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従業員を雇用するすべての企業において作成・保存が義務付けられている従業員名簿ですが、記載すべき必須項目は定められているものの、書式や様式には決まりがありません。初めて作成する場合や、これまでの管理方法を見直す場合に、どのような形で作成すべきか悩む担当者も多いのではないでしょうか。そんなときには、テンプレート(ひな形)を活用すると便利です。
この記事では、無料で使える従業員名簿のテンプレートを紹介しつつ、無料テンプレートのメリット・デメリットやその他の従業員名簿の作成・管理方法についてご紹介します。
従業員名簿とは何か
従業員名簿(労働者名簿)とは、従業員の氏名や生年月日、住所などの情報を記した名簿を指します。労働基準法によって定められている「法定三帳簿」のうちの一つで、規模の大小に関係なく、従業員を1人でも雇用しているすべての企業において作成・保存が義務付けられています。
労働基準法第107条と労働基準法施行規則第53条によって従業員名簿への記載が義務付けられている項目は、以下の9つです。
- 氏名
- 生年月日
- 性別
- 住所
- 従事する業務
- 履歴
- 雇用年月日
- 退職年月日と事由
- 死亡年月日と原因
この9つ以外に独自の項目を設けても問題はありません。労務管理などで必要となる情報があれば、項目を追加するとよいでしょう。また、従業員名簿の書式や保存方法については法律上特に決まりはないため、それぞれの企業で作成・保存・活用しやすい方法で作成できます。
<関連記事>従業員名簿(労働者名簿)とは?作成方法、記載項目、書き方、注意点を解説
・入社手続きの効率化
・1on1 の質の向上
・従業員情報の一元管理
・組織課題の可視化
無料で使える従業員名簿のテンプレート
従業員名簿の書式に決まりはありません。インターネット上に無料で使えるテンプレートが配布されているものをご紹介します。
厚生労働省のテンプレート(様式第19号)
従業員名簿に含まれるべき項目が過不足なく網羅されているシンプルな様式です。PDF形式なので印刷して手書きで記入するか、この様式を参考に文書作成ソフトや表計算ソフトなど編集可能な様式に作り直す必要があります。1枚につき従業員1人分が記載できるようになっているため、従業員ごとに分けて管理をすることが可能ですが、その分ファイル数やページ数が多くなるため従業員数があまり多くない企業に向いているでしょう。
東京労働局のテンプレート(労働者名簿)
複数の形式でダウンロードできるため、使いやすい方を選んで使用できます。厚生労働省のテンプレートとほぼ同じ様式ですが、「Word形式」もあるためテンプレート自体を編集することも可能です。
参考:東京労働局 様式集
Microsoft / Office テンプレート
Microsoft社から配布されているテンプレートです。「Excel」形式のため、編集がしやすい仕様です。
必須項目に加えて「所属」「電話番号」「メールアドレス」など、よく使われる項目が追加で入っているため使い勝手がよいでしょう。
その他、必要な項目を追加して使用することもできます。リスト形式なので複数の従業員の情報を一覧で管理することができ、検索性が高いことが特徴です。一般的な名簿と顔写真入りの2種類から選べます。
無料テンプレートを利用するメリット
無料テンプレートを利用すると、コストや品質、管理のしやすさなどの点でメリットがあります。詳しく解説します。
金銭的・時間的コストがかからない
無料テンプレートの一番のメリットは、費用をかけずに利用できる点です。
どんなフォーマットが自社にとって使いやすいのか、まずは気軽に試してみることができます。
使用してうまくいかなかった場合も、費用がかかっていないため別のフォーマットに切り替えやすいでしょう。自社に合った内容にカスタマイズする必要はありますが、テンプレートを活用することでゼロから作成する手間が省けるため、時間を節約することもできます。
必要な要素の漏れを防げる
テンプレートには従業員名簿に必要な項目が網羅されているため、必須項目の管理漏れを防げます。
また、実際の活用事例をもとに使いやすい書式に工夫されているため、業務品質の担保や業務効率化にもつながります。厚生労働省などの公的機関や上場企業など、信頼性の高い組織が配布しているテンプレートを使うとより安心です。
電子媒体で管理することができる
ダウンロードしたテンプレートはそのまま電子媒体として使用できるものが多いです。
電子媒体は紙媒体と比較して管理・活用がしやすい点がメリットです。メールやファイルサーバーなどを利用して共有できるので、作業をする際に保管場所に出向く必要がなくなります。
無料テンプレートを利用するデメリット
無料テンプレートを利用する場合のデメリットとしては、セキュリティ面や権限設定の柔軟性の低さ、データが増えた際の管理の煩雑さなどが挙げられます。詳しく解説します。
セキュリティ面で不安がある
テンプレートは表計算ソフトなどの形式で作成されていることが多いです。こうしたファイルはUSBなどの外部メモリによる不正な持ち出しや、誤ったメール送信などによる流出のリスクにさらされやすくなります。
パスワードの設定などの対策を講じることはできるものの、個人情報が多く含まれる従業員名簿の流出による影響は大きく、社内外からの信用失墜や損害賠償請求などに発展するリスクがあります。
細かな権限設定ができない
表計算ソフトで作成されたテンプレートでは、ファイルやシート全体にパスワードをかけることはできますが、シート内の細かい項目ごとに権限設定をすることはできません。
そのため従業員情報の一部だけを開示したい場合はファイルを分ける必要があります。管理するファイルが増えることで業務負荷が大きくなるとともに、人為的ミスが起きるリスクも高まります。
大量のデータを扱う場合、管理が煩雑
表計算ソフトのテンプレートは複数の従業員情報をリスト形式で管理するのに向いていますが、記載する項目数や従業員数が増加したときに、管理が煩雑になる可能性があります。
データが増えると入力や修正、転記などの際の業務負荷が大きくなり、人為的ミスも発生しやすくなります。従業員数が数百名規模になると、表計算ソフトでのデータ管理に限界を感じる企業が多いようです。
その他の従業員名簿の管理方法
従業員名簿を管理するその他の方法を、メリットやデメリットを交えて解説します。
紙媒体
紙媒体で従業員名簿を管理する方法で、ITに不慣れな従業員でも扱いやすく、システム機器やネットワークの状態に影響されずにアクセスできるというメリットがあります。
一方で、保管場所が必要になることや、紛失や劣化のリスクがあることなどのデメリットがあります。作業をする際に管理場所に出向く必要があり、業務効率がよくないという点も見過ごせません。
労働基準法第107条に定めのあるとおり、従業員名簿は事業場ごとに作成する必要があります。複数の事業場がある場合にはそれぞれの事業場で名簿を管理することになり、事業場を横断した情報の閲覧や移動などには手間がかかります。
従業員名簿アプリ
従業員名簿の作成と管理に特化したアプリで管理する方法もあります。
クラウド上でデータを管理するものが主流であるため、アクセスしやすい、情報の持ち出しがしづらくセキュリティが高いといったメリットがあります。
従業員情報の中には開示に配慮が必要なものが多く、項目によって細かく閲覧権限を分ける必要があります。仮に、実務担当者や組織階層ごとに必要な情報を分けて管理すると、手間がかかる上にミスも起きやすくなります。
従業員名簿の管理業務に特化している従業員名簿アプリであれば、項目ごとに細かく権限設定をすることができ、手間やリスクを軽減することができます。一方で、導入コストがかかる、システムに慣れるまでに時間がかかる、などのデメリットがあります。
タレントマネジメントシステム
タレントマネジメントとは、従業員(タレント:talent)一人一人の人事データを活用して、組織全体の生産性向上や従業員の最適配置、組織の活性化などを実現するマネジメント手法のことです。タレントマネジメントを効率的かつ的確に行うためのツールが、タレントマネジメントシステムです。タレントマネジメントシステムは、カスタマイズ性が高く従業員名簿機能として扱えるケースが多いでしょう。
従業員名簿の作成や管理にタレントマネジメントシステムを活用するメリットとしては、単に従業員情報を保存するだけでなく、その先の活用まで行うことができる点です。一方で機能が充実しているがゆえに、自社にとって必要でない機能が多い場合は、費用対効果が見合わない点がデメリットになり得ます。
<関連記事>【事例付き】タレントマネジメントとは?目的、システム導入や比較・活用方法
HRMOSタレントマネジメントの事例
タレントマネジメントシステム「HRMOSタレントマネジメント」には従業員データベース機能があり、従業員名簿に対応しています。活用事例をいくつかご紹介します。
auコマース&ライフ株式会社
auコマース&ライフ株式会社は、2社合併により設立されました。
合併前は紙や複数の表計算ソフトで従業員情報を管理していましたが、情報が散在している状態でした。そのため、HRMOSタレントマネジメントの従業員データベースを活用して従業員情報の一元化を行いました。
さらに、HRMOSタレントマネジメントには、蓄積された従業員情報をスムーズに取り出し、労働条件通知書などの書類を作成できるワークフロー機能が備わっています。この機能を活用することで、担当者の業務量は従来の3分の1以下になったとのことです。
また、同社は合併により従業員数が500名規模になり、かつコロナ禍におけるリモートワーク環境下で、社員同士の状況把握が難しいという課題にも直面していました。そのような状況下で、従業員データベースの自己紹介機能を活用したことで、従業員同士の相互理解につながったそうです。
<関連記事>2社合併で組織規模が拡大! 評価制度と人材データを集約し、人事業務の大幅削減と従業員同士の理解につながっている
株式会社デジタル・ナレッジ
株式会社デジタル・ナレッジでは、従業員情報はすべて表計算ソフトで管理し、人事の各担当者が手作業で更新を行っていました。しかし組織の拡大に伴い、人事関連の手続き業務や人事データの加工依頼が増加し、業務負荷が高まっていました。
これまで目的別に複数のシートを作成して管理していたため、必要なデータを作成する際には複数のファイルを開き、一つ一つのデータを転記する必要があったそうです。そのため時間がかかり、ミスも発生しやすくなっていました。
HRMOSタレントマネジメント導入により、従業員情報の一元管理が実現し、さらに細かく権限設定が可能になったことで、従業員自身が自分や部下の情報を直接確認することができるようになりました。その結果、人事部門への問い合わせは劇的に減少し、業務効率が飛躍的に向上したとのことです。
<関連記事>従業員データに関する問い合わせが急減。評価内容の一元管理化で、数値集計の負担も大きく軽減された
滋慶学園グループ
目標管理ツールとしての運用に加え、これまで表計算ソフトで行っていた人事情報管理のシステム化を目指し、HRMOSタレントマネジメントを導入したのが滋慶学園グループです。
従業員データベース機能では、カスタム項目を設定することができる点や、職階と役職など複数の項目に該当する従業員を簡単に抽出できる点などが高く評価されています。
これまでは上司が人事に提出する推薦書の作成にあたり、散在する表計算ソフトのデータから一つ一つ確認して必要項目を入力する必要がありました。HRMOSタレントマネジメントの導入後は、人事側から従業員情報を示した上で必要なところだけを確認してもらえば済むようになり、現場の業務負担が大きく軽減されたと報告されています。
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まとめ 自社の状況に見合った従業員データ管理方法を
従業員名簿の作成・保存は、労働基準法によって義務付けられています。無料で使えるテンプレートなどを活用することで、必要な管理を手軽に始めることができます。一方で、管理する項目数や従業員数が増えると、データのメンテナンスや抽出作業が煩雑になります。そんなときは管理方法の見直しを検討しましょう。タレントマネジメントシステムなど、従業員情報の管理と活用を目的に開発されたツールであれば、管理業務の効率化やデータの有効活用が期待できます。
従業員名簿の作成を予定しているなら、タレントマネジメントシステムの検討を
HRMOSタレントマネジメントでは、スムーズな従業員名簿の作成・管理ができます。必要な情報を必要なときに抽出することも容易に行えるため、人事担当者のみならず従業員本人や上司など、情報を活用する人の業務効率化につながります。
さらに、集めた従業員情報を分析・活用することで、戦略的な人事施策に活かすこともできます。従業員名簿の作成だけでなく活用も考えているなら、ぜひタレントマネジメントシステムをご検討ください。
HRMOSタレントマネジメントの詳細は以下からご確認ください。