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設立から数十年、あるいは100年以上経過している企業であっても今後も安泰が続くとは限りません。消費者のニーズは、日々移り変わっており途端に見向きもされなくなる企業が出てくる可能性はあります。移り変わりの激しい時代を生き残るには、イノベーションの創出が必須で、それにはイノベーションリーダーの存在も不可欠です。本記事では、イノベーションリーダーの育成に必要な組織のあり方や育成のポイントなどを解説します。
イノベーションとイノベーションリーダー
基礎知識として、イノベーションとイノベーションリーダーについて押さえておくことは大切です。ここでは、イノベーションとイノベーションリーダーの意味や、同じくイノベーションを起こす人を指す「イノベーター」という表現との違いについても解説します。
イノベーションとは
イノベーションは、英語で「innovation」と表記され、和訳すると「革新」「刷新」「新機軸」という意味です。日本では、特に「技術革新」と表現されるケースが多いでしょう。しかし、必ずしも新たな技術に関する変革のみがイノベーションと呼ばれるわけではありません。イノベーションは、企業が作り出す製品に対して用いられることの多い表現であるもののビジネスにおいては、それ以外にも当てはめられます。例えば、「仕組み」「サービス」「組織」「ビジネスモデル」などでもイノベーションは起こりえるでしょう。さまざまなものや分野において、新たな価値観が創出・提供され、それが革新的かつ消費者や社会のニーズにマッチしているものがイノベーションの定義といえます。
イノベーションリーダーとは
イノベーションリーダーとは、企業やプロジェクトチームなどの組織内でイノベーションを起こすための活動を先導する役割を担う人物を指します。具体的に、イノベーションリーダーと呼ばれる役職を置いている組織もあれば、役職というよりも立場的にその役割を任されているケースなどさまざまです。また、イノベーションリーダーごとに特徴やタイプは異なり、それぞれで具体的な役割や得手不得手にも違いがあるなど明確な定義はありません。組織内で各人材をまとめ、他部署などとも連携しながら新たな発想を形にする役割を任された人物がイノベーションリーダーといえます。
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イノベーターとの違い
イノベーションを行う人物は、しばしば「イノベーター」とも表現されます。イノベーターを和訳すると「革新者」となるでしょう。他の人にはない発想やアイディアにより、突如革新的な製品や仕組みを生み出す人に対して使われます。わかりやすい表現をすれば、いわゆる「天才」です。イノベーションリーダーも才能にあふれている人は多々いますが、必ずしも天才とは限りません。多くの経験や学習、企業による育成などにより、イノベーションリーダーとして活躍している人もいます。他の人とは明らかに異なる才能や発想を持つイノベーターに対し、周囲を巻き込みながら組織全体で新しいアイディアを創出し形とするのがイノベーションリーダーです。
・入社手続きの効率化
・1on1 の質の向上
・従業員情報の一元管理
・組織課題の可視化
イノベーションリーダーが必要な理由や背景
イノベーションリーダーの育成には、さまざまな知見が必要になるため、環境や制度を整えなければいけません。その前に、イノベーションリーダーが必要な理由や背景についての理解も深めておく必要があります。単に、「他の企業も取り入れているから」「よく見聞きするようになったから」といった理由ではなく自社にとっての必要性の認識が重要です。
少子高齢化による人材不足
少子高齢化は、人口の減少だけでなく労働力の減少ももたらしています。人材獲得競争は激化し、今後はさらに多くの企業で人材不足の状態が加速していくでしょう。そのような状況のなかで、例えば人事や採用に関して革新的なプロセスやモデルが創出・構築されれば人材の確保がしやすくなる可能性が生まれます。あるいは、少人数で従来と同等の業務がこなせるビジネスモデルやオペレーションモデルが作られれば、人材不足の問題も解消可能です。
イノベーションと聞くと、「最新技術を用いた革新的な製品」をイメージしがちですが、上述したようにさまざまな分野で起こる可能性があります。少子高齢化による人材不足をイノベーションにより補うには、新たな視点や着想が不可欠であり、そのためにはイノベーションリーダーの存在が欠かせません。他の企業とは異なる取り組みが評価されることにより、その企業で働きたいと考える人も増えるでしょう。結果的に、人材の確保がしやすくなる効果も期待できます。
IT技術の進化
IT技術の進化は非常に目まぐるしく、多くの人は最新の技術や情報にアクセスできていません。しかし、イノベーションの創出の多くはいかに最新のITに関する技術や情報をキャッチできるか次第ともいえます。特に、古い体質の残っている企業や年功序列型の組織ではIT技術の進化についていけていない状況があるでしょう。このままでは、淘汰されるリスクも高まりますが、イノベーションリーダーの存在や育成はそうしたリスクを低下させる効果をもたらします。なぜなら、最新技術を貪欲に学ぶ姿勢があり、その活用方法を見出す能力と組織に浸透させる影響力を持っているからです。
IT以外にも、今後もさまざまな技術の進化が巻き起こるでしょう。イノベーションリーダーのいない企業は、社会のニーズに応えられなくなり、そのたびに淘汰されるリスクにさらされます。進化する技術を取り入れ革新的な組織となるには、イノベーションリーダーの存在が不可欠です。
消費者ニーズの変化
少子高齢化は、消費者数の減少ももたらしています。価値観の多様化により、消費者のニーズにも変化が見られている状況です。若者のテレビ離れや自動車離れなどという表現は、よく見聞きしますが、そのような現象はさまざまな分野で起こっていると危機感を持たなければいけません。多様化する、あるいは急激に変化する消費者ニーズに応えるにはイノベーションが必要です。さらに、それを絶えず生み続ける必要もあります。
企業のなかには、たまたま消費者のニーズをつかめる商品の開発に成功したというケースもあるのではないでしょうか。しかし、そうした商品の開発を何度も繰り返すのは容易ではありません。時代や消費者ニーズが変化しても、その都度評価され受け入れられる商品を作り続けるには、優れたイノベーションリーダーが必要です。どの企業にとっても不可欠な存在であり、早めに育成に取りかかっておくことが求められます。
グローバル化
情報化社会が進み、世界との壁がなくなりつつあります。言語や通貨、文化といった違いはあったとしてもビジネス上のつながりは今後も増していくことは確実です。グローバル化は、世界市場だけでなく国内市場での競争も激化させます。海外展開するかどうかにかかわらず、新たな視点や発想での商品やビジネスモデルの創出は欠かせません。優秀なイノベーションリーダーが育成できれば、国内外双方の需要を獲得しやすくなるでしょう。グローバル化を危機と捉えるのではなくチャンスと捉えられれば、イノベーションリーダーの存在意義はさらに高まります。そのような意識変革が行えない企業は、グローバル化の波に飲まれ、生き残りが困難なものとなりかねません。
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イノベーションリーダーの役割
イノベーションリーダーは、いくつかの役割を担っています。それぞれの役割は、イノベーションの創出に欠かせないものが多く組織ではこれらの役割を果たせる人材の育成が不可欠です。ここでは、イノベーションリーダーの基本的な役割を解説します。
明確なビジョンをもとに周囲を巻き込む
イノベーションリーダーは、目標や方向性といった明確なビジョンを持っている必要があります。リーダーである以上、メンバーに対しゴールを示さなければいけません。明確な必要もあるため、可能な限り数値化を含めた可視化をしなければならず、そのための能力も求められます。明確にしたビジョンを、周囲に理解・浸透させることも重要な役割の一つです。チーム全体が納得していなければ、いくらよいアイディアがあり優れた人材がそろっていたとしても組織としてのイノベーションの創出は難しいでしょう。
新たな価値を創出し提案する
イノベーションとは、新たな価値の創出でもあります。新たな価値が生み出されれば、それが革新的な技術やモデル、商品を作り出すきっかけとなり得るでしょう。豊富な知識や優れた技術を持っているだけでは、イノベーションリーダーは務まりません。そこから新たな価値を見出し、さらに提案する能力も求められます。イノベーターとは異なるため、必ずしも新たな価値をそのまま商品とし提供する必要はありません。組織内で新たな価値を共有しながら、徐々に革新的なモデルや商品へと昇華させていくための土台作りが重要な役割となります。
ビジネスモデルを構築する
イノベーションリーダーのタイプは、商品の企画や開発に携わる人材や、マーケティングに関わる人材など多岐にわたります。新たな製品やサービスが作られたら、それを市場に投入するためのビジネスモデルが必要です。マーケティングやプロモーションの分野のイノベーションリーダーであれば、このビジネスモデルの構築が求められます。同じ商品でも、販路や企画などによって売上や市場での評価が変わるケースは少なくありません。最適なビジネスモデルの構築は、企業の業績に直結する重要な課題です。イノベーションリーダーの役割であり、重要な責務にもなります。
イノベーションを実現へと導く
アイディアや発想は、従業員の頭の中にあります。なかには、想像力に長け画期的なアイディアを持っている人もいるでしょう。しかし、それらをすべて形にできるとは限らず、むしろ実現できる人や組織は決して多くはありません。チーム内で生まれたアイディアを形にし、機能や商品化させることもイノベーションリーダーの役割の一つです。チームをまとめ、現実的な目標を設定し、調査や分析、改善を繰り返しながら、イノベーションを実現へと導きます。
イノベーションリーダーに向いている素質
イノベーションリーダーは、企業による育成が可能です。しかし、育成を行ったからといって誰でもなれるわけではありません。育成対象となる人材は、丁寧に選別する必要があるため、事前に優秀なイノベーションリーダーとなれるポテンシャルを備えているかどうかの確認が不可欠です。ここでは、優秀なイノベーションリーダーとなれる可能性の高い人が備えている素質を紹介します。
本質を見抜く着眼力と分析力
世の中の価値観や常識とされるものが常に正しいとは限らず、それらが今後も正しいとされるとも限りません。重要なのは、そのときどきや状況・現象ごとの本質を見抜くことです。物事に対して角度を変えて見てみると、これまでとは異なる姿を示すこともあるでしょう。また、複数のデータを調査・分析すると、やはり一般的な解釈とは違った姿を見せることもあります。そうした従来や他者とは異なる着眼点を持ち、分析の重要性への理解と能力を持っている人はイノベーションリーダーに適任です。課題の発見にも、本質を見抜く力が欠かせません。イノベーションは、課題から生まれるケースも多いため、常に課題と向き合い解決するための行動に出られる人はイノベーションリーダーの素質があるでしょう。
高いコミュニケーション能力と協調性
イノベーターには、コミュニケーション能力のあまり高くない人もしばしばいますが、イノベーションリーダーには高いコミュニケーション能力と協調性が求められます。これらの能力が劣っていると、チームメンバーなど周囲は巻き込めません。革新的なアイディアの伝達や共有も困難です。同じ内容でも伝え方が異なれば、相手の受け取り方も変わります。リーダーである以上、メンバーに厳しいことを言わなければならない状況も訪れるでしょう。そうした局面を乗り越えて強固な組織を作り、かつイノベーションや目標を成し遂げるには、信頼を得られる伝え方が求められます。
強い忍耐力や胆力
多くの企業では、イノベーションに向けて日々努力をしています。しかし、世の中に受け入れられる革新的な技術やアイディア、ビジネスモデル、商品などはごくわずかしかありません。それほど、イノベーションは難しいものでもあります。イノベーションを目指すからには、リーダーは強い忍耐力と胆力を備えていなければいけません。社内からの反発や世間からの厳しい声、具体化・具現化が困難なアイディアなど、いくつもの壁が立ちはだかるでしょう。イノベーションリーダー自身が強い忍耐力と胆力を持っていなければ、チームで壁を乗り越えることはできず、アイディアのままで終わってしまう可能性が高まります。
柔軟な思考や発想力
柔軟な発想力は、イノベーションには不可欠です。高度な技術が生み出すイノベーションもありますが、多くの革新的な商品の誕生は、突飛な発想がきっかけとなっているケースが多いでしょう。また、柔軟な発想力は周囲にも影響を及ぼします。イノベーションリーダーの考え方や行動に柔軟性があれば、チーム全体が同様の特徴を持ちやすくなるケースも少なくありません。一般的には、「おかしい」「無理だ」「前例がない」と言われてしまうようなことを頭の中にイメージできる必要があります。なぜなら、そうしたネガティブな意見はむしろイノベーションへとつながる可能性が高いからです。変わり者は、イノベーションリーダーとしての素質を備えているといえるでしょう。
好奇心や探究力
好奇心や探究力は、新たな知識や情報、技術の習得を促します。イノベーションそのものは、アウトプットの作業です。しかし、頭のなかに知識や情報がなければそもそもアウトプットできません。好奇心や探究力は、インプットの量を増やします。そのなかから、イノベーションの小さな種の発見へとつながるケースは多々あるでしょう。わからないことをすぐに調べる人や、わかるまで追究しようとする人は、イノベーションリーダーに適した人材です。
高いレジリエンス
ストレスを感じたり、危機的な状況に陥ったりした際の精神的な回復力を指す表現が「レジリエンス」です。イノベーションという難しい課題に取り組んでいる限り、ストレスや困難は避けられません。しかし、その際の回復力が高ければモチベーションを維持しながら商品開発やビジネスモデルの構築にまい進し続けられます。高いレジリエンスは、リーダーに欠かせない素質であり、イノベーションリーダーも備えておきたい重要な資質の一つです。単に、「鈍い」というわけではなく失敗をポジティブに捉えられる思考ともいえるでしょう。
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優秀なイノベーションリーダーが育ちやすい組織の特徴
イノベーションリーダーの育成の成功は、組織の環境や制度にかかっているといっても過言ではありません。組織的な育成プログラムも重要ですが、全社的にイノベーションが生まれやすい環境などを整えておくことが必要です。ここでは、優秀なイノベーションリーダーが育ちやすい組織の特徴を解説します。
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変化や時代の流れに敏感である
変化や時代の流れに敏感な風潮の組織は、イノベーションリーダーが育ちやすい環境がある程度整っているといえます。新しいシステムや流行しているモデルを次々と試すような企業が当てはまるでしょう。これは、企業として最新の技術や情報の受け入れに抵抗がなく常に進化や成長を目指しているケースが多いためです。そのような企業に身を置く従業員も、自然と変化や時代の流れに敏感となり常にアンテナを張るようになります。インプットの量は上がり、質も高まるため、新しいアイディアを生み出す人が多く育ちやすいでしょう。
活発なコミュニケーションが行える環境が整っている
イノベーターであれば、一人でイノベーションを巻き起こせる可能性があります。しかし、イノベーションリーダーは、あくまでもチームとしてイノベーションの創出を目指さなければいけません。そのために不可欠であり、新しいアイディアや思考を生み出すサポートをしてくれるのが、活発なコミュニケーションが行える環境です。コミュニケーションは、インプットとアウトプットを繰り返す作業といえます。役職や立場、性別や年齢など、自分とは異なる特徴を持ったさまざまな人との活発な交流は、インプットとアウトプットの質や量にもよい影響を与えるでしょう。そこから得られるものをヒントとし、革新的なアイディアを思いつく人が出てくる可能性も高まります。日常的に活発なコミュニケーションが行える環境は、イノベーションリーダーの誕生や育成に欠かせません。
チャレンジを推進・評価する風土がある
イノベーションを目指す以上、成功よりも失敗のほうが確実に多くなります。突拍子もないアイディアや行動は、イノベーションにつながるか大失敗を招くかのどちらかとなりかねません。大失敗を許さない雰囲気があると、誰もチャレンジしなくなります。そのような環境において、イノベーションは生まれません。反対に、チャレンジを推進しチャレンジそのものを評価する風土があれば常にアイディアや興味深い意見が湧き出てくる可能性が高まるでしょう。そうした環境では、イノベーションだけではなく優秀なイノベーションリーダーも生まれやすくなる効果が期待できます。
中長期的な視点を持っている
簡単には創出できないイノベーションを目指すのであれば、組織全体で中長期的な視点を持っている必要があります。短期的な成果のみを求める組織では、目先の利益にとらわれ、誰も新しい商品やビジネスモデルを生み出そうとはしないでしょう。なぜなら、イノベーションには活発な議論や時間をかけた調査・分析、失敗と改善の繰り返し、多くの情報や知識の獲得などが欠かせないからです。短期的な目標設定は必要ですが、それが中長期的な目標の設定および達成へとつながっているといった意識を組織全体で共有しなければいけません。腰を据えて取り組める環境は、イノベーションやイノベーションリーダーを生むために不可欠といえます。
イノベーションリーダーの育成効果を高める施策
企業が優秀なイノベーションリーダーの育成のためには、どのような施策が必要でしょうか。ここでは、育成効果を高めるための施策を紹介します。
多様な人材を受け入れる
イノベーションは、さまざまな意見が知識や情報とともに交わされるなかで生まれるケースもあります。一つの施策として多様な人材を受け入れれば組織内の知識や情報がさらに増え、新しい発想が生まれやすくなるでしょう。多様性のある環境で働く人たちは、柔軟な思考や視点を持ちやすくなりコミュニケーション能力の向上も見込めます。これは、それらの能力を備えなければ多様な人材や意見をまとめられないためです。イノベーションの創出とともに、イノベーションリーダーの育成効果の向上にも期待できる多様性の受容は、時代や社会の価値観にもマッチしています。そのため、多くの企業が積極的に取り入れたほうがよい施策となるでしょう。
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年功序列ではなく成果主義を取り入れる
年功序列中心の企業も減りつつありますが、リーダーの育成を重視するのであれば、成果主義中心の評価制度を取り入れたほうがよいでしょう。誰から、どのようなアイディアが生まれてくるかはわかりません。革新的なアイディアを思いついたとしても、年功序列制度では評価につながらない可能性が高く次第に多くの人の想像力や好奇心、探究心が削がれていってしまいます。成果主義の制度下であれば、アイディアが評価へとつながりやすくなるため、イノベーションへの創出にもさらに意欲的になれるでしょう。そもそも、リーダーは素質や成果によって選んだほうがよく、年齢や勤続年数などによる選任は適切ではありません。誰のアイディアや意見でも評価されるように、成果主義か、それに近い評価制度の整備が求められます。
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心理的安全性を高める
多くの人のアイディアや意見が排除されない環境は、評価制度のみに関係しているわけではなく、組織のあり方そのものともいえます。誰もが自由かつ平等に発言や発信ができ、それに対して排除や嘲笑などが行われない環境は、いわゆる心理的安全性が高い状態です。イノベーションリーダーをはじめ、革新さや斬新さを求める人たちは、しばしば突拍子もないことを言い出すでしょう。そうした意見に対して叱ったり排除したり嘲笑したりすると、徐々に革新さや斬新さが失われていきます。組織全体として心理的安全性を高め、さまざまな意見やアイディアを可能な限り多くの人で受け入れ共有する環境こそ、イノベーションリーダーの育成には重要です。
副業を推進する
徐々に副業を認める企業も増えてきていますが、イノベーションリーダーの育成効果を高めたいのであれば、より副業を推進したほうがよいでしょう。これまで説明してきたように、イノベーションにはさまざまな経験や知識、情報、技術などが欠かせません。インプットとアウトプットの質と量が、イノベーションの創出に関係しているともいえます。副業は、本業とは異なる知識や情報、技術、人脈を手に入れる場となるでしょう。本業に支障が出るような副業は避けたいところですが、イノベーションにつながる可能性があると判断されれば、むしろ推進したほうが企業にとっても有益です。新しい気づきによって、さらにイノベーションリーダーとしての能力が高められ、結果的には企業によい効果をもたらすことが期待されます。
まとめ
イノベーションリーダーは組織の環境や取り組みによって育成できる
イノベーションリーダーとは、組織でイノベーションを生み出すための活動や業務を先導する人材のことです。消費者ニーズの変化などへの対応には、その存在が欠かせません。しかし、誰にでも務まるものではなく分析力や協調性、忍耐力や発想力などに優れている必要があります。イノベーションリーダーは、育成可能ですが優秀な人材となるかどうかは育成プログラムだけではなく組織の環境や取り組みにも大きく左右されるでしょう。