従業員満足度調査(ES)とは? アンケート項目や具体的な向上施策をわかりやすく解説

従業員満足度調査とは?

「従業員の離職率が高い」「採用活動が進まない」「生産性が上がらない」などの課題を持つ企業は少なくありません。

このような企業は、従業員満足度調査を活用することで課題解決の糸口を見出せる可能性があります。

この記事では従業員満足度調査の意味、目的、質問項目(アンケート項目)、調査方法、実施ポイントや注意点などをわかりやすく解説します。従業員満足度調査を活用するために役立ててください。

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従業員満足度調査(ES調査)とは?

従業員満足度調査(Employee Satisfaction調査=ES調査)とは、従業員が企業に対して感じている満足度を測定するためのアンケート調査です。例えば、給与や待遇、仕事内容、職場の人間関係、経営方針などについての質問に回答してもらい、従業員満足度を調べます。

満足度を高める要素は、従業員ごとに異なります。従業員満足度は、個人の事情や価値観などによって異なる、主観的な指標であるためです。

したがって、従業員満足度調査を実施する際は、幅広い項目を網羅的に調査するのが一般的です。

従業員満足度調査を実施する頻度は、一般的に1~3年に1回程度です。

ただし、特定のテーマに関する従業員満足度を調べたいときや、調査規模を小さくして短期間でPDCAサイクルを回したい場合には、四半期ごとや月単位で実施されるケースもあります。

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従業員満足度調査の目的・メリット

従業員満足度調査の目的は、従業員にとって魅力ある職場環境を整備し、満足度を向上させることです。

従業員満足度が向上することによって、企業にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは「従業員の労働意欲が高まる」「人材を確保しやすくなる」「生産性が上がる」の3つに分けて解説します。

1.従業員の労働意欲(モチベーション)を高めるため

従業員満足度調査に基づいて、従業員のストレスになっている問題や不備のある制度などを改善できれば、労働意欲を高められます。例えば「ミーティングスペースが狭い」という意見を聞き入れてオフィス環境を整備すれば、ストレスなく議論に臨めるようになり、従業員同士のコミュニケーションが活性化するケースがあります。

「日常的に職場の問題について話し合っているため、従業員満足度調査は不要だ」という意見もあるかもしれません。

しかし、上司に対する評価や、ハラスメントを受けている現状などは、表立って意見を出しづらい場合もあるでしょう。

従業員満足度調査では、従業員が声を上げにくい課題も匿名性で調査できるため、働きやすい労働環境の整備に役立ち、モチベーション向上に繋がります。

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2.人材を確保するため

従業員満足度調査を定期的に実施し、職場環境を改善することで、離職率の抑制も期待できます。

一般的に、働きやすい環境と高いモチベーションがあれば、従業員は特別な事情がない限り転職を考えにくくなります。

つまり、従業員満足度調査で課題を把握し、改善を進めることは、優秀な人材の定着や人手不足解消などにも効果的です。

そして、採用活動を円滑に進めるうえでも、従業員満足度の向上はメリットがあります。

従業員が生き生きと働いている職場は会社の評判がよくなり、「この会社で働きたい」と思う求職者を増やす効果があるためです。

特に飲食業やサービス業のように、従業員の働く姿が顧客に直接伝わる業種では、従業員満足度の向上は企業ブランディングにも寄与します。

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3.生産性を向上させるため

従業員満足度調査によって従業員満足度が向上すれば、結果的に生産性の向上も期待できます。

実際、厚生労働省の調査によると、「従業員と顧客満足度の両方を重視する企業」は「顧客満足度のみを重視する企業」よりも、売上高営業利益率や売上高が増加傾向にあることがわかりました(※)。

この好循環はサービス・プロフィット・チェーン(SPC)とも呼ばれます。

SPCとは従業員満足度の向上が生産性やサービス品質の向上をもたらし、最終的に顧客満足度や業績の向上につながるという因果関係を示すフレームワークです。

SPCの考えに基づけば、従業員満足度の向上施策は従業員の働きやすさを改善するだけでなく、経営面からもメリットが大きいことがわかります。

※出典:厚生労働省「取り組みませんか?「魅力ある職場づくり」で生産性向上と人材確保」

従業員満足度調査 9つの質問項目(アンケート項目)

従業員満足度調査の質問項目は、大きく分けると9つに分類できます。

以下の項目を網羅するように質問内容を設計すれば、漏れや重複を防ぎやすくなります。もちろん、従業員満足度調査の目的や自社の状況に応じて、違う項目を追加してもかまいません。

1.給与や労働時間などに対する満足度

従業員の処遇に関する満足度を調べます。代表的な項目は給与や賞与、昇進、労働時間、休暇の取りやすさなどに関する満足度です。

これらは多くの人が重視する内容ですので、従業員満足度に与える影響も大きい傾向があります。

また、給与や昇進を決める土台となる人事評価制度や目標管理制度についての質問も、処遇に関する満足度の項目に含まれます。仮に公平で客観的な人事評価制度が運営できていないようなケースでは、従業員満足度は下がってしまうでしょう。

処遇に関する満足度の調査では、単に従業員満足度を把握するだけでは十分ではありません。

例えば「給与が低い」という不満があるなら、その理由も含めて質問しましょう。

すぐに給与を上げるのは一般的に難しいですが、人事評価制度や目標管理制度などへの不満に落とし込めれば、何らかの対策をしやすくなるからです。

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2.日常業務についての満足度

従業員が日々従事している仕事に対する満足度を調べる項目です。

仕事にやりがいを感じられるか、成長を実感できるか、自身の能力や適性に合った仕事かどうか、などを質問します。

また、自分の役職、責任と釣り合う仕事量やノルマなのかなどについての内容も質問します。

日常業務についての満足度は、日常的に感じる重要な指標であるため、従業員満足度調査では最低限含めるべき項目です。

他の満足度が高くても日々の仕事に不満があれば、ストレスが蓄積されていき、やがて休職や離職などにつながるリスクがあります。

ただし、日常業務についての質問は、業態や職種によっては、一般的な質問項目を使い回せない場合があります。

例えば、日勤と夜勤のシフトが激しい職場や危険物を取り扱う職場では、特殊なストレスが予想されます。このような場合は、自社の就業状況に合った質問項目に修正して、従業員満足度を測定しやすいように工夫しましょう。

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3.上司に対する満足度

上司が信頼できる人物か、相談しやすいか、日々のコミュニケーションに満足しているか、などの項目を質問します。

上司に対する満足度を調べることで、組織の問題点をみつけられる場合もあるでしょう。

直属の上司だけでなく、部署の責任者やリーダーに関する内容を含めてもかまいません。

ただし、誰に関する質問なのかが明確になるよう、文面を工夫しましょう。

また、人間関係についての内容が含まれるため、単なる悪口や人格攻撃にならないような工夫も必要です。

例えば「自分の仕事でトラブルが発生したときは遠慮なく相談できる」の質問に対して「はい/いいえ」で答えるようにするなど、具体的なシチュエーションを設けて簡潔に質問します。

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4.職場の人間関係に対する満足度

職場の人間関係や協力体制、チームワークなどに関する質問項目です。

ほとんどの人は職場やプロジェクトチームなどで自分の役割を与えられて仕事をします。

もしチーム内に居場所を感じられず貢献意欲を持てなければ、従業員満足度は下がってしまうでしょう。

したがって、職場の人間関係に対する満足度が低い場合、マネジメント層向けの研修や社内レクリエーションなど、チームビルディングを強化する施策を検討する必要があります。

5.経営に対する満足度

企業の経営理念やビジョン、経営戦略、将来性などに対する満足度を測る項目です。

従業員が経営層に意見を述べる場面は限られているため、従業員満足度調査は貴重な意見を収集する手段にできるでしょう。

質問内容を作成する際は、経営層が従業員からどのような意見を求めているのかを確認するのも有効です。

特に新事業の立ち上げや企業戦略の変更など、重要な経営判断を下した後は、経営に対する満足度調査が重要です。

6.キャリア開発に対する満足度

従業員の定着率向上と成長を促すために、キャリア開発に対する満足度も重要な項目です。

組織内での成長機会や自己啓発・スキルアップの支援体制の満足度、「自身の成長実感があるか」という問いを投げかけましょう。

また、研修プログラムの充実度、上司からの育成支援の満足度、自己啓発支援制度の満足度などの質問を設計することで、多角的な視点でキャリア開発環境の課題を特定できます。

満足度が低い場合は、明確なキャリアパス制度の構築・可視化をはじめ、部門横断的な育成計画の策定、メンター制度の導入といった改善策を検討する必要があります。

これらの対策は人材育成投資として、組織全体の競争力向上にも寄与するでしょう。

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7.福利厚生への満足度

退職金や企業年金制度、勤務形態の自由度に関する質問項目です。

また、住宅手当(家賃補助)や通勤手当、出産祝い金など、主に企業が任意で実施する福利厚生制度についての満足度も調べます。

そのほか、社員旅行やクラブ活動の補助金、社員食堂の運営など幅広くあります。福利厚生への満足度の調査でポイントとなるのは、制度が時代のニーズにマッチしているかどうかです。

例えば、共働き夫婦が増えている現代では、子育てのためにフレックスタイム制度の導入を希望する人が増えています。

また、かつては育休を取る男性社員は少数でしたが、現在では企業が応援して積極的に取得させるべきだという考え方が広がっています。

このような意識の変化が見られる項目は、重点的に調査するとよいでしょう。

8.社内環境についての満足度

社内環境についての満足度は、大きく2つの要素に分けられます。

一つは社内設備、インフラに関する満足度です。

具体的には電気や水道、喫煙所、通信ネットワークやパソコンなどに関する満足度です。主に業務のしやすさや、職場の快適性に関する質問が中心となります。

もう一つは、社風や職場の文化など、目に見えない要素に関する満足度です。

例えば、各種のハラスメントが横行している職場や、過度に上下関係が厳しい職場などでは従業員満足度が下がってしまうでしょう。

インターネットやSNSの普及により、情報が急速に拡散する現在、一つのハラスメントが企業のイメージ低下につながるケースも増えています。

従業員満足度調査によって早期に問題を発見する仕組みを整えておくのは、従業員を守るうえでも、企業ガバナンスの一環としても有効です。

9.総合的な満足度

総合的な満足度とは、ここまで紹介してきた項目を総合的に判断したときの満足度です。

つまり、仕事や職場、企業に対するトータルの満足度です。

総合的な満足度を調査することで、早急に対策を講じるべき従業員の特徴を把握しやすくなります。

例えば、総合的な満足度が高い従業員をリストアップしてから、年齢や部署別に比較します。こうすることで、従業員満足度を向上させるための優先的な施策を特定できます。

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従業員満足度調査と混同しがちな用語

従業員満足度調査と混同されやすい用語に「従業員エンゲージメント調査」「従業員サーベイ」「ウェルビーイング」があります。

ここでは、それぞれの意味と従業員満足度調査との違いについて解説します。

従業員満足度調査と従業員エンゲージメント調査の違い

従業員エンゲージメントとは、従業員が企業に対して抱く思い入れや愛着心という意味です。

従業員エンゲージメント調査では、従業員がどれぐらい自社に思い入れや愛着心を持っているかの度合いを調べます。

従業員エンゲージメント調査は、従業員が自発的に企業へ貢献したいという意識を持っているかを測る点で、従業員満足度調査とは異なります。

従業員満足度調査では、必ずしも自発的な貢献意欲がなくても、満足度が高くなるケースもあるためです。

例えば、「地元でおもちゃメーカーに就職したい」と思っている人が、地元に1社しかないおもちゃメーカーに勤めた場合は、従業員エンゲージメントがなくても従業員満足度が高くなる可能性があります。

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従業員満足度調査と従業員サーベイの違い

従業員サーベイとは、現状把握のために自社を調査するアンケート調査です。

サーベイとは「調査」という意味ですので、任意のテーマで従業員を調査するという意味になります。

一般的には、組織の問題や課題を発見したり、特定したりするために従業員サーベイを実施します。つまり、従業員満足度調査は従業員サーベイの一部に含まれます。

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従業員満足度調査とウェルビーイングの違い

ウェルビーイング(Well-being)とは、世界保健機関(WHO)で「個人や社会のよい状態。健康と同じように日常生活の一要素であり、社会的、経済的、環境的な状況によって決定される」と説明されている言葉です。

ウェルビーイングには、主観的な幸福感と、平均寿命や生涯賃金などの客観的な指標の2つに分類されます。

ビジネスシーンでウェルビーイングを測る場合、キャリアの幸福度や人間関係における幸福度、経済的・心身・地域社会における幸福度などを指標として測定されます。

ウェルビーイングは個人の幸福度、満足度を示す概念であるのに対し、従業員満足度は組織に対する従業員の満足度を測る指標です。

従業員満足度は「従業員が会社に対してどのくらい満足しているか」を測る一方通行な考え方という点と、ウェルビーイングのように精神的・肉体的・社会的な満足度ではなく「職場」の満足度のみ測ることが相違点です。

従業員満足度調査の分析・集計手法

従業員満足度調査を実施した後は、仮説の検証やパターンの発見などのために分析を行います。

ここでは、従業員満足度調査の代表的な分析手法として「単純集計」「クロス集計」「満足度構造分析」の3つを取り上げます。

1.単純集計

単純集計は質問ごとの回答を集計し、全体の傾向を把握する手法です。

例えば、仕事内容についての満足度を問う質問に対して、回答者100人中、80人が満足であると答えた場合は、満足度が80%だとわかります。

また、1~5段階評価で答える形式の質問では、回答者全員の評価を合計して、平均値を求めます。

単純集計は電卓や表計算ソフトを使用すれば容易に実施できる手法です。

また、後ほど説明する高度な分析手法の土台となるものです。

単純集計は、全体的な傾向を把握したい場合に向きます。十分な回答数があれば、シンプルな計算によって客観的に数値で従業員満足度の傾向を把握できます。

2.クロス集計

クロス集計とは、複数の質問項目を掛け合わせて分析して、回答の傾向を比較する手法です。

例えば、給与の満足度の全体平均が50%だった場合に、年齢が20代の従業員が30%、年齢が50代の従業員が80%だったとしましょう。

この場合は、自社の給与水準に問題があるのではなく、年功序列の給与制度に課題があると推測できます。

このように従業員満足度調査をクロス集計することで、例えば年功序列制度を採用する企業でよくある給与の不公平感に関する課題を洗い出せます。

3.満足度構造分析

満足度構造分析とは、質問項目と従業員満足度の相関関係、因果関係を明らかにする方法です。

例えば、総合満足度の高い従業員は、労働時間についての満足度が高いという相関関係を、2つの質問の数値を比較して分析します。

満足度構造分析を用いる際は、一般的に総合満足度を基準にします。

例えばワーク・ライフ・バランスについての質問と、上司との関係についての質問で相関関係を調べても、直接的な因果関係がない場合、誤った解釈につながる可能性があるためです。

つまり、満足度構造分析の基本的な使い方は「総合的な従業員満足度への貢献度が高い要因は何か」を分析することです。

例えば、総合満足度の高い従業員はワーク・ライフ・バランスについての満足度が高いという相関関係がみつかったとしましょう。

この場合、従業員の多くは、給与や昇進などではなく、働きやすさを求めているのではないかと推測できます。

したがって、この分野を重視して労働環境を整備すれば、従業員満足度の向上につながる可能性が高いと仮説を立てることができます。

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従業員満足度調査の実施手順と活用方法

ここでは、従業員満足度調査の手順を、目的の明確化から対策の実施まで5つのステップで解説します。

ステップ1:目的の明確化

まず従業員満足度調査を実施する目的を明確にします。

例えば、「公平性の高い人事評価制度を検討するため」「優先的に更新するべき社内設備を見つけ出すため」などです。

これほど具体的に絞り込まなくても、「従業員満足度の現状を把握するため」「新たな人事課題をリストアップするため」などの目標設定でもかまいません。

目的を明確にすることで、調査対象や実施頻度、調査方法などの基本方針を決定しやすくなります。

従業員満足度調査の内容は多岐にわたるため、目的意識が薄ければ不必要に大規模な調査となってしまい、実施担当者の負担が大きくなってしまいがちです。

目的を明確にすれば、調査対象を正社員だけにするのか、年何回実施するのか、匿名調査にするのか、などの基本方針を決めやすくなるでしょう。

ステップ2:実施方法の決定

従業員満足度の実施目的を定めたら、実施方法を検討します。

満足度調査を行う際は、無料で気軽に利用できるアンケートフォーム作成用のオンラインツールをはじめ、表計算ソフトや紙面調査など、複数の方法が挙げられます。

また、タレントマネジメントシステムのアンケートやサーベイ機能を活用したり、外部の調査機関に依頼したりする方法も可能です。

質問項目と対象人数が少ない場合は、試しにアンケートツールや紙で対応するのもよいでしょう。

しかし、従業員数が多い企業で継続的に調査を実施する場合は、タレントマネジメントシステムのサーベイ機能や外部機関を活用したほうが効率的です。

自社で管理している従業員データとの連携を考慮すると、HRMOSタレントマネジメントのサーベイ機能の活用がおすすめです。

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ステップ3:質問項目の作成

次に目的や調査対象などに合わせて質問項目を作成します。

目的にもよりますが、従業員満足度調査では、ある程度の網羅性が必要です。従業員満足度は意見を反映させた調査となるため、幅広く質問しなければ、傾向や特徴を発見しにくい場合があります。

したがって、数年に1回実施するような従業員満足度調査の場合、一般的にはアンケートツールやインターネット上にあるテンプレートを用います。

テンプレートを使えば、効率的にバランスよく網羅的な質問項目を用意できるでしょう。ここから実施目的や状況に応じて、内容を変更したり、項目別のバランスを増減させたりします。

また、あらかじめ仮説を立てる際は、仮説を実証できる質問を追加しておきましょう。

例えば、在宅勤務の導入を拡大しようと考えている場合は、「出社するより在宅勤務のほうが働きやすい(はい/いいえ)」といった質問を追加します。

従業員満足度調査の結果をスムーズに施策につなげやすくなるため、改善までの期間を短縮できます。

ステップ4:調査実施

従業員満足度調査を実施する際には、調査目的も伝えておきましょう。何のための調査なのかわからなければ、回答のモチベーションが高まらず、場合によっては不信感を持たれてしまいます。

企業全体で行う際は、経営トップに調査目的と協力依頼をアナウンスしてもらうと効果的です。

従業員満足度調査は、人事評価の自己評価シートなどと違い、他人事となり従業員の関心が低くなりがちです。自社をよくするために必要なのだとアピールすることで、実態に即した、精度の高い従業員満足度調査をできるようになります。

ステップ5:分析

アンケート結果を回収・集計した後、分析を行います。

先に解説したように単純集計やクロス集計、満足度構造分析などの手法を使うとよいでしょう。

アンケートツールや人事情報管理ツールなどを用いる場合は、統計機能を使うことで、半自動的に分析を完了できる場合もあります。

分析する際のポイントは、個人やチーム、企業全体など対象を分けるのが効果的です。また、よい面だけでなく悪い面も調べることや、なるべく定量的なデータを元に客観的な分析をすることも重要です。

ステップ6:対策の準備

分析結果が出たら、関係者と情報を共有し、具体的な対策を検討します。

従業員満足度調査の目的にもよりますが、経営層への報告や、従業員への情報公開と意見のヒアリングなどをするのもこのタイミングです。

従業員満足度調査の結果、予期しない傾向や、さらに深く調べたい項目が出た場合は、小規模な調査を追加実施するケースもあります。

従業員満足度調査の精度を高める方法・注意点

従業員満足度調査というと形式的なアンケートという印象を持つ人もいるかもしれません。どのようにすれば調査結果を具体的な施策につなげられるのでしょうか。

ここでは従業員満足度調査の精度を高める方法と注意点について解説します。

1.従業員視点で実施する

従業員満足度調査は従業員の立場に立って、労働環境をよりよく改善するために実施しましょう。

従業員満足度調査は、結果的に生産性向上や業績向上につながる可能性があります。しかし、最初からこれらを目的とすると、調査の意図がずれやすいため注意が必要です。

まずは従業員のために何ができるかというスタンスで現状を把握しましょう。

2.回収率が低いと信頼性が低くなる

回収率が低いと調査結果の信頼性が損なわれるため、「従業員の7~8割以上の回答率」を目標に設定しましょう。

回答率を高めるには、質問項目のボリュームを抑えたり、選択式の回答しやすい質問にしたりするなど工夫が必要です。

また、紙媒体は手入力で負担が大きいうえに提出も面倒ですので、Webアンケートや専用のアンケートツールを活用すると、負担を軽減できます。。

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3.プライバシーを確保する

上司や経営層への意見を含むような従業員満足度調査では匿名性、プライバシーを確保する必要があります。

自分が書いた内容が誰かに漏れているのではないかと考え、本音を隠して回答する人は少なからずいるでしょう。プライバシーを守れる仕組みやシステムを導入したうえで、精度の高い調査を実現しましょう。

従業員には個人のプライバシーに配慮していることを伝え、本音で回答しやすい環境を整えることも重要です。

4.偏った解釈になるリスクがある

従業員満足度調査の分析では、最終的に分析者の主観が影響する可能性があります。

「仮説に合わせるような解釈をしていないか」「都合のよいこじつけをしていないか」などに注意しましょう。

分析経験が乏しい場合は、単純集計を重視するなど主観的な解釈が入りにくい手法をとるのもよい方法です。

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5.ITツールを活用して人事担当者の負担を軽くする

従業員満足度調査は従業員数や質問項目が多いほど集計作業に時間がかかってしまいます。

近年ではWebアンケートを手軽に実施できるアンケートツールや、人事情報管理ツールの一機能として従業員満足度調査ができるツールも登場しています。

調査の手間と集計の時間を大幅に減らせるため、必要に応じて導入を検討するとよいでしょう。実名で調査を実施する場合は、データを従業員データベースと連携できるツールもあります。

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6.フォローアップの実施

従業員満足度調査を実施したら、調査結果を生かすためのフォローアップが不可欠です。

集計後に何も行動しなければ「意見を聞くだけで何も変わらない」という従業員の不信感を生み、次回の調査に協力する意欲が低下するリスクが考えられます。

従業員満足度調査の実施後は、匿名性を保ちながら、部署ごとの結果や全社的な傾向を社内共有しましょう。

加えて、調査結果に基づいたアクションプランを策定し、一つずつ課題解決に取り組みます。特に満足度の低い項目や、多くの改善要望があった点の優先度を高めることで「従業員が声を上げれば会社はよい方向に変わる」という信頼感につながります。

また、定期的に改善の進捗状況を報告することも重要です。四半期ごとの進捗レポートや改善事例の紹介など、継続的なコミュニケーションを行いましょう。

改善施策の進捗も定期的に可視化することで、従業員の信頼感向上につながります。

従業員満足度を向上させる具体的な取り組み事例

従業員満足度を向上させる取り組み事例をご紹介します。

従業員満足度だけでなく、生産性向上やチームビルディングなど、副次的な効果が期待できる事例もあるので、ぜひ参考にしてみてください。

柔軟な勤務体制

柔軟な勤務体制の整備は、従業員のワークライフバランスを向上させ、仕事への満足度を高めることができます。

例えば、フレックスタイム制度の導入により、自身のライフスタイルに合わせて勤務時間を調整しやすくなるでしょう。

フレックスタイム制度を導入することで、育児や副業などと両立しやすくなり、従業員満足度に加えて、エンゲージメントや生産性が向上した企業も見られます。

また、リモートワークの導入は、通勤時間の削減によるストレス軽減や、育児・介護との両立をサポートし、従業員の負担を大幅に軽減するでしょう。近年、注目を集めている週休3日制などと併用すれば、プライベート時間の増加によって、満足度向上に貢献する可能性があります。

ただし、週休3日制は給与の減額や、1日あたりの労働時間の延長を伴うケースもあるため、従業員の総合的な満足度を考慮した設計が必要です。

社内コミュニケーションの活性化

社内コミュニケーションの活性化は、従業員満足度向上に不可欠な要素です。

例えば、部署横断型プロジェクトを推進することで、通常の組織構造では生まれにくい「縦・横・斜め」のコミュニケーションも促進されます。

こうしたプロジェクトは組織の活性化、人材育成、業務効率化、そして新しいアイデアの創出などに寄与し、結果として従業員の満足度向上につながるでしょう。

また、定期的な全社ミーティングを実施し、経営理念や戦略を共有することで、全従業員で目線を合わせることができます。

全社ミーティングを合宿形式や立食パーティー形式で行って特別感を演出すれば、一体感の共有だけでなく従業員の士気を高めることも可能です。インナーブランディングの強化や、社員間の結束力を高める効果も期待できるでしょう。

さらに、1on1ミーティングは上司と部下の信頼関係を深め、個人の成長を支援する重要な施策です。一人一人とじっくり対話を重ねることで、課題の早期解決や成長実感を促進し、従業員満足度の向上に大きく貢献します。

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キャリア開発支援プログラムの導入

従業員が自身のキャリアを主体的に発展させられる環境を整備することは、満足度向上に大きく貢献します。

例えば、社内の従業員を対象に、新たなポジションや特定のプロジェクトメンバーを募集する社内公募制度は、キャリア開発支援に有効です。

従業員が自らの意思で新しい挑戦の場を選択できるため、モチベーション向上につながります。社内公募制度を導入する際は「社内版ビズリーチ」のようなプラットフォームを活用することで、ポジションと人材のマッチングを加速しやすいでしょう。

ほかにも、スキルアップ研修の充実も重要です。

従業員が新しい知識やスキルを習得する機会を提供することで、成長実感が得られ、キャリアへの自信と満足度が向上します。従業員一人一人の成長をサポートする体制整備は、従業員満足度と個人の成長、組織力向上にメリットがあるでしょう。

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働きやすいオフィス環境の整備

働きやすいオフィス環境は従業員の満足度に直結します。

リラックススペースやリフレッシュルームの設置は、社員同士の偶発的なコミュニケーションを促進する施策の一つです。

リモートワークが増加した現代では、オフィスでの雑談や気軽な交流の場が減少傾向となっています。社員間の結びつきを強め、組織の一体感を醸成できれば、満足度が向上するでしょう。

また、エルゴノミクスに配慮したオフィス家具や設備の導入も効果的です。

エルゴノミクス(人間工学)とは、人間の特性を考慮して、道具や環境を快適かつ使いやすく設計する学問を指します。人間工学に基づいたオフィス家具を導入することで、長時間のデスクワークによる身体的ストレスを軽減し、生産性向上も期待できるでしょう。

さらに、短時間の仮眠を取るシエスタ(パワーナップ制度)の導入も注目されています。専用の休息スペースを設けることで、従業員の体力回復や集中力向上を促し、午後のパフォーマンス低下を防ぐことができます。

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表彰・報奨制度

従業員の努力や貢献を適切に評価し、認めることは、モチベーション向上と満足度アップにつながります。

単に売上目標で表彰するだけではなく、日ごろの小さな取り組みを賞賛する文化を作れば、より満足度を高めることができるでしょう。

表彰・報奨制度の大小に合わせて、ときには大規模な会場で表彰式を行って、士気を高めることも有効です。

また、ストックオプション(SO)とは、従業員が将来、あらかじめ定められた価格で会社の株式を購入できる制度です。ストックオプション制度の導入により、従業員が会社の成長を自分ごととして捉えやすくなるでしょう。

長期的な視点で企業価値向上に貢献するモチベーションが高まり、金銭報酬を得られることで満足度を向上します。

ほかにも、成果に応じたボーナス制度で従業員の意欲を引き出すことも可能です。

ただし、金銭的な満足度を高める施策は、公平で透明性の高い評価システムが不可欠です。恣意的な評価や不透明なプロセスは、かえって不満を生む原因となりかねないため注意しましょう。

従業員の健康管理とメンタルヘルス支援

従業員の心身の健康を保つことは、生産性と職場満足度に直結する重要な要素です。

メンタルヘルス対策を積極的に導入することで、ストレスや不安を軽減し、職場環境の改善につながります。特にリモートワークが増加した現代において、孤独感や業務境界の曖昧さから、メンタル不調を訴える従業員が増加しています。

具体的な施策として、フィットネス施設の利用補助や定期健康診断に加えて、人間ドックやインフルエンザ予防接種の費用負担、オンラインでも参加できるマインドフルネスプログラムの実施が効果的です。

また、栄養バランスの取れた食事を推奨する食事改善プログラムの導入も、心身の健康維持に役立ちます。

メンタル不調を感じた際にすぐに相談できる窓口として、産業医や産業保健師との定期面談の機会を設けることも重要です。

社内の相談窓口だけでなく、外部の専門機関と提携し、プライバシーに配慮した相談体制を整えることで、従業員が安心して健康問題に向き合える環境を構築できるでしょう。

ワークライフバランスの推進

ワークライフバランスの推進は、従業員満足度の向上だけでなく、企業の採用競争力強化や離職率低下にも大きく貢献します。

従業員のプライベート時間を十分に確保して、仕事と両立できる環境づくりを行いましょう。

具体例として、年次有給休暇の5日取得義務を確実に履行するため、仕組みの確立を進めましょう。

そのうえで、より自由に休暇を取得できる文化の醸成や、連続休暇取得の推奨など、有休消化率向上のための取り組みを実施します。

さらに、バースデー休暇やアニバーサリー休暇などの法定外休暇を導入することで、従業員のモチベーション向上も期待できます。

育児・介護との両立支援として、法定を上回る育児休業制度や時短勤務制度、在宅勤務制度の整備も効果的です。

また、週に一度のノー残業デーの設定や、残業時間の上限設定により、メリハリのある働き方を促進するのもよいでしょう。これらの施策は従業員の生活の質を高め、長期的な定着率向上につながります。

従業員満足度調査は企業にとってもメリットが大きい

従業員満足度調査は、従業員の満足度を向上させるために実施される施策です。

しかし、企業側にとっても、生産性向上や離職率の低下など多くのメリットがあります。自社に合った質問項目を作成して、従業員が今感じていることや、求めていることへの対策を洗い出していきましょう。

従業員満足度調査は一定の手間がかかるため、アンケートのペーパーレス化やITツールの導入など、調査環境の整備も重要です。

3つのステップで従業員満足度調査を始めよう

従業員満足度調査の項目は多岐にわたるため、調査用のツールを使って効率化を図りましょう。

HRMOSタレントマネジメントでは、従業員エンゲージメントを可視化する「個人コンディションサーベイ」と組織パフォーマンスを可視化する「組織診断サーベイ」を提供しています。

組織状態を網羅的に把握しながら、従業員のコンディションを迅速に確認できるため、課題の早期発見と改善に役立ちます。

HRMOSタレントマネジメントを活用すれば、専門知識がなくても設問設計ができ、調査後のレポートは自動作成できます。機能詳細は以下のページでご確認ください。

https://hrmos.co/hr/function/survey/

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