目次
目まぐるしいスピードで変化し顧客のニーズも多様化している現代社会で、企業として成長を続けていくためには、イノベーションの創出が必要不可欠です。
そのため、多くの企業がイノベーション人材の育成に積極的に取り組んでいます。では、イノベーション人材とはどのような能力を持つ人材なのでしょうか。
今回は、イノベーション人材のタイプや育成方法、成功事例などについてご説明します。
効果的な「1on1」を実施できていますか?
- 1on1による学習サイクル
- 業務習熟度別コミュニケーション
- 1on1の進め方
- 傾聴態度チェックリスト
- 11の1on1テーマ
- 1on1改善事例
イノベーション人材とは
イノベーション(Innovation)とは「革新」や「刷新」を表す言葉です。
日本では、イノベーションを「技術革新」と訳していた時期が長かったため、革新的な技術を生み出すことがイノベーションであると考えられてきました。
しかし、現在ではイノベーションは技術に限らず、物事の新しい切り口や新しい捉え方を創造することで新たな価値を生み出し、社会に大きな変化を起こすことを指す言葉として用いられています。
また、「イノベーション人材」とは、イノベーションを実現できる能力を持つ人材のことです。
ビジネスに必要な「モノ」「サービス」「組織」「仕組み」「ビジネスモデル」などに柔軟な発想で新たな価値を生み出し、発想を具現化することで企業に変化をもたらす人材をイノベーション人材といいます。
なぜ企業にイノベーション人材が必要なのか
近年、多くの企業がイノベーション人材の確保に力を入れています。ではなぜ、イノベーション人材が必要なのでしょうか。
VUCA時代における競争力の源泉
現在は変化のスピードが速く、将来の予測が難しい、複雑で曖昧なVUCA(ブーカ)の時代といわれています。
テクノロジーの進化によって次々と新たな商品やサービスが提供されるようになり、市場のニーズや消費者の価値観の多様化も進んでいます。
そのため、商品やサービスのライフサイクルも短くなり、従来通りの企業活動を続けているだけでは競争力が低下し、業績が悪化する恐れが生じます。
VUCAの時代に競争力を維持し、成長を続けるためには、固定観念にとらわれず、柔軟な発想で革新的なサービスや商品、ビジネスモデルを生み出すイノベーション創出が大きな役割を果たします。
したがって多くの企業では、これまでにない、新しい価値を創造できるイノベーション人材を求めているのです。
消費者ニーズの変化と新技術による市場機会の創出
企業はこれまで、広告媒体を用いて自社の製品やサービスを広く消費者にアピールし、顧客を育てるマーケティングを行ってきました。つまり、従来のマーケティング方式は、広告によって消費者の受動的な行動を促すものだったといえます。
しかし、インターネットの普及に伴い、消費者は自らが望む商品やサービスを、パソコンやスマートフォンなどで自発的に検索できるようになりました。
そのため、消費者は必要なモノやサービスを自由に選べるようになり、企業にはより消費者のニーズに応える製品やサービスの提供が求められるように変化しているのです。
さらに、AIやIoTなど新たな技術を活用することで、短期間で新たな製品やサービスを次々に作り出すことができるようになっています。
そのため、イノベーション人材の活用により、新たなアイディアを具現化し、市場にまだない価値を作り出すことができれば、新たな市場機会の創出が可能です。市場機会の創出は、企業の成長につながるでしょう。
組織の活性化と既存事業の改善
イノベーションの対象となるのは、モノやサービスだけではありません。組織もイノベーションにより、活性化するものです。
しかし、組織内に失敗を恐れ、新しいチャレンジを避ける風潮がある場合、イノベーションは起こりにくくなります。
イノベーションは、新たな価値の創造であり、新たな価値を作り出すためには新しいことへのチャレンジが必要不可欠なのです。イノベーション人材の失敗を恐れず、挑戦をする姿勢は、組織を活性化します。
また、イノベーション人材は、新規事業や新商品の開発にだけ力を発揮するわけではありません。イノベーション人材が組織にもたらす新しい視点や発想力は、既存事業で提供している製品やサービスを、時代に合わせてアップデートさせる持続的イノベーションの創出にも役立ちます。
イノベーション人材に求められる能力と特徴
イノベーション人材とは、どのような能力を持つ人材なのでしょうか。イノベーション人材の特徴をご紹介します。
創造的思考力
従来の切り口や従来の視点から考えるだけでは、変革を起こすほどのイノベーションを生み出すことはできません。イノベーションの創出には、既成概念にとらわれない柔軟な発想力が必要です。
創造的思考力を持つ人は、さまざまな事柄に興味を持つ傾向にあるといわれています。
広い視野で、多方向にアンテナを張っているからこそ、さまざまな情報や知識が結びつき、新たな価値を作り出すことができるのです。
また、新しいものを創造するときに初めから成功するケースは多くありません。
試行錯誤を繰り返し、失敗の度に工夫を凝らすことで、挑戦を成功へと導きます。したがって、失敗を恐れず、チャレンジし続けることができる高い向上心もイノベーション人材には必要になるでしょう。
分析力と本質を見抜く洞察力
イノベーションを生み出すためには、まず、既存の製品やサービス、市場のニーズ、ライバルの動向、現状の組織の状況などを分析し、現状の課題と市場の真のニーズについて把握する必要があります。
たとえ新たなサービスや製品を生み出した場合でも、市場ニーズと乖離している場合や、他社がすでに提供しているようなものの場合は、企業に革新的な変化をもたらすことはありません。現状を冷静に分析するスキルは、イノベーション人材に必要な能力です。
また、分析するだけでなく、分析結果を整理し、顧客ニーズや現状の課題といった本質的な部分を見極める洞察力も必要だといえます。
さらに、新たな価値を作り出す過程では、困難な課題に直面することもあります。失敗の原因を分析し、最適な課題解決策を考え、実行する問題解決能力もイノベーション人材には欠かせません。
コミュニケーション能力と協調性
コミュニケーション能力と、組織内で円滑に業務を進める協調性も、イノベーション人材には必要です。
新たなアイディアを思いついても、そのアイディアの魅力を十分に伝えるコミュニケーション能力がなければ、組織内での理解を得にくいため、イノベーションの実現が難しくなります。
また、提案したアイディアをブラッシュアップするためには、組織内での活発な意見交換も必要です。
グローバルな展開まで視野に入れている場合には、異文化への理解も必要であり、アイディアの実現にあたってはチームのみならず、関係部署との連携も必要になるでしょう。
そのため、イノベーション人材には、周囲の人との良好な関係性を築くコミュニケーション能力と協調性が求められます。
【関連記事】協調性とは?仕事における「協調性がある人」の長所や特徴などをわかりやすく解説
高いモチベーションと困難に立ち向かう忍耐力
イノベーションにつながる新しい発想は、学びの中で得た知識がつながることで生まれるものです。
また、イノベーションは短期間で実現できるものではありません。そのため、イノベーション人材には、高い学習意欲と長時間モチベーションを維持する資質が求められます。
また、イノベーションは従来の考え方に固執しない新たな発想に基づくものであるため、アイディアを提案した際に、社内で反対されるケースは少なくありません。
そのような場合でも熱意を持って丁寧に説得を続ける忍耐力が必要です。
さらに、製品やサービスの実現までには、トラブルが発生することもあるでしょう。困難をしなやかに乗り越えるレジリエンスや、トラブルを適切に処理する適応力もイノベーション人材に欠かせない能力です。
リーダーシップと実行力
イノベーションは一人だけで生み出せるものではありません。
イノベーションを実現させるためには、目標の達成に向けてチームが一丸となり、進めるべき業務に取り組む必要があります。メンバーのパフォーマンスを最大限に発揮させ、チームとして高い成果を上げるためには、チームを強力に牽引するリーダーシップが必要です。
そのため、イノベーション人材には、ビジョンを明確に示したうえでチームをまとめ、正しい方向に導くリーダーシップが求められます。
また、イノベーションはアイディアを提案しただけで実現できるものでもありません。たとえ困難があったとしても提案したアイディアによって、企業や組織に大きな変化をもたらすという強い信念に基づいた実行力も必要です。
【関連記事】リーダーシップスキルとは?リーダーに必要なスキルの種類とスキルを向上させる方法を紹介
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イノベーション人材のタイプと役割
イノベーション人材は、大きく次の3つのタイプに分けられます。それぞれの役割の違いについてご説明します。
デザイナータイプ
デザイナータイプとは、創造的思考力に優れ、新しいアイディアを生み出す能力に長けた人材です。
市場のニーズや顧客の情報などを考慮したうえで、新しい製品やサービス、ビジネスモデルなどについての企画を立案する役割を果たします。
デザイナータイプには、イノベーションを起こす高い発想力が不可欠ですが、アイディアを具現化するための戦略を練る企画力も必要です。
さらに、チームや関係部署などとの合意を形成するコミュニケーション能力や、ファシリテーション能力も求められるでしょう。
デザイナータイプは、イノベーションに最も重要な新しい発想を考案するだけでなく、プロジェクトを牽引する役割も担う、イノベーションの創造に欠かせない存在であるといえます。
デベロッパータイプ
デベロッパータイプは、デザイナータイプが考案した企画を具現化する設計図を描く人材です。
近年のビジネスシーンにおいてはデジタル技術やITの活用が重要な役割を果たしており、新たな製品やサービスの開発、新たな組織やビジネスモデルの創出、または既存事業の改善など、どの分野においてもITの活用は必要になります。
したがって、プロジェクトを俯瞰的に捉え、イノベーションの実現に必要なすべての技術を選定し、実現までの道筋を示すデベロッパータイプの人材は欠かせません。
数多くのITやデジタル技術の中からプロジェクトの実現に適した技術を選ぶ役割があるため、デベロッパータイプの人材には、最先端の技術も含めた幅広い知識が求められます。
また、プロジェクトが運用段階に入ってからも品質の向上を目指し、フィードバックをもとに改善策を提案、実施するPDCAサイクルの実行能力も必要になるでしょう。
プロデューサータイプ
プロデューサータイプは、チーム内はもちろん、外部とも良好な関係を維持し、プロジェクト全体を指揮する役割を果たす人材です。
イノベーションを実現するには、現状を正確に把握する必要があり、プロジェクトを管理するプロデューサータイプには、市場のニーズや自社の課題などを把握し、詳細に分析する能力が求められます。
また、プロジェクト全体を捉える広い視野、メンバーの能力を最大限に発揮できるようチームをマネジメントする能力、目標実現のためにチームをまとめあげるリーダーシップも必要です。
つまり、プロジェクト全体を指揮し、成功に導く存在がプロデューサータイプであり、プロデューサータイプなくしてイノベーションは実現し得ないともいえるほど重要な存在です。
イノベーション人材の育成方法
イノベーション人材の重要性は認識していても、育成方法が分からないケースもあるでしょう。イノベーション人材の育成方法についてご紹介します。
多様な経験の機会提供
新たな発想とは、ゼロから生み出すものだけを指すのではありません。
これまでの経験や学習で得たさまざまな情報や知識を組み合わせることで、新しい発想は生まれやすくなります。
したがって、イノベーション人材を育成する際には、業界イベントへの参加や異業種交流会、外部機関などへの出向、ボランティア活動などを促進し、多様な経験を積める機会を提供することも大切です。
新しい環境では、自身が所属する組織との考え方の違いや、価値観の違いなどに触れることができます。これまでとは異なる環境での経験は、イノベーションにつながる創造的思考力を向上させるだけでなく、コミュニケーション能力やファシリテーション能力の向上にもつながるでしょう。
スキル開発や学習環境の整備
従業員の持つスキルやコンピテンシーなどを見極め、すでに保有しているスキルをさらに強化することは、従業員のさらなる成長を促します。
したがって、スキル開発により、イノベーション人材に必要な創造的思考力、分析力、洞察力、コミュニケーション能力、リーダーシップなどの向上が期待できます。
特に、ディスカッションを通してさまざまな考え方や経験を持つ人との接触機会を得られる集合型のデザインシンキング研修は、イノベーションに必要な発想力の向上につながるでしょう。
また、複数人で決められた時間内にアイディアを出し合い、結果を競い合うアイデアソン研修など、演習を含む研修の活用も有効です。
そのほか、実際にイノベーションを創出するプロジェクトへの参加も実践的な経験となり、人材の育成につながるでしょう。
【関連記事】コンピテンシーとは?面接評価や目標管理への使い方をわかりやすく解説
評価・報酬制度の見直し
イノベーション人材の育成にあたっては、評価や報酬制度の見直しが必要になるケースもあります。
従来の評価制度は、新しいアイディアの提案や新たなチャレンジを評価するよりも、安定した成果を上げることを重視するものが多くなっています。
イノベーションを生み出すためには試行錯誤が必要であり、既存の業務に比べると前例がないために、失敗のリスクも高くなります。
したがって、イノベーションにつながるチャレンジが評価されず、失敗によって評価を下げる恐れが高いのであれば、イノベーションを起こしたいという従業員の意欲は高められません。
また、たとえ能力の高い人材であっても、チャレンジして失敗したことがマイナスの評価になるのであれば、従来通りの働き方を選択する恐れもあるのです。
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イノベーションを促進する企業風土の醸成
前述の評価制度とも重なる部分ですが、イノベーションを生み出しにくい企業風土は、イノベーションの創出を抑制します。
例えば、斬新な発想力を持つ従業員がいても、アイディアを発表する機会がなければ、そのアイディアが実行されることはありません。
また、たとえアイディアを提案する機会があった場合でも、これまでの組織の方向性とは異なるアイディアを受け入れない閉鎖的な雰囲気があれば、イノベーションに対する熱意を低下させる恐れがあります。
年齢や職位に関係なく、意見を提案できる企業風土を醸成し、アイディアを提案する従業員の心理的安全性を高めることは、イノベーション人材の育成にあたって非常に重要なポイントとなります。
イノベーション人材の育成事例
実際にイノベーション人材の育成に取り組み、成功した企業もあります。ここでは、3社のイノベーション人材の育成事例をご紹介します。
株式会社メルカリ
株式会社メルカリは、フリマアプリ「メルカリ」の企画・開発・運用事業を営む企業です。
同社では、以前から研究開発組織「mercari R4D」による大学との共同研究を多数実施しており、研究開発活動を起点とした人材育成に力を入れています
同社が実施している「mercari R4D PhD Support Program」は、従業員の博士課程進学を支援する制度です。
高度な研究を通じて得られた専門知識や思考法、多角的な視野は、イノベーションの促進につながるとの考えのもと、進学時の学費支援を行うとともに、研究時間との両立可能な業務時間の選択を認めています。また、mercari R4Dによるサポートと研究相談も行っています。
さらに、人事制度も見直し、従業員が働く場所や働き方を自由に選べる制度を導入して、多様な人材が活躍できる環境も整えています。
そのほか、従業員の学習意欲をサポートする制度としてセミナー受講費の補助や書籍の購入補助も行うなど、積極的にイノベーション人材の育成に取り組んでいます。
ソニーグループ株式会社
グローバルな企業活動を展開している総合電機メーカーのソニーグループ株式会社も、イノベーション人材の育成に積極的に取り組んでいる企業です。
同社では、業務時間終了後に従業員が自由にアイディアを発表し、横のつながりを活性化できる場「アイデアヒミツ基地」を提供しています。
アイデアヒミツ基地にはさまざまな部署の従業員が参加しており、中にはアイディアの交換だけでなく、プロトタイプを作成し、アイディアの実現を図っているケースもあるといいます。
また「品モノラボ」は、ソニーグループ株式会社の本社所在地である品川に縁のある個人が参加する、モノづくりのサークル活動です。
この活動は、企業としての取り組みではないものの、ソニーをはじめとしたさまざまな企業の従業員や起業家などが集まり、モノづくりに関する交流を図っています。
実際に品モノラボで生まれた製品が販売に至った事例もあるなど、イノベーション人材の育成に貢献しています。
三井不動産株式会社
不動産事業を展開する三井不動産株式会社では、グループ企業や行政との連携・協業によるイノベーションの創造に取り組んでいます。
また、人事制度では複数領域の専門性を身に付けられるよう、ジョブローテーションを実施し、変化し続ける環境に適応できる従業員と組織の育成を目指しています。
加えて、イノベーションを創出しやすい環境の創造に向け、事業提案制度「MAG!C」を立ち上げ、既存事業の持続的イノベーションと新規事業の開発に関する提案を受け付けています。
提案が審査を通過した場合、提案者は原則として専任の事業責任者となり、新規事業を立ち上げることとなります。
MAG!Cでは、計3回の審査があり、審査期間中には調査費の支給や個別メンタリングを含む研修といったサポート体制も整えています。
さらに最終審査通過者には、外部パートナーや担当部門が伴走しながら事業化を推進する、インキュベーションプログラム「鍛錬塾」を実施しています。
MAG!Cを通じ、これまでにブドウの生産や販売を行う事業や、企業向けの事業継続力強化支援サービスなどを提供する事業を営む、複数の社内ベンチャーが誕生しています。
イノベーション創出のための組織づくり
イノベーションを創出するためには、次のような組織を形成する必要があります。
あらゆる職種でイノベーションを起こす可能性を想定する
イノベーションが「技術革新」と訳されてきたために、モノづくりにおける新たな価値の創造をイノベーションと捉える傾向があります。
しかし、サービスや組織、ビジネスモデルなど、すべてのシーンにおいて新たな価値を創造するイノベーションを起こすことは可能です。
したがって、技術者だけを対象にイノベーション人材を育成する取り組みを実施した場合、イノベーションに必要な能力を備える人物を見落としたり、イノベーション創出の機会を喪失したりする恐れがあります。
イノベーションを生み出すためには、あらゆる部署や職種の人材がイノベーションを起こす人材になり得る可能性を想定し、人材育成に取り組むことが大切です。
多様な人材の受け入れと活用
イノベーションを生み出す組織をつくるためには、多様な人材を受け入れることも重要です。
同じ考えや価値観を持つ人材だけで構成された組織で生まれるアイディアは、バリエーションに乏しくなります。国籍や文化が異なるだけでなく、性別、年齢、キャリアが異なる人材は、それぞれ異なる価値観を持っています。
そのため、多様な人材が集まる組織において、さまざまな視点を持つ従業員が活発に意見を交換すると、新たな気付きが刺激となって自由な発想が芽生え、イノベーションを生み出しやすくなるのです。
また、多様な人材から構成される組織が生み出すイノベーションは、多様化する市場や顧客のニーズを捉える製品やサービスにつながる可能性もあるでしょう。
【関連記事】企業のダイバーシティ&インクルージョン 事例とともに意味から取り組みの具体例や推進のポイントまで解説
内部人材と外部人材の効果的な組み合わせ
自社内にイノベーション人材や、イノベーション人材としてのポテンシャルを持つ人材が豊富に揃っている場合は、内部の人材だけでイノベーションを実現できるケースもあります。
しかしながら、イノベーションを生み出すためには、前述のようにデザイナータイプ、デベロッパータイプ、プロデューサータイプと異なる役割を担う人材が必要です。また、それぞれに求められるスキルや経験は異なり、実現したいプロジェクトによっても必要な知識は異なります。
イノベーション人材は、短期間で育成できるわけではありません。そのため、必要に応じて、高度なスキルを持つ外部人材の活用も検討した方がよいでしょう。
内部と外部の人材がそれぞれの専門性やスキルを生かし、イノベーション実現のために協業することで、より質の高い製品やサービス、システムなどを創出できる可能性があります。
また、外部人材との連携によって得られる学びや経験は、内部人材のさらなる成長にもつながるでしょう。
まとめ
イノベーション人材とは、イノベーションを生み出し、企業に新たな価値をもたらすことができる人材のことです。
移り変わりが激しく、顧客のニーズも多様化している現在、持続的な成長を続けるためには、イノベーションを生み出す必要があります。そのため、近年はイノベーションを実現できるスキルを持つ、イノベーション人材の育成に取り組む企業が増加しているのです。
イノベーションに必要な柔軟な発想、困難も乗り越えるレジリエンス、プロジェクトを実現する実行力は、多様な経験がベースとなり育成されるものです。
したがってイノベーション人材を育成する際には、従業員にさまざまな学習や経験ができる機会を提供することが重要になります。
また、チャレンジを評価する制度の導入や、多様性を受け入れる企業文化の醸成など、イノベーションを生み出しやすい組織づくりにも取り組むことが大切です。
イノベーション人材の育成は人事データベースの構築から
イノベーションはモノづくりの場だけでなく、ビジネス上のあらゆる部署において創出できる可能性があるものです。
そのため、イノベーション人材の育成は企業全体で取り組み、すべての従業員の中からイノベーションの創出に求められるスキルを持つ人材を抽出する必要があります。
したがって、イノベーション人材を育成するためには、まず、従業員の情報を管理する人事データベースの構築が重要です。
従業員の情報を一元管理できるタレントマネジメントシステムには、従業員のスキルを数値で表すスキル管理機能もあり、イノベーション人材として育成すべき従業員の選出に効果を発揮します。
イノベーション人材の育成を検討の際には、人事データベースの構築に役立つHRMOSタレントマネジメントをご検討ください。