人的資本経営で企業価値を高める方法とは

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急激な社会情勢の変化の中、企業の競争力を高めて持続的な成長を実現するために人的資本の重要性が高まっています。しかし、一体どのようにして人的資本を高めていけばよいのかよく分からない、という人もいるでしょう。そこでこの記事では、人的資本の概要や人的資本経営を導入するメリット、人的資本を高める方法などについて詳しく解説します。

人的資本とは

近年、デジタル化やグローバル化の進展により、企業を取り巻くビジネス環境は大きく変化しています。そのような状況下において大きな注目を集めているのが、人的資本という考え方です。しかし、昔からよくいわれる「ヒト・モノ・カネ」という考え方とどこが違うのか、と疑問に感じる人もいるでしょう。人的資本とは、従業員一人ひとりの知識や経験、技能などの総合的な能力を企業の資源(Resource)ではなく資本(Capital)として捉える考え方です。つまり、人材をただ有効活用するコストではなく、投資して育てていく資産、として考えるわけです。

具体的な人的資本の定義は国際機関や研究者などによってさまざまですが、一般的には

  • 教育や訓練によって身につけた知識や技能
  • 生まれつき備わっている能力や才能
  • 仕事や社会生活を通じて培われた経験や知恵

といった3つの要素で構成される、とされています。

このような人的資本の考え方を生かした経営手法が、人的資本経営です。

人的資本が注目されている背景

人的資本という考え方が注目されている背景にあるのは、アメリカや日本において人的資本情報の開示が義務化されていることです。2020年には、アメリカで米国証券取引委員会(SEC)が上場企業に対し、人的資本情報の開示を義務化したことが大きな話題となりました。このとき、ルールとして採用されたのは、国際標準化機構(ISO)が公開したISO30414です。ISO30414では、11領域49項目の情報開示規格が定められています。

日本でも、金融庁が有価証券報告書に人的資本に関する情報を開示することを義務付けました。日本において開示が求められている情報は、

  • サステナビリティに関する考え方および取り組み
  • 女性管理職比率や男性の育児休業取得率、男女間賃金格差といった多様性に関する情報
  • コーポレートガバナンスに関する情報

の3点です。今後はアメリカや日本だけでなく、世界各国で人的資本情報開示の義務化が進むことが予想されます。企業には人的資本を重要な経営資源として捉え、人的資本に関する情報を積極的に開示していくことが求められるでしょう。
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ESG投資とは

投資家や消費者といったステークホルダーの意識の変化も、人的資本が注目されている背景として挙げられます。たとえば、人的資本経営と相互に関連しているESG投資もそのひとつです。ESG投資とは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(政治)の3つの要素に配慮して投資判断を行うことを指します。ESG投資において重視されるのは、企業の社会的責任や倫理観です。今後、ESG投資が拡大していくことが予想されます。企業は人的資本経営を強化することによって、ESG投資の評価対象となることが重要な課題となるでしょう。

以下、人的資本経営とESG投資が具体的にどのような関係にあるのか、詳しく解説します。

人的資本経営はESG投資の評価対象となる

まず重要なポイントは、企業は人的資本経営に取り組まないとESG投資の評価対象から外れてしまう、ということです。ESG投資を行う投資家は、投資先企業の人的資本に関する情報を重視しています。たとえば、従業員の多様性や包摂性、労働環境、教育・研修、ワークライフバランスなどです。

人的資本経営はESG投資のパフォーマンスに影響を与える

人的資本経営を重視する企業は、ESG投資の評価対象となるだけでなく、投資のパフォーマンスにも好影響を及ぼすと考えられます。なぜなら、人的資本を重視する企業は従業員のエンゲージメントや生産性の向上にも積極的なため、持続的な成長と競争力強化が期待できるからです。そのため、さらに多くの投資を受けられるようになります。

人的資本経営はESG投資を促進する

人的資本経営を行う企業がESG投資の対象となり、ESG投資が好パフォーマンスをあげると、ESG投資がさらに促進されてゆくでしょう。ESG投資が促進されれば人的資本の重要性がより高まり、人的資本経営を重視する企業の数も増えることが期待できます。このことは、環境、社会、政治における持続可能性の課題解決につながる、と考えられています。

人的資本経営を導入するメリット

人的資本経営のメリットは、投資が集まることだけではありません。それ以外にも考えられるメリットをいくつか詳しく解説します。

生産性の向上が期待できる

人的資本経営導入のメリットとしてまず挙げられるのは、生産性の向上が期待できることです。人的資本経営の導入は、従業員のスキル・能力の向上、モチベーションの向上、エンゲージメントの向上などにつながります。これらは、生産性を向上させるために欠かせないポイントです。

具体的には、以下の取り組みが生産性の向上につながると考えられます。

  • 教育・研修の充実
  • キャリアアップの機会の創出
  • ワークライフバランスの整備
  • 多様性・包摂性の推進

これらの取り組みにより、従業員は仕事に集中し、生産性を向上させられるでしょう。また、人的資本経営の導入は、従業員の離職率の低下につながります。人材の流出を防ぐことができれば、企業のノウハウや経験の蓄積を維持できるでしょう。こうしたノウハウや経験の蓄積も、生産性を向上させるために重要です。
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従業員の能力が可視化される

人的資本経営では、従業員のスキル・能力、経験、働きがい、モチベーションなどのデータを収集・分析します。これらのデータの分析は、従業員の能力の可視化につながるでしょう。従業員が自分の能力を把握できれば、キャリアアップやスキルアップの目標設定に役立てられます。また、能力の可視化によって、効率的な人材配置も可能になります。その結果、従業員のパフォーマンスをより高められるようになるでしょう。

能力を可視化するための方法はさまざまです。たとえば、従業員のスキル・能力を体系的に整理したスキル・能力マップの作成がその方法のひとつとして挙げられます。また、360度評価を実施するのもおすすめです。360度評価では、上司、同僚、部下など複数の視点から従業員を評価します。
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人的資本経営を導入するデメリット

一方、人的資本経営の導入にはいくつかのデメリットも考えられます。

長期的に取り組む必要がある

人的資本経営導入のデメリットのひとつは、長期的に取り組まなければならないことです。人的資本経営では、従業員のスキル・能力、経験、働きがい、モチベーションなどのデータを収集・分析し、それに基づいて人材戦略を策定・実行する必要があります。これらのデータは、短期間で収集・分析できるものではありません。また、人材戦略は、企業の経営戦略や環境変化に合わせて、常に見直し・改善する必要があります。そのため、人的資本経営を導入するには、企業が長期的な視点で取り組むことが重要です。

膨大なコストがかかる

人的資本経営の導入にはコストがかかります。たとえば、教育・研修の費用です。人的資本経営を導入するためには、従業員のスキル・能力を向上させるための教育・研修を準備しなければなりません。また、制度・環境の整備費用も必要になります。たとえば、ワークライフバランスを支援する制度や、多様性を尊重する環境を整備するための費用などです。そのほか、データ収集・分析の費用もかかります。

これらのコストはデメリットではあるものの、企業の持続的な成長と競争力強化のために必要な投資でもあります。できるだけコストを抑えるには、以下の点に注意するとよいでしょう。

  • 教育・研修や制度・環境の整備などの一部を外部サービスに委託する
  • 社内コミュニケーションの活性化や従業員の働きがい向上など、自社でできる取り組みは自社で行う
  • 一度にすべてを実施しようとするのではなく、段階的に導入する

確実に成果が出るとは限らない

人的資本経営は、従業員のスキル・能力やモチベーションを向上させることで、企業の持続的な成長と競争力強化に貢献することを目的としています。しかし、従業員のスキル・能力やモチベーションは、個人の努力や環境など、さまざまな要因によって左右されます。そのため、人的資本経営を導入しても、必ずしも成果が出るとは限りません。

たとえば、よくある事例として挙げられるのは、従業員の協力が得られないケースです。人的資本経営は、従業員の協力がなければ成功しません。従業員が人的資本経営の目的や意義を理解せず、協力を得られない場合、成果が出ない可能性があります。また、従業員が環境の変化に対応できないケースもあります。人的資本経営では、常に変化する環境に合わせて評価・改善を実施しなければなりません。そうした環境の変化に従業員が対応できないと、成果が出ない可能性があります。人的資本経営を導入する際には、これらの成果が出ないリスクを認識し、あらかじめ対策を講じておくことが重要です。

人的資本を高めるには

人的資本を高めるためには、人的資本の獲得と育成、維持が重要です。これらを実現するためには、具体的にどのようにすればよいのでしょうか。主な方法をいくつか詳しく解説します。

経営戦略をもとに人材戦略を見直す

人的資本を高めるには、まず経営戦略をもとに人材戦略を見直さなければなりません。経営戦略とは、企業が中長期的に達成したい目標と、その目標を達成するために行う具体的な取り組みを定めたものです。また、人材戦略とは、企業が実現したい経営戦略を達成するために必要な人材の育成・配置・活用に関する計画を指します。

経営戦略と人材戦略は、表裏一体の関係です。経営戦略を達成するためには、必要な人材を適切なタイミングで育成・配置・活用する必要があります。一方で、人材戦略を効果的に実行するためには、経営戦略を理解し、その目標を達成するために貢献できる人材を育成・配置・活用しなければなりません。

そのため、人的資本を高めるためには、経営戦略を踏まえて、以下の点を見直すことが重要です。

  • 企業が実現したい経営目標
  • 経営目標を達成するために必要な人材のスキル・能力
  • 人材の育成・配置・活用に関する課題

経営戦略と人材戦略を連動させることで、企業は経営目標を達成するために必要な人材を効果的に育成・配置・活用し、人的資本を高められるでしょう。
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評価制度を整える

評価制度とは、従業員のパフォーマンスや能力を評価するための制度です。評価制度が適切に設計されていると、従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上、従業員の能力開発やキャリアアップの促進、組織のパフォーマンスの向上といった成果が期待できます。

人的資本を高めるためには、従業員のモチベーションやエンゲージメントを高めることが重要です。評価制度が適切に設計されていると、従業員は自分のパフォーマンスや能力が正しく評価されていると実感でき、モチベーションやエンゲージメントが高まります。また、評価制度は従業員の能力開発やキャリアアップを促進する効果もあります。評価制度を通して、従業員は自分の強みや弱み、改善すべき点などを把握できるからです。その結果、従業員は自身の能力を高め、キャリアアップを目指せます。さらに、評価制度は組織のパフォーマンスの向上にもつながるでしょう。企業は評価制度を通して、組織の目標や期待を従業員に明確に伝えることができます。

ただし、評価制度は以下の点に配慮して設計することが重要です。

  • 経営戦略と連動していること
  • 公平性と客観性があること
  • フィードバックに活用できること

評価制度が経営戦略と連動していると、従業員は自分のパフォーマンスが組織の目標達成にどのように貢献しているかを理解できます。また、評価制度に公平性と客観性があると、従業員は自分の評価に納得感を持ち、モチベーションやエンゲージメントが高まるでしょう。さらに、評価制度がフィードバックに活用されると、従業員は自分のパフォーマンスや能力を改善するために必要な情報を得られます。

このように、評価制度は、人的資本を高めるための重要なツールです。評価制度を適切に設計・運用することで、企業は人的資本を高め、競争力を強化し、持続的な成長を実現できるでしょう。
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従業員の成長・活力を測定する

人的資本を高めるためには、従業員の成長・活力を測定することが大切です。なぜなら、従業員の成長・活力は、人的資本の重要な要素だからです。従業員の成長・活力を測定することで、企業は以下のことが可能になります。

  • 従業員の成長・活力の状況を把握し、課題を特定する
  • 従業員の成長・活力を高めるための施策を効果的に検討・実行する

従業員の成長・活力を測定するための方法としては、エンゲージメントサーベイやパフォーマンス評価、MBO(目標管理制度)などが用いられています。エンゲージメントサーベイは、従業員のモチベーションや仕事に対する満足度を測定する調査です。パフォーマンス評価では、従業員の業務遂行能力を評価します。MBO(目標管理制度)は、従業員と上司が目標を共有し、達成に向けて取り組む手法です。自社の状況やニーズに合わせ、適切な方法で従業員の成長・活力を測定しましょう。
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働きやすい環境の整備

人的資本を高めるには、働きやすい環境の整備が重要です。働きやすい環境とは、従業員が安心して働き、成長・活力を発揮できる環境を指します。働きやすい環境の整備によって期待できるメリットはさまざまです。たとえば、生産性や業績の向上、イノベーションの創出、顧客満足度の向上、離職率の低下などにつながるでしょう。

働きやすい環境を整備するために企業が行うべき具体的な取り組みには、以下のようなことが挙げられます。

  • フレックスタイム制やテレワークなど、多様な働き方の導入
  • 育児休業や介護休業などの制度の充実
  • 女性の活躍推進やダイバーシティの推進
  • メンタルヘルス対策の強化
  • 社内コミュニケーションの活性化

ただし、働きやすい環境は一朝一夕に整備できるものではありません。企業は従業員の声を積極的に聞き取り、継続的に取り組むことが重要です。
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多様性の受け入れと活用

多様性の受け入れと活用も、人的資本を高めるために重要な方法です。多様性とは、年齢、性別、国籍、文化、宗教、障がいの有無など、従業員のさまざまな属性を指します。多様性を受け入れて活用することで、従業員は異なる視点や経験から物事を見ることができ、より良いアイデアを生み出せるようになるでしょう。また、多様な人材の活躍は顧客のニーズをより深く理解することにもつながるため、満足度の向上も期待できます。そのためには、多様性を受け入れて尊重する企業文化の醸成と、多様な人材の採用・育成・配置・評価の推進、ダイバーシティ・マネジメントの導入が必要です。

また、具体的には、以下のような取り組みが挙げられます。

  • 採用面接で多様な視点から評価する
  • 女性や障がい者の活躍を支援する制度の導入
  • 異文化コミュニケーションの研修の実施
  • ダイバーシティ・マネジメントの専門家の雇用

多様性の受け入れや活用もまた、実現には時間がかかります。そのため、企業はしっかり腰を据えて継続的に取り組むことが重要です。
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HRテックの活用

HRテックとは、人事業務の効率化や人材の育成・配置・活用を支援するITツールのことです。HRテックを活用することで、人事業務の効率化やデータに基づいた人事施策の立案・実行、従業員のパフォーマンスや成長の可視化が可能になります。これらのメリットにより、人的資本を高めるための取り組みが効果的に進むでしょう。

具体的には、以下の取り組みにおいてHRテックの活用が有効です。

  • 従業員のスキルアップや能力開発の支援
  • 従業員のパフォーマンスや成長の測定
  • 働きやすい環境の整備
  • 多様性の受け入れと活用

たとえば、従業員のスキルアップや能力開発の支援においては、e-ラーニングやオンライン研修などのHRテックを活用することで、従業員のニーズやペースに合わせて学習を進めることができます。また、働きやすい環境の整備においては、勤怠管理システムやコミュニケーションツールなどを活用することで、従業員の働きやすさを向上させることが可能です。

ただし、あらゆるHRテックの活用が人的資本の向上につながるとは限りません。HRテックを活用する際には、経営戦略と人材戦略を踏まえ、従業員の理解と協力を得て活用することが大切です。
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人的資本経営のフレームワークである「3P・5Fモデル」とは

人的資本経営を実現するために有効なフレームワークとして知られているのが、「3P・5Fモデル」です。このフレームワークにおける3Pとは、Person(人)、Plan(計画)、Process(プロセス)の3つの要素を表します。また、5Fとは、Fit(適合)、Fulfill(充実)、Focus(集中)、Future(未来)、Fund(投資)の5つの要素です。人的資本を実現するためのステップとして3PとFit(適合)、Fulfill(充実)があり、さらに深掘りするための3要素としてFocus(集中)、Future(未来)、Fund(投資)があります。

Person(人)

最初のステップであるPerson(人)で行うのは、人的資本における現状の把握と目標の設定です。人的資本の現状を把握するためには、従業員のスキル・能力、経験、働きがい、モチベーションなどのデータを収集・分析する必要があります。また、人的資本の目標を設定するためには、経営戦略を踏まえて企業が求める人材像を明確にしなければなりません。

Plan(計画)

Plan(計画)では、人的資本戦略を策定し、人的資本施策を立案します。人的資本戦略における重要なポイントは、人的資本をどのように活用して企業の目標を達成するかを明確にすることです。また、人的資本施策では、人的資本戦略を実現するための具体的な取り組みを検討します。

Process(プロセス)

Process(プロセス)で行うのは、人的資本施策を実行し、その効果を評価することです。人的資本施策を実行するためには、人事部門だけでなく、経営層や各部門からも協力を得なければなりません。そのためには、施策の評価が必要不可欠です。また、人的資本施策の効果を評価するためには、定量的な指標だけでなく、定性的な指標も活用する必要があります。

Fit(適合)

Fit(適合)では、経営戦略と人材戦略を連動させ、組織風土や制度を整備します。このことにより、人的資本を経営戦略の実現に効果的に活用できるようになるでしょう。また、組織風土や制度を整備することで、従業員が働きやすい環境を実現できます。

Fulfill(充実)

Fulfill(充実)で行うのは、従業員の成長・活力を促進し、従業員のエンゲージメントを高めることです。従業員の成長・活力を促進するためには、教育・研修の機会を充実させたり、キャリアアップの機会を創出したりする必要があります。また、従業員のエンゲージメントを高めるためには、仕事にやりがいを感じられるような環境を整備しなければなりません。

Focus(集中)

Focus(集中)では、人的資本経営の重点分野を明確にし、そこに集中的に投資をします。人的資本経営の重点分野を明確にするためには、経営戦略や市場環境の変化を踏まえ、企業が今後重点的に取り組むべき課題を特定することが大切です。

Future(未来)

Future(未来)では、将来の変化を見据えて人的資本の戦略を策定します。将来の変化を見据えることは、企業が将来に備えて必要な人的資本を獲得・育成・活用するための重要なポイントです。たとえば、AI・IoT・ロボットなどの技術革新、人口減少や高齢化、グローバル化などが見据えるべき未来として挙げられます。

Fund(投資)

Fund(投資)では、人的資本に投資を行い、人的資本の価値を高めます。人的資本への投資として挙げられるのは、教育・研修の投資、制度・環境の投資、組織風土の投資などです。具体的には、以下のようなことが挙げられます。

  • 教育・研修の充実
  • キャリアアップの機会の創出
  • ワークライフバランスの整備
  • ダイバーシティ・マネジメントの推進

まとめ

人的資本経営は継続が大切!

人的資本経営とは、企業が従業員を資本と捉え、その価値を最大限に引き出し、中長期的な企業価値向上につなげる経営手法です。人的資本経営を導入することで、企業は企業価値の向上や競争力の強化など、さまざまなメリットを得られるでしょう。ただし、人的資本経営は一朝一夕に成果を出せるものではありません。経営戦略との整合性を図り、従業員の理解と協力を得ながら、継続的に取り組むことが大切です。