労働基準法とは?労働時間や休憩時間のルール、改正のポイントを解説

労働基準法とは?労働時間や休憩時間のルール、改正のポイントを解説

労働に関するルールや基準を定めた労働基準法は、企業の人事労務担当者や労働者が理解しておくべき法律のひとつです。

雇用する側・雇用される側の双方が労働基準法を理解して遵守することで、適切な労働環境が整い安心して働くことができます。

本記事では、労働基準法とは何か、労働時間・休憩時間など法が定める基本ルールや近年の働き方改革に伴う法改正の動向を解説します。

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労働基準法とは

労働基準法とは、企業が労働者を雇用するときに守らなければならない「労働条件の最低基準」を定めた法律です。

労働時間・休憩時間・賃金・休暇・休日・解雇など、労働に関するさまざまな項目で基準が定められています。

労働基準法は、労働者の生活や権利を守るために制定された法律です。一般的に企業と労働者が雇用契約を結ぶ際は、使用者よりも労働者のほうが弱い立場になることが多いため、労働者を守ることを目的としています。

労働基準法の規定は、必ず守らなければならない強行規定です。任意規定を定める法律の場合は、当事者の契約によって法定の基準を下回ることもできますが、強行規定の労働基準法では認められません。

長時間労働や低賃金など、不当な労働環境下に労働者が置かれることがないようにし、労働者を保護するための法律が労働基準法です。

適用される「労働者」の範囲

労働基準法が適用される労働者とは、「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」です。

正社員だけでなく、パートやアルバイト、契約社員などの非正規社員も含め、すべての労働者に適用されます。

ただし、国家公務員や地方公務員、船員については規定が異なり、国家公務員法や地方公務員法・船員法の適用を受けます。家族経営の会社で同居の親族を使用している場合も、労働基準法の適用対象外になることがあります。

また、役員は原則として、労働基準法上の労働者には含まれません。

ただし、役員であっても、実態として会社の指揮命令下で働き、労働者性が認められる場合は例外的に適用対象となることがあります。

企業と業務委託契約などを結んで働くフリーランスも、雇用契約に基づいて企業の指揮命令下で働く労働者ではないので、労働基準法の適用対象外です。

労働基準法違反の罰則と監督機関

労働基準法に違反すると罰則が科される可能性があります。主な罰則は以下のとおりです。

労働基準法の条文罰則
・中間搾取の排除(第6条)・最低年齢(第56条)・年少者の坑内労働の禁止(第63条)・女性の坑内労働の禁止(第64条の2)1年以下の懲役又は50万円以下の罰金
・均等待遇(第3条)・男女同一賃金の原則(第4条)・労働時間(第32条)・休憩(第34条)・休日(第35条)・年次有給休暇(第39条)・産前産後休業(第65条)6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金
・労働条件の明示(第15条)・賃金の支払(第24条)・就業規則作成及び届出の義務(第89条)30万円以下の罰金

労働基準法は主に労働基準監督署が所管し、監督機関として企業への立ち入り調査や指導などを行っています。


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労働基準法の遵守がもたらす効果

労働基準法に則った企業経営を行う際には、法を遵守することの意義や重要性を理解しておくことが大切です。

単に「法律で決まっているから」と機械的に基準を守るのではなく、労働基準法の遵守がもたらす効果やメリットも意識しましょう。

労働者の健康と環境の改善

労働時間を適切に管理し、十分な日数の休暇や休日を取得させるなど、法定の基準を満たすことで労働者が働きやすい労働環境が整います。

労働者の健康が促進されれば、一人ひとりのパフォーマンスが向上して生産性向上につながります。

逆に、長時間労働をはじめとした劣悪な労働環境のもとでは、労働者の労働意欲が低下して業績が下がることになりかねません。労働基準法を遵守することは、単に法令違反や罰則を回避するためではなく、労働生産性や企業業績の向上の観点からも重要です。

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企業の信頼性向上とリスク回避

労働基準法を遵守し、労働者のことを考えて働きやすい職場環境を整えている企業であれば、従業員や取引先からの信頼が高まります。

従業員との信頼関係があればスムーズな事業運営が可能になり、顧客から信頼されれば取引継続や受注増を期待できるでしょう。

さらに、適切な労働環境下で労働者が働くことができれば、労働者が健康を害したり労働災害が発生したりするリスクを軽減できます。働きすぎによる過労や労働災害によって休職・退職する従業員が減り、必要な人員を維持できて事業の継続が可能になります。

近年では、ESG投資やSDGsの観点からも、労働基準法の遵守は投資家や取引先の評価に大きな影響を与えます。

採用・定着率への効果

信頼性が高まって企業イメージが向上すれば、採用力や定着率の向上を期待できます。

ワークライフバランスを意識する労働者が増えるなか、企業が労働基準法を遵守することは、必要な人材を確保するうえで重要な要素のひとつです。

不当な労働条件のもとで労働者を働かせるなど、ブラック企業では労働者がやめて人材が不足し、採用活動を行っても十分な数の人材が集まりません。早期離職が生じやすい環境ならば、募集をかけ続けることになり採用コストが高くなります。

企業が必要な人材を確保するためには、労働基準法に則って適切な労働環境を整備し、人材が集まる環境を整えることが重要です。

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労働基準法が定める労働時間の基本ルール

労働基準法では、1日や1週間の労働時間の上限をはじめとして、労働時間に関するルールが定められています。

労働基準法違反にならないように、法定労働時間の定義や所定労働時間との違いなど、規定を正しく理解することが人事労務担当者には求められます。

法定労働時間とは

法定労働時間とは、労働基準法が定める「労働時間の上限」のことです。働きすぎによる過労を防止し、労働者を守ることを目的として労働時間の上限が定められています。

法定労働時間は「1日8時間・1週間40時間」で、使用者は原則として、この時間を超えて労働者を労働させてはいけません。ただし、常時使用する労働者が10人未満の事業場で商業・保健衛生業・接客娯楽業などの業種では、1週間の上限は44時間です。

各企業が定める勤務時間である所定労働時間は、法定労働時間の範囲内で定めることになります。労働者が残業をした場合、所定労働時間を超える部分が「法定内残業」、法定労働時間を超える部分が「法定外残業」です。

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時間外労働と36協定との関係

法定労働時間を超えて労働者を働かせる場合には、労使間で36協定を締結する必要があります。

労働時間の上限は原則「1日8時間・1週間40時間」ですが、必要な場合には36協定の締結を条件として、上限時間の緩和が認められています。

36協定は労働基準法第36条に基づく協定で、労働者の過半数で組織する労働組合(過半数組合がない場合は、その事業場の過半数を代表する者)と企業が締結します。労使間で36協定を締結したら労働基準監督署へ届出が必要です。

36協定では、「時間外労働を行う業務の種類」や「時間外労働の上限」などを決めなければいけません。

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時間外労働の上限規制

36協定には「一般条項の36協定」と「特別条項付き36協定」の2種類の協定があります。「一般条項の36協定」では、労働時間の上限は「月45時間・年360時間」です。

しかし、繁忙期に残業をせざるを得ない場合など、臨時的な特別の事情があれば「特別条項付き36協定」を締結でき、上限時間が緩和されます。

「特別条項付き36協定」を締結した場合、上限時間でも、以下のルールをすべて遵守しなければなりません。

  • 年間の時間外労働は合計720時間以内 
  • 単月では休日労働を含んで100時間未満 
  • 2〜6か月平均で80時間以内(休日労働を含む) 
  • 月45時間を超えることができるのは年6か月まで

特別な事情がある場合でも、この上限時間を超えて労働者を働かせることはできません。違反すると、罰則(6か⽉以下の懲役又は30万円以下の罰⾦)が科される可能性があります。

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労働基準法における休憩時間

労働時間が長くなる場合には途中で休憩を労働者に与えるなど、労働基準法では休憩に関するルールが設けられています。長時間労働を防止するための規定です。労働者を働かせる際は、労働基準法で定められた時間の休憩を与える必要があります。

休憩時間とは

労働基準法では、「労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」と定められています。

休憩時間とは、労働者が労働から完全に解放されて休憩するための時間です。

労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間が労働時間であるのに対して、指揮命令下にない時間が休憩時間です。給与を計算する際の労働時間に休憩時間は含まれません。

休憩時間は、連続して労働することによる疲労蓄積を回避することを目的としています。そのため、昼休みの時間帯に、休憩を取って自席で昼ご飯を食べているものの電話番として待機しているようなケースは、労働から解放されておらず労働時間にあたります。

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休憩の3原則(途中付与・一斉付与・自由利用)

休憩時間に関して重要になるのが、労働基準法が定める以下の3原則です。

・途中付与の原則・一斉付与の原則・自由利用の原則

「途中付与の原則」とは、休憩時間は労働時間の途中に与えなければならないという原則です。勤務時間の最初や最後に休憩を与えることは認められません。

「一斉付与の原則」とは、休憩時間はその事業場で働く労働者に一斉に与えなければならないという原則です。

ただし、運輸交通業や商業、金融・広告業、映画・演劇業、保健衛生業、旅館・飲食店などでは一斉付与の原則は適用されません。また、労使間で労使協定を締結すれば一斉付与の原則の適用を除外できます。

「自由利用の原則」とは、休憩は労働者に自由に利用させなければならないという原則です。

手待ち時間や待機時間は、仮に業務が発生せず休んでいるだけの場合でも、労働者が業務から解放されておらず自由に休憩できる時間でなければ、休憩時間ではありません。

残業時の休憩追加義務

予定していた労働時間が6時間以下だったものの、残業して実際の労働時間が6時間を超えた場合は、最低でも45分の休憩を与える必要があります。

残業によって労働時間が8時間を超えた場合も同様です。労働時間が7時間の予定だったため途中で45分の休憩を取り、残業して労働時間が8時間を超えた場合は、少なくとも合計で60分の休憩が必要です。

休憩時間を与える基準となる6時間や8時間を超えているかどうかは、雇用契約書上の労働時間で判断するわけではありません。

実際の労働時間をもとに判断します。人事労務担当者は、実際の勤務状況に応じて必要な休憩時間を労働者に与えなければいけません。

アルバイト・パート・テレワークの休憩時間

労働基準法が定める休憩時間に関するルールは、雇用形態に関係なく原則としてすべての労働者に適用されます。正社員だけでなくアルバイトやパートにも適用され、事業場で働く人だけでなくテレワークで働く人にも適用されるルールです。

アルバイトやパートで働く人のなかには、労働時間が短い人も多くいるので、労働時間が6時間以下であれば休憩時間を与えなくても問題ありません。

また、休憩時間は必ずしもまとめて与える必要はなく、分割して休憩を取らせることも可能ですが、休憩の目的である『心身の疲労回復』を妨げない程度の分割にとどめる必要があります。

たとえば、労働時間が8時間を超える日に30分の休憩時間を2回取ることで、労働基準法が定める60分の休憩時間を確保する形でも問題ありません。

労働基準法のその他の主要規定

労働時間・休憩時間のほか、人事労務担当者が理解しておくべき労働基準法の規定として、賃金や休日・休暇、解雇に関するルールが挙げられます。以下では、労働基準法の主要規定の内容やポイントを解説します。

賃金支払いの5原則

賃金支払いの5原則とは、労働基準法第24条で定められている以下の5つの原則です。

・通貨払いの原則・直接払いの原則・全額払いの原則・毎月1回以上の原則・一定期日払いの原則

「通貨払いの原則」とは、賃金は通貨(日本円)で支払わなければならないという原則です。

自社製品など現物で給与を支払うことは認められません。ただし、労働者の同意があれば、通貨(現金)ではなく労働者の銀行口座に振り込むことが可能です。

「直接払いの原則」とは、賃金は労働者本人に直接支払わなければならないという原則です。代理人への賃金の支払いは禁止されています。ただし、家族などが単なる使者として賃金を受け取ることは認められています。

「全額払いの原則」とは、賃金は全額を支払わなければならないという原則です。不祥事を起こした労働者に罰金を科して、罰金相当額を引いた額しか払わないケースは、全額払いの原則を満たさず違法です。税金や社会保険料など法令で定められたものを引いてから残額を支払うことは認められています。

「毎月1回以上の原則」とは、賃金は毎月1回以上支払う必要があるという原則で、「一定期日払いの原則」とは、賃金は一定の期日ごとに支払わなければならないという原則です。

月末払いや毎月25日払いなど、賃金を支払う期日を決めて毎月1回以上支払う必要があります。ただし、賞与や臨時に支払われる賃金に関しては、毎月1回以上の原則・一定期日払いの原則は適用対象外です。

休日の付与・休日労働

休日とは、労働者が労働する義務のない日です。使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければいけません。

労働者に少なくとも毎週1日与える休日が「法定休日」で、法定休日に労働者を働かせるには36協定の締結が必要です。

労働基準法に関する休日の規定を理解するうえでは、「法定休日」と「所定休日」の違いを理解しておく必要があります。所定休日とは、法定休日を上回って会社が労働者に与える休日のことで、就業規則などで企業が任意に定める休日です。

たとえば、週休2日の企業であれば、毎週2日の休日のうち、1日が法定休日、もう1日が所定休日です。労働基準法上、法定休日に労働者が働くと割増賃金の支払いが必要です。

年次有給休暇の付与・取得義務

雇用開始日から6か月間継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、使用者は、10日の年次有給休暇を与えなければいけません。

さらに、1年6か月以上勤務している労働者に対しては、勤続年数に応じて労働基準法が定める日数の年次有給休暇を与える必要があります。年次有給休暇の法定の最大付与日数は年20日です。

週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者の場合は、比例付与の対象となります。年次有給休暇の比例付与とは、週の労働日数に比例して年次有給休暇の付与日数が決まる制度です。

付与日数が10日以上の労働者には、最低でも年5日、年次有給休暇を労働者に取得させることが企業に義務付けられています。

年次有給休暇は、原則として、労働者本人が希望する日に与えなければいけません。ただし、労働者の希望した日に年次有給休暇を与えると事業の正常な運営が妨げられる場合には、使用者は休暇日を変更できます。

解雇のルール

企業が労働者を一方的に解雇できてしまうと労働者は生活に困るため、労働者保護の観点から解雇に関するルールや制限が設けられています。

労働契約法第16条では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」とされています。つまり、理由のない解雇は解雇権の濫用にあたり認められません。

また、労働基準法第19条では、以下の期間の解雇を禁止しています。

・業務上のケガや病気で療養のため休業している期間とその後30日間・産前産後休業期間中とその後30日間

さらに、労働者を解雇する場合には、使用者は少なくとも30日前までに解雇を予告しなければいけません。30日前に予告をしない場合、使用者は30日分以上の平均賃金を支払う必要があります。

ただし、天災事変などやむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合や、労働者の責に帰すべき事由によって解雇する場合(所轄労働基準監督署長の認定を受けた場合)などは除かれます。

時間外労働・深夜労働・休日労働の割増賃金

労働基準法では、法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超えて働いた場合や、深夜・休日に働いた場合など、一定の場合に賃金を割り増して支払うことを定めています。

割増賃金の支払いが必要になるケースと賃金の割増率は以下のとおりです。

種類支払う条件割増率
時間外労働法定労働時間を超えたとき25%以上
時間外労働が1か月60時間を超えたとき50%以上
休日労働法定休日に労働させたとき35%以上
深夜労働22時~5時(特定の地域・期間では23時~6時)に労働させたとき25%以上

月給制の場合、割増賃金を計算するには、月給額をもとに時給換算額を計算したうえで割増率をかけて割増賃金を算出します。時給換算額は、「月給」を「1か月の平均所定労働時間」で割った金額です。

ただし、割増賃金を算出するときの月給額には、家族手当や通勤手当、住宅手当などは含めずに計算します。


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労働基準法・関連法令の改正動向

労働基準法は時代の変化にあわせて改正が行われています。人事労務担当者は法改正情報を把握して、最新の労働基準法に則って対応することが重要です。

以下では、近年の労働基準法の改正の動向や内容を解説します。

働き方改革と労働基準法

「働き方改革」とは、働く人がそれぞれの事情に応じた多様で柔軟な働き方を選択できるようにするための改革です。一人ひとりが自分らしく働ける環境を整えることで、働く人が能力を発揮でき、日本社会の成長につながります。

2019年4月から働き方改革関連法が順次施行され、労働基準法でもさまざまな制度改正が行われました。以下では、働き方改革に伴う労働基準法の主な改正内容を紹介します。

2019年4月の主な改正内容

2019年4月には主に以下の法改正が行われました。

・時間外労働の上限規制・年次有給休暇の取得義務・フレックスタイム制の清算期間延長・高度プロフェッショナル制度の創設

以前は「特別条項付き36協定」があれば労働時間の延長が可能でしたが、「特別条項付き36協定」を結ぶ場合でも時間外労働に上限が定められました。

年次有給休暇が10日以上付与されている労働者に対し、年5日の年次有給休暇取得が義務化されたのもこのときの改正によるものです。また、より働きやすくするため、フレックスタイム制の清算期間が3か月まで延長されました。

「高度プロフェッショナル制度」とは、高度な専門的知識等を有し、職務の範囲が明確で一定の年収要件を満たす労働者を対象とした制度です。一定の要件を満たすと、労働基準法に定められた労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定の適用を除外できます。

2020年4月の主な改正内容

2020年4月には主に以下の法改正が行われました。

・中小企業への時間外労働の上限規制適用・同一労働同一賃金(大企業)

時間外労働の上限規制は2019年4月に施行されましたが、中小企業では1年間猶予されて2020年4⽉から適用されました。

「同一労働同一賃金」とは、雇用形態にかかわらず公正な待遇を確保するために行われた改革です。同じ業務に従事する場合でも、正規・非正規で賃金など待遇に差が見られるケースがあったため、不合理な待遇差の解消が図られました。

パートタイム・有期雇用労働法が施行され、正社員と非正規雇用労働者との間での不合理な待遇差が禁止されています。

2023年4月の主な改正内容

2023年4月には主に以下の法改正が行われました。

・月60時間超の割増賃金率引き上げ(中小企業の猶予廃止)・給与のデジタル払いの解禁

時間外労働が1か月60時間を超えた場合、時間外労働に対する賃金の割増率は、大企業では2010年4月から50%になる一方、中小企業では25%でした。しかし、2023年4月からは中小企業でも割増率が50%に引き上げられました。

また、給与のデジタル払いが解禁され、厚生労働大臣指定の資金移動業者の口座へ給与を振り込むことが可能になりました。キャッシュレス決済の普及を背景に、現在では電子マネーなどスマートフォンの決済サービスに企業が給与を振り込むことができます。

2024年4月の主な改正内容

2024年4月には主に以下の法改正が行われました。

・特定業種(建設業・運送業・医師)への時間外労働上限規制の適用(2024年問題)・労働条件明示ルールの改正・無期転換ルールの明確化

特定業種(建設業・運送業・医師)では、時間外労働の上限規制の適用が猶予されていましたが、2024年4月に適用されました。労働時間の上限規制の適用によってドライバーの労働時間が実質的に短くなり、物流業界の輸送能力低下が懸念された「2024年問題」として注目を集めた法改正です。

労働条件明示ルールの改正では、労働契約の締結時に「就業場所・業務の変更の範囲」の明示が必要になるなどして、労働者への明示事項が追加されました。

有期契約労働者に対して企業は、契約の締結時と更新時に更新上限の有無と内容を明示する必要があります。さらに、有期労働契約の期間が通算5年を超え、「無期転換ルール」によって無期転換申込権が発生する契約の更新時には、「無期転換後の労働条件」の明示が義務付けられました。

2026年の労働基準法の大幅改正は見送りに

2026年には労働基準法の大幅改正が行われるのではないかと話題になりましたが、最終的に2026年の改正は見送られました。

しかし、今回改正が見送られた事項のなかには、引き続き国で検討が行われている事項があり、今後法改正が行われる可能性があります。

人事労務担当者は、検討中の改正項目の内容を確認して、制度改正に備えて準備をしておきましょう。

検討中の主な改正項目

2026年4月現在、今後の見直し論点として議論されている項目は以下のとおりです。

・連続勤務の上限規制・勤務間インターバル義務化・法定休日の特定義務化・有給休暇賃金算定方式の統一・つながらない権利・週44時間特例廃止・副業兼業の通算ルール見直し など

労働基準法では4週間に4日以上の休日を取る必要があるので、4週間(28日)の最初に4日の休日を取得し、その後の24日間に連続勤務が可能です。過労のリスクなど現行の制度には問題があるため、連続勤務を13日までに制限することが検討されています。

「勤務間インターバル」制度とは、1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に一定時間以上の休息時間(インターバル)を設ける制度です。労働者の生活時間や睡眠時間を確保することを目的としています。現在の法律では、11時間の休息時間(インターバル)を労働者に与えることは努力義務ですが、義務化が検討されています。

また、週の労働時間を44時間に延ばす特例の廃止が検討されており、廃止されれば人員配置の見直しなどが必要になる可能性があります。

「つながらない権利」とは、勤務時間外に業務に関する電話やメールなどへの対応を強制されない権利です。

休みの日でも仕事に関するさまざまな対応を労働者が強いられるケースが多く、問題視されていることから、ガイドラインの策定が検討されています。

法定休日の特定義務化や有給休暇賃金算定方式の統一、副業・兼業における労働時間通算ルールの見直しが行われた場合は、就業規則や賃金計算方法に影響する可能性があります。

※労働基準法の改正情報は随時更新されます。本記事は2026年4月時点の情報をもとに作成しており、最新情報は厚生労働省公式サイト等でご確認ください。

企業・人事担当者がすべきこと

いつの時代でも人事労務担当者には労働基準法の遵守が求められる一方で、人事労務担当者が果たすべき役割は時代によって変化します。以下では、昨今の日本社会の状況を踏まえ、企業・人事労務担当者にとって重要になるポイントを紹介します。

労働基準法関連のDX推進

働き方の多様化が進めば、さまざまな勤務形態の労働者が社内にいる状態になり、勤務管理や給与計算が複雑になります。

また、労働時間の上限規制など新たなルールが導入されると、従業員の勤怠管理をする際に人事労務担当者が確認する事項が増えることになります。

人事労務担当者の負担が増えて業務が滞ることがないようにするためには、業務の効率化が重要です。勤怠管理システムの導入や手続きの電子化、タレントマネジメントシステムの活用など、業務の効率化を検討しましょう。

現在国で検討されている改正項目をはじめとして、今後も労働基準法の改正が行われる可能性があります。人事労務業務のDXを推進して法改正に備えておくことで、実際に制度が改正されたときにスムーズに対応できます。

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ストレスチェック・メンタルヘルス対策の強化

働き方改革が進み、ワークライフバランスがより意識されるようになるなか、労働者の健康を大切にする姿勢が企業には求められます。

誰もが健康に働き続けられる職場環境を整えることが重要であり、ストレスチェック・メンタルヘルス対策の強化もそのひとつです。

労働者数が50人以上の事業場では、年1回のストレスチェック実施が2015年12月から義務化されています。さらに、2025年5月に公布された改正労働安全衛生法では、公布後3年以内に施行され中小企業でもストレスチェックが義務化される旨が定められました。

ストレスチェック制度を活用することで、労働者の心身の不調の予防や早期発見につながり、職場環境の改善に役立ちます。

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法改正に備えた就業規則・勤怠管理の見直し

労働基準法が改正されれば、労働者が働くときに守るべきルールが変わり、就業規則や勤怠管理の見直しが必要になる可能性があります。

現在国で検討中の事項について実際に法改正が行われた場合、自社にどんな影響があるのか、確認して必要な対応を洗い出しておきましょう。就業規則や勤怠管理で変更になる箇所を事前に確認しておくと、制度改正が行われた際にスムーズな対応が可能です。

人事労務担当者が法改正に迅速に対応し、改正内容の労働者への説明・周知を早めに行うことで、制度変更に伴う社内の混乱を防ぐことにつながります。

まとめ

労働時間の上限や休憩・休日の付与など、労働基準法の規定は、企業が労働者を働かせる際に守る必要がある基本ルールです。

経営者や人事労務担当者は、労働基準法に違反して罰則を科されることがないように、法の趣旨や内容を正しく理解しなければいけません。

法定労働時間を超えて労働者を働かせる場合は36協定の締結が必要であり、労働基準監督署への届出も必要です。深夜や法定休日の労働に対して企業は割増賃金を支払わなければいけません。

近年は働き方改革の一環として労働基準法の改正が行われ、今後もさまざまな改正が行われる見込みです。実際に法改正が行われた場合、就業規則の改定や勤怠管理方法の変更など、影響が生じる可能性があります。

法改正に迅速に対応できるように、ニュースや行政のサイトなどで労働基準法の改正の動向をこまめに確認するようにしてください。

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近年は働き方改革の推進に伴い、労働基準法の改正が何度も行われています。

新たな規制や制度が導入されると、従業員の勤怠管理を行う際に確認すべき事項が増え、人事労務担当者が果たす役割は今まで以上に大きくなっています。

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