プラシーボ効果とは? ビジネスにおける活用例や注意点、要因を簡単に解説

プラシーボ効果とは? ビジネスにおける活用例や注意点、要因を簡単に解説

プラシーボ効果は、本来は治験(臨床試験)に関連する現象ですが、ビジネスや日常生活でも応用が可能です。

人事担当者が従業員のモチベーションアップを図る際や、上司が部下の育成を考える際にも、活用することができます。

本記事では、プラシーボ効果とは何か、起きる要因や活用方法、活用する際の注意点や関連する心理現象を紹介します。

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プラシーボ効果の定義や要因

まずはプラシーボ効果の概要から見ていきます。以下では、プラシーボ効果の定義や日常生活で見られる具体例、生じる要因を解説します。

プラシーボ効果とは

プラシーボ効果とは、薬として有効な成分を含まない偽薬によって症状の改善などが見られる効果のことです。

プラシーボ(placebo)は英語で「偽薬」を意味し、「プラシーボ効果」は「偽薬効果」とも呼ばれます。

プラシーボ効果が問題になるのは、医薬品の治験を実施する場合です。

実際には薬としての有効成分が含まれていない偽薬であっても、「この薬は効果がある」という思い込みが患者にあると症状が改善されることがあります。

治験に参加した人に見られた効果が薬の成分によるものなのか、プラシーボ効果によるものなのか、判別できないと薬の有効性や安全性を判断できません。

そのため、新薬を開発する際の治験では、プラシーボ効果による影響の有無を確認する必要があります。

日常生活で見られる具体例

プラシーボ効果は日常生活でも見られます。例えば、子どもがケガをしたときに親が「痛いの痛いの飛んでいけ〜」というケースです。

この場合、痛みが本当に空に飛んでいくわけではありませんが、「痛みがどこかに飛んでいった」と子どもが思い込むことで、痛みを感じなくなることがあります。

また、何かを食べたり飲んだりする際、「この飲みものや食べものは健康によさそう」と思って摂取すると、体調がよくなることがあります。

例えば、体調が悪くて栄養ドリンクやサプリメントを摂取する場合に、「身体にいい効果がありそう」と思い込んで摂取すると体調がよくなることがあります。実際には症状に効く成分が含まれていないのに改善が見られた場合、プラシーボ効果によるものと考えられます。

プラシーボ効果が生じる要因

プラシーボ効果が生じるメカニズムは、完全には解明されていません。人間の身体が持つ自然治癒力や期待感、暗示などが複合的に関係していると考えられています。

プラシーボ効果が生じる主な要因とされているのは、期待感などの心理的な要因です。例えば、患者自身が「症状が改善する」と強く期待して治療に前向きに取り組める状態だと、脳や免疫細胞の活動が活発になるケースが見られます。

脳内で分泌される物質が変わってストレスを感じにくくなったり、免疫細胞の活動が活発になったりして、治癒・改善が促進されるケースがあります。

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プラシーボ効果と関連する心理現象

心理現象にはさまざまなものがあり、その中にはプラシーボ効果と関連しているものもあります。以下では、プラシーボ効果と関連する心理現象を3つ紹介します。

確証バイアス

確証バイアスとは、自分の仮説や考えが正しいことを証明する証拠や情報ばかりを探し、それに反する情報を無視または軽視する傾向のことです。

プラシーボ効果と確証バイアスはいずれも「思い込み」が発端で起こる点が共通しており、前向きに作用すれば自己肯定感の向上などが期待できます。

ただし、確証バイアスは先入観や固定観念が強い人に見られる傾向があります。自分に都合のよい情報だけに目を向けて他人の意見を無視する場合や、偏った考え方や差別的な言動につながることもあります。

ビジネスにおいて確証バイアスが働くと、偏った考え方によって状況を正しく認識できず、判断を誤ることがあり、注意が必要です。

関連記事:バイアスとは?意味と使い方、種類を一覧でわかりやすく解説

バーナム効果

バーナム効果とは、誰にでも当てはまるような曖昧な記述にもかかわらず、自分のことを言っていると錯覚してしまう心理現象です。

例えば、占いで「あなたには自分でもまだ気付いていない能力があります。それに目を向けてみましょう」といわれると、誰にでも該当するような曖昧な表現にもかかわらず、まるで自分にだけ当てはまることのように感じるケースです。

プラシーボ効果もバーナム効果も、思い込みや期待が要因となっている点は同じです。

ただし、両者は効果の部分で違いがあります。バーナム効果は、錯覚を起こすという心理的な効果を指すのに対して、プラシーボ効果は、思い込みという心理的な影響・効果だけでなく、治癒・改善など実際の結果が生じます。

関連記事:バーナム効果とは?具体例やビジネスシーンにおける活用方法を含めてわかりやすく解説

ノセボ効果

ノセボ効果とは、薬として有効な成分を含まない偽薬を服用したにもかかわらず、副作用を心配する気持ちが強いと、副作用の症状が現れる効果のことです。

ノセボ効果は、プラシーボ効果とは逆の心理的メカニズムによって生じます。

プラシーボ効果は、「症状が改善するだろう」という前向きな気持ちになれる思い込みや期待感が要因で生じます。一方でノセボ効果は、「副作用が起きるかもしれない」という後ろ向きな気持ちになる思い込みや、治療に対する不安感・ストレスなどが要因で生じます。

思い込みの仕方次第で、プラシーボ効果とノセボ効果のどちらも起きる可能性があり、心理的な要因が身体に与える影響が大きいことがわかります。

ビジネスにおけるプラシーボ効果の活用方法の例

プラシーボ効果はビジネスにおいてもさまざまな場面で活用できます。以下では、主な活用方法の例を紹介します。

ブランディングへの活用

広告・宣伝活動によって自社商品に対する顧客のイメージを向上させれば、顧客が「この商品は効き目がありそう」と信じることで、プラシーボ効果が引き起こされる可能性があります。

プラシーボ効果によってよりよい結果が生じれば、顧客はその商品の効能が素晴らしいと感じ、自社商品の評価や価値が向上します。このようにプラシーボ効果は、商品価値向上や他社商品との差別化を図るブランディングへの活用が可能です。

例えば、テレビCMを流して商品使用前と後を比較し、商品の効用を視覚的に顧客に伝える方法などが有効です。商品を使ったときの効果を顧客がイメージしやすくなり、「効果がありそう」という思い込みが強くなれば、プラシーボ効果が起きる可能性が高まります。

従業員のモチベーション向上(ピグマリオン効果)

前向きな思い込みが身体的な変化を引き起こすプラシーボ効果は、人材育成の場でも効果的に活用できます。

例えば、上司が部下に仕事を任せる際、単に仕事の内容を伝えるだけでなく、期待や信頼を寄せていることも伝える方法です。

「自分は期待されている」と部下が思い込めば、モチベーションが上がって仕事のパフォーマンスも上がる可能性があります。

期待されている人のほうが、そうでない人よりも成果を出す傾向にあることは、教育心理学でも示されています。この現象は「ピグマリオン効果」として知られています。

ビジネスや教育の現場では、業務内容や学習内容を単に伝達するのではなく、相手に対して期待をかけながら伝えるほうが成果が上がるとされています。

自己効力感への応用

自己効力感とは、自分にはある行動をうまくやり遂げる力があると感じる自信のことです。ビジネスの世界では前向きな姿勢やチャレンジ精神が重要であり、自己効力感が高い人のほうが、積極的に業務に取り組めて成果を出せる傾向にあります。

プラシーボ効果は、ビジネスの世界で重要な自己効力感を高めるうえでも応用できます。

「この仕事は自分ならできる」と信じることで、パフォーマンスが向上するだけでなく、ポジティブな思考が身に付いて自己効力感も向上します。仕事に積極的に取り組めるようになり、成果を生み出すことにつながるでしょう。

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プラシーボ効果を活用する際の注意点

プラシーボ効果はビジネスで活用できるなどメリットがある反面、活用時に際して注意すべき点もあります。以下では、主な注意点を紹介します。

効きづらい状況や個人差がある

薬や商品の効果を患者や顧客に伝えたとしても、すべての患者や顧客に同じようにプラシーボ効果が起きるとは限りません。

患者や顧客が「効果がありそうだ」とプラスに捉えるかどうかは、状況によって左右されます。

例えば、患者と医師の間に信頼関係があれば、患者は医師の話を信じて「処方された薬は効果がありそうだ」と捉える可能性が高くなります。

逆に、信頼関係がない場合には、患者は薬を処方されても効果を信じず、プラシーボ効果が生まれない可能性が得られにくくなるおそれがあります。

誇張表現を避ける

プラシーボ効果は思い込みによって生じる効果であっても、相手に信じさせる目的で過度な表現を用いるのは避けるべきです。

誇張しすぎるともはや嘘の情報となってしまい、誇大広告や虚偽の説明と見なされるなど法的リスクが生じます。

また、表現が過剰になると、かえって不信感を与えてしまい、「効果がありそう」などの思い込みが生まれず、プラシーボ効果が起きなくなる可能性もあります。

プラシーボ効果を期待して活用する際には、表現や内容に配慮することが重要です。

マイナスに働くケース

思い込みは必ずプラスに働くとは限りません。マイナスに働いてしまうこともあります。例えば、「ジェネリック医薬品は安い分、高い医薬品に比べて効果がなさそう」と患者が思っている場合です。

本来は薬としての効能がある場合でも、「この薬は効かない」という思い込みによってマイナスのプラシーボ効果が生じると、薬が効きにくくなる可能性があります。

このような場合は、マイナスのプラシーボ効果が生じないように、むしろ先入観を持たないほうが望ましいこともあります。

まとめ

薬として有効な成分を含まない偽薬でも、思い込みによって症状の改善などが見られるプラシーボ効果は、ビジネスや日常生活にも応用が可能です。ブランディングや従業員のモチベーションを向上する際などに応用が可能です。

プラシーボ効果が生じるメカニズムは、完全には解明されていませんが、自然治癒力や期待感、暗示などが複合的に関係していると考えられています。

ただし、プラシーボ効果には個人差があり、状況によっては効きにくいこともあります。

思い込みが逆効果をもたらし、むしろ期待した結果が生じなくなる場合もあるので注意が必要です。プラシーボ効果を活用する際は、そのときどきの状況を踏まえて使うようにしてください。


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