジリエンスが低いと問題を回避しがちになってしまい、挑戦しないためにいつまでも成長することができません。
挑戦を回避して問題を先送りすると対応が後手に回り、結果的に解決までに多くの時間や労力を要することもあります。
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レジリエンスを構成する6つの要素
レジリエンスを高めるために欠かせないのが、次の6つの要素です。
「自己認識」「自制心」「現実的楽観性」「精神的柔軟性」「自己効力感」「関係構築力」がそれにあたります。
レジリエンスを考えるうえで重要になるこの6つの要素は、レジリエンス研究者カレン・ライビッチ博士が提唱した「レジリエンス・コンピテンシー」です。
自己認識
自己認識とは、自分の思考や行動、価値観、長所・短所などを認識して、それに基づいて適切に行動する能力です。
困難な状況に直面しても、焦ったり感情に流されたりすることなく適切に対処するためには、自分の置かれた状況や取るべき行動を冷静に見極める力が求められます。
自己認識の力があれば、自身の特徴や傾向を理解でき、さまざまな事態に自身がどのように対処すべきか客観的に判断できるため、困難を乗り越えることができます。
自制心
自制心とは、自分の感情や行動をコントロールする能力です。
セルフコントロールとも呼ばれ、目標達成のために感情や行動を柔軟に変化させられる能力ともいえます。
困難を乗り越えなければいけない場面では、慌ててパニックになったり感情任せに行動したりせず、感情をコントロールし、冷静な思考や行動を維持することが求められます。ストレス下でも、マイナス思考に引きずられずに前向きな姿勢を保つことが、自制心の大切な役割です。
現実的楽観性
現実的楽観性とは、事態の打開が難しそうな場合でも、困難な状況を乗り越えられる可能性や対処法などを現実的な判断に基づいて見つけ出し、ポジティブな面に着目して「事態を打開できる」と前向きに捉えることを指します。
根拠なしに「何とかなるだろう」と考える楽観性とは違い、現実的楽観性は物事を的確・客観的に捉えて現実的な判断に基づく楽観性です。
予期せぬ事態に陥っても前向きな姿勢を維持できれば、自身が成長できる機会と捉えて、困難の克服のために積極的に行動できます。
精神的柔軟性
精神的柔軟性とは、突発的な事態や困難な出来事が起きた場合でも、物事を多角的に捉えて冷静に対処できる柔軟さのことです。
問題が起きた際、焦ってしまって視野が狭くなると、事態の表面的な部分しか見ずに判断して本質を見誤ったり、ひとつの考えに固執して適切な対処ができなくなる場合があります。
しかし、精神的柔軟性があれば、自分の置かれた状況の全体像や本質を捉え、困難な状況を乗り越えるための解決策を導き出せます。
自己効力感
自己効力感とは「自分ならやればできる」と自信を持つことです。
「自分の強みを発揮すれば困難な状況でも乗り越えられる」という信念を持つことで、困難な状況でも立ち向かう勇気を出すことができ、逆境に立ち向かうための第一歩を踏み出せます。
自己効力感があれば、失敗やリスクを恐れたりネガティブな思考に陥ったりしてパフォーマンスが低下する事態を回避でき、自分の強みや能力を最大限発揮できます。
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関係構築力
関係構築力とは、周囲の人と信頼関係を構築して維持する能力です。
周囲と良好な関係を構築していれば、困難な状況に陥っても協力を得られやすくなり、対処しやすくなります。
特にビジネスの世界では、職場の同僚などチームや組織で行動したりトラブルへ対処したりするケースが少なくなく、他者と良好な関係を構築・維持しておくことが欠かせません。
業務を円滑に進め、予期せぬ事態が起きても迅速に対応するうえで、関係構築力は必須の要素です。
なお、6つの要素以外に、レジリエンスの重要な要素として「遺伝要因」と「環境要因」も挙げられます。
レジリエンスを構成する要素のうち、上述の6つの要素は、後述するトレーニング方法などによって向上できます。
しかし「遺伝要因」と「環境要因」の2つに関しては、親からの遺伝や、幼少期の家庭環境などの外部要因は、本人の力では変えられない部分です。
そのためレジリエンスの構成要素には自らの努力で高められるものもあれば、変えにくい要素も含まれます。
この違いを理解したうえで、自分に合った方法でレジリエンスを育むことが大切です。
レジリエンスを高める具体的な方法
レジリエンスを高める方法には多様なアプローチがあります。ここでは、個人と企業それぞれの視点から具体的な取り組み方を紹介します。
個人でできるレジリエンス向上トレーニング
レジリエンスを高めるために個人でできる方法として次の6つが挙げられます。
・自己分析と自己理解の深化 ・マインドセットを変える ・ABCDE理論の活用 ・身体的レジリエンスの向上 ・自己効力感を高める ・ソーシャルサポートの活用 |
以下でそれぞれ解説します。
自己分析と自己理解の深化
自己分析を徹底的に行って自分自身への理解を深めることは、レジリエンスの構成要素のひとつである自己認識の能力を高めることにつながります。
困難な状況に陥った際、能力を最大限発揮して乗り越えるためには、自分の長所・短所や特徴、考え方の癖などを理解しておくことが重要です。
自己分析の方法には、自分史の作成、モチベーショングラフやマインドマップの活用などにより、自身の傾向を整理・可視化する方法や、診断ツールを使って質問に答えてフィードバックを受ける方法、家族や友人にヒアリングをして他己分析の形で自己を知る方法などが挙げられます。
マインドセットを変える
マインドセットとは、過去の経験や価値観に基づく考え方や思考のパターンのことです。
ネガティブな思考パターンを改善し、前向きな考え方やポジティブな思考を身に付けることで、レジリエンスの構成要素のひとつである現実的楽観性を高めることができます。
マインドセットを変えるには、心理テストなどを活用して自身の思考パターンや癖を理解するとともに、物事をポジティブに捉える癖を普段から意識して習慣化することが重要です。
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ABCDE理論の活用
ABCDE理論とは、AからEまでの5段階に分けて整理・分析する手法で、自身の思考パターンを可視化してコントロールする方法を学べる理論です。
「A=Activating Event(事実)」「B=Belief(考え方・受け止め方・価値観)」「C=Consequence(結果・感情や行動などの反応)」「D=Dispute(反論)」「E=Effect(影響・効果)」の頭文字を取ってABCDE理論と呼ばれています。
過去に起きた出来事(A)は変えられませんが、受け止め方(B)や感情(C)は変えることが可能です。
ネガティブな考え方(B)をして負の感情(C)を抱いた場合には自問自答(D)することで、ポジティブな思考や多面的な考え方への改善という効果(E)を得られます。
身体的レジリエンスの向上
身体的レジリエンスとは、身体的な強さによってストレスに対応し、回復する能力のことです。
バランスの取れた食事や適度な運動、十分な睡眠など、健康的な生活を送ることが身体的な回復力を高めることにつながります。
安定した生活習慣によって身体をよい状態にたもてば神経系統も安定し、ストレスに過剰反応したり感情的になったりすることを防げる可能性が高まります。
現在の生活スタイルを確認し、食事・運動・睡眠などで課題点を見つけ、改善に取り組むことがレジリエンス向上につながります。
自己効力感を高める
自己効力感を高めて「やればできる」という前向きな姿勢を身に付けるためには、成功体験を積み重ねることが重要です。
実際に成功した経験を積むだけでなく、過去の成功体験を定期的に振り返ることも重要であり、振り返りを通じて成長を実感することで自信を深めることができます。
成功体験を積む際は、最初から大きな目標を立てると、達成できずに挫折して自己効力感がかえって下がるリスクもあります。
目標設定は無理のない内容で設定して、小さな成功体験を積み重ねて自信を付けるようにしてもよいでしょう。
ソーシャル・サポートの活用
ソーシャル・サポートとは、家族や友人、職場の同僚など、社会における人とのつながりのなかでもたらされる精神的・物質的な支援です。
困難な状況に直面しても、周囲の存在が精神的な支えとなり、実際に協力を得られるようにするためには、普段から周囲の人と良好な関係を築いておくことが重要です。
周囲と積極的にコミュニケーションを取り、相手の意見にも耳を傾けたり感謝の言葉を伝えたりして相互理解を深める方法や、新たなコミュニティに所属して、いざというときに頼れる人や信頼できる人を増やしておく方法などがあります。
組織で取り組むレジリエンス向上策
組織として従業員のレジリエンスを高めるために有効な方法として、次の4つが挙げられます。
・従業員の特性把握と個別アプローチ ・レジリエンス研修の実施 ・ポジティブな企業文化の醸成 ・心理的安全性の高い職場 |
以下では、個々の従業員のレジリエンスを高めるために、経営者や人事担当者が実践できる具体的な方法を解説します。
従業員の特性把握と個別アプローチ
組織としてのレジリエンスを高めるためには、組織の構成員である従業員のレジリエンスを高める必要がありますが、考え方や価値観、ストレス耐性などは従業員ごとにさまざまです。
レジリエンス向上には、従業員一人一人の特性を理解し、それに応じた個別アプローチが欠かせません。
従業員の特徴や保有する経験・スキルなどを把握する際、人材管理の手法であるタレントマネジメントの活用が有効です。
タレントマネジメントとは、単に人材を管理するだけでなく、個々の従業員の成長と活躍を支援し、持続的なパフォーマンスを引き出すことを目的としたもので、データの収集・分析、特定した課題への解決策の検討・実行まで行います。
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レジリエンス研修の実施
レジリエンスを高めるために必要なことは何か、従業員が自分で考えるだけでは気付けないことでも、研修を通じて人から教えてもらえば、気付きや学びを得て成長できる場合があります。
レジリエンス研修は、従業員の気づきや成長を促す効果的な手段といえます。
社内研修を実施すれば、従業員が知っておくべきことや身に付けるべきノウハウをまとめて伝えることができ、効率的にスキルアップを図れます。
レジリエンスが高い人の特徴や多面的な思考法の身に付け方、自己効力感を高める方法など、レジリエンスを高めるうえでおさえるべきポイントは多岐にわたりますが、社内研修の時間や場を設けて伝えることで、従業員のレジリエンス向上を効率的に行えます。
ポジティブな企業文化の醸成
従業員が前向きに業務に取り組み、失敗を恐れず新たなことにチャレンジしてレジリエンスを高めるためには、職場に前向きな雰囲気で、働きやすい職場環境であることが前提となります。
たとえば、従業員同士の信頼関係や協力体制がなく責任の押し付け合いになっている場合や、ミスをした社員を上司が激しく叱責することが常態化している場合、ミスをすることを恐れてしまい、従業員は新たなことへの挑戦ができません。
企業文化の刷新・醸成は簡単ではありませんが、マネジメント研修を導入して部下への適切な接し方を教えるなど、新しい制度を導入することで企業文化をよりよいものに改善し、前向きな雰囲気や失敗・ミスがあっても互いにフォローしあう企業文化を醸成できます。
心理的安全性の高い職場
心理的安全性とは、従業員が周囲のメンバーに対して気兼ねなく発言でき、安心して自然体でいられる状態を指します。
心理的安全性が高い職場では、意見が言いやすく円滑なコミュニケーションが取れる、困ったときでもチームメンバーに助けを求めやすいなどの特徴があります。
社内の風通しが悪く、従業員同士の意思疎通がうまくいっていない場合は、情報交換や互いの状況の確認・共有を行う場として会議を設定したり、上司が率先して意見を出すことで、部下も発言しやすい職場の雰囲気を作ったりする方法などがあります。
メンター制度を導入し、豊富な知識と職業経験を持つ先輩社員が、後輩社員に対して個別サポートを行ってもよいでしょう。
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レジリエンスと関連する心理学的概念
レジリエンスを向上させる際には、レジリエンスと関連する心理学的概念の知識が役立ちます。以下では3つの心理学的概念を紹介します。
マインドフルネスとの関係
レジリエンスを高める方法としてマインドフルネスを活用できます。
マインドフルネスとは、今起きていることに集中している意識の状態のことです。マインドフルネスの代表的な実践方法として瞑想が挙げられます。
マインドフルネス瞑想により雑念が払われ、集中力が高まると、不安やストレスに影響されにくくなり、目の前の状況を冷静に把握できるようになります。
心に浮かぶさまざまな感情をうまくコントロールし、感情に流されず思考を巡らせる力が身につけば、自己分析を落ち着いて行えるようになり、自己認識の力も養われます。
また、困難な状況でも事態を冷静に分析できるようになると、自制心や精神的柔軟性が高まるため、マインドフルネスはレジリエンス向上策として有効な手段です。
ポジティブ心理学からのアプローチ
ポジティブ心理学とは、幸福を感じてよりよく生きるために何ができるのか、科学的に研究する心理学の分野です。
ポジティブ心理学の視点を取り入れることで、前向きな思考習慣が身につけば、仕事を前向きに取り組む姿勢が身に付き、困難な状況やストレスを感じる状況になっても乗り越えようとする意識を持つことができます。
ポジティブ心理学の研究に基づく研修プログラムを実施することで、従業員は自身の強みや長所に着目し、それを活かす思考や行動ができるようになります。
これにより、パフォーマンスの向上が期待され、組織全体の成長にもつながります。
認知行動療法の応用
認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy)とは、現実の受け取り方やものの見方である認知に働きかけて、心のストレスを軽くしていく治療法です。
認知行動療法を通じて、ストレスとの向き合い方を学ぶことで、ストレスを感じるような困難な状況に陥っても対処しやすくなり、レジリエンスが高まります。
物事の捉え方を変えることで、ポジティブな面に目を向けられるようになり、前向きに取り組む姿勢が育まれます。
自身の長所や強みを認識できるようになると自己効力感が高まる点でも、認知行動療法の活用はレジリエンス向上策として有効な手段です。
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変化の時代を生き抜くレジリエンス経営
レジリエンス経営とは、企業が事業活動を行うなかで困難な状況に直面した場合でも、柔軟に対応できる経営手法のことです。
変化の激しい時代において、予期せぬ事態や想定外の事象が起きても乗り越える力が企業には必要であり、さまざまな状況に対応できるようにレジリエンス向上が欠かせません。
企業が組織としてのレジリエンスを高めるためには、企業を構成している個々の従業員のレジリエンスを向上させる必要があります。レジリエンス研修の実施やポジティブな企業文化の醸成、心理的安全性の高い職場環境づくりなどを日頃から意識して取り組むことが大切です。
不確実性が高まるなか、企業には予期せぬ事態にも柔軟に対応し、乗り越える力が求められています。レジリエンスを意識した経営を日頃から実践することが重要です。
まとめ
「回復力」「復元力」「耐久力」などを意味するレジリエンスは、ストレス社会や不確実性の高まる社会環境への対応の必要性から、近年注目を集めています。レジリエンスとは困難な状況に立ち向かって乗り越える力であり、変化の激しい現代社会において、企業・個人いずれにとっても重要な要素です。
レジリエンスが高まると、柔軟で多角的な思考が身につき、前向きな姿勢で物事に取り組めるようになります。その結果、困難な状況でも冷静に対応し、乗り越えられる力が育まれます。
企業の経営者や人事担当者が組織のレジリエンス向上に取り組む場合は、ポジティブな企業文化の醸成や、心理的安全性の高い職場環境づくりを意識することが重要です。レジリエンス研修など、個々の従業員のレジリエンスを高める取り組みを行うとよいでしょう。
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