オンボーディングプロセスの目的とは?実施のメリット・効果・企業事例などを徹底解説

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オンボーディングプロセスとは、新入社員が会社や業務に早く慣れるようにサポートする施策です。日本においては、早期離職を防ぎ優秀な人材に長く定着してもらうための施策としても注目されています。そこでこの記事では、オンボーディングプロセスの定義や目的、メリット・効果、注目される背景、実施の流れ、企業事例などを解説します。

オンボーディングプロセスの概要

はじめにオンボーディングプロセスの定義や目的、実施する内容について解説します。

オンボーディングプロセスの定義

オンボーディングプロセス(on-boarding-process)とは、新卒社員や中途採用社員などの新入社員を対象に、入社後に必要となる知識やスキルを教育することや、悩みの相談に乗るなどしてサポートする施策です。オンボーディングには「船や飛行機に乗っている」という意味があります。また、プロセスには過程・手順・工程などの意味があるため、事前に決めた一定の方式で教育を施す意味が込められています。つまり、オンボーディングプロセスは、同じ組織の一員となった新入社員を迎え入れて、早く仕事や職場に慣れてもらうプロセスという思いが込められている施策です。なお、オンボーディングプロセスは、単にオンボーディングと呼ばれたり、オンボーディング施策と呼ばれたりする場合もあります。
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オンボーディングプロセスの目的

企業がオンボーディングプロセスを実施する主な目的は、新入社員の定着化早期戦力化の2つです。入社間もない新入社員は不安定な状況に置かれています。困ったことを誰に相談したらよいのか、福利厚生の仕組みはどうなっているのか、業務をどのように行えばよいかなど、さまざまな疑問や不安を抱えていることでしょう。オンボーディングプロセスには、こうしたストレスを適切に取り除き、会社に定着してもらうようにする役割があります。

また、新入社員が能力を発揮し、企業に貢献するまでの期間を短縮させるのもオンボーディングプロセスの重要な目的です。いくら能力を持った新入社員でも、企業のビジョンや経営方針を理解できていなければ、どのように自分の能力を発揮すればよいかわかりません。企業はどのような人材を求めているかについて、オンボーディングプロセスでしっかり伝えることが重要です。また、会社の設備やツール、データなどに適切にアクセスできるようにする施策もオンボーディングプロセスで行います。こうした社内インフラの活用法などを配属先の上司や同僚が教えると本業に支障が出る恐れがあるため、オンボーディングプロセスで教えておくのが効率的です。

オンボーディングプロセスの施策内容

オンボーディングプロセスは、会社に早く馴染んでもらうための施策全般を指します。一例を挙げると以下のとおりです。

  • 内定後の研修
  • 内定後の会社見学
  • 新人研修、オリエンテーション
  • 懇親会の実施
  • 定期的なスキルアップ研修

このようにオンボーディングプロセスには幅広い施策が含まれるため、一般的に人事部がリーダーシップをとり、関係各所の協力を得ながら取り組みます。どのような施策をオンボーディングプロセスに組み込むかは企業によって違いますが、少なくとも入社後の短期的な施策ではありません。オンボーディングプロセスは短くても3カ月、長ければ数年単位で継続的に実施する中長期的な施策であるのが特徴です。
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オンボーディングプロセスと混同しやすい用語との違い

オンボーディングプロセスには混同しやすい用語がいくつかあるため注意が必要です。ここではカスタマーサクセスとしてのオンボーディングプロセス、OJT、メンター制度との違いを解説します。

カスタマーサクセスとしてのオンボーディングプロセス

オンボーディングプロセスという用語は、カスタマーサクセスを支援する施策としても用いられます。この場合のオンボーディングプロセスは、新規顧客が自社商品・サービスの活用方法をいち早く理解してもらうための施策です。例えば、自社のITツールを購入してくれた顧客に対して初期設定を代行したり、使い方についての講習会を無償で実施したりするなどの施策が挙げられます。こうした施策によって、顧客の満足度を高めて離脱を防いだり、顧客が定着して購買額が増えたりすることを期待できます。

つまり、カスタマーサクセスとしてのオンボーディングプロセスと、人材育成としてのオンボーディングプロセスの違いは、施策の対象者とその目的です。

OJT

OJT(On the Job Training)とオンボーディングプロセスは内容が異なります。OJTは実際の業務についての知識、技術を学ぶために、職場の上司や先輩が指導役となって教育を実施します。一方、オンボーディングプロセスで教育する内容は、新入社員の配属先やスキル、経験などを問わない一般的な内容が中心です。OJTは実践的な教育、オンボーディングプロセスは広範囲で包括的な教育ともいえるでしょう。OJTはオンボーディングプロセスの一部であるということもできます。
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メンター制度

メンター制度とは、新入社員よりも知識や経験を有する先輩社員が相談役(メンター)となり、新入社員をサポートする制度です。メンター制度でサポートする内容は、業務に関する範囲にとどまらず、人間関係の悩みやプライベートの悩みなど幅広い内容を含みます。したがってメンターとしては、新入社員が気軽に相談しやすいように直属の上司は避け、年齢や経歴がそれほど離れていない先輩社員が選ばれるのが一般的です。このメンター制度は、オンボーディングプロセスの一環として取り入れられます。

オンボーディングプロセスを実施するメリット・効果

オンボーディングプロセスを実施することによって、企業はどのようなメリット・効果を期待できるのでしょうか。6つの項目に分けて解説します。

1.早期離職を防止

オンボーディングプロセスを適切に実施すれば、新入社員のストレスを緩和し、早期離職を防止できます。入社直後の新入社員はわからないことだらけで大きな不安を持っているものです。また、数週間から数ヶ月ほど経過して心の余裕が出てきた際にも、自分の理想と現実のギャップに気付いて悩んだり、我慢していた不満が噴き出したりする場合があるでしょう。こうした際にオンボーディングプロセスで新入社員のサポートを担当する人員を配置しておくと、悩みを聞いてあげられます。また、新入社員が会社にフィットするためのアドバイスや手助けもできるでしょう。結果として早期離職を予防する効果が見込めます。

配属後であれば、職場の上司・同僚に任せたほうがよいのではないかという意見もあるでしょう。しかし、新入社員は人間関係を十分築けておらず、相談する相手がいない場合がほとんどです。また、現実的には職場の人に「仕事にやりがいを感じない」「あなたと仕事をしたくない」などと言いにくい面もあります。「こんな小さな問題を相談して申し訳ない」といった遠慮も働くでしょう。そのため、入社後1年くらいまでオンボーディングプロセスを実施して、人事部や配属先の部署以外の人がサポートしている企業も珍しくありません。

2.採用コストの削減

オンボーディングプロセスにより離職率を下げられれば、新たに人材を採用するコストを減らせます。また、採用活動に関わる人事担当者の工数も削減可能です。能力はあるのに、なぜか職場になじめず退職してしまう人材は多くいます。また、多大な育成コストがかかり、ようやく企業に貢献できるようになったと思ったら離職してしまうケースもしばしばです。こうした離職による採用コストの増大は、職場になじむのを助け、順調な成長につなげる適切なオンボーディングプロセスによって防ぐことができます。

3.戦力化までの時間を短縮する

オンボーディングプロセスを実施すれば、戦力化までの時間を短縮できます。新入社員が能力を発揮できるかどうかは、業務に対する知識や経験だけでなく、企業ビジョンの理解や社内インフラの活用、人間関係の構築といったその他の部分がボトルネックになるケースが多いからです。こうしたボトルネックになる要因を、入社後の初期段階で実施するオンボーディングプロセスで取り除いておけば、戦力化までの時間を短縮できる可能性が高くなります。

4.人材育成を標準化する

組織としてオンボーディングプロセスの施策を用意しておくと、新卒社員や中途採用社員は平等な教育機会を得られるようになります。決まったプログラムに沿って施策が実行されるため、例えば、企業理解に欠かせない教育が省かれてしまうようなことはありません。また、ある人にはメンターが付いたのにある人には付かないといった不平等もなくなるでしょう。日本の企業では、入社後1ヶ月くらいの新人研修をした後は、配属先の上司に一任するケースも少なくありません。しかし、この方法では上司によって教育方針やサポート施策が大きく変わってしまいます。
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5.組織の生産性を向上させる

オンボーディングプロセスは新入社員にとってだけでなく、サポート役となる社員にも教育効果がある施策です。例えば、オンボーディングプロセスの一環として行われるメンター制度でメンターとなった先輩社員は、新入社員から多くのことを学びます。コミュニケーションのとり方やリーダーシップなどのスキルを学んだり、新入社員から指摘されて非効率な業務フローに気付いたりするような場合もあるでしょう。また、職場全体でみても、それぞれ個性を持った新入社員を全員で受け入れて育てていくという好ましい社内文化が熟成されていくことにもつながります。その結果、チームワークが高まり生産性が向上する効果を期待できるのが、オンボーディングプロセスの大きなメリットです。
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6.従業員エンゲージメントの向上

従業員エンゲージメントとは会社に貢献したいという自発的な意欲であり、愛社精神や愛着心と訳される場合もあります。オンボーディングプロセスによって、この従業員エンゲージメントを高められることが知られています。従業員エンゲージメントが高まる理由としては、新入社員の側からみてオンボーディングプロセスはゲストに対する配慮やおもてなしのような側面があるからです。例えば、困りごとを相談できる窓口を用意している企業や、企業カルチャーを理解するための懇談会を催している企業があります。

新入社員として不安な時期にこうしたサポートをしてもらえれば、従業員エンゲージメントが高まるのは自然なことです。給与や待遇だけでは必ずしも従業員エンゲージメントを高められないため、オンボーディングプロセスを重視する企業が増えているのです。
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日本企業がオンボーディングプロセスを重視するようになった背景

オンボーディングプロセスはもともと欧米で考案された企業情報や企業の価値観を伝えるための施策です。新卒学生を一括で採用して終身雇用していた日本企業においては、オンボーディングプロセスはあまり行われていませんでした。しかし、短期離職者の増加や労働力人口の減少、近年ではリモートワークの普及を背景として、オンボーディングプロセスを積極的に行う企業が増えています。それぞれの背景について、詳しくみていきましょう。

離職率の高まり

厚生労働省調査の2020年の調査によれば、新卒就職者の3年以内離職率は新規高卒就職者で36.9%、新規大卒就職者で31.2%でした。この傾向は直近10年間で大きく変わらず、高い離職率が続いている状況です。離職率は従業員数が少ない企業ほど高まる傾向があります。このような状況を受けて、離職率を下げる対策としてオンボーディングプロセスが注目されるようになりました。

出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況を公表します」

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00004.html

労働力減少で人材確保が難しくなった

日本では少子高齢化の影響で労働力人口が急速に減りつつあります。したがって、企業は優秀な人材を奪い合うような厳しい状況に置かれているのです。例えば、IT人材は需要が供給を上回る状況が今後も続き、2030年には、最大で約79万人の人手不足が発生すると予想されています。こうした人材不足が深刻な領域においては、新規雇用のコストが増大するのはほぼ間違いありません。したがって、雇用した新入社員の早期離職を防ぎ、長く定着してもらう対策が必要です。特に専門的なスキル・経験を有する優秀な中途採用社員に対するオンボーディングプロセスが注目されるようになりました。日本企業では新卒社員の人材育成制度が充実していても、中途採用社員へのサポートが薄い企業は少なくありません。人材定着の重要性が増すなか、こうした企業がオンボーディングプロセスを充実させるケースが出てきています。

オンボーディングプロセスは求職者に対しての企業ブランディングという意味でも効果的です。オンボーディングプロセスは社員の働きやすさやモチベーションアップを支援する側面があるため、社員を大切にする会社として求職者から評価されるようになれば、優秀な人を集めやすくなるでしょう。

出典:みずほ情報総研株式会社「IT 人材需給に関する調査」

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf

テレワークで組織に対する帰属感が希薄になった

コロナ禍によって急激に普及したテレワークも、オンボーディングプロセスが注目を集めている要因です。テレワークは場所や時間の制限が少なく、多様な働き方が実現できるメリットがあります。その反面、人間関係の構築が難しかったり、困りごとを相談する人をみつけにくかったりするのがデメリットです。また、他の人が働いている様子が観察できないため仕事の全体像を把握しにくかったり、暗黙のルールとなっている社内文化を理解できなかったりする弊害も指摘されています。このため、テレワークの活用が増えるとともに、オンボーディングプロセスの重要性も高まるようになったのです。

現在では、フルリモートで勤務し、ほとんど出社しない社員を雇用する企業も増えています。こうした社員が企業理念を共有し、組織の一員としての責任とやりがいを持ちながら働けるようにするためにも、オンボーディングプロセスは重要です。

オンボーディングプロセスを実施する流れと具体的な施策

オンボーディングプロセスの施策は大きく入社前、入社直後、入社後の3つの段階で行います。ここでは、それぞれの具体策を紹介しながら、施策を実施する際のポイントを解説します。

入社前のオンボーディングプロセス

オンボーディングプロセスは入社前から実施します。特に新卒採用者は内定から入社までの期間が長いため、離脱者を出さないように丁寧な対応が必要です。代表的な施策を以下に示します。

  • 会社見学会
  • 内定者同士の交流会の企画
  • 先輩社員との懇親会や座談会
  • 会社紹介の資料や社内報などの送付
  • 通信教育の提供、資格取得の補助
  • 定期面談
  • 相談窓口、連絡先の通知

入社前のオンボーディングプロセスでのポイントは、会社に関する情報を的確に発信し、内定者に入社意欲を維持してもらうことにあります。また、疑問や不安に答えることによって、新入社員と人事担当者の信頼関係を構築する効果も期待できるでしょう。信頼関係を構築できていると、入社後の施策もスムーズになります。

入社直後のオンボーディングプロセス

入社直後のオンボーディングプロセスは最も重要な施策といえます。過去にGoogleが発表したデータによると、入社初日にしっかりした受け入れ体制が整っていると、続く3ヶ月のパフォーマンスが30%向上するということです。時間をかけて入念な準備をしておくとよいでしょう。具体的な施策は次のとおりです。

  • 経営陣による企業ビジョン、ミッションについての講義
  • 業界の知識や技術についての知識を身に付ける研修
  • 新人研修、オリエンテーション
  • 会社のルール、社風、文化などについての研修
  • 歓迎会、交流会
  • 質問窓口や相談役の紹介

入社直後の新入社員の多くは、新たな環境に慣れるために精神的にも肉体的にも大きな負担を感じています。必要な知識・スキルを獲得させることも大切ですが、ストレスへのサポートにも留意するとよいでしょう。また、新入社員に対して「あなたを歓迎している」という意志と行動を示すことも大切です。新入社員のモチベーションが高まり、その後の成長にもよい影響を与えられます。

入社後のオンボーディングプロセス

入社後は短くても3ヶ月程度、長ければ1年後くらいまで継続的なフォローが必要です。代表的な施策を以下に挙げます。

  • メンター制度
  • 1to1ミーティング
  • 所属部署や同期の交流会
  • キャリア面談
  • 質問窓口や相談役の紹介

配属後のオンボーディングプロセスでは、配属部署との協力が欠かせません。一般的に、メンター制度では所属部署の先輩社員がメンターになりますし、1to1ミーティングは直属の上司に担当してもらうからです。事前にこれまで行ってきた施策とその目的、成果などを伝えておくと、オンボーディングプロセスに協力してもらいやすくなるでしょう。ただし、配属後にミスマッチや職場の人間関係などの悩みが表面化する場合もあるため、人事部や健康・メンタルヘルスについての相談ができる産業保健スタッフなど配属先の部署以外からもフォローします。

オンボーディングプロセスを成功させるポイント

ここではオンボーディングプロセスを成功させるための5つのポイントを解説します。

パーソナリティーや特性を把握しておく

オンボーディングプロセスに入るまでに、各人材のパーソナリティーや特性を把握しておくことが大切です。方法はさまざまですが、採用活動における適性検査の結果をオンボーディングで活用する方法があります。具体的には、人事担当者が新入社員の適性検査結果と職務内容を照らし合わせて、能力を発揮できそうな配属先を決めるのは、効果的な方法の一つです。また、人事担当者が適性検査結果を分析し、新入社員の強みや弱みを上司や育成担当者に教えておくのもよいでしょう。新入社員の個性に合わせて教育したり、相談に乗ったりしやすくなります。

オンボーディングプロセスを実施する環境整備

効果的なオンボーディングプロセスを実施していくには、ITツールや外部機関との連携が必要になる場合があります。環境整備の例を挙げると以下のとおりです。

  • 情報共有のための社内ポータルサイト、SNSの開設
  • 新人社員の研修状況や面談履歴などを共有できる人事評価システムの導入
  • 健康やメンタルヘルスについて相談できる産業保健スタッフの整備
  • 外部の研修機関の活用

一般的にオンボーディングプロセスの質を高めようとするほど人事担当者の負担は大きくなります。必要に応じて、上記のようなITツールや外部人材を活用しましょう。

目的の細分化

新入社員が達成感を持ちやすいオンボーディングプロセスを企画するとよいでしょう。オンボーディングプロセスでは学校の教育プログラムでも活用されているスモールステップ法が効果的です。

スモールステップ法は、細かな目標を設定し、それらを達成していくと大きな目標を達成できるように教育を実施する手法です。例えば1日目は事業沿革のインプットに専念させた後、2日目でその情報を活用してアウトプットするワークショップを実施して達成感を得られるようにします。このような研修のセットを幾つか行なって、自社の企業価値を体験的に理解できるような教育内容にしておけば、効果的なオンボーディングプロセスになるでしょう。

PDCAサイクルを回す

オンボーディングプロセスを実施した後は、アンケート調査や成果測定を行い、改善につなげていきます。このフィードバックのプロセスを省略してしまうと、ミスマッチが生じていたり、新人社員の不満がたまっていたりすることに気付けません。最悪の場合は離職につながってしまうでしょう。そこで重要になるのが、新人社員側からのフィードバックです。入社前・入社直後・入社後1週間、1ヶ月、半年後のように定期的にヒアリングを行い、改善するべきところがないか検討していきましょう。併せて、指導役となった担当者へのヒアリングも欠かせません。オンボーディングプロセスによって本業に支障が出なかったか、新入社員の反応はどうだったかなど、多角的に聞き取って改善につなげていきます。

オンボーディングプロセスの企業事例

企業はどのようなオンボーディングプロセスを行なっているのでしょうか。2社の事例を紹介します。

Google

Googleは世界的にみても従業員エンゲージメントが高い企業とされています。その一因となっているのが、シンプルで具体的なオンボーディングプロセスです。Googleが実行のチェックリストに入れている施策例を以下に紹介します。

  • 役割と責任について互いに話し合う
  • オープンな対話を奨励する
  • 新入社員に同期社員を紹介する
  • 新入社員のソーシャルネットワーク構築をサポートする
  • 入社後にメンターを割り当て、3カ月間サポートする
  • マネジャーは入社後1週間以内に1対1のミーティングを実施する

このように、どれも具体的な内容が細かく決まっています。Googleは自社のオンボーディングプロセスを積極的に公開しているので、自社施策の参考になるでしょう。

キユーピー株式会社

キユーピー株式会社は、工場勤務の社員に対する電気や圧縮機、ポンプなどの基礎教育の時間が足りないという課題を抱えていました。しかし、直接の指導や研修会を実施すると、本業に影響が出てしまいます。そこで活用したのは、外部機関が提供しているeラーニングです。eラーニングならば業務と並行しながら、自分のペースで研修を受けられます。このため入社後3年間という長期間のオンボーディングプロセスによって、業務の土台となる基礎知識を学ばせることが可能となりました。

長期のオンボーディングプロセスとなると、人事担当者や職場の教育担当者の負担が多く、実行が難しいと考える企業もあるでしょう。しかし、キユーピー株式会社のようにeラーニングを活用すれば、教育者にも新入社員にも負担の少ない方法でオンボーディングプロセスを実施できます。

まとめ

オンボーディングプロセスで新入社員の離職を防ぎ優秀な人材に育成していこう

オンボーディングプロセスは離職率低下や戦力化までの期間短縮など多くのメリットがあります。効果的なオンボーディングプロセスを実施していけば、結果として組織力も高まっていくでしょう。しかし、オンボーディングプロセスは短期間の研修やオリエンテーションと違い、長期的な計画や成果測定が必要です。自社のノウハウが乏しい場合は、外部研修機関の支援を受けるなどして、質の高い施策にしていきましょう。

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