給与テーブルとは? 作り方からサンプル、注意点と対策まで徹底解説

給与テーブルとは?

従業員にとって「給与」は、生活の基盤を支える大切な収入になるとともに、仕事への意欲を高め、会社への貢献を促すモチベーションにもなり得るものです。

しかし、給与決定のプロセスが不明瞭な場合「なぜ、自分と同僚の給与に差が生じているのか」「頑張ったのに給与が上がらない」といった不満を生み出し、業務への意欲を低下させる恐れがあります。

この状況を解消し、従業員が納得できる明瞭な給与システムを設計するために多くの企業が給与テーブルを取り入れています。

今回は、給与テーブルの基本について、作り方やサンプル、運用時の注意点まで、詳しく解説します。

給与テーブルとは

給与テーブルとは、従業員の賃金や給与を決定する際の基準となる一覧表のことです。「賃金テーブル」や「賃金表」などとも呼ばれます。

一般的な給与テーブルは、勤続年数や役職、評価などを示す号俸や従業員のスキルや役割を示す等級を軸に構成されており、等級や号俸別に基準となる賃金や給与の額が振り分けられています。

新入社員から役員に至るまで、給与テーブルの横軸と縦軸を参照することで給与の額を一覧で確認できる仕様です。

給与テーブルにはいくつかの種類がありますが、評価対象項目の選び方には、企業の人材評価の姿勢が反映されます。

例えば、勤続年数が上がるほど給与が高くなる形のものは長期勤務による会社への貢献度を重視していると考えられます。反対に、成果を上げるほど賃金が高くなるテーブルであれば、成果を重視する企業であると判断することができるでしょう。

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給与テーブルの作成が企業にもたらすメリット

給与テーブルの作成は、企業に以下のようなメリットをもたらします。

給与体系の公平性の確保

給与テーブルの作成と開示は、給与決定における公正性と透明性を担保する基盤となります。

報酬基準が明確化されることで、従業員は自身の給与に対する納得感を深め、客観的な根拠に基づいた評価結果を実感できるようになります。公正な評価の可視化は、社内で生じる可能性がある評価の不透明さに対する不信感や不公平感を解消するでしょう。

さらに、給与テーブルの開示は、従業員に対する誠実な姿勢の表れとなります。

評価を報酬に反映させる仕組みの整備は、評価制度の透明性を高め、企業と個人の間の信頼関係を強固にします。

業務に取り組む姿勢や成果が正しく評価され、給与に反映されることを確信できれば、従業員のエンゲージメントが高まるため、従業員の定着率の向上と離職率の低下を期待できます。

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人件費の管理と予測

人件費は、経費の中でも大きなウェイトを占めます。給与テーブルの導入により、人件費を最適化し、より戦略的な経営を実現します。

給与テーブルによって賃金体系が構造化されると、現状の人件費を正確に把握できるだけでなく、昇格や昇給、採用、退職に伴う人件費の変動を高い精度でシミュレーションできるようになります。

予測精度が向上すれば、経営計画に基づいた戦略的な採用計画の実行も可能になるでしょう。

特に、中途採用の際にも、給与テーブルに則して適切な給与額を設定できるため、採用時の給与決定にかかる手間も軽減します。

人件費管理の効率化と精度の高いコスト予測は、経営上の大きなメリットをもたらします。

従業員のモチベーション向上

給与テーブルの開示により、評価基準が明確になると、従業員は昇給や昇格を目指すために必要となるスキルや経験を可視化できるようになります。

将来目指すべき姿が明確になると、目標を具体的に設定できるため、従業員のモチベーションも向上します。また、評価が給与に反映されることが分かり、心理的な安心感が高まることもモチベーションの向上に影響を与えます。

モチベーションの向上は、自律的なキャリア形成を促進させ、業務への意欲や学習意欲を向上させます。その結果、従業員の成長スピードが加速し、組織全体の生産性も向上するでしょう。

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採用力の強化

給与テーブルの導入は、採用活動において、単なる条件提示のツールとしての役割を超え、採用競争力を高める強力な武器となります。

明確な評価基準と報酬体系の提示は、求職者に対し、透明性の高い企業姿勢のアピールとなります。透明性の高い企業文化は、従業員と経営陣との高い信頼性を連想させるため、キャリア形成に意欲的な優秀な人材からの信頼につながる可能性があります。

また、求人募集の際に明確な給与レンジを提示することで、競合他社との比較も容易になるとともに、給与面でのミスマッチを防ぐことができます。

競合他社に比べて優位な条件を提示できること、入社後の昇給のイメージに具体性を持たせることは、求職者の意思決定を後押しします。さらに、募集の段階で求めるスキルや経験とともに明確な報酬ラインを提示することによって給与面での条件のずれを防ぎ、効率的な採用活動を実現するでしょう。

主な給与体系

日本における主な給与体系には「職能給」「職務給」「グレード給」「成果給」「年功給」の5つがあります。それぞれの特徴を紹介します。

職能給

職能給とは、従業員が保有する職務遂行能力を基準に給与を決定する給与体系です。

職能給の主な評価基準は、職務に対する知識や経験、スキル、資格、リーダーシップ、コミュニケーション能力などです。職務遂行に必要な要素は、すべて評価の対象となります。

職能給は、「一度習得した能力は蓄積され、低下することはない」という考えに基づいているため、長期的な勤務によって得られる職能の習熟が評価につながる傾向があります。したがって、職能給を導入している企業では、勤続年数が長いほど高い評価を受けやすく、長期的な視点でキャリアの形成を目指しやすいという特徴があります。

また、従業員にとっては、長期就業によって安定した昇給が見込める点も職能給のメリットだといえます。

職務給

職務給とは、業務の難度や責任度合に応じて給与額を決定する賃金制度のことです。

職務給では、勤務年数や役職などは評価の対象に含まれず、職務内容や業務の専門性、成果を重視した評価が行われます。したがって、職務給では、職能給のように、勤務年数が長くなることで自動的に給与が高くなることはありません。

職務給は、成果主義に近い給与体系であることから、職務に必要な高度な専門スキルを持つ人を採用するジョブ型雇用との親和性が高くなっています。年齢や経験を問わず、高い成果を出した従業員を高く評価できるため、若い優秀な従業員を積極的に採用したい企業に適した給与体系です。

また、職務給は、同一労働同一賃金の考え方にも合致します。

グレード給

業務の内容や難度、責任の範囲、会社への貢献度などからグレード(等級)を定め、グレードに応じた成果や職務達成度によって給与を決定する給与体系です。グレード給には、ミッショングレード制とジョブグレード制の2つがあります。

ミッショングレード制は、従業員の役割に応じてグレード(等級)を決定する制度で、役割等級制度とも呼ばれます。難度や重要度の高い業務において成果を上げるほど得られる報酬は高くなる仕組みです。職務給と職能給を合わせた制度ともいわれ、比較的新しい給与体系ですが、導入する企業も増加しています。

また、ジョブグレード制は職務等級制度とも呼ばれる給与体系で、従業員を業務の難度や重要度に応じたグレードに区分し、給与を決定する制度です。難度や重要度の高い業務を担当している従業員ほど、グレードが上がり、賃金も高くなる仕組みとなっています。

役割給

役割給とは、会社から与えられた役割に基づいて支給される給与のことです。

役割給は、職務に要求される責任や権限の大きさに応じて賃金を決定します。人が持つ能力ではなく役割に焦点を充てる点は、業務の内容から評価する職務給に近い考え方であるともいえます。

しかし、職務の内容や成果だけではなく、組織における役割責任に応じて給与が決定される点が役割給の大きな特徴です。

また、評価基準は、役割の大きさと企業への貢献度になるため、職能給のように勤務年数に応じて昇給することはありません。一方で、与えられた役割を果たすことで給与が上がるため、従業員の業務意欲を高める効果を期待できるでしょう。

成果給

成果給とは業績給とも呼ばれる給与体系です。

従業員の業務実績や成果をもとに、給与を決定する給与体系を成果給といいます。

成果給は、職務能力や職務内容、役割にかかわらず、個人の能力や業務の成果を重視する点が特徴です。

企業によって成果給の評価システムは異なるものの、多くの場合、結果だけに焦点を当て、評価をするわけではありません。成果に加え、成果を生み出すまでのプロセスについても評価を行うケースが一般的です。

成果や業務に対する姿勢が評価に直結するため、従業員のモチベーションが高まり、業績の向上につながる可能性があります。

年功給

年功給とは、年齢や勤務年数に応じて上昇する賃金体系のことです。

終身雇用を前提とした、かつての年功序列型の組織で多く用いられてきた給与体系です。しかし、終身雇用が崩れつつある現在では、年功給を採用していない企業は増加傾向にあります。

年功給は、勤務年数が長くなれば、職務内容や等級、業務成果にかかわらず昇給ができるため、従業員の帰属意識を高められます。

ただし、勤務年数が長くなるほど給与が増えるため、組織の高齢化に伴い人件費が高騰していくリスクがあります。

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給与テーブルの種類とサンプル

給与テーブルにはいくつかの種類があります。ここでは、主な給与テーブルについてサンプルを交えながら簡単にご紹介します。

単純号俸表

単純号俸表とは、縦軸に号俸、横軸に等級を示した給与テーブルの形式です。単純号俸表を導入した場合、特別なことがない限り、評価には関係なく毎年、1号俸ずつ昇給していく点が特徴です。

シンプルな給与テーブルであるため、運用がしやすい点、将来の人件費を推測しやすい点は単純号俸表のメリットです。

しかし、評価によらず、勤務年数が長くなれば誰でも昇給するため、優秀な従業員にとってはモチベーションを維持しにくいというデメリットがあります。

<単純号俸表の例>

号/等級1等級2等級3等級4等級5等級
1号181,000201,000235,000280,000350,000
2号182,000202,100236,000281,000360,000
3号183,000203,300237,000282,000370,000
4号184,000204,500238,000283,000380,000
5号185,000205,700239,500285,000390,000
6号186,200205,900241,000287,000400,000
7号187,400207,000243,000289,000420,000
8号188,600208,500244,000290,000450,000

段階号俸表

段階号俸表は、単純号俸表の改良型ともいえる給与テーブルです。等級と号によって賃金額が決まりますが、同じ等級内でも評価によって昇給額に差が生じるように設定されています。

例えば、5段階評価であれば、A評価の人は4つ号数が上がり、D評価の人は一つだけ号数が上がる仕組みとなります。そのため、同じ等級であっても、評価によって賃金額が変わってきます。

成果と昇給を結び付けることができ、毎年の評価による昇給が蓄積されていくことから、従業員のモチベーションを高く維持しやすくなります。

一方で、デメリットもあります。一度低い評価となるとその後の給与まで長く影響が残る可能性がある点、また、単純号俸表と同様に年功序列的な運用になりやすいといった点には注意が必要です。

<段階号俸表の例>

号/等級1等級2等級3等級4等級5等級評価ランク昇給号数
ピッチ1,0001,2001,5001,8002,000A4
1号181,000201,000235,000280,000350,000B3
2号182,000202,200236,500281,800352,000C2
3号183,000203,400238,000283,600354,000D1
4号184,000204,600239,500285,400356,000E0
5号185,000205,800241,000287,200358,000
6号186,000207,000242,500289,000360,000
7号187,000208,200244,000290,800362,000
8号188,000209,400245,500292,600364,000
9号189,000210,600247,000294,400366,000
10号190,000211,800248,500296,200368,000
11号191,000213,000250,000298,000370,000
12号192,000214,200251,500299,800372,000
13号193,000215,400253,000301,600374,000
14号194,000216,600254,500303,400376,000
15号195,000217,800256,000305,200378,000
16号196,000219,000257,500307,000380,000
17号197,000220,200259,000308,800382,000
18号198,000221,400260,500310,600384,000
19号199,000222,600262,000312,400386,000
20号200,000223,800263,500314,200388,000

ゾーン型賃金表

ゾーン型賃金表は、段階号俸表をさらに改良したものです。同一の等級を複数のゾーンに分割し、等級ごとの最低基本給と最高基本給を定め、ゾーンごとの評価別昇給額を別表に示します。

同じ等級であっても属するゾーンによって昇給の額が変わってくる仕組みです。一般的には、報酬額が低く設定されている下位のゾーンほど昇給しやすく、報酬額の高い上位のゾーンほど昇給のカーブは緩やかになる形に設計されます。

ゾーン型賃金表の場合、同一ゾーン内で滞留していると昇給率は低減していくため、従業員に対し、より上位の等級への昇格に対する意識を高められる効果があります。

<ゾーン型賃金表の例>

ゾーン号/等級1等級2等級3等級4等級5等級
ピッチ1,0001,2001,5001,8002,000
ゾーン11号181,000201,000235,000280,000350,000
2号182,000202,200236,500281,800352,000
3号183,000203,400238,000283,600354,000
4号184,000204,600239,500285,400356,000
5号185,000205,800241,000287,200358,000
ゾーン26号186,000207,000242,500289,000360,000
7号187,000208,200244,000290,800362,000
8号188,000209,400245,500292,600364,000
9号189,000210,600247,000294,400366,000
10号190,000211,800248,500296,200368,000
ゾーン311号191,000213,000250,000298,000370,000
12号192,000214,200251,500299,800372,000
13号193,000215,400253,000301,600374,000
14号194,000216,600254,500303,400376,000
15号195,000217,800256,000305,200378,000
ゾーン416号196,000219,000257,500307,000380,000
17号197,000220,200259,000308,800382,000
18号198,000221,400260,500310,600384,000
19号199,000222,600262,000312,400386,000
20号200,000223,800263,500314,200388,000
ゾーン表
等級ゾーン1ゾーン2ゾーン3ゾーン4上限
1等級181,000186,000191,000196,000200,000
2等級201,000207,000213,000219,000223,800
3等級235,000242,000250,000257000263,500
4等級280,000289,000298,000307,000314,200
5等級350,000360,000370,000380,000388,000
昇給表
ABCDE
ゾーン154321
ゾーン243210
ゾーン33210-1
ゾーン4210-1-2

複数賃率表

複数賃率表は、一つの号俸に対して評価ランクに応じた複数の賃率を設定する方式です。号俸表をベースとするため、勤続年数に応じて号は一つ上がるものの、昇給額は評価によって変わる仕組みとなっています。

複数賃率表の場合、過去の評価は昇給額に影響せず、その年の評価によってのみ給与額が決定するため、従業員のモチベーションを高めやすくなります。

一方で、評価によって賃金が変わってくるため、企業側の視点で見た場合には人件費をコントロールしにくいというデメリットがあります。

<複数賃率表の例>

号俸評価
縦ピッチ横ピッチABCE
1等級1号3,0001,500181,000
2号187,000185,500184,000182,500181,000
3号190,000188,500187,000185,500184,000
4号193,000191,500190,000188,500187,000
5号196,000194,500193,000191,500190,000
6号199,000197,500196,000194,500193,000
7号202,000200,500199,000197,500196,000
8号205,000203,500202,000200,500199,000
9号208,000206,500205,000203,500202,000
10号211,000209,500208,000206,500205,000
2等級1号4,0002,000195,000193,000191,000189,000187,000
2号199,000197,000195,000193,000191,000
3号203,000201,000199,000197,000195,000
4号207,000205,000203,000201,000199,000
5号211,000209,000207,000205,000203,000
6号215,000213,000211,000209,000207,000
7号219,000217,000215,000213,000211,000
8号223,000221,000219,000217,000215,000
9号227,000225,000223,000221,000219,000
10号231,000229,000227,000225,000223,000

給与テーブルの作り方

給与テーブルには複数の種類がありますが、いずれのパターンを選ぶ場合であっても、作成にあたっては、次のようなステップが必要です。

給与制度の方針決定

給与テーブル作成時には、まず、給与制度の方針を明確化することが重要です。

作成目的が曖昧な場合、人材戦略にも迷いが生じるとともに、従業員に対しても企業として目指す人材育成方針を明確に示すことができません。

給与テーブルは、単なる報酬体系の一覧表ではなく、従業員に期待する行動や成果を伝えるとともに、企業の価値観を反映させる重要なメッセージとなり得るものです。

例えば、長期勤務による会社への貢献度を評価するのか、個人の成果が重視されるのかによって、従業員が目指すべきキャリアパスやプランは変わってきます。

したがって、給与テーブルの設計においては、企業理念や経営計画、人材戦略なども考慮しながら、組織全体が目指す方向性を一つに統合させる視点が必要になります。

<関連記事>キャリアパスとは? キャリアプランとの違いやITエンジニアなど職種別具体例

等級制度の設計

等級制度とは、能力や役割、職務などに応じて従業員をランク付けする制度です。

等級数は何段階に設定しても問題ありませんが、等級数が多いと昇給の機会は増えるものの、昇給幅は小さくなります。

反対に、等級数が少ない場合は、昇給が難しくなる分、昇給額は大きくなるため、自社の規模や人材戦略に合わせた適切な等級数を設定します。

また、等級数を決めると同時に、各等級に求めるスキルや知識、役割、業務レベルなどを決定します。等級ごとの役割や責任は評価基準と連動させるようにするとよいでしょう。

レンジの設定と報酬体系の決定

等級制度が確定したら、各等級の標準的な金額を決定します。また、同じ等級であっても、号や評価によって給与額を変更する給与テーブルを導入する場合は、上限額と下限額も決定しておくとよいでしょう。

さらに、給与を決定する際には、役職手当や資格手当、住宅手当など、月々の給与を構成する各種手当についても決定しておかなければなりません。

役職手当については、従業員のモチベーション維持のためにも、責任の大きさや職務内容にふさわしい金額に設定することが大切です。

加えて、賞与についても、支給の有無や支給回数、評価基準などを決定しておきましょう。

市場調査(競合調査)

作成した給与テーブルが市場や同業他社の賃金水準と大きく乖離している場合、市場競争力を維持できない可能性があります。

企業として成長を続けるためには、優秀な人材を確保するとともに、既存の従業員の士気を高めなければなりません。そのためには、市場の賃金水準も踏まえたうえで、ある程度の水準を維持する必要があるでしょう。

厚生労働省が毎年公表している「賃金構造基本統計調査」、人事院が公表している「職種別民間給与実態調査」、民間調査会社が実施しているデータなどを利用すれば、社会一般や同業者の給与水準を把握できます。

給与テーブルの作成と人件費シミュレーション

市場調査の結果も参考にしながら、号俸やゾーン、評価などに応じた金額を細かく設定し、自社の規模や業種に合った給与テーブルを作成します。

給与テーブルが完成した後には、全従業員を給与テーブルに当てはめ、実際の人件費のシミュレーションを行うことが重要です。

人件費の変動を確認しておかなければ、給与の支払いが滞る恐れもあります。

さらに、現時点での給与総額に加え、数年後の昇給を見越したシミュレーションも行い、会社の成長予定と人件費の増加率が想定の範囲内に収まることを確認しておきましょう。

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給与テーブル導入における注意点と対策

給与テーブルは作成して終わりではなく、適切に運用して初めて人事戦略の一つとして役立つものです。給与テーブルのスムーズな運用を実現するためのポイントを4つ紹介します。

評価制度との連動

給与テーブルの運用にあたって最も重要な点は、人事評価制度との連動性です。

人事評価によって高い評価を受けても、その結果が賃金に反映されなければ従業員の不満につながり、離職を招く恐れもあります。

また、従業員の納得を得られない曖昧な評価基準である場合、会社の評価制度自体に不信感が募り、エンゲージメントを低下させる可能性もあります。

給与テーブルの導入時には、給与をアップさせるためにはどのようなポイントが評価につながるのか、明確な評価基準と評価プロセスを示すことが重要です。

評価者の主観によらない客観的かつ透明な評価制度を確立していない場合は、給与テーブル導入時に人事評価制度についても見直しを行う必要があるでしょう。

<関連記事>人事評価制度とは?意味・導入の目的・注意点など徹底解説!

法令遵守の重要性

給与テーブルを開示しなければならない法的義務はありません。しかし、労働基準法第89条では、常時10人以上の労働者を使用する事業場において、就業規則の作成と労働基準監督署への届出を義務付けています。

また、就業規則には賃金の計算方法や支払方法などについても明記しなければなりません。加えて、同法第106条では、従業員に対して就業規則を周知する必要性が定められています。

さらに、2020年4月に施行されたパートタイム・有期雇用労働法では、同一労働同一賃金の原則が示されており、業務内容・責任の程度が同等である場合、雇用契約にかかわらず同一の賃金を支払う必要があります。そのほか、支払う給与額は、国が定める最低賃金以上でなければなりません。

法令に違反した場合、罰則が科されるだけでなく、従業員間とのトラブルを生む恐れもあります。給与テーブル導入時には、関連法規を十分に確認し、法令を遵守することが不可欠です。

定期的な見直しと改定

給与テーブルは一度作成したら終わりではなく、市場の動きや事業状況の変化に合わせて随時見直す必要があります。

物価の上昇に伴い、2025年の春闘では33年ぶりの5%越えだった前年を上回る5.25%の賃上げ率を記録しました。また、深刻な人材不足を背景に新卒初任給の引き上げの動きも加速しています。

市場の賃金状況に比べ、自社の賃金水準が低ければ人材流出につながる恐れもあります。賃金水準は常に変化をしています。

市場競争力を維持するためには、定期的に外部データのチェックを行い、状況に応じた賃金テーブルを見直す姿勢が必要不可欠です。

さらに、自社の経営方針や業務内容の変更により、従業員に求めるスキルや能力が変わるケースもあります。その場合は、人材育成計画と評価システムを連携させるため、人事評価制度と給与テーブルについても改定を検討するようにしましょう。

業績変動に対応する柔軟な設計

給与テーブルは、従業員の等級や成果によって賃金を決定するツールです。そのため、業績の変動に対し、給与テーブルだけで対応することは難しくなります。

しかし、業績が好調なときに利益を従業員に還元できなければ従業員のモチベーションを高め、業務意欲を向上させることはできません。

一方で業績が悪いときにも同等の給与を支給する場合、人件費の負担が経営を逼迫する可能性もあります。

したがって、報酬体系全体を整備する際には、給与テーブルで決定する月々の基本給と業績変動に対応できる賞与のバランスを適切に設計し、業績変動に柔軟に対応できる仕組みを作ることも重要です。

タレントマネジメントシステムで透明性のある報酬設計

タレントマネジメントシステムは、従業員のスキルや成果を一元管理し、客観的なデータをもとにした公正な評価を可能にするシステムです。

タレントマネジメントシステムに蓄積したスキルや成果のデータは、給与テーブルのデータドリブンな再構築を実現します。

さらに、職務別、スキル別の適切な報酬レンジを明確化し、昇給や昇格判断の根拠を自動的に提示させることも可能です。

効率的、かつ、透明性の高い報酬制度を設計する際にはタレントマネジメントシステムの活用がおすすめです。

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給与テーブルに関するよくある質問

給与テーブルの作成時に生じやすい疑問について解説します。

給与テーブルの作成は義務なのか

労働基準法により賃金の決定方法や計算方法、支払方法については、就業規則や給与規定に明示する必要があります。

しかし、具体的な賃金額まで記載する必要はなく、給与テーブル自体も作成の義務があるわけではありません。

ただし、給与テーブルの作成は、給与決定の根拠の提示につながるものであり、人事評価制度の透明性と公平性の担保となります。給与テーブルによって従業員が昇給や昇格に必要なスキルや経験を把握できるようになると、評価に対する不満を解消しやすくなるとともにモチベーションも高めやすくなるでしょう。

これらの観点から、給与テーブルは法令による作成義務があるわけではないものの、作成した方が望ましいといえます。

中途採用者の給与テーブルはどうやって決めればよいか

既存の従業員の場合は、等級や役職、スキルなどに当てはめることで賃金額を決定することができます。しかし、中途採用者の給与はどのように決定すべきか悩むケースもあるようです。

中途採用者の給与については、前職の成果や実績などから自社の給与テーブルに当てはめる方法、同業他社などの給与水準を調査したうえで個別に設定する方法などがあります。

業界や職種の未経験者で合った場合、前職の成果をもとにした給与テーブルに当てはめると、給与が低くなり、入社を躊躇させるマイナス要素となる恐れもでてきます。優秀な人材の獲得機会を逃さないために、給与テーブルの仕組みについて説明し、入社後の成果によって昇給する旨を明確に示すことが重要です。

給与テーブルを公開している企業の割合はどれくらいか

給与テーブルは、従業員に対して必ず公開しなければならないものではありません。

民間企業の調査によると、調査対象となった約3,000社のうち、給与テーブルを策定している企業は約9割に上り、そのうち給与テーブルを全従業員に公開している企業は4割超えとなっています。

一方で、従業員には公開していない企業は約16%に留まり、少数派です。

給与テーブルを公開すれば、キャリアパスが明確になり、従業員が明確な目標を持って業務に意欲的に取り組めるようになるでしょう。また、昇給ルールに関する透明性が高まることで、評価に対する納得感も高まります。

給与テーブルを作成した際には、従業員への開示も前向きに検討すべきでしょう。

まとめ

給与テーブルは給与決定の基準となる表で、作成することで公平性の確保や人件費管理の効率化、従業員のモチベーションアップなど、さまざまなメリットをもたらします。

ただし、給与テーブルは、単に報酬の一覧表としての役割を果たすツールには留まりません。給与テーブルの策定は、経営方針や人材育成方針を反映させる人材戦略の一つでもあります。

給与テーブルを作成する際には、自社に適した給与テーブルを選択するとともに、評価基準とも連動させ、定期的に見直しをしながら運用していくことが重要です。

また、従業員との良好な関係性を構築するためにも、給与テーブル作成後は従業員への情報公開も検討することをおすすめします。

HRMOSタレントマネジメントで公平かつ公正な給与テーブルを作成

人材不足が深刻化する今、従業員が意欲的に業務に取り組める環境を整備するうえでは、給与面での不満をなくし、公平かつ公正な評価を提示できる的確な給与テーブルの作成が欠かせません。

HRMOSタレントマネジメントは、従業員の保有するスキルや資格、評価などの一元管理を実現します。

特にスキル管理機能では、職種・役職などの属性ごとに求められるスキルを定義し、各人のスキルを可視化できる数値で表すことが可能です。

さらにHRMOS労務給与と連携して、評価結果を反映した給与計算を自動で算出ができ、給与明細の作成も行うことができます。

自社の成長につながる給与テーブルを作成する際には、客観的なデータで精度の高い給与テーブルの作成をサポートするHRMOSタレントマネジメントの導入をご検討ください。

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