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仕事をする際は協調性が必要だといわれます。協調性は、単に仲良くするだけでなく、組織の生産性や社員の満足度を高める重要な要素です。周囲の人と協力し共通の目標に向かって働くことで、個人と組織の成功につながります。
この記事では、協調性の意味をわかりやすく解説します。また、協調性がある人にはどのような長所があるのか、協調性を高めるための具体的な手法についても深掘りします。
協調性とは?
協調性とは、異なる立場や意見をもつ人と協力し、共通の目標を達成するために行動できる能力のことです。自分の考えを押し付けず、相手の意見や感情を尊重しながら、共に目標を達成しようとする姿勢を意味します。ポイントは「自分の意見をしっかりともっている」ことです。
近年ではリモートワークを採用する企業が増えてきました。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大が落ち着き対面の重要性が高まったことで、オフィスでの勤務を重要視する企業も増えています。オフィス勤務においてはリモートワークのとき以上に協調性が求められます。
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仕事において協調性が求められる理由
協調性は、仕事を円滑に進めるために欠かせない要素です。とくに、チームでの連携が求められる環境では、お互いに協力し合うことでスムーズに進行します。仕事において協調性が求められる理由として、以下が挙げられます。
仕事をスムーズに進めるため
協調性があることで、チームメンバー同士の意思疎通が円滑になり、仕事をスムーズに進められます。例えば、プロジェクトは複数の人が関与するため、メンバー同士の協力が重要です。
お互いに助け合い、業務の分担やスケジュール調整がスムーズになれば、プロジェクト全体の進行が円滑になります。また、問題が発生した際にも、協調性の高い人が多ければ、迅速かつ適切な対応がしやすくなります。
心理面で安心させるため
協調性は職場環境にも影響します。協調性が高い人が多い職場では、自分の考えを否定されることが少ないため、意見やアイデアを出しやすいのが特徴です。積極的に意見を出し合える雰囲気ができれば、社内での議論が活発になります。
「否定されるかもしれない」といった不安が少なく、失敗を恐れずチャレンジできるため、モチベーションが向上します。また、協調性をもつことで誤解や対立が減少して生産性が高まり、社員間に信頼関係が生まれます。結果として、さらなる協力体制の強化につながるのです。
チームの育成のため
協調性は、チームの育成にも大きく貢献します。例えば、上司が協調性のある人物なら部下は安心して質問や相談ができ、スキルや知識の向上につながります。その結果、チーム全体の士気が向上するのです。リーダーに協調性があれば、成長しやすい環境をつくり出せるため、人材が育ちやすくなります。
逆に、上司の協調性が低ければ思ったことを口にしづらいため、個人の成長も期待しにくくなり、モチベーションも低下するでしょう。このように、チームの育成においても協調性は必須の能力だといえます。
変化に対応するため
変化の激しいビジネスの世界では、柔軟な対応が求められます。協調性をもつことで、新しい取り組みや課題に対して柔軟に対応できるでしょう。例えば、市場の変化により方向性を変える必要がある場合は、組織全体で協力して新しい方法を模索する必要があります。
このような状況になった場合、協調性の高いメンバーが多いチームであれば、積極的に意見を出し合うようになるでしょう。さらに、協調性の高い人は周囲の意見や考えに耳を傾ける能力があるため、具体的な方向性を決定しやすくなります。
一体感を強化するため
協調性が求められる理由として「組織の一体感の強化」も大きな要素です。協調性が高い人が多い職場は、風通しがよく、モチベーションや満足度が高い傾向があります。
満足感が高いと、全員で同じ目標に向かっていく企業文化が浸透していくのです。結果として、一体感が生まれ強固な組織になります。また、満足度が高いと離職率の低下にもつながるでしょう。さらに定着率のアップにより生産性が向上し、組織の持続的な発展が期待できます。
協調性がある人はどういう特徴をもっているか
協調性がある人には、いくつかの共通した特徴があります。
代表的な特徴を5つ見ていきましょう。
- 相手の立場に立てる
- 周囲へのフォローができる
- コミュニケーション能力が高い
- 問題解決に積極的
- 柔軟な考え方ができる
相手の立場に立てる
協調性のある人は、常に相手の立場で物事を考えます。そのため、自分の主張ばかりを押し付けることはありません。相手の感情や意見を尊重し、バランスをとったコミュニケーションが得意です。こうした姿勢は、相手との信頼関係を築くうえで欠かせません。
また、相手の視点に立つことで、最適な解決策を見つけやすくなります。例えば、職場で意見の対立が起きた場合でも、協調性のある人は冷静に相手の意見を聞き入れます。そのため、妥協点を模索して解決しようとします。
周囲へのフォローができる
協調性のある人は、周囲の人々へのフォローを欠かしません。例えば、困っている同僚やチームメンバーを見かけると、適切なアドバイスを行いフォローしようとします。協調性のある人は単に力を貸すだけでなく、相手が成長できるように助言するのも得意です。
周囲へのフォローができる人は、職場全体の士気を高めチーム全体のパフォーマンス向上に貢献できます。また、こうした姿勢はマネジメントにもつながり、将来的にリーダーとしての能力を発揮する場面でも役立つでしょう。
コミュニケーション能力が高い
協調性がある人は、コミュニケーション能力が高いことも特徴のひとつです。相手に合わせたコミュニケーションを心掛けているため、自分の考えを適切に伝えるだけでなく、相手の意見や考えをしっかりと受け止めます。
コミュニケーション能力が高ければ、誤解や摩擦がなくスムーズな意思疎通が可能です。また、チームワークが強化され、仕事の効率が向上するメリットもあります。とくに、プロジェクトの進行や問題解決の場面で大いに役立つでしょう。
問題解決に積極的
問題解決に対して積極的な姿勢をもっているのも、協調性がある人の大きな特徴です。
困難な状況やトラブルが発生した際にも前向きに取り組み、解決策を見つけ出そうとします。
また、一人で抱え込まずチームメンバーに意見を求め、全員で協力して解決するための方法を考えるのが上手です。このような姿勢は、職場での信頼関係を強化し、結束力の強化につながります。また、問題解決の議論を通じて、チーム全体のスキルや知識の向上にもなるでしょう。
柔軟な考え方ができる
協調性がある人は、環境の変化に適応しやすい特徴があります。柔軟性があり、自分の意見を主張しつつ周囲の意見にも耳を傾ける性格です。また、固定観念にとらわれず、新しいアイデアを受け入れることにも抵抗がありません。
異なる意見や価値観を受け入れ、円滑なコミュニケーションを行うのも得意です。そのため、他のメンバーとの作業もスムーズに進められます。このような考え方ができる人は、新しいプロジェクトの立ち上げなど、組織が成長していく場面で大きな役割を果たします。
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協調性がない人はどういう特徴をもっているか
協調性があるかどうか分からないときは、協調性がない人の特徴から判断するのもひとつの方法です。協調性がない人は、自己中心的な行動や態度が目立ち、周囲とのコミュニケーションが不足しがちです。そのため、組織にとって障害となることもあります。
協調性がない人の特徴は、以下の5つです。
- 我が強い
- 共感力がない
- 自分のことしか考えない
- 他人の話を聞かない
- プライドが高い
我が強い
協調性がない人は、自分の意見を最優先し、他人の意見を軽視する傾向があります。例えば、会議で自分の意見を押し通そうとし、他のメンバーの意見を取り入れないなどです。
このような態度は、チーム内での対立を引き起こし、業務に支障をきたす可能性があります。
また、自己主張が強すぎる人がいることで他のメンバーが意見を言いづらくなる環境がつくり出されます。結果として、チーム全体のモチベーションが低下しかねません。
共感力がない
協調性がない人は、相手の感情や立場を理解する能力が乏しい傾向があります。共感力の欠如により、他人の気持ちに対して無関心であったり、適切な対応ができなかったりする可能性があります。例えば、困っているのに気づいていても見て見ぬふりをする、相手の意見を頭ごなしに否定するなどです。このような態度は、職場の人間関係や信頼関係を悪化させる原因となります。
したがって、共感力がない人はスムーズに仕事を進めることは難しいでしょう。
自分のことしか考えない
協調性がない人は、自分の利益や都合を最優先に考える傾向があります。チームや組織全体の目標よりも自分の利益を優先するため、目標達成に対する意識も薄いです。また、周囲との調和を乱すことが多いのも特徴です。
例えば、プロジェクトを進行するなかで自分の担当部分だけを完了し、他の担当者の工程が遅れていたとします。その場合も、知らぬ顔をするなどが挙げられます。このような自己中心的な行動は、チーム全体のモチベーションが下がるため、成果を出すことは難しいでしょう。
他人の話を聞かない
協調性がない人は、他人の話に耳を傾けることが苦手です。自分の意見を述べることだけに集中し、他人の意見を聞かないため建設的な議論ができません。一例として、会議で他のメンバーが意見を述べている最中に、割り込んで自分の意見を主張するなどがあります。
このような態度は、チーム全体のコミュニケーションをとりづらくする原因になり得ます。議論の場では、自分と異なる意見をしっかりと聞くことでアイデアや解決策が生まれるケースが多いです。
プライドが高い
協調性がない人は、自分の考えや意見が常に正しいと思っており、他人の意見を「聞く価値がない」と感じる人もいます。このような傾向の人は自分に自信があり、他人に頼らずに自分で判断して行動することが多いのも特徴です。
プライドが高い人は、他人の意見やアドバイスを受け入れず、自分の失敗や間違いを認めない傾向があります。結果的に職場で孤立してしまい、メンタルに影響が出ることもあるでしょう。
協調性のある人の長所
協調性のある人は多くの長所があり、組織にとって非常に価値のある存在です。以下に、協調性のある人の代表的な長所をまとめます。
- 仕事が早い
- 洞察力がある
- 指示出しがうまい
- 感情を表に出さない
- 他人の意見を否定しない
協調性のある人の短所
協調性がある人は、周囲に合わせることが得意な一方で、裏目にでる場合があります。以下のような例です。
- 本音を言えない
- 決断力に欠ける
- 八方美人だと思われる
- 受け身だと捉えられる
- 周りの意見に流されやすい
協調性を高めるための人材育成
企業が発展していくためには、協調性のある人材を育てることが不可欠です。以下に、協調性が高まる人材育成の方法を3つご紹介します。
- チームビルディング研修
- チームワークを高めるゲーム
- 適切な人事評価
チームビルディング研修
チームビルディング研修は、協調性を高めるための代表的な人事施策です。具体的には、参加者がグループで協力しながら課題解決に取り組みます。例えば、ゲームやスポーツを通じて、チームワークやコミュニケーションの重要性を学ぶ研修です。
また、合宿での共同生活を通じて参加者同士の連帯感を深める研修も、多く取り入れられています。取り組みを通じて、お互いの信頼関係や絆が深まり、日常業務でもスムーズに協力できるようになるのがメリットです。とくに、新入社員研修に向いています。
チームワークを高めるゲーム
チームワークを高めるゲームも、楽しみながら協調性を育む研修のひとつです。とくに、お互いに協力しなければならない謎解きや、シミュレーションゲームなどはコミュニケーション力を促進する効果があります。
これらのゲームを通して、チームワークや傾聴力などを身につけることが可能です。また、ゲーム後に振り返りを行います。学んだことを仕事にどのように生かすかを考えることで、実践的なスキルとして定着するメリットもあります。
適切な人事評価
協調性を高めるためには、適切な人事評価が欠かせません。正しく評価することで、モチベーションが高くなります。協調性を評価するには、個人の業績だけでなく、チームへの貢献度や協力的な態度を評価基準に含めることが重要です。
また、フィードバックの際に具体的な改善点を伝えることで、自分の行動を見直しやすくなります。さらに、適切な評価基準を策定したら、全員に対して評価項目を明示することも重要です。
面接において協調性を確認する方法
面接の段階で、協調性があるかどうかを確認することも重要です。協調性のある人材を見極めるためには、いくつかの具体的な方法があります。採用面接で協調性を確認するための5つの方法をご紹介します。
- チームワークに関する質問をする
- 意見の異なるメンバーへの対処方法を質問する
- 「報連相」(報告、連絡、相談)に関する質問をする
- グループ面談
- 適性検査
チームワークに関する質問をする
チームワークに関する質問をすれば、候補者の協調性がわかります。ポイントは、回答しやすいように「協調性」を「チームワーク」と言い換えて質問することです。例えば「チームに関するエピソードを教えてください」と質問してみましょう。
この質問への回答で「どのように考えて行動したのか」や「チームに対する考え方」がわかります。回答から協調性が読み取れなかった場合は、さらに深掘りする質問をしてみるのも効果的です。
意見の異なるメンバーへの対処方法を質問する
意見の異なるメンバーへの対処方法を質問することも、候補者の協調性を評価するための効果的な方法です。例えば「意見が対立した場合、どのように対処しますか」と質問してみるとよいでしょう。
この回答から、妥協点を探そうとする傾向があるか、また他人の意見も聞いたり間違いを認めたりできるかがわかります。相手の主張を理解して自分の主張ができる人や、妥協案で解決しようとする人は協調性があると判断できるでしょう。
「報連相」(報告、連絡、相談)に関する質問をする
「報連相で心掛けていることは何ですか」と質問することでも協調性を判断できます。この質問を通じて、コミュニケーションをとり、チームとの協力ができているかを知ることが可能です。
例えば、報告の頻度や方法をしっかりと答えられるか、報告のタイミングは適切かなどが判断できます。また、報連相はチームワークや協調性に直結する要素のため、責任感や積極性なども見極められるでしょう。
グループ面談
グループ面談は、候補者の協調性を実際の状況で判断するための有効な方法です。候補者同士で会話をするなかで、どのような行動をとるかを観察しましょう。例えば、他人が話しているのを真剣に聞いているか、自分の主張ばかりしていないかなどがわかります。
聞く側に配慮して、他人の考えを尊重しながら自分の意見も主張する姿勢を見せる人は、協調性があるといえるでしょう。このように、グループ面談は自然な形で協調性を評価できます。また、やり取りを通じて、性格や行動パターンも把握が可能です。
適性検査
面接だけでは、内面的な部分や性格までは判断がつきません。また、面接官の主観が含まれることも多くあります。そのため、客観的な判断が必要なときは適性検査を行うのが有効です。
適性検査を実施すれば、表面的には見えない内面的な部分を数値で可視化できます。そのため、客観的に協調性を評価できるのが特徴です。適性検査には「SPI3」や「クレペリン検査」などいくつかの種類があります。検査方法や所要時間を考えて、自社にあった検査を選ぶとよいでしょう。
タレントマネジメントシステムの活用
協調性のある人材を確保するためには、タレントマネジメントシステムを活用するとよいでしょう。タレントマネジメントシステムは、組織が人材の採用や育成、評価などの人材管理を効果的に行うためのシステムです。評価においては人事評価シートや人材育成方針で協調性を重視したり、人事配置を決定したりできるメリットがあります。
タレントマネジメントシステムを利用すれば、組織に対する貢献度や成長度合いなどの客観的な判断が可能です。導入することで、これまでの評価では判断できなかった潜在的な一面を発見できるため、リーダー人材の育成や選定に活用できます。
タレントマネジメントについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
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まとめ
協調性は仕事をスムーズに進めるために不可欠な要素であり、チームワークや変化への対応力を高めます。協調性のある人材の育成には、チームビルディング研修やチームワークを高めるゲームを体験してもらうのがおすすめです。
また、協調性のある人材を採用するには、協調性に関する質問や適性検査を通じた見極めが重要です。これらを実施することにより、採用面接におけるミスマッチが防げます。さらに、協調性を評価する際は、基準を明確にし客観的な人事評価を行うことが不可欠です。
このような手法で「協調性のある人材」を採用・育成すれば、組織全体が活性化し生産性が向上するでしょう。
協調性のある人材を採用・育成するためには、協調性がある人材の特徴の把握が必要です。単に周囲に合わせられるだけではなく、自分の意見も主張しつつ他人の意見も尊重できる人材でなければ他人の言いなりになってしまいます。
「HRMOSタレントマネジメント」を活用すれば、人事評価シートや人材育成方針における協調性の重視、人材配置計画の最適化など、さまざまな視点から分析が可能です。分析データをもとに、効率よく協調性のある人材の採用や育成ができます。