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バイアスとは「偏り」「偏見」「先入観」などを意味し、認識の歪みや偏りを表現する言葉として使われます。 日常のビジネスシーンや、データ分析の現場では、そのバイアスが作用することが多々あります。
本記事では、さまざまなバイアスの意味を紹介した後、人事領域でバイアスが生じやすい場面を紹介します。バイアスの影響を減らすための方法もあわせて解説します
バイアス(bias)とは?
バイアス(bias)とは、人間の認知や判断、意思決定などに影響を与える思考の偏りや傾向のことです。これらは多くの場合、無意識的に働き、客観的な現実認識や合理的な判断を妨げることがあります。
ビジネスシーンでバイアスが働くと、情報処理の効率化や迅速な判断を助ける一方で、誤った結論や不適切な行動につながる可能性があるため注意が必要です。なお、英単語のbiasは、「偏見・先入観」「偏見から起こる不公平な判断」などと訳されます。
認知バイアスとは
認知バイアスとはバイアスの一種で、心理学や認知科学で使われる専門用語です。自分自身の過去の経験や直感に従い、合理的な判断をしていると信じ込むことで、無意識に判断がゆがむことがあります。認知バイアスは100種類以上あるとされており、経験を重ねるほど顕著になるバイアスも存在します。
認知のゆがみを軽減するためには、自分自身の判断が簡単にゆがめられてしまうことを知り、認知バイアスの理解を深めるとともに、自身の認知や知識状態をメタ認知することが第一歩とされています。
バイアスが生じてしまう理由
バイアスが生じる理由を理解するため、心理学の二重過程理論(dual process theory)について簡単に説明します。二重過程理論とは、人間の情報処理プロセスを説明するための理論の一つで、思考には「直感」「熟慮」の2パターンがあるという解釈です。
私たちは普段から以下の2つを組み合わせて意思決定を行っています。
■二重過程理論
直感:無意識的に、素早く、自動的に、過去の経験をもとに判断する
熟慮:意識的に、時間をかけて、規則を適用しながら、熟慮して判断する
二重過程理論の「直感」が働くことで、意思決定の際にバイアスが生じると考えられています。
偏見とバイアスの違い
偏見とバイアスは同義語として使われることが多いですが、厳密には異なるものです。偏見は偏った見方や考え方のなかでも否定的なものを指し、バイアスは私たちの「認知のゆがみ」そのものを指します。
なお、誰もが無意識にもっている偏見や思い込みのことを、アンコンシャス・バイアスと呼びます。
・入社手続きの効率化
・1on1 の質の向上
・従業員情報の一元管理
・組織課題の可視化
認知バイアスの種類
心理学では、過去の経験や直感などにもとづき、非合理的に物事を判断することを認知バイアスと呼びます。数多く存在する認知バイアスの種類と意味を知っておくことで、ビジネス上で誤った判断を防ぎやすくなるでしょう。
ここでは、代表的な認知バイアスをご紹介します。
確証バイアス
確証バイアスとは、自分の仮説や考えが正しいことを証明する証拠や情報ばかりを探し、それに反する情報を無視または軽視する傾向を指します。
例えば、購入を検討している商品がある場合に、その商品の良いレビューや評価を探し、反対の悪いレビューは無視することがあります。これにより、自分の購入の決断を正当化しようとする行動が見られます。
この傾向は、客観的な判断を妨げてしまい、偏った見方を強化する可能性があります。
正常性バイアス
正常性バイアスとは、危険な状況に直面しても、「大丈夫だろう」と考え、適切な行動をとらない傾向を指します。
例えば、災害警報が出ても「大丈夫だろう」と逃げ遅れたり、喫煙者にもかかわらず肺がんリスクを甘んじてしまうケースが挙げられます。正常性バイアスは、危機管理において重大な問題を引き起こす可能性があり、適切な準備や対応を妨げることがあります。
現状維持バイアス
現状維持バイアスとは、現在の状況や物事の決定を変更せず、そのまま維持しようとする傾向を指します。
例えば、希望条件に合致している良い転職先を見つけても、慣れ親しんだ環境から離れることを拒み、現職にとどまり続けてしまうことがあります。この傾向は、変化や改善の機会を逃す原因となり、個人や組織の成長を妨げる可能性があるでしょう。
自己奉仕バイアス
自己奉仕バイアスとは、成功した要因を自分の能力や努力のおかげだと受け止め、失敗したときは外部要因や運のせいと解釈する傾向を指します。例えば、営業成績が良かったときは自分の努力の成果だと考え、成績が振るわなかったときは、「お客様が悪い」「商品が良くないから売れない」などと外部要因のせいにしてしまいます。この傾向は、自尊心を保護する一方で、自己内省をして物事を改善していく機会を逃す可能性があります。
同調バイアス
同調バイアスとは、周囲の意見や行動に同調して合わせようとする傾向を指します。例えば、組織の中で自分だけが異なる意見を持っていても、多数派の意見につい同調してしまうことがあるでしょう。この傾向は、社会的調和を促進する一方で、個人の創造性や批判的思考を抑制する可能性があります。
生存者バイアス
生存者バイアスとは、成功した例や生き残ったエピソードのみに注目し、失敗した例や課題解決ができずに淘汰された話を無視する傾向です。例えば、成功したたった1社の企業事例のみを参考にして「〇社ができたから私たちもできる」などと過信して、正確な判断ができなくなってしまいます。多くの失敗した企業例にも目を向けなければ、地に足のついた意思決定は難しいでしょう。
この傾向は、リスクの過小評価や非現実的な期待につながる可能性があります。
楽観的バイアス
楽観的バイアスとは、自分に都合の良い結果を過度に期待して物事を楽観的に受け止め、リスクを過小評価する傾向を指します。例えば、「前職で好成績を残した経験者だから、そこまで研修やオンボーディングに力を入れなくていいだろう」などと楽観視したものの、入社後に採用者の成果が優れないまま早期離職につながるケースなどが挙げられます。この傾向は、適切なリスク管理を妨げ、予防措置の不足につながる可能性があります。
選択的認知
選択的認知とは、自身の経験や興味、期待などに基づいて情報を選択したり、認知したりする傾向を指します。例えば、特定のタイプの人材ばかりを好んでしまう場合、無意識のうちに自分の関心事や賛同できる情報を選んでいる可能性があり、合理的かつ公平な判断ができていない可能性があるでしょう。の傾向は、偏った判断や不公平な評価につながる可能性があります。
そのほかの認知バイアス
認知バイアスは100種類以上存在すると言われていますが、なかでも耳にする機会が多い「アンコンシャス・バイアス」「ダニング・クルーガー効果」について解説します。
アンコンシャス・バイアスは、無意識の偏見やステレオタイプと言い換えられるもので、「特定の地域出身の人は知的ではない」「女性は仕事より育児が優先だ」などと思い込むバイアスを指します。根拠のない思い込みにより偏見が生まれ、事実と異なることに気付けないリスクがあります。
ダニング・クルーガー効果とは、能力の低い人が自分の能力を過大評価し、逆に能力の高い人が自分の能力を過小評価する傾向です。例えば、初心者が自分の技能を過信したり、専門家が自分の知識の限界を意識しすぎたりすることが挙げられます。
<関連記事>ダニング・クルーガー効果
このように、私たちは日常的にバイアスと隣り合わせにあります。無意識のうちに認知がゆがんでいることを理解して、少しでもバイアスをなくすことで、より客観的で適切な意思決定につながるでしょう。
認知バイアスがビジネスにもたらす弊害
認知バイアスは、放っておくとビジネスシーンでさまざまな弊害をもたらす可能性が高いです。具体的にどのような弊害が生じるのか、3つ例を挙げてご紹介します。
情報の偏りと不完全な分析
認知バイアスは、情報収集や分析プロセスの際に、誤った判断をもたらすリスクがあります。例えば、確証バイアスにより、自身の仮説や信念を支持する情報のみに注目してしまうと、自分の解釈に都合の良いデータばかり集めてしまうでしょう。また、収集データが正しかったとしても、選択的認知バイアスによって特定の情報を重視してしまい、分析が不十分になる恐れがあります。
認知バイアスは、市場調査や競合分析といった業務の精度を低下させ、誤った戦略立案につながる可能性があります。
非合理的な意思決定
認知バイアスは、合理的な意思決定を妨げる要因となります。例えば、楽観的バイアスによってビジネスリスクを過小評価し、過度に楽観的な事業計画を立てる恐れがあります。
例えば、生存者バイアスが生じることで、過去の失敗事例を無視して非合理的な選択をしてしまい、のちに重大な失敗や悪影響を及ぼす可能性があるでしょう。
チームワークと信頼関係の阻害
認知バイアスは、組織内のコミュニケーションや協力関係にも悪影響を与えます。同調バイアスによりグループ内で異なる意見が抑制され、創造性や革新性が失われる可能性があります。
例えば、自己奉仕バイアスによって、「成功は自分のおかげで失敗は他人の責任だ」と考えるようになると、チームワークが失われて信頼関係を損なう恐れがあるでしょう。これらのバイアスは、組織の生産性低下や人材流出につながるリスクもあります。
人事担当者に生じる可能性がある認知バイアス
採用や評価に関わる人事担当者は、認知バイアスの影響を受けやすい立場です。ここでは、人事担当者に生じる可能性のある認知バイアスを5つご紹介します。
類似性バイアス
類似性バイアスとは自分と似たような人を好み、安心感を得る傾向を指します。類似性バイアスが働くと、出身地、学歴、経歴、経験やスキル、容姿などが自分に似たような人物ばかりを採用したり、プラスに評価したりして、偏りが出てしまう可能性があります。
希望的観測
希望的観測とは、ことのなりゆきを「こうだったらいいな」と希望を交えて、自分に都合の良いほうに捉えてしまうバイアスです。例えば、採用面接で十分な評価基準をもとに判断せず、感覚的に合いそうという理由だけで採用してミスマッチになる場合があります。希望的観測をコントロールできなければ、採用だけでなく人事異動やその後の評価にも影響を及ぼす可能性が高いです。
ハロー効果
ハロー効果とは、対象となる人物・物事の目立ちやすい特徴に影響を受けて、認知がゆがむことを指します。例えば、「プレゼンが上手い社員の評価を高くする」「容姿や雰囲気が明るいため、面接で高評価をつける」など、実際の能力以上に評価をしてしまうケースが挙げられます。
<関連記事>ハロー効果とは
直近効果
直近効果とはハロー効果の一種で、評価する直前の事象(行動や態度など)に影響されて認知がゆがむことを指します。例えば、当該人事評価の直前に良い行動を行っていた場合や、直前の評価で好成績だった者に対して、実際の成果以上の良い評価をしてしまうケースが挙げられます。
ステレオタイプ
ステレオタイプとは、無意識のうちに特定の集団や人物に対して抱いている固定的なイメージや概念を指します。ステレオタイプと似た言葉に、固定概念や偏見、先入観が挙げられます。
例えば「運動部出身だから打たれ強く、営業職に向いてそうだ」など、先入観によって公平な評価ができなくなるケースが多いでしょう。
バイアスによる影響を減らすための対策
バイアスは誰にでも生じるもので、無意識のうちにさまざまなバイアスが思考に影響を与えています。ここでは、バイアスの影響を少なくする方法をご紹介します。
反対意見にも耳を傾ける
バイアスの影響を防ぐためには、自分の意見と異なる意見に耳を傾けることが重要です。多様な意見を聞くことで、自分の思考のゆがみに気づき、より客観的な判断ができるようになるでしょう。反対意見を単に否定するのではなく、その意見を裏付ける根拠を探したり、事実に目を向けたりすることで、認知のゆがみを軽減できるはずです。
事実と意見をわける
物事や人物について評価を行う際は、客観的な事実と主観的な意見を明確に区別することが大切です。
例えば「運動部出身者は営業職がぴったりだ」というステレオタイプによる思い込みを防ぐため「この人物は営業職に必要なスキルをいくつ保有しているか、前職の具体的な実績はあるか」など、事実確認を行います。自分に都合のよい主観的な意見のみを聞き入れるのではなく、複数のデータや統計といった一次情報を重視しましょう。さらに、事実を示すデータの出典を確認できれば、より正確な判断ができるはずです。
前提を疑う
人間の思考にはゆがみが存在することを認識し、「なぜそう考えるのか」「その考えの根拠は何か」などと自問自答をして前提を疑う習慣をつけましょう。物事を判断するときに一度立ち止まり、前提を疑うことで、無意識のうちに抱いている偏見や固定観念に気づきやすくなります。自分の思考を過信せず、第三者目線で疑いの目を持つことが大切です。
肩書きのみで判断しない
相手の意見や主張について評価する際、肩書き・立場・地位だけで判断するのは避けましょう。どんなに相手が権威者であっても、事実に基づいて客観的に検討する姿勢が大切です。
肩書きとは、過去の経験や所属企業、現職の役職、主な実績などを指します。どんなに素晴らしい肩書きが並んでいたとしても、相手の発言内容を精査しながら判断するようにしましょう。
判断基準を持つ
意思決定の際に、明確かつ一貫した判断基準を持つことも重要です。また、この判断基準そのものがバイアスに影響されないよう、客観的な事実や論理的な思考のもとで、慎重に定める必要があるでしょう。さらに、判断基準にバイアスが影響していないかどうかを定期的に見直し、根拠をもって更新し続けることで、より適切な判断ができるようになるでしょう。
自己認識を高める
自分自身の認知や知識の状態、思考パターンや決定プロセスについて認知をすることが大切です。自分自身の判断は簡単にゆがんでしまうことをメタ認知する習慣ができれば、自分が陥りやすいバイアスを理解でき、意識的に回避できるようになるでしょう。
企業ができるバイアスへの対策
ビジネスシーンにおいて、バイアスの影響を少なくするためには研修実施や仕組みづくりが不可欠です。ここでは、企業ができるバイアスへの対策をご紹介します。
研修やセミナー
多くの研修会社では、バイアスをテーマとしたセミナーや研修プログラムを提供しています。研修やセミナーであれば気軽に取り入れることができ、社内コミュニケーションの円滑化が期待できるでしょう。また、幅広い社員に研修を受講させることで、企業ごとに抱えている思考の癖に気付き、経営の意思決定時のゆがみを是正します。
IATなどによるバイアスを測定するテスト
バイアスの影響を軽減するためには、バイアスを測定できるテストの導入が有効です。無意識バイアスを測る方法としては、ワシントン大学とハーバード大学による研究で生まれたIAT(Implicit Association Test)が代表的です。IATでは、無意識バイアスを測りたい対象の言葉と、ある属性の特徴についての言葉の間の連想を測ることで認知バイアスを測定するものです。近年では日本版IATが開発され、一般の企業でも導入されています。
意識改革
仕事上のバイアスを減らすために、全社で意識改革に取り組むことも有効です。自己奉仕バイアスを改善する場合は、成功要因について「自分の努力のおかげ」ではなく「周囲の協力のおかげ」と受け止められるように、常に組織・チームメンバーとの対話を繰り返します。対話する際は「成果が出るまでの過程で、チームメンバーからどのようなサポートを得られたか」「成果を後押しした環境要因は何か」などを投げかけ、自分以外に目を向ける意識を養います。
データに基づく意思決定
どんなに意識をしていても、バイアスを完全に取り除くことは非常に難しいです。そこで、仕事上の意思決定を行う際は、データに基づいて判断を下すことも有効でしょう。
直感や思いつきで行動したり、特定の人物の意見だけに頼って意思決定するのではなく、常に根拠となるデータを収集・分析したうえで判断を行います。データドリブンな経営方針を掲げて、バイアスを軽減していく方法も有効です。バイアスに関する研修や認知テスト、意識改革に取り組んでも、人間のバイアスを100%取り除くことは難しいものです。そのため、組織運営で意思決定をする際は、常に収集データと分析結果を参考にしながら冷静な判断を下すことが重要です。
多様性の推進
多様性の推進も、企業でバイアスを減らす方法の1つです。企業内で多様な価値観を受け入れ、社員それぞれの個性を尊重するカルチャーを醸成することもバイアスを軽減する方法の一つです。「転職回数が多い人は諦めやすいタイプだ」「年配の男性は子育て支援に理解がない」といったバイアスや偏見を防ぐためには、多様な人材を受け入れて、解釈の幅を広げることが必要です。
例えば、「転職回数は多いけれど、どの職場でも粘り強く成果を出してきた人材」「子育て支援の制度づくりを牽引する中高齢男性」など、多様なタイプを受け入れれば、おのずと「転職回数が多いことは必ずしもマイナスにはならない」「年齢・性別問わず子育て支援に向き合う人はいる」と、解釈の幅が広がっていくでしょう。
アカウンタビリティ(説明責任)の確保
バイアスの影響を少なくするためには、従業員のアカウンタビリティを確保する姿勢も必要です。企業の方針決定や、事業推進時の意思決定などに際し、アカウンタビリティを確保することも重要です。アカウンタビリティとは、経営者が株主や投資家などに対して、企業の経営状況について報告する義務のことです。
社員が何かを判断・行動する際に、説明責任をもたせることで、一度立ち止まって自身の思考を客観視できます。説明責任があれば、冷静に物事の要因を分析したり、自身の意見が合理的かどうかを考えたりすることが可能です。
人事担当者におけるバイアス対策
採用や評価の業務を行う際は、バイアスの影響を受けやすいものです。人事担当者におけるバイアス対策を紹介します。
評価基準の明確化
バイアスによる判断ミスを防ぐためには、人事評価基準の明確化が不可欠です。基準が曖昧だと、類似性バイアスが働いて評価者と似たようなタイプの人材ばかり評価してしまったり、直近効果が働きすぎて、実態とそぐわない評価を下してしまう可能性が高まります。
バイアスに影響されそうになっても、明確な評価基準があれば、それをもとに客観的な判断が可能になるでしょう。
複数人評価(360度評価/多面評価)
複数人による評価体制を構築することで、単独評価者による主観やバイアスを抑制することが可能です。複数人評価は多面評価とも呼ばれ、代表例なものに360度評価があります。
360度評価とは、上司に加えて同僚や部下など被評価者に関わるさまざまな人から多面的な評価を受ける人事評価制度です。上司と被評価者の間にある知識・経験の差による偏見やバイアスを防ぎやすくなるでしょう。
評価者トレーニング
人事担当者のバイアス対策として、評価者トレーニングも有効です。評価者トレーニングとは人事評価を行う評価者(管理職など)向けの教育・研修のことで、評価者研修とも呼びます。
評価者トレーニングでは、ハロー効果のような人事業務で生じやすい評価バイアスや、人事担当者ごとの「評価の癖」を学びます。また、多くの評価者トレーニングではワーク形式の実践練習を繰り返すことで、バイアスによる思考のゆがみを是正していくことが可能です。
採用プロセスの見直し
採用活動におけるバイアスを抑制するには採用プロセスの見直しが有効です。バイアスを防ぎやすい以下のような面接手法を採用プロセスに取り入れてみると良いでしょう。
・ブラインド面接:名前や性別、年齢、学歴などの個人情報を伏せて応募者の評価を行う面接手法。面接官の先入観やバイアスを排除する目的で実施される。
・構造化面接…あらかじめ用意した評価基準と質問項目をもとに行う面接手法。どの面接官でも同じやり方で面接基準を一定にできる。
・AIの動画面接:候補者から送られてきた動画データをAIで判定する手法。人間による面接と併用することで、バイアスに気付きやすくするもの。
テクノロジーの活用
さまざまな対策をご紹介してきましたが、人によるバイアスの影響を最小限に抑えるためにはテクノロジーの活用が欠かせません。例えば、ビズリーチが提供する「HRMOSタレントマネジメント」では、社員一人一人のデータを一元化して、人や組織の課題抽出や改善までを多面的なデータ分析によって支援します。
客観的なデータにもとづいて抽出された、納得感のあるレポートにより経営判断をすることで、ヒューマンエラーを防ぎやすくなるでしょう。
<関連記事>【事例付き】タレントマネジメントとは?目的、システム導入や比較・活用方法
まとめ
人間の認知や判断、意思決定のゆがみを生じさせるバイアスは、迅速な意思決定を助ける一方で、無意識のうちに客観的かつ合理的な判断を妨げる可能性があります。人事担当者が人材を評価・採用する際は、ハロー効果や直近効果などが生じやすく、健全な企業の判断ができなくなるリスクがあります。
ビジネスシーンでバイアスの影響を軽減させるには、バイアスに関する研修や認知テストの導入、データ活用が欠かせません。
さまざまなバイアスと上手く付き合っていくためにも、まずは本記事でご紹介したバイアスの存在を知り、ご自身の行動・思考を振り返る際に「バイアスが生じていないか」と、自問自答するところからスタートしましょう。
従業員のスキルを見える化
人事担当者による評価者バイアスを防ぎ、公平かつ客観的な人事評価を行うなら「HRMOSタレントマネジメント」がおすすめです。HRMOSタレントマネジメントでは、一人一人の業務経験や保有スキルをデータ化できます。バイアスが生じやすい人事評価、人事配置の際も、データによる根拠をもとに納得感のある意思決定をサポートします。
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