目次
1on1ミーティングと人事評価面談の特徴や効果を理解できれば、それぞれをうまく活用することが可能です。
本記事では両者の違いを整理して、1on1ミーティングの活用方法や、人事評価システムとの連動の仕方などを紹介します。
1on1の特徴を理解する
1on1ミーティングとは、週に1回30分程度で行われる上司と部下のミーティングのことで、部下の成長支援や組織活性化を目的に行われます。
もともとアメリカのシリコンバレーで行われていた1on1ミーティングを、現在のLINEヤフー株式会社が2012年に日本に持ち込んだことをきっかけに、普及したといわれています。
1on1ミーティングは上司と部下の関係構築を行い、部下の日常的な悩みに寄り添いながらサポートをして、仕事の質・量ともに伸ばしていくことを目的としています。
基本のルールや導入の注意点は、次の記事であわせてご確認ください。
<関連記事>
システムを活用した企業の改善事例多数
・成果につながる1on1の実現
・評価業務を年間150時間削減
・人事の業務負担が3分の1以下に
・評価運用の工数を2週間分削減
au コマース&ライフ株式会社、GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社など、どのような効果が得られたのか分かる事例を公開中
1on1と人事評価面談の違いを詳しく比較
1on1ミーティングと人事評価面談は、どちらも上司と部下の間で行われる重要なコミュニケーション機会ですが、目的や実施方法には明確な違いがあります。
本記事では、両者の主な違いを詳しく解説します。
目的の違い:成長支援vs評価
1on1ミーティングと人事評価面談では、その根本的な目的が大きく異なります。
1on1ミーティングの目的は部下の成長をサポートし、組織力を強化することです。
上司は部下のキャリア開発の視点を持ち、課題解決をサポートする立場として関わります。継続的に部下の潜在能力を引き出すことで、中長期的に組織全体のパフォーマンス向上を目指すことが特徴です。
一方、人事評価面談の目的は、部下の業績評価や進捗管理を行うことです。
設定された目標に対する達成度を評価し、給与や昇進などの処遇に反映させるための重要な機会となります。
1on1ミーティングは部下の成長を後押しするもので、人事評価面談は評価を実施する場という点で異なります。
実施頻度と時間の違い
1on1ミーティングと人事評価面談は、実施頻度と時間においても大きな違いがあります。
1on1ミーティングの実施頻度は高く、最低でも1ヶ月に1回で行われ、1週間に1回や2週間に1回程度行われることが理想といわれています。
高頻度で対話の場を設けることで、部下の課題に素早く対応し、継続的な成長をサポートできるためです。
一方、人事評価面談は、半期に一度ないし四半期に一度の頻度で実施される場合が多いです。
日々の進捗確認ではなく、ある程度まとまった期間の成果を総括的に振り返るため、頻度は1on1ミーティングよりも少なくなります。
話す内容と主導者の違い
1on1ミーティングでの会話は多岐にわたり、業務上の課題だけでなく、キャリア支援、健康状態、ときにはプライベートな話題まで含まれることがあります。
これは部下の成長と職場環境の改善を目指すためです。
一方、人事評価面談では、期初に設定された目標の達成度や評価に関する話題が中心となります。評価結果の伝達や、次期目標の設定などが内容の中心となるため、上司から部下へのコミュニケーションが主流となりやすいです。
これは、1on1ミーティングが上司と部下の双方向のコミュニケーションとなる点と大きく異なります。
<関連記事>
1on1ミーティングで話すことは?話題とすべき7つのテーマと20の質問事例
必要なスキルと姿勢の違い
人事評価面談では、評価者には人事評価制度を正しく理解し、バイアスに惑わされず適正な評価を行うスキルが求められます。
また、組織目標と連動した目標設定能力や、評価結果を効果的に伝えるフィードバック力も重要です。
一方、1on1ミーティングにおいては、上司には主に傾聴力やコーチングスキルが必要とされます。
部下の話をしっかりと傾聴し、主体的に解決策を見出せるようサポートすることが重要です。一方的に答えを提示するのではなく、質問を通じて部下自身の気づきを促すアプローチが求められることが相違点となります。
<関連記事>
コーチングとは?スキルやロールプレイの事例、ティーチングとの違いを解説
1on1における評価の位置づけ
部下の成長を支援する1on1ミーティングで得られる情報は、人事評価の質を高める重要な要素となります。両者の目的の違いと、関連性について解説します。
1on1が評価の場ではない理由
1on1ミーティングの本質は評価ではなく、上司と部下の信頼関係構築にあります。
成長支援やキャリア開発の場となるように、部下が安心して課題や悩みを共有できる環境作りが必要です。
仮に、1on1ミーティングが「評価の場」と認識されてしまうと、部下は悪い評価を受けないように本音を隠したり、取り繕ったりする可能性が高まります。
本音で相談できなければ、部下の成長につながりません。そのため、1on1ミーティングでは評価を行わないことを徹底し、双方の目線合わせをすることが大切でしょう。
1on1で得た情報の人事評価への活用方法
1on1ミーティングで把握する日常の業務進捗や課題は、間接的に人事評価に役立ちます。週・月ごとの小さな目標達成の積み重ねが、評価期間全体の目標達成につながるためです。
また、1on1ミーティングで発見したメンバーの強みや、目標達成までのプロセスを、定性評価の参考にすることも可能です。
加えて、人事評価面談の結果を考察する際に、1on1ミーティングで蓄積した情報が役立つ場合もあるでしょう。
1on1と人事評価システムの連携
1on1ミーティングと人事評価システムを連携させることで、継続的な人材育成と公正な評価を実現できます。
両者の連携により、日常的なコミュニケーションと定期的な評価プロセスがシームレスにつながり、より効果的な人材マネジメントが可能になります。
1on1の記録と人事評価システムの活用
1on1ミーティングの記録と人事評価システムを一元管理すれば、粒度の高い情報を管理することが可能になります。
人事評価面談は四半期に一度、または半年に一度の頻度の場合が多いため「なぜこの評価になったのか」の背景を探るために、日々の1on1ミーティングの記録が役立つでしょう。
日々の成長プロセスと評価結果を照らし合わせることで、評価の納得度や正確性を担保しやすくなります。
また、両システムが連動していれば、評価面談で出てきた話題を、1on1ミーティングの場で話し合いやすくなります。
例えば、OKR(Objectives and Key Results)で設定した目標について1on1ミーティングのときに確認すれば、目標達成までの道筋が明確になるでしょう。
HRMOSタレントマネジメントでは、OKR、MBO(目標管理制度)、コンピテンシー評価など多様な評価手法に対応しており、1on1用ツールとの連携機能も備えています。
このような統合システムを活用することで、評価と成長支援のプロセスを効率的に運用できるでしょう。
<関連記事>
OKRとは? OKRの要素や導入メリット・OKR運用サイクルの流れを解説
コンピテンシーとは?面接評価や目標管理への使い方をわかりやすく解説
目標管理と1on1を連動させる方法
目標管理と1on1を効果的に連動させるには、システム上での情報共有と活用が鍵となります。
例えば、目標管理機能で従業員が入力した目標に対して、上司がリアルタイムでフィードバックを行います。
さらに、目標管理の内容を1on1用ツールと連動させれば、具体的な目標にひもづいた会話ができるようになります。その結果、抽象的な議論ではなく実践的なアドバイスや支援が可能になるため、面談の質向上が期待できるでしょう。
また、目標管理の内容をシステムに蓄積することで、過去からの変化や成長過程を把握しやすくなります。
目標管理で長期的な成長支援を行いつつ、1on1ミーティングで短期の進捗を把握できれば、脇道にそれずに目標達成へ向かっていけるでしょう。
データ活用による効果的なマネジメント
1on1ミーティングで得られた情報をデータとして蓄積・活用していけば、客観的な人材マネジメントが実現します。
例えば、特定のテーマについての会話の頻度や、解決に至った課題の割合などを分析することで、効果的な支援方法を見出しやすくなるでしょう。
また、1on1ミーティングの実施頻度や、キャンセル・リスケジュールの状況なども重要なデータです。
定期的なミーティングが実施できていないメンバーに気づき、困りごとやトラブルがないかなど、メンバーの状態変化を早期に検知できるためです。
他にも、HRMOSタレントマネジメントのサーベイ機能などを併用すれば、個人の状態と組織全体の状態を照らし合わせて分析が可能になります。
これらのデータ活用によって、個別のマネジメントと組織全体のマネジメント戦略を連動させ、効果的な人材育成と組織開発を実現しやすくなるでしょう。
1on1と類似した制度との違い
1on1は他の人材育成手法と混同されることがありますが、それぞれに特徴と目的の違いがあります。ここでは、1on1ミーティングとカウンセリング、コーチング、メンタリングの違いを解説します。
カウンセリング
カウンセリングは、心理的な問題解決や精神的健康の維持・回復を目的とし、専門訓練を受けたカウンセラーとクライエント(相談者)の間で行われる対話です。
クライエントの困りごと、悩みを傾聴して、心理的なサポートを行います。
一方、1on1ミーティングは上司と部下の間で行われる業務上のコミュニケーションであり、業務パフォーマンスの向上や職場での成長が主目的です。
カウンセリングはクライエントに問題が発生したときに実施される場合が多く、1on1ミーティングは定期的・継続的に行われる点で異なります。
コーチング
コーチングは個人の潜在能力を引き出し、目標達成をサポートするプロセスです。
1対1の対話を通して相手の可能性や能力、本音を引き出して、自発的な気づきや行動変容を促します。
1on1ミーティングでは、上司が部下の主体的な意見を引き出す目的で、コーチング技法が取り入れられる場合があります。
両者の違いとしては、コーチと対象者の間に業務の接点がない場合も多いこと、有料で行われるケースがあること、仕事以外のテーマでもコーチングが実施されていることなどです。
メンタリング
メンタリングは経験豊富なメンターが、経験の少ないメンティーに対して知識や経験を共有し、長期的な成長やキャリア開発をサポートすることです。
「メンター・メンティー制度」を新人教育目的に導入している企業も見られ、メンターは新人と年齢の近い社員が担うケースが多いです。
メンタリングは、必ずしも上司と部下の関係ではなく、組織内の別部署や外部の経験者が担当することもあります。
また、メンタリングは部下の精神的なサポートを担い、1on1ミーティングは業務パフォーマンスの向上に焦点を当てるなど、役割を変えて実施される場合もあります。
<関連記事>
メンタリングプログラムとは?メンタリングの意味やメリット、プログラムの導入方法について詳しく解説!
まとめ
1on1ミーティングは上司と部下の信頼関係を強化して、中長期的かつ定期的に継続する対話です。人事評価面談よりも高頻度で行われるのが特徴で、部下の成長を促し、組織文化を活性化させる目的で導入されています。
1on1ミーティングの内容を記録し、人事評価システムなどに連動させれば、客観的なデータに基づく人材マネジメントが可能になります。
人事評価と1on1ミーティングそれぞれの特徴と役割を理解し、従業員の成長支援をしていきましょう。
1on1と人事評価を連動させるならHRMOSタレントマネジメント
HRMOSタレントマネジメントは、さまざまな目標管理と人事評価制度に対応でき、1on1ミーティングの仕組み化も後押しします。
1on1ミーティングで蓄積された情報をもとに、OKRやMBOに生かすことも可能です。
1on1ミーティングの効果を最大化させたい方は、ぜひHRMOSタレントマネジメントを活用してみてください。