EAP(従業員支援プログラム)とは?従業員のメンタルヘルス対策とその効果

EAP(従業員支援プログラム)とは?従業員のメンタルヘルス対策とその効果

企業がよい人材を獲得し定着させるためには、メンタルヘルス対策が欠かせません。

メンタルヘルス対策として注目されているのがEAPで、導入する企業も増えています。EAPの導入を検討しつつも、どのようなものなのかよくわからない人事担当者もいるでしょう。

本記事ではEAPについて、具体的な内容や注目されている理由などを中心に解説します。

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EAPとは?意味と目的

EAPとは「Employee Assistance Program」の略で、従業員支援プログラム(社員支援プログラム)と訳されます。

具体的には、従業員が抱えているストレスを把握し、カウンセリングなどを通じてケアを行う仕組みです。

従業員がメンタルヘルス上の問題を抱えていても、会社側のケアがないと放置されてしまいがちです。メンタルヘルスの悪化は、仕事のパフォーマンス低下にもつながります。

意欲的に仕事に取り組んでいるように見えても、バーンアウト(燃え尽き症候群)など仕事に支障をきたす症状に陥る可能性があります。

EAPはメンタルヘルスケアを通じて、従業員の精神疾患の予防や、仕事のパフォーマンス向上を目的としています。

EAPが生まれた背景

EAPはもともとアメリカで生まれたものです。1940年代にアルコール依存症対策として、電話会社や電力会社などで行われた施策が始まりでした。アルコール依存症が働き盛りの年代に集中していて、労働災害や多くの疾病を招き、従業員の退職につながる大きな問題として認識され始めたのです。

その後、1960年代あたりからアルコール依存症のみではなく薬物依存症など広領域活動へ移行していき、認知度も拡大しました。1980年代以降はEAPとしてメンタルヘルス全般に対して提供する機関が一般的になり、現在に至っています。

この流れを受け、日本でも1980年代後半以降、EAPを導入する企業が増えました。

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EAPが注目される理由と重要性

EAPは、以前は一部の企業で導入されていたものの、大きく注目されることはありませんでした。では、なぜ最近になってEAPが注目されているのか、その理由とEAPの重要性を解説します。

労働環境の変化とメンタルヘルスリスク

現代の労働環境はグローバル化や人手不足などを背景に、従業員の負担が増加しています。長時間労働が常態化している職場もあるでしょう。

そのような労働環境の中では、メンタルヘルスを崩す従業員も少なくありません。

しかし、多忙なあまり、心身のバランスを崩し、日常生活に支障をきたすまで、自分で不調に気づかないこともあります。そのため、企業側が積極的に従業員のメンタルヘルスケアを行うことの重要性が高まっています。

リスクマネジメントとしてのEAP

メンタルヘルスが悪化してくると、これまでのような仕事のパフォーマンスを発揮するのは難しくなります。

生産効率が低下してしまうため、業務への影響も出てくるでしょう。

さらに状態が悪化すると、休職せざるを得ない状態になることもあります。そのまま復職が叶わず、離職してしまうことも少なくありません。

そうなると人手が減るため、他の従業員の負担が増します。その結果、他の従業員の離職につながる可能性があります。

このような生産性の低下や離職率の上昇などのリスクを防止する手段として、EAPが注目されています。

EAPの具体的な支援内容

EAPの導入を検討している企業の人事担当者の中には、具体的に何をすればよいのか、よくわからない人もいるかもしれません。ここでは、EAPの具体的な支援内容を解説します。

ストレスチェックとメンタルヘルスチェック

ストレスチェックやメンタルヘルスチェックを実施し、従業員の状態を把握することが重要です。

ストレスチェックは、労働安全衛生法により、労働者が50人以上の事業場で実施が義務づけられています。毎年1回医師や保健師によって実施され、その結果に応じて面接指導や集団分析などが行われます。

メンタルヘルスチェックは、従業員が自身のメンタルヘルス状態を確認するためのものです。企業側はチェック項目などを用意して、誰でも自分で簡易的な診断ができるようにしておくとよいでしょう。

メンタルヘルス研修とセミナー

従業員がメンタルヘルスに関する正しい知識を持っていないこともあります。

そのため、メンタルヘルス研修やセミナーの実施も、EAPの代表的な支援内容の一つです。

研修やセミナーを通じて従業員が正しい知識を身につけることで、メンタルヘルスの不調に早期に気づきやすくなります。

サポートや適切な治療も早期に受けられるため、メンタルヘルスの悪化を防ぐだけでなく、予防や対策を講じることで離職率の低下にも寄与します。

カウンセリングと相談窓口の設置

カウンセリングや相談の窓口を設置することで、メンタルヘルスの不調を自覚している従業員が利用しやすくなります。

専門家によるアドバイスを受けられるため、改善や予防などの効果が期待できるでしょう。休職や離職などの防止につながります。

また、窓口の利用可能な時間はできるだけ長くしておくのが望ましいです。

個人のプライバシーに配慮した環境も整えることも重要です。併せて、利用方法を従業員に十分周知することも大切です。


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EAP導入のメリットと期待される効果

EAPの導入には一定のコストがかかりますが、企業にとって多くのメリットがあります。ここでは、EAPの導入によるメリットや期待される効果を解説します。

従業員の生産性向上

EAPを導入することで、メンタルヘルスの悪化によるパフォーマンスの低下を防げます。

業務への集中力が高まり、ミスも減少するため、生産性の向上が期待できるでしょう。質の高い仕事を、より短時間でこなせるようになる可能性があります。

従業員のモチベーションも向上し、職場全体の活性化も期待できます。

休職・離職率の低下

メンタルヘルスが悪化すると、休職や離職につながることがあります。

一方で、EAPを導入することで従業員のメンタルヘルスの状態を適切に把握できます。

深刻な状態にならないうちに適切に対処し、休職率や離職率を低下させることができるのもメリットです。頻繁な欠員補充の必要がなくなるため、経営の安定にもつながります。

また、離職確率についてはこちらの記事も併せてご覧ください。

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企業イメージの向上

EAPを導入することで、人材を大切にする企業と認識されます。

企業イメージが向上し、営業活動にも好影響を与えます。既存の取引先とも良好な関係を維持しやすくなるでしょう。

また、昨今では年収よりも働きやすさを重視して就職先を選ぶ人が増えています。優秀な人材の応募が増え、採用活動にも良い影響を与えます。

EAPの種類

EAPには内部EAPと外部EAPがあります。ここでは、それぞれの特徴を解説します。

内部EAPの特徴

内部EAPとは、EAPの取り組みを自社内で対応する方法です。

社内に相談窓口を設置し、カウンセラーなどの専門家を常駐させます。社内事情に精通した専門家が対応するため、従業員の悩みに即したサポートが可能です。

すぐに相談できるという点もメリットです。

外部EAPの特徴

外部EAPは、外部の専門機関と提携して相談窓口を設置する方法です。

社内では話しにくい悩みも、外部の専門家であれば相談しやすくなります。また、多様な分野の専門家が対応するため、専門性の高いサポートを受けられる点も特長です。

外部EAP導入時の注意点とポイント

外部EAPの方が企業にとって導入しやすく、従業員にとっても利用しやすい傾向にあります。

EAPを導入する際、外部EAPを検討する企業が多い傾向にあります。ここでは、外部EAPを導入する際の注意点や選定のポイントを解説します。

導入目的と評価指標の設定

EAPを導入する目的を明確にすることが重要です。

また、目的に対する効果を定量的に把握することも重要です。

これにより、継続的な改善が可能になります。具体的な評価指標としてはKPI(Key Performance Indicator)を活用するとよいでしょう。

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KPIの設定項目には、以下のような指標があります。

  • EAP利用率

    従業員のうち、どのくらいの割合の人がEAPを利用しているのかを示す指標です。

    EAPサービスを利用した従業員数÷全従業員数×100

    • 従業員満足度

      従業員満足度の測定により、EAPの導入前後の変化を把握できます。

      そのためには、EAPの導入に対して従業員がどの程度満足しているかアンケートを取るといった方法が用いられ、5段階評価での数値化も可能です。

      また、関連するこちらの記事も併せてご覧ください。

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      従業員満足度調査(ES)とは?質問項目や調査方法等をわかりやすく解説

      • 欠勤率

      EAP導入により、職場全体での欠勤率が下がっているかを測定します。

      欠勤日数÷(従業員数×営業日数)×100

      • 生産性指標

      EAPの導入によって職場全体の生産性が向上しているかどうかを把握するための指標です。

      売上高÷従業員数

      • メンタルヘルス不調による休職率

      EAPの導入により、メンタルヘルスの不調者が減っているかどうかを把握するための指標です。

      メンタルヘルス不調による休職者数÷全従業員数×100

      • 職場復帰率

      EAPの導入により、休職からの復帰を促進できているかどうかを把握するための指標です。

      復職した従業員数÷休職した従業員数×100

      • 離職率

      EAPの導入で離職率を改善できているかどうかを把握するための指標です。

      退職者数÷平均従業員数×100

      自社ニーズに合ったサービス選び

      外部EAPを選ぶ際には、自社のニーズを把握し、それに合ったサービスを選ぶことが大切です。

      例えば、プライバシーや匿名性などを重視する従業員が多いようであれば、個人情報の管理が徹底しているサービスを選ぶのがよいでしょう。

      対応する専門家の得意分野も確認しておく必要があります。主に医師や保健師、臨床心理士など医療関係者が担当しますが、サービスによってはキャリアコンサルタントや社会保険労務士にも相談できます。

      さらに、相談方法も重要です。対面での相談だけでなく、オンラインや電話での相談にも対応していれば、従業員にとって利用しやすいでしょう。

      従業員への周知と利用促進

      EAPを導入しても、従業員が利用しないことには十分な効果は得られません。

      EAPを導入したことを従業員が知らないままだと利用できないため、周知を徹底しましょう。1つの方法だけで周知しても見落としてしまう従業員もいるため、複数の方法で周知するのが望ましいです。

      例えば社内の掲示板やメール、ミーティングで説明するなど、複数の方法を組み合わせて周知し、利用を促しましょう。

      また、EAPの利用をためらう従業員も一定数いることも予想されます。そのため、利用率向上のためには、匿名性の確保や利用しやすい環境作りなども重要です。

      まとめ

      EAPはメンタルヘルスケアの重要性が高まる現代の労働環境において、企業にとって重要な施策です。

      主にストレスチェックや研修、カウンセリングなどを通じて、従業員のメンタルヘルスを支援します。

      EAPを導入することで、メンタルヘルスの悪化による生産性の低下や休職、離職などを防止できる可能性が高まり、企業全体の生産性向上や企業イメージ向上といった効果も期待できます。

      まだEAPを導入していない場合は、導入を検討することをおすすめします。

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