他責思考とは?職場で見られる特徴・口癖と人事担当者の対応方法を解説

他責思考とは?職場で見られる特徴・口癖と人事担当者の対応方法を解説

ミスや問題が起きた際、原因を周囲や環境だけに求める状態が続き、管理職や人事担当者が対応に悩むケースがあります。従業員・部下などの個人や部署・チームなどの組織がこのような思考に陥った場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

本記事では、他責思考の意味、自責思考との違い、表れやすい言動、背景、職場への影響、対応方法を解説します。発言だけで本人を「他責思考の人」と決めつけず、業務負荷、役割分担、評価制度などに実際の問題がないか確認する際のポイントも紹介します。

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他責思考とは

他責思考とは、問題や失敗が起きた際、その原因や責任を自分以外の人、環境、制度などに求めやすい考え方のことです。医学的な診断名ではなく、人の考え方や原因の捉え方を表す一般的な言葉として用いられます。

具体的には、「うまくいかなかったのは○○のせいだ」「失敗したのは環境がよくなかったせいだから仕方ない」などと考えるケースです。他責思考が強いと、自身の問題点や課題に目を向けず原因を外部に求めてしまい、責任感や主体性の欠如につながる場合があります。

ただし、外部要因を指摘すること自体が他責思考なのではありません。

自分が改善できる要因を検討せず、原因を一貫して外部だけに求める状態が他責思考であり、個人や組織の成長を妨げる恐れがあります。

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他責思考と自責思考の違い

他責思考は原因や責任を自分以外の人や環境へ求めやすい考え方、自責思考は自分の判断や行動に改善点を見出そうとする考え方です。ただし、両者は常に二者択一になるものではありません。

問題には本人・他者・業務環境・制度など複数の要因が関係するため、事実に基づいて切り分けることが重要です。

自分が変えられる点だけでなく、組織が改善すべき点も検討し、どちらか一方に原因を固定しないようにしましょう。

他責思考自責思考
問題や失敗の原因と考える対象自分以外の人、環境、制度などの外部要因自分の判断・行動などの内部要因
メリット自身で抱え込みすぎないため精神的な負担を軽減できる反省によって自身の課題を自覚し改善・成長につながる
デメリット周囲に責任を求めてしまい責任感の低下や成長の阻害を招く恐れがある自身を責める考え方が強いと精神的な負担が大きくなる

他責的な考え方が強くなる背景

他責的な考え方が強い従業員や部下がいる場合、人事担当者や上司が対応する際には、その背景や要因を理解しておくと対処しやすくなります。

どのような理由で他責思考に陥りやすくなるのか、本人側の要因と環境・組織側の要因の両面から、その背景を解説します。

考え方や行動の土台となるマインドセットについては、次の記事もご覧ください。

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・マインドセットとは?2つのタイプと変える3つの方法

失敗や評価から自分を守ろうとする

ミスを認めて自分の評価を下げたくないと考え、自分を守ろうとする意識が強い人は、他責的な考え方が強くなる場合があります。

また、周囲の環境が原因で、従業員が失敗や評価から自分を守ろうとする傾向が強まることもあります。たとえば、ミスをした従業員を一律に低く評価したり、強く叱責したりするケースです。

「失敗を認めると評価が下がる」「責められる」と感じる環境では、自分を守るためにミスの原因を周囲へ求める反応が起こる場合があります。他責思考が強いケースは本人の性格が原因とは限らず、意図的に責任逃れをしているとは限らない点に留意する必要があります。

自分で状況を変えられないと感じている

意見を伝えても状況が変わらなかった経験がある人や、裁量がほとんどない状態が続いた人は、自分で改善できることへ意識が向きにくくなる場合があります。結果として、何か問題が起きても自身の課題に目が向かず、原因を周囲の人や環境に求めてしまうケースです。

ただし、本人の認識や思い込みが原因とは限りません。「他人の意見を聞く姿勢が職場内になく意見を聞き入れてもらえない」「本人に権限が与えられていない」など、周囲の対応や環境に問題がないかも確認する必要があります。

責任や評価の基準が明確になっていない

目標、担当範囲、意思決定者、評価基準が曖昧な場合、問題が起きたときに責任の押しつけ合いが生じやすくなります。「自分の担当業務ではない」「責任を負わされるのはおかしい」と考え、周囲に原因や責任を求める他責的な考え方が強くなるケースです。

特に評価基準が曖昧な場合は、成果が誰の貢献によるものかを判断しにくく、自分の働きが正当に評価されないという不満が、原因を周囲に求める姿勢につながることもあります。

このようなケースでは、業務設計や情報共有の不足が背景にあります。他責思考は、個人の思考の問題ではなく、企業内の役割分担や責任の所在の不明確さが原因の場合もあるということです。

対応にあたっては、担当範囲や意思決定者、評価基準が文書として明確に共有されているかを点検することが、原因の切り分けの第一歩になります。

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他責思考の人によくある特徴

他責的な考え方が強い人には特徴的な言動が見られます。他責思考はどのような特徴として表れるのか、以下ではよくある4つのケースを紹介します。

失敗の原因を自分以外に求める

問題が起きた際、事実や発生経緯を確認する前から、同僚、上司、顧客、制度、環境などの責任を主張する傾向が見られることがあります。

たとえば、確たる証拠もないのに、自分以外の特定の人物名を挙げて「○○が担当した▲▲の工程に原因があるに違いない」などと主張するケースです。

ただし、ミスやトラブルが起きた際、自分以外の外部要因が実際の原因である場合もあります。外部要因を指摘した人が根拠を持って主張しているケースもあるため、「外部要因を指摘した=他責思考」と判断したり決めつけたりしないようにしましょう。

フィードバックや指摘を受け入れにくい

周囲からのフィードバックを受けることで自身の課題を認識し、改善につなげることで成長が期待できます。

しかし、フィードバックを改善に必要な情報ではなく、人格や能力への非難と受け取り、防衛的になる場合があります。前述の「失敗や評価から自分を守ろうとする」ケースです。課題点を指摘された際、自身の評価が下がることを懸念すると、フィードバックや指摘を受け入れにくくなります。

一方で、フィードバックの内容が曖昧、攻撃的、事実に基づいていない場合もあるため、伝える側の方法も確認する必要があります。

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・フィードバックとは?意味と5つの手法・具体例を解説

当事者意識が薄く、受け身になりがち

他責思考は、「物事の責任は自分ではなく他人にある」と考える思考です。「自分には関係がない」「他の誰かがやってくれるだろう」など、当事者意識が薄くなることがあります。

問題の原因を外部だけに求める意識が強いと、自分が変更できる行動へ意識が向きません。自ら主体的に動く姿勢に欠け、受け身になって指示を待つ傾向が強くなることがあります。

ただし、当事者意識が薄いように見える場合でも、本人の人格が原因ではなく、周囲の対応に問題がある場合もあります。当事者意識を持って関わるために必要な権限、役割、情報が与えられているかも確認しましょう。

失敗を次の改善につなげにくい

他責思考の人は、問題やトラブルが起きた際の原因を自分以外に求めます。実際には自分に課題点や改善点がある場合でも、問題の振り返りをする際に外部要因の確認だけに終始してしまうことが少なくありません。

自分の行動や業務手順を見直す機会が減る結果、同じようなミスや問題を繰り返すことがあります。同じミスを繰り返すと、周囲の人や職場全体に悪影響を及ぼすことになりかねません。

他責思考の人がすべて同じミスを繰り返すわけではありませんが、自分の行動を振り返って改善する意識が低ければ類似のミスを繰り返す可能性が高まります。

なお、振り返りで外部要因を検証すること自体は必要な作業です。問題は、自分側の要因を検討しないまま外部要因の確認だけで終わる場合にあります。

他責思考の人がよく使う口癖

他責的な考え方が強いときは、発言にも特徴が表れることがあります。

以下で紹介する言葉・口癖は、一度使っただけで他責思考と判断することはできませんが、他責的な考え方が表れている可能性を考える手掛かりになるでしょう。

「でも」「だって」と、言い訳から入る

自身の課題や問題を指摘された際、他責思考の人は自分が原因であることを認めたがらないため、指摘に対して反論や言い訳が多くなります。

失敗や評価から自分を守ろうとするため、周囲から指摘されても素直に認めず、「でも」「だって」などと反論するケースです。

改善できる点や成長の余地がある点を周囲が教えてくれても、言い訳や否定から入る状態が繰り返されると、改善に向けた建設的な議論や対話になりません。

ただし、指摘に対する反論が正当な根拠や事情に基づく可能性もあります。まずは事実を聞いたうえで、「次回は何を変えられるか」と問いかける対応を心がけましょう。

「○○のせいで」と、原因を人や環境のせいにする

他責的な考え方では、自分の責任ではなく他人の責任であると考えるため、原因を特定の人物や環境だけに求めて「○○のせいで」と言うことがあります。

他責思考の人は、自分以外の人物や環境だけに原因や責任を求め、自分が変更できる行動を検討しない点が特徴です。根拠もないのに「○○のせいで」と決めつけてしまい、責任の所在を断定的に表現する場合があります。

ただし、原因を人や環境のせいにする発言をしていても、業務環境や指示に実際の問題がある可能性もあります。このようなケースでは、個人の言い訳として処理せず、組織側の改善につなげることが必要です。

「私は悪くない」「言われた通りやった」と、自己防衛に回る

他責思考の人は、責任は他人や環境にあり自分にはないことを明確にするため、自己防衛のための言い回しが多くなることがあります。

たとえば、「私は悪くない」と自分の責任を否定するケースです。また、「言われた通りやっただけ」と反論して、指示を出した人の伝え方に問題があると説明するケースも見られます。

このような対話を続けても、発生原因や再発防止策の検討が進みにくくなる場合があります。誰が悪いのかを争うのではなく、指示内容や本人の理解、途中の確認、結果を分けて振り返り、事実関係を確認したうえで課題点を洗い出しましょう。

「私の仕事じゃない」と、当事者になることを避ける

自分の担当や責任ではないことを明確にするため、「それは私の仕事ではない」といった発言も他責思考の人によく見られる口癖のひとつです。

他責的な考え方が強いと、担当外であることを理由に、必要な共有や協力まで避ける状態になることがあります。職場内で情報共有がされず連携がうまく取れないと、業務に支障が出ることになりかねません。

ただし、本当に担当範囲を超えている場合もあります。また、業務分担や責任の所在が組織内で明確になっていないことが原因の可能性もあります。発言を他責思考と決めつけず、役割分担や責任範囲が明確か確認することが重要です。


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他責思考とアスペルガー症候群・ASDは関係あるのか

他責思考が強いと、周囲の人に責任を押しつけるなどして対人関係で問題が起きることがあります。

しかし、他責的な考え方が強い人が上司や同僚とうまくコミュニケーションを取れていない場合でも、アスペルガー症候群(ASD)と安易に結びつけてはいけません。

他責思考は神経発達症(発達障害)ではなく、両者の違いを理解しておくことが重要です。

両者が混同されやすい理由

かつて「アスペルガー症候群」と呼ばれていた状態は、現在はASD(自閉スペクトラム症)に含まれます。ASDは神経発達症の一つで、社会的コミュニケーションや対人関係の難しさ、限定的・反復的な行動や興味などの特徴が見られることがあります。

ASDのある人のなかには、暗黙の了解を読み取りにくい、言葉を字義どおりに受け取りやすい、予定外の変化への対応が難しいなどの特性が見られる場合があります。その言動が周囲から「自分の非を認めない」「相手の立場を考えない」と誤解されることがあります。

しかし、これらの特性と他責思考は別の概念です。

周囲から他責的に見える言動があっても、その背景は一人一人異なるため、発言だけで意図や診断の有無を判断してはいけません。

安易に結びつけてはいけない理由

他責的に見える言動だけでASDの有無を判断することはできず、「ASDのある人が他責思考になりやすい」と一般化することも適切ではありません。

周囲とコミュニケーションがうまく取れない人がいる場合でも、コミュニケーション上の困難をASDと安易に結びつけず、対話やサポートを行うことが重要です。困りごとがある場合は本人との対話を通じて、指示方法、役割、業務環境など必要な支援を確認しましょう。

また、医学的な評価や専門的な判断が必要な場合は、職場の上司や人事担当者が診断せず、産業保健スタッフや専門機関への相談を検討するようにしてください。その際は本人の意向やプライバシーへの配慮も大切です。

他責思考が職場に与える影響

他責的な言動が続くと、部署や企業全体など組織に影響が生じることがあります。他責思考の状態が続くと職場でどのような問題が起こり得るのか、以下では主な影響を紹介します。

原因分析や改善行動が進みにくくなる

他責思考の人が失敗や評価から自分を守ろうとして、ミスや課題を指摘されても反論や言い訳が多くなると、職場内での議論に支障が出る場合があります。問題をすぐに認めて改善につなげるケースに比べ、振り返りや原因分析、改善策の検討が進みにくくなるからです。

また、他責的な考え方が強い人が原因を外部要因だけに求めると、本人が変更できる行動や業務手順の検討が進みにくくなることもあります。改善が進まなければ、業務に支障が出ている状態が続くなど、職場全体に影響を与えかねません。

ただし、原因分析では外部要因の特定も必要です。外部要因を検討すること自体は問題ではありません。改善の議論では内部要因と外部要因の両方に目を向ける必要があります。

チーム内の対立・関係悪化

他責思考の人の口癖のひとつである「○○のせいで」という言い回しは、特定の相手を非難する言い方です。一方的に責任を負わされた人が反発して対立し、職場内の人間関係や雰囲気が悪化する恐れがあります。

また、特定の相手を繰り返し非難したり、責任を一方的に負わせたりすることが常態化すると、メンバーは率直な意見や失敗を共有しにくくなります。正直な意見を言い合うことができない職場環境では、お互いの信頼関係を築けず関係が悪化する可能性もあります。

ただし、自身の責任を回避しようとする発言や傾向がある場合でも、組織側に問題があることもあります。本人の発言だけでなく、責任追及を優先する組織風土がないかも確認しましょう。

成長機会の損失

フィードバックをすべて不当な批判として退ける状態が続くと、自分の強みや改善点に気付く機会が減る可能性があります。

改善できたはずのことが改善されないまま個人の成長機会が失われることは、組織にとっても損失です。個人の成長は組織の生産性向上や業務改善にもつながり得るからです。

ただし、フィードバックを受け入れずに本人が反論しているケースでは、上司など周囲の人の伝え方に問題があることもあります。

本人に改善を求めるだけでなく、フィードバックの内容や伝え方が適切だったかも検証しましょう。建設的な対話が可能になれば、個人の成長機会を生かして組織成長につなげられます。

他責思考を生む組織側の要因

職場内で他責的な言動が見られる従業員がいる場合や他責的な考え方が広まった場合、従業員個人に要因があるだけでなく、組織側にも要因があることが少なくありません。

以下では、背景として挙げた要因のうち、人事や管理職が改善に取り組める組織側の要因を4つに整理して解説します。

業務負荷の高さ

過大な業務量や短すぎる期限が続くと、ミスや遅延について「時間がなかった」といった説明が増える場合があります。「仕事量を適切に配分できていない上司が悪い」「納期の設定に無理があったことが原因であり自分のせいではない」など、他責的とも受け取れる発言が増えるケースです。

従業員からこのような発言が増えた場合、業務負荷の高さが要因であれば、要員配置や業務分担、優先順位の問題です。従業員個人が他責思考かどうかの問題ではありません。本人の時間管理だけでなく、業務量や期限の設定が適切かどうかや、周囲から必要な支援が行われているかも確認しましょう。

評価制度への納得感の低さ

評価基準が曖昧で評価理由の説明がない場合や、同じ行動でも評価者によって判断が異なる場合、従業員が不公平だと感じ、防衛的になる可能性があります。評価制度への納得感が低く、不当だと感じる評価や責任を負わされないように、他責的になるケースです。

従業員が高いモチベーションを維持して、自ら責任感を持って業務に臨むためには、評価制度への納得感が欠かせません。評価制度に問題がある場合は、従業員に評価の受け入れを一方的に求めるのではなく、評価基準や運用の妥当性を確認し、必要に応じて改善も検討しましょう。

<関連記事>
・人事評価制度とは?目的・仕組み・種類、メリット・デメリットを解説

心理的安全性の低さ

ミスをした従業員が強く非難される職場や評価を下げられる職場では、従業員が自分を守るために防衛的な説明をする場合があります。

心理的安全性の低さゆえ、自身が不利益や責任を被らないように自己防衛の意識が強まり、責任を他人や周囲の環境に求めるケースです。

このようなケースでは、従業員が安心して働けない職場環境に問題があります。従業員の性格が原因で他責思考になっているわけではなく、失敗や懸念を安心して共有できる環境づくりが必要です。

職場における心理的安全性を高めても他責思考がなくなるとは限りませんが、失敗や懸念を共有しやすい環境づくりは、事実確認や改善に向けた対話の土台になります。

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・職場の心理的安全性とは?作り方や4つの因子、高める方法を解説

役割・責任範囲の不明確さ

担当者、意思決定者、承認者、報告先が曖昧な場合、問題が起きた際に責任の所在を判断できず、押しつけ合いが発生しやすくなります。役割分担が不明確な状況では、従業員は「自分の責任範囲ではない」と感じ、他責的な考え方や発言が増える場合があります。

他責的ではなく、従業員が自ら責任感を持って業務に臨めるようにするためには、役割と責任範囲を明文化する必要があります。認識のずれを防ぐため、関係者間で役割と責任範囲を突き合わせ、共通理解を持てるよう話し合いましょう。

人事担当者ができる他責思考への対応

従業員に他責思考の特徴や口癖が見られ、問題が起きている場合や職場に影響が出ている場合、人事担当者はどのように対処すべきなのでしょうか。以下では、他責思考への対応で押さえておきたいポイントを整理します。

他責思考と決めつけず、事実と背景を確認する

従業員や部下が他責的な考え方をしているように見える場合でも、「他責思考の人」「責任を他人に押しつけがちな人」などと決めつけないことが重要です。レッテルを貼ったり根拠なく決めつけたりすると、事実や状況を見誤って適切な対処ができない恐れがあります。

他責思考に対応する際は、発生した事実、本人の認識、周囲の認識、業務上の制約を分けて確認しましょう。事実を一つひとつ確認することで、原因や状況の分析、改善策の検討が進み、改善に向けた取り組みが可能になります。

また、外部要因に実際の問題がある場合は、本人の考え方を変えさせるのではなく、業務や制度の改善を行いましょう。

1on1で課題の背景を把握する

1on1では、本人の説明を否定せず上司が部下の話を聞き、「何が起きたか」「どの時点で困ったか」「必要だった支援は何か」「自分で変えられることは何か」を整理しましょう。

状況と考えを言語化することで、問題の背景と本人が変更できる行動を切り分けやすくなります。また、できている点や改善の進捗も確認し、本人が次の行動を自ら選べるよう支援します。

1on1を追及や評価の場にせず、業務上の課題と必要な支援を把握する場として活用し、成長に向かうための自律的キャリア形成を支える対話の場として活用しましょう。

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・1on1とは?実施の目的や効果、トーク例などを解説

事実と具体的な行動に基づいてフィードバックする

フィードバックの内容が曖昧な場合、聞き手の従業員は納得できず自己防衛的になって指摘を受け入れにくくなる可能性があります。フィードバックでは、事実と具体的な行動に基づいた指摘・改善提案を伝えることが大切です。

「責任感がない」「他責思考だ」など、人格や性格を評価するようなフィードバック内容だと、非難されていると感じる可能性が高まります。問題点を相手に指摘する際は、確認できる行動とその影響を具体的に伝えましょう。

「期限までに相談がなかった」「確認せずに作業を進めた」など、実際の事実に基づいて説明すると、相手も理解・納得しやすくなります。

また、本人の説明を聞いたうえで、次回の相談時期や確認方法など具体的な改善行動を決めれば、自身の行動や考え方の見直しや改善につなげやすくなります。

本人が変えられることと組織が変えることを分ける

問題や課題を克服する際、本人だけに責任を負わせず、原因を本人、上司、チーム、業務手順、制度などに分け、それぞれが変えられることを整理します。

1on1では、上司が一方的に問い詰めるのではなく、事実と背景を本人と一緒に振り返り、課題を客観視できるよう支援しましょう。

そのうえで、本人が取り組む目標や行動と、業務量の調整、指示の明確化、承認手順の見直しなど、組織側が改善することを分けて決めます。

このように本人の気づきと行動変容を促すことが、自身のキャリアを主体的に考え、行動する「自律的キャリア」の支援につながります。

組織サーベイで組織側の要因を可視化する

組織側の要因を把握して改善につなげるためには、課題を可視化する必要があります。組織サーベイを活用すれば、役割の明確さ、上司との関係、業務負荷、組織風土など、個別面談だけでは把握しにくい課題の確認が可能です。

サーベイだけで他責思考の原因や特定の個人を判定できるわけではありませんが、回答結果を部署・時系列などで分析し、対話や業務上の事実と組み合わせて改善策を考えましょう。

サーベイ結果と1on1の記録などをタレントマネジメントシステム上で連携・管理することで、組織全体の傾向と個人の状況をそれぞれ確認し、対話や施策の検討材料として活用できます。

ただし、サーベイ結果と個人情報を結び付けて他責思考を判定しないよう、利用目的や閲覧権限を明確にすることが重要です。

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・従業員サーベイとは?意味や目的からメリットや実施時の注意点まで徹底解説

他責思考への対応にタレントマネジメントを生かす

他責的に見える言動へ適切に対応するには、一度の発言や直近の面談だけで本人を判断せず、過去から現在までの対話、目標、評価、スキルなどの情報を継続的に確認することが重要です。

これらの情報が別々のファイルや担当者の手元に分散していると、本人の変化や行動の背景を把握しにくくなります。以下では、タレントマネジメントシステムを活用して一元的に管理する方法を紹介します。

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1on1・評価・スキル情報を一元管理

1on1の活用が課題の背景を把握するうえで有効であることは、前述したとおりです。しかし、1回限りの面談内容だけでは、発言が一時的な反応なのか、同じ傾向が継続しているのかを判断するのは簡単ではありません。

タレントマネジメントシステムを活用すれば、過去の1on1記録、目標と進捗、評価結果、フィードバック、保有スキルなど、異なる情報の一元管理が可能です。本人の状況を複数の観点から確認しやすくなります。

さらに、情報を一元管理する目的は、本人の問題点を探すことだけではありません。これまでの行動、成果、困りごと、受けた支援、成長の変化を確認し、今後の対話や育成に生かすことができます。

時系列データから行動の変化と背景を確認する

タレントマネジメントシステムは、1on1の内容や評価結果を継続的に記録し、時系列で確認できる点がメリットです。

特定の時期から発言や行動が変化していないか、その前後に業務量、役割、上司、目標、評価などの変化がなかったかを検討できるようになります。

たとえば、以前はフィードバックを受けて改善できていた従業員が、配置転換後に防衛的な反応を示すようになったケースです。本人の性格だけでなく、役割の不明確さ、業務負荷、必要な支援の不足などを確認する必要があります。時系列データは、こうした変化と背景を対話で確かめるための材料として活用が可能です。

ただし、データ上の変化だけで原因を断定すると、実態を正しく把握できない可能性があります。本人への確認や周囲の状況と組み合わせて判断することが大切です。

直近の印象に偏らない評価と対話

直近の出来事や目立つ言動だけをもとに判断すると、それ以前の成果や改善行動を十分に考慮できない可能性があります。

タレントマネジメントシステムを活用し、過去の目標、評価、1on1、フィードバックなどを確認すれば、ある時点の印象だけに依存せず、複数の時点における事実を踏まえて評価や指導を検討しやすくなるでしょう。

もちろん、データを蓄積すれば評価者の主観やバイアスを完全に排除できるわけではありません。記録内容そのものに評価者の解釈が含まれる場合や、必要な情報が記録されていない場合もあるからです。タレントマネジメントシステムを活用する際は、「直近の印象への偏りを抑えるための材料」と位置付けましょう。

評価・配置・育成の検討材料として活用

タレントマネジメントシステムを使って時系列で蓄積した情報は、注意や指導の根拠だけでなく、本人に必要な支援を検討するために活用できます。

過去の成果、評価の変化、本人が得意とする業務、スキル、1on1で把握した希望や困りごとなどを確認し、次の目標、育成方法、役割分担、配置などを検討しましょう。

人材配置を検討する際は、「他責思考が見られるため配置転換する」などと短絡的に結論づけず、データや客観的な根拠に基づいて判断することが重要です。

現在の役割とのミスマッチ、上司との認識差、支援不足など、複数の可能性を確認したうえで判断できれば、個人にも組織にもプラスになる人材配置を実現できます。

また、データは意思決定を自動化するものではなく、人事担当者や上司が本人との対話を通じて、評価・配置・育成を検討するための材料となるものです。人材データを活用することで、組織の活性化につなげられます。

まとめ

問題や失敗の原因や責任を自分以外の人、環境、制度などに求めやすい他責思考は、職場で見られる従業員の思考のひとつです。他責的な考え方が強い人には特徴的な言動や口癖が見られることがあり、周囲の人や職場に影響を与えることがあります。

従業員や部下に他責的な考え方が強い人がいる場合、人事担当者や上司が対応する際には、その人だけに原因があると決めつけず、組織側にも要因がないか確認しましょう。

業務負荷の高さや役割・責任範囲の不明確さなど、個人ではなく組織に原因があることも少なくありません。事実と背景を確認し、互いに納得できる対話を通じて改善行動につなげることが、個人の成長機会を生かして企業組織の成長につなげるうえで大切です。

人材データを蓄積し、客観的な人材活用を実現する

1on1の記録、評価結果、スキルの変遷などを同一システム上に時系列で蓄積すれば、異なる種類や時点の情報を一元的に管理・活用できるようになります。

直近の印象や上司の主観への偏りを抑えるための材料として、継続的な記録を評価・フィードバック・配置・育成を検討できる点がタレントマネジメントシステム活用のメリットです。

HRMOSタレントマネジメントでは、従業員の目標やスキル、評価結果などの人材データを一元管理できます。蓄積したデータから一人一人の強みや課題を把握し、育成計画や配置の検討に生かせます。

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