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ジネスで定めた目標を達成するために、KPIを設定したいと考えていませんか。KPIを定めることで目標達成には何が必要かを把握できるので、目標達成までのプロセスを組みなおせます。
この記事では、KPIとは何の略か、なぜビジネス上で重要視されているかを解説します。KPIの設定方法や部署別の具体例も紹介するので、企業目標を達成できずにお悩みの方は参考にしてください。
KPIとは?
KPIとはKey Performance Indicatorの略で、重要業績評価指標とも呼ばれています。売上を2倍にする・新規顧客数を10%増やすなどの目標を定める企業も多いでしょう。最終目標までのプロセスにおける中間指標となるのがKPIです。
KPIを設定する際には、具体的な数値目標を設定することで、現状の評価や最終目標までに何が足りないかなどを分析することができます。例えば、営業の現場では売上を上げるためのKPIとして以下のような項目が設定されます。
- 新規リード獲得件数
- 見込み客との商談件数
- 見積り提示件数
他社との商談を行い、見積りを提示することで新規顧客を獲得できる可能性が高まります。顧客数の増加は売上アップにつながるため、3つの要素は営業における重要なKPIだと言えるでしょう。
KPIを設定するときは、具体的な数値を含めて定量的な内容にすることが大切です。定量的とは、項目を数値化することです。KPI設定後は、数値化されたデータを定期的にまとめ、客観的な視点から評価する定量評価も行いましょう。
・入社手続きの効率化
・1on1 の質の向上
・従業員情報の一元管理
・組織課題の可視化
KPIの重要性・ビジネスにもたらす効果
KPIは企業において重要視されていますが、なぜ必要なのかわからないと疑問を持つ人も多いでしょう。ここでは、KPIの設定がビジネスにもたらす効果を解説します。
業務の最適化
KPIを設定することにより、企業全体の業務を最適化することが可能です。前述したように、KPIを設定すれば現状の把握と目標までに達成すべきことを明確にできます。今後どのように動けばいいかが具体的にわかるため、社員一人一人がすべきことを理解できるでしょう。
目標達成に必要な業務を把握した後は、全体を見直すことが大切です。無駄を省き、注力すべき業務のみ取り入れた経営戦略を立てれば、業務全体を最適化できます。
社員の成長につながる
KPIの設定は社員の早期育成につながります。通常業務でも社員の育成は可能ですが、KPIの設定から導き出された業務を実践すれば、より効率的に能力を高められるでしょう。
KPIは定期的な見直しが必要です。見直しの際に数字でKPIの達成度を確認できるため、いい点と悪い点の両方を洗い出しやすくなります。いい点を踏まえて悪い点を改善していくことで、社員一人一人がKPI達成への経験を積めます。KPIの設定と定期的な見直しを重ねれば、企業の成長や売上アップに貢献してくれる人材を育成できるでしょう。
PDCAサイクルに基づいた検証ができる
KPIを設定することにより、PDCAサイクルに基づいた検証がしやすくなります。PDCAサイクルとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(検証)・Action(改善)のプロセスを経て、業務を改善する方法です。
KPIを設定し、必要な方法を計画することで、実行から改善までのプロセスをスムーズに進めることができます。サイクルを繰り返すことで、目標達成にはどの方法が最適かを把握できるでしょう。
類似した評価指標と違い
KPI以外にも、企業成長に欠かせない大切な評価指標がいくつかあります。ここでは、類似した評価指標との違いをわかりやすく解説します。
KGI(重要目標達成指標)
KGIとはKey Goal Indicatorの略で、最終目標となる指標です。最終目標を達成するための中間指標であるKPIとは親子関係にあり、いずれも具体的に定めることが大切です。
例えば、1年以内に自社のオンラインショップでの売上を伸ばしたいと考えたとします。その場合のKGIには「自社オンラインショップでの売上を1年以内に2倍にする」と設定します。
KGIにあわせて、KPIには売上を向上させる方策を設定します。サイト訪問者数や注文率など、KGI達成に向けた内容を設定しましょう。
設定する際に意識しておきたいのが、期限を定めることと達成可能な目標かを見極めることです。KGIに達成できない高い目標を掲げると、中間指標であるKPIの達成も困難になりかねません。社員側から不満が出る恐れもあるため、KGIを決める際は達成可能な数値を指標にすることが大切です。
OKR(Objectives and Key Results)
OKRとは、高い目標(Objectives)と目標を達成するための指標(Key Results)です。KGIやKPIとの違いは、設定する内容のレベルです。確実に達成できる目標を設定するべきKGIに対し、OKRは目標達成率60~70%が理想的とされています。社員が高い目標に向かって業務に専念することで、予想以上の結果を得られるでしょう。
目標は数値化できない定性的なもので構いませんが、指標は数値化できる定量的な内容を設定することがポイントです。例として、営業部署におけるOKRを見てみましょう。
- Objectives:市場シェアを拡大する
- Key Results:新規顧客を20%増加・リピート購入率を25%向上・顧客満足度スコアを90以上に保つ
Key Resultsは数値で成果を測定できるので、Objectivesへの到達度も把握できます。到達度が100%の場合は目標レベルが低すぎる恐れがあるため、定期測定後に内容を改めることがおすすめです。
OKRはグーグル合同会社や株式会社メルカリなどの有名企業でも採用されている手法です。高い目標を掲げることで成功・失敗のどちらも経験できるため、社員育成や組織活性化など、さまざまなメリットを得られるでしょう。
KFS(Key Factors for Success)
KFSはKey Factors for Successの略で、事業やプロジェクトを成功させるための成功要因を意味する言葉です。最終目標を達成するためのプロセスにおける中間指標のKPIとは、大きく意味が異なります。
KGIとKPIを定めることによって企業は成長していきますが、必ずしも成功するとは限りません。ときには失敗することもあるため、類似企業のKFSを参考にKGIとKPIを定めることもおすすめです。
例えば、ベンチャー企業のKFSには以下のような項目があります。
- 明確な事業コンセプト
- 他社との差別化を図る商品開発
- 新卒・中途人材を積極的に採用
類似企業の成功要因を参考にすることで、これまでになかったKGIやKPIが生まれるかもしれません。
業界別・部門別のKPI設定例
設定するKPIの項目は、業界や部門によって大きく異なります。ここでは、6つの業界・部門別に具体的な設定例を解説します。
営業で重視されるKPIの具体例
営業で重視されるKPIの設定項目は以下の通りです。
- 営業案件数
- 商談数
- 見込み顧客数
- 新規顧客数
- 注文の受注数
- 顧客単価
上記を採用することで、営業コストの可視化・受注率の向上などの効果が期待できます。手当たり次第に営業をしても、営業費用が高くなるだけで実を結ばない可能性もあります。受注が見込める顧客や獲得した新規顧客に関連する企業に営業を掛けることで、効率的に受注率を高められるでしょう。
マーケティングで重視されるKPIの具体例
マーケティングで重視されるKPIの設定項目は以下の通りです。
- インプレッション数
- クリック率
- クリック数
- 問い合わせ数
- ROAS(広告の費用対効果)
上記を採用することで、ユーザーの関心・オペレーターの人件費の可視化・商品販売にかかる総費用を明確にできます。
インプレッション数が多くても、クリック率・クリック数・問い合わせ数が少ない広告はユーザーの興味が薄い内容だと判断できます。問い合わせ数を増やすために広告を見直すなどの対策を実行できるでしょう。
財務で重視されるKPIの具体例
財務で重視されるKPIの設定項目は以下の通りです。
- 総利益率
- 営業利益率
- 営業キャッシュフロー
- 運転資本比率
総利益率や営業利益率が高いほど商品やサービスを効率よく販売していると判断できるため、営業内容や単価などを検討する重要なKPIだといえます。営業キャッシュフローは営業によって生まれる現金の利益を表すものです。業務で使える現金額を把握するだけでなく、顧客の未払いトラブルも明確にできます。
運転資本比率は、企業の経営状況を表す大切な指標です。可視化することで、財務上に問題があるかを把握できるため、定期計測を欠かさず行いましょう。
クリエイターで重視されるKPIの具体例
クリエイターで重視されるKPIの設定項目は以下の通りです。
- エンゲージメント率
- リーチ数
- クリック率
SNSでのクリエイティブにおいて3つの項目は、ユーザーにとって魅力的で有益なクリエイティブであったかを表す指標になります。ユーザーが関心を持つクリエイティブであることで、シェア数やいいね数が増加しエンゲージメント率が高まります。そしてリーチ数が増加し商品やサービスの露出や認知拡大につながるでしょう。
その一方で、クリック率が低い場合はクリエイティブの改善が必要になります。コピーの見直しなどを行いクリックしたくなるように品質を高めるなどの工夫を施しましょう。
人事で重視されるKPIの具体例
人事で重視されるKPIの設定項目は以下の通りです。
- 応募者数
- 新卒採用者数
- 採用コスト
- 離職率
- 教育研修の受講者数
すべての項目をKPIに設定し、数値化した情報を公開することで、多くの人が企業の内情を把握できます。可視化されたデータはわかりやすく、どのような内部状況なのかを想像できるため、顧客や投資家から評価される可能性も高まるでしょう。
また、人事状況の公開は就活生にとっても就職先を選ぶ上で大きな判断材料となりますとなります。幅広い世代が勤務している・退職率が低い・福利厚生が充実しているなどの特徴を持つ企業は魅力的に映ります。KPIの公開によって、優秀な人材が集まりやすくなるかもしれません。
間接部門で重視されるKPIの具体例
そのほか、経理部・労務部などの企業売上に直接関与しない間接部門では、どのようなKPIが重視されているのでしょうか。ここでは、間接部門である労務部のKPIを紹介します。
- 残業時間の短縮
- 社内手続き時間の短縮
- ミス発生率の削減
- 備品コスト削減
- 問い合わせ対応時間
社員の労働環境を整える業務を行う労務部では、上記のようなKPIが重視されています。無理なく働ける環境を整えるために残業時間を短縮することで、社員の負担を軽減できます。負担が軽くなることで業務に集中しやすくなるため、ミス発生率の軽減効果も期待できるでしょう。
また、社会保険や年末調整の手続き時間を短縮することも大切です。手続きの効率化で無駄がなくなり、より業務に集中できるでしょう。
企業のKPI活用の具体例
KPIを活用した企業の成功例はいくつもあります。ここでは、2つの企業が実践したKPIの具体例を紹介しましょう。
日本航空
航空会社の日本航空株式会社では、KGI・KPIの設定によって経営状況を大きく立て直すことに成功しています。2010年度に多額の負債を抱えて経営破綻したものの、驚くほどの速さで事業再生を行い、顧客満足度を向上させました。
日本航空はKGIに顧客満足度を高めること、KPIには定時到着率の向上を設定しています。飛行機の遅延は搭乗者にとって大きな痛手です。出発時間が遅れることで到着後のスケジュールが狂ってしまうため、定時到着率の向上は顧客満足度に大きく影響するでしょう。
KPIを達成するために、日本航空では情報収集やスタッフ全員での機内清掃などの業務を改善しています。業務改善の結果、米国FlightStats社から世界一の定時到着率という称号を得ることに成功しました。
サイゼリヤ
大手イタリアンレストランの株式会社サイゼリヤは、業界内屈指の生産性を実現しています。目標達成のために実施しているのが、清掃時間の短縮や調理作業の単純化です。業務負担を減らすことでスタッフがキッチン・フロアのどちらでも働けるようになり、店内の状況に応じて柔軟に対応できます。
柔軟な勤務環境は、サイゼリヤが設定するKPI「人時生産性」を大きく向上させました。一般的な人時生産性は3,000円/人時です。しかし、サイゼリヤの2011~2013年の平均人時生産性は7,174円/人時と、一般的な平均額をはるかに上回っています。
人時生産性を向上させるとともに、現場におけるさまざまな無駄を削減することで、競争力を強化しています。2013年には顧客満足度調査のコストパフォーマンス部門で第1位に選ばれているため、KPIの活用によって幅広い層から支持されていることがわかります。
KPIの設定方法・手順
企業成長のためにKPIを設定したいけれど、手順がわからないとお困りの方も多いでしょう。ここでは、KPIの設定方法を詳しく解説します。
SMARTの法則を活用したKPI設定
KPIはSMARTの法則に則って設定しましょう。SMARTの法則の内容は以下の通りです。
- Specific(具体的)
- Measurable(測定可能)
- Achievable(達成可能)
- Related(経営への関連性)
- Time-bound(期限を定める)
KPIを考える際は、5つの要素をすべて満たしているかを確認しましょう。まずはKPIの具体的な案を考える必要があります。「2年以内に利益を20%アップする」というKGIを元に設定した2つのKPIの例を見てみましょう。
- A:6ヶ月以内に面談数とサンプル提出件数を10%向上させる
- B:多くの企業と面談し、サンプルを受け取ってもらう
どちらも経営に関連する達成可能な内容ではあるものの、後者(B)には「具体的・測定可能・期限を定める」の3つの要素が足りていません。KPIの達成基準を明確にするためにも、期限や向上させる数値を明確にすることが大切です。
KPIの設定後は、定期的に業績評価を測定したうえで改善していかなければなりません。そのため、KPIの内容は測定可能な指標を表したものにしましょう。
経営に関連する内容で、達成可能な目標を定めることも重要です。KPIは確実に達成できる内容の設定が望ましいとされています。OKRのように高い目標を設定し、組織の活性化を図ることが目的ではないため、達成できるかどうかの判断も慎重に行いましょう。
KPIツリーの作成と活用法
KPIを設定する際は、KPIツリーを作成することがおすすめです。KPIツリーとは、KGIを頂点とし、KGI達成に向けた課題やKPIを木の形状のように設定するモデルです。KPIツリーは以下の流れで作成します。
- KGIの設定
- KGIを達成するために解決したい課題の設定
- 課題別のKPIを設定
- KPIを達成するために解決したい課題の設定
- KPIのためのKPIを設定
頂点となるKGIの設定から始めることで、目標達成に向けた課題を見つけやすくなります。KPIは上層部・部署・現場別に設定できるため、それぞれが達成すべき中間指標を定めましょう。
KPIを効果的に設定するポイント
KPIの設定をする際は、効果的な内容にすることがおすすめです。具体的で目標達成を見込める指標を定めれば、中間指標だけでなく、最終的な目標の達成も目指せるでしょう。ここでは、KPIを効果的に設定するために覚えておきたいポイントを解説します。
KGIを明確にしたうえで有効な方法を考案する
KGIを明確にしてからKPIを定めることで、有効な方法を考案しやすくなります。KGIを達成するには、最終目標と関連するKPIを設定しなければなりません。関連性の薄い内容だと最終目標にたどり着けなくなるため、因果関係のある内容を設定しましょう。
KGIを設定した後は、何をすれば目標を達成できるかを話し合うことが大切です。具体的な候補案をいくつか出せば、より因果関係のある内容が見つかるため、KPIの設定がスムーズに進むでしょう。
KPI計測後に注力すべき方法を判断する
KPIを設定後の定期測定で出された数値から、注力すべき方法を特定していくことも大切です。KPI設定当初は、いくつかの案を設定してもかまいません。しかし、すべてのKPIを達成することは難しいため、定期測定で導き出される数値をもとに注力する方法を限定する必要があります。
KGI達成に必要なKPIかどうかを判断するためのロジックを、ある一定の方式に落とし込むことがおすすめです。方式に該当するKPIがわかったら、定期測定でわかった数値を定量評価しましょう。
定量評価によって必要だと判断されたKPIは、KGI達成に必要な指標だと認められるため、達成に向けて注力することがおすすめです。
達成できる範囲の目標を定める
設定するKPIが高すぎる、または低すぎても効果を得られないため、妥当な水準の内容を設定しましょう。前述したように、KGIやKPIは確実に達成できる指標を定めることが望ましいとされています。達成しにくい高度な内容を定めると、企業の成長効果を見込めません。
また、KPIが低すぎると顧客からの信用を失う恐れがあります。KGIやKPIを公表する企業も多いですが、定める企業目標の水準が低いと、顧客が離れてしまいます。場合によっては事業の有効性を疑われるので、企業別に妥当だといえる水準のKPIを定めなければなりません。
失敗してしまうKPIとは
最終目標を達成するためにKPIを設定しても、内容によっては悪い結果が出てしまいます。失敗なくKGIを達成するには、KPIの失敗例を見ておくことが大切です。ここでは、失敗してしまうKPIの例について紹介します。
KPIの設定ミス
KPIの設定を誤ると、赤字につながる恐れがあります。通信販売会社の株式会社北の達人コーポレーションの例を見てみましょう。
北の達人コーポレーションは、創業10年目に「CPO12000円以内で集客人数を最大化する」ことをKPIに設定しました。CPOはCost Per Orderの略で、1人を集客するためにかかったコストを意味します。担当者はKPI達成に向けた方法の実行・改善を繰り返し、集客人数を増やすことに成功しています。
しかし、集客人数が増えたにもかかわらず、売上は一向に増加しませんでした。その理由は、集客経路別にLTVが異なったからです。LTVはLife Time Valueの略で、1人の顧客が取引開始から終了までどれくらいの利益をもたらしてくれるかを表す数値です。
LTVの高い場所で人を集めれば多くの利益が望めるものの、担当者は集客率が高く、LTVの低い場所で方法を実行していました。その結果、集客人数が増えても1人の顧客がもたらす利益が少なくなり、集客費用が赤字になってしまったのです。
それ以降、北の達人コーポレーションでは、集客経路別のLTVを算出するようになりました。さらに集客経路にあわせたKPIを設定しなおすことで、1年でチーム業績を13倍にするほどの偉業を達成しています。
前述したように、KPIの内容は具体的に設定しなければなりません。些細なミスから大きな赤字につながる恐れもあるため、定期計測の際は黒字になっているか、KGI達成に近づいているかも確認しておきましょう。
KPIの設定数が多い
KPIを細分化し、設定数が多くなりすぎると失敗につながる恐れがあります。カルビー株式会社の例を見てみましょう。
カルビー株式会社は、3,000にもおよぶ数のKPIを設定し、業績評価の対象にもしていました。対象にしたことをきっかけに、悪評価を懸念した社員が故意にデータを変え、評価をアップさせるケースもあったようです。その結果、業績評価が上がっても売上は向上せず、いい結果は得られませんでした。
この結果を受け、カルビー株式会社は業績評価制度を廃止しました。廃止とともに「高品質な原材料を仕入れて工場の稼働率を上げる」などのシンプルな経営思考にも切り替えています。経営思考の切り替えにより、3%まで落ちていた企業利益率を約11%台まで回復させることに成功しました。
KPIの設定数が多くなると、部署や現場のスタッフが困惑する可能性が高くなります。KPIを重視するあまり、KGIを見失いやすくなってしまうので、数を絞ることが大切です。定期計測で注力すべきKPIを特定し、少しずつ数を減らせば最終目標に近づいていけるでしょう。
KPI変化への対策が用意されていない
企業方針を大きく変えるためのKPIを設定する際、現場への対策がされていないことで失敗するケースもあります。成長を見込んだ変革には、これまでにはないKPIの設定も必要です。ただし、上層部で必要だと判断したKPIだからといって、現場にもスムーズに受け入れられるとは限りません。
これまでにない新しいKPIは、現場の人間に強い抵抗感を与えます。内容によっては現場の人間に大きなデメリットとなるため、変化への対策を考えておくことが大切です。上層部の社員が現場スタッフに新たなKPIを説明する、考えられるデメリットへの対応策を提示するなど、社員が納得する策を考案しましょう。
KPI管理のベストプラクティス
KPIを設定した後、どのように管理していけばいいかわからないとお悩みの方も多いでしょう。ここでは、KPI設定後の対応と管理におすすめのツールを紹介します。
KPIの定期的な見直しと更新
KPIを達成し、最終目標に到達するためには定期的な見直しと内容の更新が欠かせません。最終目標に到達するために設定したKPIでも、場合によっては効果を感じられないからです。
KPIへのプロセスを完了した時点で、指標を数値化してデータにまとめましょう。データを出す際は、KPI達成までのプロセス全体を検証することがおすすめです。数値を見ることで、KPIの設定によってどのような変化が生じたかを把握できます。
見直しや更新の頻度は、設定したKPIの内容に応じて決めましょう。到達スピードが速い内容なら1カ月に1回、ある程度の時間をかけないと到達が難しい内容なら半年に1回というように、KPIに適した期間を設定することが大切です。
データ可視化ツールの活用
KPI達成までのデータを可視化するツールを使えば、目標達成率を高められるという調査結果も出ています。最終目標にたどり着けるかどうかを判断するには、KPI達成までのプロセスを可視化する必要があります。しかし、可視化がうまくいかなければKPIの見直しもできないので、最終目標への到達も難しくなるでしょう。
プロセスを可視化する表計算ソフトやKPIダッシュボードを使えば、手間なくプロセスの検証や達成率を確認できます。内容に応じて見直しや更新も行えるため、便利なツールを活用することがおすすめです。
タレントマネジメントシステムの活用
KPIの可視化ツールと一緒に活用してほしいのが、タレントマネジメントシステムです。タレントマネジメントシステムとは、以下のデータを一元管理するシステムをいいます。
- 社員の育成状況
- 社員の研修
- 社員の配置場所
- 社員の個別評価
上記のデータを一元管理することで、社員別に最適な場所に配置できます。能力を発揮できる場所に配属すれば、企業全体の生産性向上・組織の活性化を実現できるでしょう。
また、タレントマネジメントシステムはKPI達成にも役立ちます。社員の能力別に達成できるKPIを設定すれば、効率よくプロセスを踏めます。KPI達成はもちろん、定期測定後の見直しを経て最終目標へと進めるでしょう。
【事例付き】タレントマネジメントとは? 目的、システム導入や比較・活用方法
まとめ
KPIとは、KGI達成までの中間指標を表すものです。設定後に定期計測を行えば、現状の把握や改善すべき内容などを見つけられます。見直しと改善を繰り返すことで、効率よく最終目標に到達できるでしょう。
KPIを達成するには、適切な内容を設定する必要があります。誤った内容を設定すると、プロセスにおける効果が出ず、KGIの達成も難しくなります。また、正しいKPIを設定しても数値を可視化できなければ内容を改善しにくいため、データ可視化ツールを活用することがおすすめです。
従業員のスキルを見える化
KPI設定からKGI達成までをスムーズに目指すなら、社員1人1人のデータを一元管理できるシステムの利用がおすすめです。社員別のスキルを数値で可視化すれば、フラットな評価による最適な人材配置が可能です。能力を発揮できる部署で、KPI達成に向けた方策を実行できるでしょう。
KPIの達成率が低い・社員の能力が把握できず配属先に悩んでいるという方は、HRMOSタレントマネジメントシステムをご利用ください。