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自己啓発によって知識・スキルを身に付ければ、従業員個人の成長につながるだけでなく、労働生産性の向上など、企業にもメリットがあります。
現代社会は、働き方が多様化し、さまざまな考え方や価値観を持つ人がいる時代です。一人一人が自身の能力を引き出して自分らしいキャリアを描き、その能力を企業組織や社会で生かすうえで重要になるのが「自己啓発」です。
本記事では、自己啓発とは何か、具体例や目標の立て方、企業が従業員の自己啓発の取り組みを支援するメリットまで解説します。
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自己啓発とは、自らの意思で知識やスキルの習得に努め、自分自身を磨き、能力や精神面の向上を目指す取り組みのことです。ビジネスで自己啓発という場合、キャリアアップなどの目的で仕事に必要な知識やスキルを身に付けることを指します。
厚生労働省が実施している「能力開発基本調査」では、自己啓発を以下のように定義しています。
- 労働者が職業生活を継続するために行う、職業に関する能力を自発的に開発し、向上させるための活動をいう(職業に関係ない趣味、娯楽、スポーツ健康増進等のためのものは含まない)
自己啓発によって知識やスキルを身に付ければ、キャリアの幅や可能性が広がり、充実したキャリアを築くことができます。
自己研鑽・スキルアップの違い
自己啓発と自己研鑽・スキルアップは、自らを高める取り組みである点は同じです。違いはその目的や対象です。
自己研鑽は、自分の知識や能力を高めるために努力することを指します。一方、自己啓発は、知識・スキルの習得に加え、考え方や意識の変化、精神面の成長まで含めて使われることがあります。
「蒙を啓(ひら)く」「悟りを啓く」という言葉があるように、「啓」は知識を身に付けて教え導くことを意味します。知識を身に付けることで自己を導き、精神面や考え方の成長を目指す取り組みが自己啓発です。
また、自己啓発や自己研鑽では知識やスキルの習得を図りますが、スキルアップでは文字通りスキルの習得・向上を図ります。単なる知識の習得にとどまらず、スキルを向上させる取り組みがスキルアップです。
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個人が自己啓発に取り組むメリット
個人が自己啓発に取り組めば、スキルアップやキャリア形成などさまざまなメリットがあります。以下では、自己啓発に取り組む主なメリットを紹介します。
スキルアップとキャリア形成
書籍や通信講座などを活用して自己啓発に取り組めば、業務に生かせる知識やスキルが身に付きます。経理やプログラミング、マーケティングなど、専門的なスキルや資格があれば日々の業務に生かせる点がメリットです。
専門知識を習得すると、現在担当している業務に加えて、より高度で責任のある業務を任せてもらえる可能性があります。また、希望する部署への異動やキャリアの選択肢が広がることも期待できます。
スキルアップによって対応できる業務の種類や内容が増えれば、将来のキャリアの選択肢が広がります。社内でのステップアップはもちろん、ステップアップのための転職がしやすくなるなど、キャリア形成によい影響を与える点が自己啓発のメリットです。
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変化への対応力・適応力
自己啓発に取り組むと、知識やスキルを習得するなかでさまざまな考え方やものの見方ができるようになり、心や精神面でも成長できます。多角的な視点で状況を分析して対応できるようになることで、変化や問題が起きたときの対応力や適応力が高まる点がメリットです。
現代は、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った「VUCA(ブーカ)時代」と呼ばれています。変化が激しく将来の予測が難しい環境では、想定外の状況や明確な答えのない課題に対応する判断力や意思決定能力が求められます。
自己啓発に取り組むことで、変化の激しい時代においても柔軟に対応できる人材として活躍できるでしょう。
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自己効力感の獲得とモチベーション向上
自己啓発によって知識やスキルを身に付けると、仕事の効率が上がって成果に結び付き、自信を持って業務に臨めるようになります。こうした達成体験を積み重ねることで自己効力感やモチベーションが高まり、前向きに仕事に取り組めるようになる点も、自己啓発に取り組むメリットのひとつです。
ポジティブに仕事に取り組めるようになれば主体性が高まり、より積極的に仕事をするようになってさらなる成果につながり、自信を深められる好循環が生まれます。
自信を持って仕事に臨めるようになれば日々生きていくなかで感じる充実感も高まり、幸せや生きがいを実感できることでウェルビーイングの向上につながるでしょう。
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個人でできる自己啓発の具体例と効果的な方法
資格取得やセミナー・書籍の活用、コーチングなど、個人でできる自己啓発の方法にはさまざまなものがあり、効果や特徴が異なります。以下では自己啓発の主な方法を紹介します。
資格取得を通じたスキルアップ
国家資格や民間資格を取得すれば、日々の仕事やキャリア形成に役立つ知識やスキルが身に付きます。
たとえば、経理の仕事で生かすために日商簿記を受験するケースや、IT関連の仕事をしている人が基本情報技術者試験をはじめとしたIT系資格を取得するケースです。宅地建物取引士や社会保険労務士、中小企業診断士など、さまざまな資格があります。
その資格を取得するとどのような知識やスキルが習得できるのか、どんな仕事で生かせるのか、イメージしやすい点が特徴です。目的意識を持って取り組めるため、途中で投げ出さずに継続しやすい自己啓発の方法です。
独学であれば自分のペースで学ぶことができ、通信講座を利用する場合はカリキュラムに従って体系的・計画的に学習を進められます。
セミナーやワークショップの活用
専門家や著名な講師が開催するセミナーに参加すれば、専門知識や業界動向などの最新情報を得ることができます。
自分が知見を深めたいと考えている分野で実際に実務で活躍している人の話を聞く機会は、実務経験に基づくリアルな意見や体験談を聞ける貴重な機会です。単なる知識としてではなく、知識やスキルを実務でどのように活用するのかを含めて理解できます。
また、講師の話を聞くセミナーだけでなく、参加型や体験型のワークショップも自己啓発に効果的です。
知識やスキルを実際に生かす手法やノウハウを習得でき、参加者同士でコミュニケーションを取るなかで自分とは異なる考え方やものの見方を知る機会として生かせます。
外部教育機関や通信講座の利用
大学院に入学して学ぶケースや通信講座を利用して学習するケースも、社会人の自己啓発で見られる手法のひとつです。
学び直しやリスキリングを目的として活用する場合や、働きながら大学院に通ってMBAを取得して業務に必要な知識を習得する場合などが挙げられます。
外部教育機関や通信講座を利用すると費用はかかりますが、用意されたカリキュラムに沿って計画的に学習を進められる点がメリットです。身に付けるべき知識が体系的に整理されたテキストを使うことで効率よく学習できます。
通学型であれば決められた曜日や時間に通学するためスケジュール管理がしやすく、通信型であれば自身の好きな時間や隙間時間などを活用して学習できます。
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コーチングやメンタリングを受ける
コーチングを受ければコミュニケーション能力やマネジメント能力の向上、思考法の習得が可能です。
職場で周囲と円滑にコミュニケーションを取れるようになれば業務が円滑に進み、マネジメント能力が高まれば部下やチームメンバーへ指示やフォローを行う際に役立ちます。
また、トラブルが起きた際や同僚と意見が対立した際に冷静さを保つ心理コントロール術や思考法も、仕事をするうえで役立つスキルです。アンガーマネジメントなどの手法を学び、感情を適切にコントロールできるようになれば、対人関係の改善や職場内での信頼関係向上につながります。
さまざまな経験や知識を持つ先輩社員から話を聞いて指導してもらうことも、自己啓発の方法として効果的です。メンター制度によって先輩社員からメンタリングを受ければ、自分にはない経験や価値観を理解できます。
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マインドフルネスで自己認識を高める
マインドフルネスとは、判断や評価をせず今この瞬間に注意を向け続ける心理状態のことです。マインドフルネスに取り組むことで、集中力や冷静な判断力を保ちやすくなり、仕事のパフォーマンス向上につながる場合があります。
また、不安やストレスなどに影響されず、冷静に判断できる能力が身に付くと、自身のことを客観的に分析できるようになります。自己理解が進めば、自分の長所や短所、特徴を理解したうえでそのときどきに適した行動を取ることが可能です。
また、マインドフルネスを実践して不安やストレスを軽減できれば思考が停滞しにくくなるため、より広い視野で物事を考えて捉えられるようになり、創造性の向上が期待できます。
創造性が高まることで新たなアイディアが生まれやすくなり、イノベーションの促進が期待されます。
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関連書籍を通じた学び
ビジネス書や専門書、自己啓発本など、書籍を購入して読めば、知識を深めることができます。書店やインターネットで書籍を購入すれば始められるため、手軽にできる自己啓発の方法です。
セミナーや講座の受講のように時間が決まっているわけではなく、隙間時間があった際に本を読むなど自分のペースで自己啓発に取り組めます。通勤途中の電車やバスの車内など、待ち時間や移動時間に書籍を読んで自己啓発に取り組めば時間の有効活用が可能です。
書籍を通じた学習では実務経験を積めるわけではありませんが、近年は自己啓発に注目が集まるなか、自己啓発に関する書籍が多く出版されています。紙の本だけでなく電子書籍やオーディオブックなどを活用する方法もあります。
副業を通じた経験とスキルの習得
副業を始めれば本業では得られない経験を積むことができます。副業を通じて経験やスキルを習得でき、本業の仕事で生かせる点やキャリアの幅が広がる点がメリットです。
以前は企業が副業を禁止していることが一般的でしたが、現在では副業を認めている企業が増えつつあります。自己啓発の方法のひとつとして企業が副業を推奨しているケースも見られ、本業の会社で勤務し続けながら副業を始めやすい状況です。
副業に取り組む人のなかには収入アップを目的としている人もいますが、副業は経験・スキルを身に付ける自己啓発の方法としても効果的です。ひとつの企業だけで働いていると気付けないことでも、副業に取り組んで他の企業でも経験を積めば成長できて本業にもプラスに働きます。
自己啓発の目標の立て方
自己啓発では、モチベーションを保って取り組みを継続できるように、目標を立てて自身が目指す方向性や何をすべきなのかを明確にすることが重要です。以下では、自己啓発の目標の立て方や目標を考える際のポイントを紹介します。
SMARTの法則で行動できる目標に変える
自己啓発の目標設定の代表的な手法のひとつがSMARTの法則です。SMARTの法則では、次の5つの要素に従って具体的で効果的な目標を設定します。
- Specific:具体的な
- Measurable:測定可能な
- Achievable:達成可能な
- Relevant:関連している
- Time-bound:期限が明確な
目標を立てる際は、自己啓発によって業務にどのように生かすのかなど、具体的で明確な内容で目標を設定することが重要です。目標が曖昧では何をすればよいのかわからず、方向性が定まらずモチベーションを維持しにくくなります。
また、目標設定は低すぎても高すぎてもよくありません。低すぎると自身の成長につながらない一方で、高すぎると達成不可能になるため、適切なレベルで設定することが大切です。
SMARTの法則については以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
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短期・中長期に分けて目標を設定する
自己啓発に取り組む際の目標は、短期と中長期の両方の目標を設定することが大切です。将来的に実現したいキャリアビジョンなど中長期目標を立てつつ、中長期目標の達成に向けていつまでに何をするのか、短期目標を設定しましょう。
中長期目標を設定せずに短期目標のみ設定すると、目先のことだけに意識が向いてしまいがちです。状況が変化するたびに考え方や気分が変わり、目標設定を変えてしまうようでは、方向性がぶれて一貫性がなくなります。
一方で中長期目標のみを設定して短期目標を設定しないと、中長期目標を実現するためにやるべきことが明確になりません。中長期目標を達成するうえではステップを区切り、短期目標を設定していつまでに何をするのか明確にすることも重要です。
目標を見える化して継続する
自己啓発では長い期間かかるケースもあり、1年後の資格試験合格を目指すケースのように年単位での取り組みになるケースもあります。途中で気持ちが続かなくなって挫折しないように、モチベーションを維持して取り組みを継続するための仕組みづくりが重要といえます。
たとえば、最初に設定した目標を紙に書き、自分が毎日目にする場所に置くと、目標を日々意識し続けることができてモチベーションの維持に効果的です。
自宅の壁に貼り紙をする方法以外にも、職場のデスクに目標を貼り付けたりスマートフォンの待ち受け画面に目標を表示したりしてもよいでしょう。
企業が従業員の自己啓発を支援するメリット
自己啓発は、取り組む本人だけでなく企業にとってもメリットがあります。従業員が自己啓発に取り組むことで、企業にどのようなメリットがあるのか、以下では従業員の自己啓発について、企業視点で見たメリットを紹介します。
生産性・業務効率の向上
従業員が自己啓発によって新たな知識やスキルを身に付ければ、日々の業務で生かすことができて労働生産性が向上します。これまで自社にはなかった技術や価値観が持ち込まれれば業務効率の改善も期待できるでしょう。
自己啓発に取り組むなかで、従業員は自ら学ぶ姿勢や、自分が何をすべきかを考える姿勢が身に付きます。日々の業務で主体性や積極性が高まる点も企業にとってメリットです。
自己啓発を通じて従業員が精神的に成長すると、単に指示されたことを行うだけでなく、自ら考えて行動できる人材が育ちます。
優秀人材の獲得と離職率の低下
企業が自己啓発を支援し、従業員が成長できる環境を提供することは、「人を大切にしている会社」というメッセージになります。その企業で働けば自身が成長でき、働きがいを感じながら仕事ができる企業は、求職者からすれば魅力的な企業です。
人手不足を背景として企業間の人材獲得競争が激しくなるなか、自己啓発支援の充実は採用競争において明確な差別化要因になります。
一般的に優秀な人材は学習意欲が高いとされています。自己啓発支援をはじめとした人材育成に力を入れている企業のほうが、働く意欲や成長意欲のある人材が集まりやすくなるでしょう。
キャリア自律による企業競争力強化
キャリア自律とは、従業員が自身のキャリアを主体的に考え、自ら能力開発やキャリア形成に取り組む姿勢のことです。自己啓発によって従業員が精神面で成長し、主体性が高まることのメリットは、単に日々の業務で生産性が上がるだけではありません。
主体的にキャリアを描き、自ら考えて行動できる人材は、急なトラブルや外部環境の変化が起きた場合でも適応できる可能性が高く、対応力や適応力が高い点が特徴です。
自己啓発を通じて知識・スキルを習得する姿勢が身に付けば、外部環境の変化にあわせて必要なスキルを自ら習得しにいくなど、自ら考えて行動できるようになります。結果として企業競争力の強化につながり、イノベーションが生まれやすくなるでしょう。
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企業による自己啓発の支援方法
企業が従業員の自己啓発を支援する方法にはさまざまな方法があります。支援方法は大きく分けると「費用面」「時間面」「環境面」「情報・教材面」の4つです。以下ではそれぞれの支援方法の概要を紹介します。
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費用面の支援
自己啓発の方法によっては費用がかかるものがあり、費用面を負担に感じて従業員が自己啓発を躊躇するケースがあります。そのため、企業が費用の一部を負担したり補助を出したりすることは、従業員の自己啓発の支援策・促進策として効果的です。
- 専門書や教材など書籍の購入費用の補助
- セミナーや通信講座・通信教育・eラーニングの受講料の補助
- 資格試験の受験料の補助
費用面の支援を行う場合は、対象となる費用の種類や上限額などを明確に定めることが重要です。
補助対象の範囲が不明確だと従業員とトラブルになる恐れがあります。補助対象の従業員と対象外の従業員の線引きや支給基準が曖昧だと、従業員の間で不満が出てモチベーションの低下や離職につながる可能性があるため注意が必要です。
また、キャリア形成促進助成金など、従業員が自己啓発に取り組んだ際に事業主が負担した訓練経費や訓練中の賃金について助成金を受けられる場合があるので、活用するとよいでしょう。
時間面の支援
従業員のなかには「仕事をしながら自己啓発のための時間を確保できるのか」と不安を感じる人も少なくありません。「仕事を続けながら自己啓発に取り組むのは大変そう」と従業員が考えて自己啓発を諦めることがないように、企業による時間面の支援が重要です。
- 学びのための時間を取れるように時短勤務制度を導入する
- まとまった学習時間を確保できるように休暇制度を充実させる
たとえば、MBA取得のために従業員が大学院に通えるように、通学期間中は1週間の勤務日数を減らし、通学日は勤務しない形にするケースです。業務をするうえで必要な資格を取得する従業員がいる場合に、試験日の数ヶ月前から業務量を調整して残業を免除するケースも見られます。
また、自己啓発等休業・教育訓練休暇・リフレッシュ休暇などの休暇制度を充実させれば、従業員が自己啓発のための時間を取りやすくなります。
環境面の支援
従業員の自己啓発を推進するうえでは、自己啓発に取り組みやすい環境を整えることも重要です。企業にできる環境面の支援策としては以下のような方法が挙げられます。
- 社内勉強会の企画・開催
- 会議室など社内施設の提供
- コーチングやメンター制度の充実
勉強会や研究会を企画・開催すれば、自己啓発に取り組みやすい社内の雰囲気を醸成できます。
一人で自己啓発に取り組むと途中で挫折してしまう人がいますが、社内で学び合える環境があれば、モチベーションを維持しやすくなります。
また、業務終了後に資格取得に向けた勉強をしたい従業員のために会議室を開放したり、セミナールームなど社外施設の利用費用を企業が補助したりする方法もあります。
情報や教材面の支援
従業員が自己啓発に取り組みたいと考えても、何をすればよいかわからず自己啓発を始められずにいる場合があります。そのような従業員に対しては以下のような支援が効果的です。
- 社内ライブラリーの設置
- eラーニングの提供などLMS(学習管理システム)の整備
- キャリアパスやポジション要件の可視化
自己啓発をするときにはどのような学習をすればよいのか、参考になる書籍は何か、企業側が情報を提供することで、従業員は自己啓発に取り組みやすくなるでしょう。
自己啓発に必要な情報や教材を企業が提供すれば、従業員は自己啓発の取り組みを効率的に進めることができ、結果として生産性向上にもつながります。
また、目標としているポジションに就くためには何をすべきか、要件を明確に示すことで、従業員がキャリアビジョンを描く際に役立ちます。
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自己啓発を通じて組織成長を実現する
自己啓発では、従業員自身が成長するだけでなく、その成長を企業が生かすことが大切です。以下では、自己啓発を通じた従業員個人の成長を企業組織の成長につなげるためのポイントを紹介します。
LMSを活用して「学びのインフラ」とデータを整える
従業員の主体的な自己啓発を組織の成長につなげるためには、まず学習に取り組みやすい環境を整えることが重要です。
その手段のひとつが、LMS(学習管理システム)をはじめとした「学びのインフラ」の整備です。
LMSを活用すれば、eラーニングや動画教材、オンライン講座などをシステム上で提供でき、従業員は場所や時間に縛られず、自分のペースで学習を進めやすくなります。
隙間時間を使って受講できる環境があれば、自己啓発に取り組む心理的・時間的なハードルを下げることにもつながります。
さらに重要なのは、学習コンテンツを提供するだけでなく、「誰が、どのような知識やスキルを習得したのか」という受講履歴をデータとして蓄積できる点です。
個人の頭の中に留まりがちだった自己啓発の成果を、システムを通じて組織全体の「可視化されたスキル資産」として把握できるようになります。
こうした学習データを蓄積しておくことで、従業員一人ひとりの成長状況を確認しやすくなり、次に必要な学習機会の提示や、人材育成・配置の検討にも活用しやすくなります。
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タレントマネジメントで活躍の場を見出す
タレントマネジメントとは、従業員のスキルや能力、経験を最大限に生かし、組織目標の達成に結び付けるために行う人材マネジメント手法です。従業員一人一人の成長と活躍を支援し、持続的なパフォーマンスを引き出すことを目的としています。
タレントマネジメントシステムを導入すれば、従業員のスキルや能力、経験、キャリア希望などを可視化でき、社員情報を一元管理できます。
さらに、LMSなどで蓄積された学習履歴や獲得スキルの情報と組み合わせることで、従業員が自己啓発を通じてどのように成長しているのかを把握しやすくなります。
自己啓発の成果が可視化されれば、不足している能力は何か、次にどのような学習機会が必要か、どの業務やポジションで力を発揮しやすいかを検討しやすくなります。
個人の学びを単なる自己研鑽で終わらせず、育成計画や適材適所の人材配置につなげられる点が、タレントマネジメントを活用するメリットです。
従業員にとっても、自身のスキルや学習履歴、今後のキャリア希望がシステム上に蓄積されることで、現在のスキルと目指したいキャリアとの差分を把握しやすくなります。
企業がその情報をもとに成長機会や活躍の場を提示できれば、自己啓発を通じた学びが、本人のキャリア形成と組織の成長の双方につながります。
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1on1でキャリアを見える化する
1on1とは、上司と部下が1対1で行う定期的な面談・対話です。部下の意見や悩みを聞き、信頼関係を構築するとともに、部下にアドバイスすることで成長を促します。
一般的に1on1は週1回から月1回の頻度で30分から1時間程度実施します。人材育成の手法のひとつとして導入する企業が増えています。
部下は上司との1on1を通じて自身のキャリアビジョンを明確にでき、自分がどのようになりたいのか、具体的な目標を持って自己啓発に取り組めるようになるでしょう。
企業が従業員の自己啓発を推進する際、個人の内発的動機を引き出すための対話の場として1on1の活用が可能です。また、1on1で上司がアドバイスすれば部下の意欲が高まり、日々の業務や自己啓発に積極的に取り組むようになります。
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自己啓発の取り組みを評価する
従業員が自己啓発によってスキルや能力を高め、業務効率の改善や業績アップに貢献した場合、企業はその成果を適切に評価することが重要です。
人事考課や給与査定において自己啓発の取り組みを評価項目に組み込めば、従業員は意欲的に自己啓発に取り組むようになります。評価されることでさらに意欲が高まり、継続的な学びを通じてスキルアップや生産性向上につながる好循環を生み出せるでしょう。
自己啓発をどのように人事評価に組み込むのか、評価基準を考える際は明確で公平な基準にすることがポイントです。納得できる基準のもとで評価されてこそ、従業員が自己啓発に主体的に取り組む企業文化を醸成できます。
自己啓発の支援事例
従業員の自己啓発の取り組みに対する支援は、実際に多くの企業で行われています。以下では、自己啓発の支援事例をいくつか紹介します。
サントリーホールディングス株式会社
サントリーホールディングス株式会社は、企業の成長の源泉である「人」を重視し、人材育成に積極的に取り組んでいる企業です。
2015年4月に企業内大学「サントリー大学」を開校し、「サントリアン一人一人の可能性を引き出す」「サントリーの文化と企業理念の醸成」「事業を成功に導くリーダーの育成」という3つの柱を軸に、さまざまな学習機会を提供しています。
学習プラットフォーム「MySU(My Suntory University)」を全世界に多言語で提供していることも特筆すべき事項のひとつです。18,000以上の社内外のオンライン講座や動画・資料などから自分に合ったものを選んで学習できます。
社員が主体的に学び合う「寺子屋」では、業務に関することから一般教養までさまざまな内容の講義を受講でき、自らが講師として講義を開くこともできます。
株式会社日立製作所
株式会社日立製作所では、多様な人材が生き生きとやりがいを持って働き、成長できる仕組みづくりに取り組んでいます。
従業員のスキル開発支援は、OJTを人材育成の基本としながらも、成長意欲がある人が主体的にスキルアップしていける点が特徴です。
学習体験プラットフォーム「LXP(Learning Experience Platform)」では、社員一人一人のキャリア志向や強化したいスキルに合わせ、AIが最適な学習コンテンツを推奨します。
「LinkedInラーニング」は、24,000以上のコースを多言語で受講でき、個々のキャリア目標や学習ニーズに合わせたパーソナライズド学習を実現しています。また、教育を担う会社が日立グループ内にあり、日立アカデミーでは1,300を超える講座を提供しています。
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループでは、領域ごとに必要な社員のスキルや専門性を伸ばすため、挑戦・学びの機会の拡充を図っています。そのひとつが自己啓発・キャリア支援制度です。
銀行では毎週末に「オンライン自己啓発セミナー(ELP研修)」が開催され、資格取得支援制度も充実しています。2024年度に6,370人が資格取得支援制度を利用し、FP技能士や証券アナリスト、中小企業診断士などさまざまな資格が制度の対象となっています。
社員一人一人が「求められる人材像」に近づくための取り組みを評価する仕組みとして、人事評価制度でも特徴が見られます。たとえば、銀行のELP研修では、「360°フィードバック」「キャリア開発プログラム」「スキル・資格ライブラリー」「ジョブディスクリプション」(一部職階のみ)の4つの能力開発ツールにより構成されます。
また、業績評定では上司との1on1ミーティングを少なくとも年3回実施しています。本人に期待する行動や評定結果をフィードバックすることで、中長期的な成果・貢献やさらなる挑戦への取り組みの後押しにつなげています。
まとめ
自己啓発に取り組むことで、スキルや能力が向上してキャリア形成に役立ちます。また、成果を実感することで自己効力感が高まり、仕事へのモチベーション向上にもつながります。
学習方法には資格取得やセミナー・ワークショップの活用など、自己啓発にはさまざまな方法があります。取り組む際は目標を明確にして、短期・中長期に分けて目標を設定することがポイントです。
従業員が主体的に自己啓発に取り組めるよう、企業が支援することも重要です。費用面や時間面で支援すれば、従業員は自己啓発に取り組みやすくなり、効率的にスキルアップを図れます。
企業が従業員の自己啓発を支援している具体例は、各社の公式サイトでも公開されています。実際の事例を参考にしながら、従業員の自己啓発支援をはじめとした人材育成に注力し、生産性向上や定着率向上につなげましょう。
HRMOSタレントマネジメントで人材育成・従業員の成長を支援
企業が労働生産性を高めるためには、従業員のスキルや能力を把握して評価し、人材育成や配置、登用判断に活用することが重要です。
現在のスキルレベルや、自己啓発を通じたスキルの変化・成長など、能力を把握・分析できる仕組みがあれば、根拠に基づく人材マネジメントを進めやすくなります。
HRMOSタレントマネジメントでは、従業員の経歴・スキル・資格・評価結果などの情報を一元管理できます。
ダッシュボードで従業員ごとのスキルを確認できるため、他のメンバーとの差分や本人の強み・課題を把握しやすくなります。
また、1on1の記録やキャリア希望、自己啓発を通じて獲得したスキル情報を蓄積していくことで、従業員一人ひとりの成長の変化を時系列で捉えやすくなります。
LMSなどで管理される受講履歴や獲得スキルにより、「誰が、どのような学びを経て、どのようなスキルを磨いているのか」をリアルタイムに確認できます。
こうしたデータは、本人が目指したい次のポジションとのスキルギャップを可視化し、次に必要な学習機会や育成方針を検討する材料になります。
さらに、学習履歴やスキル情報を継続的に蓄積していくことで、将来的なAIを活用した適材適所の配置検討に向けたデータ基盤づくりにもつなげやすくなります。
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