ワーク・ライフ・バランスとは? 使い方や例文、企業の取り組み事例を簡単に解説

ワーク・ライフ・バランスとは?

多様な人材が働きやすい職場環境を整備するために、ワーク・ライフ・バランスへの取り組みは欠かせません。

しかし、ワーク・ライフ・バランスの具体的な取り組み方やメリットがイメージできていない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、ワーク・ライフ・バランスの定義と各国との違い、ワーク・ライフ・バランスを実現する具体的な取り組みについて解説します。

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ワーク・ライフ・バランスの意味と定義

職場やプライベートなど、身近なところで見聞きするワーク・ライフ・バランスの定義を解説します。

ワーク・ライフ・バランスとは

ワーク・ライフ・バランスとは、「仕事と生活の調和」を意味する言葉です。

人々がワーク・ライフ・バランスを実現した社会を作るためには、次の3つの諸条件が求められます。

  1. 就労による経済的自立が可能な社会
    • 若者が学校から職業に円滑に移行できること。
    • 若者や母子家庭の母等が、就業を通じて経済的自立を図ることができること。
    • 意欲と能力に応じ、非正規雇用から正規雇用へ移行できること。
    • 就業形態に関わらず、公正な処遇や能力開発機会が確保されること。
  2. 健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
    • 企業や社会において、健康で豊かな生活ができるための時間を確保することの重要性が認識されていること。
    • 労働時間関係法令が遵守されていること。
    • 健康を害するような長時間労働がなく、希望する労働者が年次有給休暇を取得できるよう取組が促進されていること。
    • メリハリのきいた業務の進め方などにより時間当たり生産性も向上していること。
    • 取引先との契約や消費など職場以外のあらゆる場面で仕事と生活の調和が考慮されていること。
  3. 多様な働き方・生き方が選択できる社会
    • 子育て中の親、働く意欲のある女性や高齢者などが、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様で柔軟な働き方が可能となる制度があり、実際に利用できること。
    • 多様な働き方に対応した育児、介護、地域活動、職業能力の形成等を支える社会的基盤が整備されていること。
    • 就業形態に関わらず、公正な処遇や能力開発機会が確保されること

(引用:内閣府「仕事と生活の調和推進のための行動指針」)

経済的に自立できる職業生活を送り、健康で豊かな生活を送るための時間が十分に確保されること。さらに、多様な働き方や生き方の選択肢があることも、ワーク・ライフ・バランスの実現に欠かせない要素です。

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ワーク・ライフ・バランスの歴史

2004年6月に、「仕事と生活の調和に関する検討会議」が開催されました。この会議では、仕事中心あるいは家庭中心のどちらかに偏った生活ではなく、両者を調和させることで、企業の活力向上や家庭生活の充実、地域社会の活性化などを目指す必要性について言及されました。

続いて2007年12月には、「ワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議」が行われ、ワーク・ライフ・バランスという言葉が初めて正式な文書内で使用されました。「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」が策定されたことにより、国の政策としてワーク・ライフ・バランスが推進されるようになりました。

ワーク・ライフ・バランスの使い方と例文

ワーク・ライフ・バランスの意味を補足するため、いくつか例文を紹介します。

例文1:「ワーク・ライフ・バランスをより向上させるため、転職を決意した」

現職では、仕事量が多すぎてプライベートの時間が十分に取れない様子がうかがえる例文です。

反対に、現職の仕事で目指す目標がなく、プライベートも持て余してしまうため、違う職場でより高い目標に挑戦したいケースも考えられます。

例文2:「ワーク・ライフ・バランスよりも、ワークイズライフという考えが好きだ」

ワークイズライフとは、「仕事は人生そのものだ」という、仕事と生活を一体化させる考え方・価値観を表す言葉です。

仕事と生活を切り分けてバランスを取るのではなく、仕事は生活の一部と捉える考えを主張した例文です。

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日本のワーク・ライフ・バランスの現状

日本のワーク・ライフ・バランスの現状について、労働時間や休暇取得率、世界各国との数値比較を通して解説します。

日本人の労働時間と休暇取得率

ワーク・ライフ・バランスの改善に向けて、厚生労働省ではさまざまな施策を実施してきました。

具体例として、長時間労働の是正、就業形態に関わらず公正な処遇を目指す同一労働同一賃金、年次有給休暇の取得義務化などが挙げられます。

厚生労働省「人口構造、労働時間等について」の資料によると、日本の年間総実労働時間は全体として減少傾向にありますが、その背景にはパートタイム労働者の増加があります。特に女性の働き方ではパート比率が上昇し、労働時間短縮に影響しています。

一方で一般労働者の労働時間は近年ようやく減少し始めました。事業所規模や性別によっても傾向に差があり、小規模企業では長時間労働や休暇の取りにくさが残るなど、ワーク・ライフ・バランスの改善にはいまだ課題が残されています。

なお、年次有給休暇の取得率は令和4年に62.1%となり、過去最高を記録しました。しかし、政府目標の70%には依然届いておらず、特に中小企業では取得率が低い傾向にあります。

取得率の向上には、計画的付与制度や時間単位取得の導入が有効とされる一方、約4割の労働者が「休むと周囲に迷惑がかかる」とためらいを感じており、職場文化の変革も重要な課題となっています。

世界各国との比較

ワーク・ライフ・バランスの重要性は世界共通の課題ですが、日本は依然として長時間労働や有休取得率の低さが課題とされています。

欧州では柔軟な働き方の制度化や企業支援が早くから進み、労働者の多様なライフスタイルが尊重されています。

特にイギリスやドイツでは、育児・介護と仕事の両立を後押しする法制度や職場文化が根付き、働きやすい環境が、生産性向上や経済力の強化にも寄与しています。

日本でも制度整備は進んでいるものの、現場での運用や意識改革は道半ばといえるでしょう。

ワーク・ライフ・バランスがもたらすメリット

ワーク・ライフ・バランスの促進に企業が取り組むことのメリットを紹介します。

業務効率と生産性の向上

ワーク・ライフ・バランスの整った働き方は、従業員のパフォーマンスアップにメリットがあります。

適度な休息を取ることで業務の集中力を高め、ミスの防止や創造的な仕事につながると考えられるためです。

反対に、過度な長時間労働は集中力や判断力を低下させ、結果として業務効率を下げる要因になります。ワーク・ライフ・バランスを保ち、メリハリをつけて働くことで、結果的に生産性の底上げが期待できます。

従業員のモチベーションとエンゲージメント向上

私生活との両立が図れる働き方は、従業員にとって安心感や満足感をもたらし、企業への信頼や帰属意識を高めます。

仕事に対する前向きな姿勢が生まれやすくなり、自主的なスキルアップやチームへの貢献意欲向上も期待できるでしょう。

働く環境に納得できることが、長く活躍したいという気持ちを生み、離職の抑制にも効果があります。

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企業イメージの向上と採用競争力の強化

ワーク・ライフ・バランスを大切にしていることを外部に発信すれば、企業イメージの向上や採用広報にもメリットがあります。

中途入社者、新卒者ともに、過重な長時間労働を強いる職場や休みづらい会社を避ける傾向が強いです。すなわち、ワーク・ライフ・バランスを保って働ける環境は、転職者に対するアピールポイントとなり得ます。

また、ワーク・ライフ・バランスを大切にする企業は「人を大切にする会社」としてブランディングができ、好印象を与えやすいでしょう。

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従業員の健康とウェルビーイングの改善

心身の健康は、従業員が持続的に活躍するうえで欠かせない要素です。ワーク・ライフ・バランスが整えば、長時間労働やストレスの蓄積を防ぎ、健康的に働ける環境づくりが可能になります。

近年注目されている「EAP(従業員支援プログラム)」は、ストレスの早期発見とケアを目的とした仕組みで、専門家によるカウンセリングや相談体制を通じて、メンタル不調やバーンアウトの予防に効果があります。

企業が健康支援に積極的に取り組むことは、従業員の安心感を生み職場全体のエンゲージメントや生産性の向上にもつながります。

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サステナビリティとの関連性

ワーク・ライフ・バランスは、SDGsの「8.働きがいも経済成長も」という目標と深く関係しています。

労働集約型ビジネスのような短期的な労働力の酷使ではなく、長期的に持続可能な働き方を支えることが、企業の社会的信頼を高める要素となります。

従業員の多様性を尊重し、働きやすい環境を整備することは、社会的責任を果たしながら企業価値を向上するために重要です。

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ワーク・ライフ・バランス推進のためのポイント

ワーク・ライフ・バランスを企業内で実現するためには、制度の整備だけでなく、組織全体の意識や行動を変えていくことが欠かせません。

ここでは、組織としてバランス推進を成功させるための4つの重要な観点を紹介します。

経営層のコミットメントと明確なビジョン

ワーク・ライフ・バランスの定着には、社内の業務見直しや方向転換が求められるため、経営層の強い意思とコミットが不可欠です。

経営者自らがその重要性を社内外に発信し、率先して定時退社や休暇取得を実践することで、従業員の意識にも変化が生まれます。

表面的な取り組みで終わらせず、組織の成長戦略や人材定着の一環として位置づけることが、ワーク・ライフ・バランスを向上させるポイントです。

専門部署の設置と横断的な取り組み

制度を形だけで終わらせないためには、専任の推進体制をつくり、組織横断でワーク・ライフ・バランスの推進に取り組むことが必要です。人事部門に限らず、総務や各事業部門と連携しながら横断的に課題を拾い上げ、実効性ある施策を設計していくことが求められます。

外部コンサルタントの活用や、厚生労働省など公的支援制度の導入など、社外リソースを柔軟に取り入れることも有効でしょう。

企業文化の変革

ワーク・ライフ・バランス関連の人事制度を導入しても、実際に使われなければ意味がありません。

従業員が安心して活用できるようにするためには、社内での周知徹底や利用事例の共有、管理職による積極的な後押しが重要です。

加えて、一人一人が「制度を活用してよい」という意識を持つことも大切です。

「義務感」をなくし、従業員自身が主体的にワーク・ライフ・バランスの実現に取り組める環境を整える必要があります。

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成果の可視化と継続的な改善

ワーク・ライフ・バランスの施策は、取り組み後すぐに効果が現れるわけではありません。中長期的に形骸化しないように、取り組みを続けるためには、進捗と成果を見える化することが大切です。

まずは、休暇取得率や残業時間の目標を明確に設定し、達成状況を継続的にモニタリングします。また、従業員アンケートや面談を通じて、定期的にフィードバックを収集することで、現場の実態を反映した改善につなげることができます。

こうした検証と調整を繰り返すことで、取り組みのモチベーションが持続でき実効性ある運用が可能になるでしょう。

ワーク・ライフ・バランスを実現する具体的な取り組み

ワーク・ライフ・バランスを実現するため、企業で実践できる具体的な施策を紹介します。

労働時間の削減

企業がワーク・ライフ・バランスを推進するには、まず労働時間を適切な水準に整えることが重要です。特に日本では、過剰な長時間労働が従業員の健康や私生活に悪影響を与える要因となっています。

過酷な労働環境を是正するために、多くの企業では残業の事前申請制やノー残業デーの導入、勤怠管理システムの活用といった具体策に取り組んでいます。

時間に対する意識を全社的に見直すことが、ワーク・ライフ・バランス推進の第一歩となるでしょう。

フレックスタイム制度の導入

フレックスタイム制とは、あらかじめ設定された清算期間の中で、定められた総労働時間を満たすことで、従業員が自ら始業・終業時刻を選択できる制度です。

フレックスタイム制の導入により、通院や子どもの送り迎え、副業や自己研鑽など、個々の生活に合わせた柔軟な働き方が可能になります。

時間への裁量が生まれることで、業務への集中力や満足度も高まり、従業員の自律的な働き方を後押しする施策です。

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テレワークやリモートワークの活用

テレワークとは、自宅やサテライトオフィスなど職場以外の場所で業務を行う働き方を指します。テレワークを活用することで、通勤時間の削減や、場所に縛られない柔軟な勤務が可能になり、子育て世代や遠方在住者などのワーク・ライフ・バランスを強化するメリットがあります。

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有給休暇取得の促進

企業が従業員に対して有給休暇の取得を積極的に促すことは、働き方改革の重要な取り組みです。有給休暇の取得義務化以降も「取りづらさ」が課題となる中、取得奨励日を設けたり、計画的付与制度を活用したりと、組織として休みやすい環境を整えることが求められています。

管理職が率先して有給休暇を取得することも、職場の風土改善に効果的です。

育児・介護支援制度の充実

企業が育児や介護と仕事の両立を支援する制度を整備することは、ライフステージの変化に対応した働き方を可能にします。育児休業、短時間勤務制度、介護休業、在宅勤務など、選択肢があることで離職の防止につながります。制度を設けるだけでなく、利用しやすい職場文化の醸成も不可欠です。

業務効率化とタスク管理の最適化

企業がワーク・ライフ・バランスを実現するには、単に勤務時間を減らすだけでなく、業務の効率化も並行して進める必要があります。

タスクを洗い出して優先順位をつけ、改善点がないか確認することが重要です。

特定の従業員だけが負担を抱え込まないよう、複数名でタスクを共有・管理する仕組みも必要です。

健康経営の実践

健康経営とは、企業が従業員の健康を経営課題の一つとして捉え、戦略的に取り組む経営手法です。健康経営に取り組むことで、ワーク・ライフ・バランスを推進できると考えられます。

健康経営の施策として、定期健康診断の受診促進やテレワークの導入、メンタルヘルス支援、運動促進が挙げられ、ワーク・ライフ・バランスの推進施策とも重なりが見られます。

企業が健康を支える体制を整えることで、従業員のパフォーマンス向上や離職率の低下を目指し、長期的な企業成長へとつなげていきましょう。

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先進企業に学ぶワーク・ライフ・バランスの実践事例

積極的にワーク・ライフ・バランスを実践し、働く環境を改善してきた企業事例を紹介します。

株式会社野村総合研究所

株式会社野村総合研究所では、全社的に裁量労働制を採用し、労働時間ではなく「成果」を基準として働く風土が根付いています。

同社はコンサルティングや金融・ITのソリューションなどを事業基盤としているため、業種の性質上、長時間労働が発生しやすい点が課題でした。そこで、単に裁量労働制を行うだけでなく、労働時間に一定の上限を設けることで長時間労働を是正しました。

あわせて、仕事と育児の両立社員向けに研修や情報共有を強化して、ダイバーシティ&インクルージョンにも力を入れながらワーク・ライフ・バランスを整えています。

株式会社アイシン

株式会社アイシンは、誰もが働きやすい職場を作るため、独自の「働きがい改革」を軸にワーク・ライフ・バランスの実践を行っています。

単に労働時間を削減するだけでなく、フレックスタイム制やテレワークの導入などを積極的に採用しました。短時間勤務の柔軟化や男性育休の100%取得など、さまざまなテーマに取り組みました。

製造現場では、一つの工程を一人で担うのではなく複数名で担えるようにして、時短勤務者が増えても停滞しない仕組みづくりを行いました。

働きやすさとやりがいを両立させています。このように業務の進め方を根本から見直し、ワーク・ライフ・バランスの実現を目指しています。

さくらインターネット株式会社

さくらインターネット株式会社では、個人のワークスタイルやスキルに沿った評価制度を導入し、全ての人に平等な機会を提供することを目指しました。

当評価制度では、従業員ごとのワークスタイル、スキルに沿って個別に「期待値」を設定し、その「達成度」を評価します。

加えて、毎月1回1on1ミーティングを行って、メンバーの成長と期待値の達成をサポートしています。

また、場所にとらわれず働ける環境を作るため、リモートワークを積極的に導入し、出社を前提としない業務フローを整えました。今後も労働集約型の働き方ではなく、知的集約型の働き方を目指しています。

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ワーク・ライフ・バランスは古い? 新しい考え方との比較

仕事と人生を切り分けない考え方や、私生活との調和を目指す概念も登場する中で、ワーク・ライフ・バランスは古いといわれるケースもあります。

ここでは、ワーク・ライフ・バランスと類似した2つの言葉を解説します。

ワーク・ライフ・インテグレーションとは

ワーク・ライフ・インテグレーションとは、仕事と私生活を切り分けるのではなく、互いに調和させながら一体的に捉え、人生全体の充実を目指す考え方です。

従来のワーク・ライフ・バランスが「仕事と生活の時間配分を整える」ことに重きを置いていたのに対し、インテグレーションは両者の相乗効果に注目します。

例えば、仕事を通じた学びが私生活を豊かにし、私生活の充実が仕事の活力になるといった好循環が想定されています。ワーク・ライフ・インテグレーションは、柔軟な働き方の広がりとともに注目された、個人の価値観に合わせた新しい働き方といえるでしょう。

ワーク・ライフ・ハーモニーとは

ワーク・ライフ・ハーモニーとは、仕事と生活を切り離して考えるのではなく、互いに調和させて人生全体を豊かにしようとする考え方です。

ワーク・ライフ・バランスは仕事と私生活の間に線を引き、時間やエネルギーの配分に焦点を当てます。一方、ハーモニーは両者を融合させ、最適な状態を目指す考え方です。

職場で得た達成感や前向きな気持ちが、私生活にもよい影響を与え、私生活での安心感や充実が仕事にも好影響を及ぼすという相互作用を前提とした考え方です。

ワーク・イン・ライフとは

ワーク・イン・ライフとは、働くことを人生を豊かにする要素と捉え、仕事と生活を一体化させる概念です。

一方、ワーク・ライフ・バランスは、仕事と生活を切り分けて、両者の時間やエネルギーをどのように配分するかに重点を置く考え方です。

ワーク・イン・ライフでは、働くことが自己成長や人生の充実につながるという前提に立ち、人生の中に仕事を取り入れながら自己実現を目指します。

ワーク・ライフ・バランスの今後の展望

少子高齢化や働き方改革の進展により、ワーク・ライフ・バランスは「制度を整える段階」から「価値観や文化を再構築する段階」へと移りつつあります。ここでは、ワーク・ライフ・バランスの今後を左右する3つのキーワードを紹介します。

デジタル化時代における新たな課題

AIやウェアラブルデバイスの導入により、仕事の効率化やリモートワークの普及が進む一方で、常時接続によるストレスや労働時間の境界消失といった新たな課題も顕在化しています。

今後は、テクノロジーの利便性を享受しつつ、働きすぎを防ぐガイドラインやオフの時間を守る文化の醸成が重要になります。人間中心のデジタル活用が、ワーク・ライフ・バランスを保つ鍵となるでしょう。

個人主導型キャリアの台頭

終身雇用、長期勤続が前提とされていた時代は終わり、これからは自律的にキャリアを築く個人が中心となっていきます。

副業やフリーランス、パラレルキャリアの考え方が一般化している今、企業は多様な働き方に対応する柔軟な制度運用が求められています。

企業は自律型のキャリア開発、支援に力を入れて、個人の選択肢を増やすサポートを行うとよいでしょう。

ウェルビーイング中心の新しい働き方

今後は、生産性や効率だけでなく、働く人の「幸せ」や「生きがい」に焦点を当てた働き方が主流になるでしょう。

ウェルビーイングの実現を目指すために、企業はメンタルヘルスやフィジカルヘルスケア、ストレスマネジメントといった支援体制の整備が求められるでしょう。

加えて、「働く意味・社会的意義」を重視するパーパス経営への取り組みも重要なキーワードとなります。従業員の心身の健康と社会的つながりが両立する職場こそが、真の持続可能な働き方のモデルとなるでしょう。

まとめ

働き方を取り巻く環境は、テクノロジーの進化や個人の価値観の変化によって大きく変わりつつあります。今後はワーク・ライフ・バランスを「制度として整える」だけでなく、「文化として根付かせる」ことが求められます。

企業と個人が支え合い、柔軟で幸福度の高い働き方を実現すること。それが、次世代のワークスタイルの鍵となります。

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